【2014.10月号】No.422

月刊
第36巻第10号通巻422号2014年10月1日発行(毎月1回1日発行)1980年10月23日第3種郵便物認可
10
2014年
第30回企業広報賞
第30回「企業広報賞」
表彰式を開催
◆主催者あいさつ
(一財)
経済広報センター 会長 榊原定征
◆受賞の言葉
森ビル(株)代表取締役社長 辻 慎吾
ダイキン工業(株)取締役会長兼グローバルグループ代表執行役員 井上礼之
カルビー(株)代表取締役会長兼CEO 松本 晃
422
October
(株)西武ホールディングス 取締役上席執行役員広報部長 西山隆一郎
西武鉄道(株)取締役上席執行役員広報部長 日産自動車(株)国内企業・商品広報部部長 濱口貞行
今 月 の 表 紙
森永製菓と森永乳業は、未来を担う子どもたちのすこ
2014年10月号目次
第30回 企業広報賞
やかな心身の成長を応援するため、奄美大島近くの無
人島で
「森永リトルエンゼル育成 無人島探検隊」
を開催。
5泊6日の活動を通して、子どもたちは何も「無い」無
人島と向き合い、貴重な体験をした
第30回
「企業広報賞」
表彰式を開催
2
主催者あいさつ 4
榊原定征((一財)経済広報センター 会長)
受賞の言葉 辻 慎吾(森ビル(株) 代表取締役社長)
井上礼之(ダイキン工業(株) 取締役会長兼グローバルグループ代表執行役員)
松本 晃(カルビー(株) 代表取締役会長兼CEO)
西山隆一郎((株)西武ホールディングス 取締役上席執行役員広報部長/西武鉄道(株) 取締役上席執行役員広報部長)
濱口貞行(日産自動車(株) 国内企業・商品広報部部長)
5
選考委員 選考所感
片平秀貴(丸の内ブランドフォーラム 代表)
江上節子(武蔵大学 社会学部教授)
坂本裕寿(読売新聞東京本社 経済部長)
佐々木かをり(イー・ウーマン 代表取締役社長)
菅野幹雄(日本経済新聞社 経済部長)
鈴木勝彦(プレジデント社 『プレジデント』編集長)
堀江 隆(朝日新聞東京本社 経済部長)
松木 健(毎日新聞東京本社 経済部長)
横田恵美(毎日新聞社 『週刊エコノミスト』編集長)
『経済広報』では、裏表紙に関連する写真・イラストを表紙に
掲載しています。
10
グループ広報研究③
ホールディングスへの権限集約でグループ間の素早い情報連携を可能に 15
(株)セブン&アイ・ホールディングス
ドラッカー流コミュニケーション③
10
啓発の言語を使う―問いと比喩で世界が広がる
井坂康志(ドラッカー研究者)
18
ANGLE
企業広報でもさらなる女性活用を
月の動 き
国内
井上喜久栄(富士ソフト(株) コーポレートコミュニケーション部長)
NEW
6~7日
日銀の金融政策決定会合
7日
8月の景気動向指数速報
(内閣府)
8日
8月の国際収支速報
(財務省)
9月の景気ウォッチャー調査
(内閣府)
10日
9月の消費動向調査結果
(内閣府)
22日
9月の貿易統計
(財務省)
31日
9月の失業率
(総務省)
9月の有効求人倍率
(厚生労働省)
海外
2日
ECB
(欧州中央銀行)
定例理事会
(イタリア・ローマ)
3日
9月の米雇用統計
(米労働省)
8月の米貿易収支
(米商務省)
15日
9月の米小売売上高
(米商務省)
17日
9月の米住宅着工件数
(米商務省)
28 ~ 29日
FOMC(米連邦公開市場委員会)
(米FRB(連邦準備制度理事会))
30日
7~9月期の米GDP
(国内総生産)
速報
(米商務省)
20
技術広報研究①
日用品メーカーとして、伝統ある技術広報を現代に繋ぐ
花王(株)
22
広報管理職講座②
管理職と担当者の違い
篠崎良一(PR総研 所長/広報の学校 学校長)
23
連載
経済広報センター NEWS
企業広報ニュース(ウェブサイト/教育支援/広報トピックス/ Book)
企業・団体のCSR活動(森永製菓
(株)
・森永乳業
(株)
)
10月の動き
21
24
裏表紙
表紙裏
発行/一般財団法人経済広報センター 国内広報部
東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館 TEL:03-6741-0021
印刷/三葉株式会社 TEL:03-3294-4751
※本誌掲載の記事・写真・イラスト・図版の無断掲載を禁じます。
2014年10月号〔経済広報〕
1
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第30回
「企業広報 賞」表彰式を開催
開¦催¦概¦要
優れた広報を展開している企業と経営者ならびに広報実務者に贈る
「企業広報賞」の表彰式を、9月2
日、経団連会館において開催した。経済広報センターを代表して、榊原定征会長が受賞者へ表彰状・トロ
Ⅰ 日時
2014年9月2日(火) 午後4~6時
引き続き開催したパーティーでは、久保田政一理事長による乾杯のあいさつの後に、受賞関係者、企業
Ⅱ 場所
経団連会館4階 ダイアモンドルーム
広報関係者、マスコミ関係者が歓談した。榊原会長のあいさつ(4ページ参照)、各賞の受賞者あいさつ
Ⅲ 次第
■主催者あいさつ 経済広報センター 会長 榊原定征
■選考委員紹介
■表彰状・トロフィー贈呈
■選考委員長講評 丸の内ブランドフォーラム 代表 片平秀貴
■受賞企業代表・受賞者ごあいさつ
フィーを贈呈した。出席者は約200名。
(5~9ページ)、選考委員の選考所感(10 ~ 14ページ)
を掲載する。
選¦考¦基¦準
企業広報大賞
社会から期待され求められているものを見極め、それを経営に反映させるとともに、ステークホルダー
に対し企業活動の的確な情報を発信・伝達し、社会に貢献している企業が受賞対象となる。
具体的には以下の内容項目で意欲的に取り組み、その活動が社会的に認知されているかどうかを評価する。
•企業理念に裏打ちされたビジョンや企業メッセージを様々なツールで発信し、CSR
(企業の社会的責任)
などの経営課題にも積極的に取り組んでいる
•ステークホルダーとの対話を通じ社会のメッセージを多角的に受信し、経営に反映させている
•一つひとつの情報発信を積み重ね、ブランドを創るコミュニケーションを実践している など
企業広報経営者賞
経営トップ自らが広報の重要性を認識し、社内外の情報によく耳を傾け、経営環境や経営方針などにつ
いて、社会
(マスコミ、投資家、消費者など)や従業員に語り、コミュニケーションを積極的に推進してい
る経営者が受賞対象となる。
企業広報功労・奨励賞
(前列左から)
松本 晃
(カルビー 代表取締役会長兼CEO)、辻 慎吾(森ビル 代表取締役社長)、榊原定征(経済広報センター 会長)、
井上礼之
(ダイキン工業 取締役会長兼グローバルグループ代表執行役員)
(後列左から)
濱厚
(経済広報センター 専務理事)、片平秀貴(丸の内ブランドフォーラム 代表)、
西山隆一郎
(西武ホールディングス 取締役上席執行役員広報部長、西武鉄道 取締役上席執行役員広報部長)、
濱口貞行
(日産自動車 国内企業・商品広報部部長)、久保田政一(経済広報センター 理事長)
2
〔経済広報〕2014年10月号
広報活動に携わり企業広報の発展に功労の大きかった実務者
(個人・チーム)
、あるいは奨励に値する独
創的な企業広報を実践している実務者(個人・チーム)が受賞対象となる。
(敬称略)
(注)各賞とも、過去5年間の受賞企業・受賞者は選考対象外。
2014年10月号〔経済広報〕
3
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企業広報大賞
主催者あいさつ
森ビル株式会社
榊 原 定 征(さかきばら・さだゆき)
一般財団法人経済広報センター 会長
辻 慎 吾(つじ・しんご)
代表取締役社長
受¦賞¦の¦言¦葉
都市を創り、育むために、社会との対話を積み重ねる
日本経済は、安倍政権の一連の政策により、デフレからの脱却と
「経済の好循環」が始動しつつ
あります。経団連としても、積極的な政策提言などを通じて
「日本再興」の確固たる礎を築き、未
来への責任を果たしていく所存です。
私は、様々な機会に、日本経済再生のカギはイノベーションにあると申し上げてきました。イ
私ども森ビルは、創業時から、都市とまっすぐに向き合ってまいりました。都市に対する愛情や
責任感、危機意識は誰にも負けないつもりでやってきました。都市はあらゆる活動の舞台です。都
市を創り、都市を育む仕事に携わる以上、未来と世界を展望した強いビジョンを持ちながら、足元
ノベーションの核となる技術革新は、わが国が国際競争力を強化するための生命線であり、経済
の営み一つひとつに心を配り、社会と誠実に対話を積み重ねていく、そのような考えで日々の業務
成長の最も大きなエンジンです。今こそ、
「技術立国」日本の原点に立ち返り、果敢に研究・技術開
や広報活動を展開してまいりました。今回、こうした姿勢や活動を、社会を代表する皆さまにご評
発に挑戦し、世界に先んじて新市場を創造することが求められています。同時に、戦略的なビジ
ネスモデルの革新に努めていくことも重要です。
このようなイノベーションを実現するためには、国内外の各界・各層との対話が欠かせません。
経営理念や事業戦略を積極的に発信し、ステークホルダーからの支持を得るとともに、様々なス
しんし
テークホルダーから寄せられる声を真摯に受け止め、社会が期待する変化や革新を実現すること
が重要です。このような双方向のコミュニケーションを通じた企業広報が、企業イノベーション
を推進する力になり得るといえます。
この「企業広報賞」が創設されてからの30年間を振り返りますと、広報の対象はマスコミにとど
まらず様々なステークホルダーへと拡大し、広報活動の内容も多岐にわたる視点から検討するこ
とが必要となりました。今回受賞された皆さまも、グローバリゼーションの潮流、ソーシャルメ
ディアの発達など、企業を取り巻く環境が変化する中で、創意工夫をこらした広報活動を展開し
てこられました。皆さまのご受賞を心よりお祝い申し上げます。
4
本日は企業広報大賞という素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。身に余るほどの光
栄に恐縮しております。
〔経済広報〕2014年10月号
価いただいたことは、森ビルの全社員にとって何よりの励みであり、喜びであります。また、
「六
本木ヒルズ10周年」や
「虎ノ門ヒルズ開業」という華やかな面だけでなく、長年、積み重ねてきた安
心・安全への地道な取り組みや、災害時に逃げ込める街づくりをご評価いただいたことは、我々に
とって何よりも嬉しいことでした。
今、東京には「国家戦略特区」と「2020年東京オリンピック・パラリンピック」という追い風が吹い
ております。ここ数年間が、世界から人、モノ、金、情報を引き付ける都市に変貌する、最大かつ
最後のチャンスであると、私は思っております。この追い風をバネに、今こそ皆で大きなうねりを
せんえつ
創り出さなければなりません。僭越ではありますが、東京を世界で一番の都市にし、日本人や日本
経済の底力、日本文化の奥深さを世界に発信する一翼を担いたいと思っております。都市づくりに
終わりはありません。大賞受賞の感動を忘れずに、これからも国際新都心づくりに邁進してまいり
ます。
受¦賞¦理¦由
一企業の事業にとどまらず、都市再生や安全への取り組みなど、常に社会的意義を意識しながら、丁寧
で誠実なメディアリレーションに基づく広報活動を推進している。その一環として、虎ノ門ヒルズ開業で
は、国際都市としての新たな東京の魅力を広く世界に発信すべく、戦略的に広報活動を展開し、街・地域
のイメージ変革にも寄与した。また、
「六本木ヒルズ10周年」では、様々な切り口で効果的に情報を発信し、
同社の実践する
「磁力ある街づくり」に対する理解を獲得した。
「逃げ込める街づくり」をテーマに、防災拠点
としての役割をメディアに発信し続けている点も評価される。
2014年10月号〔経済広報〕
5
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企
経
業
営
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
広
者
報
賞
企
経
業
営
広
者
報
賞
井 上 礼 之(いのうえ・のりゆき)
松 本 晃(まつもと・あきら)
ダイキン工業株式会社
カルビー株式会社
取締役会長兼グローバルグループ代表執行役員
代表取締役会長兼CEO
受¦賞¦の¦言¦葉
受¦賞¦の¦言¦葉
「対話」
と
「言行一致」
に徹する広報活動
誠実な情報発信で全てのステークホルダーに愛される企業に
本日は伝統ある、名誉な賞を頂戴し、誠にありがとうございます。
今回の受賞理由に
「当社をグローバル企業に育て上げ、海外に進出する日本企業のモデルとなる
体制を構築している」と、過分なお言葉をいただいたが、今一度
「当社は、真のグローバル展開がで
きる企業か」と足元を見つめると、多国籍企業のガバナンスという意味では欧米企業に遅れている
面も多々あると思っております。
一方で、経営者としての世界各国の現場での経験から、日本的経営の良さの根底にある価値観
は、十分に世界に通じるとも確信しており、安易な欧米流の導入とは一線を画した独自の経営スタ
イルを、グローバル競争の中で構築したいと考えています。
広報活動は、経営に関する考え方や行動を社内外に広く発信し、理解してもらう事業戦略の柱の
ひとつですが、一番大事なことは
「対話」だと思っています。対話は、まず相手の話をきちんと聞く
ことから始まります。また、発信する際には、語彙や表現力も大事ですが、
「この人の言葉を信じら
れるか、どうか」という点が最も重要です。自分の言った内容に沿って、誠心・誠意で行動し、
「言
行一致」
に徹することを、経営者としてより大切にしてきました。
今回、企業広報経営者賞をいただきましたが、私がマスコミや社会に向けて話してきたことの多
くは、役員会や社内で侃々諤々の議論をした結果を、私が代表してお伝えしているだけのことで
す。その意味では当社の広報活動全般をご評価いただいた賞であると、ありがたく受け止めていま
す。
今後も私を含めて社員一人ひとりが広い意味での広報担当者となり、全社的活動として広報に取
り組むことを心掛けていきたいと考えております。
本日は立派な賞をいただき、誠にありがとうございます。非常に感動いたしております。
日ごろ、様々なメディアの方々にお会いする機会が多くございます。そうした地道な活動姿勢が
評価されたことも、今回受賞できた一因だと考えております。この場をお借りして、日ごろお世話
になっておりますメディアの方々にも、お礼を申し上げたいと思います。
今回、企業広報経営者賞という私個人の賞をいただきましたが、広報活動を担ってくれているの
は当社の優秀な広報部員たちです。彼らが日夜頑張ってくれたおかげでいただけた賞であると考え
ており、広報部のメンバーには非常に感謝しております。
当社では、広報活動と同時にIR活動も大変重視しており、双方懸命に取り組んでまいりまし
た。カルビーにおける広報活動・IR活動の位置付けは、様々な切り口での全てのステークホル
ダー、すなわち、顧客・取引先、従業員とその家族、地域社会・国・世界・地球・資源・環境など
のコミュニティ、株主とのコミュニケーションであると考えております。ステークホルダーとのコ
ミュニケーションの過程では、良い情報もありますが、悪い情報もあります。リコールなどのリス
クも常にあります。しかし、良いことも悪いことも全て誠実に、真実を正しく伝え、ますます皆さ
まに愛されるカルビーになりたいと考えております。
本日は誠にありがとうございました。
受¦賞¦理¦由
優れた統率力と経営手腕で、関西発の同社をグローバル企業に育て上げた井上氏の功績は非常に大きく、
さらに、今後海外に進出する日本企業のモデルとなる体制を構築している。同時に、そうした姿を自ら発
信し続けることで同社のブランド力向上にも寄与した。また、他に先駆けて導入したダイバーシティ経営
を積極的にアピールし、女性の活躍を後押しする取り組みを実行するなど、社会全体に対する貢献度も大
きい。
6
〔経済広報〕2014年10月号
受¦賞¦理¦由
創業家以外の経営者として就任以来、ビジョン、改革すべき箇所、施策を分かりやすく社内外に発信す
るなど、積極的なトップ広報に取り組んでいる。特に、
「ダイバーシティ」と「社会貢献活動」をコミットメン
ト項目として掲げ、自らの言葉で情報発信を続けている。同社のオープンな企業体質が支持を得ているの
も、松本氏の功労によるところが大きい。
2014年10月号〔経済広報〕
7
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
企 業 広 報
功 労・ 奨 励 賞
企 業 広 報
功 労・ 奨 励 賞
西 山 隆一郎(にしやま・りゅういちろう)
株式会社西武ホールディングス
取締役上席執行役員広報部長
濱 口 貞 行(はまぐち・さだゆき)
西武鉄道株式会社
日産自動車株式会社
取締役上席執行役員広報部長
国内企業・商品広報部部長
受¦賞¦の¦言¦葉
受¦賞¦の¦言¦葉
緊張感の続く日々の中、正確かつタイムリーな広報活動を
多国籍なマネジメント体制の下、最適なコミュニケーション活動を考える
このたびは企業広報功労・奨励賞を受賞することができ、望外の喜びと感じております。受賞に
ついてご連絡いただいた際には驚くばかりでしたが、周囲や同僚が喜んでくれたことで実感が湧い
てまいりました。
昨年は企業として企業広報大賞を受賞しておりますので、2年連続で賞をいただくこととなりま
した。これほど嬉しいことはありません。
私は広報担当として、今年でちょうど25年になります。この期間が長いかどうかは分かりません
昨年度は当社にとって非常に緊張感のある日々が続いた年でした。社長の強いリーダーシップの
下、企画部門、株式・法務部門をはじめ、西武鉄道やプリンスホテルをはじめとした事業会社の社
員が総力を結集し、困難に立ち向かい対応してまいりました。広報部門としては、当社の取り組み
を正確かつタイムリーに伝えることに努めてきました。こうした取り組みの結果、当社は4月23日
に東証1部に上場することができました。今回の受賞は、当社全体の活動の成果と、地域の方々を
はじめとした多くのステークホルダーの皆さまからのご支援の賜物であると考えております。
広報は日常業務において、光が当たることが少ない部門です。経済広報センターが広報実務者を
対象とした表彰を長年続けられていることに深く感謝するとともに、この喜びを、日々苦楽を共に
している広報部員と分かち合いたいと考えております。
また、私は30代前半から広報の仕事をしておりますが、マスコミ界の諸先輩の皆さまに支えら
が、25年の間には大きな出来事がありました。1999年、会社が厳しい状況に陥り、外資と提携する
こととなりました。当時、広報担当として10年目でしたが、それまでの弊社の広報は、日本人だけ
で日本の市場・メディアに対するコミュニケーションを行うことがほとんどでした。しかし、外資
が入り、マネジメント体制が変わったことで、世の中のスピードとは比べ物にならないくらいの急
激な変化が起こりました。
現在、私の直属の上司はアメリカ人です。その上は南アフリカ人、イギリス人、そしてトップが
ブラジル人です。一言で外国人といっても、これだけ多国籍な人々の間で広報の方針ややり方を決
めています。外資が入って15年が経過した今でも、物事を決める過程ではものすごく衝突が起こり
ます。グローバルな情報発信の際には言語や時差の問題もあり、一つひとつをクリアしながらどの
れ、続けてこられたと感じております。時には厳しいやり取りもあり、時には助け合い、また時に
ように対策を講じ、コミュニケーション活動を行っていくのが一番良いのか、常に頭を悩ませてい
は心温まるご指導をいただく場面もたくさんありました。今日のこの日に至り、そのような日々が
ます。グローバルなコミュニケーションの在り方について、今後も頭を悩ませながらも取り組んで
頭を駆け巡るとともに、そうした皆さま方への感謝の気持ちがあふれてきます。
まいります。
これからも企業広報の発展に、個人としても会社としても取り組んでいきたいと考えておりま
す。本日は誠にありがとうございました。
今回の受賞を励みに、ますます皆さまからご支持をいただけるような広報チームを目指していき
たいと思います。
受¦賞¦理¦由
TOBや株式再上場など日々メディアの注目を集め、難しい広報対応を迫られる中、経営者と密に連携
し、透明性のある、きめ細かな対応に努めている。
メディアと信頼関係を築こうとする誠意ある広報姿勢は、多くのメディアから評価されており、同社の
イメージ向上に寄与している。
8
〔経済広報〕2014年10月号
受¦賞¦理¦由
24年にわたり企業広報および商品広報担当としてメディア対応に携わり、厳しい状況下でも迅速かつ一
貫性を持って情報公開に努める姿勢はメディアからも評価が高い。また、同社CEOをはじめとする役員
の発信力を最大限に生かし、戦略的な対外広報や国内のステークホルダーとのコミュニケーションに努め
ている。
2014年10月号〔経済広報〕
9
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
選¦ 考¦ 委 ¦ 員 ¦選 ¦ 考¦ 所 ¦ 感
(敬称略)
受賞を糧に、革新の旗手に
マスコミ・有識者・企業広報関係者などにより推薦された企業・経営者・広報担当者およびグループ
本年の企業広報大賞の審査は、長い議論を経て、決定する形となった。
(候補数41)を対象として、第30回企業広報賞の選考を行った。事務局が選考に必要な情報を収集した上
内外の構造的な環境変化がドラスティックに続く中、真摯な経営に取り組
で、マスコミ・有識者から成る選考委員会を7月7日、当センター会議室にて開催した。
む企業は、変化への適応という戦略と、その企業が持つ固有の資源とその
選考委員会では、各委員にそれぞれの専門的見地から最終候補企業・候補者を推薦していただき、
「選考
事業の基本を大切にするという原則に基づいて舵を取り、長期構想を固め、
基準」に基づいて選考が行われた。選考後の委員の所感は以下の通り。
すでに踏み出し始めている。
その中で、今回の受賞者、受賞企業の選を行ったことについて、あえて
企業信念の有言実行 申し上げれば、ひとつのことに過去30年、40年と取り組み続け、今なお、
(敬称略、順不同)
広報の役割が論じられる時に近年必ず引き合いに出されるキーワードは
「アカウンタビリティ=説明責任」だ。しかしながら、ただ説明すればいい
のか、何を説明するのか、を問うていくと、結局アカウンタビリティの先
にある「レスポンシビリティ=責任そのもの」にたどり着くと思う。それは、
そのことの価値の向上に挑戦し続けているという粘り強い姿勢と実績に対
え
が
み
せ
つ
こ
江 上 節 子
武蔵大学
する評価であった。そして、率直に情報を発信し続けた広報活動である。
今日、変化の時代に、ステークホルダーの多くは、企業広報賞の受賞企
業・受賞者の、受賞してからのさらなる活躍に高い期待を抱いている。日
本における上場企業のガバナンスの仕組みが、国際社会の共通水準に近付
社会学部教授
き、気候・環境・自然資源の減衰への対処、国境を超えるあらゆる諸問題
などへの対応も枚挙にいとまがない。今回の受賞を糧に、事業の価値向上
その企業の存在意義は何で、誰に対して何をすべきなのかという根本をき
と企業と社会との調和した持続的な成長を果たしていく旗手で在り続ける
ちんと規定し、発信し、実行することにほかならない。
ことを願ってやみません。誠におめでとうございます。
今年の審査には、どうもこの「責任そのもの」という概念が大きく関わっ
ていたような気がする。それは言葉を変えると、企業を一人の人間と見た
時に、
「その人」には独自の信念があるのか、そのもとで関係者全員が一つに
か た ひ ら
ほ
た
か
片 平 秀 貴
(選考委員長)
丸の内ブランドフォーラム
代表
なれるように基軸を太く深く設定して行動しているかどうかが、最終的に
今回の選考結果になったのではないだろうか。
<対話>の達人
大賞を受賞した森ビルは、ホームページの「トップメッセージ」の冒頭で
国民の理解と共感を得る。商品やサービスの紹介にとどまらず、組織の
辻慎吾社長が「率直に言って、都市づくりという仕事は心底面白い」と述べ
存在理由を絶えず問い掛ける。広報活動は、企業と社会を繋ぐ<対話>で
ておられるが、それほどに「都市を創り、都市を育む」という信念には迷い
ある。
がない。アークヒルズから直近の虎ノ門ヒルズに至るまで、日本の首都・
心弾む対話には、伝えたいドラマがある。10周年を迎えた
「六本木」
、東
東京に新しい街づくりの手本を示し、発信し続けてきた力を審査員が高く
京の未来図を感じさせる
「虎ノ門」
、<ヒルズ>は常に都市再生の物語をは
評価した。
らむ。華やかな超高層ビルは、街づくりへの地道な努力という土台に支え
経営者賞のダイキン工業の井上礼之氏とカルビーの松本晃氏は、それぞ
られている。そんなイメージを自然に定着させた森ビルの取り組みを評価
れの企業の信念をこの時代に即して磨き上げ、社内外に発信し、実行して
したい。
きた「レスポンシブルな=責任感ある」指導力が高く評価された。井上氏の
地球全体を視野に入れた発信と、松本氏の社会に愛されるブランドへの貢
献は特筆に値する。
功労・奨励賞の西武ホールディングスの西山隆一郎氏と日産自動車の濱
対話する企業は、経営トップ自らが先頭に立ち、その情報発信が企業ブ
さ か も と
ひ ろ ひ さ
坂 本 裕 寿
口貞行氏は、指導力のある経営者との二人三脚で、難しい局面でも前向き
読売新聞東京本社
に責任ある姿勢を貫き通したことが受賞に繋がった。
経済部長
今回受賞された皆さんには心からお祝いを申し上げたい。
ランドに直結する。ダイキン工業の井上会長は関西財界の重鎮、カルビー
の松本会長は移籍組の気鋭と持ち味は異なるものの、共に
「伝える力」のあ
る経営者と言ってよい。
意に沿わない意見に耳を傾けなければ、対話は成立しない。その意味で、
日産自動車の濱口氏、西武ホールディングスの西山氏は共にメディアの信
頼も厚い「聞き上手」である。
しのぎを削る取材現場で、対話の達人たちと巡り合えることは経済記者
の喜びでもある。
10
〔経済広報〕2014年10月号
2014年10月号〔経済広報〕
11
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
(敬称略)
経営と広報の一体化
(敬称略)
広報に公の視点はあるか
今年の選考は例年以上に困難だった。広告ではなく広報活動を評価する
今回の選考は例年以上に熱を帯びた。特に広報の良し悪しをどこで判断
ことは例年通り強く意識したが、経営力との関係の扱いは難しいものだっ
するべきかという根本的な問題について考えさせられることになった。例
た。対象企業の業界や商品の特性、さらに経営方針に対する評価に、あま
えば、ある企業の事業活動について一般に目に触れる機会が多ければ多い
ほど、広報的価値は高いと言っていいか。ここではその立場を取らず、選
り大きな影響を受けないように広報活動を審査しようと考えたが、既にグ
考の原則に立ち戻った。大賞は
「企業活動の的確な情報を発信・伝達し、社
ローバル市場において、経営と広報は一体化してきている中、それはとて
会に貢献している企業」に与えられることになっている。森ビルは、自社の
も難しい。企業は、今まで以上に積極的に発信をする必要が出てきた。マ
さ
さ
き
佐々木かをり
イー・ウーマン
代表取締役社長
スメディアだけでなく、ソーシャルメディアも活用し、自らの決断や行動
事業についてのみならず、常に東京のあるべき姿を追求し、国際競争力の
す
ず
き
か つ ひ こ
を多くの消費者、投資家、メディアに受け入れてもらうために発信し、対
鈴 木 勝 彦
話するという必要性である。
プレジデント社 企業広報賞は、今年で第30回を迎えるが、広報そのものが新しくなって
上礼之会長、カルビーの松本晃会長は広報の重要性を強く認識されていて、
『プレジデント』編集長
これまで何度も取材にお応えいただいてきた。功労・奨励賞の西武HD・
西山隆一郎部長、日産自動車・濱口貞行部長は、経営トップを支え続けた
必要があるのかもしれない。
長年の実績に敬意を表する。
「街づくり」
支えた社会との対話力
「どうやって決めるのかな」と興味深く眺めてきた企業広報賞を選ぶ立場
「森ビル」。この単語で朝日新聞のデータベースを記事検索すると過去10
に回り、作業の難しさを実感した。これは企業が社会に提供した製品や
年で経済面に60件弱。だが、社会面は80件近くになる。昨春、
「ヒルズ10
サービスへの評価なのか、それとも広報活動の巧拙を比べるコンテストな
年」という見出しの記事が飾ったのも社会面トップだった。経済面連載で虎
のか。大量のCMや広告でイメージを広げられる企業と、BtoBの地味な
ノ門ヒルズを取り上げた時も地域住民の声は欠かせない。
ビジネスの企業を同列で比べられるのか。数々の疑問を抱えたまま、最後
森ビルが企業情報を発信するだけでなく、街づくりを通じて
「社会」の中
は各委員の主観をかなり織り交ぜて決めざるを得ないというのが現実だっ
で生きてきた証左だろう。
「街」の利害関係者は多く、思いも様々。生活者視
た。
げ
の
み
き
お
菅 野 幹 雄
日本経済新聞社
経済部長
12
〔経済広報〕2014年10月号
いる。まさに大賞にふさわしいと判断した。経営者賞のダイキン工業・井
いる今、次の30年に向かって、新しい賞の設立、選考基準の見直しなどの
時代を切り取る作業
す
ある、安心・安全な都市づくりという公の視点をもって広報を展開されて
私が重視したのは「時代を切り取る」という視点である。30回を数える広
報賞の顔ぶれをたどると、日本経済の歩みも見えてくる。アベノミクス、
東京五輪、企業統治、ダイバーシティといった言葉を頭に浮かべ、真摯な
広報を展開したのはどこかを考えた。
点での丁寧で地道な対話が必要だ。選考委員会で評価されたのもそうした
ほ
堀
り
え
江 朝日新聞東京本社
経済部長
たかし
隆
対話の力だった。受賞を心からお祝いしたい。
一昨年亡くなられた森稔さんには叱られるだろうが、私は「ヒルズ」が建
つたび消えた、ごちゃごちゃした街が好きだ。それでも森さんのお話を伺
賞に輝いた旬の企業が5年、10年で苦境に陥る例も多い。栄枯盛衰は産
うたび、
「新しい街をつくる」という強い信念に圧倒された。その信念を丁寧
業や企業の宿命だ。苦しい時こそ広報の真価が問われる。特に受賞された
に説明し、反対論者も最後には納得させる。森ビルの街づくりを支えてき
方々にそう念押ししたい。
たのは、その優れた広報技術、つまりは対話力に違いない。
2014年10月号〔経済広報〕
13
第¦30¦回¦企¦業¦広¦報¦賞
グループ広報研究③
(敬称略)
ぐる巧みな広報活動に目を奪われがちだが、実はヒルズを中心にした「防
ホールディングスへの権限集約で
グループ間の素早い情報連携を可能に
災の街づくり」や、自ら主導し自治体を巻き込んで取り組んできた「都市
(株)セブン&アイ・ホールディングス
「素顔」
を磨く努力こそ、肝要
大賞を受賞した森ビルは、六本木ヒルズ 10 周年、虎ノ門ヒルズ開業をめ
再生プロジェクト」といった地道な努力が、同社に対する世間の評価、企
業ブランドを底上げしてきたといっていい。
企業広報の最大の役割は危機管理といわれる。不祥事や経営危機などの
ま
松
つ
き
木 けん
健
毎日新聞東京本社
マイナス広報に際し、発信する情報をいかに信用してもらうか。謝罪、反
省を、おざなりではない、
「本音の吐露」としていかに受け止めてもらうか。
かにかかっている。
どんなに厚塗りしても、「化粧」はいずれ剥がれ落ちる。「素顔」を磨く
努力が、いかに重要か。森ビルの受賞は、それを示している。
広報のチカラとは
大賞の森ビルも、最後まで賞を争った企業も、共に宣伝やブランディン
グに長けた有名企業である。宣伝と広報の違いは何か……と、広報力に
フォーカスするのに苦労した。とはいえ今年の森ビルは他を圧倒していた。
「街づくりを通じて人々の生活を豊かにする」。この企業理念に沿って、
派手なイベントも地道な活動も織り交ぜながらコツコツと企業イメージを
発信し続けた。その先に、六本木ヒルズ 10 周年や虎ノ門ヒルズ開業での好
意的報道があった。
選には漏れたが、外部機関やアナリストの評価、報道件数など、様々な
こ
た
え
み
指標を使って自己評価を試みていた企業が目を引いた。広報活動は、営業
横 田 恵 美
などと違って定量評価がしにくい。それだけに、厳しく信頼に足る自己評
毎日新聞社
ない。
『週刊エコノミスト』編集長
14
〔経済広報〕2014年10月号
ループの広報活動について聞いた。
グループの広報体制
それは、何気ない日々の事業、社会活動に、真摯に取り組んでいるかどう
経済部長
よ
セブン&アイ・ホールディングスは2005年にセブン-イレブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、デニーズ
ジャパンの3社の経営統合により設立された持株会社で、今年で10年目を迎える。様々な業態を擁する同グ
価システムが構築できれば、企業経営に新たな緊張感をもたらすかもしれ
グスと連携を取りながら広報活動を行っている。
●窓口の集約による情報の一元化
セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエ
セブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂の
ンスストア事業、総合スーパー事業、百貨店事業の
広報機能をホールディングスに集約している理由
ほか、フードサービス事業、IT/サービス事業、
は、情報の一元化だ。2社は事業会社の中でも特に
金融サービス事業、専門店、製造加工事業、不動産
広報対応が多く、情報発信元が分散することで情報
/警備事業など、多様な業態を擁する流通サービス
に統一感がなくなることが懸念される。ホールディ
グループで、約150社から成る。
ングスの鈴木敏文会長も、できる限り広報窓口を一
●広報センターの役割と連携
本化し、少数精鋭のスタッフによって、統一された
ホールディングスには広報センターという広報機
情報を社外に発信することが好ましい、と考えてい
能を設置している。報道対応など、社外への情報発
るという。また、トップと距離の近いホールディン
信担当が12名、グループ報の作成など、社内への
グスに2社の広報機能を置くことで、トップからの
情報発信担当が2名の計14名の体制で、セブン-イ
指示・命令もダイレクトに伝えることができる。
レブン・ジャパン、イトーヨーカ堂、そごう・西武
また、広報センター内での役割分担は、セブン-
などの主要事業会社からの転籍者や出向者で構成さ
イレブン・ジャパンの出身者がイトーヨーカ堂を担
れている。
当するなど、所属会社の垣根を超えて割り振ってい
ホールディングスの広報センターは、ホールディ
ングス自体の広報と、グループ各社の広報部門の支
援を担っている。また、主要小売り2社(セブン-イ
レブン・ジャパンとイトーヨーカ堂)には広報部門
はなく、ホールディングスの広報センターが一元的
に対応している。 る。こうすることで、事業会社間の理解が進み、情
報の壁を取り払うことができているという。
情報連携の仕組み
同グループでは、半期に2回のペースで、グルー
プ広報担当者の連絡会議を開催している。連絡会議
そごう・西武も主要事業会社だが、百貨店という
では、傘下の15 ~ 20社をホールディングス本社に
創業家から招聘されカルビーを高収益体質にしたプロ経営者のお二人。共
業態の性質上、各店舗で地域に密着した情報発信が
一堂に集め、ホールディングスからの情報共有、方
に人材の多様性の重要さが肌で分かっている経営者で、今日的意義の高い
必要となるため、ホールディングスの広報センター
針確認や、事業会社の課題や近況報告のヒアリング
人選になった。
ではなく、そごう・西武の広報部門が、各店舗の営
を行っている。会議後は毎回懇親会を開催してお
業広報を中心に統括している。その他のグループ会
り、広報担当者同士の人間関係づくりにも努めてい
社には、それぞれ広報担当者がおり、ホールディン
る。この定期的な連絡会議を行うことで、日ごろの
経営者賞は、ダイキン工業でグローバル化の陣頭指揮を執った実力者と、
2014年10月号〔経済広報〕
15
グループ広報研究③
ホールディングスと事業会社との情報の連携をス
情報連携のルートは複数あるが、事業会社の広報
り組んでいるプロジェクトの内容も掲載している。
のSNS
(ソーシャル・ネットワーキング・サービ
ムーズにする狙いもある。
から直接、広報センターに寄せられる場合も多い。
例えば、セブン-イレブン・ジャパンでは、春から
ス)も管轄している。具体的には、2012年からセブ
●社外への情報発信
事故や事件についてはホールディングスの渉外部門
「セブン-イレブン西日本プロジェクト」という、関
ン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂でフェイ
に一報が入り、広報センターに速やかに報告が入る
西圏の強化プロジェクトを始めている。このプロ
スブックページを立ち上げており、セブン-イレブ
こととなっている。
ジェクトでは、関西圏の商品開発や販売に一層力を
ン・ジャパンのファン数は55万人に上る。
各社でプレスリリースを発信する際には、基本的
にホールディングスの広報センターに確認を取る仕
組みとなっている。ホールディングスでは、事業会
重大事象発生時以外にも、危機管理に関するグ
入れるべく、関西圏の消費者が好むメニューや味付
投稿内容は、新商品の紹介やキャンペーン情報に
社がいつ、どのような内容を発表するのかを全て把
ループ各社からの相談が、ホールディングスに日ご
けの研究などを行っている。各社が現在進めている
加え、簡単なブログのようなものを投稿している。
握している。広報センターではプレスリリースの内
ろから寄せられているという。ホールディングスで
事業内容を紹介し、グループ社員に他社についても
広報センターのメンバーと、販促部門、商品開発部
容や表記などをホールディングスの基準に照らし合
はその都度、判断を下してグループ各社に指示を出
把握してもらうことで、グループとしての一体感を
門、システム部門などが週1回集まり、投稿内容に
わせてチェックし、各社に承認を出している。非常
している。例えば、最近の事例では、中国産の食品
高める狙いもある。
ついて台割りを作成している。SNSのみでの効果
に細かな案件の場合、例えば、百貨店の店舗が地域
の使用について業界全体で話題となり、雑誌社など
に向けて個別に発信する情報などでも、内容は各社
からグループ各社にもアンケートが送られてきた。
メッセージをはじめ、社内に共有すべき情報や各社
に任せることもあるが、事前にホールディングスに
その際の情報開示の基準や答え方についてもホール
で発表予定のリリース、グループ報で取り上げた内
一方で、社員のSNS利用に関する教育も実施し
情報を連携することとなっている。
ディングスとグループ各社で事前に情報連携し、グ
容をコンパクトにまとめたものを掲載している。店
ている。2012年に、フェイスブックやツイッター
ループとして統一感のある対応を行った。
舗などの現場はパソコン環境が整っていないため、
を利用する際のガイドラインを社員向けに作成し、
基本的には社内への情報発信はグループ報を主体と
通達で共有を行った。現在も、社内ポータルなどに
しているが、タイムリーな情報提供には社内ポータ
掲載するほか、不定期に加盟店オーナーや各店舗の
ルを活用している。
店長まで含めた注意喚起を行っている。
ホ ー ル デ ィ ン グ ス が 主 導 し、 事 業 会 社 の 広 報
と連携 を 取 り な が ら リ リ ー ス を 発 表 す る こ と も
ある。例えば、最近の事例では、セブン&アイ・
グループ内のコミュニケーション
ホールディングスの新たな商業施設「GRAND TREE
ホールディングスでは、月刊のグループ報
(社内
MUSASHIKOSUGI
(グランツリー武蔵小杉)」のリリー
報)と、グループ内のポータルサイトで、グループ
スを発表した。施設内にはグループ企業であるイ
社員に情報を発信している。グループ報は各店舗の
トーヨーカドー、そごう・西武、ロフト、アカチャ
パート社員にも配布しており、毎月7万部発行して
ンホンポなども出店するため、ホールディングスの
いる。
社内ポータルサイトでは、会長や社長のトップ
PRイベントやSNSの活用
測定は難しいが、販促面での手応えは感じていると
いう。
グループ全体のブランディングが今後の課題
PRイベントはホールディングスで行う場合もあ
同社が今後の課題のひとつとして挙げるのは、全
れば、事業会社が単独で行うものもある。特に、セ
社的なブランディングだ。同社は現在、リアル店舗
グループ報は、ホールディングスのコーポレート
ブン-イレブン・ジャパンとイトーヨーカ堂の主要
とネットを組み合わせて、グループの取り扱う300
コミュニケーション担当2名と各事業会社の担当者
小売り2社は単独で行う機会も多い。昨今は、PR
万点の商品をセブン-イレブンの店舗を中心に受け
また、グループ各社の情報発信を支援する場合も
との連携で作成しており、月1回編集会議を開催し
イベントや広告・宣伝については、ホールディング
取れるサービスを構築するなど「オムニチャネル」を
ある。例えば、アカチャンホンポは関西に本社を置
ている。編集会議では、どのような情報をグループ
スの名前で打ち出すことを意図的に増やしていると
最重要事業戦略として進めており、より一層グルー
く企業だが、全国的に発表したい案件の場合には東
として共有すべきかが主に話し合われているが、グ
いう。
プ間の連携や一体感が必要となる。
京のマスコミとのネットワークが必要となる。その
ループ会社から、こうした取り組みについて掲載し
際は、ホールディングスから東京のマスコミに情報
てほしい、という情報提供もあるという。
広報センターが中心となり、事業会社の広報とも情
報を連携しながら対応している。
を提供するなど協力体制を築いている。
例えば、同グループでは、行政と連携して
「東北
広報という側面だけでみれば、ホールディングス
かけはしプロジェクト」という復興支援を行ってお
内の広報センターと事業会社との連携は進んでお
グループ報では、トップの理念や思想を共有する
り、メーカーや行政と連携した各事業会社で、商品
り、情報の壁をほとんど感じないレベルで対応でき
ことが重要な目的のひとつとされている。トップと
開発や販売を行っている。このプロジェクトの対外
ているという。
同グループは危機発生時にも、広報センターに素
著名人との対談企画や、各会議、方針説明会での発
的なイベントでは、ホールディングスの広報セン
早く情報が集約される仕組みを構築している。特
言などを取り上げ、グループ社員が認識しておくべ
ターが中心となり、事業会社の広報と連携しながら
活動などとも連携した、グループ全体としての長期
に、小売業を中心に消費者と接点の多い業態の事業
き情報を共有している。
イベントの企画やバックアップを行った。バックパ
的なブランディングはまだ本格化していない状況
ネルにはホールディングスのロゴを一番上に置き、
だ。今後は、オムニチャネル化などの事業戦略とも
●危機発生時の素早い情報連携
会社が多いため、わずかなリスクの芽や対応の遅れ
事業会社各社の取り組み好事例も紹介している。
しかし、広告・宣伝やCSR(企業の社会的責任)
がグループ全体のリスクに繋がるとの認識が、連絡
「突破力のヒント」
というコーナーでは、支店や店舗
その下にイトーヨーカドー、ヨークベニマル、ヨー
絡めた、グループ全体の評判形成やブランディング
会議などを通じて各社にも徹底されている。広報セ
などの現場での成功事例を取り上げている。事業会
クマートなど各社のロゴを並べる形で、グループ全
の強化が、グループとしてのさらなる発展のカギに
ンターに集約された情報はすぐにホールディングス
社によって業態は異なるが、同じ小売業として、こ
体をアピールしている。
なると考えている。 のトップに連携され、対応や情報開示に関する指示
うした成功事例を共有することを重視している。
●SNSの活用
が下りてくる。 16
グループ広報研究③
〔経済広報〕2014年10月号
また、事例だけではなく、グループ各社で現在取
ホールディングスの広報センターでは、事業会社
k
(文:国内広報部主任研究員 鈴木恵理)
2014年10月号〔経済広報〕
17
ドラッカー流コミュニケーション
啓発の言語を使う
vol.3
――問いと比喩で世界が広がる
井坂康志(いさか・やすし) ドラッカー研究者
得意の方法
得意の方法
「問い」という手法は、ドラッカーの得意とするも
のであった。
彼はGMやIBMのような超巨大企業、国家、自
にする。あるいは今月一月と今年一年、さらには
リズム
生まれ変われるなら作曲家になりたいと周囲に語っ
リズム
ていた。音楽にはなみなみならぬ興味・関心を持っ
昔話や音楽には同じテーマが何回も出てくる。音
ていた。彼が挙げたオーケストラの比喩を幾つか見
楽も同じだ。主旋律が1回しか出てこない曲はな
てみよう。
い。基本は繰り返しである。
「オーケストラの指揮者は、オーボエ奏者がいか
マネジメントも繰り返しである。1回だけうまく
に優れた音楽家であろうとも、第一チェロの欠員の
いくのではだめだ。継続的に成果を出すことであ
補充として採用したりはしない。あるいは、指揮者
る。4割の打率があればヤンキースで4番だって打
は、一人の人間を受け入れるために、楽譜を書き直
てる。しかし、人事の打率が4割だったらどんな会
したりはしない」
(『経営者の条件』)。
社もつぶれてしまう。
10年後、20年後、果ては人生目標すべてが質的に
「指揮者は、オーケストラ全体の演奏においてフ
繰り返すことである。同じことを何度言ってもい
異なる。100メートル走のための努力とマラソンの
レンチホルンの奏者の技術と知識をいかに生かすか
い。ゆっくりと、重複を恐れずに話すことだ。鋭く
ための努力が異なるのに似ている。
を知っている。これこそ他の情報化組織のリーダー
あろうとしてはいけない。
治体、そして地元の中小企業からNPOに至るまで
その点について組織全体としての共通の認識がな
幅広くコンサルティングを引き受けていた。常套的
ければ、いかにマネジメントの細部を磨こうとも、
「オーケストラの指揮者に、オーボエの演奏はで
口は、本当にゆっくりだった。彼が早口でしゃべる
な問いとして、「事業は何ですか」がある。日本のコ
衰退は不可避となる。組織とは本来、短期・長期が
きない。しかし指揮者は、オーケストラに対して
のを見たことがない。最初の言葉が出てくるまで
ンサルタントでも、これをアレンジして、
「お宅は何
ない交ぜになって全体として機能する。意識が不統
オーボエがどのような貢献をしなければならないか
に、10秒くらいは考える。ゆっくりと、一語一語
屋さんですか」という問いで相手の意識を触発する
一ならば、あらゆる活動が脈絡のないばらばらなも
を知っている」
(『ポスト資本主義社会』)。
区切るように話す。村上春樹も言うように、人に何
方がいる。
のになる。
が見習うべきモデルである」
(『新しい現実』)。
見事である。ぴたりと決まっている。音楽には興
ドラッカーが話すところを見たことがある。語り
4
4
4
4
かを飲み込ませようとする時は、あなたはとびっき
4
コンサルタントとはよい問いをたくさん持つプロ
事業に伴う問いに加え、やがて何になるか、何で
である。難しいのはよい問いには簡単な答えがない
なければならないかも明らかにしておかなければな
なぜ彼はマネジメントの機能を説明するのに、一
ある意味で、早口で話すよりも、ゆっくり話す方
ところにある。
らない。問いは日々変化していく。創業時と拡大
見畑が違うオーケストラの比喩を使ったのか。ある
が難しい。講演の経験のある方は分かると思う。会
ある時、ドラッカーがコンサルタントとして乗り
期、安定期すべて同じであるはずがない。人も組織
種の合理を超えたものを合理で説明できないからで
場に500人の聴衆が詰め掛けている中、壇上に上が
込み、「事業は何ですか」の問いを発したところ、相
も、その時の発展度合いによって成り立ちを変えて
ある。そもそも、マネジメントは科学ではない。
ろうものなら、たいていの人はつい早口になってし
手が
「瓶の製造です」と答えた。対して、彼は
「容器
いく。その中で、未来への見通しなくして事業の明
の製造なのではありませんか」と返し、その瞬間、
日はなく、ビジョンなくして組織の明日はない。
クライアントには事業の新たな構想が見えたという
逸話が残っている。最初の一言で、コンサルティン
グの大半は終わっていた。
事業に伴う問い
事業に伴う問い
まう。
話す時にはとにかく落ち着いた感じ、リラック
オーケストラの比喩
オーケストラの比喩
スした感じ、それでいて繊細な感じがものをいう。
アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊さんも
せっかちは損だ。 問いのカギは比喩にある。あの文豪ゲーテも「万
言う。働く人にとって大事なのは、論理の力より、
物はメタファー」と言う。メタファーは隠喩という
真摯さだと。真摯さとか人柄の良さとは何か。誰で
意味だ。
も見れば分かる。しかし、科学的には説明できな
ものさえあり得る。だが、やがては陳腐化する。一
語である。人の心の地下室にもするりと入り込ん
所懸命真面目に、しかも創造的に経営しているにも
で、メッセージの本質をおなかに落としてくれる。
かかわらず、地盤沈下していくことがある。問いが
コミュニケーションの達人は比喩の使い手でもあ
陳腐化してしまったのである。
る。
い。良い音楽が科学では説明できないように――。
k
1972 年埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、
ドラッカー学会理事。近著に『ドラッカー入門(新版)
』
(上
田惇生氏と共著)がある。
あのドラッカーも、マネジメントの説明でも、
質量ともに変化していく。ドラッカーが意識を喚起
オーケストラの比喩を使っていた。もともとドラッ
するのが、時間軸である。おおざっぱにいって、彼
カーの生家はウィーンである。音楽の都である。親
の時間軸には、過去・現在・未来という異次元のも
類には音楽関係者がたくさんいた。マーラーやブ
のをどうマネジメントすべきかの意識が働いてい
ラームスとの交流を持つ人もいた。
〔経済広報〕2014年10月号
科学は因果の学問である。原因と結果である。人
り親切にならなくてはならないのだ。
ものはごく一部だ。例えば、ドラッカーもセブン&
科学の言語は合理によるものだが、比喩は詩の言
た。
味がないという人も分かるだろう。
間に関するものは単純ではない。因果で説明できる
問いには長く生き続けるものがある。永遠に近い
問いは変わっていく。上げられた成果とともに、
18
同じ問いでも、今日一日と今週一週間は次元を異
いた。最終的に音楽の道には進まなかったが、次に
ドラッカー自身も、小さいころにピアノをやって
2014年10月号〔経済広報〕
19
ANGLE
7月1~6日
企業広報でもさらなる
今日の日本を包括的視点で
報道したい
女性活用を
NEWS
Keizai Koho Center News
■広報は男の仕事?
■女性パワー全開
理念~日本の総合商社と新しい展
同志社大学経済学部で
7
/ 「企業人派遣講座」を実施
3
開
(1)
」
、講師:渡邊 博之 三菱
した。
( テーマ:
「科学と技術~世
商事 グローバル渉外部グローバ
界同時不況後の成長戦略~」
、講
ル調査チームリーダー)
師:阿部 泰典 日本航空 広報部担
~日本企業の国際戦略とその経営
当部長)
7
/
2
復旦大学国際問題研究
企
業広報に携わって30年近くに
当社のコーポレートコミュニケー
7
/ 「企業人派遣講座」を実施
1
なりました。その間に転職も
ション部は、広報・IR・社内報を
した。
( テーマ:
「国際競争のもと
「中国における日本企業の商品戦
2回経験しましたが、私の仕事の軸
担当していますが、実は、すでに女
での企業の成長戦略」
、講師:黒
略と人材戦略」のテーマで「第27
は、“広報”と言っても過言ではあり
性パワー全開です。9名の部員のう
崎 正吉 味の素 海外食品部長)
回中国勉強会」
を開催した。
ません。そして、
「女性が広報を担当
ち女性が8名(うち1名育休中)。出
する」ということについて、世間の
産・育児をこなして活躍している社
評価の変化に、ある意味で感動を覚
員も3名います。手前みそですが、
7
/
2
7
/
2
えています。
1979年 に 大 学 を 卒 業 し て ダ イ
エーに入社。創業者の故・中内㓛さ
んの
「これからは女性の時代。そし
てダイエーのお客さまは女性。もっ
と女性社員の活用を!」というトッ
プダウンの指令が下る中で、広報
室に配属されました。その流れに
乗って、アシスタントではなく、一
人前の広報担当者になるべく、新聞
のクリッピングからスタートして、
ニュースリリース作成、取材対応な
井上喜久栄
(いのうえ・きくえ)
富士ソフト
(株)
コーポレートコミュニケーション部長
関 西 大 学 法 学 部 卒 業。 ダ イ エ ー 入
社。広報課長、ダイエーと丸紅の合
弁 会 社 デ ィ ー・ エ ム・ イ ン タ ー ナ
ショナル取締役営業本部長などを経
て、2001年IR広報本部広報部長。
2005年 ス タ ッ フ サ ー ビ ス・ ホ ー ル
ディングス入社。広報部ゼネラルマ
ネージャー、宣伝部ゼネラルマネー
ジャーなどを経て、2009年4月富士
ソフト入社、現職。2008年に経済広
報センター第24回
「企業広報賞」企業
広報功労・奨励賞を受賞。
ど、幅広い経験をさせていただきました。
男女雇用機会均等法が施行される以前の時代のこ
慶應義塾大学商学部で
広報分野での女性活用の先頭を走っ
ていると自負しています。私のこれ
までの経験から、時間が不規則にな
りがちな広報担当者には、子育て中
の女性は厳しいのではないかと考え
ていましたが、これが実現できた大
「マスコミ対応のキホ
協和発酵キリンの高崎
工場
(群馬県高崎市)で「企
業と生活者懇談会」を開催し、生
活者19名が参加した。
7
/
4
当センターの最近の事業
活動と今後の予定を関西地
ン」をテーマに「企業広報
区の会員に説明するとともに、意
「企業人派遣講座」
(横浜市と共催)
講座
(第2回東京会場)
」を開催し
見を伺うことを目的に、
「事業活動
を実施した。
( テーマ:
「都市マネ
た。講師はハーバーコミュニケー
に関する懇談会および講演会」を
ジメント~環境未来都市の実現へ
ションズの五十嵐寛代表取締役。
大阪市内で開催した。懇談会終了
~産業界の挑戦と都市マネジメン
参加者は70名。
後、内閣官房情報セキュリティセ
市イノベーション学府で
ト~」
、講師:信時 正人 横浜市 温
ンターの三角育生内閣参事官が
7
/
2
IT ITS開発部エキスパート
科教育関係者招聘プログラム」を
たことがあります。加えて、企業広
リーダー、穐本 敬子 積水ハウス
2~ 11日の日程で実施した。最
報そして新聞社やテレビ局でも女性
技術部部長、白鳥 奈緒美 東京急
終日には、日本経済新聞社の横
の躍進によって、従来の長時間・滅
行電鉄 都市開発事業本部都市戦略
山晋一郎社会部編集委員をモデ
当センターが後援する
7
/ 「第58回最新環境教育(C
6
事業部企画開発部企画担当課長)
レーターに
「これからの教育・北
O₂等)に関わる教育セミナー」
「第
通信技術)の発展で、時間や場所に
縛られない働き方が可能になってき
私奉公型の働き方を見直さざるを得なくなったこと
暖化対策統括本部環境未来都市推
も大きいと見ています。
当社では、在宅勤務制度の対象範囲を2013年1
ことを認識してもらえずに、私が記者からの電話を
月から全社員に広げ、在宅勤務用のシステム環境や
受けると、
「誰かいますか」ということが日常茶飯事。
コミュニケーションツールを整備し、利用の仕方も
その中でもへこたれずに、広報業務の経験を積み、
柔軟なものにしています。2012年2月から実施し
記者の皆さんとの信頼関係を築きながら、“女性”と
た実証実験の第1号は、コーポレートコミュニケー
いう枕詞が付き物でしたが、広報課長、そして広報
ション部のママさん社員2名でした。そして、実験
部長としてキャリアを積むことができました。その
の終了間際にそのママさんが思わず発した一言「や
間、マスコミでも女性記者の登用が始まり、“記者
れば、できた!」
。
そして現在。安倍政権は女性活用を成長戦略の柱
長・副教授の張 浩川氏を講師に、
7
/
3
進担当理事、二見 徹 日産自動車
きな背景には、近年のICT(情報
と。企業で女性が男性と同様の業務を担当している
は男の仕事”という世界にも変化の波が。
横浜国立大学大学院都
院日本研究センター副所
7
/
2
のひとつとして、2020年までに、指導的な地位に
私としても、広報の原点であるフェース・ツー・
占める女性の割合を30%に引き上げる目標を掲げ
フェースのコミュニケーションを基本としつつ、タ
ています。長らく続いた男性中心の社会を本当に
ブレット端末などの情報機器を駆使した広報活動と
チェンジできるのか、正念場です。そして企業で働
の両輪で、新しい企業広報のスタイルに挑戦してい
く女性には絶好の追い風といえます。
きたいと考えています。
「我が国のサイバーセキュリティ
教 師 を 招 聘 し「 北 米 社 会
政策に関する現状と今後」と題し
て講演した。参加者は53名。
米 教 師 の 視 点 -Challenges and
38回産業教育シンポジウム」が札
早稲田大学国際教養学
Opportunities- 」と 題 す る セ ミ
幌市で開催され、約50名の教員
部で
「企業人派遣講座」を
ナーを開催した。参加者は約40
が参加した。
実施した。
( テーマ:
「日本企業論
11月号
定価:1300円
(税込)
編集・発行
株式会社宣伝会議
k
(国内広報部 岡本清美)
名。
PR・IR・危機管理
これぞ現代版「男もすなる“広報”といふものを、
女もしてみむとてするなり」
です。
北 米 か ら10名 の 社 会 科
[巻頭特集]
なぜ増えた? 社員の
「顔」
を見せる広報
インナーを活性化させるPR
[特集]
スケジュール変更の影響は?
採用広報とリスクマネジメント
購読申込
月刊「広報会議」読者サービスセンター
TEL:03-6418-3328
インターネットからもお申し込みいただけます。
http://sendenkaigi.com/
[シリーズ]
デジタル広報再入門
(4)
ニュースリリースの届け方 改善計画
この時代の風に乗る広報ウーマンの皆さんの活躍
を期待しています。 20
〔経済広報〕2014年10月号
k
2014年10月号〔経済広報〕
21
広報管理職講座2
技 術 広 報
研 究
1
花王(株)
日用品メーカーとして、
伝統ある技術広報を現代に繋ぐ
近年、エネルギーやバイオテクノロジーなど科学技術に関する記事が世の中に与える影響が大きくなって
きている。しかし、技術系の記事は専門用語ばかりで非常に難解なものも多く、一般の方に伝わりづらいと
管理職と担当者の
違い
いった現状がある。そのため、企業のイメージや商品の機能の裏付けや信頼性向上のため、自社の技術を分
かりやすく伝える
「技術広報」が注目されるようになった。各社の技術広報を研究する連載の1回目として花
王を紹介する。
技術広報を始めた経緯
花王の技術広報の原点は、1934年に設立された
「家事科学研究所」にある。当時は、家事に対して古
支える技術である。近年は環境への取り組みを伝え
るべくLCA
(Life Cycle Assessment)の視点で、日
用品に含まれる環境技術を分かりやすく伝えるよう
努めている。
PR総研 所長/広報の学校 学校長
広報専門職に求められる資質
広報の新時代
日本の企業広報の中心領域は社会と共に変化して
きた。無料広告の位置付けの時代から、パブリシ
ティー重視のマーケティング広報、不祥事対応の企
なお現在、広報組織の中で社外向けの担当は10
通常、広報職は大きく3つの階層に分かれる。ま
業防衛型広報、社会との共生をアピールする企業イ
多く、室内や身体を清潔に保ちにくい時代だった。
人程度であるが、そのうちのおよそ2割が技術を中
ず、現場で実務担当者として日々戦術レベルの業務
メージ向上広報、幅広くコミュニケーション活動の
そこで、清潔で豊かな暮らしの実現に貢献すること
心にした広報活動に従事している。
をこなす広報部員。次に、広報計画を立て、広報活
統合を志向するコーポレートコミュニケーション、
花王の技術広報の特徴
動を組織化、コントロールし、戦略・戦術レベル両
さらにはコーポレートガバナンス、CSR
(企業の
面で広報課題を解決する中間管理職。そして、リー
社会的責任)へと活動領域はシフトしてきた。
い習慣や知識のなさから、間違いや非効率なものも
を目指し、花王の同研究所は石けん、シャンプーや
衣料用洗剤を使った合理的な家事を科学的に研究
し、清潔とは何か、清潔にする必要性、そして清潔
同社のリリースなどで示される技術広報は、
「高校
ダーとして活動全体を統括し、マネジメントレベル
にする方法を、様々な機会と手段で一般の方に公開
生が読んで理解できる」レベルの分かりやすさを目
で社会変化を深く迅速に識別・分析して広報戦略を
テークホルダーの共感の獲得へと大きく転換した。
した。これはまさに、同社の家事に関する技術情報
標としている。あくまで商品の使用者は一般の方で
立案し、PDCAサイクルを回して会社の評判
(レ
これには、メディアと情報接触パターンの構造変
を一般の方に分かりやすく伝えるという技術広報そ
あり、リリースも一般の方が理解できることが重要
ピュテーション)やコーポレートブランドを構築・
のものであった。その広報活動は、機関誌『家事の
と考えている。読む対象が専門家である場合も、専
科学』の発行や、6年間でおよそ4500回にも及ぶ講
門家の分野や理解力も様々であり、その専門家が発
習会、工場見学など非常に活発であった。その後、
する情報も最終的には一般の消費者が見ることも想
同研究所は1971年に
「花王生活科学研究所」と名前
定されるので、やはり
「高校生が読んで理解できる」
を変え、相談窓口業務や講習会、機関誌で、商品の
レベルまで分かりやすい内容にすべきと考えてい
性能が十分に発揮される使用方法など家庭生活を豊
る。専門用語は2、3個にとどめるよう努力してい
かにする幅広い技術情報を提供するようになった。
るが、正確であることも重要であり、難しい言葉を
広報部における技術広報
使用することもある。この場合は必ず注釈を入れる
などの配慮を心掛けている。
強化・維持する責任者の3層である。
この3層の広報専門職に求められる基本的な資質
情報伝達の目的も、認知
(アテンション)からス
化の影響が大きい。ただメディアの変化を、マス
(オールド)メディアの衰退とインターネットの隆盛
と捉えるわけにはいかない。今もネット上の情報の
は共通している。そもそも広報に携わる者の職務
80%はオールドメディアの新聞・テレビ発である。
は、企業とステークホルダーを、情報を通じてコー
しかも情報の信頼度はオールドメディアに軍配が上
ディネートすることである。この職務を遂行するに
がっている。最も大きな変化は、自分から情報を取
は、まずベーシックなコミュニケーション力、次に
りにいくプッシュ型から、ニュースはフェイスブッ
情報を収集・分析・評価し情報発信に生かす情報
クやツイッターなどのソーシャルメディアで友人・
力、さらに社会と最も近いコンタクトポイントであ
知人からやってくるプル型へとシフトしたことであ
る広報故に得られる外部の視点と客観性を武器とす
る。マスメディアは、ネットから得た情報を事実確
る判断力の3つである。
認するメディアへと位置付けを変えつつある。
広報部として技術広報を始めたのは、1987年で
同社広報部の繁田明課長は、
「印象に残った技術リ
担当者と違い広報管理職に特に求められる能力
こうしたメディアと社会の大変革から何が起こる
ある。特に1990年における化粧品「ソフィーナ」で
リースは『髪の加齢研究』である」と話す。
「年齢と共
は、高いレベルの情報力と判断力である。広報管理
のかを察知するナビゲーター、センサー機能が広報
は、商品の説明だけでなく、商品の本質である皮膚
に髪の毛がうねる、ツヤがなくなる原因を解明した
職が担当する戦略やマネジメントレベルの仕事で
の重要な役割となってくる。変化から派生する
「イ
科学、すなわち皮膚の構造の解説に始まり、健康な
基礎的な研究であるが、何度も記事に取り上げられ
は、変化を鋭いセンサー、あるいはナビゲーター力
シュー」「クライシス」を予測し、対処の戦略を立て
皮膚に必要なものは何かを一般の方に分かりやすく
たことから、研究内容もリリースの分かりやすさも
で早期にウォッチし、深く洞察し、分析する情報力
る「イシューマネジメント」が、広報管理職のこれか
説明する同社独特の技術広報を開始した。その後、
非常に良かったのではないか」
と言う。また、
「この
と、情報を評価し、正しく見極める判断力、とりわ
らの最大のテーマという時代が来たのである。広報
企業価値の向上を目指して、広報部と研究部門が密
研究を応用したヘアケア商品も非常に好評で、強い
け優先順位付けの能力が問われる。
領域がコミュニケーション分野を超えて、経営戦略
に連携することで、特定の商品ではない、幅広い展
ブランドづくりにまで繋がった意義深いリリース
開が期待される基盤技術の広報を始めた。基盤技術
だった」
と振り返る。 k
とは、例えば、肌や髪の毛の研究や家庭内のカビや
菌の調査研究、脂肪の代謝研究など、商品の基礎を
22
篠崎良一(しのざき・りょういち) 〔経済広報〕2014年10月号
(文:国内広報部主任研究員 磯部 勤)
分野に入り込むという時代を迎えている。
k
早稲田大学卒。出版社を経て、共同ピーアール入社、取締役、常務取締役、取締役副社長を経て現職。企業・団体の広報・危機管理
コンサルティング、広報・危機管理研修担当。2003年5月
「広報の学校」
を開校。2013年1月「PR総研」
を設立。著書に
『実戦企業広
報マニュアル』
『会社を守る!もしものときのメディア対応策』
『広報・PR概論』
(共著)
『広報・PR実務』
、
(監修)
など。
2014年10月号〔経済広報〕
23
企業広報ニュース
ウェブ
サイト
〔経済広報〕2014年10月号
広 報
トピックス
豊川ICの間で集中工事を予定しており、その周知徹底を図っている。
今回の集中工事では、例年の舗装工事や防護柵の取り替え工事に加え、安全性向上の取り組
NEXCO中日本 2014年秋
日本船主協会は、海運の役割や重要性について、映像を通して
広く一般の方々に理解を深めていただくよう、海運紹介映像DV
D
『暮らしを支える日本の海運』を制作し、希望者に無料で配布し
ている。
■第1章「世界をつなぐ海上輸送」
日本の総貿易量の99.7%は船によって輸送されている。原油タ
ンカーをはじめ、コンテナ船、自動車専用船など、様々な船のダ
イナミックな航行映像、日常なかなか目にすることができない荷
役映像を収録。さらに、日本の海運会社が展開しつつあるグローバルな海上輸送を紹介。
■第2章「国内の暮らしと経済を運ぶ」
国内輸送もその4割は海上輸送が担う。実際に運ばれている身近な貨物を、インタビュー
を交え収録。また災害の救援に貢献した日本の海上輸送を紹介。
■第3章「質の高い海上輸送を目指して」
日本の海運会社が最優先事項のひとつにしている安全運航の徹底について、積み重ねられ
たノウハウに基づく様々な取り組みを収録。
■第4章「地球環境にやさしい海上輸送」
海上輸送は環境にやさしい輸送モードであり、さらなる取り組みとしてソーラーパネル搭
載船など、最新鋭船を紹介。
ほかに、コンビニ店内の商品から海上輸送を経た品物・原材料を取り除くと、どのような光
景になるかといった身近な切り口で紹介している。
教育機関や企業・団体など、各方面から反響があり、DVDをセミナーで上映したい、イベ
ントで配布したい、大画面で再生したいなど、様々な要望が寄せられている。
なお、ご希望の方にDVDを発送いたしますので、①送付宛先(担当者役職/氏名・Tel /
E-mail)、②本数、③利用(配布)先をご記入の上、下記へお申し込みください。 k
申込先:(一社)日本船主協会 総務部 広報担当
Tel:03-3264-7181 / Fax:03-5226-9166
E-mail:[email protected]
(
(一社)
日本船主協会 総務部副部長 髙橋裕之)
中日本高速道路は、東名高速道路の安全・安心・快適な利用のために、2014年10月20日(月)
から11月7日
(金)まで
(土・日・祝日の工事は行わない)
、東京IC
(インターチェンジ)から
みとして、標識、情報板などの落下対策を含む二重の安全対策やコンクリートはく落対策を追
加し、昼夜連続車線規制により行う。短期間に集中して工事を行うことで、年間の工事規制回
数を約4割削減でき、その結果、工事による渋滞を大幅に削減できるとしている。
昨年の集中工事では、御殿場IC付近で昼夜連続の2車線規制
(片側3車線のうち2車線を
規制する工事)を行ったことで激しい渋滞が終日発生したため、今年は東京ICから御殿場J
CT(ジャンクション)の2車線規制は交通量の比較的少ない夜間に行われる。そのため、工事
実施時間が減少することになり、また高速道路の安全性向上の工事を追加したことで工事期
間を3週間にしている(11月4日(火)からの3週目の工事区間は東京ICから御殿場JCTの
み)
。
中日本高速道路では、工事期間中に高速道路を利用するに当たり、①ゆとりを持った利用、
②中央道への迂回、③渋滞末尾での追突事故に注意、④全席シートベルトの着用、を呼び掛け
ている。
なお、集中工事の概要、所要時間予測、規制情報などの情報は、中日本高速道路ホームペー
ジ(http://www.c-nexco.co.jp/)で確認できる。 k
(国内広報部主任研究員 伊藤貴範)
Book
『コミュニティ
マネージャーの仕事』
海運紹介映像DVD
『日本の海運』
24
デジタルデバイスの劇的な普及拡大により、一般生
活およびビジネスにおける情報への接触形態・環境が
社会的にドラスティックな変化を遂げている。東洋ゴ
ム工業に関わりを持っていただく、いわば入り口に当
たるコーポレートサイトを「主体的に社会とコミュニ
ケーションしていくための重要メディア」として位置
付けて、4年ぶりにリニューアルを実施した。もちろ
ん、デバイスごとにコンテンツを自動的に最適化して
表示するマルチデバイスにも対応した。
トップバナーでは当社のアクティブな話題を前面訴
求。また企業の取り組みをブログ風に伝える情報発信
欄「イベント&トピックス」をビジュアル主体でトップ
ページ中央に置き、ほかにグローバル動画コンテンツにリーチできる“TOYO TIRES Tube”も新
設した。IRページは全面改訂。リアルタイム株価表示や最新IR資料の見やすさや検索性も
向上させた。さらに、スポンサー契約を結んだACミランの最新情報を届ける特設サイトや
フェイスブックページを新規開設したほか、クルマやタイヤに関する情報サイト、モーターイ
ベント特設サイトのチューンナップも行った。
テキスト主体のインフォメーション蓄積型で、企業カラーが乏しく没個性的であった旧サ
イトを、機能面で「無機から有機に」、コンテンツ面で「静から動へ」変革することをテーマに、
様々な目的で来訪する方の目線に合わせるよう改善した。自社のリソースをフルに生かして、
魅力の発信を継続していく。 k
(東洋ゴム工業
(株)
広報企画部 本社PRリーダー 布柴淳也)
東名高速道路集中工事を実施
東洋ゴム工業がコーポレート
サイトをリニューアル
教育支援
企業広報ニュース
多くの企業が、ツイッターやフェイスブックに代表される
ソーシャルメディアの公式アカウントの運用を始めている。
同書は、ソーシャルメディアの公式アカウントの運用主体者
であるコミュニティマネージャー
(ソーシャルメディア担当
者)の仕事に焦点を絞り、ブランドコミュニティづくりのノ
ウハウをまとめたものである。
著者は、まず、ソーシャルメディアの公式アカウントにつ
いて、
「必ずしもブランドの熱心な支持者が集まる場ではな
く、企業がブランドへの関与が低い層からエバンジェリスト
(伝道者)まで幅広い層とつながる場」であり、
「ここにロイヤ
ルカスタマーなどが集まる一般的なブランドコミュニティの
運営とは違う難しさがある」と述べている。第2章では、公
式アカウントの開設からコンテンツの企画と運用、効果測定
中山 領 著、翔泳社
などの実務、第3章では、継続性のある運用体制づくりのた
2014年6月発行、
めの部門間協力の取り付けや予算確保、運用チーム編成と
1800円
(税別)
いった体制整備について、体系的かつ具体的に解説してい
る。
また、第5章には複数のコミュニティマネージャーのインタビューが掲載されており、各企
業の取り組みを知ることができる。
初めてソーシャルメディアの運用に携わることになった担当者や、思うように効果を得られ
ず悩んでいる担当者に読んでもらいたい一冊だ。 k
(国内広報部主任研究員 大野祥子)
2014年10月号〔経済広報〕
25
2014
10
企業・団体のCSR活動
森永製菓・森永乳業の
「森永リトルエンゼル育成 無人島探検隊」
森永製菓(株)・森永乳業(株)
お問い合わせ先
森永製菓(株)コーポレートコミュニケーション部 TEL:03-3456-0274
森永乳業(株)広告部 TEL:03-3798-0138
HP
http://morinaga.com
http://www.kkc.or.jp/
平成
昭和
年 月 日発行
(毎月 回 日発行)
第
年 月 日第 種郵便物認可
55 26
10 10
23 1
3
1
1
先ほどまで海で一緒に泳いでいた魚たち。子どもたちが釣り、
浜鍋として命をいただいた
ロッククライミングに挑戦。頂上から見下ろす美しい景色に感
動し、挑戦の先にある達成感を体感
巻第
36
機会もあり、生きていく上で欠かせない
「食べる」
と
事業となった「森永リトルエンゼル育成 無人島探検
いう行為は、ほかの生物の命をいただくことだとい
隊」
。小学4~6年生の探検隊員を全国から一般公
う
「命のおはなし」
を聞いたり、砂浜の清掃を行った
募で募り、奄美大島近くの無人島「江仁屋離島」で行
りもした。
えにやはなれじま
う探検活動で、今年で15回目を迎えた。
6日間を終えた子どもたちは、
「また無人島に戻っ
小学生探検隊員たちは、海や山で思いっ切り遊
てくる!」
「たった6日間生活しただけで、人ってこ
び、食事から寝る場所まで、みんなで力を合わせて
んなに変わるんだな」「人生で絶対できなかった旅
用意する。水道、電気、食糧など、普段あって当
だった」
と、成長した様子を見せたという。
然と思われるモノが無い無人島での直接体験を通し
電気もガスも水道もない、普段とはまったく異な
て、子どもたちに生きる上で大切なモノを自ら発見
る環境の下で、30人もの子どもたちの生活や行動
してもらうことを目的としている。
を安心安全にサポートするため、探検隊には、野外
今年は7月に、30名の小学生が参加して5泊6
活動の専門家や医師などのスタッフも同行する。毎
日で開催された。集まった子どもたちはお互い初対
晩、子どもたちが寝静まった後、遅い時間まで、今
面で、最初は口数も少なかった。しかし、海遊びや
日の出来事や明日の予定、子どもたち一人ひとりの
島探検、星空観察といった各種プログラム、また共
様子、島や天候の状況など、様々な内容のミーティ
同での食事づくりなどの体験を通して、6日間で仲
ングを行い、子どもたちの活動を支えた。
この無人島探検では、
「挑戦する力」
「想像力」
「自然
との共生力」
「人間関係形成力」
「思考・行動力」
「“食”
を考え、創る力」
「危機管理力」
、この7つの力への
気付きと育成を目指すプログラムを実践している。
森永製菓と森永乳業は、これからも豊かな人間性を
育み、
「生きるため」
に必要な7つの力について、子
どもたちの自発的な気付きの機会を提供していく考
えだ。 「来た時よりも美しく」をスローガンにビーチクリーンを実施。環
境への意識・理解を深め、美しい自然を保持していくことを学ぶ
発行:一般財団法人 経済広報センター
k
(国内広報部主任研究員 杉山佳子)
Printed in Japan
10
422
発行人/中山 洋 編集人/佐桑 徹 [ ISSN 0918–4600
]
東京都千代田区大手町一 三
(本体価格三〇〇円+税)
- 二
- 経団連会館 電話〇三 六
- 七四一 〇
- 〇 二 一 〒一〇〇 〇
- 〇〇四 ( 送料別、賛助会員の購読料は会費に含む)
て始まり、2004年から森永乳業との合同社会貢献
号
間になっていく。さらに、地球環境との共存を学ぶ
号通巻
1999年に森永製菓の創業100周年記念事業とし