関連施設便り - 産業医科大学

13.関連施設便り
産業医科大学医学部不整脈先端治療学講座
教
授
安
部
治
彦
産業医科大学医学部に当講座が出来て早 3 年が経過しました。また不整脈先端
治療学講座の居室を 1 号館 6 階に構えて2年が経過しました。現在不整脈先端治
療学講座の居室(1657 室)には、私と荻ノ沢泰司(学内講師)、河野律子(助教、
平成 24 年 6 月から学内講師)、それに秘書の吉村成子の 4 名がいます。外来診療
や手術等に追われ、日中は殆ど病院で過ごすことが多いのですが、その間の対応
や事務処理は吉村さんに全てお任せしています。また、不整脈関連学会の委員や委員長など数多くして
いる関係で、学会本部や厚労省の医療機器審査機構(PMDA)への出張も多く、どうしても大学を空
ける時間が多くなり、荻ノ沢・河野各先生には診療面で多々迷惑をかけていますが、両先生の心強いサ
ポートで何とか激務をこなしている状況です。
毎週水曜日には、8A 病棟に不整脈や失神、心不全等で入院中の患者の薬物治療・非薬物治療(デバ
イス手術やカテーテルアブレーション治療)についての症例検討をローテーションの専修医も含めて不
整脈グループ全員で行っています。また、金曜日夜には学内不整脈グループのみならず学外派遣中の医
局員や不整脈 OB も含めて、学会・研究会の予行や勉強会をオープンにし、毎週不整脈カンファレンス
を行い若手医師の教育の場としています。
この 1 年間の最大の出来事は何と言っても平成 24 年 2 月 10-12 日に北九州国際会議場で日本不整脈
学会・第 4 回植込みデバイス関連冬季大会を主催したことでした。会長を務めることになった私自身、
全国規模の学会を主催するのは勿論初めてでしたので、学会プログラム作成段階からの準備も含めて不
安の連続でしたが、無事成功裏に終えることが出来ました。参加者 1900 名と予想を遙かに上回る大会
で内容的にも非常に高い評価を得ることが出来ました(私個人的には、赤字にならなかったことが一番
ホッとしたことです)。
第 2 内科学に在職していた時に比べると病院当直や病棟からの呼び出し、試験監督などは少なくなり
ましたが、毎年夏期と冬季に行われる日本医師会産業医基礎研修講座や産業医実務講座の講義等を新た
に担当させられ講義時間はかなり増えてきました。しかし循環器疾患には、心臓突然死やデバイス患者
の職場復帰・就労問題のように産業医学的・社会医学的な取り組みが必要なことが多くあります。これ
らの問題は、単に企業の専属産業医や産業医学研究者のみで解決すべきことではなく、本来産業医大の
臨床医学系教室が積極的に関与すべきことと前々から個人的に考えておりましたので前向きに考え取り
組んでいる次第です。
昨年 4 月からの渡部太一(大学院生)に加え、平成 24 年 4 月から大江学治(修練指導医、本年 7 月
から助教)と林
克英(社会人大学院生)が新たに不整脈グループに加わり、非常に活気に満ちてきま
した。私自身はかなり欲張りなので今後我々不整脈グループの歩むべき方向性に関しては非常に大きな
目標を立てています。それは産業医大での不整脈診療実績を国内トップレベルにすること、学術的には
臨床研究に益々拍車をかけ新しいデータや知見を続々と生み出していくこと、循環器疾患に発生する
− 58 −
種々の社会問題にも対応できるような国の施策に絡む大きな仕事をすること、の 3 つです。いずれの目
標もかなり高いハードルですが、これらの目標全てを産業医大で実現することは可能であると本気で考
えております。これからが勝負と思って日夜頑張っておりますので、どうぞ今後とも益々のご支援・ご
協力を宜しくお願いします。
−59 −
産業医科大学病院
腎センター
准教授
田
村
雅
仁
1.活動報告
腎センターは大学病院の診療支援部門に位置し、
田村(部長 ・ 准教授)
、
椛島(副
部長・講師)、鐘江(助教)の 3 名がスタッフとして所属し、第 2 内科所属の芹
野(講師)、宮本(学内講師)と共に診療を行なっています。
腎センターでは①新規透析導入、②バックアップ透析、③急性血液浄化法、④
アフェレシス療法などの血液浄化療法を行っています。透析療法は血液透析と腹膜透析の両者を行って
います。また、重症症例や救急症例の急性血液浄化療法や新生児・小児の血液浄化療法にも随時対応を
しています。日本腎臓学会研修施設や日本透析医学会認定施設として、専門医研修も行われています。
2.診療実績
平成 23 年 1 ~ 12 月に腎センターで 3,091 件の血液浄化療法を行いました。うち第 2 内科の症例が 1,206
件(39%)を占め、残りが他科よりの依頼症例です。血液浄化療法の主な内訳は導入:421 件、急性腎
不全:394 件、術後などのバックアップ透析:1,660 件、エンドトキシン吸着:45 件、免疫吸着:31 件、
血漿交換:122 件、CHDF:254 件と、急性期の症例がほとんどです。腹膜透析の外来も看護部の協力
のもと、腎センターで行なっています。
3.透析医療を通した診療連携
いつも近隣の透析クリニックから多数御紹介を頂き、
誠にありがとうございます。手術症例などのバッ
クアップ透析をはじめ、透析患者の急変などにも随時対応させて頂き、地域医療に貢献を続けて参りた
いと思います。ここ数年間で腹膜透析患者においても血液透析患者と同様に病診連携を行い始め、既に
10 の病院・クリニックとの連携が順調に進んでいます。腎センターは相変わらず多忙を極めていますが、
当院で構築した血液浄化療法監視システムを活用し、看護師や臨床工学技士の方々の協力も得て、事故
のないよう細心の注意を払い日々の業務を行なっております。今後も何卒よろしくお願い申し上げます。
(文責:田村雅仁)
−60 −
産業医科大学病院
集中治療部
二 瓶 俊 一(写真左)
助 教 原 山 信 也(写真右)
助
教
同門会の皆様におかれましてはますますご健勝のことと
お慶び申し上げます。さてこのたび私どもが所属いたして
おりました救急・集中治療部は平成 24 年 3 月をもちまし
てその運営を中止し、4 月より新たに救急部と集中治療部
に分離され運営されることとなりました。私どもは、4 月より集中治療部のスタッフとして勤務させて
いただくこととなりました。ここに皆様にご報告申し上げます。
ICU は平成 21 年 6 月に 6 床から 4 床増床となり、現在 10 床で運営をしております。重症救急患者、
術後入室、院内重症患者の集中治療管理を各診療科の先生方と一緒に行っております。ICU に入室中
は、各主治医と ICU スタッフとの間で、治療方針などについて土日を含め毎日カンファレンスを行っ
ております。
ICU はいろいろな診療科と関わり合いを持つ診療部門でありますが、特に循環器疾患・腎臓疾患は、
集中治療領域において重要な分野であり、関わりが多い分野であります。第 2 内科の先生方におかれま
しては、今後とも集中治療部の運営にご協力をお願い申し上げる次第です。
最後にこれまで救急・集中治療部のスタッフとして勤務してまいりましたが多くの先生方のご支援を
賜りました。皆様のご厚情に対し御礼申し上げます。これからは集中治療部のスタッフとして勤務して
まいりますのでよろしくお願い申し上げます。
産業医科大学病院
病理・臨床検査・輸血部
助
教
木
村
聡
産業医科大学病院臨床検査・輸血部を御紹介させていただきます。臨床検査・
輸血部は大学病院の診療支援部門に属しており、主に検体検査、生理機能検査、
細菌検査、輸血関連部門を有しています。平成 24 年度からは病理部と統合し、
病理・臨床検査・輸血部となりました。以前は専任教授がいらっしゃいましたが、
今後は病理部門と共同して運営を行っていく予定となっています。
臨床検査部門に関しては平成 20 年度より診療科として標榜することも可能となっていますが、当院
では関連学会の認定施設基準を満たすことも難しい状況でした。そのためこの一年間は病理診断科の先
生方のお力もお借りし、体制を整えることを主眼に業務をおこなって参りました。昨今の病院経営的視
点からも当部門に対する経費削減及び効率化の要求は厳しいものがありますが、検査精度を低下させる
ことなく、運営できればと考えています。
今後ともご協力お願い申し上げます。
−61 −
産業医科大学若松病院
循環器内科・腎臓内科
診療教授
岡
﨑
昌
博
平成 23 年 4 月北九州市立若松病院は北九州市から学校法人産業医科大学に
譲渡され、新たに「産業医科大学若松病院」として開業しました。平成 23 年 4
月 1 病棟 50 床からスタートし、5 月から 3 病棟 150 床の急性期病院として運営
しています。循環器内科・腎臓内科は岡﨑昌博(診療科長・診療教授)
、長井善
孝先生(外来医長・学内講師)
、古野由美先生(病棟医長・助教)のスタッフ 3
名と長谷川潤先生、尾辻
健先生の専門修練医 2 名でスタートしました。専門修練医はローテーターと
して 10 月から穴井玲央先生、平成 24 年 4 月から北川めぐみ先生が赴任され、一緒に診療を行なってい
ます。
患者の皆様がより受診しやすい診療科を目指し、循環器内科の外来を月曜日から金曜日まで毎日開
設するだけでなく、午後も開設しています。腎臓内科の外来は火曜日と金曜日の午前中ですが、急患に
は柔軟に対応します。検査は冠動脈CT(64 列)をはじめ、心臓カテーテル検査と心筋シンチ検査以
外の循環器関連の検査は施行可能です。血液透析は施行できませんが、腹膜透析の症例の受け入れは可
能です。心臓カテーテル検査、インターベンション治療、ペースメーカ植え込み手術、腎生検、血液透
析を施行していないことが入院症例を増やす上でハンディになっていることは否めませんが、睡眠時無
呼吸症候群の症例は徐々に増加しています。診療範囲を広げるために平成 24 年 5 月からは心大血管疾
患リハビリテーションを始めました。今後は循環器診療の柱のひとつとして発展させていければと考え
ています。
平成 24 年 4 月からは 5 年生がポリクリで 1 日だけ回って来るようになりました。今後、大学病院
として教育面でも貢献できるよう診療内容を充実させていきたいと考えています。同門の先生方には引
き続きご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
−62 −
NTT 西日本九州健康管理センタ(福岡市)
産業医
柴
田
達
哉
私たちは、NTT 西日本及び NTT グループ会社の社員の健康を支援するた
めに、主な活動として、保健指導、健康診断、健康教育などを積極的に実施して
います。当センタ職員一同、
「社員の健康のために」という共通の目標を掲げ日々
充実した産業保健活動を行っています。当センタでは全九州エリアに及ぶ活動を
していますが、私は、久留米、大分、長崎の 3 つのエリアを担当させていただき
ました。ここ 1 年間で経験した産業医活動についての感想を述べますと、今の仕事は、社員の生活背景
を詳しく把握できることが、これまで私が勤務してきた総合病院や大学での仕事と比べると、非常に違
う点であると思います。人は、通常 1 日 8 時間近く勤務していますので、起きている時間の約半分、1
日にして、3 分の 1 の時間を労働に費やすことになります。したがって、産業医は、生活の中から生じ
る病態を一連の時間の中で正確に把握することができ、その情報をもとに主治医と連携し、体調を早め
に回復させることができます。そのためにも、常に社員の健康が維持できるように、当たり前のようで
すが、最新の医学情報を得るために努力していくことが必要と再認識しました。NTT 九州健康管理セ
ンタでは色々なことに気付かせてもらえる機会を得たのではないかと思います。私の今後の医師として
の大きな財産になると思います。
また、佐々木まゆみ所長、守下敢先生にサポートしていただきながら産業保健に関する研究も行っ
ています。自分の専門性を生かしたものを提示できるように努力していきます。
職場は博多駅前にあり、立地条件は最高で、大学からも公共交通機関を使って 1 時間程度です。各
先生方のご迷惑になるかもしれませんが、できましたら今後もご指導いただけますよう宜しくお願い致
します。
−63 −
福岡労働衛生研究所(福岡市)
産業医
藤
本
陽
子
福岡労働衛生研究所(以下、労衛研)は“健康は自らが贈る最高の宝”をモッ
トーに、労働者の健康管理と健康の保持増進及び地域住民の保健予防、健康保持
の徹底を期し、もって産業の発展と住民の健康増進に寄与する事を目的とした総
合労働衛生機関です。
当研究所の概要や特色につきましては昨年度の教室便りにて小住乃理子先生
よりご紹介がありましたので、今回は近況報告を中心にご紹介致します。
労衛研は平成 23 年 9 月をもって創立 50 周年を迎えました。また、平成 20 年に施行された公益法
人改革に基づき、当研究所は設立当初の目的を達成するために公益財団法人を目指して参りました。約
4 年の準備を行った上で申請を行い、平成 24 年 3 月に晴れて内閣府・内閣総理大臣より公益財団法人
の認定を受けることとなりました。新しく生まれ変わった当研究所は、離島僻地あるいは社会的弱者・
高齢者や地域主婦に対する健康管理等を行うことで、更なる社会貢献を目指しております。
私は、平成 23 年 5 月より当研究所へ派遣となりました。この 1 年の活動内容は、おおよそ産業医
活動 70%、巡回健診 20%、判定業務を含む所内業務 10% です。現在 23 の事業所を担当しており、そ
の 80% が中小企業です(電力会社やその下請け会社、車体修理工場、造船会社、食品会社、人材派遣
会社、建設業など分野は様々)。求められるものの優先順位や安全衛生に対する意識も様々ですが、現
場ではやはりメンタルヘルスのニーズが高く、大企業、中小企業を問わずうつ病、発達障害などの精神
疾患による問題に直面します。特に最近は、発達障害が表立つようになり会社内で苦慮しているケース
が多いようです。私は未だ対応したことはありませんが、社会には少なからず発達障害の方がおり、今
後に備えて勉強する必要があると実感しています。また、月に 1 度の職場巡視は北九州市内に始まり、
長崎県や熊本県、さらには鹿児島県と九州内の広範囲に渡り、ちょっとした小旅行の気分を味わいなが
ら電車移動を楽しんでいます。
私の所属する産業保健事業本部は、森
朋子医長を筆頭に 16 名の医師が在籍しています。殆どが
産業医科大学出身の医師であり、専門分野も多岐に渡るため、事業所内での問題を持ち帰り各専門の医
師に相談しアドバイスを頂くこともしばしばです。また偶然にも、同時期に同級生が 4 名も所属してい
ますが、彼らを含め学年が近い医師が多いので職場内でも楽しく仕事ができています。そして、平成
24 年 4 月からは循環器内科村岡秀崇医師が当研究所へ派遣となり、更に明るい職場となりそうです。
村岡医師に関しましては、赴任当月より約 18 の事業所を担当し(産業医活動)、加えて循環器内科であ
ることより心電図判読、労災二次の心エコー等を任され、大変そうですが持ち前の積極性(?)を発揮
し、日々奮闘しているようです。
以上、長文になりましたが、平成 23 年度の労衛研の近況と私共の活動内容をご報告致しました。
臨床時代に培った知識を活かし、これまで以上に労働者および地域住民の健康増進を図り、ひいては産
業の発展に少しでも役立てるよう邁進する所存でございます。同門の先生方に支えられていることに感
謝致しますとともに、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
−64 −
−65 −
東海旅客鉄道株式会社(JR 東海)
須
健康管理センター(名古屋) 加
健康管理センター(名古屋) 穴
健康管理センター(名古屋) 穴
健康管理センター東京健康管理室
田
来
井
井
京
玲
美
治(写真:左端)
子(写真:右端)
央(写真:中央左側)
希(写真:中央右側)
【活動報告】
毎年、関連施設便りにて JR 東海の産業医活動の様子をご報告させていただいております。平成 17
年より当社にて専属産業医と勤務しておりますが、ここ数年、大きな変革や進歩が当センターにおいて
ございました。社員の健康管理施策の充実が望まれ、健康管理センターが当社の管轄エリアである東京
から大阪間で大きく 4 つに拠点化され、東京、静岡、名古屋、新大阪に各職種全ての所員が常駐するこ
とで、より社員に近い存在の健康管理部門として機能・充実しております。また、当センターのスタッ
フも総勢 65 名(産業医、保健師、看護師、臨床心理士、医療士、事務)の大所帯となり、各職種が各
部門と連携を組み様々な健康施策を実施推進し、責任ある公共輸送従事者の健康管理を担っております。
昨年度より赴任された加来京子先生は、現在まで積極的に当社の産業医活動や健康施策プロジェク
ト、研究などに取り組んでおられます。また、教室より派遣していただいておりました坂東健一郎先生
が当社で 2 年間ご活躍されのち大学に戻られ、今年度より、穴井玲央先生、美希先生がご夫妻でご着任
されております。
今後とも、当社の産業医活動へのご支援ご理解をいただくとともに、第 2 内科学教室および同門会
の諸先生方のご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします。
(文責:須田
治)
【穴井玲央先生からのコメント】
2012 年 4 月より JR 東海
健康管理センター(名古屋)の産業医として赴任しました穴井玲央です。
現在、卒後 7 年目になりますが、産業医としては一からのスタートです。もちろん産業医科大学出身で
すので、これまでみっちり教え込まれた産業医学の知識も頭の片隅にはバラバラにあったのですが、そ
れがちょっとずつ繋がっていくのを感じる毎日です。
JR 東海は一般的な工場のような有害業務といったものは少ないのですが、公共の安全を守るといっ
た重要な使命があり、安全・安定を第一にしています。そのため、安全と時間に対しては非常に徹底し
−66 −
ており、これまで病院でしか勤務したことのなかった自分としては目から鱗の毎日です。
4 月から赴任して 1 ヶ月がたちましたが、大きな仕事内容としては、①健診②職場巡視③面談にな
ると思います。
健診については一般的な健診とは別に医学適性検査というものあり、これは運転手さんなどが医学
的に運転業務ができるかというものを判断するもので、一般的な健診と大きく異なります。通常の健診
は社員さんの健康を守るというのが第一ですが、医学適性検査は公共の安全を守るために行うものです。
視覚、聴覚、脳波などこれらが、基準以上ないと通さないというものです。運転手に万が一があると多
くの人の命が犠牲になってしまうという観点です。
次に職場巡視も大きな特徴があります。これは非常に遠いということです。JR 東海の社員さんは
グループ会社も合わせると 2 万人近くが、大阪から東京までいます。また、在来線の駅などは片道 3 時
間以上もかかり、泊まりで行かないといけないなどといったことも大きな特徴かと思います。
面談についはやはり、メンタルの方が多いのですが、それ以外にも生活習慣病や睡眠時無呼吸にも
大変力を入れている職場で、2 内科での経験が大きく生かされます。
産業医 1 年目で、見知らぬ土地ということもあり不安いっぱいでしたが、2 内科の大先輩である須
田先生、加来先生をはじめ、産業医 14 人という多くの先輩産業医のおられる職場で日々勉強する毎日
です。
もし、JR 東海での産業医に興味を持たれている先生、また学会等で名古屋まで来られた際はご連
絡お待ちしております。
【穴井美希先生からのコメント】
2012 年 4 月から東海旅客鉄道株式会社で専属産業医として赴任しました。名古屋に来て早いもの
で約 1 カ月が経過しましたが、初めての本州(大都会)
、初めての産業医という事で、最初のうちは実
感がわきませんでしたが、車依存から徒歩+電車へ、出勤時間も厳守!と今までのライフスタイルも
180 度変わり、ようやく適応しつつあります。
JR 東海では、1 万 7 千人を超える社員が、鉄道事業における安全安定輸送の確保のために日々従
事しています。そのため社員の健康を支える健康管理スタッフの役割、責任も当然大きく、健診・医学
適性検査をはじめ、メンタルヘルス、生活習慣病、睡眠障害対策など多くのプロジェクトが遂行されて
います。
約 1 万 7 千人の社員の中には、体調を崩し、働きたくても働けない方、また体調を崩しながらも無
理して働いている方、自覚症状がないため平気で働いている方など様々います。今はまだまだ仕事内容
を周囲の先生や保健スタッフの方々に教えていただきながら勉強の毎日ですが、社員の病気予防、健康
の維持、増進に貢献できるように頑張りたいと思います。病院での役割とは全く違う産業医の経験は、
医師として、社会人としても、とても貴重であると思います。
子供も新しい生活環境で、最初の 1 週間は保育園で号泣していましたが、今ではすっかり慣れた様
子で、笑顔で送り出してくれます。家では新幹線や在来線車両が次々に出入りする様子を窓から眺めて
は喜んでいます。
勤務時間や担当の事業所なども子育ての点から、遠田所長をはじめとした周囲の先生方に配慮して
いただき、恵まれた環境で仕事ができることを感謝しています。
皆様も名古屋にお越しの際は、ぜひ当社新幹線をご利用いただければと思います。今後ともよろし
くお願いいたします。
−67 −
ブリヂストン防府工場健康管理センター(山口県防府市)
産業医
江
口
良
司
御無沙汰しております。㈱ブリ
ヂストンの防府工場で専属産業医
をやっております江口です。勤務
先の紹介をしばらくサボっており
ましたので今回は久しぶりに勤務
先の現状を紹介させていただきま
す。山陽自動車道防府 I.C から南
側、海に向かって 6km 弱。マツ
ダの防府工場に隣接した、敷地縦
1.5km、横 0.5km の工場です。従
業 員 は 本 体・ 関 連 会 社 込 み で
1300 人、主に自動車用タイヤと
トレーラー用の直径 1.5m 位の大きなタイヤを作っています。[ 注 1:たまに都市高速などで見かける
超大きなタイヤは、下関工場と若松工場でしか作っていません。] 2008 年のリーマン・ショックまでは、
ほぼ順調に推移していたのですが、それ以降は自動車用タイヤは、中国・韓国等の廉価ものがシェアを
伸ばしてきたためあまり業績が芳しくありません。反面大きなタイヤは、相変わらずの好景気が続いて
います。
専属産業医が必要になった時期が比較的最近で、採算性等から企業内診療所の存在意義が薄れてきて
いた時期にあたりますので、この工場には診療機能がありません。エックス線装置等検査機器もありま
せん。健康診断は検診業者のレントゲン車をお借りして、血液検査も検診業者経由で検査業者に提出し
ています。
産業医業務についてですが、3 月から 4 月の健康診断が終了し、秋 9 月の健康診断までの間は、比較
的平和な日々が続きます。異動や定期採用も多くなく、工場が比較的安定していますので、巷で騒がれ
ているメンタルヘルス問題もさほどはありません。
とは言え、この不景気なご時世、企業がそういう長閑な状況を見逃してくれるほどには甘くもなく、
今現在 5 月 6 月は、新入社員・一般社員の教育が続いています。有機化合物・特定化学物質・粉じん・
放射線とどれをとっても「人体に及ぼす影響」とやらの項目がありまして、それを 3 交替の各班別にや
るとなると、それなりに手間と時間を取られます。そろそろ暑くなってくると、今度は熱中症。環境は
かなり鉄工所に近いものがありますので、ハイリスクです。朝ご飯食べましたか等のチェックリストを
確認して必要があれば呼び出してカロリーメイトを食べさせたり等地味な仕事が続きます。
毎回、この原稿のお話をいただいた時には、面白いネタはないかと考えるのですが、残念ながら今回
はありません。日本の製造業はかなり壊滅的な状況にあり、製造拠点を海外にどんどん移転していると
いう点では、タイヤ業界も同様です。10 年後にはどうなっているか見通しもつきません。(逆に言えば、
5 年後の見通しはある程度ついているのですが)
さて、ここでオチを考え続けて 30 分。いいオチが思いつきません。中途半端なままで今回のご報告
を終わらせていただこうと思います。毎度のことながら文章下手で申し訳のないことです。
−68 −
日立製作所情報通信システム社 IT プラットフォーム事業本部 横浜事業所
健康管理センタ(神奈川県横浜市)
産業医
西埜植
な
お
平成 15 年 6 月より現在の日立製作所
ソフトウェア事業部で産業医業務に携わ
り、早いもので 10 年目となりました。
日立製作所 4 万人を超える従業員を抱
える企業で、本社は東京丸の内に、事業
場は全国に展開されていますが、主に茨城県日立市、神奈川県
横浜市に集約しています。私が長年勤めている健康管理センタ
は、その横浜市戸塚区にある情報通信システム社
トフォーム事業本部
IT プラッ
横浜事業所内にあります。徒歩 10 分の
距離に日立横浜病院があり、そこの京浜地区産業医医療統括セ
ンタが当健康管理センタはじめ、京浜地区にある7つの健康管
理センタをまとめています。月に一度の医局会や事例検討会、
期に一度の産業医会議や産業保健研究会、日立医学会、本社会
議など産業医同士の交流の場になります。
当健康管理センタの業務は、産業保健部門と診療部門に大きく分かれ、産業保健スタッフは私専属産
業医 1 名の他、保健師が 2 名おり、健康診断事後措置や長時間労働者健診、メンタルヘルス教育、随時
相談等、
日々の産業保健業務に従事しております。診療部門は内科が平日午前診療で非常勤内科医師が、
歯科診療は一人の常勤歯科医師が毎日診療担当しています。その他のスタッフとして看護師 1 名、薬剤
師 1 名、歯科衛生士 2 名、カウンセラー 1 名(非常勤)がいます。産業保健分野では一般的に診療部門
が徐々に縮小される傾向にある中、統括する病院が近隣にある影響もあってか、当健康管理センタは診
療部門もある程度充実しており所員の方の福利厚生面でも役立っております。
当事業所の健康管理センタは、近隣に日立横浜病院という関連病院もあり、産業医業務と内科外来を
両立していくことが望まれます。2 内科からローテーションで来られる先生はいらっしゃいませんが、
当院の内科外来担当医不足からご協力いただける先生がいらっしゃると助かります。産業医業務につい
てはできる限りサポートさせていただきますので、ご興味あるお若い先生方、何卒ご検討ください!
わたくしの近況ですが、昨年 6 月には第三子を出産し、今年 5 月から復帰しました。2008 年 4 月か
ら北里大学大学院産業精神保健学に籍を置いていましたが、丁度出産と産休育休時期が学位審査の最終
学年とぶつかり、産後はかなりしんどい毎日を過ごしました。上の子達も元気いっぱいの 5 歳たちにな
りましたので、日中は当然論文に手を着けることができず、夜中に睡魔と夜泣きと闘いながらの毎日で
した。それでも何とか学位取得できたのも、産業医大の先輩であります田中克俊教授のご指導があった
からこそです。本当に心から感謝いたします。私の研究テーマは、一般労働者に対する睡眠衛生教育と
行動療法の組み合わせの介入の効果についてでした。事業場側の睡眠対策推進の方針と私の研究テーマ
が丁度一致したので、総務の理解とサポートもあり非常に介入しやすく助かりました。
この 7 月末には 3 事業場が統合して大きくなり新建屋への移転もひかえていますので、新しい環境で
引き続き産業保健活動に励みたいと思います。
−69 −
北九州市役所総務企画局(北九州市小倉北区)
産業医
今
村
香奈子
2011 年 4 月より、鈴木義之先生の後任として北九州市役所に赴任致しまし
た 22 期生の今村香奈子と申します。私が赴任致しました 2011 年 4 月に所属名が
総務市民局から総務企画局に変更となりました。現在「総務企画局人事部給与課
安全衛生係産業医担当係長」として水道局・環境局・交通局を中心に、過重労働
判定・面談、安全衛生委員会・衛生審査会の出席、安全パトロール、健康講話な
どの産業医業務に携わっております。病院外での勤務経験のない『一般』社会人 1 年目の私に係長が務
まるのだろうかと当初不安に感じておりましたが、「担当係長」の下には職員がつかないということで
ほっとしつつ、保健師さんをはじめ周囲の方々からサポートいただきながら一つずつ業務をこなしてい
くうちに一年間が経過したという状況です。公務員に対し「定時で帰ることが出来る」などの楽なイメー
ジを描いていらっしゃる方もおられるかもしれませんが、実際には 1 ヶ月に 80 ~ 100 時間以上の時間
外労働をこなす方も多く、中には 200 時間近い方もおられます。また、2 ~ 3 年毎に訪れる定期異動の
際にはこれまでと全く異なる環境下で未経験の業務に携わることになるため、柔軟な適応力も求められ
ます。それらに加え、業務によっては住民からの様々な要求や苦情に対応する必要にも迫られるため、
そのストレスは相当なものであると思われます。地方公務員が長期病休に至る原因の 1 位が「精神およ
び行動の障害」であり、その頻度は 100 人に 1 人という非常に高いものであることから、更なるメンタ
ルヘルス対策推進が望まれておりますが、精神科・心療内科的な知識・経験が乏しいことからなかなか
具体的なアドバイスも出来ず、自分の力不足を痛感することもしばしばです。今年度は昨年度の経験を
活かし、もう少し産業医らしい貢献が出来ればと考えております。今後とも御指導御鞭撻のほど、宜し
く御願い申し上げます。
−71 −
九州健康総合センター(北九州市八幡東区)
産業医
矢 寺
長谷川
靖
子(写真:左)
潤(写真:右)
九州健康総合センターは、前身は新日本製鐵株
式会社八幡製鐵所の健康管理部門で、昭和 54 年健
康管理部門が分社化され、八幡製鐵所をはじめ北九
州地域各企業の総合的な健康管理を支援する目的で
設立された企業外の健康診断専門機関です。セン
ターでは、主に定期健診、特殊健診、ドック健診、
成人病健診、疾病管理健診、臨時健診、精密健診、
胸部 X 線検診、胃部 X 線検診、婦人科検診、住民
健診、学校健診、精神衛生健診、THP、多岐にわ
たる健診業務を行っており、企業および地域の健康
管理の向上に寄与しております。また、健診バスを
使った巡回健診や嘱託産業医事業も行っています。スタッフは、医師 11 名で常勤医師はうち 9 名すべ
てが産業医大出身です。また、人間ドック健診には産業医大の放射線科から、産業医業務には産業生態
科学研究所等から外勤に来られる先生方もいらっしゃいます。産業医業務で困った際には先輩産業医に
相談にのっていただけますし、当センターはとても働きやすい環境です。
今年度、4 月から 3 年間勤務された大谷恭子先生が大学へ戻られ、第 2 内科からの派遣として長谷
川潤先生が赴任されました。長谷川先生は初めての健診・産業医業務ですが、それを感じさせない働き
ぶりです。健診・産業医は、直接治療をするわけではないのでもどかしく感じることも多いのですが、
臨床医とは違う立場で係わっていくことできる良い機会だと思います。今回、新たに赴任された長谷川
先生からもコメントをいただきました。
【長谷川潤先生よりコメント】
平成 24 年 4 月より九州健康総合センターに赴任しております長谷川です。産業医として名刺を持っ
て企業の担当者の方や上層部の方に挨拶することに戸惑いつつも、仕事はもちろんですが社会性を高め
ようと邁進しております。
業務内容は主に 12 か所の嘱託産業医業務、健診センターと巡回バスによる健診業務であります。
時間的にはおおよそ、産業医:センター:巡回で 3:1:1 程度です。産業医として「ご安全に!」の発
声とともに安全衛生委員会に出席し、様々な業種の職場巡視を行い、従業員の方の健診後フォローや職
場復帰・過重労働面談等を行っております。自分が知らない世界を見ることは勉強になり、産業医の面
白さも感じております。健診等では特に症状のない方々と接する機会も多く、生活習慣の改善を指導す
る際は予防医学の難しさを感じることもあります。今までの臨床経験等を生かしながら個性に埋没しな
いようやっていけたらと考えております。
さて、皿倉山の麓にあります当施設ですが、少し坂を下り市立八幡病院の近くに移転予定の話が出
ているようです。自宅から近くなり、さらなる歩行距離の減少が懸念されます。そのような中、健診に
て 1 年で 10㎏以上減量されている方にお会いして、自らも運動を始めようと思い立ちました。THP 実
−72 −
践のために、近隣のゴルフの打ちっぱなしに行くことも考慮しましたが、費用対効果の観点から、まず
は Walking から始め、Ranning そして皿倉山への Trekking をしてみようと思っております。もし、成
果が出ておりましたら来年こちらで報告させていただきます。
また、大学とも近い環境ですので何かとお世話になることもあると思います。今後ともご指導のほ
ど宜しくお願い致します。
−73 −
独立行政法人労働者健康福祉機構 九州労災病院(北九州市小倉南区)
循
環
器
内
科
黒
田
智
寛
2011 年度は九州労災病院にとって小倉南区葛原から小倉南区曽根北町へ新
築移転という大きな節目の年でした。新病院は 2011 年 5 月 1 日(日)に旧病院
から 56 名の患者さんを救急車で搬送、外泊患者さんが帰院され 73 名で開院しま
した。その日の午後より救急患者の受け入れ開始、ゴールデンウィーク開けから
通常診療開始し、6 月初旬にはほぼ満床状態となり順調にスタートすることがで
きました。新病院は旧北九州空港跡地の最も小倉よりで、JR 下曽根駅から北へ約 800m(徒歩 10 分)
の所に位置し 50,000㎡の敷地を有しています。下曽根駅経由の西鉄バスも直接乗り入れており、山服の
傾斜地にあった旧病院に比べ利便性が格段に向上したことも好スタートの要因の1つと思われます。病
院の建物は延床面積 34,500㎡、地上 8 階建てで免震構造、屋上にヘリポートを有し救急医療や災害時の
拠点病院を担うように設計されています。また中庭やライトコートからの自然光の活用、地下の免震空
間を利用し外気の温熱環境を緩和するなど、エネルギー資源の消費を抑え環境に配慮した建物となって
おります。また新病院には3つのコンセプトがあります。
「伝統を新しいかたちに」
これは九州労災病院が本国で最初にできた労
災病院でリハビリテーションも 60 年を超える
歴史があり新病院でもリハビリテーション施設
は光を多く取り入れた広大な空間というイメー
ジを継承しています。
「自然と人優しさをかたちに」
これは緑豊かな自然環境に恵まれた場所に立
地することより外壁はアースカラー(地球・大
地)である蜂蜜色のタイルを使用しています。
−74 −
「小倉らしさをかたちに」
これは小倉らしさを出すために、古くから小
倉に受け継がれてきた縦縞模様が特徴の「小倉
織」を病棟や外来の壁画などに多く使用してい
ます。
この明るい環境のもと産婦人科の再開や高エネルギー放射線発生装置(リニアック)をはじめ最新
の医療機器の導入など医療体制も充実しました。循環器分野では最新式のフラットパネルバイプレーン
血管造影装置の導入や心エコー装置の増設、心血管造影や血管内エコー、心エコーの動画を 1 元管理し、
カテ室以外でも外来や病棟、説明室、カンファレンス室などで閲覧できるネットワークシステムを構築
し効率良く仕事ができるようになりました。また循環器内科も人が増え、黒田智寛、竹政啓子、久原孝
博、永田泰史、尾上武志の常勤 5 人と今までどおり週 1 回不整脈外来やカテーテルアブレーション、植
込み型ループレコーダーなど指導していただいている安部治彦先生、新しく週 2 日検診と週 1 日心カテ
や心エコー、経食道エコーなど手伝っていただいている柴田清子先生も加わりスタッフも充実しまし
た。新病院になり紹介患者や救急患者が増加し症例数も増加してきております。今後も地域医療のため
みんなで力あわせて九州労災病院をもっと良い病院にしていく所存です。新病院になってまだ 1 年、今
後病院の発展には皆様のご協力とご支援が不可欠ですのでよろしくお願い申し上げます。
−75 −
独立行政法人労働者健康福祉機構 九州労災病院
門司メディカルセンター(北九州市門司区)
循
環
器
内
科
小
出
真一郎
早いもので門司メディカルセンターに赴任し 3 年目の春を迎えました。当院
は門司港レトロ地区に近接しており、週末は各種イベントで賑わっています。当
院の病床数は 2011 年 5 月に増床があり 240 床になりました。診療科は、一般内科、
循環器内科、血液内科、消化器内科、糖尿病内分泌代謝内科、リウマチ・膠原病
内科、腎臓内科、外科、整形外科、泌尿器科、脳神経外科、皮膚科、眼科、麻酔
科、放射線科、歯科、健康診断部となっており、神経内科、呼吸器内科、リハビリテーション科、形成
外科、メンタルヘルス科は非常勤医師で外来のみ対応しています。
2011 年度の循環器内科は 6 月に木村聡先生が、9 月に高原和雄先生が退職され、元々の内科医師数
の減少もあり、業務過多の現状ではありましたが心カテ 232 例(うち PCI 77 例)、ペースメーカ 24 例、
下肢 PTA 3 例でした。門司区は、地理的に閉塞しており、地域住民も減少、かつ 200 床以上の病院が
5 病院あるという病院密度の高い地域です。特に 2008 年に急性期病院の近隣への移転があり、2008 年
度は心カテ 220 例(うち PCI 78 例)、ペースメーカ 25 例、下肢 PTA 4 例でしたが、2009 年度の心カ
テ 183 例(うち PCI 63 例)、ペースメーカ 24 例、下肢 PTA 3 例、2010 年度は心カテ 189 例(うち
PCI 61 例)
、ペースメーカ 16 例、下肢 PTA 2 例と減少傾向にありました。2011 年度は前述のように
症例数を元に戻せました。
一般内科としての業務が多いのも当院の特徴ではありますが、専門性を発揮できる場を拡げていこ
うと考えている、との高津主任部長のお言葉で
す。
2012 年度は高津博行、五十嵐友紀、小出真
一郎の 3 人体制で外来、心エコー、冠動脈造影
CT、心カテ、ペースメーカ植込み等を、産業
医科大学若松病院長井善孝先生、産業医科大学
病院大江学治先生にお手伝いしていただきなが
ら行っていくことになっています。又、2011
年度をもって中島康秀院長が退職されました
が、2012 年度も外来をしていただけることに
なり引き続きご指導をいただいております。
最後に、当地区の特徴として開業医の先生
方との密接なつながりがあり、症例のご紹介以
外にも症例検討会を行う等催し事が定期的にあ
り、これらを通じてわれわれを育てて頂いてお
ります。近隣の先生方には、引き続きご指導ご
鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。
−76 −
独立行政法人労働者健康福祉機構
循
環
器
熊本労災病院(熊本県八代市)
内
科
川
上
和
伸
熊本労災病院は、熊本県第二の都市である八代市に位置し、平成 23 年 3 月
に全線開通しました九州新幹線の新八代駅から車で 3 分とすぐ近くにあります。
八代地域は、い草の産地として全国的に有名で、新幹線を降りるとのどかな田
園風景が広がっており、それを実感できます。一方で数々の企業の工場が設置
されている工業都市でもあります。
熊本労災病院は、労災医療を中心とする政策医療を担う病院として設置され、昭和 29 年2月より
診療を開始しました。現在では熊本県南地域における中核病院の1つとして救急医療をはじめとする地
域の高度専門医療を担っています。熊本県南全域、また鹿児島県北部の出水市等からも患者を受けて入
れています。現在新病棟増改築中で、平成 25 年 1 月に新棟オープン予定です。
循環器科は平成 14 年に内科より独立し、ベッド数 25 床を担当しています。循環器科部長の松村先
生と第二循環器科部長の土井先生を中心に、副部長の阿部先生、熊大から派遣されている田畑先生と私
の 5 名で、
日々診療に励んでいます。平成 23 年度は PCI 217 例、EVT 142 例、PMI 79 例、ICD/CRT(D)
9 例、
アブレーション 7 例でした。 当院は日本循環器学会循環器研修施設、日本心血管インターベンショ
ン学会認定研修施設であり、虚血性心疾患診療に力を注いでいます。また土井先生を中心として積極的
に下肢・腎動脈等末梢血管インターベンションに取り組んでおり、症例数は年々増加しています。
新幹線開通してからは、折尾から 2 時間弱、博多から 51 分で八代に来れるようになり、大変近く
なりました。お近くにお越しの際にはぜひお立ち寄り下さい。今後ともご指導ご鞭撻のほど何卒よろし
くお願い申し上げます。
−77 −
北九州市立八幡病院(北九州市八幡東区)
循
環
器
科
田
中
正
哉
2012 年 1 月より、尾辻先生のご指導のもと北九州市立八幡病院に勤務して
おります。八幡病院は、救命救急センターを要した北九州市及び近郊 120 万人を
対象とした中核施設です。私が大学在籍時代に大変お世話になった太㟢博美先生
が副院長としてご活躍されていることは、同門の先生方はご承知のことと思いま
す。循環器科は、総勢 6 人で私を含め医局派遣の 5 人が所属しております。現在
大学で活躍されている津田有輝先生をはじめ、当院で研鑽を積み原田主任部長に循環器の手ほどきを受
けた若手の医局員は毎年輩出されており、今後医局の中で八幡 OB は一大勢力となりそうです。今年も
4 年目の高橋正雄先生
3 年目の屏壮史先生が当科スタッフに新しく名を連ねて頑張っています。
当院の人的支援はまだまだ不足しており、救命救急センターの激務をこなしながらの循環器臨床は
大変ですが、太㟢先生と原田先生のご尽力で心カテから心リハまで機能的には大学に勝るとも劣らない
も の を 有 し て い ま す(2011 年
PCI 180 例
PTRA 17 例)。特に原田先生の腎動脈エコー
及び PTRA の実績は広く認知されているとこ
ろです。
救命救急センターでは循環器救急疾患はも
ちろんのこと多岐にわたる症例が豊富です。心
肺停止の救急搬送数は市内では突出しており、
心原性心肺停止の救命率は約 50%、そのうち
半分は社会復帰と優秀な診療実績を誇ります。
興味のある若手の先生方は是非一度見学にい
らっしゃってください。
腎動脈ポーズ
ドクターカー前に勢揃い
−78 −
鞍手町立病院(福岡県鞍手郡)
腎 臓 内 科・透 析 科
長谷川
恵
美
新緑の候、皆様にはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。鞍手町立
病院腎臓内科・透析科の長谷川恵美です。今年の 4 月で、当院に来て早くも二年
目の春を迎えました。
鞍手町立病院は規模としてはそこまで大きな病院ではありませんが、常勤医
11 名+非常勤の先生方の協力の下、日々診療に取り組んでいます。現在は月~
土曜日までの維持透析(約 60 名)に加え、月・水曜日・第一土曜日午前の外来、水曜日午後の外来 /
急患当番を担当させていただいています。腎臓内科外来・透析外来はおかげさまで順調に患者数が増え
ています(地域の開業医の先生方、大学病院の先生方、ご紹介ありがとうございます)。また、ブラッ
ドアクセス造設の際は大学病院腎臓内科椛島先生・宮本先生に当院に手術に来ていただくことも多く、
大学病院と連携をとりながら(ほとんど一方的に私が甘えてしまっているだけですが……)診療を行っ
ています。
また、当院には上記のとおり内科(循環器科・脳神経内科・消化器内科・呼吸器内科)・外科・整
形外科、計 11 名の常勤の先生方がおられますが、ほとんどが産業医科大学出身であり、いつもわから
ないことを大変丁寧に指導していただいています。
さて、今年度の当科としての新しい取り組みは、腹膜透析外来を始めたことです。当院は今まで保
存期腎不全及び外来維持透析は行っておりましたが、腹膜透析外来はありませんでした。そのため、当
院で腹膜透析の適応と判断された症例は大学病院に御紹介し、以後の月 1 回の定期受診・処方なども全
てお願いをしていました。しかし、鞍手地区は非常に交通の便が悪く、駅から病院までのバスも一時間
に数えるほどしか走っていません。当院に通院するのも電車やバスをのりついでやっとの方が多く、自
家用車などの交通手段のない患者様にとって遠方の病院への通院は非常に大変であり、負担となってい
ると思われます。また、今年度はたまたま何人か当院から産業医科大学病院に腹膜透析患者様をご紹介
させていただいたこともあり、大学病院の方々にバックアップをしていただきながら腹膜透析外来を開
設させていただくこととなりました。そ
の節は産業医科大学病院腎臓内科の先生
方・透析室の看護師さんを始め、当院内
科外来の看護師さんにも様々な配慮をし
ていただき、この場を借りて厚く御礼を
申し上げます。
まだまだ未熟な私ではありますが、
今後も地域の皆様に貢献できるよう努力
していきますので、これからも変わらぬ
ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上
げます。
−79 −
社会保険筑豊病院(福岡県直方市)
循
環
器
科
平
川
晴
久
社会保険筑豊病院は、直方市にあるベッド数 156 床、常勤医 16 名、総職員
250 名の病院です。本来、当院は炭鉱医療施設の 1 つとして開設されました。戦
後の日本復興のため、国策の 1 つとして石炭の増産対策が進められましたが、そ
れと並行して、医療に恵まれない多くの中小炭鉱の従業員およびその家族の福利
厚生と環境改善をめざし、全国に炭鉱医療施設が開設されました。福岡県におい
ては、石炭産業で隆盛を極めた筑豊地区で、この計画が進められ、昭和 25 年 6 月に 2 病院、3 診療所
が開設され、その運営機関として昭和 26 年 8 月に当院の運営母体である財団法人福岡県社会保険医療
協会が設立されました。社会保険筑豊病院は、昭和 27 年 8 月に開設されております。循環器センター
は直鞍地区唯一の心血管造影施設として平成 11 年 6 月に開設されました。今日に至るまで直方市には
市立病院がなく、当院の開設から今日まで、実質的な中核病院として地域医療に貢献してきました。し
かし開設から 60 年が経ち、近年では病院の老朽化が著しく、数年前より直方駅前再開発の目玉として、
筑豊病院の駅前移転の準備が進められてきました。新病院は 3 月末に着工されましたが、8 月 1 日より
社会保険直方病院と病院名を改め開院します。病院の移転に伴い常勤医も増え、昨年まで常勤医は循環
器科 2 名、内科 5 名、外科 3 名、麻酔科 1 名、透析外科 1 名、耳鼻科 1 名の 13 名でしたが、4 月から
整形外科 1 名、泌尿器科 1 名、内科 1 名が増員となり、16 名となりました。新病院では、新しいバイ
プレーンアンギオ装置、ポリグラフ、動画ネットワークシステムと同時に、CT および MR も導入され
ます。現在の循環器科の常勤医は私と 2012 年 4 月より赴任した谷口一成先生の 2 名です。非常勤医師
として五十住和彦先生、園田信成先生、荻ノ沢泰司先生、大江学治先生そして川波潔先生に協力しても
らっています。当院では心臓カテーテル検査、冠動脈インターベンション、末梢動脈インターベンショ
ン、腎動脈形成術、心臓電気生理学的検査、心臓ペースメーカー植込みを行っております。比較的小さ
な病院ですが、それ故にスタッフ間のコミュニケーションが取りやすく、働きやすい病院です。直方・
鞍手地区において心臓カテーテル検査や各種インターベンション、心臓電気生理学的検査のできる施設
は当院のみです。新病院は直方駅前で交通
の便も良くなり、冠動脈 CT 検査も可能と
なることから、今後さらなる発展が期待さ
れます。現在循環器の常勤医は 2 名ですが、
今後も診療実績を伸ばし、名実ともに社会
保険直方病院の中核をになう診療科にして
いきたいと思っておりますので、今後とも
ご指導、ご協力をお願いいたします。
−80 −
萩原中央病院(北九州市八幡西区)
循環器・心臓内科
三
浦
靖
史
第 2 内科の同門の皆さん、いつも大変お世話になっております。あっという
間の一年ぶりの御挨拶です。昨年の今頃は東日本大震災、福島原発事故などとて
つもない事件でしたが、昨今のテレビニュースをみていても未だに同じような話
がでているようで対応の遅さのあらわれでしょうか。
我々、萩原中央病院の面々は久留米大学より派遣された若い医師の数も増え
元気にやっております。ひびき循環器症例検討会等にも久留米大学の若い先生に発表していただき助け
てもらっています。
日常の診療面では、心カテ件数も増え若い先生方には毎日沢山心カテをしてもらっています。恒例
の当院での診療実績をまず報告させていただきます。2011 年度の心カテ件数は、冠動脈造影検査(CAG)
の総数が 561(500)件、冠動脈インターベンション(PCI)の件数が 184(186)件でした(カッコ内
は 2010 年度)。冠動脈MDCTにまわる件数が増え、心カテ件数自体は横ばいといったところです。
PCI は初期成功率が 89.2%、再狭窄率は POBA のみの場合 12.6%、BMS では 7.6%、DES では 2.1%です。
年々、患者さんは変わらないのに PCI が難しくなっている印象が強くあります。高齢で糖尿病合併の
高度石灰化病変、高度屈曲病変、びまん性の患者さんが増えております。また、経皮的腎血管形成術
(PTRA)が 19(32)例。経皮的四肢血管形成術(PTA)が 38(38)例でした。アブレーションは 9(16)
例でした。また、ペースメーカー植え込み術は 51(44)例ありました。
昨年以来続いております萩原中央病院ゴルフクラブも相変わらずです。あまり練習熱心でないのか
以前お話したベスパ大栄での「蛍の光ゴルフクラブ」はほとんど最近は開催されず、その代りに毎週水
曜日に瀬板の森ゴルフクラブではハーフラウンドを楽しんでおります。とはいってもこれを休むと瀬川
先生におこられ、2 回休むと退部だそうです。
結構忙しくて大変なところもありますが、スタッフは患者さんのためになればと思って働いている
いい病院と考えております。また、スタッフの高齢化に伴い私など老眼がすすんで細かい作業が大変で
す。ですから特に心カテがしたいと思っている若い先生が来ていただけますと沢山心カテできると思い
ますし、とてもありがたいです。その気があれば一声かけていただけますと幸いです。
−81 −
田川市立病院(福岡県田川市)
循
環
器
内
水
奥
城
田
科
恒
治
隆(写真:左)
人(写真:右 小波瀬病院に転勤)
当院循環器内科に H.17 年 1 月から勤務頂いてお
りました奥田治人先生が H.24 年 3 月をもちまして退
職されました。4 月からは小波瀬病院循環器内科部長
となられております。
そもそも奥田先生の転勤につきましては H.24 年
度後期には私自身が当院を退職することによります。
今年、50 の齢を迎える自身の体力面での限界を感じ
てしまいました。当院に赴任してから丸 11 年が経過
しておりますが、これまで報告して参りました地域病
院の医師不足を考えるに心苦しいばかりですが、次世
代の若い循環器医師の力を貸して頂きたいと感じました。
H.23 年春には自らの意向を齋藤貴生先生(田川市病院事業管理者)にお伝えし、H.24 年度以降の
当院循環器医療の継続 ・ 充実をお願いしておりました。H.24 年 4 月より九州大学循環器内科に外来診
療の一部をお願いしております。また、5 月より産業医科大学第 2 内科からも“地域・へき地医療支援”
として鈴木義之先生の勤務(月曜 ・ 水曜)が可能となりました。月曜には外来診療を、水曜には心エ
コー・心カテ等を施行頂いております。鈴木先生の派遣につきましては尾辻教授・竹内准教授に大変感
謝致しております。
常勤循環器医師についてですが、心カテ・PCI・PMI 等の侵襲的検査および治療を継続していくに
は最低 2 人体制が必要と考えられます。H.24 年 4 月に、昨年当院で PCI を手伝って頂いておりました
平井敬佑先生(自治医大・H.18 年度卒)の赴任がありました。先生は循環器内科専攻を希望しており、
卒業後から飯塚病院や飯塚市立病院で循環器内科の研鑽を積まれており、知識・技術に優れた若手医師
であります。人格的にもさることながらパワフルであり、最近では週 10 例ほどの心カテ数となってお
ります。現在、今後の当院循環器医療を支えてくれる常勤医師の更なる確保を地道に模索している状況
です。
さて、病院全体の体制としましては H.24 年 4 月より新病院長として九州大学第 2 外科より鴻江俊
治先生が赴任されました。同門であられる病院事業管理者・齋藤貴生先生とタッグを組まれ、当院の再
建 ・ 発展に御尽力頂いております。今後の医師数確保を初めとする臨床面、さらには経営面での多様な
問題点の解決にあたって頂けるものと考えます。
退職予定の自分の立場としましては申し上げにくいところですが、田川市郡での地域医療の維持ひ
いては病院存続のためには循環器内科医師が更に数名必要な状況と考えます。尾辻教授をはじめ医局の
先生方のご配慮・ご検討の程何卒宜しくお願い致します。
また、同門の先生方、今後ともご指導 ・ ご鞭撻の程何卒宜しくお願い致します。
−82 −
町立芦屋中央病院(福岡県遠賀郡芦屋町)
腎
臓
内
科
宮
﨑
三枝子
平成 22 年から芦屋中央病院へ赴任し 2 年が経過しました。最近の芦屋町は、
町が建てた施設を事業者に賃貸する公設民営方式のスーパー「はまゆう」が開店
しちょっとしたニュースになっています。買い物弱者の弁を図るとともに町中心
部のにぎわいも取り戻せるよう期待が高まっています。
町立芦屋中央病院では、昨年 12 月循環器内科の田中正哉先生が市立八幡病
院へご移動となり循環器医の不在が続いていました。しかし今年 4 月、循環器外来には、荒木先生、舩
津先生、午後の心臓リハビリテーションには、荒木先生、桑木先生、舩津先生、心エコーには尾辻教授、
竹内准教授、春木先生に来ていただいております。
芦屋中央病院内での腎内科常勤医師は私一人です。維持透析患者 58︲59 名の管理と腎疾患外来およ
び一般内科を診療しています。平成 23 年度当院での新規透析導入者 9 件、シャント PTA 32 件です。
維持透析患者の産業医科大学病院への転院は、循環器科へ 10 件、腎内科へ 8 件、その他の診療科へ 4
件と大変お世話になっております。さらに週 1 日(土曜日)腎臓内科の先生方が当院腎センターへお手
伝いに来ていただき大変助かっております。
この様に同門の先生方に日々支えていただいていることに大変感謝いたします。当院スタッフとと
もに安全で信頼される医療が提供できるよう取り組んでいく所存ですので、今後ともご指導・ご鞭撻を
賜りますようよろしくお願い申し上げます。
−83 −