平成24年度 学校だより 11月号 本当の強さ 校長 浅井 正秀 私は子供のころ、腕力の強さにあこがれ空手を習ったことがありました。腕力が強いこ とが強い人間の証だと思ったからです。しかし、少し大人になると学力が人間の強さだと 思うようになりました。高い学力があれば偏差値の高い学校に入ることができ、社会に出 ても頭脳で勝負できる。だから一生懸命多くのことを学び学力を高めれば、強い人間にな れると思いました。今にして思えば、ずいぶん偏った考え方をする人間だったと思います。 それでは今は「どのような人間が強い人間だと思っているか」と尋ねられると「どんな ときでも人に優しくできる精神力をもっている人が強い人間」だと答えます。 10月15日から6年生と日光移動教室に行きました。出発するとき「2泊3日、多く のことを学び、たくさん楽しい思い出を作り、そして疲れた時でも人に優しくできる強さ を見せてください」と話しました。なぜなら、これまで宿泊体験行事で寝不足と疲れから 普段思いやりをもって人に接してきた子供も、思いやりがなくなり、友だちに意地悪をし ている姿をずいぶん見てきたからです。 天気は、3日間とも気持ちの良い快晴でした。奥日光は紅葉が真っ盛りで、すばらしい 景色が見られました。6年生はとてもしっかりしていて、住吉小学校の最高学年と呼ぶの にふさわしい行動がたくさん見られました。バスの中のレクリエーションを見ても、係の 子供が主体的にみんなが楽しめる活動を考え、まわりの子供たちも係の子供に協力して盛 り上げていました。集合時間もきちんと守り、話を聞くときも集中してしっかり聞いてい ました。長距離のハイキングの時も一人も遅れることなく歩きました。疲れている友だち に対して「大丈夫?荷物持とうか?」と声をかけたり、危ないところでは「ここ根が出て いるから気をつけて」などと声をかけたりしていました。係の子供たちの仕事の丁寧さや、 飯盒炊飯などでも理科の「物の燃え方と空気」な学習を活用して、おいしいご飯を炊こう と一生懸命頑張る気持ちなど、感心することがたくさんありました。部屋の中でも、一人 ぼっちをつくらないよう、みんなで声かけをしていました。これは移動教室のお手本のよ うだと思っていると、他の学校の校長先生が「態度が立派な学校なので感心しました」と 褒めていただきました。 また、保護者の皆様にも、たくさん協力していただいた運動会に目を向けましても、練 習期間や運動会当日まで、ずっと真夏が続いているように暑かったのですが、子供たちは 「いい演技をしたい」という気持ちで、友だちと協力して最後まで頑張りました。 住吉小学校の子供たちは、疲れたときでも友だちを思いやる優しさをもっているので、 本当の強さをもっていると思います。 住吉小学校全体の子供たちが、大きくなっても、疲れているときや、気持ちが落ち込ん でいるときでも、優しい気持ちを表すことのできる、本当の強さをもった人間に育ってく れることを願っております。
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