深 化 を意図した道徳の時間 主題名 「生きていることへの感謝」 内容項目 2-(6) 他者の善意に対する感謝 平成26年5月29日(木) 第 3 学年 B 組 場所:3B 教室 授業者 髙田優樹 1. ねらい 多くの人の善意や支えで、日々の生活や現在の自分があることに気付き、そ れに感謝し、こたえようとする道徳的心情を育てる。 2. 資料名 帰郷( 「私たちの道徳」 文部科学省) 3. 主題設定の理由《指導観》 (1) ねらいとする道徳的価値について《価値観》 人間は、互いに助け合い、協力し合って生きている。この助け合いや協力を根底で支え ているのは、互いの感謝の心である。その意味で、感謝の心は、人間関係を築く上で欠か すことのできない大切なものである。感謝の心は、他の人が自分のことを大切に思ってく れていることに触れ、相手の行為を心の贈り物としてありがたいと感じるときに起こる人 間の自然な感情である。中学生の時期は、自立心の強まりとともに、日々の生活の中で自 己を支えている多くの人の善意や支えに感じる一方で、感謝の気持ちを伝えることの難し さも感じている。また、具体的な支援に対しては、すぐに感謝の気持ちを素直に伝えるこ とができるが、自分の存在にかかわることになると行動として感謝の気持ちを表現できな いことや感謝の気持ちと裏腹な行動をとってしまうこともある。 自分を支えるあらゆる人への感謝の気持ちを持てるよう道徳的心情を養い、その気持ち を素直に表現する道徳的実践力の向上に努めていくことが必要である。 (2) 生徒の実態《生徒観》 本学級の生徒は、友達からの日常の行為に対し、 「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える ことは比較的できている。しかし、自分を取り巻く家族や地域の人々に対し、感謝の気持 ちを抱き、言葉や態度で伝えることには苦手な生徒も少なくない。そこには、成長と共に 感謝の気持ちを伝えることへの恥ずかしさを感じるようになることが原因として考えられ る。また、誰からであっても、自分の内面に深く関わることになると、素直に感謝の気持 ちを表現することに抵抗を記す生徒も少なからずいる。本題材を通じて、自分があらゆる 人に支えられ、その温かさの中で生きていることに気づけるであろう。また、感謝の気持 ちを素直に表現していこうとする気持ちを育てることができるであろう。 (3) 学校教育全体を通しての指導 ① 教科指導 家庭科 幼児との交流(11 月) 「幼児と遊ぶおもちゃや紙芝居を製作し、幼稚園で幼児と触れ合う。そこで、過 去の自分と重ね合わせる。そして、幼児からの感謝の気持ちを感じ、その大切さ に気づく。 」 ② 行事 退任式(4 月)、修学旅行(6 月)、PTA 奉仕作業(6・8 月),バイキング給食(3 月) 卒業式(3 月) 高山村立高山中学校 指導案・道徳 1 ③ 日常指導の中で 日々の生活の中で、友達に対し感謝の気持ちを忘れず持ち伝い合えるようになると共 に、あらゆる人への感謝の気持ちを素直に伝えようとする気持ちを持つことができる であろう。 本時の授業は「深化」を意図して行う。日常の生活のなかで自分自身を取り巻く人への感謝の気 持ちに気づき、表現することも少なくない。そこで、授業の中で様々な人の心遣いに触れた主 人公が、忘れていた故郷の温かさに気づいていく場面を取り上げて、その時の心情を考えさせ ていく。 (4) 資料について 東京で俳優となった主人公が、脳卒中で母親が倒れたという連絡を受け、故郷の病院へ と急ぐ。夜遅く病院に着くと、子どもの頃からお世話になった老夫婦が母親を見守ってお り、母親の無事を告げられる。翌日、主人公は、老夫婦や母親が開いていた居酒屋の常連 客の温かさに触れる。リハビリが必要な母親に東京で暮らそうと言うが、母親は横に首を 振る。そんな主人公に老夫婦が、母親の面倒を見ると切り出す。町の人々と母親・自分と のつながり、人々の善意や支えに気付き、母親が離れたくないという町のぬくもりを感じ ながら、いったん東京に戻る。 4. 深化を意図し,ねらいとする道徳的価値の自覚を深めるための工夫 (1) 道徳的価値の大切さを理解させるために ・価値理解を深めるために、主人公の感謝の気持ちが生まれていく心情の変化に触れなが ら展開を進めていく。中心発問において、感謝に関する考えが深まっていない場合には、 「老夫婦」 「常連客」 「母親」 「旧友」という視点を与える。そこから、時を経ても変わらな い地域の温かさに対してや、母親の気遣いに対する感謝の気持ちを考え、価値の理解を深 めていく。 (2) 自分とのかかわりで道徳的価値をとらえるために ・授業の最後に振り返りを行う際,ワークシートに、日常生活の中で家族や地域の人への 感謝の気持ちを記入する。その際、今までの自分を振り返りながら考えることで、自分と のかかわりについて深められるようにする。 (3) 道徳的価値にかかわる課題を培い人間としての生き方についての自覚を深めるために ・発問に対し,自分で考える場面とペアでの意見交換の場面、全体での発表の場面を織り 交ぜて進めていく。また、学級全体で価値を深めるために、意図的な指名も含めていく。 そして、友達の意見を聞き、共感する意見をメモさせ、様々な考え方の存在に気づき、自 覚を深められるようにする。 ・終末で、 “私たちの道徳 「知命」 ”を一人一人読み、余韻を残すことで、今後の生活 の中で自覚していこうとする気持ちを深められるようにする。 高山村立高山中学校 指導案・道徳 2 5. 本時の展開 過 程 導 入 ( 5 分 ) 学習活動と発問『 』 (☆は中心発問) ・予想される生徒の反応 感謝の気持ちというキーワードに触れ、価値への方 向付けを行う。<価値理解> 『みんなはどんな時に“ありがとう”と思います か?』 ・友達に助けてもらったとき。 ・家の人に何か買ってもらったとき。 教師の資料の音読を聞き、変化していく主人公につ いて、場面ごとに気持ちを考える。 〈価値理解〉 〈他 者理解〉 指導上の留意点及び支援の工夫 ・感謝の気持ちを示す対象が友達だけで ないことに気づけるようにする。 ・回答が出ない場合、雪かきの時の話な ど、生徒の身近で感じられる例を与え る。 ・場面絵を貼り、場面の状況や主人公の 気持ちをイメージしやすくする。 『東京を出て、病室に着くまで、私はどんなことを p88 の「自分の周りだけ…」の状況に 考えていたか。 』 触れ、主人公の母への気持ちに気づける ・母は大丈夫だろうか。 ようにする。 ・間に合うだろうか。 展 開 ( 3 5 分 ) 『老夫婦のチャーハンを受け取ったとき、どんな思 ・老夫婦の主人公や母への気遣いが現れ いがこみあげてきたか』 ている箇所に触れ、発問に対する考えを ・母だけじゃなく自分の事まで気づかってくれてあ を導きやすくする。 りがたい。 ・昔のように同じようにしてくれることへの驚きと 感謝の気持ち。 ☆『来た道を引き返す電車の中で優しさに包まれる と思っている私は、どんな思いでいるのか。 』 ・これまで自分のことしか考えてなかった。 ・おじさん、おばさんへの感謝の気持ち ・常連客や雅也の優しさをありがたく感じる。 ・自分の力で俳優になったと思っていたが、母や町 の人たちみんなに支えられてたんだ。 終 末 ( 1 0 分 ) ・記入したことを隣の人と発表し合い、 様々な気持ちに気づけるようにする。 ・机間支援を通し、主人公が様々な人々 に感謝していることに気づけるように する。 ・全員が記入できるまで時間をとって考 えさせる ・考えを発表させ板書し、同意見には挙 手をさせることで、他の人の考えに共感 したり、様々な考えがあることに気づけ たりできるようにする。 ・本時の振り返りと自己評価をする。 『今日の学習を含め、経験を振り返り、感想をかき ましょう。 』 〈自己理解〉 ・ “私たちの道徳”p94~p95 「知命」を一人 ・一人一人に小さな声で音読させること 一人読む。 で、本時の内容をより印象に残し、今後 の生活に生かそうとする実践的意欲に つなげられるようにする。 高山村立高山中学校 指導案・道徳 3 6. 板書計画 7. ワークシート 高山村立高山中学校 指導案・道徳 4
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