地域で育て、地域を育てるひとづくり

第3編
4
基本計画
章
地域で育て、地域を育てるひとづくり
1.子育て
●●●
現況と課題
●●●
平成 22 年4月1日現在の上松町の高齢化率は 36.3%となり、少子・高齢化の進行
は地域の活性化にとって大きな課題となっています。
地域に生まれた子どもたちを大切に育てるために家庭教育を支援し、子育てがしや
すい環境を整えるとともに定住する若者を増やすことで少子化に歯止めがかかるも
のと期待されます。
上松保育園は平成 19 年度に統合整備され、子どもの安全・安心に配慮したオール
電化の施設となりました。また、平成 20 年度に新たに「子育て支援センター」が併
設され、保育園入園前の子どもと保護者を対象に子育て支援を推進しています。子育
てに関する施策を集約化したことにより、地域で安心して子育てができる環境を整え
たことは町の活性化にもつながります。
共働き世帯、核家族の増加により、保育ニーズも多様化しています。未満児保育、
長時間保育、一時保育にも対応しています。
子育て支援サービスの状況(単位:人)
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
−
−
−
3,533
2,569
9,129
9,425
17,671
11,490
10,492
113
107
104
107
117
子育て支援センター利用者数
放課後子ども教室、学童クラブ利用者数
保育園園児数
●●●
具体的な施策
●●●
①子育て支援センターを中心に、子育て中の親の交流、子育てに関する相
談などの要望に応えていきます。
②地域で子育てを支援するため、高齢者と子ども、地域の大人と子どもの
交流を増やしていきます。
52
4章 地域で育て、地域を育てるひとづくり
2.学校教育
●●●
現況と課題
●●●
上松町の児童数は昭和 34 年の 1,324 人をピークに減少し続け、平成 22 年4月1
日現在では 214 人となっています。児童数の減少と校舎の老朽化により平成 16 年に
は上松小学校と荻原小学校を統合し、施設管理の合理化とソフト面の充実を目指して
きました。
中学校生徒数は昭和 37 年の 815 人をピークに以後減少し、平成 22 年4月には 160
人となっています。しかし、ここ数年生徒数の推移は横ばい傾向にあります。子ども
たちの健やかな成長をより良く促すため、家庭、学校など教育現場と教育行政、地域
社会が一体となった連携がより一層求められています。
現在、地域の住民による郷土伝統芸能の指導や、総合型スポーツクラブによる部活
動支援なども積極的に進められています。一方、運動施設やパソコン教室など施設の
一般開放事業も進めています。今後は、さらに地域住民との連携を強め、特色のある
教育を促進していく必要があります。
豊かな自然に恵まれた環境を活用し様々な自然体験を通じて個々の感性を育み、ふ
るさとの良さ、伝統に対する理解を深め、誇りを持ち、将来にわたって創造的で人間
性溢れる児童生徒に育成していくことが、学校並びに地域の大切な役割となります。
義務教育ではいわゆる「ゆとり教育」が学力低下を招いているという危惧から見直し
の声が高まり、実に 60 年ぶりに教育基本法が改正されました。平成 23 年度からは
小学校で、平成 24 年度からは中学校で新しい学習指導要領に基づく教育が行われよ
うとしています。大きな時代の流れの中にあり、教育を取り巻く環境も変化してきて
おります。一人ひとりの価値観が多様化する中、未来を担う役割を果たすことができ
る資質や能力が社会で求められます。人間の活動の源である学ぶ意欲やものごとを進
める気力につながる体力の向上、たくましく生きるために家庭と連携した食育の推進
を図り、健康づくりに努めていく必要があります。
学校週5日制により学校外で過ごす時間が長くなったことにより放課後の学童保
育の充実が求められています。放課後子ども教室「きっころ」、放課後学童クラブ「お
ひさまクラブ」を支援し、児童の居場所確保を行っています。
過疎に歯止めが掛からない状況で少子化、核家族化が進行し、高度情報化、地域内
での子どもの交流も難しくなっています。放課後の支援や家庭、学校、地域の教育機
関との連携で子どもを育てることが一層求められています。
53
第3編
基本計画
小学校児童総数、中学校生徒総数の推移(単位:人)
小学校学年別児童数の推移(単位:人)
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
1年生
47
31
44
27
31
2年生
42
46
35
42
29
3年生
38
44
47
32
43
4年生
64
37
46
47
33
5年生
60
63
40
46
46
6年生
39
59
64
41
48
計
290
280
276
235
230
中学校学年別生徒数の推移(単位:人)
平成 17 年度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
1年生
75
48
70
70
41
2年生
66
73
48
70
71
3年生
64
65
71
48
70
計
205
186
189
188
182
●●●
具体的な施策
●●●
①個人差や心身の障害の有無、基本的生活習慣で区別しない全人的に助け
合い認め合う教育環境、効果的な教育連携の充実を図ります。
②地産地消を推進し、地元の新鮮な食材を通じた食育を行います。
54
4章 地域で育て、地域を育てるひとづくり
③「地域に根ざした生きる力」を育むため、
「確かな学力」
「豊かな人間性」
「健康・体力向上」を目指し、地域の住民が参加する学校支援を推進す
るとともに、地域と一体となった学校づくりに努めます。
④放課後子ども教室「きっころ」、放課後学童クラブ「おひさまクラブ」
を支援し、児童の居場所確保を図ります。
⑤不登校児などを対象とした中間教室の運営支援を行い、多様な学習の場
を確保します。
3.生涯学習の推進
●●●
現況と課題
●●●
住民一人ひとりが生涯にわたって自主的・自発的に学習活動に取り組み、充実感に
あふれた生活を送ることができるよう、また学習の成果を人づくりや地域づくりに生
かすことができるよう、柔軟で活力のある生涯学習社会の実現が望まれています。
生涯学習の推進には公民館が大きな役割を担っています。上松町には集落単位に
29 の分館があり、それぞれ地域に根ざした独自の活動をしています。本館では、世
代を超えたさまざまな学習会や町民運動会などのイベントを実施しながら地域のリ
ーダーとして活躍する分館役員などの人材の育成に力を入れています。
文化的活動は公民館や文化サークル団体で、陶芸、絵画、木彫り、コーラスやハー
モニカなど 35 に及ぶ多様な講座・教室が開設され、総合文化展・芸能祭などの発表
会を開催しています。
また、スポーツ活動では「総合型地域スポーツクラブ」を中心に、すべての町民が
主体的にスポーツに親しめる環境づくりを目指しているほか、体育協会を中心に競技
スポーツの競技力向上にも取り組んでいます。特に、サッカークラブでは保育園から
小・中学校、社会人へとつながる一貫した育成が行われ生涯学習社会のモデルとなる
活動を続けています。しかし、少子・高齢化の影響で、教室やサークル加入者の固定
化や少数化が見られ、各団体の活動維持が難しくなる傾向にあります。また、形式化
として単調となる行事への人集めに悩む分館役員や、公民館や団体での活動を大きな
負担と感じている住民も少なくないようです。生涯学習社会へとつながる社会教育を
担う公民館活動では、人集めやさまざまな準備調整が「負担」ではなく「楽しみ」に
換えられる企画となるよう、工夫を重ねる必要があります。
55
第3編
基本計画
●●●
具体的な施策
●●●
①公民館を中心とした社会教育活動で、住民一人ひとりが、生涯にわたっ
て自主的・自発的に学習活動に取り組む生涯学習社会の充実を目指しま
す。
②参加者がより充実感を持てる講座・学級・研修を創出し、住民の学習意
欲の高揚を図ります。
③老朽化した施設を補修して多くの住民が集える公民館に改善します。ま
た、司書の常駐など、図書室の機能充実を図ります。
④町民が主体的にスポーツに楽しめる環境を維持・発展できるよう、「総
合型地域スポーツクラブ」の運営を支援します。
⑤青少年スポーツを支援し、スポーツコミュニケーションと青少年の健全
育成を図ります。
⑥健康増進、観光、環境など他のセクションと連携した学習活動で森林と
人間が共存する地域づくりを目指し、森林セラピーと総合的なスポーツ
の融合を図る研究を進めます。
4.文化遺産の伝承保護
●●●
現況と課題
●●●
上松町には、豊かな自然や歴史に育まれてきた伝統文化や文化財が数多く現存しま
す。しかし、地域社会の変化や住民生活の多様化により、その継承が困難となってい
るものもあります。
現在、町内には国2件、県3件、町有形 14 件、町記念物 11 件、町無形2件、町
史跡3件の文化財があります。今後は指定されている文化財の保存管理方針を明確に
するための保存管理計画を策定する必要があります。
また、近年の開発に伴う発掘調査により多くの埋蔵文化財も出土しました。今後は、
埋蔵文化財の保存・展示スペースも必要となります。
なお、町内には、近代化遺産となりうる近世の建造物が数多く点在しているため、
これらについて詳細な調査を進める必要があります。
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4章 地域で育て、地域を育てるひとづくり
●●●
具体的な施策
●●●
①地域に伝わる伝統芸能などの保存・伝承・掘り起こし活動を支援してい
きます。
②指定された文化財について、保存管理方針を定めた保存に取り組みま
す。
③後世に残すべき文化財や近代化遺産の調査及び保存を検討します。
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第3編
基本計画
上松町指定文化財一覧
名称
区分
内容
指定年月日
所在地
所有者
または所在地
その他説明
寝覚の床
国名勝
峡谷
大正 12 年 3 月 7 日
大字小川木曽川
木曽の桟跡
県史跡
近代交通遺跡
昭和 41 年 3 月 31 日
大字上松
国
慶安元年(1648)改修石垣
天神山木曽氏館跡
町史跡
城館跡
昭和 59 年 7 月 2 日
大字上松757-イ
玉林院
木曽氏館
木曽式伐木運材法小谷狩遺構
町史跡
遺構
平成元年 8 月 31 日
大字小川
国
赤沢渓谷
沓掛一里塚と馬頭観音
町史跡
石造物建造物
平成元年 8 月 31 日
大字上松
個人所有
木曽義仲伝承
鹿島神社棟礼
町有形文化財
書展籍古文書
昭和 58 年 5 月 2 日
大字荻原
鹿島神社氏子
文明元(1469)
永禄 3(1560)寛文 6(1666)
照谷山阿弥陀寺
町有形文化財
寺院建築
昭和 43 年 7 月 8 日
大字荻原1851 個人所有
親鸞の法孫覚如(1603)
臨川寺弁才天堂
町有形文化財
寺院建築
昭和 57 年 7 月 1 日
大字上松1704 臨川寺
棟礼正徳 2 年(1712)
八幡神社本殿
町有形文化財
神社
昭和 62 年 10 月 1 日
大字上松
八幡宮氏子
棟礼 正徳 4 年(1704)
玉林院山門・鐘桜
町有形文化財
寺院建築
昭和 59 年 7 月 2 日
大字上松756
玉林院
明和 3 年(1766)
野口近所稚蚕飼育所
町有形文化財
建造物
平成 4 年 11 月 20 日
大字小川近所
養蚕組合
大正時代建立
絹本著色聖徳太子和朝先徳連坐
県有形文化財
影像
掛軸
平成 18 年 4 月 20 日
大字小川1706 上松町教育委員会 鎌倉時代∼南北朝時代
絹本著色阿弥陀如来絵像
県有形文化財
掛軸
平成 18 年 4 月 20 日
大字小川1706 上松町教育委員会 鎌倉時代∼南北朝時代
双雀若松文鏡
町有形文化財
円鏡
平成 15 年 11 月 27 日
大字小川1706 上松町教育委員会 鎌倉時代
舟伏山観音
町有形文化財
仏像と胎内願文
平成 15 年 11 月 27 日
大字荻原小野
小野地区
願文は保安 3 年頃
リュウキュウツツジ
町天然記念物
植物
昭和 57 年 7 月 1 日
大字小川66
個人所有
樹高 2.5 メートル
黒松(玉林院4本)
町天然記念物
植物
昭和 59 年 7 月 2 日
大字上松756
玉林院
4 本、樹齢推定 270 年
しだれ桜(新田2本)
町天然記念物
植物
昭和 57 年 7 月 1 日
大字上松1003-1 玉林院
幹周り2.4 メートル
しだれ桜(金比羅様)
町天然記念物
植物
昭和 57 年 7 月 1 日
大字上松2063 個人所有
幹周り2.68 メートル
しだれ桜(天神様)
町天然記念物
植物
昭和 59 年 7 月 2 日
大字上松756
玉林院
1 本、幹周り2.97 メートル
桂の木(寝覚)
町天然記念物
植物
昭和 58 年 5 月 2 日
大字小川寝覚
臨川寺
幹周り4.01 メートル
カヤの木(大畑1)
町天然記念物
植物
昭和 58 年 5 月 2 日
大字小川大畑
個人所有
幹周り2.61 メートル
カヤの木(大畑2)
町天然記念物
植物
昭和 58 年 5 月 2 日
大字小川大畑
個人所有
幹周り2.85 メートル
カヤの木(大畑3)
町天然記念物
植物
昭和 58 年 5 月 2 日
大字小川大畑
個人所有
幹周り2.93 メートル
野口のカヤ
町天然記念物
植物
平成 5 年 10 月 1 日
大字小川野口
個人所有
幹周り2.97 メートル
栃の木
町天然記念物
植物
昭和 57 年 7 月 1 日
大字小川796
個人所有
幹周り8.7 メートル
新田 六地蔵尊
町有形文化財
石造文化財
昭和 58 年 5 月 2 日
大字上松1003-1 玉林院
延宝 6 年(1678)
地蔵尊
町有形文化財
石造文化財
昭和 58 年 5 月 2 日
大字上松高山
個人所有
双対造立
島 道祖神
町有形文化財
石造文化財
昭和 58 年 5 月 2 日
大字小川
島区
寛政 12 年(1800)
庚申塔(島)
町有形文化財
石造文化財
昭和 58 年 5 月 2 日
大字小川島
島区
地域信仰
庚申塔(倉本)
町有形文化財
石造文化財
昭和 58 年 5 月 2 日
大字荻原倉本
倉本区
地域信仰享保 12 年(1727)
御物石器
町有形文化財
石造文化財
昭和 58 年 5 月 2 日
大字荻原吉野
個人所有
神事石器 県埋文センター
駒ケ岳神社大々神楽
国選択無形
県無形
芸能
大々神楽連
県指定文化財調査7集
奉納獅子狂言
町無形文化財
芸能
昭和 62 年 10 月 1 日
大字上松
上若連中
奉納獅子狂言
獅子狂言葛の葉
町無形文化財
芸能
昭和 62 年 10 月 1 日
大字小川
小川里若連
葛の葉子別れの段
国 昭和 53 年 12 月 8 日
大字小川
県 昭和 44 年 7 月 3 日
※資料:文化財指定時の資料を基に作成(上松町教育委員会)
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花崗岩の方状節理