冷湿布と温湿布

お薬通信
NO.3
打撲や捻挫、腰痛など様々な理由から湿布薬を処方されている方も多いと思います。
皆様に処方される「湿布薬」には大きく分けて冷湿布と温湿布があります。どちらにも
局所の鎮痛作用はありますが、今回はそれぞれの特徴についてお話したいと思います。
におい
1 日の
貼付回数
ハッカ臭
2回
わずかに
特異なにおい
2回
ロキソニンパップ
ミントのにおい
1回
ヤクバン 20
ほのかな
ハッカ臭
2回
ほのかな
ハッカ臭
2回
ハッカ臭
1~2 回
ハッカ臭
(微香性)
2回
当院採用薬
タイプ
使用感
アドフィードパップ
アスゼスパップ
フェルビナク P
パップ
剤
プラス
ター剤
冷
―
MS 温シップ
フェルナビオン
パップ
剤
温
用途
患部に熱感や腫れを伴
うような急性期の炎症
や、強い炎症に使用
局所の血流を増加させ
る成分が含有されてい
る。肩こりや腰痛など
の慢性的な症状に使用
パップ剤・・・・・多量の水分を含み、気化する際に熱を奪うことで貼付部を冷やす
作用があります。長時間貼っていると水分が減少し堅くなります
が、その時間は湿度や炎症部の温度などによって異なります。硬
くなった時点での交換が理想的です。
プラスター製剤・・水分を含まないため粘着力が強く、剥がれ易い部位に適していま
す。毛深い部分には不適です。
★副作用は?全身の副作用はでるの?
最も多い副作用は「局所の発赤・皮膚のヒリヒリ感、かゆみ・かぶれ」などです。
湿布薬の成分は皮膚から吸収されて、筋肉や関節の近くまで達し、痛みの局所で作用し
ます。
~同じ鎮痛成分を同量、経口投与した場合と貼付した場合の比較~
経口投与した場合と比較すると、貼付時の筋肉内濃度はほぼ同じですが、血中濃度は
経口投与時の 1/10 以下となります。
(参考文献:アドフィード医薬品インタビューフォーム)
<貼付剤、内服剤投与時の組織内濃度(6 時間値)>
全身の副作用が発現することは非常にまれですが、血中への移行量がゼロではないた
め使いすぎは要注意です。湿布薬1枚中の鎮痛成分の含有量は、同成分を含む錠剤1錠
と同じ場合が多いようです。
特にアスピリン喘息のある方では、非ステロイド性抗炎症薬(当院採用の湿布薬に含
有)の作用により喘息発作を誘発したという報告も数例あります。
※アスピリン喘息のある方は使用前に医師にご相談下さい。
★湿布薬を貼る時の注意点
※ 湿布薬を貼った後は、入浴の 30 分~1 時間位前に剥がして下さい。
入浴による温度上昇により、皮膚に残った薬剤の吸収が促進され痛みや刺激を感じ
ることがあります。
上尾中央総合病院 医薬品情報室(文責)
TEL 048-773-1219(直通)
作成日:平成 20 年 8 月 23 日