はじめに 英語教育センター長 安藤公仁 平素は樟蔭学園英語教育センターの諸活動にご支援ご協力を賜り,ありが とうございます。当センターは昨年9月に新築校舎「清志館」に移転しました。 学生・生徒が気楽に英会話やイベントを楽しめるスペース,English Café を 新設するとともに,学習スペースも拡張し,コンピュータなどの機器も充実 しました。現在は年間延べ 7,000 名を超える学生・生徒が利用していますが, さらに利用者を増やし,学習サポート施設としての役割を果たしていきたい と考えています。 さて,今年度の学園の英語教員研修は多読学習のオーソリティーである京 都産業大学英語学科 Thomas Robb 教授をお招きし,「多読学習の実施と効 果について」という演題で講演をしていただきました。本学園では高大一貫 英語教育の取り組みの一つとして多読学習を取り入れていますが,中高大の 先生方が同じテーマで意見交換をする意義深い研修会になりました。講演の 資料を巻末につけていますのでご参照ください。 また,英語教育センター主催ワークショップでは,小学校外国語活動の導 入に一貫して否定的な立場を取ってきた明海大学副学長,大津 由紀雄 氏 と文部科学省教科調査官として,導入に中心的な働きをしてきた本学の菅 正隆 氏をお迎えし,「小学校英語教育の功罪」と題し,講演と討論をして いただきました。英語教育関係者にとって,現在,特に関心のある問題であ り,会場からも多くの意見が出ました。 今後も,英語教育センターが学園の英語教育の一層の充実を図るとともに, 広く英語教育関係者のお役に立てるよう努力してまいります。 Shoin ELTC Forum No.4 目次 はじめに…………………………………………………………… 安 藤 公 仁 第1部(大学) 「かわいい」の意味と英訳……………………………………… 安 藤 公 仁 (p. 1) 多読を活用した聴き読み自主学習の検証…………………… 片 岡 晴 美 (p.14) If you had to choose only one grammar reference book for the rest of your teaching career, which book would you choose and why?…………… William Ives (p.21) 第2部(中学校・高等学校) 大学入試問題研究3~神戸大学~…………………………… 後 藤 紀 博 (p.27) グループ学習の実践報告……………………………………… 下井田 由美子 (p.31) 多読学習の現状………………………………………………… 八 木 岳 彦 (p.37) 第3部(英語教育センター) 英語教育センターの学習効果………………………………… 山 岡 賢 三 (p.41) Using Songs in Class – A case Study…………………………… Polona Fras 巻末資料 「多読学習の実施と効果について」……………………………Thomas Robb (p.55) 編集後記…………………………………………………………… 山 岡 賢 三 (p.47) 第1部 大 学 「かわいい」の意味と英訳 英語教育センター長・国際英語学科教授 安藤公仁 序 いつの時代にも中高年の慨嘆に必ず登場するのが「最近の若者は・・・」 であろう。1986 年,「新人類」という言葉が新語・流行語大賞に選ばれた。 それまでの日本人の常識では理解しがたい感性,価値観,言動を特徴とし, 当人にはその自覚がない。必ずしも否定的な意味でのみ使われたわけではな いが,想定外の,俄かには信じがたい事件・事故が起こった時などにもこの 表現が用いられることがあった。しかしながら,言うまでもなく,「新人類」 の出現は 1980 年代特有の現象ではない。30 年が経過しようとしている現在 でも,若者が「新人類」と呼ばれることはないが,その出現が途絶えること はない。どの時代の若者も「最近の若者は・・・」と規範意識の欠如や社会 性の不足,言葉の「乱れ」などを嘆かれたり,批判されたりするのである。 一世代二世代離れた若者の,これまでとは違う感覚や経験は,当然,彼ら の言語にも影響を与える。「チョベリグ」「チョベリバ」というような省略, 短縮,合成の所産である流行語が出現したのは 1990 年代後半のことで,当 時は耳を疑ったものである。また,最近では「やばい」という言葉が,「や ば」の形容詞化としての本来の意味“不都合である,危険である(「広辞苑 第六版」)”とはかなり違う意味で若者に使われている。「広辞苑第六版」 (2008 岩波書店)や「精選版日本国語大辞典」(2006 小学館)には採用されていな いが,「大辞林第三版」(2006 三省堂)には三番目の語義として以下のよう に記述されている。 ③若者言葉で,すごい。自身の心情が,ひどく揺さぶられている様子 についていう。「この曲,―・いよ」〔若者言葉では「格好良い」を 意味する肯定的な文脈から,「困った」を意味する否定的文脈まで, 広く感動詞的に用いられる。〕 このような新語・造語の作り手や語義変化の主要な担い手はいつも若者で ―1― ある。とりわけ,「チョベリグ」がそうであったように,女子高校生などの 若い女性の言語感覚が大きな影響力を持っているように思える。 近年,若年層の女子に頻繁に使われている語のひとつが「かわいい」である。 人や動物のみならず,さまざまな物や事に「かわいい!」が使われている。「か わいい」という語の適用範囲が広くなり,意味も多様になっている。例えば, 30 ~ 40 年前の教育現場で,学生・生徒が指導を受けている教員に対して「か わいい」という語を使うことは考えられなかったのではないだろうか。国語 辞典の語義記述にもこのあたりの事情が伺える。「三省堂 国語辞典 金田一京 助編」(1960 三省堂)では,「かわい・い」の語義は「好きで,自分のそば におきたい気持ちだ。かわゆい。(⇔にくい)」と記述されているのみである。 ほぼ 50 年後の「明鏡国語辞典」(2002-2008 大修館)では,4番目の語義と して『〔俗〕どことなく心をくすぐるところがあって好感が持てる。「先生っ てば,てれちゃって,―!」』と例文と共に記述されている。 「かわいい」は日々進化している。最近では,この表現は若年層女子の専 売特許ではなくなり,男子も,中高年の男子でさえ, 「かわいい」をよく使っ ているように思える。本稿では,「Ⅰ語義」で改めて「かわいい」という語 の意味を振り返り,「Ⅱ英訳」で「かわいい」を含む日本語表現を英訳する 際にどのようなことに注意するべきかを考えてみたい。更に, 『跋「KAWAII」 の登場』では,『二十一世紀に入って世界的にもっとも広がった日本語は, 間違いなく「カワイイ」だろう』(櫻井,2009,14)と言われている事情に 触れ,その英訳について考えてみたい。 Ⅰ 語義 そもそも「かわいい」とはどういう意味なのか。2001 年以降,ほぼ同時 期に刊行された下記の国語辞典4冊を用いて考察する。辞書名の後の【 】 内の表記は本稿での略称である。 ・広辞苑第六版(岩波書店 2008)【広辞苑】 ・精選版日本語大辞典(小学館 2006)【大辞典】 ・明鏡国語辞典(大修館 2002-2008)【明鏡】 ―2― ・現代新国語辞典第二版(三省堂 2004)【現代】 「広辞苑」では「かわい・い」の語義として,①から③まで以下のように 記述されている。 ① いたわしい。ふびんだ。かわいそうだ。 ② 愛すべきである。深い愛情を感じる。 ③ 小さくて美しい。 語義①は「大辞典」にも記述されているが,「明鏡」「現代」の両辞典には収 録されていない。「広辞苑」「大辞典」の例文も鎌倉,室町,江戸期の作品か らの引用であり,現代語では「かわいい」が語義①で用いられることはない と考えられる。したがって,本稿では語義②と語義③のみを考察の対象とし たい。 語義②の「愛すべきである。深い愛情を感じる。」は,厳密に言えば,ふ たつの意味をひとつの項目に整理している。すなわち,客観的な様子をあら わす「愛すべきである」と主観的な感情をあらわす「深い愛情を感じる」の ふたつの意味である。「大辞典」「明鏡」「現代」では,「広辞苑」の語義②を ふたつの項目に分けて両者の意味を区別している。 ○「大辞典」 ②心がひかれて,放っておけない,大切にしたいという気持である。 深く愛し,大事にしたいさまである。いとしい。 ③愛すべきさまである。かわいらしい。かわゆい。 ㋑(若い女性や子どもの,顔や姿が)愛らしく,魅力がある。 ㋺(子どものように)邪心がなく,殊勝なさまである。いじらしい。 ○「明鏡」 ①幼さやか弱さを感じ取り,まもり慈しみたいと思うさま。また, そのように思わせるさま。 ②外見・しぐさ・性格・行動様式などがほほえましく,愛情を感じ させるさま。愛らしい。愛くるしい。可憐(かれん)だ。 ―3― ○「現代」 ①深く愛し,たいせつに思う気持ちを起こさせるようす。 ②愛らしい。 「かわいい」を含む日本語表現を英訳する場合,「主観的な感情」と「客観 的な様子」の区別は重要なポイントになる。その点については,「Ⅱ英訳」 で考察することとし,ここではもうひとつ重要な点に着目したい。それは「大 辞典」の③-㋺の語義に別項目が与えられていることと,「明鏡」の語義② に「外見」に加えて「しぐさ・性格・行動様式」が「愛情を感じさせる」対 象に含まれていることである。つまり,「かわいい」と感じる事象の範囲を 単に外見だけではなく,対象の内面性やそれを感じさせる様子・イメージに まで広げていることである。「明鏡」の例文「妙に落ち着き払って―・くな いやつだ」は現在使われている表現だが, 「大辞典」で引用されている例文「妻 が良人に見せんが為めに飾る可愛い心や」が 100 年以上前の 1908 年の作品 から採られていることから考えても,決して最近の意味の変化ではないこと がわかる。「大辞典」③-㋺の意味があるからこそ「かわいい」という語が 現在の意味の多様性と広い対象範囲を獲得してきたと言えるのではないか。 序で紹介した「明鏡」の語義④の意味と例文『〔俗〕どことなく心をくす ぐるところがあって好感が持てる。「先生ってば,てれちゃって,―!」』は 俗語とされているが,明らかに「大辞典」の正用法としての③-㋺から発展 した用例である。 「現代」にも,例文はないが,③ [ 俗語 ] として,「にあっ てる,気に入った,などの気持ちを起こさせるようす。[ 若い女性などの使 うことば ]」という記述がある。これも「大辞典」の③-㋺の語義から発展 したものである。 「広辞苑」の③「小さくて美しい」という語義は,「現代」には収録されて いないが,「大辞典」「明鏡」の両辞典には採用されている。「大辞典」では 川端康成の『雪国』(1935-47)から「軒端の可愛い氷柱」という表現が引用 されているが,この用例は「この携帯ストラップかわいい!」などと,現代 の女性がよく使う「かわいい」とほぼ同義である。また,「明鏡」にも語義 ③に「日用品などが小さくて愛らしい」とあり,「―デジタルカメラ」とい う現代的な用例が採用されている。 「かわいい」の語義「小さくて美しい」から「小さい」というイメージの ―4― みを抽出して派生した語義として, 「大辞典」のみ,語義⑤「取るに足りない。 あわれむべきさまである。やや侮蔑を含んでいう。」を記述している。この 語義の「かわいい」が現代語で使われることはないと考えられるが,「こん な問題はかわいいものです。」などの表現で「たやすい」いう意味に変容し て現在も日常的に使われている。 これまでの考察で「かわいい」の語義はほぼ網羅されているのではないか。 要約すれば,「かわいい」という語は『顔や姿が小さくて,愛らしく,魅力 があり,時に愛情や愛着を抱かざるを得ないような対象に投げかけたり,そ の対象を描写する言葉であり,さらに姿・かたちにとどまらず,愛すべきと 感じる対象範囲を好ましい性格やそれを感じさせる言動,さらに「照れる様 子」「困った様子」など,イメージにまで拡げて用いることができる便利な 言葉』ということになろうか。 Ⅱ 英訳 「かわいい」を英訳する場合は,言うまでもなく,その語が文脈の中で「I 語義」で考察したどの意味で使われているのかを考える必要がある。ここで は,最も詳しく語義の分類をしている「大辞典」の記述に従って考察してみ たい。 「顔や姿などの外見」について,客観的に「大辞典」③‐㋑の「(若い女性 や子どもの,顔や姿が)愛らしく,魅力がある」という意味で用いられてい る表現であれば, “cute”“pretty”“sweet”“lovely”等の形容詞で対応できる。 ・「かわいい声で」⇒ in a sweet voice ・ 「かわいい顔をしている」⇒ have a cute face ・ 「彼女は笑顔がかわいい」 ⇒ She is pretty[cute] when she smiles. ・ 「なんてかわいい犬でしょう」 ⇒ What a lovely dog! (「新和英大辞典 第五版」研究社 2003.2008.以下,「和英大辞典」 という。) ―5― 「大辞典」④の「(物や形が)好ましく小さい。また,小さくて美しい。か わゆい。」という意味で使われている「かわいい」も特に問題なく“little” “tiny” 等の形容詞で英訳できるのではないか。 ・「山奥のかわいい駅」 ⇒ a little station deep in the mountains ・「このケーキはずいぶんかわいいね。」 ⇒ What tiny little cakes! (「和英大辞典」」) これらの用例の場合は「小さい」ということに意味の重点があるので, 「愛 らしく,魅力がある」の“cute” “pretty” “sweet”を使うのは不適切であろう。“a cute station”??? という反応が返ってくるのではないかと思う。小さい駅に 「美しい」という意味合いを持たせたいのなら“lovely”も可能だが,必ずし も「小さい」という意味合いは出せないのではないか。 「和英大辞典」の「かわいい」から用例を引用しているが,「1〔愛情の 対象として〕」の用例に, 「スズランがかわいい花をつけた」の英訳として “There were some pretty flowers on the lily of the valley”が採用されている。し かし,スズランは「5月から7月にかけて,葉より短く長さ 20cm ほどの花 茎を出し芳香のある白色の小花を総状につける」 (ブリタニカ国際大百科事 典 , 2008, Britanica Japan Co.,Ltd.)植物なので,ここでは「愛らしさ」に重点 がある“pretty”ではなく,「小さい」に重点がある“tiny”か“cute”の方 が適切ではないかと考えられる。 「大辞典」の⑤の「とるに足りない。あわれむべきさまである。やや侮蔑 を含んでいう」の意味で使われている「かわいい」は,①の「かわいそうだ」 同様,現代語では用いられることがないのではないか。ここでは,この⑤の 語義から派生した「たやすい」という意味の「かわいい」について, 「Ⅰ語義」 で挙げた例文「こんな問題はかわいいものです」の英訳について考えてみた い。この例文では,「かわいい」は明らかに「たやすい」という意味なので, “This problem is cute/pretty/sweet.”などという英訳はもちろん受け入れられ ない。“easy to deal with”など,意味を踏まえた英訳が必要である。“a piece of cake”というフレイズで英訳することも可能である。 ―6― 次に「大辞典」の語義②の「かわいい」を用いた用例について考えてみよう。 語義②の記述は「心がひかれて,放っておけない,大切にしたいという気持 である。深く愛し,大事にしたいさまである。いとしい。」となっている。「Ⅰ 語義」で指摘したように,この意味の「かわいい」はある対象に対する愛情 や愛着など, 「主観的な感情」を表明しているので,英訳を考えるときは「誰 が」その感情の主なのか,主語を強く意識しなければならない。また,一般 論として,容姿などを描写する「静的」な形容詞ではなく,「心の動き」を 表現する動詞を使う方がこの場合の「かわいい」の意味を正確に翻訳するこ とができるだろう。 具体例で考えてみたい。日本語文「この子がかわいくてしかたがない。」 の英訳として, “My son is so sweet[cute].”はどうだろうか。この英文は, “my son”が客観的にとても「かわいい」という意味合いに重点があり,この日 本語文を発した人の主観的な「愛情」「愛着」が十分伝わってこない。誰が この子を「かわいい」と思っているのか,その心の動きを示す動詞と共に主 語を英訳の中に含める必要があるだろう。「和英大辞典」の英訳は“He's so sweet I just love him.”となっており,ポイントの「主語」と「動詞」が備わっ ている。日本語は主語が曖昧だとよく言われるが,日本人学習者は,英語を「話 し・書く」時,この点を常に意識する方がいいだろう。余談になるが,アメ リカの映画やテレビドラマで,父親が自分の娘に“I love you, darling.” と言ったとしたら,その娘はまず間違いなく主語と動詞を明示して,“I love you, too.”と返している。“Me, too.”という返答はあまり聞かないのではな いか。「和英大辞典」の別の用例,「彼女はかわいいかわいいと子供を抱き しめた。」“She hugged her child, saying‘I love you! I love you! ’”においても, 主語の明示と動詞の使用というポイントが押さえられている。 「かわいい子には旅をさせよ。」という諺の場合はどうだろうか。この「か わいい子」は「自分が愛している子供」である。旅の苦難を経験させること は,その後の人生のためになるという意味合いであるから,“Let a cute child travel[make a journey].”という英訳は受け入れられない,「和英大辞典」では “The child you love should be made to experience traveling.”となっており,誰 が「かわいい」と思っているのか,その子が嫌がっても旅を経験させよとい う意味がよく出ている。 次に,「かわいい」という語が多様な意味と適用範囲を獲得してきた理由 ―7― となる,「大辞典」の語義③-㋺「(子どものように)邪心がなく,殊勝なさ まである。いじらしい。」と「明鏡」の語義②「外見・しぐさ・性格・行動 様式などがほほえましく,愛情を感じさせるさま。愛らしい。愛くるしい。 可憐(かれん)だ。」から「外見」を除く部分について考えてみたい。 結論から言うと,この意味の「かわいい」は漠然とした「内面性・様子・ イメージ」の叙述であるから,英訳の場合も意味が曖昧な“nice”が便利で あり,“cute”“pretty”“sweet”“lovely”はしっくり行かない。この点は「和 英大辞典」の次の用例を見ても理解できる。 「あの子は口答えばかりしてかわいくない」 ⇒“The way she always talks back isn't nice.” 「もう少しかわいくできないものかね。」 ⇒“Can't you be a bit nicer?” 最後に,「明鏡」の語義④「〔俗〕どことなく心をくすぐるところがあって 好感が持てる」の用例,「先生ってば,てれちゃって,―!」の英訳を考え てみたい。そもそも「かわいい」という語は,小さいもの,愛らしいものの 描写か,それらへの愛情や愛着を表現するものであるから,「序」でも述べ たように,社会的地位の高い人や指導的立場にある人,高齢者や年長者に用 いられることはなかった。しか現代の若者にはそのような障壁はなくなり, この例のような言語使用も珍しくなくなっている。これは, 「かわいい」に「大 辞典」の③-㋺の語義「(子どものように)邪心がなく,殊勝なさまである」 や「明鏡」の②の語義「しぐさ・性格・行動様式などがほほえましく,愛情 を感じさせるさま」があるからであり,そのような連想を抱かせる対象は年 齢や立場に関係なく「かわいい」のである。「かわいいおばあちゃん」とい う表現も必然的に使われるようになるのである。(小原,2006,154-191) 「かわいい」の使用が適切か不適切かの問題は残るが,英訳自体は難しく ないだろう。“Oh, you're blushing, Mr. Ando. How cute!”とでも言えばいいの だろうか。 もともと“pluripotent”な語である「かわいい」は進化し続け,その語が 用いられる対象や意味の多様性はこれからも拡大していくだろう。したがっ て,「かわいい」を英訳する場合は,特に英作文の学習者は,一対一の形容 ―8― 詞で対応しようとせず,日本語文の意味をよく考える必要がある。言うまで もなく,「かわいい」は人間の心の動きを表現する言葉である。繰り返しに なるが,誰の心の動きなのかを明示する主語の設定や心の動き・状態を正確 に表す動詞の選定が「かわいい」の英訳では大切になることを忘れてはなら ない。 跋 「KAWAII」の登場 本稿の「序」で『二十一世紀に入って世界的にもっとも広がった日本語 は,間違いなく「カワイイ」だろう』という櫻井氏の見解に触れたが(櫻井, 2009,14) ,その背景にあるのは,言うまでもなく,ヨーロッパや東南アジ ア諸国の若者に浸透している日本のアニメ・マンガの人気である。アニメや マンガの登場人物が身に着けている服装が下敷きとなって,東京・原宿から 発信される,いわゆる「ロリータ・ファッション」や「制服ファッション」 が「かわいい」と世界中で若年層女子を中心に受け入れられているのである。 国際交流基金と在外大使館が主催する文化交流事業には外務省が委嘱する 「カワイイ大使」が派遣され,ファッション・ショーやトーク・ショーを開催, そこで「カワイイ大使」が発信する,原宿ファッションを中心とする「かわ いい文化」が現地の女性から絶大な支持を得ているのである。服装だけでは なく,手と指でハートマークを作る「かわいい」「しぐさ」も広がっている という。このような場面に登場するのが「KAWAII」という世界的な「新語」 である。 櫻井氏によると,「KAWAII」という価値判断には,「日本的なもの,東京 的なものというニュアンス」(櫻井,2009,166)が入っていなければならな い。したがって,世界中で人気のある,日本発のハローキティには「かわい い」も「KAWAII」も使えるが,コアラは「かわいい」とは言えても「KAWAII」 とは言えないことになる。本稿での英訳に使用した“cute”“pretty”“lovely” “nice”もアニメ・マンガにルーツを持つ「カワイイ」文化の訳語にはなれ ないようであるが, 『「KAWAII」の意味と英訳』は別の機会の考察としたい。 【引用・参考文献一覧】 ―9― 小原一馬(2006)「かわいいおばあちゃん」稲垣恭子編『子ども・学校・社会』 世界思想社 154-191 櫻井孝昌(2009)『世界カワイイ革命』PHP 新書 【参考辞典一覧】 『三省堂国語辞典金田一京助編』(三省堂 1960) 『精選版日本語大辞典』(小学館 2006) 『現代新国語辞典第二版』(三省堂 2004) 『広辞苑第六版』(岩波書店 2008) 『大辞林第三版』(三省堂 2006) 『ブリタニカ国際大百科事典』(Britanica Japan Co.,Ltd. 2008) 『明鏡国語辞典』(大修館 2002-2008) 【資料:「かわい・い」の語義一覧】 ○「広辞苑第六版」(岩波 2008) かわい・い カハイイ 〔形〕 (カワユイの転。「可愛い」は当て字) ①いたわしい。ふびんだ。かわいそうだ。三体詩抄「万民の枯骨となりたる はかわい・い事ではをりないか」 ②愛すべきである。深い愛情を感じる。「かわい・い我が子」「かわい・い声 で歌う」 ③小さくて美しい。「かわい・いスズランの花」 ⇒かわいい子には旅をさせよ ○「精選版日本語大辞典」(小学館 2006) かわい・い かはいい【可愛】 〔形口〕 (「かわゆい」の変化した語) ①あわれで,人の同情をさそうようなさまである。かわいそうだ。ふびんだ。 いたわしい。 *史記抄(1477)八「罪もない父母や妻子や同産の兄弟まてつみせらるる ― 10 ― はかはいい事ぞ」 *浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707 頃)中「あすの日中にきらるげな, かはいひ事をしまする」 ②心がひかれて,放っておけない,大切にしたいという気持である。深く愛 し,大事にしたいさまである。いとしい。 *虎明本狂言・盗人の子(室町末-近世初)「おやのみになっては,むさ い子をもってさへかはいひに」 *滑稽本・浮世風呂(1809-13)前「にくい母(おっかあ)めだの。うな うなをしてやらう。可愛(カワイイ)坊に灸(あっつ)ウすえて」 ③愛すべきさまである。かわいらしい。かわゆい。 ㋑(若い女性や子どもの,顔や姿が)愛らしく,魅力がある。 *人情本・春告鳥(1836-37)三「手めへに似たらさぞかはいひのが出来 るだろう」 ㋺(子どものように)邪心がなく,殊勝なさまである。いじらしい。 *都会(1908)〈生田葵山〉不安「妻が良人に見せんが為めに飾る可愛い 心や」 ④(物や形が)好ましく小さい。また,小さくて美しい。かわゆい。 *雑俳・柳多留-九八(1828)「かはいい虫が来てはさす𦜝の下」 *雪国(1935-47)〈川端康成〉「軒端の可愛い氷柱」 ⑤とるに足りない。あわれむべきさまである。やや侮蔑を含んでいう。 *史記抄(1477)五「言は,秦に諸矦を比すれば天子の下で郡県の主君ほ どの事ぞ。かわいいものぞ」 ○「明鏡国語辞典」(大修館 2002-2008) かわい・い【可愛い】カハイイ 〔形〕 ①幼さやか弱さを感じ取り,まもり慈しみたいと思うさま。また,そのよう に思わせるさま。 「娘が―・くてしかたがない」「君は何よりも自分が―んだ」「親にとって 子は―ものだ」 ②外見・しぐさ・性格・行動様式などがほほえましく,愛情を感じさせるさ ま。愛らしい。愛くるしい。可憐(かれん)だ。 ― 11 ― 「あの子は笑顔が―」「パンダも―けどコアラも―」「―服」「妙に落ち着 き払って―・くないやつだ」 ③日用品などが小さくて愛らしい。 「―デジタルカメラ」 ④〔俗〕どことなく心をくすぐるところがあって好感が持てる。 「先生ってば,てれちゃって,―!」 ♦「カホ(顔)ハユ(映)シ」から転じた。 標記「可愛」は当て字。 表現 ②③は「かわいらしい」で置き換えることができるが,「かわいい」 のほうが主観的な言い方で,話者の心理が前面に押し出される傾向が強い。 派生 -げ/-さ「-余って憎さ百倍」/-が・る ○「現代新国語辞典第二版」(三省堂 2004) かわい・い【かわいい】(:可愛い ) 〈形〉 ①深く愛し,たいせつに思う気持ちを起こさせるようす。 「―わが子」対 にくい ②愛らしい。 「―顔」 ③ [ 俗語 ] にあってる,気に入った,などの気持ちを起こさせるようす。 [ 若い女性などの使うことば ] ▽かわゆい 比較 [ かわいい① ] 主観的な感情をあらわすことがある。「私はこの子が―」 [ かわいらしい ][ 愛らしい ] 客観的なようすをあらわす。「―子ども」 ―子には旅をさせよ わが子をほんとうにかわいいと思うなら,手もとにお いて甘やかすより,他人の中に出して苦労させたほうがよい。 ○「三省堂国語辞典金田一京助編」(三省堂 1960) かわい・い [:可愛い ] カハイイ (形) 好きで,自分のそばにおきたい気持ちだ。かわゆい。(⇔にくい) 派生 ―が・る(他五) ―げ(形動ダ) ―さ(名)。 かわいらし・い [:可愛らしい ] かはい―(形)いかにもかわいい。(⇔ ― 12 ― にくらしい) 派生 ―げ(形動ダ) ―さ(名)。 ― 13 ― 多読を活用した聴き読み自主学習の検証 大阪樟蔭女子大学非常勤講師 片岡晴美 1. はじめに 英語音声 CD を聞きながら多読本を読んでいく「聴き読み」形式を併用し た多読(古川・伊藤 , 2005; 国際多読教育学会 , 2011; 高瀬 , 2010)は , 学習 者が物語の内容や英語自体をより深く理解できるので学習効果が高いと報 告されている(宮本 , 2013; 岡山 , 2014; 黛 , 2013)。しかしこれらの先行研究 は,授業中に CALL 教室等を使用してパソコンで音声を再生して聞く方法で, また多読にかける時間も 50 分~ 90 分である。本学では大学の学習規定に従 い,90 分間の授業内での多読時間は 10 分間(片岡 , 2014)と定められてい るので,授業中に先行研究と同様の形式での多読の聴き読みを実施するのは 困難である。 以前より,日本人英語学習者が英語を理解するには,(1) 英語の文字情報 と (2) 音声情報の 2 つを理解することが重要である(門田 , 1998; 河野 , 1984; 羽鳥 , 1977; Palmer, 1921)と指摘されているため,音声を併用した多読学習 活動は実施する意義があると考えた。また「大学設置基準」第 21 条には, 「1 単位の授業科目を 45 時間の学修を必要とする内容をもつて構成することを 標準とし」と規定されている(文部省 , 1956)。現状の 1 単位当たりの実際 の授業時間を考慮すると,授業時間外に学生が自主学習する機会を設けるこ とが望ましいと考えられる。 そこで 2014 年度の春学期に,授業時間外の英語学習活動として,各学生 が図書館で英語音声 CD 付きの多読本を 1 冊借りて,自宅又は大学内の施設 (PC ルームなど)で英語の音声 CD を聴きながら多読本を読み,簡単なコメ ントシートを記入して提出するという「聴き読み自主学習」を課題設定して 実施した。 その結果,「英単語の読み方が分かるので良い」「音声があるので,物語の 状況が分かりやすい」「自宅で,一人で落ち着いて聴き読みできるので,物 語の内容に集中できた」「聴き読みしているうちに,主人公がかわいそうで 涙が出てきた」などの記述があった。上記のように , この学習方法を支持す ― 14 ― る好意的な意見が複数見られたことから,やはり学習効果が高いのではない かと考えた。 そして 2014 年度の秋学期にも「聴き読み自主学習」を実施した。しかし, どの様な学習効果があるのか,また学生達はどの様に思っているのかという 検証は先行研究では行われていない。 そこで本論では,この「聴き読み自主学習」について,学生達がどのよう に考えているのかに焦点を絞り,検証を行う。 2. 研究の概要 2.1 目的 授業時間外の英語学習活動として春学期に 1 冊,秋学期に 1 冊と課題設定 して実施した「聴き読み自主学習」を学生達はどのように思っているのかを 調査する。 2.2 参加者 参加者は 2014 年度に筆者が担当する Comprehensive English A/B/C/D を履 修した 1 回生と 2 回生で,授業時間外の英語学習活動として「聴き読み自主 学習」を行った 91 名である(表 1)。 表 1. 参加者 1 回生 学年 2 回生 学科 児童 心理 児童 心理 被服 健康栄養 クラス名 CS2 PS1 CS4 PS1 CL5 FS2 15 9 18 13 13 23 人数 2.3 研究課題 先行研究 ( 宮本 , 2013; 岡山 , 2014; 黛 , 2013) では明らかにされていない内 容を踏まえ,以下の研究課題を設定した。 ①学生達は,授業時間外の英語学習活動として「聴き読み自主学習」をど のように思っているのか。 ― 15 ― ②今後の課題は何か。 2.4 調査方法 2014 年 12 月 8 日と 9 日に,量的研究法と質的研究法を合わせたミックス 法 (Dörnyei, 2007) を用いた質問紙調査を実施した。項目 2 ~ 13 は,量的研 究法である 5 件法 1 ( 竹内 , 2003, p. 254) の意識調査、そして項目 14 は自由 記述の質的研究法を用いた。 3. 結果 項目 1 は,「聴き読み自主学習」をどこで行ったかについて調査した。そ の結果,自宅が 68 名(74.73%),学内の施設が 21 名(23.08%),その他が 2 名(2.20%)であったと分かった。 次に研究課題①を,項目 2 ~ 13 で調査した(表 2 と図 1)。 表 2. 項目 2 ~ 13: 5 件法調査結果 ― 16 ― 図 1. 質問紙調査(5 件法)結果 調査結果から,項目 10 の「英語音声を聞きながら多読本を読むと,感情 や情緒面が分かるので良かった」が一番高く,そして項目 12 の「図書館を 定期的に利用している」が一番低い数値であったと明らかとなった。 5 件法のスケール間に差が無いかを比較調査 (Field, 次に,項目 10 について, 2009; Iimura, 2010) した。その結果,χ 2(4) = 58.73, p = .00, W = .16 で 2 回 答に有意差が認められた。そして 5 件法で 5 を選んだ学生が 27.47%,4 が 47.25%で,5 と 4 の合計は 74.72%(図 1)であったことから,本研究に参 加した 7 割以上の学生達は項目 10 の「英語音声を聞きながら多読本を読むと, 感情や情緒面が分かるので良かった」と強く思っていることが明らかとなっ た。 そして項目 14 は,「あなたが『聴き読み自主学習』について思う事や,多 読の学習活動についてやった方がいいと思う内容があれば,自由に記述して 下さい」と設定し,質的研究の観点から自由記述調査を実施した。 ― 17 ― その結果,91 名中 17 名(18.68%)が回答していた。そこで代表的な記述 を,表 3 に示す。 表 3. 自由記述調査結果 自由記述調査からは,(1) 音声があるので英単語や物語の背景が分かりや すい,(2) 学生のリスニング能力や,その学生が選択した多読本の難易度に よっては,音声が早すぎて多読本の内容の理解が難しくなる,の 2 点が分かっ た。 4. まとめと今後の課題 研究課題①について,項目 10 の結果から学生達は音声 CD を聞きながら 多読本を読むのは感情や情緒面が分かるのでよかった,と思っていることが 明らかになった。ただし,授業中に多読を用いた聴き読みを行いたいのかと いうと,項目 2 や項目 8 の結果から,授業中に行うことはあまり望んでおら ず,授業時間外に一人で落ち着いた環境の中で実施したいと望んでいること が明らかとなった。そこで,今後も授業時間外に行う聴き読み自主学習を実 施していきたい。 次に研究課題②の「今後の課題」については,項目 12「図書館を定期的 に利用している」の結果が一番低かったことから,読書の基本となる図書館 の利用の習慣がついていないことが挙げられる。図書館では利用者が自主的 に本を選択する作業が必要なのだが,今回の聴き読み自主学習において,自 分が読む多読本の選択が上手く出来ず,難易度が高い多読本を選択した学生 がいた(表 3 の学生 2 参照)。そこでこれからは,教員が図書館を利用する ― 18 ― 機会を増やす授業計画を作成することや,実際に学生が図書館から借りてき たその多読本を読む前に,物語の内容や学生の英語レベルを考慮して,事前 にアドバイスを行う機会を作ることが必要である。 今後は,授業内外で学生が多読本を選択する自由を尊重しながら,本学の 学生に最適だと思われる授業時間外の聴き読み自主学習を継続して実施した いと考えている。 注 1. 5 件法のスケールは、竹内 (2003, p. 254) を参考に以下のように設定し,本 調査に用いた。 5 = そう思う ( ほぼ 100% ),4 = ややそう思う (75%程度 ),3 = どちらとも いえない ( ほぼ 50% ),2 = あまりそうは思わない (25%程度 ),1 = そうは思 わない ( ほぼ 0% ) 2. Field (2009, p. 576) によると,Kendall's W(W とも表記される)は,一項 目に関する 2 以上のカテゴリーを分析の対象とし,評定者間の一致度を表す。 本研究では一項目を対象に,1 ~ 5 の 5 件法(= 5 カテゴリー)で調査した為, Kendall's W を統計分析手法に採用した。なお W は,0 ~ 1 の範囲で表される。 そして日本における英語教育学の論文の多くで採用されている APA の書式 での小数点の表記法 (American Psychological Association, 2009, p. 113) に従い, 1 を超えることのない統計量に関しては,小数点の前に 0 を付さないで表記 した。 参考文献 American Psychological Association. (2009). Publication manu al of the American Psychological Association (6th ed.). Washington, DC: American Psychological Association.(アメリカ心理学会(著) 前田樹海・江藤裕之・田中建彦(訳) (2011).『APA 論文作成マニュアル 第 2 版』東京:医学書院 ) Dörnyei, Z. (2007). Research methods in applied linguistics: Quantitative, qualitative, and mixed methodologies. Oxford: Oxford University Press. Field, A. (2009). Discovering statistics using SPSS. London: Sage. 古川昭夫・伊藤晶子 (2005).『100 万語多読入門』東京:コスモピア . 羽鳥博愛 (1977).『英語授業の心理学』東京 : 大修館書店 . ― 19 ― Iimura, H. (2010). Factors affecting listening performance on multiple-choice tests: The effects of stem/option preview and text characteristics. Language Education & Technology, 47, pp. 17–36. 門田修平 (1998).「英単語の視覚認知における音韻の役割—心理言語学的分 析—」 小西先生傘寿記念論文集編集委員会(編) 『現代英語の語法と文法 : 小西友七先生傘寿記念論文集』東京:大修館書店.pp. 317–325. 片岡晴美 (2014).「多読の実践と効果に関する一考察」 『樟蔭学園 英語教育 センターフォーラム』第 3 号 , pp. 8–16. 河野守夫 (1984).『英語授業の改造』東京:東京書籍 . 国際多読教育学会(著)山中順子・高瀬敦子・古川昭夫(訳) (2011).『国 際多読教育学会による多読指導ガイド』 http://erfoundation.org/wordpress/useful-resources 宮本恵理子 (2013).「公立高校での多読指導」日本多読学会 第 6 回関西多読指導新人セミナー . 岡山陽子 (2014).「大学での多聴・多読授業について」日本 多読学会 第 7 回関西多読指導新人セミナー . 文部省 (1956).「大学設置基準」(昭和三十一年十月二十二日文部省令第 二十八号) http://www.lawdata.org/law/htmldata/S31/S31F03501000028.html Palmer, H. E. (1991 [1921]). The principles of language study. In the Institute for Research in Language Teaching (Ed.), The selected writings of Harold E. Palmer: Pāmā senshū, Dai 1 Kan, pp. 331–520. Tokyo: Hon-no Tomosha. 黛 道子 (2013).「多読図書のコーディネート : やさしく、楽しく」日本多読 学会 第 6 回関西多読新人セミナー . 高瀬敦子 (2010).『英語多読・多聴指導マニュアル』東京:大修館書店 . 竹内 理 (2003).『より良い外国語学習法を求めて』東京:松柏社 . ― 20 ― If you had to choose only one grammar reference book to bring to class, which book would you choose and why? William Ives Osaka Shoin Women's University To have to carry several grammar reference books around with you is impractical. Choosing one is difficult. I have devised three evaluative criteria to rate five grammar reference books. These specific evaluative criteria were constructed to create a rating system that would ultimately suit my teaching needs. By evaluating all five books against these three criteria I should be able to choose the book which is most practical. The three criteria are as follows: 1. How suitable is the text for a wide range of learners? 2. Are the examples in tables, charts and illustrations clear and easy to follow and comprehend? Is the depth and quality of the exercises enough to provide value? Does it include pedagogical suggestions for students? 3. Are the index and appendix well organized, comprehensive and easy to use? Does the text have a user-friendly organizational framework? The five grammar books to be evaluated are: 1. Fundamentals of English Grammar by Betty Schrampfer Azar 2. Understanding and Using English Grammar by Betty Schramfer Azar 3. Explaining English Grammar by George Yule 4. Systems in English Grammar: An Introduction for Language Teachers by Peter Master 5. The Grammar Book by Marianne Celce-Murcia and Diane Larsen-Freeman ― 21 ― I have chosen to evaluate each book against the different criteria. This will also help to compare and rate each book against the others. This rating will ultimately help decide which book should be chosen as the book to bring to the class. Range of learner suitability Fundamentals of English Grammar by Betty Schampfer Azar is designed for beginning to lower-intermediate students. This fact may be somewhat limiting if one is going to use only this book. However, it is focused on fundamental key structures which would be useful in any teaching situation. It starts with the simple present in chapter 1 and moves to quoted speech and reported speech in chapter 13. Finally, it covers “using wish” and “if” in chapter 14, the final chapter. The next book is Understanding English Grammar by Betty Schampfer Azar. This is generally aimed at intermediate to advanced students. This book similarly starts with verb tenses and moves from the simple tenses to future perfect progressive in chapter 1. It then covers modal auxiliaries and then passive voice / passive speech in chapters 2 and 3, continuing with conditional sentences in chapter 10, the last chapter. This book clearly explains grammar points using easy-tounderstand examples. However, it does not cover enough of the basic structures to be of sufficient value to beginner learners. This somewhat detracts from the value and versatility of the book as a whole. The next book is Explaining English Grammar by George Yule. This book covers a wide range of structures typically attempted in all learner levels from beginners to advanced students. It begins with a very thorough introduction and overview of the basic forms and meanings. Attention to specific forms begins with articles in chapter 2 and tense and aspect in chapter 3. It concludes with direct and indirect speech in chapter 10, the last chapter of the book. This book does a good job of systematically addressing the form, structure and context of the different grammatical structures. For this reason I would have to rate this particular book very highly in regard to the first criterion. The next book is Systems in English Grammar by Peter Master. This book is also very useful for beginner and intermediate students. The book is also divided into ― 22 ― units and chapters. Chapter 1 and 2 cover words and groups of words. This makes up unit 1. Unit 2 deals with verbs and tenses. It also deals with the auxiliary system. The last unit, unit 5, deals with sentence combining and the compliment system. The final book is The Grammar Book by Marianne Celce-Murcia and Diane Larsen-Freeman. This book would be very helpful for teaching advanced students but not as helpful for lower level students. This detracts considerably from the value of the book if it is going to be the only book used for the rest of my teaching career. The book starts with an introduction in chapter 1 and goes into grammatical metalanguage in chapter 2. The vastness and scope of this massive book even seem a bit daunting. Because of these facts this book would rate the lowest in this criterion. Tables, charts and illustrations and depth and quality of practice exercises In Fundaments of English Grammar the charts are very simple and easy to understand. They are also accompanied by illustrations which help to explain the different grammar points. There are also many easy-to-follow diagrams of specific points included in the charts. This would be very useful for a teacher tasked with explaining complicated elements of language to students of all levels. The charts and diagrams in chapter 1 are clear and easy to understand. It also should be noted that these helpful charts and diagrams appear throughout the text and are accompanied by clear explanations. Although there are few pedagogical suggestions for students, there are sufficient exercises to provide an in-depth understanding of the structures. Understanding and Using English Grammar has a similar chart and diagram system, which is very helpful for students to grasp concepts not easily gleaned from text alone. However, unlike Fundamentals of English Grammar, the charts and diagrams do not appear throughout the text. The exercises do, however, provide depth and a further understanding of the structures. There are also few pedagogical suggestions for students. Overall, both Understanding and Using English Grammar and Fundaments of English Grammar rate about the same in this criterion. The charts and diagrams in Explaining English Grammar are a bit sparse and confusing to say the least. The charts specifically are on the abstract side and not as clear as they could be. The exercises are not as long and comprehensive as in other ― 23 ― books, resulting in a lower rating comparatively. There are a number of illustrations that, while they do bring some well needed, light hearted comic relief, do not do much in the way of helping students understand a particular grammar point. The extensive glossary is extremely helpful and makes up for what is lacking in the charts. Explaining English Grammar does give very helpful teaching ideas and some pedagogical suggestions. This helps to raise its overall rating in the second criterion. The charts, tables and diagrams in Systems in English Grammar are very extensive and helpful. The table of terms on pages 34 to 36 is especially extensive and comprehensive. Out of all the books this is most likely the most useful. The overall rating for this book is the highest compared to the other books regarding charts, tables and diagrams. The exercises are the most extensive and comprehensive of all the books. This gives Systems in English Grammar the highest rating in terms of quality and value in this area. This book also gives many teaching ideas and pedagogical suggestions. This helps to boost its rating to one of the highest overall regarding the particular criterion. The Grammar Book does have creative diagrams and ample charts and tables, but again some are vague and unclear. However, the chart on pages 409 to 411 seems to do a good job in dealing with prepositions, space, time, degree and idiomatic usages. Overall, this book rates relatively highly in regards to number of charts and diagrams but relatively lowly in terms of clarity. The teaching suggestions are very thorough and helpful to students and teachers alike. This book earns a high rating for pedagogical suggestions and teaching ideas. The number of exercises compared to the amount of material covered is proportionately small. The rating for this aspect of the criterion is very low compared to the other books. Index and appendix organization Fundamentals of English Grammar has a very standard and straightforward index. The book has an overall user-friendly organizational framework. There are five dealing with issues such as irregular verbs and preposition combinations. Appendix five even includes a guide for correcting compositions. The rating is average for this book regarding the last criterion. ― 24 ― In Understanding and Using English Grammar the approach regarding the index is the same as in the other books. This book includes three appendices. The third appendix is also a guide for correcting compositions like in the other book. Appendix 1 primarily contains supplementary grammar units. The framework for both these books is very similar so the rating is going to be the same for both. As previously stated Explaining English Grammar contains a glossary. This acts as a replacement for an appendix. The index is also very similar to the above mentioned books. The book has an overall user-friendly organizational framework and earns an above average rating in this area. This is further boosted by the usefulness of its comprehensive glossary. Systems in English Grammar scores highly in the final criterion. Due to its systematic approach to the material it has a very clear and straightforward framework. This makes it very easy to use. The appendix is also comprehensive and contains a standard index. The Grammar Book, on the other hand, does not seem to have a very userfriendly layout. In fact, one almost needs a user guide to navigate through the vast index. It does have two indexes, one for names and the other for topics. The two indexes are only more confusing. The appendix simply contains “suggested” answers to the chapter exercises. This book gets a low rating in the last criterion. Conclusion In examining and evaluating the five books using three criteria I was able to rate all of the books against the others. The book that continued to rate highest was Systems in English Grammar. This book consistently rated highest compared to the other books in the three criteria. For this reason I would choose it if I could choose only one for the rest of my teaching. ― 25 ― References Azar, B. (1989) Fundamentals of English Grammar. Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall Regent. Azar, B. (1989) Understanding and Using English Grammar. Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall Regent Celce-Murcia, M., & Larsen-Freeman, D. (1999) The Grammar Book: An ESL/EFL Teacher’s Course. Boston, Ma: Heinle & Heinle Master, P. (1996). Systems in English Grammar: An Introduction for Language Teachers. Englewood Cliffs, NJ: Prentice Hall Regent Yule, G. (2000). Explaining English Grammar. Oxford: Oxford University Press. ― 26 ― 第2部 中学校・高等学校 大学入試問題研究3 ~ 神戸大学 ~ 樟蔭高校 英語科 後藤 紀博 本校の特進コース進路指導の一環として,英語科で行った各大学の分析の 中から,神戸大学の分析を紹介したい。難関校ではあるが本校からの合格者 も出た大学であり,また毎年志望者もいる。 紙面の都合上,詳細分析は1段落分のみになるが,ご容赦願いたい。 1.個別学力試験の概要 2.経年比較 ― 27 ― 3.2012 年 英語 神戸大学 2/25, 前期日程 詳細分析 【1】1パラグラフ ① The late nineteenth century was a rough time for frogs, worms, and a number of other creatures. ② As the study of physiology blossomed in Europe and America, scientists went wild dividing, dismembering*, and relocating these unfortunate subjects. ③ (1)According to scientific legend, they also slowly heated some of the animals in order to test the extent to which they could adapt to changes in their environments. 問1 下線部(1)を日本語に訳しなさい。 1パラ 和訳 ① 19 世紀後半は,カエルや虫やその他多くの生物にとっては厳しい時代だっ た。②ヨーロッパやアメリカで生理学が盛んになるにつれ,科学者たちはこ れら不運な被験者たちを手荒く解剖し,手足を切り取り,つなぎ合わせた。 ③科学的神話によると動物たちが環境の変化にどの程度適応できるかを調べ るために,彼らはいくつかの動物をゆっくりと熱したりもした。 ① The late nineteenth century was a rough time for frogs, worms, and a number of other creatures. 英文① 【語句】 ・rough【 形 】 粗 い, 厳 し い, つ ら い ・frog【 名 】 カ エ ル ・worm【 名 】 虫 ・a number of たくさんの~ (*the number of~ = ~の数 ) ・creature【名】生物 【構造など】 The late nineteenth century / was a rough time / 19 世紀の後半 for frogs, worms, and a number of other creatures. A , B (,) and C (ここではカエル, 虫, そしてその他多くの生物) ― 28 ― ② As the study of physiology blossomed in Europe and America, scientists went wild dividing, dismembering*, and relocating these unfortunate subjects. 英文② 【語句】 ( 時」 ・as【接】~するにつれて 「 「~なので」 「~だけれど」 「~のような」など多義 ) ・study【名】 研究 ・physiology【名】生理学 ・blossom【動】開花する ( ここでは「盛りになる」) ・ go wild dividing「野性的な分割に行く」→「手荒く解剖する」 ・dismember*【動】手足を切 り取る ・subject【名】被験者 ( 実験されるもの。「教科」 「主題」など多義 ) ・relocate【動】 転移させる ( ここでは「元に戻す・つなげる」) 【構造など】 As the study of physiology blossomed / in Europe and America, S ’ V ’S’が V’するにつれ… scientists went wild dividing, A「手荒く解剖し」( イディオムではない。文脈から推測し噛み砕くことが必要 ) dismembering, and B「手足を切り取り」 relocating these unfortunate subjects. C「つなげた」 この不運な被験者を (被験者=前文の frogs,worms,and a number of other creatures) ③ (1)According to scientific legend, they also slowly heated some of the animals in order to test the extent to which they could adapt to changes in their environments. 英文③ 【語句】 ・According to~ ~によると ・legend【名】伝説,神話 ・extent【名】程度 (*to some extent だと「あ る程度」) ・adapt to~【動】~に適応する ― 29 ― 【構造など】 According to scientific legend, 科学的神話によると → つまり,「事実かどうかはわからないが科学界で伝えられる話によると」ということ they also slowly heated some of the animals 動物を熱した / in order to test the extent ↑ < to which they could adapt to changes / in their environments >. < 彼らが環境中の変化に適応できる > →その程度 を調べるために この分析は,教員間で共有できるデータとしての役割と,生徒たちが自学 をする際に参考になれば,という思いで始められたものである。1.「個別 学力試験の概要」と2.「経年比較」は主に教員間でコンセンサスをとり, 生徒指導に当たる際のために,3.の詳細分析は生徒が読んでわかるように, という思いで作成し,発表させてもらったものである。かなりの手間と労力 は必要であったが,継続して行なっていけばデータベースとして積み重なっ ていくと思われる。 ― 30 ― グループ学習の実践報告 樟蔭中学校・高等学校英語科教諭 下井田由美子 1.はじめに 以前からグループ学習に関心はあったが,実践には至っていなかった。今 年度,学内のグループ学習スタディーチームのメンバーに入ったこともあり, ペアワークやグループワークを取り入れた授業を実践してみた。 現在,教科書で扱われる文章は長くなり,集中力を持続させ,一斉授業で 生徒の学習意欲を維持させることが難しい状況にある。ただ,グループ学習 を通じて「学びの共有」ができれば,生徒の学習に良い影響を与えられるだ ろうという思いが予てよりあった。そこで「読み物」を味わう授業の中で「紙 芝居を制作し発表する」という取り組みを行うことにした。 生徒が主体的に取り組んでくれるのかという一抹の不安はあったが,生徒 たちは非常に前向きな反応を示してくれ,積極的に授業に参加してくれた。 具体的な内容については後述するが,平成25年度3学期,平成26年度 2学期に各1回実施した。2回目の取り組みでは1回目の反省を踏まえての 実践になったと考えている。 2.実践報告 【概 要】 テ ー マ:紙芝居制作発表を通じて,英語の「読み物」に親しむ。 ね ら い:A.「読み物」を扱う授業への主体的な参加を促す。 B. 音読することにより,英語の音声に慣れる。 C. 英語の「読み物」を日本語を介さずに読む。 教 材:【実践①】 New Crown 2 Further Reading 2 Zorba's Promise 【実践②】 New Crown 3 Lesson 6 USE I Have a Dream 対 象:樟蔭中学校 2 年 K 組 (19 名 )【実践①】 3 年 K 組 (29 名 )【実践②】 ― 31 ― 内 容:グループ (5 ~ 6 人 ) ごとに紙芝居を制作し発表する。 授業期間:平成 25 年度 3 学期 ( 2 月中旬 ) 【実践①】 平成 26 年度 2 学期 (11 月上旬 ) 【実践②】 配当時間:7 ~ 8 時間 授業計画:①音声を聞かせてのイメージ作り・役割担当決め 1 時間 ②紙芝居制作 (教科書を参考にイラスト描写・本文写し)4 時間 ③音声を聞いて発音練習・グループ別練習 2 時間 ④発表・相互評価シート記入 1 時間 【授業風景 : 実践①】 ①音読練習⇒②捲る練習⇒③ナレーションの挿絵⇒ ④ THE END ― 32 ― 【授業風景 : 実践②】 ①紙芝居制作⇒②音読担当決め⇒③音読練習⇒④本番前の確認 【生徒相互評価シートより:実践①②共通】 ①自班の評価 (役割を果たせたか,協力できたかなど) ≪良かった点≫ ・全員読む速さを変えずに読めた ・噛まずに発音が上手にできた ・全員で題名を大きな声で読んだ ・紙芝居のイラストを立体的にした ・紙芝居を捲るとき,スムーズにできた ― 33 ― ≪反省点≫ ・少し詰まってしまった ・もう少し声を大きくしたほうが良かった ・声色を変えたりすればよかった ・「あっ,間違えた!」と声を出してしまった ・読むところが途中で分からなくなって止まってしまった ・THE END の紙を作っておけば良かった ・イラストを濃く描けば良かった ・紙芝居を捲るのがうまくいかなかった ②他班への評価 ( 読む速さ,声の音量,話し方,イラストなど ) ≪良かった点≫ ・楽しく紙芝居に取り組んだことが分かる程,チームワークがとてもよ かった ・欠席者のところもきちんとできていた ・声量もありテンポよく読めていた ・題名をみんなで言っていた ・絵が工夫されていた ・見やすく紙芝居を持っていた ≪アドバイス・気になった点≫ ・詰まらないようにもっと練習したほうがいい ・もう少しゆっくり読むのがいい ・全体的に声が小さく感じた ・紙芝居を捲るのが遅かった ・発表中に話しているのが目立った ・イラストの色が薄かったので,カラフルにした方がいい ③感想・要望・意見など ・紙芝居を通して色んなことを学んだ ・英語での紙芝居は初めてだったが班の皆とできて楽しかった ・普段あまり話さない子とも話せて良かった ・楽しく本 ( 教科書 ) を読めて良かった ― 34 ― ・自分の役割を一生懸命果たしていたので良かった ・ナレーションは長かったので難しかった ・登場人物の高い声を出すのが難しかった ・練習より本番は大きな声を出せた ・発音が上手な人が多かった ・各グループの色々な絵を見て,ぜんぶ個性的で楽しめた ・作っている時も,発表している時も楽しかった ・久しぶりに皆で協力してできたので楽しかった ・絵を頑張って描いたし,読むのを何回も練習して本番ではできたのでよ かった ・発表をして紙芝居を作る楽しさを知った。苦戦することもあったが,何 とか完成できてよかった ・初めてで緊張したけど,楽しかった ・作品を協力して仕上げることができた 【授業者のまとめ】 ≪効果≫ ・表紙や THE END なども作るなど工夫を加え,主体的に取り組めた。 ・相互評価することで,発表時に真面目に取り組む雰囲気が生まれた。 ・発音の重要性を呼びかけていると,音声 CD で発音チェックをしたいと 生徒から申し出があった。正しい発音を意識させるきっかけとなった。 ・リーダーを通じて指示をすることで,グループ内の団結力が高まった。 ≪課題≫ ・必要な指示はリーダーを通じて行う。 ・生徒の発音練習の時間を増やし,生徒が自信を持って発表できるように し,授業者は発音チェックに徹する。 ・人前での発表に慣れてきたら,暗唱できるまでの読み込みをさせなが ら,ネイティブによる発音チェックや読み方の指導の機会を設ける。 ― 35 ― 3.おわりに 主体的に学習に取り組むきっかけ作りとして,グループでの紙芝居制作を 中心にした授業を行った。生徒からは「久しぶりに皆で協力してできたので 楽しかった」「読むのを何回も練習して本番ではできたのでよかった」とい う感想が出てきたことは,嬉しい限りである。学習の動機づけが主体的な学 習の促進につながった結果と考えたい。また教え合いによる相乗効果で授業 は活気づき,臆せずに人前で発表する生徒も増えた。 ただ低学力層の生徒には,さらなる学習効果を体感させる必要があると考 えていたが,これには「音読」が有効であると確信を持つことができた。と いうのは,定期試験で紙芝居の教材で扱った本文を適語選択問題として出題 し,正答率が 7 割を超える結果が出たからである。音読練習を重ねて本文に 慣れることで,英文への拒否反応が軽減し,学習意欲が高まったと考えたい。 今後の課題は作業が早く終わった生徒への対応である。例えば本文暗唱を 課すなど,負荷を与えるのも一案かもしれない。無論,「させる」でなく, 能動的な取り組みになるような「動機づけ」が必要になると思う。その点に ついては,生徒との対話を通じて策を練っていきたい。 ― 36 ― 多読学習の現状 樟蔭中学校・高等学校英語科常勤講師 八木岳彦 1. はじめに 昨年度の「樟蔭学園英語教育センターフォーラム第三号」でも発表した 本校での多読学習の取り組みについて,今年度も引き続き紹介する。本校 では,多読学習を週 1 時間(50 分授業)行っている。生徒は授業時間内に 本をできるだけ多く読み,パソコンで M-Reader というサイトで,読んだ本 に関するクイズを受ける。多読用の本として用意しているのは,Foundations Reading Library Level 1 ~ 7, Oxford Reading Tree Level 5 ~ 9, Building Blocks Library Level 4 ~ 9, I Can Read シ リ ー ズ , Penguin Active Reading, Henry & Mudge シリーズなど,学習者向けの Graded readers や英語ネイティブの子ど も向けのもので,約 1000 冊である。ここまでは昨年度と変わっていない状 況である。昨年度から変わったことは,図書館を多読学習のできる環境に したことである。図書館にも多読用の本を用意し,i-pad を使用してクイズ を受けられるようにした。図書館に準備した本は,Penguin Kids Readers や Step into Reading であり,中学生でも読みやすいものである。図書館に多読 コーナーを設置する最大の利点は,授業外でも多読学習に取り組むことがで きるということである。授業内だけの活動では,言語習得に必要不可欠な多 量のインプットを確保することが困難であるからである。まだ本格的に図書 館での活動が進んでいないため,今回はこれまでの取り組みをまとめて報告 する。 2. 多読学習の状況 本校の高校 1 年生(児童教育コース・健康栄養コース・進学コース)の 6 クラスの多読学習についてまとめる。多読学習を始めた 5 月頃から 11 月ま での約半年間の状況である。1 年生全体の総語数(1)の平均は 8,228 語で,下 の表 1 はクラス別にしたものである。 ― 37 ― 表 1. 各クラスの学習状況 クラス 人数 平均総語数 範囲 1 41 5395 1416 - 22904 2 40 13646 1100 - 31507 3 37 8881 903 - 64687 4 36 5596 707 - 13482 5 35 6339 741 - 21279 6 35 9508 365 - 26419 クラス 2 の平均総語数が,他のクラスの平均総語数と比べてかなり多い結 果になっている。これは,もともとの英語力の差によるものであると考えら れる。クラス 2 は,通常の中間考査や期末考査の成績でも他のクラスより も良い。クラス 3 の最多総語数が 64,687 語と飛びぬけている。この数字は, そもそも英語がネイティブと同レベルの生徒のものであるためである。この 生徒を抜いた場合の範囲の最多総語数は 21,915 語であり,他のクラスと同 等である。どのクラスにも共通して言えることは,英語のレベルに大きな差 があるということである。総語数が 1,000 語に満たない生徒は,活動をして いないということでは決してなく,真剣に取り組んでいるにもかかわらず, 英語がわからず理解できないのである。英語が得意な生徒や好きな生徒は, 自ら進んでどんどん本を読んでいくが,英語が苦手な生徒には,教員の手助 けや,より易しい英語の本を準備する必要があるだろう。 平均総語数から,どのようなことが言えるだろうか。1996 年に発表され た現代英語教育を参考にすると,中学校でよく使われている New Horizon と 高校でよく使われている Unicorn の総語数は,下の表 2 の通りである。中学 3 年間と高校 2 年間の 5 年間で,およそ 30,000 語読むことになる。(現在使 用されている教科書では,もっと総語数は多いはずである。) ― 38 ― 表 2. 中学校・高校で英語教科書に含まれる語数 中学 高校 中 1 1,177 語 高Ⅰ 11,686 語 中 2 2,511 語 高Ⅱ 10,451 語 中 3 3,756 語 計 7,444 語 計 22,137 語 全体の平均総語数は前述した通り 8,228 語で,まだまだ多読と呼べるほど の量にはなっていない。実際には,本を選んだり,クイズを受けたりする時 間が必要なため,40 分程度しか本を読む時間はないのである。これが最大 の課題である。この課題を解決するために,図書館を活用することが重要に なってくるはずである。授業内活動から授業外活動への移行は必ずしなけれ ばならない。 この取り組みのよい点は,検定教科書のみの使用に比べると,生徒は多く の英語を読んでいる。また,この取り組みを楽しいと感じている生徒も多い のである。この取り組みは,工夫をしながら継続していくことが必要であろ う。 3. GTEC のスコア分析 ここで,GTEC の reading スコアを基に多読活動を検証してみる。本校の 1 年生は年に 2 回,GTEC を受けている。今回は,多読学習をしていない 2011 年度の1年生と多読学習している 2014 年度の1年生の1回目と2回目 の reading のスコアを比較してみた。 表 3. 1回目 2回目 1と2回目の差 2011 年度の生徒 93 89 -4 2014 年度の生徒 99 101 +2 ― 39 ― その結果,表 3 に示す通り,2011 年度の生徒より 2014 年度の生徒の方が, 1回目と2回目ともに reading のスコアが高かった。また,1 回目と 2 回目 を比べると,2011 年度の1年生の reading のスコアは 4 点下がっていたが, 2014 年度の生徒は,2 点上がっていた。 今後は,GTEC のスコア比較だけでなく,reading speed など他の計測方法で, 効果の検証をしていくことも必要であろう。 まとめ 本校での多読は 3 年目であるが,充実した多読学習にしていくために,こ れから図書館をどのように活用していくか,また生徒をどのように多読学習 に引き込んでいくか,様々な仕掛けが重要になってくるのであろう。 (注) (1) ここで示す総語数は,クイズに合格した本の語数の合計であり,本を読 んだが不合格であった本の語数は含まない。 ― 40 ― 第3部 英語教育センター 英語教育センターの学習効果 樟蔭学園英語教育センター コーディネーター 山岡 賢三 1. はじめに 筆者が所属する樟蔭学園英語教育センター(以下 ELTC)は,英語の中高 大一貫教育を実施し,学生・生徒の英語力の向上に寄与することを目標に, 平成21年に設立された英語学習施設である。そこには様々な英語関係の図 書や教材・DVD,自学自習ができるパソコンブースがある。ネイティブが 常駐していつでも英会話ができる。そこに来れば,学生・生徒たちが自主的 に,または偶発的に学習意欲を喚起し,自らの英語力を向上させることがで きる。 研究の目的として,ELTC のような学校の授業以外の自主学習施設が生徒 の英語学習に大きな効果をもたらすことを明らかにしたい。研究方法として は,平成23年度~26年度の施設利用者中から施設を大いに利用した生徒 を対象に,追跡調査し,テストの結果を比較・分析する。研究の結果として, 追跡調査した生徒がなぜ成績を伸ばしたのか考察する。 2. GTEC スコアの分析 2.1 平成23年度入学生徒 平成23年度入学生徒の中で特によく ELTC を利用した児童教育コースの (1) 生徒 A, B, C, D, E の5名の追跡調査を行った 。 表 1 で は, 対 象 生 徒 の 第 2 0 回 (H23.11.24), 第 2 1 回 (H24.6.15) の GTEC(Benesse Corporation による英語力を絶対評価で測るテスト ) のスコア を比較している。対象生徒は平成23年10月頃から頻繁に ELTC を利用す るようになったので,第20回のデータから使用した。「児」は児童教育コー スクラス28名の平均を表し, 「進」は進学コース全員180名の平均を表す。 ― 41 ― 表1 *( )内は順位 表 1 を 見 る と, 第 2 1 回 GTEC テ ス ト で は, 樟 蔭 高 校 2 年 生 の GTEC(Basic) を受験した250名(特進クラスを含む人数)の中で生徒 A は 1位であったことがわかる。また,特筆すべき点は,対象生徒5名のうち3 名が伸び率10位の中に入っているということである。他の2名も60点以 上も得点を伸ばしている。特にリスニングではどの生徒も著しい伸びが見ら れた。 表2 ― 42 ― 表2は第23回 (H25.6.13) の対象生徒及び,児童教育コースと進学コース 全体の平均スコアを示し,表1の第20回のスコアと比較し,その伸びを調 べた。表2を見ると,2年近く英語教育センターに頻繁に通った対象生徒 は,進学コース全体の平均の伸びは57点,児童教育コース64点に対し, 100点以上 GTEC の成績を伸ばしたことがわかる。 2.2 平成24年度入学生徒 続いて,平成24年度入学生徒の中で特によく ELTC を利用した生徒 F, G, H, I, J の5名の追跡調査を行った。 表3では,対象生徒及び進学コースの第21回 (H24.6.15),第25回 (H26.6.16) の GTEC のスコアを比較している。対象生徒は平成24年入学当 初から頻繁に ELTC を利用していたので,第21回のデータから使用する。 「進」は進学コース全体196名の生徒の平均を表す。 表3 表3を見ると,2年間英語教育センターに頻繁に通った対象生徒は,進学 コース全体の平均の伸びは70点に対し,全員99点以上成績を伸ばしたこ とがわかる。生徒 F に至っては312点という驚異的な伸びを示している。 ― 43 ― 3. GTEC スコアの考察 3.1 リーディング力の伸び 樟蔭高校では進学コースにおいて「英語多読」に取り組んでいる。ELTC では「多読」の教材を多く揃え,授業外でも「多読」ができるようにしてい る。対象生徒は授業の延長上にある多読教材に多く触れ,自然にリーディン グの力を伸ばしたように考えられる。 3.2 リスニング力の伸び 対象生徒がリスニング力を伸ばした理由としては,音読トレーニングを毎 回自主的に取り組んだことが考えられる。CDのネイティブスピーカーの音 読に合わせて,シャドーイングやリピート&ルックアップの練習を繰り返す ことによって,リズムやイントネーションを頭や体に刻みながら,自然なネ イティブの英語の音を多少なりとも身につけたようだ。つまり,「口に出せ る英語は聞き取れる」ということを体得したと考えられる。 3.3 ライティング力の伸び ネイティブとのフリートークで,自分の持っている英語力を駆使して,何 かを説明したり,自分の意見を述べたりする経験を通して,ライティングで は多少の間違いを恐れず,英語で表現しようという意欲が出てきたと考えら れる。 4. 学習意欲の向上 4.1 自主的な学習 生徒に英語力をつけさせるためには,「①英語を好きにさせる ②英語に たくさん触れさせる ③飽きずに反復させる ④継続して学習する習慣を つけさせる」ことが大切である。「好きこそものの上手なれ」という言葉が あるが,まずは英語を好きにさせることである。好きになれば,自ら英語 にたくさん触れるし,飽きずに反復できる。継続して学習するようになる。 ELTC には英語が好きになる環境(教材・設備・人材)が揃っている。その 環境をそれぞれの生徒のレベルや興味に合わせて,いかに提供してやるかは, ELTC スタッフの腕の見せ所である。スタッフの適切なアドバイスや指導, 励ましがうまくいけば,生徒の学習意欲が向上し,自主的な学習につながる。 ― 44 ― 田尻は,生徒が自主的に学習する条件として,「①やり方が分かる ②力 がつく活動・学習だと認める ③面白い ④上達が感じられる」を挙げてい (2) る 。例えば,① ELTC スタッフの指示に従ってシャドーイングのやり方を 学ぶ。効果的なシャドーイングのやり方がわかる。② ELTC の音読教材を使っ てシャドーイングの練習をする。英文が上手に読めるようになり,力がつく 学習だと認める。③授業中「発音が上手になったね」と先生にほめられて嬉 しい。ネイティブと会話をして自分の英語が通じて面白い。④英検に合格し たり TOEIC や GTEC の成績が伸び上達を感じる。このような過程を経て対 象生徒の自主的な学習意欲が向上したと考えられる。 4.2「学習意欲に関する調査研究」(3) による考察 「学習意欲に関する調査研究」によれば,高校生が勉強に対する気持ちが 「とてもやる気になる」と非常に肯定的な答えを得られたのは, 「成績が上がっ たとき」 「授業がおもしろいとき」 「授業がよく分かるとき」だけではなく, 「先 生にほめられたとき」「自然にふれる体験をしたとき」「ライバルが見つかっ たとき」「友だちからはげまされたとき」「級や段,資格などを取ろうと思っ たとき」などである。さらに,高校生の特徴として, 「将来行きたい学校がはっ きりと決まったとき」「将来つきたい職業に関心を持ったとき」が突出して いると述べている。 この調査研究の結果を本研究の対象生徒に当てはめれば,ELTC には, 「先 生やスタッフがそれぞれの生徒の上達をほめてくれる」「英語に自然にふれ る体験ができる」「同じ英語学習を目標とするライバルを見つけることがで きる」「そのライバルともはげましあう仲間になれる」「英検や TOEIC など の資格を取るために学習できる」「外国語系の大学を目指す」「将来,英語な どの外国語を使う職業に関心を持つ」といった環境が整っているといえる。 5. まとめ 対象生徒は約2年の間に60日~120日 ELTC に通っている。なぜ彼 女たちは頻繁に ELTC に通ったのか?「英語が元々好きだから」 「英語がで きるから」 。一概にこの答えは当てはまらない。対象生徒の中には ELTC に 来る前から英語が得意だったわけでもなく,好きでもなかった生徒もいる。 ― 45 ― English Camp や海外研修をきっかけに英語学習に目覚めた生徒,映画が好き で ELTC に通っているうちに他の学習や活動に興味を持った生徒,かっこい い外国人の先生と英会話をしたいと思って ELTC にやって来た生徒,授業の 課題をこなすために ELTC にやって来て知らない間に ELTC の環境にどっぷ り浸かってしまった生徒,等,ELTC に通うようになった理由は様々である。 ただ,一応に言えることは,どの生徒にも強制的に英語学習を押しつけてい ない,生徒が自主的に学習しているということである。 樟蔭学園の中・高・大学生の自主性を育て,英語を好きにさせること,そ のことが英語教育センターの最大の使命であると信じる。 【注】 (1) 山岡賢三「潜在的カリキュラムとしての英語教育センター」樟蔭学園 英語教育センターフォーラム第2号 2013 年 (2) 田尻悟郎「(英語)授業改革論」教育出版 2009 年 (3) 富岡賢治(国立教育政策研究所代表) 「学習意欲に関する調査研究」 (文 部科学省委託研究)学習意欲研究会 2002 年 ― 46 ― Using Songs in Class - A Case Study Polona Fras Shoin English Language Teaching Center The use of songs in the ESL/EFL classroom is gaining popularity among teachers. Not only are songs a welcome change from the normal routine of classroom activities, they are also a great resource for teaching many aspects of the English language. This paper will present the implementation of a lesson plan based on a popular English song, which was used in the English team teaching classes at Shoin Junior High School. It will also present the results of the students' evaluations of these lessons. Introduction Repetition plays an important part in learning a new language. However, if it is not meaningful, the learner quickly loses interest. In this respect, songs are an ideal tool to improve language learning, as they provide the means of increasing the amount of repetition without producing boredom (Richards, 1969). Furthermore, understanding English songs is often one of the learner's main reasons for learning English (Adachi, 1991). Using songs in English language class has many advantages. Songs can be used to teach sounds, rhythm, stress, vocabulary and grammar, they can add variety to lessons, motivate learners, reinforce practice, reduce anxiety, and they can provide learners with cultural information (Richards, 1969; Adachi, 1991). Songs can be used in a variety of classroom activities, such as listening comprehension, vocabulary and pronunciation practice, translation and discussion (Adachi, 1991). However, not all songs are appropriate for use in class. The songs should use vocabulary and grammar appropriate to the students' proficiency level and use the stress patterns of spoken English. Some songs might also not be suitable because of their content (Richards, 1969; Adachi, 1991). ― 47 ― Choosing the song As a part of the English team teaching classes at Shoin Junior High School for shintaihyōgen students, it was decided to implement a lesson plan based on a popular English song. Due to its huge popularity among students, we wanted to use the song "Let It Go" from the movie Frozen. However, the vocabulary was deemed too difficult for the students' proficiency level, so we decided on another song from the same movie ("Do You Want to Build a Snowman?"). Because of its length and speed we decided to split the song into three parts and use it in three consecutive lessons. The same lesson plan was implemented in the classes of first, second and third year of junior high school. Implementing the lesson plan Each lesson followed the same pattern. First, the teachers played the song and introduced its story. This was followed by a listening comprehension activity – cloze or rearranging lines (Appendix A), and pronunciation practice. The teachers also explained the meaning of unknown words or phrases. Finally, the students sang along with the song on the CD. ― 48 ― Students' evaluation of the lessons After the lessons, the students were asked to fill out a questionnaire about the lessons. They were asked whether they enjoyed the lessons, whether they had enough time to practise the song, what was the most difficult part of the song and what activities (pronunciation practice, games, songs, presentation, essay) they want us to implement in future lessons. All of the questions were multiple choice questions, but the last two were multiple response questions (the students could choose more than one answer). The total number of students was 34 in first grade, 23 in second grade and 22 in third grade. The response rate was 100 %. Figure 1. Students' response: Did you enjoy the lessons? Figure 2. Students' response: Did you have enough time to practise the song? ― 49 ― Figure 3. Students' response: What was the most difficult part of the song? Figure 4. Students' response: What activities would you like to do in future lessons? In first and second year the results were similar. All of the students enjoyed the classes (Figure 1) and the majority (first year: 88 %, second year: 87%) said they had enough time to practise the song (Figure 2). For most of them, the most difficult part of the song was the pronunciation (Figure 3). On the list of activities they want us to implement in the future lessons, songs ranked in second place (Figure 4). In third year, the majority of the students (91 %) enjoyed the lessons (Figure 1) and said they had enough time to practise the song (95 %, Figure 2). However, for most of them the most difficult part of the song was its speed (Figure 3). On the ― 50 ― list of activities they want us to implement in the future lessons, songs ranked in first place (Figure 4). Conclusion Songs are a useful tool for adding variety to language learning lessons. They can be used to teach many aspects of the English language and can be used in a variety of classroom activities. As can be seen from this case study, most of the students enjoyed the lessons. The song's vocabulary and grammar were appropriate for the students’English level. However, the students expressed having difficulties with the pronunciation and speed of the song. This might be one of the reasons why songs were not the most popular activity the students would like to do in future lessons. Also, some students might prefer more dynamic activities, so games might seem more appealing to them. If songs are used in future lessons, it might therefore be better to choose a slower song and to include some actions that go with it. References Adachi, T. (1991). A Musical Approach to Listening Comprehension: Using Popular Song in an ESL Classroom. Mem. Fac. Educ. Miyazaki Univ. Hum., 69, 1-9. Anderson-Lopez, K., & Lopez, R. (2012). Do You Want to Build a Snowman? [Recorded by Kristen Bell, Agatha Lee Monn & Katie Lopez]. On Frozen: Original Motion Picture Soundtrack [CD]. Burbank, CA: Walt Disney Records. Richards, J. (1969). Songs in language learning. TESOL Quarterly, 3(2), 161-174. ― 51 ― Appendix A: Listening Comprehension Worksheets ― 52 ― ― 53 ― ― 54 ― 巻末資料 「多読学習の実施と効果について」 ― 55 ― ― 56 ― ― 57 ― ― 58 ― ― 59 ― ― 60 ― ― 61 ― ― 62 ― ― 63 ― ― 64 ― ― 65 ― ― 66 ― ― 67 ― ― 68 ― ― 69 ― 編集後記 平素より樟蔭学園英語教育センターの諸活動にご支援・ご協力賜わりあり がとうございます。この度は Shoin ELTC Forum 第4号の発刊に際し,樟蔭 中学校・高等学校,大阪樟蔭女子大学,学園の教職員の方々から寄稿してい ただき,厚くお礼申し上げます。また,英語論文査読につきましては,第3 号に引き続き,本学国際英語学科 B. Greg Dunne 准教授にご尽力いただきま した。お陰さまでこの度の第4号の上梓となりました。 次号からは,大学部会の活性化とともに,大学の先生方にも積極的に投稿 のお願いをし,よりアカデミックな刊行物に仕上げたいと考えています。 本誌が多くの方に読んでいただき有益な刊行物になるよう今後とも努力し ていきます。 樟蔭学園英語教育センター コーディネーター山岡賢三 樟蔭学園英語教育センターフォーラム 第4号 非売品 平成 27 年 3 月発行 編集者 学校法人 樟蔭学園 英語教育センター (代表者 安 藤 公 仁) 発行所 学校法人 樟蔭学園 英語教育センター 〒 577-8550 東大阪市菱屋西4丁目2番 26 号 電話 06-6723-8219 E-mail [email protected] 印刷所 有限会社 ヤシキプリント
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