地元百貨店で外国人留学生らがインターン、接客国際化に一役 留学生らが外国人目線で店内を視察、課題提示 社員と留学生が最高のおもてなしに向けて議論 2015 年3月に仙台市で開かれる国連 防災世界会議を前に、東北大学は1月か ら地元の老舗百貨店と連携した国際化 プロジェクトをスタートさせた。同百貨 店は、外国人来店客を受け入れるための 取組の1つとして東北大に在籍する外 国人留学生らをインターン生として受 け入れ、東北大は従来から行っている留 学生教育と地域連携の試みの1つとし て実施するもので、参加した留学生に単 外国人が来店しやすい百貨店について話し合う従業員と留学生ら 位を付与するという試みだ。 同百貨店は 14 年 10 月から免税対応の専用カウンターを設置するなど、外国人向けの接客をス ムーズにするための対応に取り組んできたが、実情としては店内案内などでは英語対応がなされ ていない、店員が外国人を避けてしまうという状況だった。今回、国連防災世界会議の開催が近 づいてきたことから、百貨店側が開催期間に免税カウンターや受付の通訳としてインターン生を 東北大に要請したこと、 「一過性のイベント意識に留まらず、将来的には商店街を巻き込んだ国際 化対応へのきっかけとしたい」との百貨 店側の意欲があったことが、東北大側の 「留学生が日本のおもてなしを学ぶ場、 留学生と日本人の共修プロジェクト実 践の場として位置付け、街の国際化にも 貢献したい」というねらいとマッチし、 実現した。参加したインターンは計 15 名で、アメリカ、カナダ、韓国、タイ、 台湾、中国、ドイツなどからの外国人留 学生が 12 名、東北大学グローバル リーダー育成プログラムに登録してい ディスカッションを重ねることで異文化への理解も深まったようす る日本人学生が3名。 同百貨店でのインターン生の事前研修は1~2月に4回開催。第1回から第3回は、インター ン側でのリーダー格を育成するため日本人3名と留学生4名が先行して参加、第4回には全員が 参加という構成とした。第1回は留学生らの店舗視察と国際化に向けての課題の提示、第2回は 約 20 名の現場社員と留学生らとのディスカッションを通じて異文化の理解に関する研修、第3回 は留学生らへの基本的な挨拶のレクチ ャーや現場での仕事体験、第4回は全員 参加による基本的な挨拶、接遇のレクチ ャーと店舗視察、売り場での研修が行わ れた。異文化の相互理解を念頭にした内 容だ。第 2 回の社員との合同研修でのデ ィスカッションでは、留学生からは「売 り場にもっと英語表記が必要」「和式ト イレは使い方が分からない」などの声が 挙がり、社員からは「商品のことばかり 接遇など百貨店業務で必要となるレクチャーを受ける留学生ら 考えていたが、館内のすべてのモノコト が外国人の方への配慮に欠けていたことに気付かされた」 「英語が話せなくとも、コミュニケーシ ョンで気持ち、礼を尽くせば相手に伝わるということを全員で理解することが大切だと感じた」 「今後、国際社会に向けて対応、変化する必要があると感じた」との感想が聞かれたという。イ ンターンシップは3月 10~18 日の期間中、売り場や免税カウンターで外国人客の案内や免税手続 の支援などを行い、事後には留学生らが国際化についての提案を行うことになっている。 国連防災世界会議には約 380 人の語学ボランティアが登録されているが、うち東北大からも外 国人留学生を含む約 150 人の学生が参加。東北大は「仙台の国際化なくして大学の国際化も進展 しない」との立場から、 「今後も地域社会にとっても有益な取組を、地元老舗企業やベンチャー企 業などと連携しながら行うことで、外国人留学生を受け入れてもらう土壌を継続的に開拓したい」 と考えている。 (平成 26 年度作成) 問い合わせ先 実 施 主 体 名 : 東北大学グローバルラーニングセンター メールアドレス: [email protected] (東北大学グローバルラーニングセンター 特任准教授 田口香織)
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