<セリング・ラボ 佐藤正明 発行>

<セリング・ラボ 佐藤正明 発行>
■□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□■
□□■
新しい営業スタイルを提案するメールマガジン
□□□■
【寝て待つだけの営業活動】
■□□□■
~戦略的殿様商売のすすめ~
■□□□□■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【今回のテーマ】 Vol.151
「“目先の数字”の誘惑」 ~レクサスのバッタ売り~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
おはようございます。
セリング・ラボの佐藤です。
先週、サッカー日本代表チームが、世界最速で W 杯本戦への出場を決めました。
前回は、本戦で1勝もできずに終わってしまいましたから、経済的な波及効果の面からも、今回はぜ
ひ頑張ってほしいものです。
さて、トヨタが新型レクサスのハイブリッド仕様車を、395 万円からという低価格に設定しているこ
とが分かりました。
これは、エコカー減税の恩恵を受けた新型プリウスが、3 ヶ月待ちの人気となっていることに、味を
しめたものだと思います。
また、同じレクサスの「IS」が 399 万円ですから、価格設定自体にはそれほどの驚きはありません。
しかし、私はここに、トヨタの根本的な失敗があると考えています。
このレクサスについては前にも何度か書いたことがありますが、トヨタのマインドは、まさに「仕出
し屋の高級懐石弁当」です。
言い方を変えると、「ユニクロのやり方でシャネルを売ろうとしている」ようなものです。
彼らには、それが分かっていないのです。
もちろん、理屈では分かっているはずです。
だから、わざわざブランドを分け、「トヨタ」とは看板を変えています。
でも、それが「形だけ」のものであることは、誰だって知っています。
失礼ながら、高級ブランドの本当の価値を知らない人達が、それを形だけ真似ている、としか私には
思えません。
「395 万円の高級車」を買う人は、本来、“本当の高級車”を買うことのできない人たちです。
敷居が下がることで、「私にも高級車らしきものが買える」と思うから、「それ」が購買対象になる
に過ぎません。
しかし、本当のプレミアムカーを買う人たちは、たとえ 100 年に一度の不況の中にあったとしても、
1,000 万円や 2,000 万円程度の出費なら右から左にお金を用意することのできる人たちです。
本気でプレミアムブランドを立ち上げるつもりであれば、それ以外は無視してでも、絶対に「そこ」
を狙わなければならないはずです。
つまり、価格じゃないんです。
トヨタは、そのことを全く理解していません。
だから、すぐに「価格戦略」に目が行ってしまうのです。
そもそも、大衆車のプリウスが、価格を下げて成功したからといって、それと同じ手法を、プレミア
ムカーの「はず」の、レクサスに持ち込むという発想自体が間違っています。
目先の販売実績にしか目の行かない人達には、敷居を下げることが自殺行為だ、ということに気づか
ないのです。
おそらく目先の数字は、そこそこ伸びるでしょう。
そして、本来、プレミアムカーを持つことのできない人達が、「それ」を手に入れることになるので
しょう。
その結果、「レクサス」というブランドは、プラミアムカーの地位を得ることなく、そのうち、「ト
ヨタ」ブランドのクラウンと何が違うの」という話になってしまうのではないでしょうか。
トヨタには失礼ですが、多くの人が持つクラウンという車のイメージは、
「メルセデスを買えない人のための車」
というものです。
私たちは、このトヨタと同じように、すぐ「価格」に目が行ってしまいます。
売上が目標に達していない時など、特にそうです。
しかし、「目先の数字」を何とかするために価格をいじってしまう、という行為の奥に潜む怖さに気
づかなければなりません。
たとえば、あなたはフリースのパーカーを、今、9,800 円で買いますか。
12~13 年前なら、当たり前の値段です。
32 型の液晶テレビを、今、198,000 円で買いますか。
5 年前なら、“激安価格”です。
しかし、今はそのどちらも、その半額でも「高い」と感じませんか。
下げるのは簡単でも上げるのは難しい、ということです。
だから、安易に価格をいじってはダメなのです。
私は、かつて法人営業をしていた時、客先の購買担当者から大きな値引きを要求され、
「持ち帰って検討します」
とは言わず、
「それなら結構です」
と言って席を立ったことがあります。
リ●ルートという会社でしたが、その後、現場から購買側に抗議があったらしく、数日後、最初の価
格で契約することができました。
別に自慢話ではなく、私がただキレただけなのですが、もしあの時相手の無理な要求を受け入れてい
たら、「それ」がその後もずっと
続いていたと思います。
一度「期末の押し込み」をやってしまうと、お客様はそれ以後、
「また期末まで待って、大幅な値引きを要求しよう」
と考えます。
さて、今月は3月決算の会社なら、1年を占う第 1 四半期の締めの月にあたります。
12 月決算であれば、半期の締めです。
あなたは、また「押し込み」を考えているのではありませんか。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
発行元:セリング・ラボ
編集人:佐藤正明
所在地:〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町 2-34-13-102
連絡先: [email protected]
個人のスキルアップはこちら: http://www.selling-lab.com
企業の営業力向上はこちら: http://www.brains-works.com
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□