JCAA 海外技術者派遣に参加して Study-tour of Jicable in Versailles hosted by JCAA 増田 達(T. Masuda) (技術部) た接続部の種類や特性に関する紹介でした。ケ 1.はじめに JCAA((社)日本電力ケーブル接続技術協会) 主催の 2011 年度海外技術者派遣に 6 月 18 日か ーブル導体部と接続部のヒートサイクルによる 挙動の違いは興味深いものでした。 ら 24 日の日程で参加しました。概要および現 3.2 地での所感を報告いたします。 論文発表 全体の発表件数は論文発表 206 件、ポスター セッション 74 件でした。聴講した中で印象に残 2.Jicable とは った 1 件を紹介致します。 Jicable(ジカブル)は電力ケーブルや接続材 料に関する国際学会で、1982 年から約 4 年に一 [C.1.4 スマートグリッド化における中圧ケ 度開催されており、今年で第8回目となります。 ーブルの事故事例](オランダ) 今年度は 6/18~23 の 6 日間開催されました(こ ここ 5 年間にオランダで発生した中圧ケーブ のうち論文発表は 6/20~22)。会場はベルサイ ル接続部に関する事故について調査したところ、 ユ宮殿から徒歩 1 分のコンベンションセンター 圧縮タイプの接続部での発熱が事故の原因でし で、論文発表だけでなく講演や企業展示も行わ た。事故箇所は付近に発電施設があり、通常よ れ、今年度の参加者は約 800 人でした。 りも電気的負荷が高くなっています。敷設箇所 が熱の発散しづらい環境だったこともあり、接 続部へダメージを与えるほどの熱が発生しまし た。 スマートグリッド化により下流側に発電設備 が増加したことで状況が変化し、ケーブルに高 い電気的負荷が発生する場合があります。スマ ートグリッド化では電気的負荷の許容量に注意 が必要です。 写真1 Jicable 会場 3.聴講内容 3.1 講義(Tutorial) 初日には基礎的な内容の講演が 4 種類あり、 そのうち「T2:高圧ケーブルの接続材料」を聴講 しました。前半はケーブルや接続部の構造に関 写真2 する電磁気学的な解説、後半は実験結果を交え AEW 第 40 号 -25- ベルサイユ市街 3.3 です。ほかにもパーキングチケット発券機に太 企業展示 小規模なホールで 28 社の展示がありました。 陽光パネルを設けるなど、環境意識の高さが伺 えました。 飲み物やお菓子を提供するコーナーがあり、企 業ブース以外での会話が盛んで、日本の企業展 5.道中でのこと 示とは違った印象を受けました。 展示品は全体的に高圧ケーブルが多く、次い 今回の海外技術者派遣は矢崎電線の中村氏と で診断機器、接続材料等でした。接続材料は固 二人きりで、通訳やガイドの付き添いはありま 定金具や接続部の展示がありましたが、接続部 せんでした。幸い大きなトラブルは無かったで はボルト締付タイプが主流で、日本とのライン すが、Jicable の受付で入場券が無いというア ナップの違いを感じました。 クシデント(Jicable 側の管理ミスで同姓の別 人に券が渡されていた)などがあり、身振り手 振りで四苦八苦する場面もありました。 4.ベルサイユとパリ市街 写真2はベルサイユ市街の写真ですが、近世 フランスといえばストライキですが、ちょう 的な建物が軒先なしに建っており、さらに隣家 どベルサイユ滞在中にベルサイユ宮殿でストラ との隙間が全くありません。そのため電気メー イキが行われ、宮殿内を見学できませんでした ターは、日本では建物の脇や裏手に設置される (代わりに庭園を無料で見学することができま のに対して、ベルサイユやパリでは屋内あるい した)。 現地ではストに関する告知がほとんど は外壁に設置されています。これはガスについ 無く、ストを知らずに来た観光客が正門前で立 ても同様で、建物によっては両者のメーターが ち往生していました。日本ではこのような対応 併設されています。 は考えられず、文化の違いを感じました。 ベルサイユおよびパリでは電線地中化がほぼ 完了しており、電柱を見かけることはありませ ん。変圧器などを納めるボックスが点在してい ますが、ベルサイユではそこに肖像画やイソッ プ寓話などを描き、景観に配慮する活動が地元 の芸術学校によって行われています。 写真4 ストライキ中のベルサイユ宮殿 6.まとめ 終始英語で行われる学会への参加や、欧州の 文化に接するなど、非常に得るものが多い出張 でした。最初は言葉の壁が大きく感じますが、 写真3 その他にも地理的・文化的な面で日本とは違う ボックス塗り替えの告知 ため、国際交流の際は相手国を理解することが パリ市街では自動車の台数削減を目的として、 重要であると実感しました。 ヴェリブと呼ばれる貸し自転車が導入されてい 最後に、今回このような貴重な機会を頂けた ます。街中の至る所に無人のスタンドがあり、 ことを、JCAA 事務局ならびに関係各位に深く感 任意の場所で貸出および返却ができるシステム 謝申し上げます。 AEW 第 40 号 -26-
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