リハビリ用医療装置の研究

リハビリ用医療装置の研究
機械科学専攻 機械機能設計研究室 M2 池上弘樹 M1 土田博貴
指導教官 立矢宏 教授 樋口理宏 准教授 小塚裕明 助教
1.研究背景・目的
手関節の構造
手関節のリハビリテーション
手先方向への牽引を伴う他動掌背屈運動
手首付近の疾患による拘縮の
早期回復が期待
C-L関節角度
中間
1 2
5
3
4
C-L関節
6
7
R-L関節
背屈
尺骨
作業療法士(OT)によるリハビリ
橈骨
健常者の場合
掌屈運動時:C-L関節
が優位に運動
背屈運動時:R-L関節
2: 小菱形骨
第3中手骨
3: 有頭骨
手首の
屈曲角度
8
掌屈
手根骨
1: 大菱形骨
4: 有鈎骨
3
5: 舟状骨
6
6: 月状骨
R-L関節角度
7: 三角骨
疾患により一方の関節が強く拘縮
橈骨遠位端骨折:R-L関節が拘縮
8: 豆状骨
掌背屈時にはR-L関節とC-L関節が運動
早期回復効果が得られるメカニズムは不明
本リハビリテーションの有用性を確認
R-L関節とC-L関節の運動を解析
2.X線動画像を用いた手根骨運動解析
実験方法
手首牽引
ワイヤ
装置を用いたリハビリ時の手首を
X線動画像として撮影
錘の自重
屈曲角度
屈曲角度=R-L関節角度+C-L関節角度
被験者:健常な男性21名
牽引力:0[N],25[N]
錘
手のひら
解析結果
R-L関節角度
寄与率:屈曲角度変化に対する
各関節の角度変化の割合
C-L関節角度
C-L関節
R-L関節
31.40
27.14
牽引によりR-L関節の
寄与率が増加
68.60
72.86
本リハビリはR-L関節の
100
掌屈位
中間位
背屈位
X線動画像撮影用リハビリ装置
手根骨運動解析
角度測定
第3中手骨
・屈曲角度
屈曲角度
月状骨
橈骨
X線動画像
42.34
53.45
60
40
20
C-L関節角度
有頭骨
寄与率[%]
80
0
57.66
46.55
0[N]
1
掌屈
拘縮改善に有用
25[N]
2
0[N]
1
背屈
25[N]
2
OTによるリハビリの場合
各関節の寄与率
約56[%]
・R-L関節角度
・C-L関節角度
2次元平面上の解析では手根骨運動の詳細な解明は困難
R-L関節角度
3.MRI画像を用いた手根骨運動解析
3次元CADモデル構築
実験方法
MRI画像撮影用リハビリ装置
回転軸
前腕固定具
高磁場環境下での
実験
手先牽引部
z
橈尺屈方向
装置を用いたリハビリ時の
手首をMRI画像として撮影
掌背屈方向
被験者 :健常な男性 3名
手首牽引
手首の状態:背屈位(40[deg])
中間位(0[deg])
掌屈位(-40[deg])
移動壁
・ねじの送り量で
送りねじ
手先固定具
圧縮ばね
牽引力を調整
手根骨運動解析
掌背屈角度α
40
オイラー角法による
手根骨運動の解析
3次元での
回転運動を評価可能
・圧縮ばねによる牽引
3次元手関節モデル
MRI画像
角度変化[deg]
手先固定具
(樹脂材料,チタン)
y
x
牽引力 :0[N],25[N]
非磁性材料
回内外方向
橈尺屈角度β
回内外角度γ
豆状骨
小菱形骨
月状骨
20
0
第3中手骨
-20
有頭骨
有鉤骨
三角骨
舟状骨
大菱形骨
-40
遠位列
近位列
例:手根骨運動解析結果(牽引力0[N] ,背屈運動時)
掌屈位
中間位
背屈位
リハビリ運動時における手根骨の3次元的な運動を解明
4.まとめ・今後の研究計画
今後の研究計画
前腕押え板
まとめ
(1) 医療画像撮影環境下において,牽引しながら他動掌背屈運動 が
可能なリハビリテーション装置を製作した.
(2) 掌屈および背屈のいずれにおいても,牽引により手首の屈曲角度
に対するR-L関節の運動割合が増加することを 確認した.
(3) MRI撮影環境下で使用可能なリハビリテーション装置を製作し,
手関節の3次元運動解析を可能にした.
・ MRI画像を用いた運動画像解析により,
リハビリテーション時の手根骨の3次元的な
運動を解明
電動スライダ
・OTと装置とで,非牽引状態における背屈運動
時のR-L関節の寄与率が異なる原因を解明
・ 臨床応用に向けたリハビリテーション装置
の電動化と臨床実験
前腕固定具
手先固定具
エンコーダ
モータ
臨床応用に向けたリハビリテーション装置