顧客満足と顧客サービス 顧客満足と顧客 サービス 顧客満足とは、お客様が満足していること、すなわちお客様がその代理 店(の対応)に喜びや感動、感謝といった感情をもつことです。ここで 大事なことは、代理店がお客様を満足させたと思うことではありません。 顧客満足で一番難しいのは、あくまでそれはお客様の判断、主観、感情 であるということです。よくあるケースですが、お客様があなた(代理店) のサービスに対する苦情を申し立ててきた場合に、その代理店に聞くと、 「自分は充分に、特にあのお客様には充分すぎるはどのサービスを提供 してきた」という答が返ってきます。しかし、それはその代理店の判断 (すなわち、顧客ニーズと代理店の顧客サービスとのミスマッチに気づ かない)であって、お客様は実際には満足していないというケースが発 見されます。 お客様のニーズは、お客様にお聞きするのがもっとも確実な方法ですが、 代理店としては、日頃から多くの情報を収集しニーズを把握していくこ とが重要です。 又、顧客満足、特にお客様の代理店に対しての満足度は、本質的には、 お客様が保険料の一部として代理店に払うコミッションの額と、その代 理店から提供を受けるサービスの価値が同額か、それ以上の時に得られ るものです。お客様から頂くコミッションと代理店がお客様へ提供する サービスは、必ず等価交換(又はサービスがより大きい状態)でなけれ ばなりません。 コミッション額に相当しないサービスしか提供しない代理店からは、や がてお客様は離れていきます。 代理店の価値とは お客様から見ると、保険への加入方法は近年ますます多様化していきま す。特に自動車・傷害保険などはいわゆる通信販売(直販)が急激に増 加しており、TVコマーシャルや新聞広告などを通じて「手軽」で「安 い」保険を盛んに宣伝し、消費者の関心をひいています。 直販とは、代理店を通じない保険加入の方法ですから、この直販と比べ て代理店の価値を考えてみることは有効です。 通信販売が特定の商品、特定の顧客層のニーズには合致していることが 否定できない状況の中でお客様にとって代理店の価値はどこにあるので しょうか? (社)日本損害保険協会が実施したモニター調査の結果によると、保険 加入時の通信販売利用について 45.8%の人が「利用したいと思わない」 と答え、「利用したいと思う」(21.7%)を大幅に上回っています。「利 用したいと思わない」 「どちらとも言えない」理由をみてみると、大半が 「担当者の顔が見えない→いざ事故が起きた時にちゃんと対応してくれ るか不安」という点に集約できます。 保険は無形の商品ですから、事故をおこさない限りお客様にはその商品 の価値は実感できません。それでは、事故が発生しない限り代理店の価 値はお客様に感じられないのでしょうか。そうではありません。通信販 売先進国の、アメリカやイギリスでも代理店を通じた保険加入は依然と して通販にとって代わられてはいません。又、日本でも通販ではありま せんが、共済という代理店を通じない保険類似のサービスを提供するチ ャネルも昔から存在しています。代理店の価値は人間が介在して、お客 様の目の前で提供されるサービス、すなわち提供するサクセスプログラ ムの一つ一つ、そしてそのことによってもたらされるお客様の信頼感、 満足感などです。お客様はそれらのことを代理店に求めているというこ とがいえます。代理店の価値はまさにそこにあります。 それではお客様はどのような時に「満足」や「信頼」を感じるのでしょ うか? 以下、お客様の声をまとめてみました。 ・担当者の顔を知っている ・いつでも連絡がとれる ・常に自分のことを気にかけてくれている ・担当者は保険について何でも知っている 等 顧客満足度の向上のために(ある大手プロ代理店談) なるべくお客様とよく連絡をとって、お客様のニーズを肌で感じ、常に 的確なサービスができるように努めている。顧客満足度向上のためにそ の他に力を入れているのは以下の点である。 問合せ対応:すべての顧客情報・契約情報・事故処理状況などをシステ ム化し、そのファイルを共有することにより、誰が電話を 受けても瞬時に同じ答えができるようにしている。 また基本的な電話対応の訓練を NTT 電話友の会(無料)で トレーニングしてもらい、お客様に丁寧な応対ができるよ うにしている。 事 故 処 理 :お客様にはポイントごとに必ず報告の連絡をいれるように している。また進捗状況について問い合わせ電話があって も、前述のシステムによって、誰もが最新の状況を即座に お答えすることができる。 そ の 他:代理店としての責任を明確にするために、契約案内の下に は代理店名を入れ、土曜日も営業していることなども記載 する。 (9)通信販売(直販) と代理店による 販売 前述のモニター調査によると保険に加入する場合、通信販売を「利用し たいと思う」人は 21.7%でした。半数近くの 45.8%の人は「利用したい と思わない」と回答しました。また、 「どちらともいえない」人は 31.9% でした。 保険加入時の通信販売利用意向 利用したいと思う 21.7 利用したいと思わない どちらともいえない 45.8 不明 31.9 0.7 0% 20% 40% 60% 80% 100% 「利用したいと思う」主な理由(通販肯定派 21.7%) ・現在の保険も更新の際は郵送されてくる。また、内容や会社がしっか りしていれば問題はないと思う。 (男性 30 代) ・余分な時間をとられることもないし、自分の加入したいと思う保険以 外の商品を強くすすめられたり、家にあげてお茶を出すなど、精神的 にも物理的にも嫌な思いや面倒がないので。また、わからないことな どの質問は電話で納得がいくまで聞けば良いので。(女性 30 代) ・便利で契約しやすいので。しかし必ず約款を請求して内容に疑問を感 じた時は、問合せをして納得がいかない場合にはクーリングオフ制度 を利用したい。 (女性 30 代) ・相手が決められた担当者ではなく、会社ということで申込みがしやす い。好きな時間に問い合わせたり、気軽な感じ。 (女性 20 代) ・通信販売方法を取ることでコストダウンされるのはよい傾向だ と思うので利用したい。セールスマンがいても本人が理解して いなければ同じなので。 (女性 20 代) 「利用したいと思わない」主な理由(代理店肯定派 45.8%) もし、何か事故にあったときに初対面の人に処理をお願いするより、 いつも集金等でお世話になっている人のほうが気が楽かなと思って。 (女性 20 代) 事故が起きてからお世話になるので、加入から人と人のつながりがあ ってこそ、その時に心のかよったケアを受けられるのではないかと思 う。 (女性 30 代) マンツーマンでない TEL、郵便だけでは万が-のときどこの誰が立ち 会いに来てくれるのか不安である。 (男性 40 代) 通販ではちょっと不安である。パンフレットではうまく書いてあるの で本当に信用していいのか心配である。(男性 50 代) 「どちらとも言えない」理由(31.9%) 手軽と思う反面、人によるこまかいフォローがないようで不安。 (男性 40 代) できれば、会社がどういう場所にありどういう人が社員であるかを確 かめておきたい。いざ、事故が起こったとき会社がどういう対応をし てくれるか心配である。しかし、通販で経費を安くしているという点 にもうなづけるのでどちらとも言えない。 (女性 40 代) 通信販売により保険料が安くなるメリットも聞かれるが、保険会社の 顔が見えないデメリットもあると思う。(男性 40 代) 価値、サービス のとらえ方 代理店がお客様に自分の持っている価値やサービスを提供する場合、以 下の点を明確に意識しておくことが重要です。 ①自分のもっている価値やサービスは何か、特に他の代理店と差別化で きる強みは何か。 これは次のように整理してみると良いでしょう。 1.代理店として当然提供しなければならない基本的な価値、サービス (基本業務サービス) 2.基本的な価値やサービスに付加して提供できる付加価値サービス 3.これだけは、自店しかできないと言える差別化サービス(アピール ポイント) ②その価値やサービスは、誰が、どのような手順でお客様に提供してい くのか。 これは必ず「行動」として明確化し、実践していかなければなりません。 そしてこの①、②について、この指導マニュアルにあるプロセスに照ら して不充分であれば補い、更に充実、拡大、ニーズの変化に対応し続け なければなりません。 お客様の求めて いるサービスの ニーズ お客様の代理店に対する要望 (社)日本損害保険協会では、個人のお客様を対象に 3 年毎に、損害保険 に関する全国調査を実施しています。 05 年度の実施結果をみると、お客様の損害保険代理店に期待するサービ スは以下のとおりです。 「事故の際の適切なアドバイス」が 63.2%と最も 多く、次に「スムーズな事務処理」 (46.5%)、 「加入する保険についての 詳しい説明」 (38.8%)となっています。これらは、前述のいわゆる基本 業務に関するサービスとなります。 損害保除代理店に期待するサービス 複数回答 事故の際に適切なアドバイスをしてくれる 63.2 スムースな事積処理をしてくれる 46.5 加入する保険について詳しい説明をしてくれる 38.8 契約管理をしっかりしてくれる 33.3 リスクに見合った保険の選択をしてくれる 30.4 新商品の説明をしてくれる 8.5 その他 1.9 3.4 不明 0 10 20 30 40 50 60 70(%) また全体の 61.8%は保険以外のアドバイスも期待しており、その内訳は 「損害賠償に関する法律知識」 (36.4%)、 「年金や老後の生活設計」 (20.2%)、 「健康・医療・介護」 (17.3%)となっています。これらは、前述 でいうところの付加価値として提供すべきサービス内容です。 損害保険代理店に期待する保険以外のアドバイス 保険以外のアドバイスを期待 36.4 損害賠償に関する法律知識について 20.2 年金や老後の生活設計について 17.3 健康・医療・介護について 10.8 資産運用・税金について *複数回筈 9.6 相続について 7.1 防災について 61.8% 1.1 その他 38.2 保険以外のアトバイスは必要ない 0 5 10 15 20 25 30 35 40(%) 更にここにプロ代理店として大いに注目すべき調査結果があります。そ れは、最近の業界新聞に掲載されたある保険流通協同組合が 2003.11~ 12 月に中小企業顧客に対して実施した保険代理店に対するアンケート結 果から読みとれるお客様ニーズの変化です。 それによると現在の保険代理店の選定理由は、 「事故の際の迅速な対応」 や「必要な時に連絡がとれる」が重要とする企業が 5 割程度あります。こ れは、保険会社の選定理由と一致するもので、保険の本来的役割を顧客 企業側がはっきりと意識していることを表しています。ただし、グラフ には載っていませんが「リスク診断や防災サービス」 「保険以外の提案」 は選定理由の下位にとどまり、これまでは代理店に対しリスク対策全般 の能力を求めてはいませんでした。 現在の保険代理店の選定理由 51% 事故時の迅速な対応 49% 必要な時に連絡が取れる 35% 自社業携への理解・協力 32% きちんとした説明 30% 保険の知識が豊富 27% 見直しや新規の提案 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%
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