佐世保市立総合病院 地域連携室だより 2015年 1月号 Vol.92 佐世保市病院事業管理者兼 佐世保市立総合病院 病院長 江 口 勝 美 昨年、佐世保市立総合病院(以下、総合病院)はエポックメーキングな年でありました。 3 月 22 日に救命救急センターが竣工し、3 月 29 日に移転し、4 月から本格稼働させました。センター長は石 川 啓副院長で、初療室は松平宗典先生と山口榮一郎先生、ICU は槇田徹次先生によって稼働しています。又、 11 月 4 日からは救急ワークステーションを長崎県内で初めて設置いたしました。昼間、救急隊員と救急車がセ ンターに常駐し、出動がない時、救急隊員はセンター内で研鑽を積み、医療技術の向上に邁進されています。 救命救急の医療レベルは医師だけでなく看護師や救急隊員などのチームワークで一段と改善されると期待され ます。 6 階建センターが完工され、初療室、ICU、HCU、救命救急病床、NICU、GCU など各室のスペースも充分 に確保され、新たな先進的医療機器も導入されました。救命救急専任の常勤医師、看護師などメディカルスタ ッフが増え、佐世保・県北の皆様により高度な救命救急医療を提供できるようになりました。 9 月には佐世保市の姉妹都市の市長さんのご主人が急性心筋梗塞で佐世保駅で倒れられましたが、直ちに総合 病院の救命救急センターで治療され、めでたく快復され帰国されました。姉妹都市の親善にもお役に立つこと ができました。また、米軍診療所を介して米海軍のサンディエゴの海軍施設や軍艦内の勤務医師達が見学され、 施設のすばらしさに称賛を受けました。 11 月には入院サポートセンターを設置し、患者さんの入院治療がスムーズに運ぶようにしました。今後より 一層内容を充実させていく所存であります。 12 月には念願の医療教育開発センターが島地町に建設されました。5 階建 35 室の宿舎で、研修医やレジデン トの先生方に研修室と宿舎を提供します。また、医学部学生や看護師などの医療人の短期宿泊施設としても使 用可能です。 国により医療機能の分化・連携に係る取組みが開始され、平成 26 年 10 月には病床機能報告制度の運用が開 始されました。平成 27 年度には地域医療構想(ビジョン)が策定されます。 総合病院は高度急性期/急性期機能を有する病院を目指します。①救命救急センターとして、重症度、医療・ 看護必要度の高い患者を受け入れていきます。②がん診療拠点病院として、高度医療を提供します。③地域医 療支援病院として、地域医療のレベルアップができるようにします。④常に受け入れ可能な体制を確保するた め、地域の医療機関・施設とのコミュニケーション・連携を図っていきます。 団塊の世代のすべてが後期高齢者(75 歳以上)になる 2025 年に向けて国民医療費の高騰が進行し、医療危機を 迎えています。総合病院はこの時代の変革に迅速に対応しなければ安定的な病院経営はできません。 総合病院は①高度先進医療提供に対応する体制の整備、②医療スタッフの体制整備、③迅速な意思決定及び 民間的経営手法の導入、④新たな人事給与制度の構築を行っていきます。この目的を達成するために総合病院 は地方公営企業法の全部適用から独立行政法人に移行する準備を進めていきます。 移行は28 年4 月の予定です。 人口減少、少子・高齢化、生産人口の減少など、日本を取り巻く環境は決して明るいとはいえません。医療・ 介護・福祉の分野も同じです。これを少しでも明るい方向に向かわせるには、地域の医療機関・施設同士のコ ミュニケーション・連携・ヒューマンネットワークが今までになく重要になってきます。 総合病院は皆さんと手を取り合って佐世保・県北医療を良くしていくつもりです。本年もご支援・ご指導の 程よろしくお願い申し上げます。 医療局長 上之郷眞木雄 グリーンは移植医療のシンボルカラーです。移植 医療をもっと知っていただき臓器提供の意思表示の 大切さをさらに理解していただくことを目的に、長 崎県を含む 7 道府県で特別地域支援事業が、全国 14 病院で院内体制整備事業が行われています。当院は この全国 14 病院の一つとして積極的な取り組みを してまいりました。このたび「移植医療の普及によ って、より多くの命が救われますように」との願い を込め、総合病院をグリーンでライトアップするこ とになりました。 肺、肝臓、小腸が提供可能となります。臓器を提供 することで誰かの命を救える場合があること、あな たの意思で救える命があることをもっと知っていた だきたいのです。 従来、臓器提供は生前に本人が書面で意思を表示 している場合に限られていました。2010 年 7 月 17 日に改正臓器移植法が全面施行され、現在ではご本 人の臓器提供意思が不明な場合でも、ご家族の承諾 があれば臓器提供ができるようになりました。 意思表示の方法としては ① 臓器提供意思表示カード (裏面の意思表示欄) 重い病気や事故などで心臓、腎臓、肺、肝臓、す い臓、小腸などの臓器の働きが低下し、移植でしか 治療ができない方がいます。日本で臓器の提供を待 っている方はおよそ 13,000 人、それに対して移植を 受けられる方は年間わずかに 300 人の少なさです。 ② 運転免許証(裏面の意思表示欄) 心臓が停止した死後に提供できる臓器としては腎 臓、すい臓、眼球があり、脳死後ではさらに心臓、 ③ 健康保険証(裏面の意思表示欄) ④ インターネット(日本臓器移植ネットワーク から検索) 院内体制整備の一環として意思表示カード所持の 有無を入院時や外来初診時にお尋ねしています。ご 協力いただければと存じます。 自分の意思を尊重するためにも臓器移植について 考え、ご家族と話し合い「提供する」「提供しない」 どちらかの意思を表示していただくことを願ってい ます。 意思表示カードを手にした脳卒中センタースタッフ 市民公開講座は、地域の皆様へがんに関する普及啓発を目的としており、 今年で7回目となります。 今回は、治療に関する講演として「乳がん」、特別講演として「リンパ浮腫」 をテーマに開催いたしました。 また、がん相談コーナーでは、日頃からのがんに関する不安・悩み・疑問に ついて本院スタッフが相談にお応えしました。 当日は、100名を超える地域の皆様にご参加いただき、ご一緒に勉強さ せていただきました。 乳がん治療について ~乳がんを詳しく学ぼう!~ 近年、益々増加しております乳がんにつきまして、当院乳腺外科の佐藤綾 子副医長が講演を行いました。乳がんの疫学的なこと、診断、治療について 説明したあとに、患者様からよくある質問や患者様へのメッセージをお伝え しました。多くの参加者の皆様から、わかり易く、ためになったとのご感想 をいただきました。 リンパ浮腫の予防と治療 ~リンパ浮腫難民を救え~ ナグモクリニック福岡院長でいらっしゃいます北村薫先生にリンパ浮腫の 予防と治療について、ご講演をいただきました。北村先生は、リンパ浮腫診療 の地域格差をなくすための保険収載や人材育成にもご貢献されており、講演で は 2008 年以前の保険適用がなかったころの日本のリンパ浮腫事情から現在に 至るまでの経緯や、リンパ浮腫のメカニズム、予防のポイント、治療について、 とてもわかり易いお話をいただきました。 参加された方の中には、また北村先生のお話を聞きたいという方もいらっしゃるなど、リンパ浮腫について、地 域の皆様に広く情報発信ができたものと考えております。 謹んで新春の寿、お慶び申し上げます。 旧年中は大変お世話になりました。 本年も地域の皆様方のご協力・ご支援を賜りながら 「笑顔・親切・丁寧」をモットーに、顔が見える連携の強化を図り、 市民の皆様が安全かつ安心して医療を受けられますよう頑張って参 ります。本年もどうぞご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い致します。 地域連携室スタッフ一同 平成27年1月から、 乳腺外科医師が交代します。 しばらくの間は医師が固定しない状況になる予定です。 患者様、各関係医療機関の皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程をよろしくお願いいたします。 病 院 情 報 平成 26 年 11 月の救急外来 患者数 救急車搬入 ドクターヘリ 紹介患者数 による搬入 723 人 235 人 183 人 6人 入院患者数 278 人(救急車使用 158 人) 平成 26 年 11 月の紹介患者数 地域連携室の 紹介患者数 市内 市外 紹介率 逆紹介率 1841 人 1275 人 566 人 86.2% 74.6% 佐世保市立総合病院の理念 私たちは患者様を中心として、安全で安心できる 心暖まる医療を提供します。 1.チーム医療の実践 2.インフォームド・コンセントに基づいた医療 3.先進的な高度医療 一般病床 利用率 87.8% モットーは 1.笑顔 2.親切 3.丁寧 〒857-8511 長崎県佐世保市平瀬町 9-3 佐世保市立総合病院 地域連携室 室長: 中村 昭博 担当 : 緒方 福田 酒井 野田 後藤 田渕 楠本 外尾 空閑 藤木 斉藤 北村 TEL(0956)24-1515(内線 6921) FAX(0956)24-0474(連携室直通)
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