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ビッグデータ 活用事例
NECフィールディング株式会社
ビッグデータ分析を活用した需要予測で
約1万品目の補修用部品在庫を2割削減
補修用部品の在庫量最適化は製造業の共通課題の1つです。ITシステムのサポートサービスを担う、NECフィールディング
でも同様の悩みを抱えていました。しかし過剰在庫を抑えつつ、将来の部品需要を高精度に予測するには、従来型の統計的
手法では限界がありました。そこで同社では、NECのビッグデータ分析技術「異種混合学習技術」を活用することで出荷頻
度の高い部品の需要を高精度に予測し、在庫を約2割削減。本格的な在庫最適化に活用する一方で、保守業務のノウハウを
活用したBPO(Business Process Outsourcing)にNECの需要予測を組み合わせたサービス展開も予定しています。
課題と成果
NECフィールディング株式会社
ロジスティクス本部長
矢野 敬一
氏
NECフィールディング株式会社
ロジスティクス本部
配備統括部
グループマネージャー
川㞍 積
氏
補修用部品 ( 約14万品目) のうち、特に出荷頻度の
高い部品(約1万品目)は、いかに適正在庫を保持
するかが長年の課題となっていました。
NEC 独自の分析エンジン「異種混合学習技術」を活用した
ビッグデータ分析で、出荷頻度の高い補修用部品の需要を
高精度に予測、約1万品目の在庫を約 2割削減できました。
これまでの予測では、自社開発の部品出庫情報
管理システムと専門スタッフの分析スキルに頼っ
ていましたが、作業工数が多い上、季節変動など
により精度に限界がありました。
異種混合学習技術は、データ同士の関連性から多数の
規則性を自動で発見し、データに応じて参照する規則
を自動で切り替えることができるため、これまで人手で
行っていた分析工数を大幅に削減できる予定です。
事業の拡大に向け、ITシステムのサポートサービ
スをさらに拡充したいと考えていました。
この実証成果をふまえ、他メーカーから受託して
いる保守業務サービスでも需要予測を手 掛け、
業務拡大につなげていく予定です。
棚卸の償却費用や
廃棄費用の削減に向け、
需要予測の精度がポイントに
社
名:NEC フィールディング株式会社
所 在 地:東京都港区三田一丁目4 番 28 号(三田国際ビル)
設
立:1957年 3 月 30 日
資 本 金:96 億 7010 万円
従 業 員 数:単体:5, 293 名(2014 年 3 月末)
連結:5,995 名(2014 年 3 月末)
事 業 内 容:パソコンからスーパーコンピュータに至る
各種コンピュータ、ネットワーク機器につ
いて、企画・設計から導入・構築、運用・保
守に至るすべてのフェーズで各種サポート
&サービスを提供している。
U R L:http://www.fielding.co.jp/
点に補修用部品の配備や供給を行っています。
そこで大きな課題となっていたのが棚卸の償却
費用や廃棄費用の削減を図るための適正在庫
NECフィールディングは、IT プラットフォームのサ
の確保です。過剰在庫を抑えつつ、お客様に迷
ポートサービスをコア事業に、コンピュータやネッ
惑のかかる欠品は何としても避けたい。そのさ
トワーク機器の保守サービス、システム導入コン
じ加減が難しいのです」と同社でロジスティクス
サルティング、運用業務のBPOサービスなど、幅広
本部長を務める矢野 敬一氏は説明します。
いサービスをトータルに提供している企業です。
そのため同社は従来から、ERPと連動した部品
中でも補修用部品の配送やメンテナンス業務に関
出庫情報管理システムの数値を基に、プランナー
しては、全国約 400カ所のサービス拠点をベース
と呼ばれる複数のスペシャリストが将来の部品
に、豊富な経験やスキルを持つエンジニアが 24 時
の需要を予測していました。
間365日体制で高品質なサービス提供を行ってい
「しかし季節変動や製品の不具合といった突発的
ます。このため同社では常時約14万品目の補修用
な事態などには、平均法や回帰分析を使った従来
部品の在庫を保有していますが、このうちプリン
予測では対応できません。また属人性が高い業
タの駆動系部品やPC/ サーバのハードディスクな
務で工数も発生するため、より標準的かつ効率的
ど、特に出荷頻度が高い約1万品目に関しては、在
な予測手法がないかと考えていたのです」とロジ
庫切れ防止のため一定量の保有が必要です。
スティクス本部の配備統括部でグループマネー
「ロジスティクス本部は、中央倉庫から全国の拠
ジャーとして活躍する川㞍 積氏は語ります。
ビッグデータ 活用事例
NECフィールディング株式会社
コンサルからシステム構築、
導入後の評価・改善まで
トータルな提供力を評価
既存のデータの塊を分析エンジン
に適用するだけで、データのパター
ンを自動的に「場合分け」するため、
こうした課題を解決するために同社が目を向けた
パラメータや条件を変えた試行錯
のが、ビッグデータ分析による補修用部品の需要
誤を繰り返す必要はありません。こ
予測でした。
「 これまでのように限られた予測方
のため、データサイエンティストな
法の組み合わせでは精度やスピードに限界があ
ど高度なスキル・人材を持たなくて
ります。その点、ビッグデータ分析は膨大なデー
も高精度の予測ができるようにな
タから今まで予想もできなかった法則性を見つ
ります。この技術は既に、流通業に
け出したり、突発的な事態にも対処できる予測が
おける商品の需要予測による自動
行えるのではないかという期待がありました」と
発 注、ビルや船舶のエネルギー需
矢野氏は振り返ります。
要予測による省エネルギー化など
その中で NEC をパートナーに選んだ決め手と
に活用されており、それぞれ高い効
なったのは、大きく2つ。1つは初期投資を抑えた
果を生み出しています。
スモールスタートおよび、効果を踏まえてのシス
テム構築という段階導入が可能なため、リスクを
低減できること。もう1つはNEC がコンサルティ
補修用部品の需要予測のイメージ
NECフィールディング
のお客様
配備支援システム
配送
需要予測
需要予測・在庫管理
在庫管理
配送
出荷実績
出荷実績データ
需要予測
出荷予測データ
関連情報
配送
出荷数
経過月数
など
異種混合
学習技術
タ
ー
デ
報
情
連
関
異種混合学習技術を活用し、多種多様なデータから高精度に需要を予測。棚卸の償却費用や
廃棄費用を削減し、最適な在庫管理を実現しています。
在庫を約2割、数億円規模で
削減できることを確認
関する需要予測の本格運用をスタート。今後は発
注業務にかけていた工数も大きく削減されるこ
ングからシステム構築・運用、導入後の評価・改善
こうして同社では出荷頻度の高い補修用部品に
まで、トータルに提供できることでした。
ビッグデータ分析を適用。他業種でも蓄積されて
これについて川㞍氏は「データ分析を行う前に、
きたノウハウが活かされたこともあり、導入前と
『本当にこの業務課題に適しているかどうか』
『対
NEC
NECフィールディング
比較して約 2割もの在庫を削減。金額ベースでは
とが期待されています。
自社導入実績をふまえた
BPOサービスの提供も開始
象範囲はどこから始め、どのようなデータを提供
年間数億円規模の削減効果となりました。
現在は出庫数の多い部品のみが予測対象となっ
すればよいか』といった、きめ細かなコンサルティ
特に注目すべきポイントは、季節変動による要因
ていますが、今後は徐々に全在庫 14万品目に適
ングから始まることも安心材料の1つでした。こう
により今まで予測が難しかった部品が、かなり高
用範囲を広げていく予定です。さらに今後は補修
した要件を総合的に判断し、今以上に高い精度
精度に予測されている点です。
用 部 品が 生 産 停止となる際 の EOL( En d O f
「これまで補修用部品の予測は、障害の予測を中
Life)品に関してもビッグデータによる分析を検
たのです」と話します。
心に設計していました。補修用の部品は、トラブ
討。保守停止までに必要な部品購入数の予測に
が出せるなら、一度試してみる価値はあると考え
まずは出荷頻度が高い約1万品目を対象に、過去
ルが起こったときに部品が必要なわけなので、製
14カ月間における月ごとの部品の出荷数・稼働台
品の障害予測をしていけば、必然的に部品の出
「そうなれば、われわれ保守会社だけでなく部品生
数・発売時からの経過月数などのデータを基にし
庫数が分かると考えていたのです。しかし結果を
産会社も巻き込んだサプライチェーン全体にも大き
たPOC(Proof Of Concept:実証実験)が開始
みると、障害率予測だけではなく、いくつもの要
な効果が期待できます。さらに言えば、このノウハウ
されました。
因が複雑に絡んでおり、それを何千パターンとい
と実績を基に、他のメーカー様からも受託している
う仮説に照らし合わせて予測をするということ
保守業務の部品管理についても需要予測によるリ
人間では発見が困難な多数の規則性を
自動で発見できる
役立てていく考えです。
で高精度の予測につながったのだと思います」と
コメンドサービス、精度と付加価値の高いコスト削
川㞍氏は語ります。
減策を提供できると考えています」と矢野氏は力を
NECフィールディングが導入した「補修部品需要予
川㞍氏が語るように、今回の成功要因の1つは、デー
込めます。今回のビッグデータ分析ソリューション
測ソリューション」は、NEC の中央研究所が開発し
タ分析前の入念なコンサルテーションにあります。
の 導入は、そうした NEC との協 業による新たな
た「異種混合学習技術」を活用しています。同技術
NEC フィールディングの業 務フローと出 荷 実 績
サービス事業拡大のチャンスももたらしています。
はビッグデータに混在するデータ同士の関連性か
データを照らし合わせ、いくつかの仮説を作り、そ
今回の成果を活かし、NEC は 2015 年 4月から製
ら、人間では発見が困難な多数の規則性を自動で
の仮説を裏付けるデータが存在しないかどうかを
造業を中心とした「補修用部品需要予測ソリュー
発見し、分析するデータに応じて参照する規則を自
調査。その仮説から、障害率だけではなく、従来とは
ション」の提供を開始しました。IT 関連の補修用部
動で切り替えることができます。単一の規則性のみ
異なる要素を加味した予測手法を生み出し、将来出
品のみならず、産業機械や空調機、医療機器など、
を発見し参照する従来の機械学習では分析が困難
荷数を高精度に予測することに成功したのです。
様々な企業が保有する部品の在庫削減やキャッ
な、天気や曜日、場所といった状況に応じて規則性
この成果をふまえ、NEC フィールディングでは
シュフローの改善、関連経費の削減に貢献する取
が変化するデータでも高精度な予測が可能です。
2014年10月から、出荷精度が高い保守用部品に
り組みとして、大きな期待が寄せられています。
お問い合わせは、下記へ
NEC 第一製造業ソリューション事業部
〒108 - 8423 東京都港区芝五丁目 21- 6(芝ダイビル)
TEL: 03(3456)7533
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2015年3月現在
Cat.No. B01-15030280J