ノウハウシェア・コミッティ 第1部「リーダーシップの育成」 講師:株式会社ビジネスコンサルタント 岩澤 誠 氏 (1)現在、BSPソリューションズのサイト「カイゼン活かす」において『システム管理における人材育成 チームリーダーのリー ダーシップ』毎月連載中。 (2)歴史=HISTORYとは英雄のリーダーシップを記述したものが多い。 (3)特性論的アプローチ 20世紀初頭からリーダーシップを学問として研究することが始まった。どんな人がリーダーシップを発揮するか 特性の共通項を見つけ出した(ここから統計学が派生している)。リーダーシップを発揮する人に共通した 5つの特性とは 1)背が小さい 2)左利き 3)軍人だった 4)異性(女性)好きだった 5)晩年は性病で悩んだ。 この研究では特性論=運命論つまり生まれながらの定めという結論がすぐに出てしまい1920年代に終止符が打たれた。 これを特性論的アプローチという。 (4)機能論的アプローチ(ブレイクウットンの学説) 1940年代になると、良いリーダーは何をしなければいけないか?から研究する学者が出てきた。 リーダーには2大機能があると結論。これは今でも通用する学説である。 1) 課題達成、2)集団維持の2つで成り立つ。 集団維持 設問を用意して個人のポジションを決めた。 ①は 1) 2)とも高い理想のポジション? 1 3 5 質問の例) 「部下から反論されたらどう対処します?」 →「命令する」「論理的に説得する」 「無視する」 等 4 2 課題解決 ①ブルーカラーの職場に多い ②港湾労働者等、転職者の 多い職場に多いリーダー ③部下をおだてて動かすリーダー ④ホワイトカラー内勤者に多い ※フィールドワークで2000人のリーダーにこの理論の裏付け調査をした学者がいる(ハーシー)。 その結果は上記の通り均等に配置された。この結果、機能論的アプローチは統計的に否定される。しかし、リーダーシ ップを二つの機能に分けて考えた点はよい。 ①∼④を分析して次の仮説が出てきた。 ②は英語も読めない外国人労働者を雇用しているリーダーに多かった。⇒人の出入りの激しく、とにかく課題が達成させ ることがリーダーの役割と考える ④のリーダーは知的作業に従事しており、メンバーは放っておいても自ら働く部下が多かった。⇒部下に手をかける必要 がない。 このことから、「組織のメンバーが成熟しているかどうかでリーダーシップの型が決まるのではないか」という仮説が生ま れた。 (5)状況論的アプローチ リーダーになって役割とは何か、周囲から何を期待されているか 顧客 を書かせる研修がある。 ユーザ →しかし、右記のシートは優秀な人にしか書けない。 ・ -------自分なりに「正解」を持っていないと書けない。 ・ -------・ -------→そこで、7つの役割をヒントとして提示する。 BSPカイゼン活かすサイト 5/18の記事 2ページ目 http://www.kaizen-ikasu.com/uk/iwasawa/index.html (左記参照) 7つの役割が答えられれば、組織が変わる毎に何をやるべきか導き出し易くなる。 上司 ・ -------・ -------・ -------- リーダー 部下 ・ -------・ -------・ -------- 同僚 ・ -------・ -------・ -------- (6)スキルズ・アプローチ(ロバート・カッツの学説) 1970年代からアビリティとコンピテンシィに注目するようになった。 (アビリティ:一人で発揮する能力、コンピテンシィ:他者との コミュニケーションにおいて発揮する能力) 組織トップ この比率バランスによって、どの規模の集団では どういう能力(スキル)を持った人がリーダーに なるべきかを説明付けた。 しかし、この図では技術が軽視 されているきらいがある。 そこでビジネスコンサルタント社とBSPソリューションズで システム運用の視点で以下の9項目を新たに体系付けた。 小集団 概念化能力 || コンセプチャス 対人関係能力 技術的能力 ①安定性 一番重要視する。 現 場 システム運用の場において何かトラブルが起こった時に動転して何もできないようではリーダーになれない。 ②概念化能力 ←難しい事柄を理解し、わかりやすく伝えられる。 ③行動力 ←これはユーザーのために働ける能力 ④自己統制 ←倫理的に欲求を抑えられること ⑤柔軟性 ←マニュアルに書いていないことが起きた時に対処できる ⑥状況感受性 ←今自分はどういう立場に置かれているのかを把握できる ⑦対人関係能力 ←概念化能力においてわかりやすい説明を考えてもそれを伝えるためには必要な能力である。 ⑧目標指向 ←①目標を自分で作る ②最後までやりぬく 二つあわせて目標思考 人の設定でやらされていると思って いる人はコンピテンシィが高いとはいえない。 ⑨問題解決力 以上が、システム運用のリーダーに必要なコンピテンシー項目である。 ※全部高い人は殆どいません。 特定論ではなく 変えられるものに焦点をあてた考え方がコンピテンシィである。コンピテンシィは高めることができる。 また、コンピテンシィが高い人は生産性が高い。 例えばコンピテンシィの高さが上位5%の人に プログラム作成能力についてヒヤリングする。 普段の生産性は普通の人もリーダーシップをとれる人も変わらない。 しかし、リーダーシップをとれる人は設計書段階だと 平 数倍に跳ね上がる。トラブル時には数十倍の生産性を 均 発揮することが多い。 上位5% 生産性 人 50% 80% 100% また、スキルズ・アプローチでは「コンピテンシーを高めること」とは別に、 「人は誰しも生まれながらにリーダーシップをもっている。しかし、それを阻害している要素がある筈」という考え方 をしている。 この阻害する要素を「防衛機制」(ユル・シュルツの学説)という。 人には基本的な欲求と懸念がある。自分が有能でありたいという欲求があると同時に、自分は有能ではないという不安や 懸念がある。 ・相手に言ったけど聞いてくれなかったら嫌だなと思い、リーダーシップをとらなくなった。 ・自分が有能ではないと思えてくると、リーダーシップをとれなくなる。 ⇒ 新しい仕事をやらない、逃げる。 ・突然病気になる。仮病ではない。不安が解消されると出社してくる(これも防衛である)。 ・人から言われるのが嫌だから相手にしゃべらせないために、こちらが一方的にしゃべって黙らせる。 ・ 都合の悪いことが無意識に聞こえなくなる。 員 こういったことに気づけばすぐにおさまる。気づくことが大事である。 気づくのを習慣化するのが大事である。 「自分に価値がないのでは」、「嫌われるのでは」、「自分は有能ではないのでは」と思うのは、人ならば誰もが持つ基本的 懸念である・ 自分のコンピテンシーを知り、自分のコンピテンシーを阻害しているものを知ることが大事である。
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