JCAA国際交流団に参加して Research-tour in Europe hosted by JCAA 丸山 政利(M.Maruyama) (技術グループ) 10 月 21 日から 28 日まで、JCAA((社)日本電力ケーブル接続技術協会)主催による欧州へ の国際交流団に参加致しました。参加者は私も入れて 15 名、旅行の概要と初めての欧州での異文 化に触れて感じたことを記します。 1.初めての欧州(フランス∼スイス∼スペイン) 朝 8 時に成田空港第二ビルへ到着、参加者が次々に集まってきた。添乗員さんから航空券を 受け取り、荷物検査、出国手続きをして出発した。12 時間のフライトは、エコノミークラスに 拘束されて殆ど動けないので、体調がおかしくなるのではないかと心配でしたが、長い長い昼 間のフライトの後、時差が7時間あるパリに到着(正直かなりきつかった・・・)した。 専用バスにてパリ市内に移動、日が落ちてきたパリ市内、ライトアップされたエッフェル塔 を遠くからではあったが実際に目の当たりにしたときは、 「本当にパリに来たんだ」という実感 が沸いてきた。昔ながらの歴史ある建物が建ち並ぶパリ市内は、美観を損ねるため架空線は一 切ない。配電線の地中化はかなり広範囲に徹底されているが、路上設置機器の少なさには驚い た。 モンマントルの丘、コンコルド広場、シャンゼリゼ通り、凱旋門、ルーブル美術館を見学し 欧州のキリスト教の影響を強く受けた文化に触れた。テレビ、写真等でしか見たことがないも のが目の前にあり、日本とは異なる感性、感覚及び芸術に感動した。 ルーブル美術館に到着したときは建物の迫力に圧倒され、入口のガラスのピラミッドに感動 した。入館時の持ち物のチェックはかなり厳しく特に飲み水、傘(とがったもの)はすぐに没 収されるのを体験した。まともに見学したら一週間でも見切れないほど大きく信じられない程 の規模であった。この美術館の特徴は彫刻と近代名画の数々であるが、驚いたのは世界遺産級 の展示品でも女性警備員はいるものの簡単なロープがあるだけで、触れられるほど間近で見る ことが出来ることであった。ミロのビーナス、特にモナリザを目の当たりにしたときには「こ れが本物のモナリザか」 、それもすぐ手の届きそうなところにある。感動してしばらく動けなか った。 一通りパリ市内の視察を終え、パリのリヨン駅から TGV(フランスの高速鉄道)に乗り約 1 時間半、ディジョンに移動した。駅には改札が無く直接 TGV に乗り込んだ。車掌が来て車内 で切符を確認した。10 分くらい走りパリ郊外に出るとすぐに畑になる。TGV の車窓からみて いるとミニ鉄塔があり配電線(恐らく 11kV∼15kV クラス)はガラス製の碍子に直接裸線を固 定しており、引留めは一切無く、中間は全て懸垂碍子にて固定されていた。鉄塔には高圧線し か張っていないため日本の電柱に比べるとシンプルである。所々、ポツン、ポツンと村らしき ものが見える。スーパーも無ければコンビニも無い。この辺に住んでいる人たちは、生活用品 の買い出しに車で1時間くらいかけていくのであろうか? 大変そうである。 次の目的地であるバーゼル(スイス)に専用バスにて向かう。田舎道を走っていると両側に はブドウ畑が見えてきた。さすがワインの名産弛である。国境を越えバーゼルに到着。スイス に滞在中、現地企業 2 社を訪問、途中ライン川のほとり(バーゼル港)にある三国国境標識に AEW 第 35 号 - 27 - 立ち寄った。欧州は英国を除けば陸続きなので、移動中に国境を越えることは珍しくないとの こと。今回訪問したバーゼルはスイス、ドイツおよびフランスの国境が接するところにあり、 これを示す地点に標識が立っている。 「ここがスイス、川の反対側がフランス、スイス側から見 て右側の川の向こうにドイツの税関があります。」確かに不思議な感覚である。 スイスより飛行機に乗りスペイン マドリッドのバラハス空港に移動した。現地通訳の人にバ スの中でスペインの事情を聞く。基本的にはスペインはあまり雨が降らないとのことだが、到 着日に 4 ヶ月ぶりに雨が降った。日本の 1 ヶ月の雨量がスペインでは年間雨量に相当する。今 年は更に雨が少なく、オリーブの収穫も心配されていたが恵みの雨となったとのことである。 また、スペインは地震がないため建物に日本のような耐震構造制約がない。そのためにスペ イン(欧州)の建築家は自分のイメージ通りの建物を建てられるとのこと(柱が無くても大丈 夫)。なるほどだから芸術的な欧州風建築物が建てられるし、「古都トレド」みたいな世界遺産 が後世まで残っているのだ。 マドリッドよりミラノ経由で JAL 機に搭乗、さようなら欧州(次に来るのはいつになるか)、 長いようで短かった 7 日間を思い出しながら、欧州を後にして日本に向け飛び立った。 成田空港に着陸、皆さんの顔を見ると疲れてはいるがほっとしているようであった。空港ロ ビーにて解散し家路に着いた。 2.全体を通しての感想 今回の訪問で欧州の豊かな感性と芸術性に触れ、改めて世界の広さを勉強させられた。また、 電力業界における接続技術はかなり思い切った変革の波が押し寄せてきており、これがそのま ま受入られるかは疑問があるが、日本もこのまま固定概念にとどまっていたら世界から取り残 されてしまう、世の中の波を勉強することの重要さ、変わることの重要さを改めて認識させら れた。 暗黙の了解というような風習はなく言葉で伝えたことが全て、書いてあることが全てでそれ 以上でも以下でもないといったはっきりとした社会で、だからこそ ISO9000 のような考え方 が生み出されたのでしょう。 失礼ではありますがあえて不満をいうと、スケジュールはかなり厳しかった。8 日間中の前 後 2 日 計 4 日は移動に取られ、実質中 4 日間での視察、交流であったため、午前中視察、午 後移動というパターンで、着いたと思ったらすぐ移動となりかなり大変でした。次回、欧州へ 行くことがあったら時間を掛けてじっくり見たいです。 貴重な体験をさせて頂いた長いようで短かった国際交流団の旅でした。 トラブルも殆どなく、全員が無事帰国出来たことは大変うれしく思います。この紙面をお借 りして関係者の方々に改めてお礼申し上げます。 写真1 「世界遺産古都トレド」 スペイン AEW 第 35 号 - 28 - マドリッド郊外
© Copyright 2024 Paperzz