札幌市立発寒西小学校 学 校 だ よ り No.4 平成24年5月31日 子どもの自立心 教務主任・学びの支援コーディネーター 関 敏明 先日、1年生の歓迎読み聞かせを終えた開放図書館のボランティアさんが赤ちゃんを抱っこしていました。 赤ちゃんの顔を皆でのぞいていると、司書の方が「赤ちゃんの顔を見て、怒った顔をする人はいないね。」と 言いました。本当にその通りです。赤ちゃんの顔を見ていると、ついつい顔がほころんでしまいます。 ではなぜ、赤ちゃんの顔を見ていると笑顔になるのでしょうか。赤ちゃんの愛らしい顔がその理由でしょう が、人間の赤ちゃんは愛されるべき存在であることもそのひとつです。皆さんご存じの通り、人間の赤ちゃん は大変未熟な状態で生まれてきます。これは他の動物に類を見ません。馬の赤ちゃんは生まれて間もなく立ち 上がり、母乳を吸いに歩き出します。それに比べ、人間の赤ちゃんは頭を支えられないだけでなく、歩くこと すらできません。自ら身を守ったり、食料を獲得するための運動能力が備わったりしていないから、人間の赤 ちゃんは保護される必要があります。ですから、守られるための一つの手段であると言えるでしょう。 さて、馬の赤ちゃんに比べ、人間の赤ちゃんは、立ち上がるまでにおよそ1年もの長い年月を要します。そ れほど長い間、親から愛され、守られなければなりません。いえ、自立という観点で考えると、もっともっと 長い間、保護されていなければなりません。すなわち、人間の子どもは、他の動物に比べ過保護に育てられて いることになります。「過保護」という言葉を用いると、甘やかせすぎ・自立の妨げなどの悪い印象をもつか もしれません。「過保護」とは、必要以上のことをやり過ぎることを意味するからです。しかし、人間の子ど もは、本来、適度な保護を必要としますから、多少の「過保護」は自立の妨げとはなりません。砂場で夢中に なって遊んでいる幼い子どもがある時ふと我に返り、母親の元に走り寄りぎゅっと抱きついてから、再び砂遊 びを始めることがあります。愛着行動のひとつで、心理学では飛行場現象とも呼ばれますが、親は子どもにと って安全基地のような存在であることが分かります。愛情というエネルギーを補給した子どもは、探索行動を くり返し、親のいない小さな社会で多くのことを学びます。この学びがやがて自立へとつながっていきます。 では、子どもの自立を妨げるものは何でしょうか。それは、「過干渉」だと、ある発達心理学者は言ってい ます。「過干渉」とは、子どもが望まないことまでやり過ぎてしまうことです。子どもは、小さな社会で様々 な人と出会い、いろいろな知識を得て、多くのことを経験し、悩み、考え、そして、自分のとるべき行動を決 定していきます。これが学びです。子どもにとって必要な学びの機会を、親の意向や介入によって失うと、や がては全てを親に依存するようになり、自立心は育たなくなります。子どもにとって新しい体験は不安ですが、 子どもの人格を認め、意志や判断を尊重し、励ましながら成長を見守っていく必要があるのです。 さて、赤ちゃんの笑顔は、時に、いろいろなことを考えさせ、忘れてはならないことを思 い出させてくれるものです。忙しい時間を過ごす大人に、ゆったりとした時間の流れを与 えてくれます。私たち大人は、そんな大切な命を守り、育んでいかなければなりません。 子どもたちはみんな、愛されるべき存在として生を受けてきたのですから。 TTを担当して~わかった!できた!という笑顔を~ 教諭 谷一 綾子 本校では、平成5年度より全学年で算数の時間にTT(ティーム・ティーチング)による授業を行っており、 今年度は、各学級、週1~2回程度の時間数で取り組んでいます。 TTの時間には、子どもたちが問題を自力で乗り越えるためのアドバイスをしたり、個別に考えを聞き、方 法や理由がわかるようじっくりかかわったりします。どの子も学習に前向きに取り組み、やり遂げた実感がも てるよう、学習内容や個々の実態に応じて支援をすることを心がけています。できた!わかった!という子ど もたちの笑顔を見るのが何よりの喜びであり、TTの必要性を実感するときです。今後も、子どもたち一人一 人のことを少しでもよく知り、信頼関係を築きながら、担任と協力してTTを進めていきたいと思っています。 なお、時数の増加に伴い、今年度は3人で分担してTTに入っています。主な担当学年は、1・2年生が谷 一綾子、3・4年生が山田美知子、5・6年生が後藤賢一です。どうぞよろしくお願いいたします。
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