送辞 吹き来る風のほのかな暖かさに、春の到来が予感される今日のよき日。先輩方、ご卒業 おめでとうございます。先輩方にとって一つの節目となるこの門出の場に、こうして立ち 会えることを心から嬉しく思います。 思えば、私たちは様々な活動において先輩方の背中を追い続けてきました。そして先輩 方はその背中で私たちに大事なことを語りかけてくださいました。 先輩としての気迫がまざまざと感じられた夏の大運動会。タンブやダンス、応コンなど の各種競技及びその運営実行に対する凄まじいまでの気概に圧倒されました。しかし、そ れ以上に、放課後や休みの日にもひたむきに、黙々と準備作業を進める先輩方の姿勢に感 動しました。厳しいスケジュールのために精神的にも、体力的にもきっとぎりぎりだった に違いないのに、それでもなお、和気あいあいと作業し続けていた姿に先輩方の強さを見 ました。私は部活動の大会の関係上、本番の参加は叶いませんでしたが、その私でさえ先 輩方の熱い思いと勢いに駆り立てられ、気が付けば事前の作業に足繁く通うようになって いました。 また、 「響き合う」のテーマのもと、クラスや学年の垣根を越えて学校全体で響き合っ た大文化祭。部活動や勉強で忙しい中でも、互いに助け合い作業に取り組んでいた先輩方 に、一年生だった私たちは、準備の早さにおいてもその質の高さにおいても歴然とした差 を見せつけられました。私はクラス企画で劇をしたのですが、運営の方々をはじめとする 多くの先輩方の、他を思いやる優しさといつも笑顔で励ましてくださる気さくな人柄に何 度も助けられ、劇の成功へと辿り着くことができました。 さらに、先輩方の部活動に励む姿は一際輝いて見えました。きつい練習にも全力で取り 組み、引き締まった面持ちで試合に挑む雄姿に、私たちはずっと憧れていました。一方で 練習時間外には、和やかな雰囲気で先輩方と一緒に食事に行ったことや寄り道をして帰っ たことも、とても懐かしく感じられます。部活動の先輩とは私たちにとって身近でありな がら最も尊敬すべき存在でした。 今まで当たり前のように先輩方と過ごしてきた時間がいかに特別なものであったかを、 私たちは今、改めてかみしめています。 どれほど言葉を尽くしても名残は尽きませんが、私たちは、今までお世話になった先輩 方への感謝の気持ちを込めて、先輩方が思い残すことなくこの修猷から飛び立つための追 い風になりたいと思います。 今後の修猷は私たちに任せてください。生意気な後輩ではありますが、今まで先輩方が 引っ張ってくださったこの修猷を、これからは私たちが責任をもって引っ張っていきます 。 先輩方が進みゆく社会は、即座には解決し得ない複雑な問題が山積しており、決して楽 観視することが許されない状況です。しかし、修猷での怒涛の三年間を過ごしてきた先輩 方なら、どんな困難もきっと乗り越えてくださると固く信じています。 今まで私たちは、先輩方の背中を必死になって追いかけてきましたが、そのことは先輩 方が卒業したからと言って変わることではありません。先輩方、どうかこの先も、その大 きな背中で私たちを突き放しながらも鼓舞してくださる偉大な先輩であり続けてくださ い。これからの先輩方の更なる飛躍と、ご活躍を祈念しまして、送辞とさせて頂きます。 平成二十七年三月一日 在校生代表 小林英士
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