【古代 1 古代オリエント史】 *オリエント=「日の昇るところ,東方」今日の中東 1.西アジア諸国…メソポタミア文明 2.エジプト文明 3.その他の諸国…シリア,小アジア 4.古代オリエントの統一 1.西アジア諸国…メソポタミア文明 興亡 ・定住村落ができ始める(前 6000 年紀) ・前 2000 年紀前半まで,メソポタミア中心に展開(ほぼ今日のイラク地方) ティグリス川とユーフラテス川にはさまれた地方, 「川のあいだの地方」という意味 平野の最南部をシュメール,北部をアッカド と呼ぶ(これらが後にあわせてバビロニア と呼ばれる地域となる)。 ・南部…灌漑農業の発達で前 3500 年頃から人口の急増,大村落の成立→文字の発明,金 属器(銅や青銅器)の普及 前 3000 年頃,神官・戦士・職人・商人などの増加→都市への発展→各都市の独立 シュメール人 A) 金属器をともなう人類最古の都市文明(前 4000 年紀) 都市国家 ウル,ウルクなど(50ha ほど),ジッグラトの建設 青銅器や彩紋土器,楔形文字,円筒印章 (前 3000 年頃) 都市的規模に達する。 南部シュメール型町邑がアッカド,さらにメソポタミア全域に拡大。 初期王朝期に入る。文書から行政,経済組織の発展がわかる (前 26C 初め)前 2700 年頃までにメソポタミア南部に多数の都市国家を形成 楔形文字の文書がはっきりし,多彩な言語表現がみられる。 ユーフラテス川の主要水路の直線化,住民の大部分が中心市へ集中 都市支配者らは覇権を求めて戦争をおこす。 有力な都市に富が集中…シュメール文化が栄える B) 神権政治…王を中心に,神官・役人・戦士などが都市の神をまつり,実権をにぎって 人々を支配…階級社会 C) 大規模な治水・灌漑による生産力向上,交易による必要物資獲得→都市国家間の抗争, 富の集中 ・たえまない戦争→都市国家の衰退 A) アッカド市を中心に,シュメール人の都市国家を征服し最初の統一王国を築く。一時 メソポタミアに統一的支配確立,広大な領域国家に。 B) セム語系(シュメール社会と文化に少なからぬ影響を与えていた) C) サルゴン王(前 24C 半ば)が統一 D) 興亡…第 4 代ナラム・シンは現人神に。5 代 100 年あまり続くが,東方からグティ人, 西方から遊牧アムル人の侵攻にあって滅ぶ(前 22C 半ば) ・ウル第三王朝 シュメール人が再び表に現れるがやがてまた滅ぶ→セム化の進展 シュメール人は徐々にその姿をセム人の中に消すが,その文化はメソポタミア文明の基 盤として生き続けた。 バビロン第一王 A) 小国の一つであったが,6代ハンムラビ王の代にメソポタミアを統一(前 1792~50) 朝 首都名にちなみバビロニアとも呼ばれ(古バビロニア),後に地名ともなる。 B) セム系アムル人 C) 王は治水や灌漑をすすめ,法治支配を確立,神の代理者として統治。最盛期を迎え たが,領域の維持は後継者の代を含む 20 年足らず…小王国としてハンムラビの死後 も 155 年続く D) 「ハンムラビ法典」法典の意義…復讐法の原則,身分によって刑罰が異なる 私的報復を国の処罰によって代替させ,罪が明らかな者だけ処罰されるべき,とした。 282 条という長さとみごとな構成。 賃金,離婚,医療費など実にさまざまな問題を網羅→最も整備された「くさび形文字」 の例。西アジアの社会的発展の到達点を示すものとして貴重。 アッカド メソポタミアの ・特色…天文・暦法・数学・農学などの実用的学問の発達 文化 ・宗教…多神教,最高神は民族の交替によってかわる ・文字…楔形文字(シュメール人が始める),粘土板に刻む…後1C まで多くの民族が使用。 ローリンソンらが解読 ・数学,天文の発達…六十進法・太陰暦(閏月が必要な年が必要)など。 2.エジプト文明 ナイル川流 ・ 「エジプトはナイルの賜物」…ヘロドトスの言葉 域 定期的氾濫による肥沃な土壌を利用した灌漑農業 ・交通路・用水路に多くのノモス(村落)が出現 ・治水→共同労働と強力な統率者が必要→支配の政治組織が生まれていく 「エジプト史」(マネト:プトレマイオス朝の官僚) アレクサンダーの征服を受けるまでのエジプトを 31 の王朝に分けた。 初 期 王 朝 時 ・メネス王が統一(前 3000) 第 1,2 王朝 代 ファラオ (王…元来,宮廷の意)は神とみなされ,神権政治を行う。全国土を所有し,神官, 役人を従える。住民の大部分…不自由な身分の農民,無償労働・貢納を課せられる 古王国 ・第 3~6 王朝(前 27C~) 下エジプト 首都:メンフィス 第 4 王朝 ピラミッドを建設 クフ王のものが最大ギザのピラミッド群 第一中間期(前 2160~2040 頃) 中王国 ・第 11,12 王朝 (前 2040~1786 頃~) 上エジプト 首都:テーベ 守護神アメンが神々の王の地位を保持し続ける ※第二中間期 遊牧民族ヒクソスが侵入=第 15 王朝(前 17C)。鉄の車輪を持つ戦車(御者と戦士が乗る) 新王国 ・第 18~20 王朝(前 1542~11C) ヒクソスを追い出し,再統一 再侵略を予防するため,アジア遠征(シリア方面)がくりかえされる ・トトメス 3 世 シリアに進み,ミタンニと交戦→シリア,パレスチナを確保 臣侯国から人質を取る…当時のミタンニ,ヒッタイト,カッシート,アッシリア 臣侯国がエジプト王に送った外交書簡が「アマルナ文書」(くさび形文字)。 ・アモン・ラー信仰さかん…守護神アメンへの貢物多く,神官団に力=王権との摩擦 ↓ アメンホテプ 4 世=イクナートン(前 14C) 唯一新アトン信仰を強制し,テル・エル・アマルナに遷都…王の死により終焉 古い伝統にとらわれない写実的美術(アマルナ美術)が栄える ・次のツタンカーメン王 都をテーベに戻す ・第 19 王朝 ラムセス 2 世 ヒッタイトと交戦 のちにアッシリアの進出と「海の民」の移動に対抗するため,ヒッタイトと平和条約を結 んで勢力圏確保。アブシンベル神殿など大規模建設活動 ・ラムセス 3 世 「海の民」を撃退。 しかしこの頃,ヒッタイトが滅び,オリエントが鉄器時代に入る→鉄資源を持たないエジプ トの地位は低下。領地は縮小し,王権は衰退。 末 期 王 朝 時 (前 1070~前 332) 代 リビア人,エチオピア人,アッシリア人,ペルシア人にあいついで支配…最後はアレクサ ンドロス大王に征服される。 アッシリア人の支配(前 7C),アケメネス朝ペルシアにより滅びる(前 525),アレクサンドロ ス帝国へ(前 4C) 社会 ・王=生ける神(現人神)…国土の所有者として専制的な神権政治 神官・役人…王から土地を与えられる 農民(住民の大半)=不自由身分→生産物への租税と無償労働が課せられる 文化 ・多神教 主神:太陽神ラー ・新王国時代にはテーベの守護神アモンと結びつきアモン・ラー信仰がさかんになる。 宗教 ・霊魂不滅とオシリス神が支配する死後の世界を信じる→ミイラ, 「死者の書」 死者の書・・・死後の世界で幸せを願う祈りの文からなり,葬儀の際 唱えられ,棺に入れら れる。 文字 ・神聖文字(ヒエログリフ)…象形文字 主に碑文や墓に刻まれる。 民用文字(デモティック)…パピルスに記入されることが多い略字 ナポレオンのエジプト遠征でロゼッタストーンが発見され,シャンポリオンが解読 ・測地術→ギリシア幾何学の源流になったといわれる ・太陽暦→ローマ時代のユリウス暦のもとになる 3.その他の諸国…シリア,小アジア ・インド・ヨーロッパ語系(印欧語系)民族…南ロシアや中央アジアを原住地とする民族 前 2000 年頃,民族移動を開始しオリエントへ侵入 前 1500 年頃までに,戦車と騎馬の力で国家建設 ヒッタイト ・アナトリア高原(小アジア)に強力な国家を建設 ・前 1620~1590 の王の頃(前 17C 半ば頃) バビロン第1王朝を滅ぼし,シリア進出→ エジプトと戦う。やがて遷都(ハットウシャシュ:遺跡名ボガズキョイ) ・鉄器製造 滅亡後にその製法がオリエントに拡大 カッシート ・ヒッタイトが引き上げた後のバビロニア北部に東方から進入一時バビロニアを支配(前 1450 頃) ミタンニ ・地中海からザクロス山脈まで(前 15C 頃) シリアの覇権をかけてエジプトと交戦。ヒッタイト服属まで強力な国力を維持 また通婚を行うなど同盟も(新興のアッシリアを意識したものか)。後にヒッタイトに服 属 オリエント世界の (前 15~前 14C)…メソポタミア諸王国とエジプト新王国が並立する複雑な政治状況 混乱期 ・地中海東岸の諸民族…セム系 ・シリア・パレスチナ地方エジプトとメソポタミアを結ぶ通路,地中海への出入口=交通の要地 前 1500 年頃,セム語系カナーン人の活躍, 「海の民」の進出でエジプト・ヒッタイトの後退,以後セム語 系のアラム人・フェニキア人・ヘブライ人が活動開始(前 12C 頃~) フェニキア人 A) シドン,ティルスなどシリア沿岸地方に都市国家を築き,地中海貿易に活躍(クレタ,ミ ケーネ文明衰退後は独占)→多くの植民都市建設(カルタゴなど)。 B) フェニキア文字: カナーン人の表音文字を改良(線状のフェニキア文字を作成)→ギリ シア人に伝わる=アルファベットの起源となる ヘブライ A) 遊牧民であったが,前 1500 年頃パレスチナに定住, 一部はエジプトに移住するが,新王国の圧政を受ける。これを解放したとされるのが,モ ーゼの出エジプト(前 13C)…モーセの指導でパレスチナに脱出 B) 王国の建設(前 1000 年頃) サウルが建国,次のダヴィデの時,全盛期。ソロモン王の死後分裂 北:イスラエル王国…アッシリアにより滅ぶ(前 722) 南:ユダ王国…新バビロニア王国により滅ぶ→バビロン捕囚(前 586) C) 宗教…唯一神ヤハウェを信仰→アケメネス朝によりバビロンから帰国後,イェルサレム に神殿を再興→ユダヤ教を確立(選民思想や救世主=メシアの待望,教典「旧約聖書」)。 のちのキリスト教の母体となる アラム A) ダマスクスを中心にシリア内陸部に多くの都市国家を形成 内陸貿易に活躍 アラム語は国際的通商語に B) アラム文字…オリエント世界諸文字の源流→東方に多くの派生文字 4.古代オリエントの統一 アッシリア ・セム語系 ・前 2 千年紀初め,北メソポタミアに成立→小アジアとの中継貿易で繁栄 A) 前 15C,ミタンニ王国に服属→独立回復後,鉄製戦車・騎兵によりエジプトを含む 全オリエント統一(前 7C 初め頃) 首都ニネヴェ B) 王=強大な専制君主として政治・軍事・宗教を統括 駅伝制の設置。国内を州にわけ総督を派遣 重税と圧政による支配→服属諸民族の反抗を受け,メディアにより滅ぶ(前 612) 4 王国に分裂 ・エジプト ・リディア(小アジア)…印欧系 世界最古の貨幣鋳造 ・新バビロニア…セム系カルデア人 ネブカドネザル 2 世の代,最盛期。ユダヤ人のバビ ロン捕囚 ・メディア(イラン)…印欧系 ア ケメ ネス朝 A) イラン人(ペルシア人) 印欧系 ペルシア B) キュロス王が建国 (前6C 中頃),カンビセスがエジプト征服 C) ダレイオス1世 オリエントを統一(前 6C)…西はエーゲ海北岸,東はインダス川流域 にいたる大帝国 財政の基盤整備…金貨・銀貨の発行,税制の整備 服属した異民族の風習を尊重する寛容な支配(フェニキア人の貿易も保護) 全国を州に分けサトラップ (知事)を置く 巡察使(監察)…「王の目,王の耳」を派遣 国道(王の道)(スサ・サルデス間の国道),駅伝制を整備 ペルシア戦争でギリシアに敗れる(前 5C 前半) D) アレクサンドロス大王により滅ぶ(前 330) アレクサンドロス王の大帝国(ギリシャを参照) ↓王の死後分裂 プトレマイオス朝エジプト (ギリシア人) セレウコス朝シリア(ギリシア人) カスピ海東南 パルティア(遊牧イラン人) アルサケスが建国 領土拡大…前2C 中頃メソポタミアを併合 都をクテシフォンにおく 東西貿易の利益を独占して繁栄 東方 アム川上流域 バクトリア(ギリシア人) (前 3C 半ば) ササン朝ペルシア 226~651 ササン朝 A) 農耕イラン人 B) アルデシール1 世 建国→パルティアを征服し領土拡大 ゾロアスター教の国教化→ 国家統一 西…シリア進出しローマ帝国を破る。 東…インダス川西岸へ C) 2 代 シャプール 1 世 中央集権体制の確立。シリアに侵入し,ローマ皇帝ヴァレリ アヌスを捕える ・中央アジアの遊牧民エフタルが侵入(5C 後半) D) ホスロー1世 突厥と結びエフタルを滅ぼし,ビザンツ帝国と抗争…優勢に戦い和平→ 黒海沿岸まで進出 ↓死後,王朝は衰退 ニハーヴァンドの戦い(642) でアラブ軍に敗北=事実上の崩壊 アラブ人イスラーム勢力に征服される(651) イラン文明 A) 広大な領土内の文化を統合したため国際的な性格を持つ(建築・工芸) ペルシア文字…楔形文字を表音化 B) 宗教 ・ゾロアスター教(拝火教)…イラン人固有の善悪二元宗教 善(光明)の神=アフラ・マズダ と 悪(暗黒)の神=アーリマン 。世界は両者の絶え間 ない闘争の場で,最後の審判により前者が勝利し楽園に入る=人間の幸福 「最後の審判」はキリスト教などにも影響を与えたと考えられる。 中国(南北朝・隋唐時代)へ伝わり祆教と呼ばれる 教典: 「アヴェスター」 ササン朝で国教化 ・ネストリウス派キリスト教も一部で信奉される。 ・マニ教…3C,ゾロアスター教・仏教・キリスト教を融合して成立 国内で異端とされ弾圧→北アフリカや中央アジア,唐代の中国に伝わる ★ 【古代① 古代オリエント史】 *オリエント=「日の昇るところ,東方」今日の中東 1.西アジア諸国…メソポタミア文明 2.エジプト文明 3.その他の諸国…シリア,小アジア 4.古代オリエントの統一 1.西アジア諸国…メソポタミア文明 興亡 ・定住村落ができ始める(前 6000 年紀) ・前 2000 年紀前半まで,メソポタミア中心に展開(ほぼ今日のイラク地方) [ ]川とユーフラテス川にはさまれた地方, 「川のあいだの地方」という意味 平野の最南部をシュメール,北部をアッカド と呼ぶ(これらが後にあわせてバビロニア と呼ばれる地域となる)。 ・南部…[ ]農業の発達で前 3500 年頃から人口の急増,大村落の成立→文字の発 明,金属器(銅や[ ])の普及 前 3000 年頃,神官・戦士・職人・商人などの増加→都市への発展→各都市の独立 [ ]人 A) 金属器をともなう人類最古の都市文明(前 4000 年紀) 都市国家 ウル,ウルクなど(50ha ほど),ジッグラトの建設 青銅器や彩紋土器,[ ]文字,円筒印章 (前 3000 年頃) 都市的規模に達する。 南部シュメール型町邑がアッカド,さらにメソポタミア全域に拡大。 初期王朝期に入る。文書から行政,経済組織の発展がわかる (前 26C 初め)前 2700 年頃までにメソポタミア南部に多数の都市国家を形成 楔形文字の文書がはっきりし,多彩な言語表現がみられる。 ユーフラテス川の主要水路の直線化,住民の大部分が中心市へ集中 都市支配者らは覇権を求めて戦争をおこす。 有力な都市に富が集中…シュメール文化が栄える B) [ ]政治…王を中心に,神官・役人・戦士などが都市の神をまつり,実権 をにぎって人々を支配…階級社会 C) 大規模な治水・灌漑による生産力向上,交易による必要物資獲得→都市国家間の抗争, 富の集中 ・たえまない戦争→都市国家の衰退 A) アッカド市を中心に,シュメール人の都市国家を征服し最初の統一王国を築く。一時 メソポタミアに統一的支配確立,広大な領域国家に。 B) セム語系(シュメール社会と文化に少なからぬ影響を与えていた) C) [ ]王(前 24C 半ば)が統一 D) 興亡…第 4 代ナラム・シンは現人神に。5 代 100 年あまり続くが,東方からグティ人, 西方から遊牧アムル人の侵攻にあって滅ぶ(前 22C 半ば) ・ウル第三王朝 シュメール人が再び表に現れるがやがてまた滅ぶ→セム化の進展 シュメール人は徐々にその姿をセム人の中に消すが,その文化はメソポタミア文明の基 盤として生き続けた。 バビロン第一王 A) 小国の一つであったが,6代[ ]王の代にメソポタミアを統一(前 1792 朝 ~50) 。首都名にちなみバビロニアとも呼ばれ(古バビロニア),後に地名ともなる。 B) セム系アムル人 C) 王は治水や灌漑をすすめ,法治支配を確立,神の代理者として統治。最盛期を迎え たが,領域の維持は後継者の代を含む 20 年足らず…小王国としてハンムラビの死後 も 155 年続く D) 「[ ]法典」法典の意義…復讐法の原則,身分によって刑罰が異なる 私的報復を国の処罰によって代替させ,罪が明らかな者だけ処罰されるべき,とした。 282 条という長さとみごとな構成。 賃金,離婚,医療費など実にさまざまな問題を網羅→最も整備された「くさび形文字」 の例。西アジアの社会的発展の到達点を示すものとして貴重。 アッカド メソポタミアの ・特色…天文・暦法・数学・農学などの実用的学問の発達 文化 ・宗教…多神教,最高神は民族の交替によってかわる ・文字…[ ]文字(シュメール人が始める),粘土板に刻む…後1C まで多くの 民族が使用。ローリンソンらが解読 ・数学,天文の発達…六十進法・[ ]暦(閏月が必要な年が必要)など。 2.エジプト文明 ナイル川流 ・ 「エジプトはナイルの賜物」…ヘロドトスの言葉 域 定期的氾濫による肥沃な土壌を利用した灌漑農業 ・交通路・用水路に多くのノモス(村落)が出現 ・治水→共同労働と強力な統率者が必要→支配の政治組織が生まれていく 「エジプト史」(マネト:プトレマイオス朝の官僚) アレクサンダーの征服を受けるまでのエジプトを 31 の王朝に分けた。 初 期 王 朝 時 ・メネス王が統一(前 3000) 第 1,2 王朝 代 [ ] (王…元来,宮廷の意)は神とみなされ,神権政治を行う。全国土を所有し, 神官,役人を従える。住民の大部分…不自由な身分の農民,無償労働・貢納を課せられる 古王国 ・第 3~6 王朝(前 27C~) 第 4 王朝 [ 下エジプト 首都:メンフィス ]建設 クフ王のものが最大ギザのピラミッド群 第一中間期(前 2160~2040 頃) 中王国 ・第 11,12 王朝 (前 2040~1786 頃~) 上エジプト 首都:テーベ 守護神[ ]が神々の王の地位を保持し続ける ※第二中間期 遊牧民族[ 戦士が乗る) 新王国 ]ヒクソスが侵入=第 15 王朝(前 17C)。鉄の車輪を持つ戦車(御者と ・第 18~20 王朝(前 1542~11C) ヒクソスを追い出し,再統一 再侵略を予防するため,アジア遠征(シリア方面)がくりかえされる ・トトメス 3 世 シリアに進み,ミタンニと交戦→シリア,パレスチナを確保 臣侯国から人質を取る…当時のミタンニ,ヒッタイト,カッシート,アッシリア 臣侯国がエジプト王に送った外交書簡が「アマルナ文書」(くさび形文字)。 ・アモン・ラー信仰さかん…守護神アメンへの貢物多く,神官団に力=王権との摩擦 ↓ [ ]=イクナートン(前 14C) 唯一新アトン信仰を強制し,テル・エル・アマルナに遷都…王の死により終焉 古い伝統にとらわれない写実的美術(アマルナ美術)が栄える ・次のツタンカーメン王 都をテーベに戻す ・第 19 王朝 [ ] ヒッタイトと交戦 のちにアッシリアの進出と「海の民」の移動に対抗するため,ヒッタイトと平和条約を結 んで勢力圏確保。アブシンベル神殿など大規模建設活動 ・ラムセス 3 世 「海の民」を撃退 しかしこの頃,ヒッタイトが滅び,オリエントが鉄器時代に入る。 鉄資源を持たないエジプトの地位は低下。領地は縮小し,王権は衰退。 末 期 王 朝 時 ・リビア人,エチオピア人,アッシリア人,ペルシア人にあいついで支配…最後はアレクサ 代 ンドロス大王に征服される(前 1070~前 332)。 アッシリア人の支配(前 7C),アケメネス朝ペルシアにより滅びる(前 525),アレクサンドロ ス帝国へ(前 4C) 社会 ・王=生ける神(現人神)…国土の所有者として専制的な神権政治 神官・役人…王から土地を与えられる 農民(住民の大半)=不自由身分→生産物への租税と無償労働が課せられる 文化 ・多神教 主神:太陽神[ ] ・新王国時代にはテーベの守護神アモンと結びつきアモン・ラー信仰がさかんになる。 宗教 ・霊魂不滅とオシリス神が支配する死後の世界を信じる→ミイラ, 「死者の書」 死者の書・・・死後の世界で幸せを願う祈りの文からなり,葬儀の際 唱えられ,棺に入れら れる。 文字 ・[ ] (ヒエログリフ)…象形文字 主に碑文や墓に刻まれる。 民用文字(デモティック)…パピルスに記入されることが多い略字 ナポレオンのエジプト遠征でロゼッタストーンが発見され,シャンポリオンが解読 ・測地術→ギリシア幾何学の源流になったといわれる ・[ ]暦→ローマ時代のユリウス暦のもとになる 3.その他の諸国…シリア,小アジア ・[ ]系(印欧語系)民族…南ロシアや中央アジアを原住地とする民族 前 2000 年頃,民族移動を開始しオリエントへ侵入 前 1500 年頃までに,戦車と騎馬の力で国家建設 [ ] ・アナトリア高原(小アジア)に強力な国家を建設 ・前 1620~1590 の王の頃(前 17C 半ば頃) バビロン第1王朝を滅ぼし,シリア進出→ エジプトと戦う。やがて遷都(ハットウシャシュ:遺跡名ボガズキョイ) ・[ ]文化をオリエントに伝える カッシート ・ヒッタイトが引き上げた後のバビロニア北部に東方から進入一時バビロニアを支配(前 1450 頃) ミタンニ ・地中海からザクロス山脈まで(前 15C 頃) シリアの覇権をかけてエジプトと交戦。ヒッタイト服属まで強力な国力を維持 また通婚を行うなど同盟も(新興のアッシリアを意識したものか)。後にヒッタイトに服 属 オリエント世界の (前 15~前 14C)…メソポタミア諸王国とエジプト新王国が並立する複雑な政治状況 混乱期 ・地中海東岸の諸民族…[ ]系 ・シリア・パレスチナ地方エジプトとメソポタミアを結ぶ通路,地中海への出入口=交通の要地 前 1500 年頃,セム語系カナーン人の活躍, 「海の民」の進出でエジプト・ヒッタイトの後退,以後セム語 系のアラム人・フェニキア人・ヘブライ人が活動開始(前 12C 頃~) ]などシリア沿岸地方に都市国家を築き,地中海貿易に活躍(クレ ] A) シドン,[ タ,ミケーネ文明衰退後は独占)→多くの植民都市建設([ ]など)。 B) フェニキア文字: カナーン人の表音文字を改良(線状のフェニキア文字を作成)→ギリ シア人に伝わる=[ ]の起源となる [ ヘブライ A) 遊牧民であったが,前 1500 年頃パレスチナに定住, 一部はエジプトに移住するが,新王国の圧政を受ける。これを解放したとされるのが,モ ーゼの[ ] (前 13C)…モーセの指導でパレスチナに脱出 B) 王国の建設(前 1000 年頃) サウルが建国,次の[ ]の時,全盛期。ソロモン王の死後分裂 北:イスラエル王国…アッシリアにより滅ぶ(前 722) 南:[ ]王国…新バビロニア王国により滅ぶ→[ ]捕囚(前 586) C) 宗教…唯一神[ ]を信仰→バビロンから帰国後,イェルサレムに神殿を再興 →ユダヤ教を確立(選民思想や救世主=メシアの待望,教典「旧約聖書」)。のちのキリ スト教の母体となる アラム A) [ ]を中心にシリア内陸部に多くの都市国家を形成 内陸貿易に活躍 アラム語は国際的通商語に B) アラム文字…オリエント世界諸文字の源流→東方に多くの派生文字 4.古代オリエントの統一 [ ] ・セム語系 ・前 2 千年紀初め,北メソポタミアに成立→小アジアとの中継貿易で繁栄 A) 前 15C,ミタンニ王国に服属→独立回復後,鉄製戦車・騎兵によりエジプトを含む 全オリエント統一(前 7C 初め頃) 首都ニネヴェ B) 王=強大な専制君主として政治・軍事・宗教を統括 駅伝制の設置。国内を州にわけ総督を派遣 重税と圧政による支配→服属諸民族の反抗を受け,メディアにより滅ぶ(前 612) 4 王国に分裂 [ ・エジプト ・リディア(小アジア)…印欧系 世界最古の貨幣鋳造 ・新バビロニア…セム系カルデア人 [ のバビロン捕囚 ・メディア(イラン)…印欧系 ] 朝ペルシア ] の代,最盛期 ユダヤ人 A) イラン人(ペルシア人) 印欧系 B) キュロス王が建国 (前6C 中頃),カンビセスがエジプト征服 C) [ ] オリエントを統一(前 6C)…西はエーゲ海北岸,東はイン ダス川流域にいたる大帝国 財政の基盤整備…金貨・銀貨の発行,税制の整備 服属した異民族の風習を尊重する寛容な支配(フェニキア人の貿易も保護) 全国を州に分け[ ] (知事)を置く 巡察使(監察)…[ ]を派遣 国道(王の道)(スサ・サルデス間の国道),[ ]制を整備 ペルシア戦争で[ ]に敗れる(前5C 前半) D) アレクサンドロス大王により滅ぶ(前 330) アレクサンドロス王の大帝国(ギリシャを参照) ↓王の死後分裂 プトレマイオス朝エジプト (ギリシア人) セレウコス朝シリア(ギリシア人) カスピ海東南 [ ](遊牧イラン人) アルサケスが建国 領土拡大…前2C 中頃メソポタミアを併合 都をクテシフォンにおく 東西貿易の利益を独占して繁栄 ササン朝 イラン文明 東方 アム川上流域 [ ] (ギリシア人) (前 3C 半ば) [ ]朝ペルシア 226~651 A) 農耕イラン人 B) アルデシール1 世 建国→パルティアを征服し領土拡大 ゾロアスター教の国教化→ 国家統一 西…シリア進出しローマ帝国を破る。 東…インダス川西岸へ C) 2 代 [ ] 中央集権体制の確立。シリアに侵入し,ローマ皇帝ヴァ レリアヌスを捕える ・中央アジアの遊牧民エフタルが侵入(5C 後半) D) ホスロー1世 突厥と結びエフタルを滅ぼし, [ ]帝国と抗争…優勢に戦い 和平→黒海沿岸まで進出 ↓死後,王朝は衰退 ニハーヴァンドの戦い(642) でアラブ軍に敗北=事実上の崩壊 アラブ人イスラーム勢力に征服される(651) A) 広大な領土内の文化を統合したため国際的な性格を持つ(建築・工芸) ペルシア文字…楔形文字を表音化 B) 宗教 ・[ ]教(拝火教)…イラン人固有の善悪二元宗教 善(光明)の神=アフラ・マズダ と 悪(暗黒)の神=アーリマン 。世界は両者の絶え間 ない闘争の場で,最後の審判により前者が勝利し楽園に入る=人間の幸福 「最後の審判」はキリスト教などにも影響を与えたと考えられる。 中国(南北朝・隋唐時代)へ伝わり祆教と呼ばれる 教典: 「[ ]」) ササン朝で国教化 ・[ ]派キリスト教も一部で信奉される。 ・[ ]教…3C,ゾロアスター教・仏教・キリスト教を融合して成立 国内で異端とされ弾圧→北アフリカや中央アジア,唐代の中国に伝わる ★
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