社会学特講 試験問題 1 2009 年 6 月 19 日 問題 1. 次の変数は、離散変数か、それとも連続変数か (2×4 = 8 点)。 表1 (a) 年収, (b) 出身高校, (c) 支持政党, (d) ケータイ電 架空の世論調査の結果 学歴 年齢 話に登録している電話番号の数 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 2. 表 1 のデータから、内閣支持の度数分布表を作りなさ い。ただし、相対度数と累積相対度数(小数点以下第 2 位まで)も合わせて計算しなさい。 3. 表 1 のデータから、年齢のヒストグラムを作りなさい (8 点) 。 4. (a) 表 1 のデータから、学歴と内閣支持のクロス表を 作りなさい(4 点) 。(b) 学歴と内閣支持の一方を説明 変数、もう一方を被説明変数とみなすならば、どちら が説明変数で、どちらが被説明変数になるか(3 点)。 (c) どちらが説明変数であるかを考慮して、行パーセ ント、または列パーセントの、いずれか適切なものを 計算しなさい(4 点)。 5. 次の表(裏面)の X の平均値、中央値、分散、標準 偏差、変動係数、Z 得点、偏差値をそれぞれ計算し なさい。ただし、小数点以下第 1 位まで求めなさい (4 × 7 = 28 点)。 1 中卒 中卒 中卒 中卒 中卒 中卒 中卒 中卒 中卒 中卒 高卒 高卒 高卒 高卒 高卒 高卒 高卒 高卒 高卒 高卒 大卒 大卒 大卒 大卒 大卒 大卒 大卒 大卒 大卒 大卒 30 36 29 62 42 32 32 32 49 29 19 36 29 27 45 53 45 40 43 35 45 42 50 32 33 47 43 26 35 39 内閣支持 1 1 1 1 1 1 1 2 2 3 1 1 1 2 2 2 2 3 3 3 1 1 2 2 3 3 3 3 3 3 支持する 支持する 支持する 支持する 支持する 支持する 支持する どちらともいえない どちらともいえない 支持しない 支持する 支持する 支持する どちらともいえない どちらともいえない どちらともいえない どちらともいえない 支持しない 支持しない 支持しない 支持する 支持する どちらともいえない どちらともいえない 支持しない 支持しない 支持しない 支持しない 支持しない 支持しない X 1 25 2 18 3 40 4 23 5 11 6 23 7 30 8 1 9 42 10 30 6. 次の身長の度数分布表から、30 パーセンタイルと、75 パーセンタイルを計算しなさい(小数点以下第 1 位ま で) (6 × 2 = 12 点)。 度数 相対度数 累積相対度数 140cm 未満 140∼150cm 150∼160cm 160∼170cm 170∼180cm 180∼190cm 190cm 以上 4 8 20 30 23 10 5 0.04 0.08 0.20 0.30 0.23 0.10 0.05 0.04 0.12 0.32 0.62 0.85 0.95 1.00 表2 宗派と博士論文のテーマ(Gross (2002) より) 分析哲学 大陸哲学 プラグマティズム その他 プロテスタント カトリック ユダヤ 7. 以下の表は 5 人分の所得のデータである。これに関し 無神論 てジニ係数を計算し(小数点以下第 2 位まで)、ロー その他の宗教 レンツ曲線を描きなさい (6 × 2 = 12 点)。 所得 1 300 2 400 3 500 4 600 5 1200 8. 表 2 は、アメリカの哲学者に信仰する宗教と博士論文 のテーマをたずねた調査結果である。宗教と博士論文 の間にはどのような関係があるか、また、なぜそのよ うな関係があるか、必要な数値を計算し、この表を社 会学的に解釈しなさい(10 点)。 【文献】 Gross, N., 2002, “Becoming a pragmatist philosopher: Status, self-concept, and intellectual choice,” American Sociological Review, 67(1): 52–76. 2 9 4 9 24 10 14 27 4 18 14 8 14 2 8 5 8 7 1 6 7 1 支持する 2 どちらともいえない 3 支持しない 高卒 0.3 0.4 0.3 大卒 0.2 0.2 0.6 中卒 0.7 0.2 0.1 答え 1. (a) 連続変数, (b) 離散変数, (c) 離散変数, (d) 連続 変数 5. X の平均値などなどは以下の表の通り。 2. 内閣支持の度数分布表は以下の表の通り。 variance 合計 243.0 平均 24.3 中央値 24.0 分散 138.8 標準偏差 11.8 変動係数 0.5 度数 相対度数 累積相対度数 1 支持する 2 どちらともいえない 3 支持しない 12 8 10 0.40 0.27 0.33 0.40 0.67 1.00 3. 年齢のヒストグラムは以下のうちどれか。 6 Frequency 8 10 Z 得点 偏差値 1 0.059 50.6 2 −0.535 44.7 3 1.333 63.3 4 −0.110 48.9 5 −1.129 38.7 6 −0.110 48.9 7 0.484 54.8 8 −1.978 30.2 9 1.502 65.0 10 0.484 54.8 0 2 4 6 4 0 2 Frequency 8 10 X の Z 得点と偏差値は以下の表の通り。 10 20 30 40 50 60 70 10 20 30 40 50 60 70 年齢 2 3 Frequency 4 3 Frequency 4 5 5 6 7 6 年齢 1 1 2 6. テキスト 168 ページの式 (9.7) に当てはめていくと以 0 0 下のようになる。 20 30 40 50 60 70 年齢 20 30 40 50 60 70 年齢 4. (a) クロス表は下記の通り。 1 支持する 2 どちらともいえない 3 支持しない 高卒 3 4 3 大卒 2 2 6 中卒 7 2 1 (b) 学歴が説明変数で内閣支持が被説明変数。 (c) 行 パーセント計算する。結果は以下の表の通り。 3 i yk−1 yk xk−1 xk Q1 30 パーセンタイル 75 パーセンタイル 30 75 12 62 32 85 150 170 160 180 159.0 175.7 7. G = 0.27。ローレンツ曲線は以下の通り。 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 累積所得相対比率 0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 累積相対度数 8. 信仰する宗教は博士論文を書く前に決まっているこ とが多いであろうから、宗教を説明変数、博士論文の テーマを被説明変数と考える。そこで、表 2 から行 パーセントを計算すると、下の表のようになる。 分析哲学 大陸哲学 プラグマティズム その他 プロテスタント カトリック ユダヤ 無神論 その他の宗教 0.23 0.08 0.56 0.43 0.28 0.36 0.52 0.25 0.32 0.39 0.21 0.27 0.12 0.14 0.14 0.21 0.13 0.06 0.11 0.19 まず分析哲学の列を見ると、ユダヤ教と無神論は、他 の宗教よりも分析哲学をテーマとして選ぶ比率が高い ことが分かる。また、大陸哲学の列では、カトリック が相対的に高い比率であり、プラグマティズムでは、 カトリックとプロテスタントが高い。このような関連 が生じる理由として、分析哲学は合理主義的であるの で、ユダヤ教や無神論と親和性が高いと考えられる。 また、ウィリアム・ジェイムズに特徴的であるが、プ ラグマティズムは宗教に一定の正当性と居場所を与え ることがあるので、プロテスタントやカトリックに好 まれていると思われる。大陸哲学がカトリックに好ま れるのは、反合理主義的な点で両者に親和性があるか らかもしれない。(この問題は、さまざまな解答が考 えられるが、上記のように表の特徴を記述し、その理 由について考察してあればよい。) 4
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