基礎人間科学

[講義] 第1学年 前期 必修 4単位
基礎人間科学
《担当者名》○下村敦司 木下憲治 前田秀彦
【概 要】
後期の解剖生理学につづく科目として、人体の構造(解剖)と機能(生理)とを科学的に把えることによって、チーム医療の
基本となる医学的基礎知識、および言語聴覚障害学につながる初歩的な解剖生理学の知識を身につける。
【学習目標】
1.人体の構造と機能を学ぶ方法を身につける。
2.人体の細胞・組織・器官の構造を機能と関連して説明できる。
3.細胞および組織の構造と機能を生命現象として説明できる。
4.骨格系・筋肉系の基本構造と機能について説明できる。
5.心臓の構造と機能について図を描いて説明できる。
6.口腔・咽頭・喉頭の構造と機能を理解し、発声/発語・嚥下の仕組みについて説明できる。
7.呼吸器の構造と機能について説明できる。
8.人体解剖を通じて、言語聴覚関連臓器ならびにそれ以外の臓器の構造について総括・説明できる。
【学習内容】
回
テーマ
授業内容および学習課題
担当者
1
オリエンテーション
細胞・細胞小器官
人体と構造と機能をどのように学んでいくか、今後
の予定についてガイダンスを行う。
身体の構成要素とその階層性について学ぶ。
細胞の全体構造とそれぞれの機能、細胞小器官の名
称と機能について学ぶ。
細胞膜の機能について理解する。
下村敦司
2
組織
上皮組織、結合組織、筋組織、神経組織など様々な
組織について学ぶ。また、それぞれの胚葉由来につ
いても学ぶ。
下村敦司
3
骨学
骨の成分、骨格の基本構成、脳や脊髄の容れもの・
支柱としての頭蓋骨・脊柱、内臓を保護する胸郭、運
動と関連する四肢骨の特徴を知る。体表面から触れ
ながら学ぶ。
下村敦司
4
骨学
頭蓋骨、脊椎、胸郭の骨、骨盤の骨について学ぶ。
骨盤の男女差や、四肢の骨と運動との関係を考えな
がら学ぶ。
下村敦司
5
筋学
代表的な骨格筋とその運動を知る。
筋肉を動かし、触れながら学ぶ。
関節や腱についても理解する。
呼吸に関わる筋について理解する。
下村敦司
6
筋学
骨格筋の収縮の仕組みを学ぶ。
等張性収縮と等尺性収縮の違いを理解する。
運動単位と神経支配について学ぶ。
(宿題:主要な筋肉の名称、起始部・停止部の一覧
表を作成し、次週までに提出する。)
下村敦司
7
中間まとめ
これまで細胞、組織、骨、筋について学んだことの
まとめを行う。
下村敦司
8
心臓の構造と機能
心臓の基本構造を機能と関連し理解する。
心臓の興奮と伝導系、心臓の拍動と血圧・血圧調節の
仕組みについて学ぶ。
(宿題:心臓の基本構造を図示し、部位、血管、弁
下村敦司
回
テーマ
授業内容および学習課題
担当者
の名称を覚える。次週までに提出する。)
9
心臓の機能
血圧
心臓の刺激伝導系と心電図
心臓の機能を構造と関連し理解する。
心臓の拍動と血圧・血圧調節の仕組みについて学ぶ。
血圧の意味について理解する。
心臓の興奮と伝導系について理解する。
心電図各波形の意味を心臓の動きと関連させて理解
する。
下村敦司
10
血管系
血管の構造と機能を知り、体表面から触れることの
できる動脈を捜す。
身体の主要な動脈と静脈の名称を覚える。
脳の動脈とその支配領域を覚える。
リンパ液の流れについても理解する。
下村敦司
11
中間まとめ
心臓・血管系、血圧、心電図について、これまで学習
したことのまとめを行う。
下村敦司
12
血圧測定
(グループ学習)
脈の取り方、血圧の測定法を理解する。血圧計の実
際の使い方を学ぶ。
木下憲治
下村敦司
前田秀彦
13
血圧実習
(グループ学習)
運動後の呼吸数、脈拍数、血圧の変化を実測し、
その生理学的意味について考察する。
(宿題:レポートとして提出する。)
木下憲治
下村敦司
前田秀彦
14
心電図・心電図実習
(グループ学習)
心電図の電極のつけ方、実際の心電計を操作し、学
生同士、心電図をとる。
P波・QRS波・T波と、心房・心室の脱分極、再分極との
関連を理解する。
(宿題:レポートとして次週まで提出する。)
木下憲治
下村敦司
前田秀彦
15
心臓の解剖実習
ブタの心臓を解剖し、心臓の構造を理解する。
心房・心室、房室弁・動脈弁の違いをスケッチする。
(ブタの心臓を撮影することは禁止)
木下憲治
下村敦司
16
心臓の解剖実習
ブタの心臓を解剖し、心臓の構造を理解する。
心房・心室、房室弁・動脈弁の違いをスケッチする。
(ブタの心臓を撮影することは禁止)
(各自のスケッチに各部位の名称を書き込み提出す
る。)
木下憲治
下村敦司
17
口腔(舌・口蓋)・鼻腔
発声発語に関与する口腔、鼻腔と咽頭の構造、およ
び舌・軟口蓋の運動に関与する筋の名称と働き、さら
にそれらの支配神経について詳しく学ぶ。
頭頚部の発生と神経支配との関連を理解する。
木下憲治
下村敦司
18
咽頭・喉頭
咽頭および喉頭の構造と機能、嚥下モデル、嚥下反
射について理解する。
木下憲治
下村敦司
19
発声発語、嚥下に関係する筋
発声発語・嚥下に関係する筋の名称、起始・停止部、
支配神経を機能と関連づけながら覚える。
構音器官としての口腔、舌、軟口蓋の運動と嚥下運
動の関係を、喉頭の構造と機能を結びつけ学ぶ。こ
れにより嚥下障害などの病気の基盤を捉える。
(宿題:喉頭模型を作成し、次週までに提出する。
23、24回目の実習時にブタの喉頭と比較する。)
木下憲治
下村敦司
20
発声発語、嚥下に関係する筋(1)
発声発語に関与する舌の構造と鼻腔と軟口蓋の構造、 木下憲治
および舌・軟口蓋の運動に関与する筋の名称と働き、 下村敦司
さらにそれらの支配神経について詳しく学ぶ。
回
テーマ
授業内容および学習課題
21
発声発語、嚥下に関係する筋(2)
発声発語に関与する舌の構造と鼻腔と軟口蓋の構造、 木下憲治
および舌・軟口蓋の運動に関与する筋の名称と働き、 下村敦司
さらにそれらの支配神経について詳しく学ぶ。
22
呼吸器
呼吸器の概観について理解する。
下村敦司
空気の通り道としての口腔、鼻腔、咽頭、喉頭の構
造について再確認し、理解を深める。
副鼻腔、涙腺開口部、耳管開口部について理解する。
23
咽頭・喉頭解剖実習
ブタの舌・喉頭・気管・食道を解剖し、観察スケッチを
しながら、その構造について理解する。
反回神経の走行を確認する。
木下憲治
下村敦司
24
咽頭・喉頭解剖実習
ブタの舌・喉頭をさらに細かく解剖し、甲状軟・輪状
軟骨・被裂軟骨、声帯の構造を観察スケッチをしなが
ら、その構造について理解する。
声帯の動きに関与する筋の名称と起始部・停止部を覚
える。
木下憲治
下村敦司
25
呼吸器の構造と機能
気管、気管支、肺の構造、組織について学ぶ。
呼吸に関わる筋と神経について学ぶ。
下村敦司
26
呼吸器の構造と機能
肺呼吸について理解する。ガス交換の仕組みについ
て理解する。
吸息・呼息と、発声との関連、臨床との関連について
理解する。
下村敦司
27
呼吸機能実習(スパイロメーター) 実際の診療で使用されているスパイロメーター、パ
血液ガス分析(動脈血酸素飽和度) ルスオキシメーターの意義、使用方法を学ぶ。
実習(パルスオキシメーター)
呼吸曲線、血中酸素飽和度について理解する。
肺気量の区分、スパイロメーターによる肺気量測定
を行う。
閉塞性肺疾患・拘束性肺疾患・混合性肺疾患とスパイ
ロメーターの測定記録との関係を理解する。
木下憲治
下村敦司
前田秀彦
28
呼吸機能実習(スパイロメーター) 肺気量の区分、スパイロメーターによる肺気量測定
血液ガス分析実習(パルスオキシ
を行う。
メーター)
(宿題:肺機能レポートを次週までに提出する。)
木下憲治
下村敦司
前田秀彦
29
中間まとめ
呼吸器、発声に関する器官、構音・嚥下に関与する
筋とその支配神経、それらの障害についてのまとめ
を行う。
下村敦司
30
まとめ
講義全体のまとめと、これまでの授業で分からなか
ったことを質問する。
(授業アンケート)
木下憲治
下村敦司
【評価方法】
小テスト・中間テスト 20%
定期試験 70%
レポート・学習(自習)ノート 10%
【備 考】
教科書 : 藤田恒夫 著 「入門人体解剖学」 南江堂 2012年
岩瀬善彦 他 編 「やさしい生理学」 南江堂 2011年
参考書 : 河田光博 他 編 「シンプル解剖生理学」 南江堂 2004年
担当者
S. C. Bhatnagar 著 「神経科学-コミュニケーション障害理解のために- 原著第3版」 医歯薬出版 2009年
Frank H. Netter 著 「ネッター解剖学アトラス 原書第5版」 南江堂 2011年 Michael Schuenke 他 著 「プロメテウス解剖学アトラス 頚部/胸部/腹部・骨盤部」 医学書院 2008年
Michael Schuenke 他 著 「プロメテウス解剖学アトラス 頭部/神経解剖」 医学書院 2014年
Willard R. Zemlin 著 「ゼムリン 言語聴覚学の解剖生理 原著第4版」 医歯薬出版 2007年
Steve Parker 著 「見える人体 構造・機能・病態」 南江堂 2009年
Richard L. Drake 他 著 「グレイ解剖学 原著第2版」 エルゼビア・ジャパン 2011年
Gerard J. Tortora 他 著 「トートラ 人体の構造と機能 第4版」 丸善 2012年
医療情報研究所 編 「病気が見える vol.7 脳・神経」 メディックメディア 2011年
Kim Corbin-Lewis 他 著 「摂食・嚥下メカニズム UPDATE 構造・機能から見る新たな臨床への展開」 医歯薬
出版 2006年
その他 : 1.宿題提出物は、コピーをとり、1部は提出、1部はファイルにまとめて整理しておくこと。
2.ファイルには宿題のみならず、実習の結果などについてもまとめて整理すること。
3.最後に学習(自習)ノートを提出する。
【学習の準備】
「基礎人間科学」は医学の基本となり、後期の「解剖生理学」「音声言語聴覚医学」の基礎となる科目です。
高校生から急に、人体の構造と機能を扱うほぼ専門に近い医科学を学ぶことになので、覚えることが多く修得に困難が予想され
ます。従って、毎日、予習・復習をして、勉強のクセをつけ、理解するようにすることが必要です。