本単元で身に 宮沢賢治の作品の解説入りポスター(ブックポスター)を作ることを指導計画 付けたい力 の最後に設定し,並行読書した作品をグループで読み比べる活動を通して,作者 の思いを考え表現する力を付けていく。 第6学年1組 国語科学習指導案 指導者 1 2 単 元 作品の世界を深く味わおう 宮内 則子 「やまなし」 〈資料〉「イーハトーヴの夢」 目 標 物語の情景や言葉の使い方に興味をもったり,作者の考え方や生き方を知ったりしようとし ている。 (国語への関心・意欲・態度) ○ 作品の部分と部分,同じ作者の他の作品や伝記を比べて読んで考えたことを交流し,作者の 思いについて自分の考えを広げたり深めたりすることができる。 (読む能力) ○ 比喩や対比など表現上の特徴に気付き,物語の構成について理解することができる。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) ○ 3 児童の実態と指導観(男子19人,女子21人,計40人) 本単元を学習するにあたり,以下のような事前調査を行った。 平成24年9月3日実施 調 査 項 目 結 果 作者の伝えたいことを選ぶことができる。 (自作プリント) できる(33人)できない(7人) 比喩や対比などの表現を選ぶことができる。 (自作プリント) できる(27人)できない(13人) グループの中では,自分の考えを進んで伝えることができる。 できる(32人)できない(8人) (アンケート) 事前調査結果を見てみると,簡単な物語文で作者が伝えたいことを選ぶ問題では,約8割の児 童が正答しているが,比喩や対比などの表現を選ぶ問題においては,正答率が低くなっている。 またアンケート調査によると,全体よりグループの話合い活動に積極的に参加できる児童が多く, 自分の考えを話すことが苦手な児童も,グループの方が意見を言いやすいと答えていた。そこで, 比喩や対比など表現上の特色や効果について詳しく調べる時間を確保すると共に,話合い活動に 参加する前には自分の考えを書く活動を取り入れ,その後の学び合いではグループで話し合う時 間を十分にとり全体に広げるなどして,言語活動の充実を図っていく。 また,本学級の児童は読書活動を好み,短い時間でも学級文庫にある本を読んだり,物語の読 み聞かせに熱心に耳を傾けたりしている。読書傾向としては,シリーズ物や歴史物など何巻も続 けて読む児童もいるが,全集などで同じ作者の本を読む児童は少ない。また,教科書の読み物教 材以外は文学作品に触れる機会の少ない児童も多い。そこで「やまなし」を通して宮沢賢治の作 品に関心をもち,「イーハトーヴの夢」により作者の生き方や考え方を知ることで,作者の思い を考えながら読んだり,同じ作家の他の作品を進んで読もうとしたりすることで,児童の読書の 幅を広げることが期待できる。 本単元では,「やまなし」で五月と十二月の場面を登場人物や出来事,場面の描写,表現の工 夫,作者の考え方等の観点をもとに読み比べ,「イーハトーヴの夢」を参考に「やまなし」に込 められた作者の思いについて考えていく。また,宮沢賢治の他の作品を学級文庫に置き,並行読 書をすることにより,「やまなし」と読み比べながら作品の世界を深く味わうことができるよう にする。その際,「やまなし」で場面を読み比べた観点を参考にしながら,関心をもった作品に ついては読書カードを詳しく書かせ,それをもとに,宮沢賢治のブックポスターを作る言語活動 を単元の最後に位置づける。グループで話合い互いに学び合う中で,作者の思いを考え表現する 力をつけていく。さらに考えるヒントとなるように,これまでの学習で活用した語彙表をノート に貼り,宮沢賢治の作品の優れた叙述を読書コーナーに掲示することを通して,児童の言語感覚 を育てながら読む力を付けることを目指す。 4指導と評価の計画(11時間扱い) 次 時 学習内容・活動 1 1 ○ 単元の学習課題を確認し 「やまなし」以外の宮沢賢 治の作品も並行読書するこ とを知る。 2 ○ 「イーハトーヴの夢」を ・ 読んで,出来事や賢治の行 3 動,考え,作品等を年表に まとめ,賢治の生き方や考 え方を知る。 2 4 ○ 「五月」の谷川の様子を 読み取る。 5 6 7 8 3 9 10 ・ 11 ○ ○ 「十二月」の谷川の様子 を読み取る。 「五月」と「十二月」の 違いについて読み比べ,題 名に込められた作者の思い について考える。 ○ 場面を比べて読むことや 賢治の 生き方 から,「やま なし」に込められた作者の 思いを話し合いまとめる。 ○ 「やまなし」のブックポ スターを友だちに紹介し合 いよさを交流する。 ○ 他の作品と「やまなし」 を読み比べ,宮沢賢治の生 き方や作品への思いを話し 合う。 ○ 宮沢賢治作品のブックポ スターを仕上げ,紹介し合 い感想を交流する。 評価規準 ○ 初発の感想をもとに交流し,作品を 深く読み味わうために,宮沢賢治の複 数の作品を読もうとしている。 (国語への関心・意欲・態度) ○ 「イーハトーヴの夢」から宮沢賢治 の行動,考え,作品について読み取っ たことを年表にまとめている。 (読む能力) 登場人物や出来事にそって,情景を 読み取っている。 (読む能力) ○ 比喩や色彩語などの表現の工夫に気 付き,物語の構成について理解してい る。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) ○ 登場人物や出来事にそって,情景を 読み取っている。 (読む能力) ○ 比喩や色彩語などの表現の工夫に気 付き,物語の構成について理解してい る。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) ○ 読みの観点(登場人物,出来事,表 現の工夫,生き方・考え方等)にそっ て場面を比べて読み,作者の思いを読 み取っている。 (読む能力) ○ 観 点 を 絞 っ て 場 面 を 読 み 比 べ ,「 イ ーハトーヴの夢」を参考に,賢治が伝 えたかったことを読み取っている。 (読む能力) ○ 「やまなし」のブックポスターを友 だちと交流し,考えを深めたり広げた りしている。 (読む能力) ○ 「やまなし」と他の作品を読み比べ, 「イーハトーヴの夢」を参考にしなが ら,宮沢賢治の生き方や作品への思い を読み取っている。 (読む能力) ○ 宮沢賢治の作品の世界をブックポス ターに表して,互いの発表を聞き合い, 作品の世界を深く味わおうとしている。 (国語への関心・意欲・態度) 評価方法 発言・ノ ート 発言・ノ ート 年表 ○ 発言 ノート 発言 ノート 発言 ワークシ ート ノート ワークシ ート 発言 ポスター ポスター 発言 ノート 読書カー ド 発言 ポスター ポスター 発言 ノート 5 本時の学習 (1) 目 標 並行読書してきた作品と「やまなし」を読み比べ,「イーハトーヴの夢」と関連づけて考え ることで,宮沢賢治の生き方や作品への思いを読み取ることができる。 (2) 準備・資料 ア 掲示物(学習計画) イ 掲示物(宮沢賢治の年表) ウ 掲示物(宮沢賢治の考え) エ ブックポスターの台紙 オ 読書カード カ 絵本 キ 話合い進行表 ク 付箋(4色) (3) 展 開 学習活動・内容 1 前時までの学習を振り返り,本時 の課題をつかむ。 ブックポスターで宮沢賢治の思 いを伝えよう。 (1) 前時までの学習を振り返る。 (2) 本時の学習活動や時間,ブック ポスターの書き方を確認する。 2 本時の課題について考える。 (1) グループになって,並行読書し てきた作品の読書カードや絵本を 確認する。 準備 資料 ア イ ウ エ オ カ (2) ブックポスターをつくるための 話合いをする。 キ ク ① ホワイトボードに付箋を貼り ながら,各自の考えを発表する。 ② ボードの上で付箋を類型化し ながら話し合う。 ③ 分類してまとめたものをグル ープの中で確認し,さらに作者 の思いについて話し合う。 (3) グループの話合いの状況を全体 に発表する。(3~4グループ) ・他のグループの発表を聞くと同 じ作品を並行読書しても,気づ いた箇所が違っていて参考にな りました。 ・作者の思いは,作者の生き方と 関係していることがわかりまし た。 (4) 全体での話合いを参考に,グル ープでの話合いを深める。 ① グループごとに迷っていた観 点を中心に話し合う。 ② 早く終わったグループから感 想を書く。 3 本時のまとめをし,次時の学習の 見通しをもつ。 イ ウ 教師の支援(○),評価(◎) 言語活動の充実を図る場面 ○ 前時までの学習を掲示物で振り返り,本時 の学習に見通しがもてるようにする。 ○ 並行読書してきた宮沢賢治の作品の中から 特に読み比べたい作品をグループごとに事前 に選ばせ,読書カードに記入させておく。 ○ 学習の流れや時間は児童が伝達することに より主体的に活動できるようにし,書き方等 は教師が補足説明する。 ○ 読み比べをする作品の読書カードは,本時 までに,観点(「やまなし」との対比・賢治 が作品の中で伝えたかったこと)別に詳しく 記入したもの用意し,グループでの話合いに 活用できるようにしておく。 ○ 付箋を貼った絵本を用いて話合いに臨むこ とで,叙述にそった考えを出すことができる ようにする。 ○ グループの話合いの司会は進行表を活用 し,付箋に各自の考えを書いてから発表し たり付箋を使って考えを比べたりすること で,話合いが活発に進められるようにする。 ○ 「やまなし」と並行読書してきた作品を読 み比べて,似ているところとちがうところを 2枚のホワイトボードに貼ることで,自分の 考えがグループ内で発表できるようにする。 ○ それぞれの考えをホワイトボードの上で, 類型化しまとめ,早く終わったグループは, さらに作品の中で宮沢賢治が伝えたかった思 いについて話し合えるようにする。 ○ 作者の思いを生き方と関連づけることがで きるグループは,「イーハトーヴの夢」の掲 示物などを参考に考えるよう助言する。 ○ グループで話し合ったことをホワイトボー ドで掲示しながら発表し,グループごとにま とめたものを比較して,作品を超えて共通し ていることなどを全体で話し合うことができ るようにする。 ○ 思うようにまとめることができないグルー プがあれば,全体に問いかけ,他のグループ からの助言をもらえるようにする。 ○ 全体で交流した意見を参考に,グループの 話合いを深め,修正などを行った後,ノート へ学習の感想を書くよう助言する。 ◎ 宮沢賢治の他の作品と「やまなし」を読み 比べ,話合いを通して作者の生き方や作品へ の思いを読み取っている。 (読む能力) 〈発言,ノート〉 ○ 次時は,本時の話合いをもとにブックポス ターを作る活動に入ることを予告する。
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