第13話 イラクの子供たち 軍用食の味比べ

第13話
イラクの子供たち
軍用食の味比べ
1.イラクの子供達
私はイラクでの2ヶ月間、子供たちが学校に行く姿を一度も見ることがありませ
んでした。中学校と言われる施設に行ってみますと、教室はホコリまみれ、鶏の骨
が散らかり、しばらく授業が行われた様子がありません。
子供達がいないわけではありません。多くの子供達を見かけます。そして、その
子供達は、学校行かないで働いているのです。イラクの子供たちは本当によく働い
ています。小さな子(9 才程度)は、ガムやティッシュを売り、もう少し大きくな
ると靴磨きをする者、たばこを売る者、工場で働く者、頼みもしないのに路上駐車
の番を、勝手にして行いチ
ップを要求する者、高速道
路でジュースを売る者、田
舎に行けば、多くの子供た
ちが羊の番や家畜の世話を
して働いています。このよ
うな家畜の世話をしている
子供たちは、自分自身の少
年時代と重なって見え胸に
熱いものがこみ上げるのを
覚えるのでした。
また、多くの子供が町の
至る所で物乞いをしていま
す。写真の子供は、物乞い
の子供です。こうして子供
達も生計を支えているので
す。
焼け付く道路を靴もはか
ないで裸足の子供たちを多
く見かけます。私も試して
みましたがとても熱くて 1
分たりとも裸足では歩けま
せん。
ある母親は、私に対し、
平和で、子供達に対して安
心して十分な教育が出来る
環境が欲しいと訴えるので
す。
イラクは、戦争さえしなければ、チグリス、ユーフラテス川により土地も肥え、石
油資源や観光資源も豊富であり豊かな国なのです。そして、人々はとても親切です。
しかし、戦争が長く続けば国は荒れ、民は貧しくなることを物語っています。
2.狩猟民族と農耕民族
色々な国の人と一緒に働いていて感じることは、民族、遺伝子の違いです。農耕
民族は、3度の食事をすることがあたりまえですが、狩猟民族は、獲物を何時も捕
られることが出来るとは限りません。ですから、食べられる時に沢山食べて食いだ
めが出来、食べなくても平気です。
この民族の遺伝子差は、イラクでの査察活動にも現れます。例えば、バグダッド
の事務所から遠くの施設に査察に行きます。そして、
査察は午後2時頃までかかり、
それから車で帰ってくれば、午後4時、5時です。これから食事です。
農耕民族の遺伝子を持つ私は、午後2時を過ぎての査察や車の運転は、エネルギ
ー切れで、もうダメでした。しかし、狩猟民族の遺伝子を受け継ぐ査察官は、昼食
を食べなくても平気で、食事を取らなくても平気で何時間も高速道路を運転して事
務所に帰ってきます。
この様な経験から、以後、遠くの施設に査察に行く場合、日本から持参したカロ
リーメイトを、持って行くことにしたのです。
3.軍用食の味比べ
イラクは、食事を摂ることが出来るレストランが郊外に行けばほとんどありませ
ん。このため、BMVC(バグダッド監視検認センター)の事務所には、長期保存
が出来、いつでも食べることが出来る軍用食が用意されていました。これは、MRE
(Meal Ready to Eat の略) と呼ばれ、NATO 軍の軍用食と米軍の軍用食が、4ドル
と5ドルでそれぞれ買うことが出来ました。
私も買って利用してみました。内容は、双方に共通で入っている物は、チョコレ
ート、コーヒー、クラッカーです。メインディッシュは、レトルトパックの豆など
の煮た物、野菜スープなどもあります。これらは、そのまま食べることも出来ます
が、暖めて食べると味が良くなります。また、子供の頃よく飲んだ粉ジュースなど
も入っており、水に溶かして飲むことが出来き、子供の頃を思い出し、とても懐か
しく感じました。
私は、それぞれ2度これらの軍用食を、試しました。これらの軍用食を総括しま
すと、あまり美味しくありません。従って、軍用食に頼ることは止め、日本から持
って行ったカロリーメイトと南部煎餅の方が、美味しくとても重宝したのです。
ほむべきなかな。日々、私たちのために、重荷をになわれる主。
(聖書
詩編 68;19)