デルマ Vo.18 No.1.indd

監修:東京医科歯科大学名誉教授 西岡 清
■
最近の話題
■
実地診療マニュアル イラスト&ビジュアル 「表皮水疱症」
福島県立医科大学医学部皮膚科学講座教授 山本 俊幸
大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学寄附講座教授 玉井 克人
臨床所見による鑑別診断のポイント
「悪性腫瘍をどのように診るか ―ダーモスコピーによる鑑別―」
1
18
3
■
千葉大学大学院医学研究院皮膚科学助教 外川 八英
■
皮膚疾患患者・家族のためのより良いコミュニケーションのために 「表在性真菌症」
金沢医科大学皮膚科学講座助教 牛上 敢
7
9
2016.
1
春号
表紙の花:チューリップ
最
近
の
話
題
第 66 回
山本 俊幸 先生
福島県立医科大学医学部皮膚科学講座教授
Profile
やまもと としゆき
1988年東京医科歯科大学医学部卒業後,同大学皮膚科助手を
務め,’97年よりケルン大学医学部皮膚科に留学。帰国後,東
京医科歯科大学皮膚科講師,東京医科大学皮膚科助教授を経
て,’07年より現職。’14年より副医学部長も兼任。
専門は,乾癬,膠原病,線維性皮膚疾患,掌蹠膿疱症。
関節症性乾癬(PsA)は,乾癬患者に認められる関節破壊を伴う慢性炎症性関節症であり,不可逆的な関節
変形を生じることから発症早期の診断・治療が重要となる。治療においては,サイトカインをターゲットと
した生物学的製剤の登場が関節破壊の抑制に大きな進展をもたらした。一方,PsAの診断については,疾患
に対する関心の高まりを背景に皮膚科臨床で発見される頻度も徐々に高まりつつある。今回,日本乾癬学会
においてPsAの疫学調査を手がける福島県立医科大学医学部皮膚科学講座教授の山本俊幸先生に,PsAの最
新の話題についてお話いただいた。
PsAにおける皮膚科医の役割
Clinical Derma
/
1
乾癬には,主に関節炎,指炎,付着部炎,腱鞘
炎,脊椎炎などの関節症状を伴うものがあり,関
節症性乾癬(psoriatic arthritis;PsA)と呼んでい
ます1)。症状の特徴によって,手指の先端の関節
に症状が現れる
「DIP関節炎型」をはじめ,「ムチ
ランス型」,「対称性関節炎型」,「非対称性関節炎
型」
,
「強直性脊椎炎型」の₅つの病型が示されて
います
(Moll & Wrightの分類)。
PsAの頻度は報告によって異なりますが海外で
は乾癬患者の15%程度であり2),海外と比べてわ
が国の頻度は低いと考えられてきました。ところ
が最近になって,これまでの想定以上に患者数が
多く,乾癬の治療目的で皮膚科を受診しながら関
節症状が見過ごされている可能性のある患者の存
在が明らかとなりつつあります3)。
また近年,PsAは進行性であり,発症から₂年
以内に患者の半数前後で骨びらんや関節裂隙狭小
化の出現がみられることも指摘されています4)5)。
そ の た め,「window of opportunity(治 療 機 会 の
窓)
」
が開いているうちに,すなわち発症後なるべ
く早期に適正な診断と治療介入を行う必要があり
ますが,PsAの患者の₇割近くは皮膚症状が先行
している状況です。PsAの患者に機を逸さず治療
を導入するためにも,皮膚科医の果たす役割は大
きいといえるでしょう。
皮膚科におけるPsA診断のコツ
PsAの早期診断の手がかりとして,頭部や臀裂
部の病変,爪病変をPsA発症の予測因子とする考
えもありますが,頭部や機械的摩擦を受けやすい
臀裂部は,乾癬の好発部位でもあります。そのた
め,これらの臨床的特徴がすべての乾癬患者にお
いてPsAへの移行を予測するとは言い切れないで
しょう。また,乾癬患者のなかには,皮膚科の診
察場面において自ら関節症状を訴えることを躊躇
する方も多くいます。皮膚科を受診する乾癬患者
の関節症状を早期に診断するためには,われわれ
医師が常に関節症状の有無に注意を払い,問診時
に確認を行うことが重要となります(図1)。問診
の際,手足の末梢関節に腫脹や変形が出現してい
れば,視診による確認が容易です。さらに,採血
(CRP,RF),X線,骨シンチグラフィー,MRI
などの手順で検査を進めながら,中枢関節の罹患
についても確認を行っていきます。
PsAについてはCASPAR分類基準が作成され
ていますが,この基準では早期例や非典型例は除
外されやすいという問題があります。乾癬があり,
関節の腫脹や変形を認め,関節リウマチや変形性
関節症など他疾患が除外できれば,PsAの診断は
可能と考えます。
No.
66
患者さんに大きな福音をもたらし
ました。もう1つは間接的な影響
問診
で,PsAに対する関心を高め,潜
在的患者の早期診断,早期治療を
YES
YES
NO
徐々に実現しつつある点も挙げ
視診・触診
Q3
Q2
られるでしょう。それを裏付け
アキレス腱や足の裏は
どこが痛いですか?
痛くないですか?
るかのように,わが国における
中枢
末梢
PsAの頻度は年々高まっており,
首
手指
10%を超えるという日本乾癬学
手首
腰
付着部炎
足趾
会の報告や14%を超えるとする
指趾炎
足首
報告もあります7)。このように,
PsAに対する関心の高まりが新し
い知見を獲得するのみならず,発
症後早期の診断,治療介入を促す
大きな原動力となることを期待し
図₁.皮膚科診療におけるPsA早期診断のための問診のコツ
ます。実際,PsA発症から₂年以
(山本俊幸先生ご提供)
内の症例をearly PsAと捉えた場
合,late PsAの関節はよりダメー
ジを受けやすく,中枢関節に病変が及ぶ割合や関
進化するPsA治療
PsAの関節症状に対する薬物療法では,まずは
節裂隙狭小化スコアも高くなると報告されていま
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用し,次
す8)9)。逆に,early PsAでは寛解導入が可能な割
合が高いことも報告されています10)11)。
に疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs),そして
PsAを取り巻く状況は,大きく変化しつつありま
メトトレキサート(MTX),エトレチナート,シ
6)
す。関節破壊の進行抑制を可能とする新しい治療
クロスポリン,金製剤などを用います 。しかし
ながら,これらの使用によってもコントロールに
が登場した現在,皮膚科医は常に関節症状に注意
難渋するPsAのケースは少なくありません。
を払い,より一層,リウマチ科や整形外科との連
そのようななか,わが国においては2010年か
携強化に取り組む必要があると考えます。
らPsAに対し生物学的製剤が使用可能となりまし
た。日本皮膚科学会は,生物学的製剤の使用指針
文 献
のなかでPsAへの適応について,
「疼痛関節数,
₁) Yamamoto T:Eur J Dermatol 21:660-666,
腫脹関節数がいずれも₃ヵ所以上でCRP1.5mg/
2011
₂) Radtke MA, et al:J Eur Acad Dermatol
dL以上」を₁つの目安とし,それを満たさなくて
Venereol 23:683-691, 2009
もムチランス型,高度の関節破壊によりQOLが
₃)
Reich
K, et al:Br J Dermatol 160:1040-1047,
著しく低下している患者,体軸関節炎を有する患
2009
者でBASDAIスコア₄以上とする基準を示して
₄) Kane D, et al:Rheumatology(Oxford)42:14606)
います 。
1468, 2003
ただし,必ずしもこの指針に拘束される必要は
₅) Olivieri I, et al:J Rheumatol 35:3-5, 2008
なく,既存治療で十分な効果が得られない場合や
₆) Ohtsuki M, et al:J Dermatol 40:683-695, 2013
関節症状の疾患活動性の高い場合は,生物学的製
₇) Ohara Y, et al:J Rheumatol 42:1439-1442,
剤への移行を検討してよいと考えます。特に,₅
2015
₈) Chandran V, et al:Arthritis Rheum 57:1560つの病型のうち最重症のムチランス型は短期間で
1563, 2007
関節破壊が進むため,絶対適応として早期に治療
₉)
Gladman
DD, et al:Ann Rheum Dis 70:2152介入することが重要です。
Q1
関節が痛いですか?
私は,生物学的製剤導入が患者さんにもたらし
たメリットは,₂つあると考えています。直接的
な影響として,関節破壊の進行抑制において臨床
的寛解から構造的寛解,機能的寛解を可能とし,
Clinical Derma
PsAを見逃さないために
2154, 2011
10) Theander E, et al:Ann Rheum Dis 73:407-413,
2014
11) Scarpa R, et al:Clin Rheumatol 30:1063-1067,
2011
/
2
実地診療マニュアル
イラスト&ビジュアル
66
表皮水疱症
大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学寄附講座教授 玉井 克人
病態
表皮水疱症
(epidermolysis bullosa;EB)は,
日常生活で生じる軽度の外力で容易に皮膚に水
疱や潰瘍を形成する遺伝性水疱性皮膚疾患であ
る。表皮内水疱を形成する単純型
(EB simplex;
EBS)
,表皮・基底膜間に水疱を生じる接合部型
(junctional EB;JEB)
,基底膜・真皮間に水疱を
生じる栄養障害型
(dystrophic EB;DEB)
の三病型
1)
に大別される
(図₁) 。その他の病型として,キン
ドラー症候群
(Kindler syndrome)
がある2)。厚生省
稀少難治性皮膚疾患調査研究班の全国調査
(1994
ヘミデスモゾーム
ケラチン5/14
単純型
接合部型
栄養障害型
Ⅶ型コラーゲン
図₁.表皮水疱症の各病型と水疱形成部位
(McGrath博士原図)
皮膚基底膜領域の電顕像
表 皮
Clinical Derma
/
3
基底膜
年)によると,全国推定患者数は500〜640人,男
女ほぼ同数で,病型別では単純型32%,接合部型
7%,栄養障害型54%,その他7%である。
単純型は,表皮基底細胞骨格(ケラチン線維)
を構成するケラチン5(keratin 5)とケラチン14
(keratin 14)の遺伝子異常,およびケラチン線維
を基底細胞膜底面に結合するプレクチン(plectin)
およびBP230
(230kDa bullous pemphigoid antigen)
の遺伝子異常で発症する。接合部型は,プレク
チンやBP230と細胞内で結合しつつ,細胞膜を
貫通して基底膜と連結するα6β4インテグリン
(α6β4 integrin)およびⅩⅦ型コラーゲン(type
ⅩⅦ collagen,別名:180kDa bullous pemphigoid
antigen(BP180))の 遺 伝 子 異 常, お よ び こ れ ら
膜貫通蛋白と基底膜内で結合するラミニン332
(laminin332)の遺伝子異常により発症する。栄養
障害型は,基底膜内でラミニン332と結合しつつ
真皮内のⅠ型コラーゲンを縫うようにして基底
膜と真皮を連結しているⅦ型コラーゲン(type Ⅶ
1)
。
collagen)の遺伝子異常で発症する(図₂)
キンドラー症候群は,細胞内アクチン線維と
細胞外マトリックス蛋白とを接合する接着斑
の 構 成 蛋 白 で あ る キ ン ド リ ン 1(kindlin-1, 別
名:fermitin family homolog 1( FFH1))遺伝子
電顕的超微細構造とその構成分子
トノフィラメント
(TF)
ヘミデスモゾーム
(HD)
細胞膜
アンカリング
フィラメント
(Af)
基底板(LD)
真 皮
アンカリングフィブリル
(AF)
図₂.表皮水疱症の各病型とその原因遺伝子
AD:autosomal dominant
AR:autosomal recessive
ケラチン5/14 AD
プレクチン AR
BP230 AR
単純型
AD/AR
α6/β4インテグリン
接合部型
BP180(ⅩⅦ型コラーゲン)
AR
ラミニン 332
Ⅶ型コラーゲン
栄養障害型
AD/AR
(文献1)より引用・改変)
実地診療マニュアル
(FERMT1)変異により発症する。キンドラー症
候群は表皮内,接合部,真皮内のいずれにも裂隙
形成を生じうるため,水疱形成部位での病型分類
は困難である3)。
症状
いずれの病型も,生直後あるいは乳幼児期に皮
膚や口腔粘膜に容易に水疱・潰瘍を生じる。
単純型:ケラチン5/14遺伝子異常は優性遺伝
形式をとる。潰瘍治癒後に軽度の色素沈着を残す
が,萎縮,瘢痕は生じない(図₃)。軽症例は,限
局性で経過とともに軽快傾向を示す(限局型)。し
かし,重症例では全身の水疱形成が成人後も続
き,掌蹠の角化が著明で疼痛による歩行障害が生
じる場合もある(重症汎発型)。プレクチン遺伝子
異常,BP230遺伝子異常は劣性遺伝形式をとり,
前者では経過とともに筋ジストロフィー症状を合
併する
(筋ジストロフィー合併型)。
接合部型:いずれも劣性遺伝形式をとる。潰瘍
イラスト&ビジュアル
治癒後に表皮萎縮を生じる(図₄)。α6β4インテ
グリン遺伝子異常では幽門閉鎖を合併し,放置
すれば致死性である(幽門閉鎖合併型)。ⅩⅦ型コ
ラーゲン遺伝子異常では経過とともに頭頂部の脱
毛と歯のエナメル形成不全が著明となる(中等症
汎発型または限局型)。ラミニン332遺伝子異常
では生後半年以内に低栄養,敗血症で致死となる
ことがほとんどである(重症汎発型)。
栄養障害型:Ⅶ型コラーゲン遺伝子異常の栄養
障害型は爪甲の脱落・変形,稗粒腫,潰瘍治癒後
の瘢痕形成を特徴とする(図₅,₆)。遺伝子変異
の種類により優性遺伝形式(優性栄養障害型)と劣
性遺伝形式(劣性栄養障害型)を取りうる。優性型
は劣性型に比べて軽症で,指の癒着を生じること
はきわめて稀である。一方,劣性栄養障害型では
潰瘍面積が大きく,潰瘍治癒後に強い瘢痕を形成
することが特徴である。軽症例(中等症汎発型ま
たは限局型)は優性型との鑑別が困難な場合もあ
るが,重症例(重症汎発型)では手指の棍棒状癒
着,開口障害,食道狭窄,瘢痕癌(有棘細胞癌)を
図₃.優性単純型の臨床像
(弘前大学症例)
(弘前大学症例)
図₆.劣性栄養障害型(重症汎発
型)の臨床像 (山形大学症例)
Clinical Derma
図₅.優性栄養障害型の臨床像
図₄.接合部型
(中等症汎発型)
の
(大阪大学症例)
臨床像
66
/
4
高率に合併し,稀に心臓疾患(心肥大,肥大型心
筋症)
,腎疾患
(アミロイドーシス,糸球体腎炎)
を合併する。
キンドラー症候群:劣性遺伝形式をとる。皮膚
萎縮,手指の水かき様癒着,光線過敏の合併を特
徴とする。
皮内のいずれの部位にも水疱が生じる可能性があ
る。電子顕微鏡所見で基底板の重層化,免疫蛍光
染色によるキンドリン1の欠損が病型診断の根拠
となる。
₂.遺伝子診断
単純型:ケラチン5または14遺伝子の片方のア
リルに変異が同定されれば優性単純型,プレクチ
ン遺伝子の両アリルに変異が同定されれば筋ジス
トロフィー合併型である。きわめて稀に,ケラチ
ン14遺伝子やBP230遺伝子の両アリルに変異が
同定される劣性単純型があり,前者は重症で致死
性となることもある。
接合部型:ⅩⅦ型コラーゲン遺伝子の両アリル
に変異が同定されれば中等症汎発型または限局
型,ラミニンα3鎖,β3鎖,γ2鎖いずれかの遺
伝子で両アリルに変異が同定されれば重症汎発
型,α6またはβ4インテグリン遺伝子の両アリ
ルに変異が同定されれば幽門閉鎖合併型である。
栄養障害型:優性遺伝形式でⅦ型コラーゲン遺
伝子の片方のアリルにのみ変異(グリシン置換型
変異がほとんどである)が同定されれば優性栄養
診断の進め方
表皮水疱症であるか否かの診断は,新生児期に
水疱を形成するほかの皮膚疾患を鑑別することに
より比較的容易である。鑑別すべき疾患は,先天
性水疱性魚鱗癬様紅皮症,色素失調症,先天性ポ
ルフィリン症などの遺伝性疾患,亜鉛欠乏症(腸
性肢端皮膚炎)
,伝染性膿痂疹,自己免疫性水疱
症
(尋常性天疱瘡,水疱性類天疱瘡,疱疹状皮膚
炎など),薬疹(スティーブンス・ジョンソン症候
群/中毒性表皮壊死症)などである。
生命予後や遺伝的予後を判定するためには病型
診断が不可欠であるが,水疱や潰瘍以外の皮膚症
状や皮膚外症状が完成していない新生児や乳幼児
では,臨床症状のみでの病型診断は困難である。
その場合,病理組織学的診断により可能性のある
原因遺伝子を予想した後,臨床統計的に可能性の
高い順に遺伝子診断を実施して病的変異を同定す
ることにより確定診断する。
正常皮膚
劣性栄養障害型(重症汎発型)
₁.病理組織学的診断
光学顕微鏡所見で表皮・真皮間の水疱を確認
し,免疫蛍光染色で特定の基底膜分子の欠損が明
らかとなれば病型診断が可能である(図₇)。しか
し,アミノ酸置換型変異のように基底膜分子の欠
損ではなく機能異常による場合は免疫蛍光染色で
の病型診断は困難なことが多く,その場合は電子
顕微鏡所見で水疱形成部位を同定する(図₈)。た
だし,キンドラー症候群では表皮内,接合部,真
単純型(表皮内水疱)
図₇.免疫蛍光染色による病型診断の例
(Ⅶ型コラー
(McGrath博士原図)
ゲン染色)
接合部型(表皮・基底膜間水疱) 栄養障害型(真皮内水疱)
*水疱
*水疱
Clinical Derma
/
5
基底膜
*水疱
基底膜
基底膜
図₈.電子顕微鏡による病型診断
(筆者提供)
実地診療マニュアル
劣性型:両親はキャリアー 優性型:両親の生殖細胞突然変異
● Ⅶ型コラーゲン遺伝子変異
図₉.栄養障害型表皮水疱症家系内孤発例の遺伝形式
(筆者作成)
診断
障害型,劣性遺伝形式で両方のアリルに変異が同
定されれば劣性栄養障害型である。劣性栄養障害
型の場合,両アリルとも蛋白欠損型変異であれば
重症汎発型,それ以外の変異は中等症の汎発型で
ある。なお,家系内孤発例の場合は両親がキャリ
アーの劣性型か両親いずれかの生殖細胞突然変異
(性腺キメラ)による優性型の両方の可能性が考え
られるため,患者および両親のⅦ型コラーゲン遺
伝子診断を実施し,患者に同定されたⅦ型コラー
ゲン変異が両親の体細胞DNAに同定されれば劣
性型,同定されなければ生殖細胞突然変異による
優性型である(図₉)
。
治療法
表皮水疱症の治療は,水疱,潰瘍に対する治療
と皮膚外症状に対する治療に分けられ,皮膚外症
状は当該診療科との連携が不可欠である。
₁.皮膚症状の治療
₁)
水疱
なるべく水疱が小さいうちに消毒済みのハサミ
あるいは針を用いて水疱に孔をあけ,滅菌ガーゼ
などで丁寧に内容液を圧迫除去し,水疱拡大,潰
瘍形成を防ぐ。
₂)
潰瘍
創面の保護,湿潤環境の維持,感染対策が主体
である。創面の保護,湿潤環境の維持には創傷被
覆材を適切に選択する。慢性潰瘍には抗菌作用の
ある外用薬を併用し,それでもなお創面への感染
が疑われる場合には細菌培養により菌の同定と抗
菌薬に対する感受性試験を実施し,適切な抗生剤
を全身性に投与する。
経過中に皮膚外症状が生じた場合,当該診療科
と連携して治療を進める。
₁)
鉄欠乏性貧血
慢性炎症よる鉄の消費により鉄欠乏性貧血を合
併することがあり,鉄剤の経口投与で症状が改善
しない場合は鉄剤の静脈内投与が必要である。
₂)低栄養
潰瘍面からの浸出液漏出により低アルブミン血
症やセレン欠乏症を合併する。栄養状態は皮膚症
状のみならず生命予後にも影響を与えるため,小
児科や内科と連携して適切に管理することがきわ
めて重要である。
₃)敗血症
潰瘍面の感染から敗血症となることもあるた
め,高熱が持続する場合には敗血症を疑って血液
培養を実施し,小児科や内科と連携して適切な抗
生剤の全身投与が必要である。
₄)食道狭窄
劣性栄養障害型およびキンドラー症候群では食
道狭窄を合併する。急性炎症性浮腫による狭窄は
ステロイド投与で改善するが,慢性線維性瘢痕狭
窄の場合は小児外科,消化器内科,消化器外科と
連携し,バルーンカテーテルによる狭窄拡張術を
実施する。なお,重症劣性栄養障害型の診断が確
定した乳幼児の場合,離乳後は比較的やわらかい
食事を選択して食道瘢痕の進行を防ぐことが予後
の改善につながる。
₅)心肥大,拡張型心筋症
劣性栄養障害型では重度の貧血による頻脈が持
続し,心肥大を合併する場合がある。また,低栄
養に伴うセレン欠乏も心異常の誘因であり,とき
に拡張型心筋症を合併することがある。小児科,
循環器内科と連携して定期検査,治療を進める。
₆)糸球体腎炎,アミロイド腎症
劣性栄養障害型では血中免疫グロブリンやアミ
ロイドが高値となるため,糸球体への免疫グロブリ
ン沈着による糸球体腎炎やアミロイド腎症を合併す
ることがある。尿検査を定期的に実施し,尿潜血や
尿蛋白が陽性の場合は小児科,腎臓内科と連携して
早期に治療を開始し,重症化を防ぐ必要がある。
₇)筋ジストロフィー
プレクチン遺伝子異常による劣性単純型では筋
ジストロフィー症状を合併する。神経内科と連携
して治療を進める。
₈)幽門閉鎖
α6β4インテグリン遺伝子異常による幽門閉
鎖合併型では,小児外科と連携して治療する。
₉)歯のエナメル形成不全
中等症汎発型または限局型ではエナメル形成不
全を合併する。歯科と連携して治療を進める。
文 献
1)玉井克人:保健医療科 60:118-124,2011
2)Kindler T:Br J Dermatol 66:104-111,1954
3)Fine JD,et al:J Am Acad Dermatol 70:11031126,2014
66
Clinical Derma
₂.皮膚外症状の治療
イラスト&ビジュアル
/
6
臨 床 所 見 に よ る 鑑 別 診 断 の ポ イ ン ト ― 第
66 回
悪性腫瘍をどのように診るか―ダーモスコピーによる鑑別―
千葉大学大学院医学研究院皮膚科学助教 外川 八英
■悪性腫瘍をどのように診るか ―ダーモスコピーによる鑑別―
日常診療においてしばしば鑑別を要する腫瘍性病変は,色素性の良性疾患である色素性母斑や脂漏性角化症と悪性
腫瘍であるメラノーマ,基底細胞癌,ボーエン病(色素性表皮内癌)である。ダーモスコピーによる悪性腫瘍の鑑別法
は2段階診断法1)2)を中心にいくつか知られているが,Kittlerのパターン分析法3)の簡易版であるChaos & Clues
(図1)は,腫瘍性病変の良性・悪性についてメラノーマを中心に簡便にスクリーニングすることができるため有
法4)
用である。Chaos & Clues法では,Kittler法と同様にダーモスコピーで病変内に観察される構造所見を5つの基本
要素であるlines(線),pseudopods(偽足),circles(輪),clods(塊),dots(点)と構造のない部分(structureless)
の合計6つの所見で表現する(図2)。さらに,構造物や色調が非対称的なパターン“chaos”を示す場合,皮膚悪性
腫瘍の8つの手がかり(8 clues:表1)に該当するか否かを判断し,1つでも合致する場合には皮膚悪性腫瘍が疑わ
れる病変として生検を行う(図1)。これら8つの手がかりはKittler法においてメラノーマのcluesとして知られる
が,基底細胞癌やボーエン病(色素性表皮内癌)にも対応する。ここで,Chaos & Clues法を用いた具体例をいくつ
か挙げる(図3〜8)。なお,本法における皮膚悪性腫瘍の感度は90.6%,特異度は62.7%とされる5)。
以下の8 cluesのうち
1つ以上に該当する
1. Eccentric structureless area
2. Thick lines reticular or branched
3. Gray or blue structures
4. Black dots or clods, peripheral
5. Lines radial or pseudopods,
segmental
Clueあり
8. Lines parallel, ridges (acral) or
chaotic (nails)
Chaosあり
色素性
皮膚病変
6. White lines
7. chaotic
Polymorphous
vessels
(nails)
Clueなし
生検
(明らかな脂漏
性角化症の所
見を欠く場合)
A.
F.
B.
G.
C.
H.
D.
I.
E.
J.
生検不要*
Chaosなし
生検不要*
図₁. Chaos & Clues法の診断アルゴリズム
構造物や色調が非対称的なパターン“chaos”を示す場合,皮膚悪性腫瘍の8つの手がか
り
(8 clues)に照らし合わせ,1つでも合致する場合には生検を行う。
*:例外:成人の病変でフォロー中に所見の変化がある場合,頭頸部で灰色調を呈する病
変,色素性の結節病変,掌蹠の皮丘平行パターンは生検する。
(文献4)より引用・改変)
図₂. Kittler法およびChaos & Clues
法に共通する5つの構造所見
:lines(線),B:pseudopods(偽
A
足),C:circles(輪)
,D:clods
(塊)
,
E:dots(点)
F〜J:linesのパターン:F:reticular
(網状),G:branched(分枝状),H:
parallel(平行状),I:radial
(放射状)
,
J:curved(曲線状)
(文献4)
より引用)
表1.皮膚悪性腫瘍におけるchaosと8 clues
ダーモスコピー所見
Clinical Derma
/
7
意義
対応する悪性腫瘍
Chaos(無秩序)
定義は「構造と色調の非対称性」である。病変内の構造物の形自体
ではなく,パターンの無秩序さを表している。
メラノーマ,基底細胞癌,
色素性表皮内癌(ボーエン病)
Eccentric structureless area
(偏在性無構造領域)
一般に無構造領域は良性病変では病変中央に存在するが,悪性病
変では辺縁に存在する。
メラノーマ,基底細胞癌,
色素性表皮内癌(ボーエン病)
Thick lines reticular or branched
(太い網状線あるいは分枝状線)
表皮突起内のメラニンを含むメラノサイトの増殖を反映する。メ
ラノーマを疑う。
メラノーマ
Gray or blue structures
(灰色あるいは青色構造)
線状,円状,塊状,点状の灰色あるいは青色構造。真皮内のメラ
ニンを含む胞巣やメラノファージを反映。
メラノーマ,基底細胞癌,
色素性表皮内癌(ボーエン病)
Black dots or clods, peripheral
(辺縁の黒色小点,黒色塊)
表皮内の表層におけるメラニンの凝集。病変の辺縁に存在する場
合,メラノーマのPagetoid spreadを疑う。
メラノーマ
Lines radial or pseudopods, segmental 病変の辺縁に部分的にみられる放射状線。車軸状で病変内にも存
(部分的放射状線,偽足)
在すれば基底細胞癌,偽足であればメラノーマを疑う。
基底細胞癌,メラノーマ
White lines(白色線)
偏光型ダーモスコピーで観察される,主に線維化を反映した健常
部より白色を示す線条。交差しないが十字に配列する場合あり。
メラノーマ,基底細胞癌
Polymorphous vessels(多形血管)
₁種類以上の血管構造,点状血管を含む場合,メラノーマを疑う。 メラノーマ
Lines parallel, ridges(acral) or chaotic(nails) 掌蹠における皮丘に一致する平行な色素沈着,あるいは爪甲にみ
(皮丘平行線(掌蹠)あるいは無秩序平行線(爪甲)) られる無秩序な色素線条。
メラノーマ(掌蹠,爪部)
(筆者作成)
図₃.軀幹の表在拡大型メラノーマ
構 造 物 や 色 調 が 非 対 称 的 な パ タ ー ン, す な わ ちchaos
を示す。すなわち偏在性のeccentric structureless
area
(*)
, 中 心 部 に 境 界 不 明 瞭 に 存 在 す るgray or blue
structures(*),辺縁にはblack dots or clods,
p e r i p h e r a(
l ▲ ), l i n e s r a d i a l o r p s e u d o p o d s ,
segmental(▲)がみられ,メラノーマが強く疑われる。
図₄.趾背のSpitz/Reed母斑
Chaosは認めず構造物や色調に対称性があり,全周性に
lines radial or pseudopods(▲)が一様にみられる。この
場合良性と考えられるが,病変外周のいびつさは良性・悪性
の判定に関係しない。
図₅.顔面の悪性黒子型メラノーマ
図₆.下肢の脂漏性角化症
Chaosであり,自然消退に伴うgray or blue structures
(…内)がみられる。
Chaosを欠くものの,部分的にlines radial or pseudopods,segmental(▲)がみられる。しかし,内部に脂漏性
角 化 症 の 所 見 で あ る 過 角 化 を 伴 っ たexophytic papillary
structuresが認められ,clonal typeの脂漏性角化症が疑わ
れる。
図₇.軀 幹の腫瘤形成を伴う表在拡大型メ
ラノーマ
腫瘤部は一様なmilky red areasであるが,写真右側に濃淡
のある褐色部分がありchaosと考えられる。White lines
(▲)とpolymorphous vessels(…内)がみられ,メラノー
マを第一に疑う。
1)Argenziano G, et al:J Am Acad Dermatol 48:679-693, 2003
2)Marghoob AA, et al:Arch Dermatol 146:426-428, 2010
3)Kittler H, et al:Facultas. WUV-Universitätsverlag, Austria, 91-113, 2011
4)Rosendahl C, et al:Aust Fam Physician 41:482-487, 2012
5)Rosendahl C, et al:J Am Acad Dermatol 64:1068-1073, 2011
Clinical Derma
文 献
図₈.顔面の基底細胞癌
Chaosであり,lines radial or pseudopods,segmental
(▲),gray or blue structures(▲)の存在より悪性を疑
う。中央の潰瘍形成(ulceration)と細い樹枝状血管
(arbo*
rizing vessels)
を伴うため,基底細胞癌と考えられる。
*:Kittler法においては,蛇行状に分枝した血管
(serpentine branched vessels)と呼ばれる。
/
8
皮膚疾患患者・家族のためのより良い
コミュニケーションのために
第 66 回
表在性真菌症
金沢医科大学皮膚科学講座助教 牛上 敢
在性真菌症は,KOH直接鏡検法により真菌を証明す
はじめに
ることではじめて診断が確定されます。これを怠り,
表在性真菌症は,皮膚糸状菌症(白癬)のほか,表在
たとえば湿疹病変を白癬と誤診して抗真菌薬を処方す
性
(皮膚または粘膜)カンジダ症,皮膚マラセチア症な
ることは避けるべきですし,皮膚科医の面目を失うこ
どが含まれる大変commonな皮膚疾患です。これらの
とにもなりかねません。
疾患は皮膚科外来患者の9.7%を占め ,なかでも皮
表在性真菌症は皮膚の角層,爪,毛髪または皮膚に
膚糸状菌症の患者数は多く,わが国に2,500万人の足
隣接する粘膜に真菌の感染がとどまるものですので,
白癬患者がいると推計されています 。したがって,
鏡検に必要な検体は比較的容易に採取でき,その場で
表在性真菌症の診断・治療は皮膚科医の重要な責務の
確定診断ができるというメリットがあります。鏡検を
₁つです。
効率的に行うためには,検体は活きのよい菌要素が多
本稿では,表在性真菌症の診断・治療を円滑に行う
量に存在しそうな部位から採取します。病巣周辺部の
ためのポイントをいくつかご紹介したいと思います。
鱗屑,小水疱であれば水疱蓋,爪ではなるべく健常部
1)
2)
に近い病変部,毛は容易に抜去できたもの,あるいは
診断:直接鏡検の効率を上げるために
3)
毛包内から摘出した黒点を用います(表1)
。生毛部
白癬で,特に顔面や小児の場合,セロファンテープ
表在性真菌症の治療において患者との信頼関係を築
で鱗屑を採取してもよいです4)。鑷子を怖がる小児で
くには,何より適切な診断を行うことが重要です。表
も,安全に検体を採取できます。顕微鏡の所見をディ
スプレイに表示して,患者さんに菌要素をみせながら
表₁.検体採取のコツ
Clinical Derma
/
9
説明すると理解してもらいやすいと思います。
鱗屑 ・病巣から遊離したものより,病巣に付着する部分
を採取する
・趾間では浸軟した部分を避け,周囲の乾いた部位
に付着するもの
・小児,顔面,股部ではセロファンテープを粘着さ
せて採取した鱗屑
多忙な診療のなかで鏡検に十分時間をとれないとい
水疱,膿疱 ・小尖刀で削ぐように採取した上蓋
こともありますし,菌要素がみつからない場合は,そ
頭皮,毛髪 ・容易に抜去可能であった毛髪
・膿疱を貫通する毛髪
・毛包内の黒点
れを捜しながら鑑別診断や患者さんへの説明を考える
爪 ・メスで削ぐように採取した爪表面の白斑
・楔状の混濁部では,鋭匙またはドリルで開窓して
採取した爪実質
・切った爪は砕いて小片にする
・健常部と病変部の境界部(最深部)から採取する
(望月 隆,他:Med Mycol J 53:109-116,2012より一部改変)
う現実も確かですが,患者さんとの信頼関係を築く
ツールの₁つになると思っています。実際,患者さん
から「前の医者は皮膚をみただけで調べもせずに薬を
処方されたが,ちゃんと調べてくれた」と感謝される
時間に使ってみてはどうでしょうか。
治療:外用薬の効果的な使い方
日本皮膚科学会の
『皮膚真菌症診断・治療ガイドライ
5)
ン』
に疾患別治療法が記載されていますので,詳細は
省略します。ここでは,治療効果を高めるための外用
10
抗真菌薬についてのポイントを述べたいと思います。
外用薬は表在性真菌症のほとんどの疾患で適応にな
1
重要です。これは,真菌に対する最小発育阻止濃度
(minimum inhibitory concentration;MIC)で考えると
わかりやすいでしょう。図₁6)は,各種外用抗真菌薬
属(μg/mL)
りますが,真菌ごとに効果の高い薬を選択することが
MIC範囲
ビホナゾール
ミコナゾール
ケトコナゾール
アモロルフィン
0.1
ブテナフィン
について,縦軸に白癬菌,横軸にカンジダのMICの範
囲を示したものです。効能・効果が同じでも,薬剤
によってMICには差があります。白癬菌ではルリコナ
ゾール,ラノコナゾール,リラナフタート,テルビナ
フィン,ブテナフィンの効果が高い一方,カンジダで
はケトコナゾール,ルリコナゾール,ネチコナゾール
などが有効です。また,図にはありませんが,マラセ
0.01 クロトリマゾール
ネチコナゾール
0.001
立って原因菌種を想定し,各真菌に対して効力の高い
リラナフタート
ラノコナゾール
ルリコナゾール
0.0001
0.001
0.01
チアにはケトコナゾールやルリコナゾール,ラノコナ
ゾールの効果が高いと報告されています7)。処方に先
テルビナフィン
0.1
1
10
(μg/mL)
図₁. 各種外用抗真菌薬のin vitro抗真菌活性
(南條育子,他:日皮会誌 117:149-152,2007より一部改変.Ⓒ日本皮膚科学会)
ものを₂〜₃種類覚えておいて使用するのがよいと思
文 献
います。
1)清 佳浩:Med Mycol J 56:J129-J135, 2015
2)渡辺晋一,他:日皮会誌 111:2101-2112, 2001
3)望月 隆,他:Med Mycol J 53:109-116, 2012
4)藤広満智子:日医真菌会誌 48:132-136, 2007
5)渡辺晋一,他:日皮会誌 119:851-862, 2009
6)南條育子,他:日皮会誌 117:149-152,2007
7)常深祐一郎:医薬の門 51:199-204, 2011
また,処方する際には,外用薬による接触皮膚炎の
可能性をあらかじめ患者さんに説明します。患者さん
が,接触皮膚炎を「水虫が悪くなった」と勘違いしてさ
らに外用するのを防止することで,トラブルを回避で
きます。
100
患者さんからよく聞かれる Q&A
薬はいつまで塗ればよいですか? どのように塗ればよいですか?
A.
足白癬の場合,通常は₁ヵ月程度で治癒します(角化型を除く)。ただし,見た目が治っ
ても菌が残っている場合がありますので,症状が軽快した後も両足底に塗り残しなく,
₁〜₂ヵ月は塗りましょう。外用薬の使用量は,finger-tip unit(FTU)の概念で考えると,両
足を₁日₁回外用した場合,10gチューブであれば10日間で使い切るのが目安です7)。外用後,
靴下は使用してもよいです。
水虫はうつりますか?
A.
白癬を放置すると環境中に菌を散布し,他人にうつす可能性があります。しかし,外
用による治療を開始すれば菌は散布されなくなり,感染源となることはありません。
洗濯物,足拭きマット,サンダルの取扱いもよく質問されますが,通常の洗濯で白癬菌はほぼ
完全に除去できます。洗濯物や足拭きマットは「水虫だから」と分ける必要はありません。
A.
家族に白癬患者がいる場合,再感染の可能性がありますので,同時に治療しましょう。
床や畳は雑巾で拭いたり,掃除機を用いて毎日掃除をしましょう。足は,毎日石鹸を
用いてこすりすぎないようにやさしく洗い,清潔と乾燥を心がけましょう。履物は通気性のよ
いものを選び,毎日履き替えたほうがよいです。5本指靴下なども有用と考えられます。
Clinical Derma
水虫を予防するには?
/
10
トリイの 各種外用薬
鳥居薬品の外用薬についての情報は▶
http://www.torii.co.jp/hifu/
非ステロイド系消炎・鎮痛外用剤
外用副腎皮質ホルモン剤
日本薬局方 イブプロフェンピコノール軟膏/クリーム
劇薬
(一般名:ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)
(一般名:
(日局)イブプロフェンピコノール)
〈薬価基準収載〉
〈薬価基準収載〉
スクワラン含有(軟膏・クリーム基剤)
外用副腎皮質ホルモン剤
抗 真 菌 剤
(一般名:ネチコナゾール塩酸塩)
(一般名:デプロドンプロピオン酸エステル)
〈薬価基準収載〉
外用副腎皮質ホルモン剤
尋常性乾癬治療剤
〈薬価基準収載〉
抗 真 菌 薬
(一般名:ヒドロコルチゾン酪酸エステル)
(一般名:リラナフタート)
〈薬価基準収載〉
〈薬価基準収載〉
注)
劇薬、処方箋医薬品
● 効能又は効果、用法及び用量、禁忌を含む使用上の注意等
につきましては、製品添付文書をご参照ください。
(一般名:カルシポトリオール)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること
〈薬価基準収載〉
〒103-8439 東京都中央区日本橋本町3-4-1
資料請求先
鳥居薬品株式会社 お客様相談室
TEL 0120-316-834
FAX 0120-797-335
2015年11月作成
Vol. 18 No.1(通巻第66号)
2016年3月1日発行
発行/鳥居薬品株式会社
編集・制作/株式会社メディカルレビュー社
2016年 2月作成
MR9.8-1602P
ANT PF 053A