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定義に準拠

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7 評 価
「評価」は教育活動の中で重要なものです。ここでは,評価改善の経緯と評価に関する基礎的な語句につ
いて解説しながら指導と評価の在り方について説明します。
1 評価改善の経緯 −「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)
」から「目標に準拠した評価(いわゆ
る絶対評価)
」へ −
はじめに評価改善の経緯の概略を示すと次のようになります。(表1)
平成 10 年 7月
平成 10 年 12 月
平成 11 年 3月
平成 11 年 12 月
表1 評価改善の経緯
教育課程審議会 答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾学校
及び養護学校の教育課程の基準の改善について」
中学校 学習指導要領改訂
高等学校 新学習指導要領改訂
中央教育審議会 答申「初等中等教育と高等教育の接続と改善について」
平成 12 年 12 月
教育課程審議会 答申
「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」
平成 13 年4月
文部科学省 初等中等教育局長通知
「小学校児童生徒指導要録,中学校生徒指導要録,高等学校指導
要録(中略)の改善等について(通知)」
平成 14 年4月
平成 15 年4月
中学校
新学習指導要領実施
高等学校 新学習指導要領実施(年次進行)
平成 12 年 12 月の教育課程審議会答申には,「評定」について次のような提示がありました。(表2)
表2 教育課程審議会答申(平成 12 年 12 月)
第2章 指導要録の取り扱い(抜粋)
(平成 12 年 12 月教育課程審議会答申)
イ 新しい学習指導要領の下での小・中学校の指導要録の在り方については,現行の様式を基本的に
維持した上で,第一に,評定を目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)に改めること,
(後略)
これを受けた文部科学省は平成 13 年4月に指導要録の改善通知を示し,中学校の「評定」は平成 14 年
度より従来の「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)
」に代わり「目標に準拠した評価(いわゆる絶
対評価)
」となっています。
中学校では平成4年4月に旧指導要録が改訂されて以来,
「評定」の他に「観点別評価」の記録の記載が
求められてきましたが,こちらは当初よりA,B,Cによる「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」
でした。
高等学校では従前より「絶対評価」であったにもかかわらず,
「評定」については定期考査等の結果を
重視しこれを相対的に評価する傾向が見られました。しかし,こうした中学校の「絶対評価」への全面的
な切り換わりを受けて,現在大きな見直しが進められています。とりわけ従来の「知識」に偏した評価の
在り方については強く改善が求められています。(表3)
- 24 -
表3 指導要録への記載事項の比較
旧指導要録
中 学 校
高等学校
新指導要録
観点別学習状況
(A,B,Cの3段階:絶対評価)
観点別学習状況
(A,B,Cの3段階:絶対評価)
評定
(5,4,3,2,1の5段階:相対評価)
評定
(5,4,3,2,1の5段階:絶対評価)
評定
(5,4,3,2,1の5段階:絶対評価)
評定
(5,4,3,2,1の5段階:絶対評価)
「絶対評価」=学習指導要領の示す「目標に準拠した評価」
2 評価に関わるキーワード
ここでは「評価」を理解する際に押さえておくべき次のキーワードについて解説します。
(表4)
これらのキーワードは評価に関する文脈の中で使われる場合,特定の事柄が定義されていることがある
ので注意が必要です。なお,ここでいう「評価」は,
「学校評価」等を含む広義のものではなく,
「学習に
関する評価」とします。
表4 評価にかかわるキーワード
「評価」と「評定」
,
「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」
,
「集団に準拠した評価(いわゆる
相対評価)
」
,
「指導と評価の一体化」
,
「四つの観点」
,
「観点別評価」
,
「評価規準」と「評価基準」
(
「の
り準」と「もと準」
)
,
「カッティング・ポイント」
,
「総括」
,
「重み付け」
,
「シラバス」
,
「説明責任」
(1) 「評価」と「評定」
これまでしばしば混同されがちでしたが,
「評価」=「評定」ではありません。
「評定」とは生徒個人の学習目標の達成度を学期末や学年末に5段階の数字で表すものです。これに
対し「評価」は,指導の在り方を含む学習活動全体について行われ,教材・指導内容・指導計画等,指
導方法の改善材料としても生かされるものです。
(表5)
表5 「評価」と「評定」
学習方法の改善
評
価
指導方法の改善
評 定
(2) 「指導目標」
,
「評価」
,
「評価結果」に関するキーワード
「絶対評価」
,
「相対評価」については,教育課程審議会答申の中で次のように定義されています。
(表6)
表6 「絶対評価」と「相対評価」の定義
「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」
「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)
」
- 25 -
「絶対評価」という語は,これまで 主観的絶対評価 , 到達度評価 など様々な意味で用いられて
いました。それがここで初めて「目標に準拠した評価」という定義を与えられました。よって今後使わ
れる「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」という語は,文字通り「目標」に照らした評価を意味
することになります。つまり「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」においては「目標」に応じた
適切な「指導」を行って,その指導結果を「評価」するという流れになります。このため「目標に準拠
した評価(いわゆる絶対評価)
」においては必然的に「指導と評価の一体化」が起こるわけです。
一方,
「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)
」は,指導結果を集団における順位によって評価し,
指導目標や指導内容との関係については直接言及されていません。(表7)
表7 「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」と「集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)
」
指導
目標
指導
学習
活動
学習
活動
目標に準拠
した評価
絶対評価
集団に準拠 =
した評価
相対評価
次にこの「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」という際の「目標」とは何かについてですが,
これは学習指導要領の「外国語」第1款にある「目標」がその根幹となります。(表8)
表8 高等学校学習指導要領「外国語」第1款「目標」
高等学校学習指導要領「外国語」第1款「目標」
(数字及び下線筆者)
外国語を通じて,①言語や文化に対する理解を深め,②積極的にコミュニケーションを図ろう
とする態度の育成を図り,③情報や相手の意向などを理解したり ④自分の考えなどを表現したり
する 実践的コミュニケーション能力を養う。
そして学習指導要領の「目標」は下線部①,②,③,④の四つの内容からなり,それぞれ次のように
まとめることができます。(表9)
表9 外国語科の「四つの観点」
①【知識・理解】 ②【関心・意欲・態度】 ③【理解の能力】 ④【表現の能力】
(通常は【関心・意欲・態度】
,
【表現の能力】
,
【理解の能力】
,
【知識・理解】の順で表記される)
「指導と評価の一体化」の考え方から,これら四つの目標が外国語科の評価の観点となります。これ
を外国語科の「四つの観点」と呼び,この四つの観点ごとに行う評価を「観点別評価」と呼びます。
そして次に,実際に「観点別評価」を行う際には,判断のよりどころとなるものが必要となります。
これが「評価規準」と「評価基準」です。
「評価規準」とは,どのような角度から生徒を評価するのかを表すもので,
「評価基準」とは,評価規
準における生徒の達成レベルを分けるもので「カッティング・ポイント」とも呼ばれます。この二つの
き準 を区別するために「評価規準」を「のり準」
,
「評価基準」を「もと準」と呼ぶことがありま
す。
- 26 -
評価規準と評価基準を例示すると次のような関係になります。(表 10)
表 10 「評価規準」と「評価基準」の関係
達成度
評価基準A 5 問中 5 問すべて正解できる
評価基準B 5 問中 3 問正解できる(基準Bを合格水準と捉える)
評価基準C 5 問中 2 問以下の正解である(Cの生徒にはBに引き上げるための手立てが必要)
評価規準 「聞いた英文の内容を正しく理解することができる」 【理解の能力】/ 聞くこと
【参考】 「評価規準」という用語が初めて使用されたのは平成3年の文部省の小中学校の指導要録の改訂通知です。この中に,学習
指導要領に示す目標の実現の状況を客観的に判断するためのよりどころを意味するものとして「評価規準」という概念を導入
したという記述があります。 (平成 16 年3月国研報告「総説」より)
次に「総括」という語ですが,これは評価結果をまとめることを意味し,具体的には,複数回行った
評価を四つの観点ごとにA,B,Cの 3 段階でまとめることや,四つの観点ごとの評価を評定として5,
4,3,2,1の5段階にまとめることなどを指して使われます。その際に,重点評価項目の比重を大き
くすることを「重み付け」をすると言います。
さてここまで目標から総括までの流れに沿ってみてきましたが,評価計画は指導計画と一体であるゆ
え,年間で,または学期で,またはレッスン単位等で四つの観点のバランスを考えて作成する必要があ
ります。こうした評価計画を含んだ指導計画表のうち,科目の位置付け,具体的な学習方法やアドバイ
ス等含むものを「シラバス」と呼ぶことがあります。
最後に,特に「目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)
」には「説明責任」が伴うという言い方をさ
れることがあります。これは評価を受ける側に,絶対評価は主観的な評価になるのではないかという危
惧があるからです。こうした危惧に対し,学校には,明確な指導目標や評価方法を示し,生徒や保護者
等に納得のいく説明をする「説明責任」を果たすことがいっそう求められるようになったのです。
3 私達が心掛けたいこと
以上,大まかに評価についての概要を示してみました。
さて,この評価改善のメッセージのもと,私達は,何に気を付け,何を心掛けたらよいのでしょうか。
「評価の改善」ということで,どうしても関心が評価方法,ひいては評定の算出方法に向いてしまうか
もしれません。しかし,これまで見てきたように,今回の評価改善で問われているのは,私達が日ごろ行
っている授業を改善することのように思われます。
そこで,私達が最初にしなければならないのは,まず自分の指導目標を明確にすることでしょう。自分
が授業で教えたいことは何なのか。何をどう生徒に教えたいのかを指導前に明らかにしておくことです。
そして次に,指導後の生徒の達成度を把握することです。目標とした能力や知識はどの程度付いたのかを
確認するのです。そして最後に,できなかった生徒(評価Cの生徒)に対する対処を考えることです。こ
のように,自分の行う一連の指導について自覚をすることが大切でしょう。
四つの観点のもとになる学習指導要領には一つの完成された英語学習者の姿が示されています。音声を
使ったコミュニケーションの重要性ばかりが書かれているかのように受け取られることもありますが,指
導要領には言語に関する知識の重要性など,およそすべてのことが書かれています。私達がしなければな
らないのは,これらの観点に照らして,これまでの自分の指導に足りなかった部分に気付き,完成形に向
けての第一歩を踏み出すことでしょう。お互いの実践を参考にし,実践的コミュニケーションの育成のた
めの指導技術を高め合っていきましょう。
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