第15回 政策評価とは何か [PDF 337KB]

第 15 回
再度「政策評価」とは何か――評価とは何か、政策とは何か?
政策を評価するとは何か。Big policy、High policy は?
• 環境分野の ODA の強化・拡充(2002 年度環境分野 ODA 実績約 4,054 億円、途上国
支援のための資金メカニズムである「地球環境ファシリティー(GEF)」への拠出(488
億円、米に次いで第2位 17.63%)。
• 在日米軍駐留経費の日本負担「思いやり予算」(1978 年 62 億円、2007 年 2173 億円)。
• マクロ経済政策の評価:(井堀利宏『入門経済学(第二版)』新世社 2007 年、p.233)、
ケインズ的な総需要管理政策の有効性。
• A、B、C、D、それぞれ「評価」の意味するところが違うのではないか。
high policy
A
C
big policy
small policy
low policy
B
D
1.「政策」の「評価」
(1)政策学と評価学が結婚して「政策評価」が生まれた。政策学、評価学。
(2)両方の特徴を受け継ぐ:学際性、問題志向、research や analysis などの手法とセット
2.政策評価の要点
何を評価するのか。政策、プログラム、プロジェクト、行政の活動、マニフ
what
ェスト。SMART(specific, measurable, achievable, relevant, timed)。ア
ウトプット、アウトカム、インパクト。
who
誰が評価するのか。政治家、行政機関、
whom
誰のために評価するのか、評価結果を誰に伝えるのか。
when
いつ評価するのか。事前、中間、終了時、事後。
where
どこで評価するのか。内部評価、外部評価、準外部評価。
why
how
なぜ評価するのか。評価目的は何か。①アカウンタビリティの確保、②マネ
ジメントの支援、③政策内容(教育・福祉など専門分野)への知的貢献。
どうやって評価するのか(評価方法、手法)。
評価のコストはいくらかかるか(how much)。
3.評価の進め方
(1)対象確認。
Input
Output
Outcome
Impact
(2)政策デザイン:政策目的、目標、政策手段の確認。
(3)作業手順(評価スキームの確定)
評価の提案、評価目的確定(必要な情報は何か)、評価態勢の立ち上げ(どこの誰がやる
のか)、評価コストの確認(金額)、評価の時期・スケジュール決定、評価基準(効率・
有効性・持続可能性・公平性・レリバンス)の確定、データの確認、データ入手方法の
模索、データ分析方法の確定、報告書の様式、評価の評価。
4.評価のイメージは、どこでも、いつでも悪い?
評価を歓迎する人はいるのか。
5.各国の業績評価(業績管理)、プログラム評価導入状況の比較
国
名
オーストラリア
カナダ
導入
評価の方式
1988
施策評価。プログラム管理を業績モニターと評価で。
1997
業績指標、目標値(アウトプット)。
1996
アウトプット/アウトカムベースの業績指標。1994 年から検討。
評価自体は 1977 年より各省がマネジメントに使う。日本の地方自治体
の使い方に近い。
デンマーク
1983
1995
フィンランド
エージェンシーと業績契約。アウトプット。
エージェンシーと業績契約。アウトプット。
(1987 年から試行、
一部導入。)
政府改革に使う体系的で詳細な情報を求めるため 12 の事例研究的プロ
グラム評価を 1995~97 年に実施。
フランス
オランダ
2001
業績指標と目標値の達成。
1976
インプットの業績指標。
1994
エージェンシーが所管庁と業績契約。
1999
予算書にアウトプット/アウトカムの業績指標とその費用明示。
1990 年頃からプログラム評価に関心。省レベルでの調整。
ニュージーランド
1989
各大臣と各省庁との間で業績契約。
1998
内閣の戦略的優先事項に基づいた目標値。
1991
スウェーデン
エージェンシーにアウトプットの業績指標(最近アウトカム)、毎
年大臣に送る。
1980 年代から意思決定の改善、予算編成とリンクした評価の試み。実は
1950 年代に試行。
1991
イギリス
1998
業績協定(シチズンズ・チャーター)をエージェンシーに。
Comprehensive Spending Review によるアウトプットの業績
ターゲットを Public Service Agreements で締結。
1960 年代中期から、連邦政府が社会プログラムに評価研究(evaluation
アメリカ
research)の適用を試行。後に拡大、定着。
1993
EU
政府業績結果法(GPRA)。業績測定とプログラム評価。
開発援助や技術政策に試行し一定の成果。EC 時代の 1970 年代からプロ
グラム管理に業績指標を使う。
参考文献
東信男「政策評価制度における会計検査院の役割―その国際的動向―」、『会計と監査』、
2001 年 4 月 号 。 お よ び OECD (PUMA/PAC), Improving Evaluation Practices : Best
Practice Guidelines for Evaluation and Background Paper , 1999.