9 DPS192iX による腸内細菌科細菌における β ラクタマーゼ産生菌の迅速検出に関する検討 ◎原 祐樹 1)、浅井 幸江 1)、山田 直輝 1)、井藤 聡美 1)、川島 誠 1)、伊藤 守 1) 名古屋第二赤十字病院 1) 背景 結果 薬剤感受性結果の迅速報告は、患者予後の改 培養開始 6 時間時点における ESBL 産生菌のス 善や抗菌薬の適正使用に貢献することが知ら クリーニング薬剤に対する耐性率は、セフポ れている。DPS192iX (栄研化学) は、新しく発 ドキシム 97.1%、セフトリアキソン 91.2%、 売された薬剤感受性分析装置である。1 時間ご セフタジジム 8.8%およびアズトレナム 32.4% とに菌の発育をモニタリングできる機能を搭 であった。一方、AmpC 産生菌はそれぞれ、 載しており、規定の培養時間経過前でも耐性 50.0%、60.0%、50.0%および 10.0%であった。 を示す薬剤を判定できることから、薬剤感受 陰性コントロールについては、これらのスク 性検査の迅速化に寄与する可能性が示唆され リーニング薬剤に対して耐性を示したものは ている。今回、我々は DPS192iX を用いて腸内 認められなかった。 細菌科細菌における β ラクタマーゼ産生菌の 迅速検出に関する検討を行ったので報告する。 考察 培養開始 6 時間の時点においてセフポドキシ ムあるいはセフトリアキソンに対する耐性を 対象および方法 確認することで、90%以上の ESBL 産生菌を検 2015 年 1 月から 2015 年 12 月までに当院微生 出することが可能であったが、AmpC 産生菌に 物検査室で各種検査材料から分離され、保存 ついては低い割合となった。AmpC 産生菌につ されていた菌株 257 株の中から無作為に抽出 いては、AmpC の産生量によりこれらの薬剤に した腸内細菌科細菌 55 株を対象とした。β ラ 対する感受性が変化しやすいことが理由とし クタマーゼ産生菌株の内訳は、extended て考えられた。この検討にはいくつかの課題 spectrum β lactamase (ESBL) 産生菌 35 株 がある。今回検討をおこなった株は、一部の (Escherichia coli 27 株、Klebsiella pneumoniae β ラクタマーゼ産生菌についてのみであり、 8 株)、AmpC 産生菌 10 株 他の β ラクタマーゼ産生菌についても検討を (Enterobacter aerogenes 7 株、Enterobacter cloacae 2 株、E. する必要がある。また、薬剤感受性の迅速判 coli 1 株) であった。培地を用いた表現型確認 定と最終判定に関する基礎的データが少ない 試験で ESBL、AmpC およびカルバペネマーゼ ことから、今後は基礎的データの蓄積と検証 産生が否定された臨床分離株 10 株 (E. coli 8 株、 が必要になると考えられた。 K. pneumoniae 2 株) を陰性コントロールとして 使用した。対象菌株の薬剤感受性試験は、 DPS192iX を用いて実施し、培養開始 6 時間後 における ESBL スクリーニング薬剤(セフポド キシム、セフタジジム、セフトリアキソン、 アズトレオナム)に対する耐性率を比較した。 連絡先 052-832-1121(内線 30815)
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