「最も小さな者の一人にしたのは、 私にしたのである」 (マタイ25章40節) 建学の 精神 12 6.2012 No.13 学園長・理事長 田上 保幸 松永 信雄 建学の精神(キリスト教理念に基づく教育)の具 ど、日本の外交で大きな役割を担い、それを立派に 体化の一つとして、本学園は「正義と平和の教育」 果たしました。 を掲げています。今回、その良き体現者として外交 彼の生き方、または仕事の根底には人に対する尊 官、松永信雄(1923年〜2011年)を紹介します。 敬、あるいは人格の尊重という、いわば、友愛の精 彼は東京で生まれ、8歳から12歳までオランダと 神が常に流れていました。たとえば、人事課長の時、 オーストリアで過ごしました。1935年帰国して暁 外交官の選考に当たっては、人から信頼される人格 星中学に入学、その後、一高、東大に進みました。 を重視すべきあると主張して試験制度を改革しまし 1943年から学徒動員で海軍に入隊、終戦により除 た。また、米国のレーガン大統領に大使の信任状を 隊となります。海軍少尉でした。1946年、外交官 捧呈した折に、大統領が「中曽根首相とは非常に親 試験に合格、入省し、50年間に亘る外交官の道をス しい友人だ」と言われたことに強い感銘を受け、自 タートします。1976年 官房長、1978年 駐メキシ 分も心の通う会話ができたと述懐しています。中国 コ大使、1983年 外務事務次官、1985年 駐米大使、 の元駐米大使、韓叙氏から北京に招待され、至れり 1992年から1998年まで政府代表に任命されるな 尽せりのもてなしを受けたので、別れ際に、どうし て、これ程までに親切にし て下さるのですかと尋ねた ところ、 「あなたへの友情 のあかしです」と言われ、 固く握手したとも書いてい ます。 ブッシュ大統領夫妻と松永夫妻 「ある外交官の回想」 (松 永信雄著)にはこのような 友情の話があふれています が、彼の人格尊重は個人的 な特別な人に対する友情に つきるものではありません でした。アフリカの最も貧 レーガン大統領に信任状を捧呈する外交官松永信雄氏。 PLO本部でアラファト議長と懇談 しい国々を訪ね、イスラム ( 注)ここに掲載した写真は3点とも『ある外交官の回想』 (松永信雄著 日本経済新聞社刊)より転載 次頁に続く 1 (前ページよりの続き) 文化に関心を持ってイラン、パレスチナを訪問し、 べき言葉を引用します。 外務省に中南米局を再興するために尽力し、駐米大 「断固として正論を吐かねばならない。これはす 使として全米50州を直接訪問したことなどに、すべ べての外交交渉に共通するが、正しいと信じる主張 ての人に対する彼の普遍的な愛と尊敬の念がよく現 を貫いてこそ、お互いに尊敬も生まれるし、歩みよ れています。おわりに松永信雄の行動規範ともいう りの余地も出てくる」 学校生活の豊かさとは 報機器への依存やバーチャル体験が青少年の心の発達に 暁星中学・高校 校長 及ぼす影響なども深刻な問題です。物で豊かさを感じる 勝部 純明 戦後の終焉を迎えているのかもしれません。 昨年度、生徒会や委員会から相次いで要望書が寄せら 昨年50周年を迎えたOECDが、GDPに代わり「幸福度」 れました。 「携帯電話持込み」 「学校指定エナメルバッグ を国民の豊かさを表す指標とする旨を公表しました。同 新調」 「新中1の教室に分別用のゴミ箱設置」です。 時に発表された国民の生活満足度調査で、日本は34か国 生徒会活動への関心が薄れたといわれて久しくなる 中19位でした。安全で高い生活水準にあるにもかかわら 中、生徒が学校でのよりよい生活づくりに参加し、問題 ず、生活への満足度が極端に低いためです。これに対し、 解決を図ろうとするのは大切なことです。早速、 先生方に OECDが手本としたブータンでは、経済的な豊かさに加 検討をお願いしました。その矢先に、生徒から携帯の許 えて文化や伝統、環境など調和のとれた「幸福」を目指 可をしないで欲しいという訴えがありました。学校で使 した結果、国民の96%が「幸せ」と感じています。 う必要はなく、許可で生徒が失うものは大きいという趣 ゴミ箱設置の要望書を持参した生徒は、用務の方々と 旨でした。非常時の連絡に必要ではあっても、 手に入れた 一緒に自分達の学校環境を良くしたいと理由を述べ、分 便利さを自制する心をどう育てるかは大きな課題です。 別の定着には1年生を支援する活動が大事だと言いま 振り返れば、利便さを求めて技術を発展させ、モノづ す。暁星に学ぶ者が協力して実現する学校生活にこそ豊 くり大国として我が国は成功を収めてきました。しかし、 かさがあります。創立者が暁星ファミリーに託した想い 技術の優位性がグローバル化によって揺らぐ一方、豊か です。それは、時代を切り開くのに必要な力でもあるの さと引き換えに次の目標が見えにくくなっています。情 です。それを実践する生徒諸君は頼もしい限りです。 覚 悟 暁星小学校 校長 生活をと願っています。そのために人は知恵を出し合い 佐藤 正吉 全安心のために、何をなすべきか」を常に心しておくこ 助け合い、歴史を積み重ねてきました。これからも、 「安 東日本大震災から1年が過ぎましたが、余震に加え首 とは生活する上での基本的なことと思います。 都直下型地震、東南海大地震などの情報が飛び交いどこ ところで、 「安全安心を願う」という気持ちに大切なこ か心落ち着かない毎日です。併せてゲリラ豪雨、竜巻、 とが、 「覚悟」であると思います。つまり、いざという 落雷など大自然の凄まじさに改めて驚かされることがあ ときに自分はどのように行動する、どのように対処する まりにも多くあります。私たちは誰もが「安全安心」な かなどはっきりとした心構えがあるかが問われているの もくじ 2 建学の精神 その体現者(12)…… 1 学園行事 2012年4月〜9月 …… 4 後援会レポート ……………… 6・7 暁星の理念と教育実践 ……… 2・3 学園トピックス ……………………4 2012年 大学合格者実績 ………… 7 学園 人の動き ………………………3 クラブ活動 …………………………5 同窓会だより ………………………8 です。自分自身で考えその場に適したことを行えるか、 あります。かつて「みんなで渡れば怖くない」という 自問しても必ずしも自信はありませんが、できる限りのこ 言い方が広まったことがあります。つまり自分自身の とをしてみるしかないという答えになります。覚悟とは、 責任で物事を判断し行動するのではなく、多数に従っ 他人のせいにしないで自分のことは自分で決めるという ていれば自分の責任が薄まる、無くなるということに 心構えだと考えます。これからの世の中を生き抜く上で つながる発想です。恥ずかしいことですが、私も周囲 自律の精神をもつことの重要性と言えましょう。単に強 の様子を窺い、自分の行動を決めようとする気持ちが がりでない覚悟をもった生き方が求められています。 顔を出すことが多々あります。 子どもの言動で気になることの一つに、 「僕だけじゃ 自分で考えた末に出した結論や行動に責任を持つと ない」 「みんなも同じことをしている」という言い訳が いう覚悟が問われている今です。 言葉が伸びる 暁星幼稚園 園長 す。聴いてもらった喜びが子どもの心に伝わり、話す楽 逆井 弘子 がっていくと考えているからです。 しさ、活動への意欲や考える力などが伸びることにつな 幼稚園園庭の一角にひときわ子どもたちの歓声が高 人への信頼感を育むことが大切な幼児期は人と人とが まっている場所がありました。 向き合って言葉を交わし、互いを知り、成長していくこ “ミミズがいた!” “根っこが細くて白いよ!”と口々 とが望ましいことです。教師や友達の話に耳を傾け、自 に言葉を発する子どもたちの手にはハルジオンやナズナ 分も話し、やがては言葉によるコミュニケーションが豊 の植物が……。そこは夏野菜の植え付けを前に先生と子 かになるようにと願っています。 どもたちが畑作りの真っ最中のところでした。 幼稚園の生活の中には友達と相談し、考えや力を出し 子どもたちの発する弾んだ言葉に教師は「良かったね、 合って遊びを作り、進めていく、友達から刺激を受けて ミミズがいると栄養いっぱいの土になるのよ」 「細い根っ 自分もさらに高まっていけるなど、言葉の発達を育む集 こから(植物は)栄養を取っているのよ」と一人ひとり 団としての力があります。 の発見に共感し、応えていっていました。子どもたちは 新年度が始まり2か月が過ぎました。毎朝元気な笑顔 教師が返してくれた言葉に土の中や植物にさらに興味が を見せてくれる子どもたち。幼稚園で友達や先生と過ご 増し、夢中になって畑にかがみこんでいっていました。 す時間を楽しみにしてくれています。心を、体を、精一 幼稚園では、子どもたちが発した言葉をしっかり受け 杯使って遊び、豊かに成長していく場をさらに高めてい 止め、子どもたちが何に興味をもったのか、何を感じ取っ きたいと思っています。 てほしいかを考え、適切に返していくことに努めていま 新任教員 紹介 宮嶌芳和先生 中学・高校国語科教諭 内田和博先生 中学・高校副校長 今年度より中学校・高等学校の副校長として勤務し ております。今年3月まで、都立高校並びに都教育委 員会において、円滑な学校経営の実現に努めてきまし た。その経験を活かし、より一層きめ細やかな学園の 教育実践と指導力向上を目標に尽力する決意です。 特に、保護者の皆さま方からのご要望、ご相談を大 切にしたいと考えております。よろしくお願い申し上 げます。 今年度より中学・高校に勤務し ております、国語科の宮嶌と申しま す。授業では国語を教え、教室の場 所や行事などは生徒に教わり、学 園のリズムに馴染みつつあります。 去る5月1日に中学2年生と、 雨に打たれながらも励まし合いな がら御岳・日の出の2峰を制覇し てきました。学習でも同様に、励 まし合って乗り越えていく集団作 りをしていきたいです。何卒よろ しくお願い致します。 佐々木彩乃先生 小学校養護教諭 昨年度は前任養護教諭の佐藤範 子先生のお手伝いとして勤務して おりました。今年度より正式に小 学校保健室を担当しております 佐々木彩乃と申します。保健室に 来て、元気に教室や家庭に帰れる ような保健室づくりを目指してい きたいと思います。何かと至らぬ点 もあるかと思いますが、何卒よろ しくお願いいたします。 3 2012年4月∼2012年9月 4月に幼稚園は新入園児47名 (男子38名、女子9名)を迎え95名で、小学校は120名の新入生を 迎え713名で、中学校は177名の新入生を迎え536名で、そして高等学校は535名で、学園としては、 総数1879名(昨年比2名減)で平成24(2012)年度をスタートしました。 幼稚園 ●始業式/入園式 4月 ●保護者会 ●誕生会 ●復活祭の集い ●親子遠足 ●マリア祭 幼稚園の畑作り 5月 ●誕生会 ●一日動物村 1学期 ●内科検診 ●日本丸遠足 小学校のイースターデーのミサ 8月 ●保護者会 ●校外学習 ●入学式/始業式 ●実力テスト ●保護者会 ●ソダリティ ●健康診断 ●イースターデー ●那須合宿 (4、3、6、5年) ●校外活動 ●中間試験 ●大沢小交流会 ●仏語フェスティバル ●歯科検診 ●運動会 ●参観日(引取訓練) ●修学旅行(高校2年) ●那須合宿(2年) ●後援会総会 ●後援会総会 ●編入試験 ●保護者会 ●サッカー大会 ●期末試験 ●誕生会 ●終業式/夏休み ●学校見学会 ●保護者ミサ ●水泳実習 ●終業式/夏休み ●終業式/夏休み (5・6年、4・3年) ●校外学習(中学1年) ●歯科検診 ●後援会総会 ●誕生会 7月 ●始業式/入学式 中学・高等学校 ●学校ミサ ●ファミリーデー 6月 小学校 ●夏休み ●水泳実習(1・2年) ●夏休み ●夏休み ●教職員研修会 2学期 中1の校外活動 こんな先輩がいます ! ! 巣籠悠輔君です 9月 ●教職員研修会 ●始業式 ●始業式 ●保護者会 ●保護者会 ●水泳大会 ●幼稚園説明会 ●学年ミサ ●誕生会 ●那須合宿 (2、3、4年) 子どもの「発見」を アシストします! 2007年3月に卒業し、東京大学工学部に 暁星小学校の倉次麻衣(くらなみ まい) 進んだ巣籠悠輔君が、この3月の学部卒業に 先生は、 小学校1年生の「長さ比べ」の授業で、 際して「システム創成学科長賞」を受賞しま 子供たちの身近にある「ひも」を使い長さ比 した。これは、日々たゆまず勉学し研鑽を積 べを行った授業の様子が4月28日付の朝日新 んでいる証。現在、東京大学大学院に進学し 聞に取り上げられました。単に縛るだけの「ひ 頑張っています。 も」ではない活用方法は、大きな発見でした。 (掲載の新聞記事を読みたい方は、中高事務室 にお問い合わせ下さい) 4 ●教職員研修会 ●始業式 ●校内実力テスト ●文化祭 喜びもひとしおだったので 高校バレーボール部 はと思います。中1でバレー 5年ぶり4回目の 関東大会出場が 決まりました 部に入り、6年ちかく頑張っ て得た努力の結実を間近で 観ることができました。 応援していただいた保護 4月22、29日、5月3日と関東大会 者、OB、先生方に感謝し の東京予選が行われました。今回は都大 つつ、選手たちには6月2 会ベスト16、決定戦全勝での出場とな 日川崎での大会を大いに楽 りました。接戦や厳しい試合を勝っての しんでもらいたいと思いま 目標達成でしたので、高校3年生5人の す。 小学校・フラッグフットボールクラブ 自分の長所を活かして ボールを前に進める 関東大会目指して練習に励む部員 アメフトを見たこともない部員がほと を紙に描くことも活動の一つです。 んどですが、渡す、走る、投げる、取る、 自分の長所を活かした役割を全員が 防ぐなどの一つ一つの動作を鬼ごっこの しっかりと果たすことで、1つのボール 延長のようなミニゲームを通して習得し を前に進めていく過程はクラブ以外の活 ていきます。 動にも通じることです。彼らには楽しみ アメリカンフットボールを手軽に、そ また、毎回がセットプレイのスポーツ ながらその過程を実感して欲しいと思い して安全に楽しむことができるニュース ですので、攻撃や守備の動きのデザイン ます。 ポーツ、それが「フラッグフットボール」 です。 写真部 学内での作品展示のほか 公募コンクール入賞を目指す 今年度からは、ヘンリックホール内で 決められたテーマに沿って写真を撮 も定期的に展示することと、更に公募コ り、各自が自信作を持ち寄り、互いに自 ンクールで入賞することを目指して一層 慢し合ったり、忌憚のない感想を述べ の努力を重ねていきます。 合ったりする。次に備えて撮影の予定を 立てる。こんなミーティングを毎週月曜 日に開き、そして選りすぐりの作品を集 めて、中高図書館の閲覧室内に展示し、 2週間毎に更新する。写真部はこのよう な活動をこの3年間、地道に続けてきま 鬼ごっこのようなミニゲームで動きを習得 した。 部員の作品 読売新聞の「私の先生」より 〈4月19日:渡辺香津美さん〉 〈5月3日:石井 直方さん〉 鈴木啓互君柔道日本一 ! ! 1972年卒業の有名なギタリスト。 1973年卒業の東京大学教授。筋肉 自分の人生を大きく左右した先生とし に負荷をかけながら行う「スロート て、下村和高先生が紹介されました。 レーニング」の提唱者。学生時代、日 第20回日整全国柔道大会が、昨年の10月 お名前を聞くと、すぐ「△☆」という 記を書かせる教育を行った松岡菊一先 10日講道館で開催され、暁星小学校5年(当 あだ名が……先に浮かびます! 生をご紹介しています。自分の考えを 時)の鈴木啓互君が神奈川県チームの中堅と 相手に伝える論文書きの基本はここに して出場し、決勝で茨城県代表を破り、2年 原点があるそうです。 連続の優勝となりました。 5 ご 挨 拶 「建学の精神」 「地の塩、世の光」を 礎とした学園の発展に寄与する ことが後援会の責任 暁星学園後援会 会長 内 保 田 隆一 か」を感じられる人物に成長していることを期待しています。 卒業される方があれば、入学される方もいらっしゃいます。 今年も幼・小・中・高で入学式が執り行われ、幼稚園、小学校、 中学校では新しい仲間が暁星ボーイとしての入り口に立ちまし た。暁星学園の特徴は、宗教教育、サッカー、フランス語(語 学を通してフランス文化を感じること)であります。 今年は創立124周年目に当たりますが、フランスから命がけ 護者の皆様、日頃から暁星学園後援会の活動にご理解、 で日本に来たカトリック修道会、マリア会の会員5名によって ご協力を賜り、誠にありがとうございます。早いもので、 学園は現在の築地に創られました。その理想はキリスト教に基 私も会長職を拝命してから1年が経過しようとしています。 づくもので、暁星で過ごす間「建学の精神」 、 「地の塩、世の光」 昨年の今頃は未曽有の震災の後で、まだまだ世の中が混乱し という言葉を良く耳にすると思いますが、新入生の保護者の皆 ていた状態だったと記憶しています。当時は余震も含め、また 様にもご理解をお願いしたいところであります。人格形成の上 近々に大地震が発生するのではという恐怖感、不安感、何か備 ではクラブ活動も重要な意味合いを持つと考えられます。勉強 えなければということで、防災グッズが飛ぶように売れました。 だけでなく、色々な学園生活を通して人格の形成をしていくこ 自分自身もいろいろと整備しましたが、今現在はどうでしょう。 とが一番重要なことです。もし在学中に暁星学園の良さが分か 本当に備えあれば憂いなしの備えになっているのか、甚だ疑問 らなくても、卒業した後で必ず分かります。ここ(暁星学園) です。もう一度、日々の訓練など思いを新たにしなければいけ はそういう学び舎です。 ないと思っているところです。 さて、来る6月23日(土)学園講堂にて本年度の定期総会を 被災地の方々におかれましては、まだまだ普通の生活に戻れ 開催いたします。総会終了後には、卒業式やサッカーの全国大 ず、心労、 苦労をされている方が大勢おられます。寄付、ボランティ 会などでいつも演奏してくれている音班部員による演奏会を上 アなど何でも自分のできることを忘れてはならないと思います。 演することになっています。部員たちの日頃の練習の成果を楽 3月11日以降、暁星のOBで被災地の最前線で復旧の指揮を しんでいただければと存じます。また、演奏会終了後、学園食 執った方がいます。1979年卒の和田さんです。和田さんは陸上 堂に於きまして会員懇親会も予定いたしております。一人でも 自衛隊の一等陸佐で、東北補給処 装備計画部長でいらっしゃ 多くの保護者の皆様のご出席を賜りたく、よろしくお願い申し います。今年の同窓会新年会で「東日本大震災〜迷彩服から見 上げます。 た絆」という演題で講演をされました。 「地の塩、世の光」を 後援会では前藤井会長年度より、後援会独自の奨学金制度を まさに実践された先輩で、大変誇りに感じました。和田先輩、 創立いたしております。急な経済状態の変化などによりご利用 後述する文化講演会でご講演いただいた中川恵一先輩(1979年 を検討されている方は、まだ若干枠が残っておりますので、諸 卒)にも共通した「何か」を感じました。この「何か」こそ暁 先生、事務室までご相談ください。 星ボーイの一番大切なものなのではないでしょうか。 最後になりましたが、本年度の総会をもちまして退任される 本年3月10日に172名の生徒が暁星高校を巣立っていきまし 石郷岡常務理事をはじめ役員の方々、大変お忙しいところを後 た。私は学園より招待いただき、来賓として卒業式に参加させ 援会活動にご尽力いただきまして誠にありがとうございまし ていただきました。27年前の私の時と変わることのない厳粛で た。新任の方におかれましても、学園の発展に寄与するという 素晴らしい式に本当に感動いたしました。私は挨拶の中で贈る 後援会の存在目的を常に念頭に置き、子どもたちの為にも新年 言葉として、両親への感謝と、何でも簡単に諦めてはいけない 度もご協力 ということ、勉強よりも大切なことは情と度量を育てることだ のほど宜し と、大切な「人生のエッセンス」を伝えようとしました。卒業 くお願い申 生諸君の心のどこかでそれらが根付いていくことを心より願っ し上げます。 ております。また社会のどこかで会えた時、共通の認識で、 「何 文化講演会・新春懇親会 東大・中川恵一准教授による講演 「被ばくと発がんの真実」に大きな反響 新 春恒例の文化講演会と懇親会を平成24年1月20日(金) 午後5時よりホテルメトロポリタンエドモントに於いて 開催いたしました。昨年発生した東日本大震災の大きな爪痕は まだまだ収束の糸口すら見えず、多くの問題が山積されたまま です。その中でも福島第一原発事故による放射線被ばくの問題 はもっとも身近で重要な問題のひとつです。そこで、今年の講 演会講師として本学園の卒業生であり、放射線被ばくと発がん に関する著書もある、東京大学医学部附属病院 放射線科准教授 6 保護者、先生 方多数の出席 で大盛況の懇 親会 緩和ケア診療部長 中川恵一先生をお招きいたしました。 中川先生は福島第一原発事故発生直後から、 「チーム中川」 でツイッターを立ち上げ、自身のみならず物理学者や原子力工 学の専門家などの知見を生かし、放射線被ばくに関しての知識 や情報を発信し続けておられます。先生の持論は「一般人(原 発作業者、立入禁止・避難区域除く)の原発事故による放射線 被ばくの影響は皆無であり、被ばくによる発がんリスクより飲 酒や喫煙といった生活習慣の方が危険」というもの。しかしこ 中川恵一先生の講演 を450人を超える 方 々 が 聞 き 入った ︵前 列左端が中川先生︶ 2000mSv、受動喫煙でも100mSvくらいに相当することなど、 具体的な数値や映像を用いて分かりやすく解説されました。加 えて、随所に笑いも交え先生のお人柄がうかがえる和やかな講 演となりました。 大切なのは放射線被ばくを怖がりすぎないこと。それがスト レスとなり、うつ病や依存症などにつながり、被ばく以外の理 れに対して批判の声が多いのも事実。各メディアでも多く取り 由で発がんの増加につながっていくのではないかと締めくくら 上げられています。先生はこの持論に対しての根拠・説明を丁 れました。会場では誰もが熱心に聞き入っておられ、大きな拍 寧に講演して下さいました。 手と反響のなかで講演会は幕を閉じました。 がん細胞とはどういうものか、なぜ発生するのかということ 当日は450名を超える会員の皆様、田上理事長をはじめ中木 から始まり、日本でがん死亡率が高い理由や原発事故による放 副理事長、勝部中学・高等学校長、佐藤小学校長、逆井幼稚園 射線被ばくによる発がん増加は皆無であること。その一例とし 長や教職員の方々、同窓会から浅尾会長ご夫妻、諸先輩方にも て原爆が投下された広島市の女性は政令指定都市の中で一番長 多数ご出席を賜わり、その後の懇親会も大盛況となりました。 寿だということ。日本では年間の被ばく量を1mSv(ミリシー 開催に際してご尽力いただきました常務理事をはじめ、役員の ベルト)と定めているが、医療被ばく(主にCTスキャン)だ 方々には厚く御礼申し上げます。 けで7mSvも被ばくすること。また、生活習慣での発がんリス 年に一度ではありますが、新春に先生方と保護者が一堂に会 クを被ばく量に換算すると、100〜200mSvの被ばくに相当する し、歓談することは大変意義深いことであり、大変貴重な時間 のは野菜不足くらいの値であり、塩分取り過ぎの方が100〜 だと存じます。今後とも、諸先生方そして保護者の皆様のご出 200mSvの放射線被ばくよりも発がんの影響は大きく、喫煙は 席を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 国公立大・ 私立大・その他 合格者総合計 2012年 大学合格者実績 (卒業生172名) ◆ 国公立大学 ◆ 大学名 合格者数 北海道大学 1 弘前大学 1 東北大学 3 秋田大学 2 筑波大学 1 千葉大学 2 東京大学 9 東京外国語大学 1 東京工業大学 5 電気通信大学 1 一橋大学 3 横浜国立大学 1 金沢大学 2 京都大学 1 横浜市立大学 4 奈良県立医科大学 1 合計 38 ◆ 東京大学 ◆ 学部名 合格者数 文科Ⅰ類 1 文科Ⅱ類 2 文科Ⅲ類 2 理科Ⅰ類 3 理科Ⅱ類 1 合計 9 ◆ 京都大学 ◆ 学部名 合格者数 総合人間 1 合計 1 ◆ その他の大学 ◆ 大学名 合格者数 防衛大学校 1 防衛医科大学校 2 その他合計 3 ◆ 私立大学 ◆ 大学名 合格者数 早稲田大学 41 慶應義塾大学 47 上智大学 19 東京理科大学 12 愛知医科大学 1 愛知教育大学 1 青山学院大学 5 麻布大学 2 岩手医科大学 3 学習院大学 3 神奈川大学 4 金沢医科大学 1 関西大学 1 北里大学 4 杏林大学 6 工学院大学 3 国際基督教大学 3 駒澤大学 2 埼玉医科大学 1 芝浦工業大学 3 順天堂大学 7 昭和大学 5 成蹊大学 3 成城大学 1 聖マリアンナ医科大学 8 拓殖大学 1 多摩美術大学 1 中央大学 12 帝京大学 2 東海大学 1 東京医科大学 10 東京歯科大学 1 東京慈恵会医科大学 7 東京造形大学 2 東京都市大学 4 東京農業大学 2 同志社大学 1 東邦大学 6 東洋大学 1 獨協大学 1 獨協医科大学 1 日本大学 日本医科大学 日本歯科大学 藤田保健衛生大学 法政大学 武蔵野美術大学 明治大学 明治学院大学 明星大学 立教大学 立命館大学 海外大学 合計 14 9 2 1 2 6 29 2 1 14 1 2 322 ◆ 医学部 ◆ 大学名 合格者数 弘前大学 1 東北大学 1 秋田大学 2 千葉大学 2 金沢大学 2 横浜市立大学 3 奈良県立医科大学 1 愛知医科大学 1 岩手医科大学 3 金沢医科大学 1 北里大学 2 杏林大学 6 慶應義塾大学 2 埼玉医科大学 1 順天堂大学 7 昭和大学 5 聖マリアンナ医科大学 8 帝京大学 2 東海大学 1 東京医科大学 10 東京慈恵会医科大学 7 東邦大学 6 獨協医科大学 1 日本大学 4 日本医科大学 9 藤田保健衛生大学 1 合計 89 363名 ◆ 早稲田大学 ◆ 学部名 合格者数 政治経済学部 6 法学部 3 文学部 5 文化構想 4 教育学部 3 商学部 6 基幹理工 2 創造理工 1 先進理工 5 人間科学部 1 スポーツ科学部 1 社会科学部 2 国際教養 2 合計 41 ◆ 慶應義塾大学 ◆ 学部名 合格者数 文学部 7 経済学部 12 法学部 3 商学部 10 医学部 2 薬学部 1 理工学部 8 総合政策学部 3 環境情報学部 1 合計 47 ◆ 上智大学 ◆ 学部名 合格者数 神学部 2 文学部 5 法学部 2 経済学部 3 総合人間科学 1 外国語 3 理工学部 3 合計 19 7 いま「建学の精神」は 暁星学園同窓会 会長 浅尾空人 一昨年の秋、 「暁星学園発祥の地」記念碑を築 る者、あまり良い思い出が無い者もおられるで 地教会の前に建立しましたが、その創立当時の しょう。それでもミッションスクールの教育に 日本の社会情勢を思い起こすと、経済的にも、 よって暁星の文化を身につけ、責任ある行動を 文化的にも、そして思想的にも混迷し、いろい し、国内はもとより国際社会のあらゆる分野で ろな衝突や不安がある時代でした。また他方で 活躍しているのが暁星学園の卒業生でありま は若き世代の人々が文明開化、富国強兵を叫ん す。夫々の人格の形成には「建学の精神」が深 で突っ走っておりました。そのような混迷した く根ざしており、特有な暁星カラーを感じさせ 時期に遙かフランスから青少年教育とキリスト られるのであります。 教布教のため、そしてフランス語を通して西洋 同窓会と言えば、同学年同志の横のつながり の文化や歴史を日本の子供たちにふれさせよう が多く、先輩後輩のつながりはクラブ活動での と来日された先生方の心の広い人類愛と熱意に OB会が主で、縦のつながりは比較的弱いもの 対して大いなる畏敬の念を抱いております。こ であったと思われます。同窓会はそれを打破す れぞ暁星の「建学の精神」だと思われます。 るため、同じ趣味を共有するものが年齢差を超 それから現在まで120数年を経て、 「暁星学園」 えて交流できるような各種の同好会を企画し実 は日本の歴史の中に深く根を下ろし、日本と共 行して参りました。年齢の壁を破り歳の差を感 に歩み、ミッションスクールとしての教育を通 じることなく、自然に大人同志の会話が弾み、 じて多大な社会貢献をしたことに、異議を唱え 参加者も大いに増えてきたことは、大変喜ばし る人は皆無であると信じています。 いことだと思われます。同窓会を単なる年寄り 1900年(明治33年)同窓会が創立されました。 の親睦会に終わらせることなく、若き卒業生に 以来112年、同窓会はその時代にあった方法で も参画していただき、学園、後援会、卒業生と 運営し今日に至っておりますが、今こそ同窓会 の強い「絆」を大切にし、学園発展のために寄 の意義・使命とは何かを改めて考えることも必 与して参りたいと思います。 要な時期ではないかと思えてなりません。 願わくば、暁星学園が当初の「建学の精神」 卒業生にも色々な方が居られます。暁星をこ を踏まえてますます発展し、国際社会にも大い よなく愛している者、どうでもいいと思ってい に貢献されることを祈っております。 暁 星 学 園 報 第 13 号 発行日 2012 年6月1日 発行者 田 上 保 幸 発行所 暁星学園事務室 8
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