全社一丸となって社員教育する重要性を実感 (株)東江総業 《新潟県商工会議所連合会扱い》 <企業概要> <訓練概要> ■所在地:新潟市江南区 ■業種:製造業 ■資本金:300万円 ■従業員数:30人 ■コース名:車両内装部品組立養成コース ■職種:専門的技術教科 ■訓練生数:3人(終了後に3人とも正社員採用) ■期間:平成23年7月~10月 ■種別:有期実習型訓練(基本型) 1.制度の活用に取り組んだ目的 当社は、平成11年に製造業を営む会社と 当社の置かれた立場に立ちながら、親身に なって相談に乗ってもらうとともに、同セン して設立しました。当時は有限会社でしたが、 ターの主催による企業説明会にも参加しま 6年後の平成17年に株式会社に組織変更 したので、ジョブ・カード制度の有期実習型 しました。 訓練に対する理解が深まりました。 現在は、鉄道車両の製造と修理、改造リニ そこで、ジョブ・カード制度の有期実習型 ューアルを行っており、工場には車両の内装 訓練を実施することによって、訓練生に少し 部を組み立てた多くの種類の部品を備えて でも早く確実に技術力を身に付けてもらう おり、主に鉄道部品(内装部品)を組み立て ことができますので、当社での人材の育成に ています。 繋げられるというメリットを感じたことか 当社では、技術力の向上と納期を守ること ら、この制度を活用することにしました。 に力を入れており、従業員一人ひとりが安全 で確実な仕事となるよう、前向きに取り組ん でいますので、バランス良い方向で作業を進 めています。さらに、技術力の向上を図るた めに、国家試験1級の技能検定の資格取得に 向けた取り組みも行っています。 しかしながら、当社の今後のことを考える と、高齢となった従業員の退職が予想されま すので、次代を担う若手の従業員の育成が急 務となっていました。 こうした状況のもと、新潟県商工会議所連 OJT の実施風景 合会に設置されている新潟県地域ジョブ・カ ードセンターの企業開拓推進員の方が当社 を訪問した際に、ジョブ・カード制度の有期 実習型訓練について紹介してもらいました。 2.具体的な取組内容 新潟県地域ジョブ・カードセンターの企業 開拓推進員や訓練コーディネーターの方々 の親切丁寧な指導のもと、下記のとおりの訓 3.阻害要因とそれを乗り越えるための工夫 練カリキュラムを作成しました(詳細は、別 訓練実施計画の作成から有期実習型訓練 添の「有期実習型訓練の概要」をご参照くだ の終了に至るまでには、問題がいくつかあり さい)。 ました。特に問題となったのは、①工具の種 (1)OJT・・・合計173時間 類が多すぎたこと、②講師を務めた従業員の 1)実習科目 ①表具・内装・塗装(80時間) 指導力が不足していたこと、③取り扱う材料 が多ったことでした。 ②荷棚、手すり等の取付(60時間) 上記の①と③に対応するために、訓練のと ③材料、工具、機器の使用(13時間) きは、基本となる材料を絞り、工具も材料に ④作業完了後の清掃等(20時間) 合わせて使用しました。例えば、Off-JT の (2)Off-JT・・・合計44時間 1)学科 講義の際には、取り扱う材料に合った工具を 選びましたので、訓練生が理解しやすくなっ ①働くことの心構え(4時間) りました。また、加工実習を行うときは、材 ②安全衛生、挨拶等(4時間) 料をよく確かめて工具を選びましたので、訓 ③車両艤装技術の概要(16時間) 練生は作業する意欲が高まってきたように 2)実技 感じました。さらに、訓練生が少しずつ慣れ ①工具の使い方等(20時間) (3)有期実習型訓練 総合計217時間 てきたら、工具を代えることによって、前向 きに頑張ろうという意欲がわくような工夫 に努めました。 ②については、講師を務める従業員の指導 方法の構成について幹部社員で事前に協議 し、対応策を検討しました。併せて、指導力 が不足したり、通常業務に支障が生じないよ うに、従業員同士でミーティングを行い、情 報の共有化を図りながら、対応に努めました。 こうしたことから、教育訓練は、講師を務 めた従業員のみならず、全ての従業員のサポ ート体制の構築が必須となりますので、全従 Off-JT の実施風景 業員に「従業員を大切にする会社」という意 車両の内装工事は、基本の順番が大切です。 識を深めてもらううえでも、全社一丸となっ このため、訓練カリキュラムの内容は、①エ て社員教育を行うことの重要性を実感しま アードリルでの穴明け、②エアータッパーで した。 のネジ切り、③アルミの型材で合わせ細工を 行うなどの順番とし、作業工具について1点 4.制度の活用による具体的な効果 ずつ訓練生に説明しました。併せて、訓練生 ジョブ・カードの有期実習型訓練の素晴ら の負担が重くならないように、時間を有効に しい点は、教育訓練を通じて若くて将来性の 活用して実施しました。 ある3人の訓練生が鉄道車両の内装の技術 車両の内部の組立用の各種の工具の取り を習得できましたので、何と言っても、当社 扱いについては、長年の経験を有する社長が のニーズに合った人材を採用できたことで 自ら講師となって訓練生を指導しました。 す。 また、定量的な効果としては、教育と訓 練は、講師を務めた従業員の負担が大きいこ とに加え、新たな経費負担が伴いましたが、 国からの助成金の受給によってコスト負担 を軽減できましたので、大変助かったことで す。 さらに、訓練生が実践的な作業を学んだこ とによって、約3カ月の訓練を終了した時点 で非常に能力がアップしたことです。訓練日 誌をみると、訓練生自身も、「やはり、経験 に勝るものはないと実感しました」と報告し ています。また、これからの私どもの指導に 役立てたいと考え、訓練生に対しては、講師 を務めた従業員の指導内容の良し悪しにつ いいても、毎日の訓練日誌に記載するように 指導したことです。 こうしたことから、当社では、今後も、ジ ョブ・カード制度の有期実習型訓練を積極的 に活用していきたいと考えています。 (平成24年11月現在) 有期実習型訓練の概要 (株)東江総業 訓練コース名 車輌内装部品組立養成コース 職務名または教科名 職務または教科の内容 表具・内装・塗装 断熱材の加工、取付 Off-JTの 時間 の実施主体 80 はめ板の加工、取付 アルミ材の加工、ビスどめ 有 O 期 実 習 J 型 T 仕上げ、塗装 荷棚、手すり 荷棚の補修、取付作業 腰掛け取付 手すりの補修、取付作業 60 腰掛けの補修、取付作業 訓 材料、工具、機器の使用 材料、工具、機器の使用方法 13 作業完了後の清掃等 作業完了後の清掃仕上げ、 20 練 工具のメンテナンス OJT計 173 時間 の 内 働くことの心構え 容 働く意味と心構えの指導 4 学 安全衛生、挨拶等 安全衛生法 4 科 および社内ルール、挨拶等 O 車両艤装技術の概要 f 図面の見方 16 自 社 材料の特徴と使用方法 f - 学科計 24 時間 J 工具の使い方等 工具の使い方と手入れ方法 20 T 実 技 実技計 20 時間 Off-JT(教育訓練機関)小計 44 時間 有期実習型訓練合計 217 時間 主要な設備機器、教材 エアードリル、エアータッパー、エアードライバー、溶接機器 自 社
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