精神分析学1 新宮一成 2009 前期 <注意>問題用紙は両面印刷のものを 1 枚、解答用紙は1枚である。解答は全て解答用紙に記入すること。解答に 用いるアルファベットの文字は必ずブロック体の大文字で書くこと。あいまいなものは採点の対象にしないこと がある。 Ⅰ. (該当者のみ)全学共通科目としてこの科目を履修している場合、これを A 群それとも B 群のどちらで登録 しましたか。解答用紙に正しく○印をしなさい。 Ⅱ.次の記述中の空欄を埋めるために最も適切な用語を選び、その組み合わせとして正しいものを A~E の中か ら選んで答えなさい。 1.夢の(①)は、フロイトの言う「類型夢」に顕著であり、誰でもが見るような一定の観念に対応し、たとえ ば妊娠の観念は(②)、分娩の観念は(③)で示される。 ① a象徴性 b予知作用 c個性 d神秘性 ② a天から聞こえる声の夢 b宝くじが当たる夢 c虫にたかられる夢 d日が昇る夢 ③ a複雑な機械の夢 b水に落ちる夢・水から出る夢 c迷路の夢 d表彰される夢 A(①a②d③c) B(①b②b③d) C(①c②a③a) D(①d②a③b) E(①a②c③b) 2.フロイトは、夢の機能として、「(①)の番人」という考え方を示しており、夢は「(②)な質を持つ」とし ている。 ① a無意識 b睡眠 c性 d死の世界 ② a自己中心的 b潔癖 c民主的 d天上的 A(①b②b) B(①c②b) C(①d②d) D(①a②c) E(①b②a) 3.心的な事象が身体的な機能に影響することは経験上知られているが、そのうち、身体的な機能異常が実際に 存在する場合を(①)というよりもむしろ(②)と呼び、喘息などが典型例であるが、(①)と(②)の区 別は必ずしも明瞭でないこともある。たとえば「球症候群」は(②)の一つともとれるが、(③)の変異型 ともとれる。 ① a精神病 b神経症 c心身症 d人格障害 ② a精神病 b神経症 c心身症 d人格障害 ③ aヒステリー球 b解離症状 c条件反射 dホメオスタシス A(①a②b③d) B(①b②c③b) C(①b②c③a) D(①c②b③c) E(①d②a③b) 4.「喪の過程」もしくは「喪の仕事」は、(①)から(②)を経て(③)に至る心的過程である。 ① a心的外傷 b対象喪失 c対象の取り込み d自己異物化 ② a対象による癒し b対象喪失 c対象の取り込み d心的代謝 ③ a対象再建 b自己治癒 c個性化 d性的成熟 A(①a②a③b) B(①a②d③c) C(①b②c③a) D(①c②b③d) E(①d②d③b) 5.「喪の過程」を、リビドー(リビ―ド)の発達の観点から見ると、最初に(①)期が、次に(②)期が関与 していると考えられている。 ①a口唇 b乳房 c肛門 d尿道 ②a口唇 b乳房 c肛門 d尿道 A(①a②a③b) B(①a②d③c) C(①b②c③a) D(①c②b③d) E(①d②d③b) 6.上記の問題「5」の考え方を提示したのはフロイトの弟子の(①)であるが、フロイトはそれに先立ち、 (②) という疾患を範例として「喪の過程」を定式化している。また、講義で紹介した「いざなみ症候群」の症例で、 治癒に向かう時期に、 「登攀」の夢が多くなったことを、次のようなフロイトの(③)に照らして考えれば、 「喪 の過程」のリビドー論に、 (④)期を加えることができる。フロイトは書いている。 「はしご、坂、階段を登って ゆくことは性交の象徴であることは確実です。登っていく歩行のリズムに、また、高く登っていくにつれて興奮 が増したり呼吸が激しくなっていく点にも、共通性があることに目が付きます。 」 ①aユング bバシュラール cアブラハム dクライン ②aパラノイア bヒポコンドリー cメランコリー dカタトニー ③a類型夢論 b不安夢論 c象徴主義哲学 d幼児性欲論 ④a成熟 b性器 c第二次性徴 d自己愛 A(①b②c③c④d) B(①c②c③a④b) C(①d②a③d④c) D(①a②d③b④a) E(①d②c③b④d) 7.幼児は、母親が持っているものを羨み、破壊しようとし、その結果早期にエディプス・コンプレックスを形 成すると論じたのは(①)である。講義で紹介したように、この人の理論に基づいた夢解釈は、嚥下障害の患者 が、その心因となった(②)を想起するのに役立った。 ①aフロイト bバルト cクライン dラカン ②a交通事故 b幼児期の虐待 c父のアルコール依存 d妊娠中絶 A(①b②d) B(①c②a) C(①d②c) D(①d②b) E(①c②d) 8.講義で紹介した嚥下障害の患者の語りは、振り返ってみると、墜落と登攀との、おびただしい反復を構成し ていた。このことは日本の「いざなみといざなぎ」の神話ばかりでなく、(①)の「オルぺウス」の神話と構造 的に一致しているが、「墜落」の部分が「摂食」の主題に接続しているという点では、(②)の「ハイヌウェレ」 の神話にも通じている。 ①aケルト b北欧 cギリシャ dゲルマン ②aインドネシア bエジプト cアフリカ dアメリカ先住民族 A(①a②a) B(①c②b) C(①b②c) D(①c②a) E(①d②d) 9. (①)は、子供の遊びを観察して次のように述べた。 「これは消失と再現とから成る遊びだった。この遊びは、 母親が居なくなることをさからわずに許すという欲動断念がこの幼児の場合達成されていたということと関係 している。」ここから、(①)は「(②)」および「(③)」という実践上重要な概念を導き出し、後に、(④)は、 ここに人間の欲望の言語的象徴化の原点を見て取った。 ①aプラトン bフロイト cカント dアブラハム ②aイデア bエディプス・コンプレックス c構想力 d反復強迫 ③a死の欲動 bヌーメノン cリビドー d産婆術 ④aクライン bユング cラカン dチョムスキー A(①b②b③c④c) B①c②c③b④b C(①d②d③d④a) D(①a②a③d④d) E(①b②d③a④c) 10.精神療法中に、次のような夢が報告された。「ある若い女性が、医者らしき人と相談している。その女性は 何かをひどく恐れている。医者が何を恐れているのですかと聞くと、実は山中で子供(自分の産んだ)を殺しま したと告白した。生まれてきた赤ん坊は猿であった。彼女が話し終えて顔を上げると、医者は猿になっていた。」 この夢は、講義中に紹介した(①)の症例に現れたものであり、(②)という重要な精神分析的現象を如実に示 している。 ①a妊娠中絶後の心因性嚥下障害 b心因性の尿閉 ②a転移 b圧縮 cリビドー d徹底操作 A(①a②d) B(①a②c) C(①a②a) D(①b②b) E(①b②a) 11.リビドー発達段階において、 「潜伏期」は(①)に当たり、尿道期は(②)に当たり、 「男根期」は(③)に 当たる。 ①a乳房期以前 b肛門期と性器期の間 c口唇期前期と同後期の間 d性器期の前期と同後期の間 ②a乳房期以前 b肛門期と性器期の間 c口唇期前期と同後期の間 d性器期の前期と同後期の間 ③a乳房期直後 b肛門期の後期 c口唇期前期と同後期の間 d性器期の前期 A(①b②d③a) B(①c②a③c) C(①d②b③d) D(①c②b③d) E(①a②d③c) 12.次の(①)の記述に相当する減少を、講義では、 (②)構造という概念によって繰返し紹介した。 「夢の中で次々 と引き続いて現れる幾つかの状景は、実際には同一の内容を示していて、その内容の明白性が次第に高まってゆ く場合がある。一夜の中に現れた幾つかの夢は、同一の内容を種々異なった表現方法で表そうとする試みに他な らない。」 ①aレヴィストロース bフロイト cユング dクライン eラカン ②a転移 b圧縮 c累層 d類型 A(①a②b) B(①b②c) C(①c②d) D(①d②a) E(①e②a) Ⅲ.①~③の学説名に最も関係の深い著者名(a~d)を対応させた組み合わせを、A~Eの中から選びなさい。 ①鏡像段階 ②寸断された身体 ③影響機械 aラカン bタウスク cヴァイツゼッカー dケレーニイ A(①a②a③b) B(①a②c③d) C(①b②a③c) D(①c②b③a) E(①a②d③c)
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