医療事故情報収集等事業の現況について

医療事故情報収集等事業の現況について
The status quo of the web-based nationwide adverse event
reporting system in medicine
2014年7月22日(火)
22nd July 2014
後 信 Shin Ushiro
公益財団法人 日本医療機能評価機構 執行理事
九州大学病院医療安全管理部教授
Executive Board Member - Japan Council for Quality Health Care,
Professor of the division of patient safety management- Kyushu University Hospital,
Kyushu University Graduate School of Medicine
1
ISQua Japanese Webinar
医療事故情報収集等事業の現況について
The Status Quo of the Web-based
Nationwide Adverse Event Reporting System in Medicine
(公財)日本医療機能評価機構
後
信*
*九州大学病院
医療安全管理部
医療事故のとらえ方の変化
1990年代
医療事故はあっては
ならないこと
個々人の注意で防ぐ
ことができる
2000年代
医療事故は起こりう
ること
チームや組織全体のあ
り方を改善しなければ、
事故は防止できない
「医療に係る事故事例情報の取り扱いに関する検討部会」報告書
厚生労働省 医療安全対策検討会議
「医療事故事例情報を幅広く収集し、総合的に分析・検討し
たうえで、その結果を事故の発生予防・再発防止に役立てる
ために幅広い仕組みを構築すべきであること。そのために行
政および医療事故の直接の関係から独立し、国民や医療関
係者から信頼される中立的な第三者機関が必要である。」
医療事故情報収集等事業の目的
医療機関から事故情報及びヒヤリ・ハット情報を収集
し、さらに学会等からも幅広く事故防止に有用な情報を
収集し、それらについて分析を加えた上で改善方策等を
広く社会に提供し、また医療機関からの相談に応じて必
要な助言・支援を行うことにより、医療事故の発生予
防・再発防止を促進することを目的とする。
再発防止を志向する事業
情報は匿名化して取り扱う
懲罰的な取り扱いをしない
情報収集・分析~成果の還元
(公財)日本医療機能評価機構
医療機関
医療事故
医療事故情報収集等事業
Web報告
運営委員会
①選択項目
①報告義務
大学病院
ナショナルセンター
国立病院機構
の病院 など
②記述項目
目 的
事故の発生予防・再発防止
(責任を追及しない)
総合評価部会
事務局
分析班会議
(専門家・
メーカー)
関係学会・
医療行為の目的
団体
背景・要因
改善策
民
医療機関
事故の内容
②任意参加
国
報告書
年報
医療安全
情報
事例
データベース
研修会
(RCA演習)
行政機関
など
ヒヤリ・ハット
(発生件数情報
事例情報)
①任意参加
文書、訪問調査
(任意)
事業参加医療機関数
ヒヤリ・ハット
参加事業
事例報告含む
義務
事故
任意
参加
123
参加
329
不参加
合計
452
発生件数のみ
81
204
285
165
236
617
521
不参加
71
172
243
1 ,3 8 1
② ヒヤリ・ハット参加医療機関
1 ,1 3 8
③ 事故参加医療機関(義務)
275
④ 事故参加医療機関(任意)
705
⑤ ヒヤリ&事故
737
⑥ 事故のみ
243
⑦ ヒヤリのみ
401
275
705
980
401
243
1 ,1 3 8
① 事業参加医療機関
合計
*2014年6月30日現在
*
1 ,3 8 1
診療所を含む
医療事故の報告件数の推移
参加形態
義務
任意
年
17年
18年
19年
20年
21年
22年
23年
24年
25 年
件数
1114
1 ,2 9 6
1 ,2 6 6
1 ,4 4 0
1 ,8 9 5
2 ,1 8 2
2 ,4 8 3
2 ,5 3 5
2 ,7 0 8
施設数
272
273
273
272
273
272
273
273
274
件数
151
155
179
123
169
521
316
347
341
施設数
283
300
285
272
427
578
609
653
691
医療事故の報告範囲(医療法施行規則)
イ 誤った医療又は管理を行ったことが明らかであり、その
行った医療又は管理に起因して、患者が死亡し、若しくは患
者に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは
予期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案
ロ 誤った医療又は管理を行つたことは明らかでないが、行
った医療又は管理に起因して、患者が死亡し、若しくは患者
に心身の障害が残った事例又は予期しなかった、若しくは予
期していたものを上回る処置その他の治療を要した事案(行
った医療又は管理に起因すると疑われるものを含み、当該事
案の発生を予期しなかったものに限る。)
ハ イ及びロに掲げるもののほか、医療機関内における事故
の発生の予防及び再発の防止に資する事案
医療事故に占める死亡事例
(医療事故情報収集等事業「医療事故の程度」)
不明 死亡
(平成24年
n=2,535)
可能性高い
障害なし
39%
障害残存の
可能性なし
障害残存の
可能性あり
可能性低い
報告画面(選択項目、一部のみ)
事例の概要の選択
(薬剤、輸血、治療・処置、
医療機器、など)
関連診療科
(内科、外科、整形外科など)
報告画面(記述項目)
医療行為の目的
事故の内容(事実)
背景・要因(分析結果)
改善策(対策立案)
医療事故、ヒヤリ・ハット
事例データベース(平成22年~)
関連診療科
発生時間帯
当事者職種・経験
年数・専門医資格
医療機器名、など
事例内容
背景・要因
改善策
ダウンロード可能
Webを活用した報告・分析・学習システム
医療機関
医療事故情報収集等事業
Web報告
選択項目
全診療領域
死亡・非死亡
医療事故
ヒヤリ・ハット
選択項目の集
計
データベース
類似事例を検索し
て行うテーマ分析
医療行為の目的
事故の内容
記述項目
背景・要因
改善策
WHO Draft Guidelines for Adverse Event
Reporting and Learning Systems
有害事象の報告・学習システム
Japan
Type of reporting system: In Japan, hospitals are mandated
by the Ministry of Health,
Labour and Welfare to have internal reporting systems. The
Japan Council for Quality
Health Care collects voluntary incident reports and
implemented a national reporting
system in 2004. Reporting to the new system is mandatory
for teaching hospitals,
voluntary
for others.
【日本】2004年から評価機構が
全国規模の報告システムを運営
Response, dissemination and application of results: Cases deemed particularly
important are evaluated individually. Otherwise, reports are aggregated for statistical
analysis (further details not available). The Japan Council for Quality Health Care
【日本】特に重要な事例を個別に分析
produces summary
reports of events and disseminates them to healthcare providers and to
the public.
報告書・年報の作成
 報告書37回、年報8回
 構
成
・事業概要
・集計分析
・テーマ分析
・再発・類似事例の発生状況
報告書・年報の構成
① 現況(→ 講演会で配布、書籍に転載)
・報告数、参加数 ・テーマ分析の概要
・情報発信、成果の活用(国内外)・研修会開催概要
② 集計分析
・事例の種類や経年変化
・当事者の職種、経験年数
③ テーマ分析
・医療・看護・調剤等の技術的なテーマを取り上げて深く分
析
④ 再発・類似事例の発生状況
・③のフォローアップ
平成25年度の分析テーマ
① 血液浄化療法(血液透析、血液濾過、血漿交換等)の医療
機器に関連した医療事故
② 血液凝固阻止剤、抗血小板剤投与下(開始、継続、中止、
再開等)での観血的医療行為に関連した医療事故
③ 薬剤の自動分包機に関連した医療事故
④ 造血幹細胞移植におけるABO血液型の誤認による移植及
び輸血
⑤ はさみを使用した際、誤って患者の皮膚や医療材料を傷つ
けた事例
⑥ 医療機関と薬局の連携に関連した医療事故
⑦ リツキシマブ製剤投与後のB型肝炎再活性化に関連した事
例
⑧ 胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入時に左右を取り違えた事例
⑨ アドレナリンの希釈の呼称に関連した事例
血液浄化療法の医療機器に
関連した医療事故
バスキュラーアクセス 65件
血液回路
血液浄化器
装置
13件
3件
18件
血液回路に関する医療事故
血液回路および主な接続部
脱血側
返血側
具体事例の紹介
事例の内容
背景要因
改善策
事例の内容
背景要因
改善策
ルアーロック式コネクターの接続
(解説)(1)
ルアーロック式コネクターの接続
(解説)(2)
医療機関と薬局の連携に関連した医療事故
医療機関と薬局の連携に関連した医療事故
① 正しい処方せんが作成された事例
(薬局の調剤の過程でエラーが生じた事
例)
② 誤った処方せんが作成された事例
(薬局から疑義照会がなされなかった事
例)
誤った処方せんが作成された事例
【内容】
•
医師Aはプレドニゾロン27mg(分2)7
日間を処方するところ、単位を「g」から
「mg」に変更せず、27g(分2)7日間
として処方した。
•
有効成分量としては、プレドニン27mg処
方するところ、1%散であったため、27g
=有効成分量270mg(通常量の10倍)
となっていた。
誤った処方せんが作成された事例
【内容(続き)】
•
調剤薬局から当院へ、プレドニンの分量の確
認の連絡があり、外来看護師が応対した。
•
「プレドニンの量の確認をおねがいしま
す。」という内容であったため、分量が正し
いかどうかの問い合わせでなく、FAXの処
方せんが読みづらいので確認したいという意
味だと思い、電子カルテを読み上げた。(以
前に別のケースにて読みづらいという問い合
わせがあったため同じように対応された。)
誤った処方の不十分な確認
誤った処方の不十分な確認
誤った処方せんが作成された事例
(疑義照会の有無)
誤って処方された医薬品とハイリスク薬
●ハイリスク薬
専用ホームページによる情報提供
分析テーマ
分析テーマごとに表示
テーマ分析ごとの
PDFファイル
第35回報告書
分析テーマ
血液浄化療法の医療機器の事故
胸腔ドレーンの左右間違い
・・・・・・・・
第34回報告書
分析テーマ
血液浄化法の
医療機関と薬局の
医療機器
連携
(32ページ)
(61ページ)
医療安全情報のご紹介
医療安全情報 配信医療施設数
配信施設数 5,348施設(26年6月)
(参考)我が国の病院数 8,565 施設
(平成24年医療施設動態調査、厚生労働省)
手動式肺人工蘇生器の組み立て間違い
(2013年1月)
手動式肺人工蘇生器の組み立て間違い
(2013年1月)
再使用可能な手動式肺
人工蘇生器の添付文書等
の自主点検等について
(厚生労働省医薬食品局
安全対策課長通知)
医療安全情報 6月号
第1号以降の繰り返し報告されている事例を掲載
2014年は全10ページ
平成19年1、2月号の内容を平成26年も繰り返し注意
喚起
医療安全情報アクセス件数
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
掲載年(医療安全情報No.)
件数
2010年
(No.38-No.49)
611,606
2011年
(No.50-No.61)
771,811
2012年
(No.62-No.73)
871,748
2013年
(No.74-No.85)
983,210
400,000
200,000
0
2010年
(No.38No.49)
2011年
(No.50No.61)
2012年
(No.62No.73)
2013年
(No.74No.85)
医療安全情報(英語版)の提供
Canadian Patient Safety Institute
“Global Patient Safety Alerts”
ホームページを通じた情報提供
医療安全情報No.10
「MRI検査室への磁性体の持込み」
アプリを通じた情報提供
ISQua2013における講演
医療事故、ヒヤリ・ハット
事例データベース(平成22年~)
公開データ検索
医療事故、ヒヤリ・ハット
事例データベース(平成22年~)
検索語:透析
検索結果
(322事例)
掲載件数
医療事故 : 11,433事例
ヒヤリ・ハット : 27,946事例
医療事故、ヒヤリ・ハット
事例データベース(平成22年~)
関連診療科
発生時間帯
当事者職種・経験
年数・専門医資格
医療機器名、など
事例内容
背景・要因
改善策
ダウンロード可能
事例のダウンロード
事故
事故
当事 当事
医療
に直
の内
治療 事故
関連
患者 患者
当事 者職 者職 事故
事業 の実
患者
接関 発見 当事
容_そ
の程 の程 概要 診療
の年 の性
者職 種経 種経 の内
区分 施の
の数
連す 者
者
の他
度
度
科
齢
別
種_1 験(年 験(月 容
有無
る疾
(記
数)_1 数)_1
患名
述)
障害
残存
濃厚 の可 療養 内科
実施
な治 能性 上の 整形 1人
あり
療
があ 世話 外科
る(高
い)
80歳
女
代
腰椎 当事
圧迫 者本 1人
骨折 人
看護
30年 9ヶ月 転倒
師
障害
残存
濃厚 の可 療養
実施
精神
事故
な治 能性 上の
1人
あり
科
療
があ 世話
る(低
い)
60歳
男
代
統合
他患
失調
2人
者
症
看護
1年
師
障害
残存
軽微 の可 療養
実施
小児
事故
な治 能性 上の
1人
あり
科
療
があ 世話
る(低
い)
0歳代 女
重度
脳性
その
マヒ
2人
他
(植物
状態)
障害
残存
の可 療養 呼吸
能性 上の 器内 1人
があ 世話 科
る(低
い)
70歳
女
代
事故
事故
実施
なし
あり
10ヶ
転倒
月
実施した医療行為の目的
事故の内容
発生要因_当事者の行動に関わ
る要因
患者の看護師を呼ぶ声に訪室するとベッド横に座り込んでいた。痛み、発
赤、腫脹、打撲等の症状を確認するも異常なかった。その後のおむつ交換、
骨折前は、歩行器を使用しての歩行ができていたが、手術をしないと寝たきり
朝の食事介助時も痛みの訴えなし。その後「足が痛い」と臥床し、徐々に痛み 報告が遅れた(怠った) 判断を
になること、疼痛軽減のために手術が望ましいことと手術についてのリスクを
が増強した。レントゲン撮影しレントゲン上右大腿部頸部骨折を確認した。病 誤った
説明し、家族、本人の納得と同意の上、整形外科病院へ転院となった。
棟師長より家族へ連絡し転倒について説明、主治医より家族へ、手術は必要
であることを説明し、家族の了承を受け、整形外科病院へ転院となった。
原因を追究するために、起立時と臥床時の血圧値の変動、血液検査結果か
ら異常値があるかを確認し、てんかん発作状況の観察を行う。原因を明確に
し今後の援助計画を立案していく。歩行時にはヘッドギア装着、リハビリ
シューズを必ず履き移動するように観察を行い、ベッド周辺の危険物を除去し
安全な環境を設定する。毎朝の体重測定については、飲水傾向を観察し体
重変動が少ない場合、測定時間を変更していく必要がある。
1.朝、おむつ交換の際、右下肢腫脹を発見した。2.その後、おむつ交換の際、
右下肢全体腫脹あり、右大腿部の膨隆認め、医師に診察を依頼した。3.医師
が診察し、レントゲン撮影の指示あり実施。4.レントゲン撮影の結果、右大腿
骨頚部骨折と診断された。
1.重度脳性麻痺で植物状態、人工呼吸器管理、全面介助の患者である。2.関
節の屈曲・拘縮があり、骨折のリスクがあるため、体位変換・ポジショニング
は、理学療法士と相談しながら実施していた。3.入浴介助は、複数で移動・介
助を行っている。4.おむつ交換は、看護師一人で実施している。5.排尿困難な
時は、腹部圧迫を実施している。6.拘縮予防のため、リハビリを定期的に実施
している。
1.骨折のリスクが高い根拠を明確にし、周知徹底する。2.介入方法について、
理学療法士と共に見直しを行い、安全な介入方法を決定する。決定した内容
は、看護計画に挙げ、周知徹底・実施・評価を行う。3.今まで以上に、全身の
観察を行い、異常の早期発見ができるようにする。
肺癌の治療
17時10分頃、患者がトイレに行こうと1人で手摺りにつかまりながら歩いて
いた。廊下を渡ろうとして手摺りから手を離したときに滑って転んだところを通
りかかった看護助手が発見し看護師に知らせた。転倒の際、口唇に傷が生じ
出血が見られた。また、左下肢の疼痛を訴えた。口唇の出血は圧迫により止 患者への説明が不十分であっ
血した。医師が診察しベッド上安静で経過観察した。左下肢の疼痛があるた た(怠った) 判断を誤った
めレントゲン撮影後整形外科を依頼した。左大腿骨転子部骨折と診断され
た。主治医と整形外科医師が検討し、患者の心肺機能の問題から手術せず
に安静保持とリハビリを行う方針となった。
1.患者は筋力の低下による歩行時のふらつきがあったが、トイレへ自力歩
行していた。
2.看護師は患者に歩行時のふらつきがあることを知っていたが、歩行時の 1.患者の行動に合わせた具体的な援助方法を計画する。
介助の必要性を患者に十分説明していなかった。
2.履物は踵のある履きやすい靴を指導する。
3.歩行時は必ず看護師が付きそうなどの具体的な援助計画が立てられてい 3.歩行器の使用を検討する。
なかった。
4.患者はサンダルを履いていた。
入浴介助
心不全、右下腿血腫によるベッド上臥床のため、下肢筋力低下を認め、歩行
時は必ず付添いをしていた。シャワーチェアーを使用し入浴介助を行い、脱
衣所に移動した。シャワーチェアーを降り、立位で体を拭いていた。立位にな
るところまで介助し、患者に側を離れると説明し、ドライヤーを取りに行った。
判断を誤った
脱衣所に戻ると臀部を床について座り込んでいる患者を発見した。近くにあっ
た脱衣かごにつかまりながら下着を履こうと片足で立った際に右臀部から尻
餅をつくように転倒したと話した。レントゲンにて骨折は明らかでなく、CTにて
右大腿骨頚部骨折と診断された。手術施行、現在リハビリ中。
下肢筋力低下のある患者の入浴介助中の判断の誤り、転倒リスクのある患 歩行以外のADL援助方法を立案、実践する。転倒を予防するための患者指
者のADL援助の未熟さ
導を計画的に実施する。
施に
関す
る内
容
患者の看護師を呼ぶ声に訪室するとベッド横に座り込んでいた。痛み、発
赤、腫脹、打撲等の症状を確認するも異常なかった。その後のおむつ交換、
朝の食事介助時も痛みの訴えなし。その後「足が痛い」と臥床し、徐々に痛み
が増強した。レントゲン撮影しレントゲン上右大腿部頸部骨折を確認した。病
棟師長より家族へ連絡し転倒について説明、主治医より家族へ、手術は必要
であることを説明し、家族の了承を受け、整形外科病院へ転院となった。
障害
残存
濃厚 の可 療養 循環
実施
事故
な治 能性 上の 器内 1人
あり
療
があ 世話 科
る(低
い)
70歳
女
代
当事
心不
者本 1人
全
人
看護
1年
師
11ヶ
転倒
月
診察・
治療・
作業
処置
療法
10ヶ 等そ
22年
士
月
の他
(OT)
の取
り違
え
1.ディケアプログラム(テニス)のウォーミングアップのラリー中、返球の際、バ
ランスを崩し右側方へ転倒、すぐに立ち上がり本人「大丈夫です」と言われ、
練習を続けていた。
2.しばらくして再度、バランスを崩し前方へ転倒、「膝が少し痛い、おしりも
ちょっと」と言われる。
3.休む事を勧め、疼痛(+)のため主治医の診察を受けた。
4.患部のレントゲン撮影にて異常所見は見当たらず、本人は家族(弟)と連絡 同上
を取り、タクシーで帰宅することとなる。
5.病院からタクシーを呼び、弟へ電話連絡にて今回の状況を説明するととも
に、独居であるため帰宅場所を確認した。今後、体調の変化があれば整形外
科へ受診して頂くよう併せて依頼した。
6.疼痛のため他院を受診して右大腿部の骨折が判明し入院
7.右大腿部骨置換術の手術
朝の体重測定時、記録室出入り口前の椅子に座り、呼びかけに対応し立ち
上がった時、フラツキ転倒したことを他患者から報告を受けた。患者は、バイ
タルBP=80/60 P=60/分 意識鮮明、身体外傷は認めないが左大腿部痛訴
えた。当直医報告し、診察後骨折の可能性が高いためベッド上安静にし、主
治医に他科受診依頼をするよう指示を受けた。整形外科受診、X―Pの結果
骨折は無いと診断を受け帰院した。その後ベッド上安静を保持し、移動時に
は車椅子を使用した。
障害
残存
濃厚 の可
実施
治療・ 精神
事故
な治 能性
1人
あり
処置 科
療
があ
る(低
い)
呼吸
器内
障害
科リ
軽微 残存
実施
治療・ ハビ
事故
な治 の可
1人
あり
処置 リ
療
能性
テー
なし
ション
科
70歳
女
代
80歳
男
代
統合 当事
失調 者本 1人
症
人
当事
COP
者本 1人
D
人
理学
療法
0年
士
(PT)
5ヶ月
患者
体位
の誤
り
腰痛の為歩行困難があり入院時より転倒のリスクは高いとして計画立案実施
できていた。リハビリの進行にあわせ、評価・見直しも実施できていたが、看 転倒・転落アセスメントスコアシートを使用して評価と計画実施していても、患
護師に連絡せず一人で移動することに対し、ベッド柵を固定したことで安心 者は看護師の予測できない行動を起こすことがあり、カンファレンス時に離床
し、観察と注意喚起が不足した。患者が今までベッド柵の固定を外したことが センサーや衝撃吸収マットの使用についても適時検討していく。
なかったため看護師は対応できなかった。
転倒の原因として現在考えられる事に、血圧変動(低血圧)及び低血糖症
状、てんかん発作等が挙げられる。
・精神症状の把握・身体症状の把握・家族への情報提供・再発の防止
その
他の
療養
上の
世話
骨折
看護
の管
19年 9ヶ月
の発 不明
師
理・準
見
備・実
看護
19年 8ヶ月 転倒
師
改善策
朝の体重測定時、記録室出入り口前の椅子に座り、呼びかけに対応し立ち
上がった時、フラツキ転倒したことを他患者から報告を受けた。患者は、バイ
タルBP=80/60 P=60/分 意識鮮明、身体外傷は認めないが左大腿部痛訴
えた。当直医報告し、診察後骨折の可能性が高いためベッド上安静にし、主 観察を怠った
治医に他科受診依頼をするよう指示を受けた。整形外科受診、X―Pの結果
骨折は無いと診断を受け帰院した。その後ベッド上安静を保持し、移動時に
は車椅子を使用した。
事故の内容
当事
肺癌 者本 1人
人
事故の背景要因の概要
リハビリテーション
1.高齢であったが元来、体を動かすことを好み、糖尿病に罹患していたため
「ディケアで運動ができたら」と言う思いもあり、スポーツプログラムには参加
していた。
観察を怠った 患者への説明が 2.昨年の胃がんの手術後、約1年間は運動を控えており、今年になってから 1.最初の転倒の際、「大丈夫」と言われていたが、再転倒のリスクを考え休憩
不十分であった(怠った) 判断を 再開した矢先であった。
を促すことが必要であった。
誤った
3.他の運動には対応できていたが、広い範囲に素早く動かなければならない 2.メンバー毎の体力に合ったグループ分けや運動内容の工夫が必要である。
種目であったため対応できずに転倒に至ったと思われる。
4.メンバーの参加者の減少に伴い、プログラムの内容がメンバー毎の体力や
運動能力に合わせた種目を実施する事ができず無理が生じたと思われる。
患者は、作業療法開始となり、コルセットを装着して、バランス機能評価のた
め端座位にて片手ずつ前方・側方に手を伸ばすとバランス機能の低下が見ら
れたが、腰痛の訴えはなかった。翌日、前日の訓練後の変化を確認したとこ
ろ、痛みの訴えがなかったため、病室のベッド上にて端座位で両手を前方に
確認を怠った 観察を怠った 報
伸ばし、体幹30度にしながら輪入れを行うと腰痛が発生した。片方ずつで同
告が遅れた(怠った)
様の活動を行うと軽い痛みのみあり、左右9回ずつ行い終了した。痛みにつ
いて病棟看護師には伝えなかった。終了後、患者の痛みは軽度であったが
夜間に痛みが増強した。患者は前屈みが限界だったけれど、もっと伸ばせと
言われたと話していた。
1件の事
例
患者は既往歴として腰痛があり、コルセットを装着していた。過去に転倒を繰
り返しており、リハビリを始める3日前にも転倒したにもかかわらず、バランス
機能の評価・訓練に着眼し、腰痛への配慮が不十分であった。安全な動作観
察を実施することを優先せず、腰椎への負担が大きい体幹前屈を伴う上肢の
・リハビリテーション中に症状が出現した場合は、病棟看護師に伝達し、その
リーチ動作を行った。痛みが発生した時点で中止せず片手での動作訓練を
後の経過を依頼する。・リハビリテーション依頼票にステロイド服用について
継続した。訓練中の痛みを病棟看護師に伝えなかったため、症状が増悪して
の記載欄を新たに設ける。
から観察と治療が開始された。患者は以前からプレドニン5mgを内服してい
た。83才の高齢であるが骨粗鬆症を予防する薬剤は投与していなかった。リ
ハビリテーション依頼票には易骨折状態の情報記載欄はない。骨折画像の
新鮮さと臨床症状から、痛みが起った時点で骨折したと考えられる。
関連診療科、当事者職種の選択
関連診療科
当事者職種
ブランド名
「アルマール」終了
「ノルバデックス」
「ノルバスク」
の取り違え事故
注意喚起
院内の研修会で本事業の成果を活用しています
医療事故調査・再発防止に
関連する制度・事業
2004~
2009~
産科医療補償制度
医療事故情報収集等事業
医療安全情報、事例データベース
原因分析報告書・無過失補償
2005~
診療行為に関連した死亡の
調査分析モデル事業
原因分析報告書
10地域支部、団体・学会支援
日本医療安全調査機構
医療事故の例
(死亡した・死亡していない事例)
 死亡した事例 (7.1%)
① 冠動脈ステントを挿入したが血栓を生じ死亡。血栓予防のバイ
アスピリンとプラビックスの投薬を忘れていた。
 死亡していない事例 (89.4%)
① 別の患者の生検検体でがんと診断し、別の患者に肺切除術を
実施。
② 乳がん術後の放射線治療で左右を取り違え、健側の乳腺に
20回照射。
③ 意識障害のある患者にGI療法を実施したが、インスリンを
約200倍過量投与し重症の脳障害となった。
気管切開術後1週間のリスク管理
(日本医療安全調査機構「警鐘事例」)
死亡事例
気管切開チューブが皮下や縦隔へ
迷入した事例
(医療事故情報収集等事業の報告事例より)
件数
事故の程度
死亡
2
障害残存の可能性あり(可能性が高い)
2
障害残存の可能性あり(可能性が低い)
5
障害残存の可能性なし
6
障害なし
3
不明
0
計
18
同種事例でも「死亡」から「障害なし」まで幅がある。
ま
と め
 評価機構では、病院機能評価や医療事故の収集、
産科医療補償制度等、医療安全推進のための事業
を運営しており、その役割が大きくなっている。
 これらの事業により「思いがけなく悪い結果に
なった事例」を、責任追及ではなく再発防止のた
めに活用することが可能になっている。
 ①幅広い診療分野の多くの事例を収集分析する方
法、②限定分野の限られた事例を詳細に分析する
方法、をどのように組み合わせるかが、今後の課
題である。
Question?
61
2016年第33回
ISQua国際学術総会東京開催
日程:2016年10月16日(日)~19日(水)
場所:東京国際フォーラム
規模:約70カ国1200名
62
次回の日本語webinar
日 時:10月21日(火) 20:00~
テーマ:診療ガイドラインの活用状況(仮)
演 者:当機構理事 山口 直人
(EBM医療情報部担当)
63