発明を企業経営の背骨に 明文化と浸透で次代に継承 「駅伝タスキ経営」

長寿企業に学ぶ
るといえます。
﹁最初に羽二重餅用のマシ
年当時
ンを開発した
す。
を入れてきました。保持する
から特許取得には先がけて力
に明瞭に示すことで、生きた
のトップとしての思いを社内
しています﹂と小林氏。企業
﹁指針として浸透するよう、
毎朝の朝礼で、全社員で唱和
落雁など押し型菓子用の木
型彫刻をしていた、同社の前
だけでも莫大な費用が掛かり
発明の継続で多品種展開
特許取得での守りも
代目
経営理念として社内に根付い
として
年弱、木型製造を行
身である小林京鳳堂。
ますが、これがあってこそ生
ているようです。
うも﹁時代の流れで売れなく
なってきていた﹂と当時を振
り返ります。食品機械製造へ
と大きな転換点を迎え、第
作目として羽二重餅用の製造
機械を世に送り出します。そ
の後、現在に至るまで、和菓
つを事業の主な柱と
子、洋菓子、惣菜、パン、米
飯の
し、 機 械 方 式 や ジ ャ ン ル を
徐々に増やしていきました。
﹁どこにもないものを探し
て、世界で初めてのものづく
りをしてきたこと、多品種の
開発をし続けたことで、時代
に関係なくコンスタントに売
り上げを保つことができたこ
とが、これまで続けてこられ
た要因です﹂と話します。
く、利益を次の新商品開発に
勝負に巻き込まれることな
財産を守ることで、価格での
ている同社。特許により知的
ある発明への取り組みは自然
目。さらに、企業のDNAで
守ることを伝えたと話す 代
な﹂と、現在の無借金経営を
ご子息の博紀氏に社長の代
を譲った際には﹁借金はする
と引き継がれている様子で
す。博紀氏はこれまでに製造
された機械に手を加え、顧客
の要望に合わせて日々改良を
条
〝改善から出発する〟。これを
重 ね て い ま す。﹁ 心 得 の
このように、食品機械の製
造に舵を切ってからの同社の
す﹂と将男氏も今後の発展へ
今でも新たな開発をいくつ
か 並 行 し て 進 め て い る 同 社。
守り進めていってくれていま
指針は、まさに〝発明〟にあ
期待をにじませます。
さらに新しいジャンルにも切
てくださいました。
り込んでいく見込みも明かし
発明への考えを、その後の新
か条﹂
の〝どこにもない世界初のも
この心得がそのまま、社訓や
と い っ た 言 葉 も 並 ん で お り、
する機械の全ては小林氏のア
を定めました。もちろん前述
同 氏 は﹁ 発 明 の 心 得
たな企業経営の背骨とすべく
長年の経験から生まれたこの
るといえます。小林氏自身の
発明への思いを明文化
次世代への浸透・継承
います。
活かす好循環が生まれたとい
件を超す特許を取得し
き 残 る こ と も で き た ﹂。 現 在
1
の づ く り 〟や〝 特 許 で 固 め る 〟
そんなアイデアの数々を〝特
許〟という形で守り固めてき
パン用包成機マジックハンドMH−4
発明の心得を石碑に残しています。
3
歳の今でも福井県発明協
会の会長を務め、同社の開発
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社員の行動指針となっていま
株式会社コバード
http://www.kobird.co.jp/
所 在 地:坂井市春江町藤鷲塚36
電話番号:0776−51−5100
代 表 者:小林 将男 氏・小林 博紀 氏
資 本 金:8,500万円
従業員数:106名
事業内容:食品自動機械の開発、製造、
販売
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0
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イ デ ア が 元 に な っ て い ま す。
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たことも、成功に繋がってい
vol.18
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食品製造機械の開発製造・販売で業界に名を馳せる同社。中でもパン生地に具材を包
む包あん成形機は世界シェア95%を誇り、看板商品のマジックハンドは手包みを超
える仕上がりとも言われます。株式会社コバード会長の小林将男氏に、ここまでの成
功への道筋と今後の企業の永続への取り組みについてお聞きしました。
小林 将男 氏
株式会社コバード
「駅伝タスキ経営」
企業の永続は事業承継が鍵となる。DNAである理念を引き継ぐ工夫を。
発明を企業経営の背骨に
明文化と浸透で次代に継承