本田 愛珠

【優秀賞】
『多くの人に知ってもらいたい』
苫前町立苫前中学校3年
ほ
ん
だ
本田
ま
な
み
愛珠
朝食後に襲われた吐き気、呼吸の苦しさ。それは、時間がたつにつれてひどくなっていきま
した。カルタの全道大会でホテルに泊まり、朝のバイキングを食べた後、胸のあたりが気持ち
悪かったのを開会式の直前まで耐えていました。しかし、急に強い吐き気と息苦しさに襲われ、
耐えきれなくなった私は両親に助けを求めました。しばらくしても苦しみが続いたため、つい
に私は救急搬送されました。原因はアレルギーによるアナフィラキシーショックと診断され、
私はアレルギーの怖さ恐ろしさをあらためて実感しました。迷惑をかけてしまったカルタ仲間
への申し訳なさと、試合に出られなかったことへの悔しさから涙があふれました。数日で体調
は良くなりましたが、「食べる」ということへの恐怖が生まれ、アレルギーのものには以前よ
りも気を配るようになりました。
しかし、自分のアレルギーを把握し、普段から気をつけていた私がなぜこのようになってし
まったのでしょうか。原因はホテルの朝食にあったようなのです。ホテルの朝食はバイキング
でした。バイキングともなれば、油の使いまわしやトングなどの間接的な問題も考えられるで
しょう。アレルギーの表示をしていたとしても、人混みの中では確認することも困難だと思い
ます。これでは、また同じ事を繰り返しかねません。そうならないためにも、私自身がもっと
気を付け、周りの人達にもアレルギーの恐ろしさを理解してもらう必要があります。
私の兄は食物アレルギーをもつと同時に、薬のアレルギーももっています。それが原因でス
ティーブンジョンソン症候群になってしまったり、手術をする時にも色々な麻酔が使えず検査
の為に何度も入院したりしました。スティーブンジョンソン症候群とは、風邪薬などの副作用
で高熱が出たり全身の皮膚や粘膜に紅斑ができ、死亡例も出ている難病です。
一番身近に感じるであろう花粉症もアレルギーの一種です。主な症状は鼻水、くしゃみ、目
のかゆみが一般的でしょう。しかし、人によっては喘息発作を起こすこともあります。私もそ
うですが、喘息発作を起こせば咳で眠ることが難しく、運動もできません。喘息が落ち着くま
では、私にとっては苦痛でしかありません。
アレルギーで苦しんでいる人は私だけではありません。例えば、今年の四月に起きた熊本大
震災。食物アレルギーをもつ少年は配給の多くが食べられませんでした。慣れない避難所生活
で体の抵抗力が弱っている中で、対応食はなく、家に備蓄していた物も電気が止まっていたせ
いで調理できませんでした。炊き出しのおにぎりをもらい、具を尋ねると、「食べればわかる
よ」という言葉が返ってきたそうです。「食べたら死んでしまうかもしれない」という人がい
ることを知らない人のこのような発言は、アレルギーをもつ当事者であればつらく悲しいもの
でしょう。怒りもわいてくるでしょう。答えた人に悪気がなくても、アレルギーの可能性を考
えずにそう言うのは浅はかなことだと思います。ですから私のこの主張で、アレルギーは生死
に関わること、アレルギーをもつ人は色々な場面では悩みをかかえていることを知ってもらい
たいです。しかし、それだけでは理解は広まらないでしょう。ですから私は医学の道を志し、
アレルギーで苦しむ患者を救いたいと思います。そして、多くの人との関わりを通じてアレル
ギーのことを伝えていきたいです。