安い汚いタバコ

1 初めに
1.1 タイ東北イサーン語とは...?
タイ人が理解出来ないにも関わらずタイ語の方言と呼ばれ、ラオス人は難なく理解出来るのにラオス語とは無関係とされる言語、通
称 『タイ語の東北弁』イサーン語。
この文章の最終目標は、これまで誰も論ずることが無かったこのイサーン文化の隠された世界の扉を開くことである。イサーン文化を
自由に歩き回る為に必要な情報を可能な限り網羅する。
イサーン語とはタイの東北地方で主に話されているひとつの言語である。イサーン語は一般的にはタイ語の方言であると考えられて
いるが、このふたつの言葉の間には方言という一言では到底収まらない複雑な違いが存在する。一方、イサーン語はラオスで話されて
いるラオ語ととても似ており頻出単語はほぼ全て共通である。イサーン語は、いわばタイ語とラオ語のハイブリッド言語である。
イサーン語は学習自体が難しい。 何故か。 イサーン語について解説している本が1冊も存在しないからだ。また、イサーン人はイ
サーン人以外の人にイサーン語を話したがらない事もあるだろう。その上、言語自体に非常に複雑な背景があり、事情を知らない部
外者に理解困難な要素が多い。
イサーン語学習の困難を具体的に観察していくと、イサーン語を理解する為にはタイ語とラオ語の二つの言語両方に精通している必
要があることに気がつく。この二つの言語の学習に当たって、タイ語の学習に関してはさほど大きな問題は無いだろう。タイ語は教
材が入手しやすく、良質な文法書や辞書が多く出版されているからだ。一方、ラオ語の学習は困難である。ラオ語は、入手可能な教
材・辞書・文法書が限られており、質も悪い。
ラオ語を学ぶ一つの方法は、非常に近い言語であるタイ語を最初に学んでしまう事だ。学習が容易なタイ語の方から最初に学び、ラ
オ語との違いを後から学習することで、ラオ語が話せる様になる筈である。しかしこの方法には更なる困難が伴う。 残念なことにタ
イ語とラオ語の違いが書いてある本がどこにもないのだ。 しかも、この二つの言語は、違いをきちんと区別する事がとても非常に難し
い。ネイティブですら 「タイ語が話せるようになるとラオ語が話せなくなる、ラオ語が話せるようになるとタイ語が話せなくなる」と言
わしめる程である。 外国人が第二言語として学ぶ場合は尚更である。
イサーン語を学ぶということは、このラオ語・タイ語という二つの言語の違いを学ぶということと等しい。 しかし、これまで、ラオ語・
タイ語の違いを明らかにする文章は存在し無かった。 この文章はそのひとつの試みである。
1.2 要約
ラオ語(あるいはタイ語)のイサーン方言を学ぶ方法を説明する。イサーン語には標準が存在せず地域によって大きな違いが存在す
る。ここでイサーン語と言ったとき、特に断りが無い限りタイ国ウドンタニー県で使われている方言の事を指すこととする。タイ語と
ラオ語の様々な違いを明かにする。 タイ語とラオ語の音声、子音母音を説明し、声調の区分の違いを明かにする。そして、タイ語文
字及び、ラオ文字の正しい読み書き方法を説明する。タイ歌謡曲 VCD の字幕で利用されているラオ語のタイ表記=カラオケ文字の
正しい読み書きについて説明する また、新たなラオ語の亜型を研究する際の研究方法と研究方法の必要条項を明かにする。タイ語が
持っていないラオ語独特な表現について説明する。
1.3 この文章の対象読者について
この文章を理解する為には、イサーン文化についてある程度以上の知識が要求される。 以下のラオ度判定チェックリストを利用し
て 1 点以上の点数を挙げた者をこの文章の対象読者とする。
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ソムタムを注文する時、無表情で「辛目で」と注文する事が出来る。
ソムタムを注文する時「ウドンタニーでの辛め、砂糖抜きで」と必ず付け加える。
ソムタムを注文すると、黙っていてもソムタムプーパラが出てくる。
上記、タマホーではなくソムタムと書かれている事に違和感を感じる。
タマホーよりもむしろタムバクテンの方を好んで食べる。
パラはいい香りだと思う。
というかパラがないとご飯が食べられない。
上記パデッではなくパラと書かれていることに違和感を感じる。
ソムタムの事をタマフンと呼ばずに、逆順にタムソムと呼んでいる。
バッタの唐揚げを売店で買う時、スプレーソースはかけない。
メンキソーン・メンキノーン・メングチが好物である。
ナムプリックメンダーが好物である。
農作物別に肥料の配合比率を暗記している (30:50:30 等々)。
虫を効率よく捕獲する為に「虫取り紫外線ランプ」を所有している。
ラオの伝統音楽モーラムが好き。
お祭りの際はお寺に毛布とゴザを持って凍えながら朝までモーラムを見る。
コイキンタマホーは「濃い金玉砲」ではない。
イサーンヤキトリ屋台でヤキトリを買った際、その場で立ち食いしたほうが野菜が食べ放題になっていいと思う。
イサーンヤキトリ屋台においてある串の値段を全て暗記している。
イサーンヤキトリ屋台で一言もしゃべらずに買い物出来る。
イサーンヤキトリ屋台では串にごみがついてないかよく吟味して取る。
イサーンヤキトリ屋台では黙ってやって来て黙って勝手にヤキトリを焼き、黙って勝手にカウニャオをバケツからとって食べ、
黙って勝手に水を汲んで飲み、黙って勝手にお金を払って帰る。
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イサーンヤキトリ屋台で立ち食いした後、忘れてお金を払わずに帰ったことがある。
イサーンヤキトリ屋台で食事をした後、脇にさりげなく置いてあるポリタンクの水を飲んでから去る。
自分もイサーンヤキトリ屋台を開業しようと思っている。
既に自分でイサーンヤキトリ屋台を開業している。
毎月1日・15日の午後2時になると何だかそわそわする。
※ フワイ =
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หวย = 闇宝くじの抽選日がある。
赤シャツデモに参加しないかと誘われたことがある。
ヤーセン(紙巻タバコ)手早く紙に巻いてくわえタバコでバイクにのることが出来る。
ヤーセンは二本作って一本は耳にさしてからバイクにのる。
タクシーでボッタくられる人が信じられない。
タクシーに無料で乗せてもらった事すらある。
VCD コメディー バクウェーが好き。
シアンイサーンの VCD は全部見たことがある。
クリスマスに「サンタがやってきた」を聞くと、何故かバクウェーを思い出す。
タイに来てもあまりタイ語を話したくない。
イサーン語も話せるけどあまり話したくない。
ニターンコムが好き。
ソイカウボーイに遊びに行くと、それとなく遠回しに追い返される。
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移動は主にイテックを利用している。
イテックも利用するが、移動はもっぱらイテンを利用する。
普段移動に水牛を利用しているので、イテックもイテンも利用しない。(追加得点+5点)
ラオカオに家で捕まえた生きたムカデをつけている。
電話に出ると思わずうっかり「いーにゃんこ?」と言ってしまう。
叱責するとき、つい「フワイ!」といってしまう。
信じてくれないと思わず「イリ〜で」と言ってしまう。
怒鳴ると「オァイ!」といってしまう。
怒ると「パァトォー!トォ!トォ!トォ!」と言ってしまう。
驚くと「パァテトーー!」と言ってしまう。
信じられない事があると「ハームンウーイ!」と言ってしまう。
更に信じられない事があると「ハーキンピーッポーッ」と言ってしまう。
人を呼び出すとき「イヨォゥ」と言ってしまう。
不服があると高い声で「ッアー」という。(ここで言う「ッ」は声門閉鎖音)
女性を見ると「ペンタスィーーテーーーーー」と言ってしまう。(末期症状につき慰問加算+5点)
マイチャイでもボメーンでもなく、ボサイといってしまう。
むかつくと思わず「バカニーめ!」といってしまう。
男の子供を呼ぶとき「ハムノイハムノイ」と呼ぶ。
あだ名はバクハムだけど、西洋人と話す時はベッカムと呼ばれている。
スィアレーオといわれると何が盗まれたのかと思う。
カオチャオはタイ語でカオスワイなので、カオニャオはタイ語でカオレーンである。
驚くと「ぱぁーーーーっ?!」と叫ぶ。
同意すると(アとエとウの中間音)あー! といってしまう
タイ・ラオ・イサーン文化が大好きである。
1.4 イサーン語を学ぶにあたって
この文章を読む方は恐らくタイに興味があってタイ語を勉強している方であろう。何故、イサーン語を勉強する必要があるのかをここ
で論じておく。タイ語を勉強しはじめた者が、しばらく経ちタイに慣れてきた頃、その時がやってくる。タイ滞在も多くなった。少しく
らい汚い屋台で食事しても熱や腹痛にうなされたりしなくなった。タイ語が上達して買い物ぐらいは困らなくなった。そんな頃にその
時がやってくる。 次のようなことが頭にこびり付いて一日中離れなくなるのである。
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何でタイ人はてきとうなのか。
何でタイ人はウソばかりつくのか。
何でタイ人は時間を守らないのか。
何でタイ人はすぐごまかすのか。
何でタイ人はものわかりがわるいのか。
何でタイ人は何も知らないのか。
何でタイ人のクセにタイ語がわからないのか。
何でタイ人はそんなにチャランポランなのか。
何でタイ人はすぐボッタクるのか。
何でタイ人はそんなに無責任なのか。
何で最終的に自分がぜんぶお金を払っているのか。
何でお前は家に帰るのに俺がお前の仕事をするのか。
何で俺が恋人のはずなのに別に恋人がいるのか。
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何でダンナは家で遊んでるのに妻のアタシが外で働くのか。
そんなとき多くのタイ語学習者は
「タイ人はバカだから仕方がない」と考えるであろう。しかし果たして本当にタイ人はバカなのであろ
うか。しばし周りを見渡してみるとよい。タイ国内にはバカな筈のタイ人にいいように使われている、自分を賢いと考えている外国人
たちが無数に存在するであろう。読者は自分自身をそんな「賢い外国人」ではないと断言出来るであろうか。
恐らく読者の中にもいつのまにやらややこしい状況に追い込まれてしまった方も多いであろう。何故かいつの間にやらややこしいトラ
ブルに巻き込まれ、いつのまにやら自分が後片付けをしている。そんなややこしい状況から脱出したい、逃げ出したい、と思いつつも、
いつのまにやら逃げ出せなくなっている。
何故こういうことになるのであろうか。 それはまだ何か気がついていない事実がそこにあるということを示唆しているのではないか。
タイ文化についてひとつの真実が存在する。その真実は実はとてもシンプルである。誰にとっても理解は容易であり、理解にそんなに
賢い頭脳が必要なわけではない。この真実の理解には賢さとは違った難しさがある。それはプライドである。誰にでもプライドがある。
タイ文化を勉強しようとすると何故か何故かプライドが出てきて正しいタイ文化の真実を知ること妨害する。タイ文化を理解する
みちのりはいわば屈辱の道程とも言える。タイ人をバカだバカだと思っていたお前が実はいちばんのバカなのだ、と思い知らされる屈
辱の道程である。そんな苦い真実を見極める勇気を持つ必要があろう。
しかしこの真実を見極める事には十分な価値があるだろう。この事実を理解すると、文化を問わないコミュニケーションについての一
つの真実を知ることになろう。 先進国の社会文化が覆い隠してきた人間の真実を垣間見るであろう。 風の様にさわやかな生き方、
水のように形のない幸せに対する認識、人に相対するときの柔らかな立ち方を知るであろう。
それについて考えることは、価値がある。
◇
この真実を知るひとつの方法は、
「タイにタイ人など存在しない」という極めて直感と反する事実を見つめることからはじまりまるので
はないか、と筆者は考える。 タイに住むからタイ人である、というのはひとつの大きな錯覚である。もしも読者が日本人であれば、そ
んなことがあるわけがない、と考えるであろう。日本に住んでいるから日本人、だからタイに住んでればタイ人と決まっているだろう、
と思われるであろう。 しかしそれは事実ではない。
日本は海に囲まれた国であるという点で極めて特殊な国である。日本は来訪が極めて難しい国の一つである。日本は、古来から「神
風」に守られると言われてきたが、これはある事実を言い当てている。日本に来る外国人は必ず船ないしは飛行機に乗って来るからで
ある。多くの日本国外の居住者にとって日本への旅費は決して安くない。日本にやってくる外国人は確実に日本人に管理される。
しかし日本以外の普通の国は決してこうはいかない。外国は陸続きであり、よって外人は、船や飛行機など使わずとも、徒歩でやって
くる。ありとあらゆる老若男女が、音楽・言語・食料・家電製品、武器、麻薬などを携えやってくる。良いこと悪いことが制御不可能
な形で続々とやってくる。 この様な国では日本の様にのんびりと暮らすことは不可能である。
多くの日本人はタイ人を見ると
「のんき」
「てきとう」というような感想を持つことが多いであろう。タイは気候が暖かくタイの住民は
衣食住についてとても楽観的だからである。しかし、多くのタイ人が日本人を
「のんき」
「てきとう」だと思っていることに日本人は思い
もよらないであろう。 それは、外国人への対処がとても楽観的だからである。 日本人は労働に対して厳しい半面、外国文化への接し
方は、極めて楽観的である。タイ人から見れば、これは信じられない怠惰である。タイ人にとって、この怠惰はいわゆる
「のんき」
「てき
とう」
「チャランポラン」と言って過言でない。これは、日本が地形的に常に海によって保護されているからに他ならない。日本はこの
点で世界的に見て極めて特殊な国と言える。
だからこそ、日本人は外国人に対する対応が極めて楽観的なのである。日本人は、この日本の特殊性について意識することは極めて
大切であろう。
タイは日本と違い、周囲四方が外国と陸続きの国である。タイという国は、もともとそこに存在した4つ以上の別々な国がバンコクを
中心に合併する事で出来上がった国である。よって国内にはタイ民族以外にたくさんの民族が住んでいる。この民族の構成を正確
に把握することはもはや不可能であろう。 元々バンコクに住んでいた人に、中国の各地から華僑として渡ってきた様々な民族が混ざ
りあい、そこにラオ系、タイ系、カンボジア系、南部から北上してきたマレー系、他の大変な数の少数民族が便宜上タイというひとつ国
に住んでいる。それぞれの民族は、全く違った言葉を話し、全く違った料理を食べ、全く違った祭りをし、全く違った形の家に住む。
各民族間は決して仲がよいわけではない。彼らは自分の出身の民族を偽装し、他者が自分の文化を知らないことを利用し、相手を撹
乱し、駆け引きをしながら生活している。
多くの日本人は、タイに住む人はみな、タイ人であると信じていることであろう。しかしタイに居るタイ民族は、案外少数ではなかろう
か。タイの街角で見かけるタイ人は、多くはいわゆるタイ民族ではない。各民族間にははっきりした違いが存在する。みな自分の民族
と他の民族が異なることをはっきり認識しており、それを見抜いている。民族間の違いは決して少なくない。読者の多くはタイ人は
怠け者であると考えているであろうが、タイ人でも華僑の血を引く人たちは勤勉で経済力がある。 もし読者が「タイ人は怠け者であ
る」と考えるなら、自分が怠け者だと考えている民族が一体どの民族なのかを知る必要がある。もっとも、民族の出身に関する情報は
駆け引き上重要な要素なので、一般的に出身民族をあからさまにアピールすることはない。タイの住民にも見分けがつきにくい場合
もある。
この「タイ人の違い」を知ることから全ては始まる。
◇
イサーン人は、その様なタイに住む民族のひとつである。イサーン人こそが、恐らく読者が考える怠け者のタイ人の正体であろう。イ
サーン人こそがいわゆる「真心がこもる親切なタイ人」の正体でもあろう。(イサーン人以外のタイ人は気が短いものだ。)そして強
烈な酸味と辛味が特徴のタイ料理の正体は、イサーン人が食べるイサーン料理である。 イサーン人はタイの住民の中でもっとも人口
が多い民族でもある。 彼らは多くの場合、経済力を持たず、他の民族から「貧しい」と考えられている。
イサーン人はタイとは若干異なる文化圏に属している。イサーン人は普段「イサーン語」と呼ばれる言語を話し、普段タイ語を話さな
い。このイサーン語は、一般的にタイ語の方言だと考えられているが、文法・単語・表現方法などに大きな違いが存在する。 生まれ
たときからイサーン語を話すイサーン人は、タイ語はあまり得意でない事が多い。人によっては話せないことも少なくない。タイ国内
に住む人だからタイ人でありタイ語を話すのが当然であるという認識は改めるべきである。
多くの外国人は、タイ人だからタイ語で話しかけられればきっと喜ぶに違いないと考えるであろう。 しかし、この認識は浅はかと言わ
ざるを得ない。 多くの民族はタイ語以外の民族独自の言語を持ち普段タイ語を利用しない為、タイ語を話すのを面倒だと考えてい
る事が多い。つまり、タイ語で話しかけられても実はあまり喜んでいない。イサーン人と相対しているならば、イサーン語で話すべきで
あろう。しかし、イサーン語はタイ語の東北弁と考えられており、イサーン人にとって人前でイサーン語を話すことは大きな抵抗を感
じさせる事が多い。例えるなら、ファッショナブルな服飾店が立ち並ぶ南青山に行って
「吉幾三」のような話し方をしているようなもの
であろう。しかしこれはタイの東北地方(イサーン地方)では真逆の状況になる。 これは謂わば、青森に行って東京弁を話すような
面がある。東京人が青森に行くと、青森の人たちの多くの人は口では都会的で良いなどと評するものの、内心実は面倒だと思っている
のと同じである。イサーン地方でタイ語を話すと、多くの人は、内心煙たいと思っている。 そして、都会に住むイサーン人も、内心実は
タイ語を話すことに一抹の違和感を感じている。
そして最も知らなければいけない事実は、実は中央タイに住む半数以上のタイ人は、このイサーン人であるという事である。外国人が
タイに滞在する間に出会うタイ人に限って言えば、90%以上がイサーン人であると言っても過言では無い。彼らはタイ人と呼ばれ
ているにも関わらず、タイ語のネイティブ話者ではない。イサーン人にタイ語で話しかけても、丸で日本人同士が英語で話しているか
のように、実は通じていないのである。
これこそがイサーン語を学ぶ必要性である。
◇
しかし、イサーン語を勉強してみると、大変に難しいことであることを思い知らされる。イサーン語を解説した本はまったく存在しない。
イサーン語には文字無い為、全てを耳から学ぶ必要がある。 文字が無いので辞書も無い。 当然イサーン語の学校など存在しない。
しかし色々と調べてみると興味深いことに気がつく。イサーン語は、隣国のラオス語ととてもよく似ている。多くの単語が共通で、語
順や文法が共通である。イサーン人は多くの場合、ラオスに行っても何不自由なく話が出来る。加えて、イサーン語でイサーン語のこ
とをイサーン語とは呼ばない。人前では決して言わないが、イサーン語の事をイサーン人はラオ語と呼ぶ。 つまりイサーン語とはタイ
語の方言ではなく、ラオス語その物という事である。
イサーン語には学習する為のリソースがまったく存在せず、学習が極めて困難である。しかし、ラオス語を学ぶことによってイサーン
語が話せるようになる可能性がある。ラオス語には文字が存在する。少ないがラオス語について解説されている教科書が存在し、辞
書も存在し、外国人がラオス語を勉強できる学校も存在する。
しかし、果たしてラオス語を学び、ラオス語とイサーン語を比較してみると、イサーン語はラオス語と少なくない違いがあることに気づ
く。ラオス国内でイサーン語の事を
「ラオイサーン語」と呼ぶことがある。タイ国内でイサーン語はタイ語の方言である考えられている
一方、ラオス国内でもイサーン語は一つの方言と考えられている。
◇
イサーン地方で話されている言葉はラオス語(ラオ語)だけではない。 イサーン人という言葉はタイの東北地方=イサーン地方に
住む人たちという意味である。タイでの一般的な認識上、イサーン人と言った場合、往々にしてタイに住むラオ族の事を指す。しかし
イサーンに住む民族はラオ族だけでは無い。イサーン地方にはラオ族以外のたくさんの民族が住んでいる。ラオ族に加え、クメール・
†
スワイ・タイドゥン・クンドゥン・クンタイ・プータイ・タイノイ・タイヤイ等々 と呼ばれる人たちが住んでいる。イサーン人という
呼称自体、実態を持たない。
タイ国内でのラオ族の人口は、タイ族の人口よりも多いという説がある†2。これは特筆に値するであろう。 タイ語を上達したいと思
うなら、タイ語だけを勉強するだけでは不十分だという事がここからも言えるであろう。タイ語を学んで理解できる事は、飽くまでも
タイと言う国の建前である。それはいわば、表裏の差が激しいタイ人が作り出した、小さな仮想現実である。建前は現実とはるかにか
け離れている。タイという国の本質を理解する為には、タイの方言を含めて学ぶ必要がある。タイの方言の中でも最大の話者を持つ
のがこのイサーン語(ラオ語イサーン方言・あるいは・タイ語イサーン方言)である。
コストダウンの一環としてタイで工場を運営する人は多いであろう。タイでこの様な工場を展開している人であれば、自分が経営する
工場で働く多くの人が、実はラオ系住民である事にうっすらとは気がついているのではなかろうか。彼らは確かに国民的にはタイ人で
あるが、民族的にはタイ人ではない。 タイ人とは全く違った性格・習慣・文化を持っている。そしてタイ人よりも人口が多いのである。
タイでビジネスを展開する人にとって、彼らラオ族の文化を研究することは、ビジネスをスムーズに運営する上で極めて重要である。
ラオには多くの魅力的な文化が存在する。仏教に根付いた奥深い精神文化を背景に、ラオの民族音楽=モーラムや、過激なギャグが
売りの新喜劇、涙がほろりと出るような歌劇等々。これらの文化の根底にラオ語の音が脈々と流れている。ラオ語を学ぶのは一つの
精神修行の様である。
ラオ語を学ぶ人は限りなく少ない。 しかし、ラオ語を学ぶ事には意義がある。
†
これらの呼称は、タイでは一般的な呼び方であるが、往々にして蔑称でもある場合が多い。 実際にこれらの呼称を使うときは注意が必要である。
†2
タイの民族別人口比は公式に明らか似されていない。しかし地域別人口比より算出するとバンコク住民よりも東北住民の方が若干多い事が見て取れる。イサーン地方に住む人が全員ラオ族で
はないにせよ、これは興味深い事実である。 また東北部タイ人の人口に北部タイ人の人口を加えるとタイ全体で過半数を越える事も付記しておく。
2 目次
1 初めに........................................................................................................................................... 1
1.1 タイ東北イサーン語とは...?............................................................................................... 1
1.2 要約........................................................................................................................................ 1
1.3 この文章の対象読者について............................................................................................... 2
1.4 イサーン語を学ぶにあたって............................................................................................... 3
2 目次............................................................................................................................................... 7
3 第二言語の学び方....................................................................................................................... 11
3.1 耳を開く訓練....................................................................................................................... 11
3.1.1 耳コピ........................................................................................................................... 11
3.1.2 睡眠学習....................................................................................................................... 12
3.1.3 注意点........................................................................................................................... 12
3.2 理論の感覚化....................................................................................................................... 12
3.3 音楽との類似性について.................................................................................................... 13
4 タイ東北イサーン語とは........................................................................................................... 14
4.1 タイ語とは........................................................................................................................... 14
4.2 ラオ語とは........................................................................................................................... 14
4.3 タイ東北イサーン語とは.................................................................................................... 14
5 タイ東北イサーン語を学ぶ方法................................................................................................15
5.1 この文章を読む................................................................................................................... 15
5.2 タイ語を学ぶ....................................................................................................................... 15
5.3 ラオ語を学ぶ....................................................................................................................... 15
5.4 モーラムの VCD を見る....................................................................................................... 15
5.5 イサーン新喜劇を見る........................................................................................................ 16
5.5.1 โปงลางสะออน (
ポンランサオーン )..........................................................................16
5.5.2 เสียงอีสาน (シアンイサーン).......................................................................................16
5.5.3 นิ ทานก้อม (ニターンコーム).......................................................................................17
5.5.4 บักแว้
(バクウェー).................................................................................................... 17
5.6 イサーン関連メディアの入手方法.....................................................................................17
6 ラオ語教材の混乱に付いて........................................................................................................ 17
6.1 声調区分の混乱について.................................................................................................... 17
6.1.1 六声調区分................................................................................................................... 17
6.1.2 ニラット式七声調区分................................................................................................18
6.1.3 イサーン式九声調区分................................................................................................18
6.1.4 鈴木玲子式六声調区分................................................................................................18
6.1.5 タイ語の四声調区分と五声調区分..............................................................................19
7 タイ東北イサーン語の理論........................................................................................................ 19
7.1 声調に付いて....................................................................................................................... 20
7.1.1 イサーン語の声調........................................................................................................ 20
第〇声調........................................................................................................................... 20
第一声調........................................................................................................................... 20
第二声調........................................................................................................................... 20
第三声調........................................................................................................................... 20
第四声調........................................................................................................................... 20
第五声調........................................................................................................................... 20
第六声調........................................................................................................................... 21
第七声調........................................................................................................................... 21
第八声調........................................................................................................................... 21
7.1.2 タイ語の声調............................................................................................................... 21
タイ語 第〇声調 平声..................................................................................................... 21
タイ語 第一声調 低声..................................................................................................... 21
タイ語 第二声調 下声..................................................................................................... 21
タイ語 第〇声調 高声..................................................................................................... 21
タイ語 第〇声調 上声..................................................................................................... 22
7.2 タイ語の声調とラオ語の声調の違いについて..................................................................22
7.3 文法...................................................................................................................................... 22
7.3.1 語順について............................................................................................................... 22
7.3.2 時制について............................................................................................................... 22
7.4 文字について....................................................................................................................... 23
7.4.1 子音字について............................................................................................................ 23
7.4.1.1 ケース X – (ช
と ຊ)............................................................................................... 23
7.4.1.3 ケース Y (ญ /
ย / ຍ / ຢ)......................................................................................... 25
7.4.1.2 ケース R (ร と ຮ)................................................................................................... 24
7.4.1.4 ケース H
ห-นำา....................................................................................................... 26
7.4.1.5 ケース S
(ສ)..................................................................................................... 26
7.4.1.6 母音表記について................................................................................................. 26
7.4.2 母音字について............................................................................................................ 26
7.5 声調の決まり方................................................................................................................... 27
7.6 カラオケ文字の読み書き.................................................................................................... 28
7.7 イサーン声調の練習............................................................................................................ 30
7.8 ラオ語の声調ぶれについて................................................................................................31
7.8.1 低子音字+มนง............................................................................................................ 31
7.8.2 低子音字+第二声調記号(x້)........................................................................................31
7.8.3 イサーン方言の語尾変化.............................................................................................31
7.8.4 声調の変化について.................................................................................................... 32
7.8.4.1 イサーン語訛りの再現方法..................................................................................33
7.9 タイ語の辞書をラオ語の辞書として利用する方法...........................................................33
コラム・方言を学ぶ意義について...................................................................................34
コラム・タイ語とは.......................................................................................................... 35
7.10 イサーン語の独自性に付いて........................................................................................... 36
7.10.1 発音の変化 ................................................................................................................ 36
7.10.1.1 เอือ (wua)
の เอีย(ia) 化.......................................................................................36
7.10.1.2 子音の変化.......................................................................................................... 36
7.10.1.2.1 จ(c) の ก(k) への変化.............................................................................36
7.10.1.2.2 ................................................................................................................... 37
7.10.1.2.3 ท(TH)
の ค (KH) 化 .....................................................................................37
7.10.1.3 第三声調(中高)の第五声調(高低)化 ........................................................38
7.10.2 敬語の違いについて.................................................................................................. 38
7.10.3 語順変化・カムクラップ
คำากลับ について.............................................................39
7.11 ラオ語らしい表現について.............................................................................................. 39
7.11.1「サティーーーーー」............................................................................................... 39
7.11.2「テーーーーーーー」............................................................................................... 39
7.11.3「マピーーー」.......................................................................................................... 39
7.11.4「チャック!」.......................................................................................................... 40
7.11.5「ドゥ?」.................................................................................................................. 40
7.11.6「スムースムー」 ..................................................................................................... 40
7.11.7「ボメンネウデ」....................................................................................................... 41
7.11.8「パイ」 .................................................................................................................... 41
7.11.9「บาดมีด バットミート=ナイフで怪我をする」 ...................................................41
7.11.10「ハイニー」............................................................................................................ 42
7.11.11「トゥア」=なら..................................................................................................... 42
7.11.12「ムアチャオダイパイパテートラオ」...................................................................43
7.11.13 คืについて................................................................................................................. 43
7.11.14「マン」มัน ............................................................................................................. 44
7.11.15 業界トーク............................................................................................................... 45
7.11.16「ワサン」................................................................................................................ 45
7.11.17「トゥー」................................................................................................................ 46
7.11.18「パートーゥ/パテトーゥ」..................................................................................46
7.11.19「ハームンウーイ」.................................................................................................46
7.11.20「バニ」.................................................................................................................... 46
7.11.21「メーンボーー」=ホントかよ!..........................................................................46
7.11.22 เหมือนจะเหนื่ อย ≠ คือสิ่เหนื่ อย ...............................................................................46
7.11.23 語尾2 ..................................................................................................................... 47
7.11.24 ペンタ ..................................................................................................................... 47
7.11.25 サム・スム・パン・程度を表す言葉 ....................................................................48
7.11.26 匂い=キウ .............................................................................................................. 48
7.11.27 ケームカン .............................................................................................................. 48
7.11.28 カサン・ボサン ...................................................................................................... 48
7.11.29 テキー ..................................................................................................................... 48
7.11.30 バティーニ .............................................................................................................. 49
7.11.31 すぐ帰る .................................................................................................................. 49
7.11.32 声調記号を伴う促音節
とイサーン語について......................................................49
7.11.33 ラオ語らしい単語.................................................................................................... 50
7.11.34 だるまさんが転んだ ...............................................................................................51
7.11.35 その他....................................................................................................................... 53
7.11.35.1 人と人間は違う ...............................................................................................54
8 疑問点......................................................................................................................................... 54
9 参考文献...................................................................................................................................... 54
10 付録........................................................................................................................................... 55
ラオタイ・子音字対応表.......................................................................................................... 56
ラオタイ・母音字対応表.......................................................................................................... 57
ラオ語 母音一覧表.................................................................................................................... 58
3 第二言語の学び方
本屋の語学関連書コーナーに行くと、様々な言語の本が売られているが、ほとんどの本に必ず同じ事柄が書いてあるのではないだろう
か。多くの本にて、その同じ事柄を説明するだけのために大変な量のページを割いている。その事柄とは、語学を学ぶための心構えの
ことである。 ドイツ語を学ぶ為にはこうすべきである、フランス語を勉強する為にはどうするべきである、等々書かれているが、実はこ
れら言語を学ぶ為の方法論は言語によらず共通ではないだろうか。
言語によらず
「新しい言語を学ぶ」という技術が存在する。極論すれば、この技術を学ぶ事自体が言語を学ぶという行為の本質である。
言語に関する知識を学ぶ事自体は、実はさほど重要ではない。何故ならば、器さえ完成すれば、そこに水を満たすことは容易だからで
ある。水が満ちるまでは時間の問題でしかない。もしも器に穴があればいくら時間をかけてもそこに水は満ちることはない。水を溜め
る事の本質は器を作ることである。水を入れる事ではない。
具体的な言語の説明に入る前に理論と感覚の関係について述べたいと思う。
3.1 耳を開く訓練
聴くという行為は、新しい言語を獲得する上で最も大切である。極言すれば、聴くだけで新しい言語を獲得することが可能である。
当たらしい言語を獲得する上で、聴くこと以外の全ての行為は、必ずしも必要なことではない。
しかし人間は、ある一定の年齢に達すると、自分の知らない音色に対する感受性を失う。新しい音色が耳に入ってきても、人間の脳は
新しい音をありのままに聴くことを怠け、飽くまでも自分の知っている音色のひとつとして認知しようとする。ここでこの現象のこと
を、ここでは「耳が閉じる」と呼ぶ。
耳が閉じた状態では新しい語学を獲得する事は不可能である。新しい言語を獲得する訓練のほとんどは、意識的にせよ、無意識的に
せよ、この耳を開く訓練に当てられている。これは、学習する言語によらないひとつの事実である。
年齢が一定以上になってから強制的に耳を開く方法はいくつか存在する。 以下でその方法について述べる。
3.1.1
耳コピ
耳を強制的に開く方法の一つは、耳から入ってくる音をそのまま発音する訓練である。これは声帯模写の訓練と同じである。IC レ
コーダー等を利用して獲得したい言語が話されている音楽・映画・ドラマ等を再生し、耳から入る音をそのまま口真似する。この自
分の発する口真似の音が、レコーダーから出る音と重なって聞こえなくなるまで繰り返す。この訓練を、語学学習をしている間、常に
行うべきである。この訓練をここでは「耳コピ」と呼ぶこととする。
耳コピは、最初恐ろしく大きな苦痛を伴う。聞こえない箇所がはっきり聞こえるようになるまで何度も聴く事が肝要で、何百回・何
千回と同じ箇所を繰り返し聴く作業の繰り返しとなる。これは、高い集中力と長い時間がかかる作業である。とても苦痛な作業と言
える。この訓練を続けると徐々に耳が開いてくる。耳が開き始めると、新しい音を聴くことは、苦痛というよりもむしろ心地良い楽し
い事と感じられる様になる。 楽しいことと感じられるまで続けることが肝要である。
この耳コピの耳が開くまでの苦痛は、コンピューター技術を使うことである程度和らげることが出来る。筆者は1998年ごろから
ミュージックアナライザというソフトを開発しフリーウェアとして無料で配布している。このソフトは、早戻し先送り・一定区間の自
動繰り返し再生・音程の変化しないスロー再生・等々の耳コピのための操作に特化した音楽再生ソフトである。 このソフトは、耳を
開く為の訓練を効率よく行うための統合環境ソフトのひとつである。
ミュージックアナライザが公開された1998年頃、この様な操作を行うことが出来る音楽再生ソフトは極めて限られていたが、近年
では数多くの高性能な音楽再生ソフトが開発され、2010年現在では、ミュージックアナライザの様なきめ細かな再生操作を行う
ことが出来るソフトは珍しくなくなった。 例えば、VLC プレーヤーは、スロー再生機能や繰り返し再生機能を持っているソフトのひ
とつである。このソフトはオープンソースとして公開されており誰でも無料で利用することが出来る。このソフトは、耳を開く訓練を
行うためにも極めて有効である。
3.1.2
睡眠学習
睡眠学習は非常に効果的である。苦痛も少なく寝ている時間をそのまま学習に当てることが出来る上、忙しくて時間が無い人にも有
効な方法である。方法は簡単で、映画や歌、語学教材の CD 等の音声素材を寝ている間中、繰り返し再生しにしておく事である。睡
眠学習をした音声素材を耳コピすると、睡眠学習をしなかった素材よりもずっと早く耳コピの作業がずっと早く完了する。
3.1.3
注意点
耳コピ・睡眠学習の音声素材は慎重に選択すべきである。素材の理解の容易さ、音質のよさなどよりも、自分が興味を持ち続けるこ
とが出来ることを最重要に念頭に置いて選択すべきである。こうして耳コピした音声は無意識の中に複写され自分の人格の一部と
して定着する。自分のキャラクターとして受け入れても構わないと思えるほどに気に入っている素材を選ばなければならない。
また、しばしば睡眠学習と称して夜間寝ている間中テレビをつけっぱなしにする人がいるが、これは良くない方法である。記憶した内
容は無意識のうちに自分の行動に影響を与える。自分が寝ている間に何を学習するのかを制御する方法がない上、自分が何を学習
したのか確認する方法もない。これでは自分の記憶が自分の行動にどのような影響を与えているのか、知ることが出来ない。 テレビ
で流される情報には悪い情報も含まれるが、これらも知らない間に学習して記憶してしまう事になる。自分が学習した内容を思い出
しす手段がないという事は、復習することが出来ないという事でもある。多くの有益な情報はそのまま忘れ去られるだけであろう。
3.2 理論の感覚化
文法書は、必ず難解である。この文章もそれは例外でない。読者は恐らく
「もっと具体例がなければ理解できない」
「実際に録音した
素材が欲しい」と考えるだろう。事実、筆者は現在、筆者にとって全く新しい言語である中国語を学習しており、具体例に欠ける教材
で苦しんでいる。 筆者が現在感じている苦情を、多くの読者が必ずこの文章に対しても持つ筈である。
しかし全ての語学解説書は難解である。何故ならば、本質的に言葉を本から学ぶというのは不可能だからである。実際にその言葉が
使われている地域に出向き、具体的にどのような使われ方をしているのかを実際に肌で感じ無い限り、新しい言語を獲得する事は不
可能である。新しい言語を獲得する為には、本で文章を読むだけではなく、人間が持ち得る五感を最大限に発揮して言語を実体験す
ることが肝要である。筆者自身、仮にタイムマシーンが存在したとして、イサーン語に対する知識が全く無い状態の自分にこの筆者自
身が書いた文章を送り届ける事ができたとしても、筆者がイサーン語を理解することは不可能であろう。
しかし、新しい言語を、全て五感に頼って学習・獲得するということは、いわば生まれたばかりの子供が言葉を獲得する方法と同じで
ある事に注意すべきである。外国人がこの学習法を使って新しい言語を獲得する為には、生まれたばかりの子供が正しい大人の言葉
を獲得するまでに 10 年以上かかるのと同じように、時間がかかる筈である。
一般的には、大人よりも子供の方が言語の学習が早いと考えられているが、本来、大人は子供よりもずっと速く言語を学習する事が
出来る。大人は子供と異なり様々な事情を持って言語の学習を行う物である。子供が言語を学ぶ為には何の制約もないが、大人は
経済的な制約・時間的な制約の上で、新しい言語を獲得せねばならない。大人が新しい言語を学習する為には、子供が10 年〜20
年かけて学習すべき事柄を、たったの1年〜2年で学習し終えなければいけない。この様に、大人が新しい言語を学習する時には、子
供が言語を獲得するときよりもずっと高い能力を要求される。しかし、大人にはこの困難を乗り越える能力がある。何故なら、大人に
は未知な事柄を経験によらずに予測する能力があるからである。大人はあらかじめ理論や知識を学ぶことで、全てを経験によらずに
言葉を学習する事が出来る。何か理解不能な表現に出会った場合であっても、あらかじめ言葉の原理を知っていれば、理解までにか
かる時間を大幅に短縮することが出来る。もしも本などで読んだ理論が多少でも記憶に残っていれば、実際にその言葉を学習する過
程で
「あぁこのことか」と閃く瞬間が必ず来る。これこそが理論書を読む意義である。そしてこの文章で説明されている理論に多くの
間違いが含まれている事にも気がつくであろう。
しかし同時に理論だけに執着し経験によらない学習方法も戒める必要がある。経験の裏付けの無い理論は無力である。理論を学ん
だならば、理論を使ってどのような感覚が存在するのかを予想した上で、理論で予想される事柄をひとつひとつ、実際の具体的な自分
の感覚として置き換えていく必要がある。 これを理論の感覚化と呼ぶことにする。
往々にして理論的に考えると非常に時間がかかるものである。理論だけが頭にある状態では、あれよあれよという間に会話が過ぎて
いくだけである。後日になってから
「あの時はああやっていえばよかったのか」と気がつく始末である。感覚的に考えると、つまりある
いは感覚化が終わった理論を使って考えると、理論的に考えるよりはるかに高速に考えることが出来る。理論だけを学んでも実際の
場面で応用することは不可能である。感覚化が終わった後でなければ、口喧嘩・ボケ・ツッコミ等の高度な会話技術を学ぶことは一
切不可能である。学んだ理論は、実際に生活する上でどの様に使われているのかを研究したり、ドラマ・映画・カラオケ等で、実際に
使われている場面を探しだし研究するなどして、具体的な自分自身の感覚として置き換えていく必要がある。
3.3 音楽との類似性について
上記の語学の訓練方法は、ジャズの即興演奏の訓練方法と全く同じである。事実、前述の訓練方法は、ジャズの世界でごく一般的に
行われている訓練方法を、筆者が語学の訓練として取り入れた物である。音楽の訓練を積むと、語学能力が開発されるのではないか、
と筆者は考えている。 これは飽くまでも筆者の個人的な感想だが、音楽が得意な人には、語学が得意な人が多い。これは飽くまでも
筆者の個人的な感想に過ぎないのだが、これまで多くの相関性をこれまで見てきた。(一方、語学が得意な人に音楽が得意な人が少
ないということも筆者は感じているのだが、何故だかはわからない。)
もしも語学を志すならば、恐らく音楽を一緒に学ぶ事は決して無意味な事ではあるまい。ギターの演奏・ピアノの演奏・弾き語り・
何でも良い。きちんと訓練する。音楽の訓練をすることで耳が開く訓練を兼ね備えるであろう。また、これらを学んだ暁には、外国の
人とコミュニケーションする上で、非常に良いコミュニケーション手段にもなりえる。
4 タイ東北イサーン語とは
イサーン語とはタイの東北地方で主に話されている言語である。一般的にはタイ語の方言であると考えられているが、実際には方言
という言葉では到底収まらない複雑な違いを持っている。イサーン語は、タイ語とラオ語のハイブリッド言語である。つまり、イサー
ン語が何なのかを知る為には、タイ語とは何か・ラオ語とは何かに付いて考える必要がある。 以下で順を追って考えてみたい。
タイ語とは何だろうか。タイ語とは広義にみれば、タイ国の公用語である。しかし狭義のタイ語は若干異なる事情を持つ。 タイ語と
は元来タイ民族が話している言葉の事である。タイ民族はタイ中央部から北部にかけて、そして中国南部に雲南省に少数民族として、
住んでいる。 これらのタイ民族が話しているタイ語とタイ国の公用語としてのタイ語は、別物である。 タイ国の公用語としてのタイ
語は現在バンコクで話されているタイ語を元としてタイ国の標準語として制定した物であり、タイ民族だけでなくタイ国に住む様々
なタイ民族以外の民族の間で話されている。公用語タイ語と、本来のタイ族が話す言語・タイ語は違う言語である。標準タイ語は、
タイ国内の学校で国民に対して標準語として教育されて、広く利用されている。
ラオス語とは何だろうか。ラオス語といえば、広義には、ラオス国内で話されている公用語ラオス語の事を指すだろう。公用語ラオス
語と言えば、一般的には、ラオス国内のラオ語ビエンチャン方言の事を指す場合が多い。しかし狭義に見ていくと、ラオ語と呼ばれる
言語にはラオス国内や、ラオス国外にも多数の亜型が存在し、ラオ語ビエンチャン方言もひとつの亜型に過ぎない。ラオ語ビエンチャ
ン方言を話す人たちはラオス国内でも少数派と言ってよい。この点、ラオ語は、標準タイ語教育が行き届いて標準化が推し進められ
ているタイ語とは、大きく事情が異なる。
ラオ語は、ラオス国内だけでなく、ラオス国外でも話されている。ラオス国外のタイ北部チェンマイで話されているパーサーヌア(タイ
北部語)・タイ東北イサーン地方、南イサーン(コラート)地方でも話されている言葉(東北語・イサーン語)も、それぞれラオ語
の亜型である。
ラオ語には、大きく分けて3つの亜型があると考えられている。ひとつはラオスのビエンチャンで話されているラオ・ビエンチャン語で
あり、パーサーカーン=中央ラオス語と呼ばれている。そして、北部で利用されている北部ラオス語、南部で話されている南部ラオス
語である。タイ北部で話されるパーサーヌアは北部ラオス語と似ていると言われている。また、タイ東北イサーン語は南部ラオス語と
似ていると言われている。
以上を踏まえイサーン語について考えてみる。イサーン語とは、イサーン語とはタイの東北地方に住むラオ系の住民が話している言語
の事である。一般的にイサーン語はタイ語の方言と考えられているが、イサーン語が持つ基本的な文法・声調・基本語彙はラオ語の
ものであり、実際にはラオ語の方言と言った方が近い。事実、イサーンの住民は自分たちが話す言葉を「ラオ語」と呼んでおり、
「タイ
語」とは呼ばない。
しかし、同時にイサーン語を完全にラオ語の方言と言い切ることも出来ない。イサーン語は、ラオ語の方言の中で最も強く中央タイ語
の影響を受けている方言でもある。 イサーン語はタイ語の要素を多く持つだけでなく、タイ語にもラオ語にも無い、イサーン独自の要
素も持っている。 同時にイサーン地方での公用語はタイ語であり、ほとんどのイサーン人は、タイ語もラオ語も話すことが出来る。
イサーン語は、ラオ語の方言でもあり、タイ語の方言でもある。いわば、イサーン語はラオ語とタイ語のハイブリッド言語と見ることも
出来る。
例えば、このハイブリッド性はイサーン語の敬語に顕著に見られる。ラオス国内で話されているラオス公用語には、ラオス語の敬語形
式が存在し、公の場では必ずその敬語形式が利用される。イサーン語では、ラオス語で使われる敬語は利用されない。イサーン語での
敬語は飽くまでもタイ語である。 ラオ語は飽くまでも方言であると考えられているからだ。
イサーン語の敬語にはいくつかランクがある。100%タイ語で話すともっとも丁寧だと考えられている。若干打ち解けると、基本
文章をラオ語で敬語部分だけタイ語の単語を借用して話す。更に打ち解けるとラオ語でラオの敬語を利用する。これもラオスで利用
される敬語とは若干異なる形の敬語を使う。普段は完全にラオ語だけで話す。イサーン地方の人は、状況を踏まえながら、当然の様
にラオ語とタイ語を瞬時に切り替えて話している。
つまりイサーン語を話すということは、正しいラオ語と正しいタイ語を状況に応じて瞬時に切り替えながら話す事とも言える。 外国
人に取ってイサーン語を学ぶということは、イサーン地方のラオ語と中央タイ語の違いを知る事と等しいだろう。
5 タイ東北イサーン語を学ぶ方法
5.1 本を読む
正しくイサーン語を話す為には、ラオ語とタイ語の両方を正しく区別して話す事が必要である。その為には、それぞれラオ語とタイ語
を学習した上でその違いをひとつひとつ明らかにしていく作業が必要となる。このふたつの言語を学習するに当たって、タイ語は学習
が容易であろう。タイ語には、英語・日本語・タイ語など各言語で記述された教材が多く出版されており、教材の質も高く、学習は
容易だからだ。しかし、ラオ語を学習する際の事情はタイ語と大きく異なる。現状、ラオ語について出版されている教材は極めて少な
く間違いが多い。 その様な中でどのようにイサーン語を学ぶべきであろうか。
先にタイ語を学んでしまう事もひとつであろう。ラオ語とタイ語は非常に近い言語であり、タイ語を詳しく学ぶ事はイサーン語を学ぶ
ために大きな助けとなる。また、イサーン地方の公用語はタイ語であり、ほとんどの人がタイ語とラオ語を混ぜながら話している為、イ
サーン語を話す為には正しいタイ語の知識も必要である。タイ語関連の教科書・文法書は様々な形態で多く出版されている。これ
らの中には少ないが非常に良いタイ語の解説書が存在する。
•
やさしいタイ語 文字の読み書き 宇戸 清治
•
キーワードで覚える!やさしいタイ語会話 山田 均 (著)
•
新・すぐにはなせるラオス語会話 小此木 國満
次にラオ語を学ぶ必要がある。 イサーン語を学ぶに当たって ラオ語を学ぶことはとても大切であるが、問題は、学習方法が極めて限
られている事である。残念ながら、ラオ語の教科書はほとんど出版されていないと言っても過言ではない。もしもラオスに行く機会が
あれば、少ないながらラオス語の辞書や教科書を入手するチャンスがある。 ラオス語に関する教科書は大学で非公式に配布されてい
る物がほとんどである。直接大学を訪れ、これらの教科書を譲ってもらうようにお願いする。ただし、教科書のほとんどが英語・フラ
ンス語・ドイツ語で記述されている事が多く、日本語でかかれていることはほとんどない。もしもこれらの教科書を入手することが出
来たら、これらはイサーン語を学習する為に極めて有用である。
多くのラオス語学習者はネイティブラオ語話者の個人レッスンをしている人を探し直接習うケースが多い様である。日本国内に居る
ラオス語話者はとても限られており、これもなかなか難しいであろう。
この文章をよく読みよく研究することが数少ないラオ語学習方法のひとつと言って良いだろう。但しこの文章は理論が多く具体例の
提示に欠ける。この文章を読んだら、実際に具体例を研究し理論がどのように適応されているのかを研究する必要がある。具体例を
研究する方法を以下で説明してゆく。
5.2 モーラムの VCD を見る
タイ国内では、イサーンの伝統音楽であるモーラムや、タイの伝統音楽であるルークトゥンの影響を受けた、ルークトゥンモーラムの
VCD が多く発売されている。歌は、ラオ語やタイ語まじりのラオ語で歌われている。大抵の VCD はカラオケとしても利用出来るよ
うに、歌が片方のチャンネルだけに録音され、タイ文字やアルファベットで歌詞が字幕表示される。これが正しい発音を勉強する際に
強力な武器となる。但し、字幕をラオ語として正しく読むためにはタイ語イサーン読み(カラオケ読み)を学ぶ必要がある。これに付
いては「カラオケ文字の読み書き」にて詳しく解説する。
但し、中央タイの視聴者にも判り易い様に非常にタイ語に近いイサーン語が使われている事が多い事に注意すべきである。モーラム
VCD で覚えた単語をイサーン語だと思っていると実はタイ語であったりすることも多い。
モラーム VCD は、取り扱う輸入業者も多く、入手は容易であろう。
5.3 イサーン新喜劇を見る
タイでは、映画・ドラマ・新喜劇・音楽などの CD/DVD が多く出版されているが、中にイサーン語が話されている物がある。これら
はイサーン語を学ぶ為に極めて有用である。これは、イサーン文化に、限りなく生に近い形で、触れる良い方法であり、ネイティブ話者
を煩わせることなく何度も繰りかえし見ることが出来る。これらを研究することが、イサーン語を学ぶ唯一の勉強方法と言ってよい。
特にイサーンの新喜劇文化は非常に有名である。イサーン人の間で知らぬ者は居ないと断言してよい。動きで見せる笑いや、コミカ
ルな衣装や音楽はイサーン語のわからないものにも理解が易しく、気軽に楽しむことが出来る。半面、多くのギャグは外国人にとって
非常に難解でもあり、完全に理解する為には粘り強い研究が必要でもある。 以下、イサーン語の新喜劇に付いて説明する。
5.3.1
โปงลางสะออน ( ポンランサオーン )
タイ全土で非常に有名な音楽ありコメディーありのライブ舞台である。この映像が VCD や DVD で販売されている。イサーン文化
を題材とした音楽・舞台・踊りで構成される。話される言葉は、タイ語が大半で、ラオ語は少ないものの、その根本にある要素は全て
イサーン文化である。後述のシアンイサーンの影響が多く見られ、シアンイサーンのタイ語版ともいえる。 中央タイ文化の嗜好に合
わせて味付けされており、演奏される音楽も中央タイ部の伝統音楽、ルークトゥンの要素が強い。
ポンランサオーンでは、タイ語が多く話されている。将来イサーン語を学ぶ事を念頭に置きつつ、これからタイ語を学ぶ場合や、タイ語
を学んだ後にイサーン語を学ぶ取り掛かりを掴むのに便利である。VCD シリーズは2010年現在 4シリーズ発売されている。入
手は比較的容易である。 大半はバンコクでも入手可能である。
5.3.2
เสียงอีสาน (シアンイサーン)
タイ語[ siang4 i:0 sa:n4 ] ラオ語[ siang4 i:1 sa:n4 ]
イサーンの人たちの間では知らぬ者はいない、極めて有名なコメディー舞台。歌あり踊りあり劇ありという新喜劇スタイルで構成され
る。使われる言葉はタイ語3割・ラオ語7割程度であり、イサーン地方で日常的に使われるタイ語・ラオ語の混成度と近い。このイ
サーン独特な二つの言語の混成感覚を感覚的につかむことが出来る良い素材と言える。 もしもタイ語がある程度理解できるなら、ラ
オ語で語られる内容を推測することも可能で、ラオ語学習のよいきっかけとなる。 風習、言い回し、民族音楽、伝統的な食事などがと
てもリアルであり、イサーン地方の生の文化に触れる為に極めて良い題材である。
問題は、第二言語としてイサーン語を学ぶ者にとって、多くのギャグが極度に難解な事である。婉曲な表現が多くイサーン語を理解
しない外部の者を寄せ付けない密室さがある。 これらのギャグを理解する為には、ネイティブ話者にそのギャグの真意を説明しても
らう以外にないが、内容は下ネタが多く、ほとんどの場合、恥ずかしがって説明してもらえない事の方が多いであろう。シアンイサーン
のギャグを理解する事は、ひとつの知的な挑戦である。しかし、シアンイサーンのギャグを理解する事には大きな価値がある。シアンイ
サーンで覚えたギャグは、コミュニケーション上非常に良い話題を与えてくれる上、風刺は鋭く様々な物事の核心を付いた表現が多い
VCD シリーズは 20 シリーズ程度存在する。入手は若干困難だが、DVD のリメイク版が存在し、最近発売されたシリーズであれば
バンコクでも十分入手可能である。古いシリーズの方が素朴で独創性に富んだステージが楽しめるが、 入手は困難である。
5.3.3
นิทานก้อม (ニターンコーム)
タイ語 [ ni7 tha:n6 ko:m5 ] ラオ語 [ ni:6 tha:n5 ko:m6 ]
†
これは、ラオの口頭伝説を映像化した VCD シリーズである。ごく一般的なラオイサーン語が話されており、ラオイサーン語を学ぶの
に最適である。 ストーリーは、イサーン人の間で非常によく知られた昔話であり、これらのストーリーを覚えておくと、コミュニケー
ション上とても良い題材となる。ニターンコームで覚えた言い回しは、即座にイサーンの人たちとの会話で利用する事が出来る。ラオ
† 本来 声調記号表に従って読むと ni7 tha:n5 koom5 となる筈だが、実際にはそう発音されない。 そうなる理由を筆者は知らない。更なる調査と考察が必要である。
イサーン語の研究学習題材として最適といえる。
入手は極めて困難である。 バンコクで売られている事はまずない。イサーン地方でも正規版が出回る事はほとんどない。
5.3.4
บักแว้ (バクウェー)
タイ語[ bak8 wee5 ]・ラオ語 [ bak7 wee5 ]
ニターンコームと同じ制作会社が作成したコメディードラマ。子供向けで、ストーリーがわかりやすい。出てくるイサーン語表現は短
く、感覚的につかみやすい。
ニターンコーム同様、入手は極めて困難である。
5.4 イサーン関連メディアの入手方法
イサーン関連 VCD の多くは、入手が困難な場合が多い。 流通数自体が少なく、その知名度の低さから、インターネット上でダウン
ロード可能になることも稀である。 筆者が知る限りの最も確実な入手経路は、
ラオスはビエンチャンの朝市場(タラートサオ)で、
海賊版が販売されている事である。 タラートサオには、常にイサーン系 VCD の全シリーズ在庫している店が数件存在する。 但し、
VCD の品質が悪くデータ破損から全てを視聴することが難しいケースも多い。コンピューターウィルスが混入している事も稀ではな
く取扱いには注意が必要である。正規版を買うに越したことはないが、入手が難しい場合はやむを得ず海賊版を利用することになる
であろう。旅行などでビエンチャンに来る機会があればまとめて買いためると良い。(但し、著作者に感謝の念を忘れではならない。
万が一直接合うような機会があれば、直接著作者に感謝の気持ちを伝えるべきであろう。)
また、イサーン地方で、お祭りなどの機会に売れ残った正規版 VCD が出回る事があるので、こまめにチェックすると良い。
6 ラオ語教材の混乱に付いて
以下、世間のラオ語教材の混乱状況を解説する。この章は、ラオ語・タイ語の学習には直接関係ない知識を扱う。興味が無い方、ラ
オ語・タイ語初学者は、この章を読み飛ばしても構わないだろう。
6.1 声調区分の混乱について
ラオ語の教科書は、多様な声調区分・表記方法が利用されており統一されていない。これがラオス語初学者の混乱の元となっている。
以下、様々な声調区分の違いと特徴について説明する。
6.1.1
六声調区分
英語で書かれたラオ語の教科書の多くはラオ語の声調を6つに分類した、六声調区分を採用している。この声調区分は、旅行情報誌
ロンリープラネット・ラオス版などでも見ることが出来る。 もっとも一般的な声調区分である。
6.1.2
ニラット式七声調区分
これはラオス国立大学のニラット教授が提唱している声調区分である。最も一般的に利用されている六声調区分に、短母音上がり
調子を第七声調という新たな声調として加えたものである。 声調順番は六声調区分と同様であり既成の資料との互換性が高い。こ
の声調区分は、ラオ語の様々な亜型に於ける声調を包括的に扱うことが出来る。ラオ語を学習する上でもっとも優れた声調区分だと
考えられる。
6.1.3
イサーン式九声調区分
これは、筆者が提唱する声調区分である。二ラット式七声調区分に、タイ語のみが持つ声調二つを加えたものである。ニラット式声
調区分をベースに、タイ語の平声を第〇声調、タイ語の短母音下降調を第八声調として割り当てている。
この声調区分の最大の利点は、ラオ語とタイ語の声調区分を共に完全に含んでいる事である。イサーン式九声調区分を利用すると、
タイ語・ラオ語混じりの発音記号に一貫した声調番号を割り当てることが可能となる。 これは、タイ語とラオ語を混合して話すイ
サーン語を研究する為に必要な機能である。
声調の順番は、二ラット式声調区分・六声調区分と同順であり、既存の資料・教科書との互換性も保つ。
欠点は、表記が煩雑になりやすい事である。短母音と長母音を分けて表記する関係上、特にタイ語の発音を表記する際煩雑さが増す。
6.1.4
鈴木玲子式六声調区分
日本国内で入手可能な唯一のラオス語の教科書と言える鈴木玲子著「エクスプレス・ラオス語」で利用されている声調区分を、ここ
では鈴木玲子式声調区分と呼ぶこととする。この声調区分は、日本国内で発行されているラオス語関連書で非常に一般的な声調区
分である。この声調区分は、旅行情報誌「地球の歩き方」ラオス版のラオス語会話入門ページでも採用されている。
この鈴木玲子式声調区分は、ラオ語の亜型を統括的に扱うことに向いていない。この声調区分は、様々な点に置いて簡潔さを重視し
大胆に省略・拡張されている。例えば、この声調区分では、六声調区分でいうところの第一声調と第六声調を同一の声調として扱う。
ニラット式声調区分での第七声調が省略され、これを第三声調と同一声調として扱っている。また、鈴木玲子氏の説によると、ビエン
†
チャン方言には第四声調の変化としてもうひとつの声調が存在するとしており、これに新しい声調番号・六を割り当てている。
省略された要素は全てラオ語の亜型を表現する為必要である。また、特定の亜型のみの為に新たに追加された声調番号は、ラオ語亜
型の声調を統合的に扱う際に複雑化を招きやすい。以上の理由から、様々なラオ語の亜型を包括的に扱うことに向いていないと考え
られる。
声調順序はタイ語の声調区分を模した独自の声調順序を利用している。タイ語を学習した事がある人にとって馴染みやすい声調区
分と言えるが、海外で一般的なラオ語教科書で利用されている六声調区分と互換性が無い点は注意すべきである。 一般的に普及し
ているラオ語教材と平行して、鈴木玲子式声調区分で書かれたラオ語教材を利用する際は、それぞれの声調区分に於ける声調番号の
対応を理解する必要がある。
鈴木玲子式声六声調区分とニラット式七声調区分との対応をここに示す。
†鈴木玲子氏によると、ある音節の次に現れる声調が第一声調や第六声調などの低声である場合、第四声調は完全に発音されず上がりきらずに発音される事が多いとされる。鈴木玲子式声調区分では、この上がりきらない発音に新しい声
調を割り当てている。この拡張は不適切である。多くの人は無意識のうちに第四声調を省略して発音するが、人によっては省略せず、正式な声調変化のルールとして第四声調の変化が存在するとは考えがたい。よしんば省略する事が正式
な規則として認められるにしても、中国語に於ける半三声の様に声調番号を変化させずに拡張するべきであろう。
Tone
Order
1
Sign
x
Order
2
Sign
x
Nirath
1
2
3
4
5
x
x
x
x
2
1
3
4
4
5
5
3
6
7
x
x
6
2
6
Reiko
2
x
1
x
4
x
5
x
7
3
x
2
x
6
タイ語の四声調区分と五声調区分
6.1.5
タイ語の声調区分にも触れておく。 タイ語の声調区分には2つの派閥が存在する。
タイ語には声調が無いと考えられている声調がある。声調記号のない中子音字・低子音字の声調がこれに当たる。この声調は、日本
語では平声や中声などと呼ばれている。現在一般的に出回っている教材を見回してみると、この最初に現れる声調の無い声調を1と
して数える流儀と、この最初の声調に番号を割り当てない流儀とが存在する。ここでは、この最初の声調を1として数える声調区分
を五声調区分、この最初の声調に番号を割り当てない声調区分を 四声調区分と呼ぶこととする。
筆者のこれまでの個人的な経験による見解ではあるが、五声調区分は、主に日本国内のみで利用されているのではなかろうか。タイ国
内の外人向けタイ語教材や、英語で書かれたタイ語教材などでは四声調区分が利用される傾向がある様に筆者は思う。
四声調区分は、中子音字・高子音字に於ける、声調記号の番号と声調番号が一致するという性質がある。この性質は、初学者にとっ
て利便性が非常に良い。 また、ラオ語の六声調区分と部分的な一致も見られ、若干互換性がある。
以下、五声調区分 と 四声調区分の対応を示す。
Tone
Order
1
2
Sign
x
x
Order
0
Sign
x
1
3
2
1
0
x
x
4
3
2
1
x
x
5
4
3
2
x
x
5
4
3
x
4
7 タイ東北イサーン語の理論
イサーン語はタイ語とラオ語のハイブリッド言語である。 状況に合わせ、タイ語だけ話したり、ラオ語だけを話したり、あるいは、その
両方を適宜混合したりする必要がある。外国人がイサーン語を話すためには、タイ語とラオ語を同時に学び、かつ、その違いを曖昧さ
無く覚えていく必要がある。
7.1 声調に付いて
イサーン語の声調
7.1.1
イサーン語の声調には、ラオ語の声調とタイ語の声調の両方が現れる。
Tone
Order
0
Sign
x
1
2
3
4
5
x
x
x
x
6
Isaan9
x
0
0
x
1
2
3
4
5
x
6
7
8
x
x
7
8
第〇声調
タイ語の基本声調である。中位の音程で音程を変化させずまっすぐ伸ばして発音する。但し、前に続く声調が第一声調又は第六声
調の場合、同じ高さ(低い音程)に変化する。タイ語のみが持つ声調である。
x
1
第一声調
ラオス語の基本声調である。 低い音程で音程を変化させずまっすぐ伸ばして発音する。 ラオ語のみが持つ声調である。
x
2
第二声調
若干高めの音程で音程を変化させずまっすぐ伸ばして発音する。第〇声調と似ているが、音程は第〇声調より若干高めである。第
〇声調と異なり前の声調の影響を受けない。 ラオ語のみが持つ声調である。
x
3
第三声調
中位の音程から高い音程に変化する。 ラオ語・タイ語共通の声調。
x
4
第四声調
中位の音程から高い音程に変化する。 ラオ語・タイ語共通の声調である。
x
5
第五声調
高い音程から低い音程に変化する。 ラオ語・タイ語共通の声調。
x
6
第六声調
単独で発音する場合や、続く声調が第一声調の場合、低い音程から更に低い音程に変化する。通常は省略して低い音程だけ発音し、
第一声調と同じ発音になる。タイ語では省略声調でのみ発音する。
x
7
第七声調
単独で発音する場合、低い音程から急激に高い音程に上昇させる。通常は変化を省略し高い音で短く切る。次の声調が第二声調の
時、第二声調と同じ音程で発音する事が多い。 タイ語・ラオ語共通の声調である。
x
8
第八声調
単独で発音する場合、中位の音程から急激に低い音程に下降する。通常は変化を省略し、低い音程で短く切る。タイ語のみの声調で、
ラオ語には存在しない声調である。
7.1.2
タイ語の声調
タイ語の声調は5つに区分される。 タイ語の声調とイサーン九声調区分との対応を以下に示す。
x
0
タイ語 第〇声調 平声
イサーン語九声調区分に於ける
x
1
x
0
と同じ声調である。番号も等しい。
タイ語 第一声調 低声
イサーン語九声調区分では二つの声調に分かれる。 長母音の時は、
x
2
タイ語 第二声調 下声
イサーン語九声調区分では
x
3
x
5
と等しい。
タイ語 第〇声調 高声
イサーン語九声調区分では
x
3
と等しい。 番号も等しい。
x
6
短母音の時は
x
8
と置き換わる。
x
4
タイ語 第〇声調 上声
イサーン語九声調区分では
x
4
と等しい。 番号も等しい。
7.2 タイ語の声調とラオ語の声調の違いについて
タイ語の第〇声調には、前の単語の声調を受けて音程が変化する性質がある。一方ラオ語はこの様な前後の声調の影響を受ける声
調を持たない。一般的に、タイ語の第〇声調はラオ語の第二声調に相当すると考えられているが、これは間違いである。ラオ語の第
二声調は前の単語の声調の影響を受けない。
以下、タイ語での例を見てみる。
「俺が奴を罵る」กูด่ามัน ku:0 da:6 man5 中低低
「奴が俺を罵る」มันด่ากู man5 da:6 ku:0 高低低 ... 中低中とは発音しない
ラオ語ではこの現象は起こらない。
「俺が奴を罵る」กูด่ามัน ku:1 da:2 man5 低中高
「奴が俺を罵る」มันด่ากู man5 da:2 ku:1 高中低
7.3 文法
7.3.1
語順について
ラオ語・タイ語は典型的な SVO 言語である。 文章は、主語+述語の組み合わせで構成される。
ผมกินข้าว phom4 kin8 kha:w5
主語は省略することができる。
กินข้าว
กินข้าว
กินข้าวบ่
บ่กินข้าว
述語は、動詞又は形容詞になる。述語は複数つなげて利用することが出来る。順番は、単純に事象が起こった順番、感想を持った順
番で並べれば良い。
7.3.2
時制について
ラオ語・タイ語は複数の助動詞を組み合わせて利用する事が出来る。この組み合わせにより、その出来事が発生した時間を表現する
事が出来る。複数の助動詞を組み合わせる時は、必ず決まった順番で助動詞を並べなければならない。この順番はとても大切で、間
違えると相手に意図が通じにくくなる。 この順番を以下で示す。
原形
質問形
否定形
原型の意味
現在
กินข้า ว
กินข้า วบ่
บ่กินข้า ว
ご飯を食べる
完了
กินข้า วแล้ ว
กินข้า วแล้วบ่
บ่กินแล้ ว
ご飯を食べ終わった
完了(変則)
กินข้า วแล้ ว
กินข้า วไป๋
กินข้า วแล้วไป๋
ยั งบ่กินข้า ว 又は
ยั งบ่ทน
ั กินข้า ว
ご飯を食べ終わった
進行
กินข้า วอยู
กินข้า วอยู บ่
บ่กินข้า วอยู
ご飯を食べている
未来
สิ กินข้า ว
สิ กินข้า วบ่
สิ บก
่ ินข้าว
ご飯を食べる予定
進行完了
กินข้า วอยู แ ล้ ว
กินข้า วอยู แล้ วบ่
บ่กินข้า วอยู แ ล้ ว
ご飯を食べ始めてしまった
未来完了
สิ กินข้า วแล้ว
สิ กินข้า วแล้ วบ่
สิ บก
่ ินข้าวแล้ ว
ご飯を食べる予定になった
未来進行
สิ กินข้า วอยู
สิ กินข้า วอยูบ่
สิ บก
่ ินข้าวอยู
ご飯を食べる予定である
未来進行完了
สิ กินข้า วอยู แ ล้ ว
สิ กินข้า วอยูแ ล้ วบ่
สิ บก
่ ินข้าวอยู แ ล้ ว
既にご飯を食べる予定になってしまった
経験
ได้กินข้า ว
ได้กินข้า วบ่
บ่ได้กินข้า ว
ご飯を食べた
経験完了
ได้กินข้า วแล้ ว
ได้กินข้า วแล้ วบ่
บ่ได้กินแล้ ว
ご飯を食べることが出来た
経験完了(変則)
ได้กินข้า วแล้ ว
ได้กินข้า วไป๋
ได้กินข้า วแล้ วไป๋
ยั งบ่ได้กินข้า ว 又は
ยั งบ่ทน
ั กินข้า ว
ご飯を食べることが出来た
経験進行
ได้กินข้า วอยู
ได้กินข้า วอยู บ่
บ่ได้กินข้า วอยู
ご飯を食べることが出来た状態である
経験未来
สิ ได้กินข้า ว
สิ ได้กินข้า วบ่
สิ บไ่ ด้กินข้า ว
ご飯を食べることが出来る予定である
経験進行完了
ได้กินข้า วอยู แ ล้ ว
ได้กินข้า วอยู แ ล้ วบ่
บ่ได้กินข้า วอยู แล้ ว
ご飯を食べることが出来た状態にすでになった
経験未来完了
สิ ได้กินข้า วแล้ ว
สิ ได้กินข้า วแล้ วบ่
สิ บไ่ ด้กินข้า วแล้ ว
ご飯を食べることが出来ることになった
経験未来進行
สิ ได้กินข้า วอยู
สิ ได้กินข้า วอยู บ่
สิ บไ่ ด้กินข้า วอยู
ご飯を食べることが出来る予定だ
経験未来進行完了
สิ ได้กินข้า วอยู แ ล้ ว
สิ ได้กินข้า วอยู แ ล้ วบ่
สิ บไ่ ด้กินข้า วอยูแ ล้ ว
ご飯を食べることが出来る予定に既になった
7.4 文字について
文字数は、それぞれ ラオ文字が27字、タイ文字が44字である。その内、ラオ語・タイ語 それぞれの22文字は字形に若干の違い
があるだけでラオ語・タイ語共通である。タイ文字には17文字のラオ文字にない独自の文字を持つ。一方、ラオ文字には4文字の
タイ文字にない独自の文字を持つ。
7.4.1
子音字について
別紙 ラオタイ・子音字対応表 にてラオ文字とタイ文字との関連を示す。 タイ文字・ラオ文字間には、5つの単純な対応で説明で
きないケースが存在する。それをここではケースX・ケースR・ケースY・ケースH・ケースSと分類する事とする。 以下、ラオ文字
とタイ文字の対応関係に付いて見ていきたい。
7.4.1.1
タイ語
ช
ช-ช้าง
ケース X – (ช と
ラオ語
ຊ
ຊ-ຊ້າງ
chaw0 cha:ng3 saw:3 sa:ng3
ຊ)
形が一見似ていないが、タイ語の ช(チョーチャーング) とラオ語の ຊ (ラオ ソーサーング)は、
同じ文字である。注意深く見るとタイ語の ช をラオ語では横倒しにして ຊ と書いている事
がわかる。
ラオ語は ch の発音を持っていない為、ch と発音すべき子音は、全て s の発音に置き換わる。
という特徴がある。 例えば、アジアの多くの地域でお茶の事をチャーと呼ぶが、ラオ語では
サーと呼ぶ。 人名 Charlie は普通はチャーリーと発音するが、ラオ語ではサーリーと発音する。
このチャ行が変化して出来たサ行の子音を表現する文字が、このラオ語の ຊ ソー・ ソーサーン(グ)である。タイ語で ຊ に相当す
る字は ช で象のチョー=チョーチャーン(グ)と呼ぶ。 ຊ と ช は同じ起源を持つ文字で、名前も同じ、名前の持つ意味も同じだが、ラ
オ語とタイ語の発音の違いから名前の発音自体が異なっている。
タイ語で ช (チャ)が使われている単語で、ช (チャ)を ຊ(サ)に置き換えると、多くの場合、ラオス語の単語になる。逆に、ラオ語
の
ຊ(サ)が使われている単語でも、 ຊ(サ)を ช (チャ) に置き換えると、多くの場合、ラオス語の単語になる。
例:
意味
ラオ
発音
タイ
発音
象
ຊ້າງ
サーン(グ)
ช้าง
チャーン(グ)
遅い
ช้า
チャー
ຊ້າ
サー
お茶
นำ้าชา
ナムチャー
ນຳ້ຊາ
ナムサー
但し、タイ語上で ซ(鎖のソー・ソーソー)が使われている単語も、ラオ語で ຊ と置き換わる場合が多い。よって、その単語が ช(象
のチョー) だったのか、ซ(鎖のソー)だったのか、注意深く判別する必要がある。 これはとても間違いやすく、ネイティブの人ですら
しばしば間違える程に混乱している。
間違った例:
意味
ラオ
発音
タイ
発音
間違いタイ
発音
鎖
ໂສ
ソー
โซ่
ソー
โช่
ショー?
オートバイ
ມອເຕີອໄຊ
モーターサ
มอเตอร์ไซค์
モーターシャイ (??)
แชบไม้
シェープマイ(??)
มอเต
อร์ไซ
ค์
イ
美味いか?
7.4.1.2
タイ語
ร
ร-เรือ
raw0-reua0
ແຊບບໍ
セー(プ)ボー
ケース R (ร と ຮ)
ラオ語
ຮ
ຮ-ເຮືອນ
haw:3 heu:an3
タイ語の ร (ロールア) は ラオ語の ຮ (ホーフアン) に相当する。このふたつの文字は、
字形が同じである上に、タイ語・ラオ語共通の単語の同じ場所で利用される。しかし、
このふたつの文字は、発音が異なる。タイの ร (ロールア) は R と発音するが、ラオの
ຮ (ホーフアン) は H と発音する。
タイ語で R と発音するところを H と置き換えると、多くの場合は ラオ語になる。逆に
ラオ語で H と発音するところを R と発音すると、多くの場合タイ語になる。
意味
タイ
発音
ラオ
発音
愛する
รัก
ラッ(ク)
ຣັກ
ハッ(ク)
知る
รู้
ルー
ຮູ້
フー
学校
โรงเรียน
ローンリヤン
ໂຮງຮຽນ
ホーンヒヤン
タイ語で ร (ロールア) を使っていても、ラオ語で H と発音しない単語も数多く存在する。その様な単語では、
ລ (ローリン) に置き
換える。
意味
タイ
発音
ラオ
発音
ドラえもん
โดราเอมอน
do:ra:e:mo:n
ໂດລາເອມອນ
do:la:e:mo:n
サービス
บริการ
borika:n
ບໍລິການ
bolika:n
車
รถ
rot
ລົດ
lot
なお、カラオケの字幕などタイ語で
残す為、
ຮ (ホーフアン)
を使うラオ語固有の単語を表記する場合、タイ語上でもラオ語の元の発音を
ຮ (ホーフアン) を ฮ H (ホーノックフーク) に置き換えることがある。
ラオ語には、元の R を表記する方法が無く、外来語などを表記するとき不便だった。近年これを解決する為、
ຣ 鐘のロー という新し
い文字が作られたが、現在(2010 年)のところほとんど利用されていない様だ。
ร と ຮ は順位が異なる。 タイ語の ร (ロールア) は R と発音するので、順位上 L ล (ローリン) の側に置かれているが、ラオ語で
は、 ຮ (ホーフアン) は飽くまでも H と発音する文字である為、ລ (ローリン) とは扱いが別にされている。 ラオ語の ຮ (ホーフア
ン) は、タイ語上の ฮ H (ホーノックフーク) と同じ順番に置かれているところが興味深い。
ケース Y (ญ /
7.4.1.3
/
ຢ)
タイ語の Y を表す文字は タイ語の
ย /ຍ
ย (ヨーヤック)
ญ (ヨーイン)で、 ラオ語で Y(NY) を表す文字は
ຍ (ヨーニュン) ຢ (ヨーヤー) の4つである。以下
ญ
タイ語
ญ หญิง
yaw0 ying4
ย
ย ยักษ์
yaw0 yak7
ラオ語
ຍ
ຢ
ຍ ຍຸງ
ຢ ຢາ
nyaw:3 nyung3
yaw:1 ya:1
でこの4つの文字の関係を説明する。
タイ語の ย (ヨーヤック)
ญ (ヨーイン) は、現在では共に Y と発音するが、かつては発音が異なったと言われている。発音が同じY
である文字が2つ残っているのはその名残りであると言われている。
一方、ラオ語の
ຍ (ヨーニュン) ຢ (ヨーヤー)
は、現在でも発音が異なっている。
ラオ語の ຍ (ヨーニュン) は、タイ語の ญ (ヨーイン)と、ラオ語の ຢ (ヨーヤー) は、タイ語の ย (ヨーヤック) と対応する、弱い
傾向が見られる。
適応する例
意味
タイ
発音
ラオ
発音
大きい
ใหญ่
yai6
ໃຫຍ່
yai2
日本
ญี่ป่่น
yi:5pun6
ຍີ່ປຸ່ນ
ngi:3pun2
薬
ยา
ya:0
ຢາ
ya:1
冷たい
เย็น
yen0
ເຢັນ
yen1
適応しない例
意味
タイ
発音
ラオ
発音
移動
ย้าย
ya:i3
ຍ້າຍ
nya:i5
難しい
ยาก
ya:k5
ຍາກ
nya:k5
多く例外があるものの、この傾向を覚えておくと実際に会話する上で色々と便利だ。 何故なら、 タイ語の ย (ヨーヤック) /
ญ
(ヨーイン) ラオ語の ຍ (ヨーニュン) は低子音字であるが、ラオ語の ຢ (ヨーヤー) は中子音字だからだ。 ニャーになる単語は第
三声調で発音し、ヤーと発音する単語は多くの場合第一声調で発音すればよいケースが多い。
7.4.1.4
ケース H
ห-นำำ
元字
ງ
ຍ
ນ
ມ
ວ
呼び名
ງ ງົວ
ຍ ຍຸງ
ນ ນົ ກ
ມ ແມວ
ວ ວີ
naw:3 nok7
ngaw:3 ngu:a3
waw:3 wi:3
ຫນ
ໝ
ຫມ
ໜ
ຫວ
呼び名発音
ngaw:3 ngu:a3 nyaw:3 nyung3
ホーナム付き
ຫງ
ホーナム合成
なし
ຫຍ
ຫຽ
なし
ラオ語には、ห-นำา の付いた文字を一文字として扱う合成文字がある。 ห-นำา = ホーナム とは、低子音字の前に ห を付けるこ
とで低子音字を高子音字として扱うことを指す。タイ語ではホーナム付きの文字を飽くまでもふたつの別々な文字として扱う。しか
しラオ語はホーナム付きの文字を一つの文字として合成した文字を持っている。 タイ語に置き換える際、これらの文字はそれぞれの
文字に分割される。
7.4.1.5
ケース S ( ສ)
ラオ語では ຊ をチャではなく サと発音する為、ສ-s を ຊ と同類と考えるらしい。その為か、ສ の発音順が ຊ のそばにある。一方
タイ語では、ช をチャと発音する為、ช は ส の同類ではなく、ศษ などの文字と同類と考える様で、ส の順位は、ศ
ษ
の側に置か
れている。 一方、タイ語は ซ 鎖のソーを S と発音するにも関わらず、順位を ช 象のチョーの近くに置いている点は興味深い。
7.4.1.6
母音表記について
(未稿)
7.4.2
母音字について
別紙 ラオタイ・母音字対応表 を参照。
7.5 声調の決まり方
ラオ語・タイ語の声調の決まり方には一定の法則がある。 その法則は次の様な表で表される。
ラオ語
平音節
促音節
長/短
長
短
第一声調記号
第二声調記号
高子音
x
4
x
x
x
x
中子音
x
1
x
x
x
x
低子音
x
x
x
x
x
6
6
3
5
7
7
7
2
2
2
第三声調記号
第四声調記号
x
x
6
5
4
5
5
この表の事をここでは声調表と呼ぶこととする。以下この表の見方を説明しよう。まず最初に、単語で利用されている先頭の子音を
見る。タイ語・ラオ語の子音文字は高子音・中子音・低子音に分かれているので、その単語の先頭子音が所属している高さを調べ
る。もし、その単語の先頭の子音が二重子音である場合、最初に現れる子音文字の高さに従う。子音文字の高さが、高子音なら高子
音の行、中子音なら中子音の行、低子音なら低子音の行を見る。これで、下記の表上の縦座標が決定する。
次に、もしもその単語に声調記号がついているなら、その声調記号の列を見る。もしも第一声調記号ならば第一声調記号の列を、もし
も第二声調記号ならば第二声調記号の列を...といった調子で見て行く。
†
声調記号がついていない単語の場合、促音節か平音節かを見る。促音節とは、単語の最後の子音が K/D/B/無 のいずれかで終了す
る単語のことである。それ以外の子音 M/N/NG で終了する単語は平音節と呼ぶ。 平音節であれば、平音節の列を見れば良い。も
しも促音節であった場合、さらに長母音か短母音かを見る必要がある。 長母音なら長母音の列を、短母音なら短母音の列を見る。
(注:短母音の促音節は必ず第七声調で発音される約束なので、特別な理由がない限り声調記号はつかない。)
この一連の作業を終えると見るべきマスが決定する。 そのマスにある声調番号がその単語が発音されるべき声調番号である。
とても複雑な作業だが、ラオ語/タイ語話者は、無意識のうちにこの表のイメージを持っており、この作業を無意識のうちに完璧に行っ
ている。これは決して高度な教育がなせる技ではなく、タイ語・ラオ語の全ての方言は、例えどの様な地方の山村の方言であっても、
この表に従った声調の変化をする。 この表こそがタイ語・ラオ語の声調の本質である。
以下は同じ形式に従って作ったタイ語の声調表である。ラオ語の単語をこの表に従って読む事によりタイ語風の発音に変換出来る。
同様にして、タイ語の単語をラオ語の声調表に従って読む事によりラオ風の発音に変換出来る。つまりこの表の内容こそが、ラオ語
タイ語各亜型が持っている声調の違いの本質である。
タイ語
平音節
†
促音節
長/短
長
短
第一声調記号
第二声調記号
高子音
x
x
x
x
x
中子音
x
0
x
x
8
x
x
低子音
x
0
x
x
7
x
x
4
6
6
5
8
6
6
5
第三声調記号
第四声調記号
x
x
5
5
3
4
3
ここでいう無は、声門閉鎖音を表す。 喉の奥を閉じる時に発生する音声である。 ラオ語・タイ語では、表記されないが子音のひとつとして考えられており、子音のない音節に付加される。
7.6 カラオケ文字の読み書き
次の表は、タイ語声調表とラオ語の声調表を縦に並べた物である。
タイ語
ラオ語
平音節
促音節
長/短
長
短
第一声調記号
第二声調記号
高子音
x
4
x
x
x
2
x
中子音
x
1
x
x
x
2
x
低子音
x
x
x
x
2
x
高子音
x
x
x
x
x
中子音
x
0
x
x
8
x
x
低子音
x
0
x
x
7
x
x
3
4
6
6
5
6
6
5
7
7
7
6
8
6
5
第三声調記号
第四声調記号
x
x
x
x
6
5
5
4
5
5
5
3
4
3
この表を使うと、多くの場合、タイ語の単語をラオ語の単語に、ラオ語の単語をタイ語の単語に変換する事が出来る。変換する為には、
同じ単語を、それぞれタイ語の領域とラオ語の領域で声調を調べれば良い。例えば、水 นำ้า は、低子音・第二声調記号である。低子
音・第二声調記号の欄をタイ語・ラオ語それぞれの領域で見てみると、タイ語は第三声調・ラオ語は第五声調で発音すれば良いとい
うことが導き出される。
この表を眺めると色々な興味深い法則を導き出す事が出来る。タイ語第三声調がイサーン語では第五声調に変化する法則などが良
い例だ。タイ語を学んだ後でイサーン語を学ぶと、タイ語で第三声調で発音する単語がイサーン語では第五声調で発音されることに
気がつくものだが、この変化は、何故起こるのだろうか。この表を使うとその理由を説明する事が出来る。上記の表を使って、タイ語
で第三声調で発音する部分を全て探してみると、中子音/第三声調記号・低子音/第二声調記号であることがわかる。対応するラオ
ス語の表をみると、それらの全てがラオス語の第五声調に一致する事がわかる。これがこの変化が起こる理屈だ。逆にラオス語の第
三声調を探してみると低子音/平音節のみであることがわかる。この事から、タイ語で第三声調で発音する単語は第五声調に置き換
えればラオ語になるということがわかる。
これがイサーン語の発音変化の核心である。タイ語・ラオ語の両方を話すことが出来る者は、まったく無意識の内にこの表のイメー
ジを持っており、常にこの二つの表を切り替えながら発音を決定している。この表はかなり複雑であり、ネイティブの話者ですらしば
しば間違える。その間違いがイサーン語訛りである。
この様に、この表を利用してタイ語の単語をラオス語の声調区分で読むと、全てではないものの高い確率でラオ語の単語と一致する。
イサーン語を研究する上で、この方法は非常に便利である。この方法を使うことにより、概ねタイ語の辞書からイサーン語の発音を導
き出す事が出来る。
เช้า
朝
ชื่อ
タイ語:3 ...ラオ語:5
ซื้อ
買う
タイ語:3 ...ラオ語:5
名前
タイ語:2 ...ラオ語:2
ช้า
遅い
タイ語:3 ...ラオ語:5
เคย
したことがある
タイ語:0 ...ラオ語:3
แล้ว
数字の1
タイ語:1 ...ラオ語:2
ห้า
数字の5
タイ語:2 ...ラオ語:6
เหล้า
酒
タイ語:2 ...ラオ語:5
ลาว
ラオ
タイ語:0 ...ラオ語:3
สูบ
吸う
タイ語:1 ...ラオ語:6
บ่หรี่
タバコ
タイ語:01 ...ラオ語:12
เส้น
線・筋
タイ語:1 ...ラオ語:6
ซ่ป
スープ
อวก
นวด
タイ語:2 ...ラオ語:5
เลือด
タイ語:2 ...ラオ語:5
หนวด
ม้า
馬
タイ語:3 ...ラオ語:5
แก๊ส
タイ語:3 ...ラオ語:5(イサーン語:2?)
หรอก
タイ語:1 ...ラオ語:6
ดอก
タイ語:1 ...ラオ語:6
ปิ ด
タイ語:0 ...ラオ語:3
หมวก
タイ語:2 ...ラオ語:5
บ้าน
ฮอด
タイ語:2 ...ラオ語:5
タイ語:2 ...ラオ語:5
目
タイ語:0 ...ラオ語:1
つぶれる
タイ語:1 ...ラオ語:6
หู
อวด
ข้าม
ลอด
บอด
タイ語:1 ...ラオ語:6
タイ語:1 ...ラオ語:7
เลย
ตา
หนวก
〜した
タイ語:3 ...ラオ語:5
หนึ่ ง
タイ語:4 ...ラオ語:4
นอก
タイ語:2 ...ラオ語:5
บ้านนอก
อยู่ข้างนอกบ้าน
อยู่กลาง
この表で変換できない例もある。タイ語・ラオス語間で声調も異なり・スペルも異なる単語が存在するからだ。これらのケースに当
てはまる単語は、この表では導き出せない。
ปั ญหา
•
日本語では「問題」という意味のこの単語は、タイ語では
タイ語
•
ปั ญหา
だが ラオ語では
ບົນຫາ
とつづる。
เสีย
タイ語の意味は「壊れる」だが、イサーン語では「壊れる」の他、「失くす」という意味がある。
ช้า
•
タイ語では、
「遅い」の他、
「遅れる」という意味があるが、イサーン語では、
「遅い」という意味だけを持つ。
「遅れる」は、イサー
ン語では
สวย
という。
สวย
はタイ語では「美しい」という意味になり「遅れる」という意味は無い。
7.7 イサーン声調の練習
イサーン地方では、常にタイ語とラオ語を切り替えて発音する必要があるが、頭の切り替えが非常に難しく外国人がもっとも苦労する
点ではなかろうか。 タイ語とラオ語の切り替えを、次のような練習パターンを繰り返し読むことによって訓練すると良い。
次の文をタイ読み・イサーン読みで交互に繰り返し何度も言う。
ไม้
木
ใหม่
新しい
ไหม้
燃える
ไหม
ですか?
ไม้ใหม่ไหม้ไหม
イ:maai5 mai2 mai6 mai4
タ:maai3 mai1 mai2 mai4
ให้ผมแห้ง
イ:hai6 phom4 heng6
タ:hai2 phom4 heng2
ให้กินข้าว
イ:hai6 kin1 khaaw6
タ:hai2 kin0 khaaw2
ดีท่ส
ี ่ด
ດີທີ່ສຸດ
理解する
ต้องเข้าใจ
ຕ້ອງເຂົ້າໃຈ
稲妻が光る
ฟ้ าผ่า
vi:faa(3) phaa(2)
is:faa(5) phaa(2) ... ?
7.8 ラオ語の声調ぶれについて
ラオ語はしばしば声調が変化することがある。 声調の変化には一定の規則が見られる。 その規則を以下で説明する。
7.8.1
低子音字+มนง
表上で「低子音字+มนง」の部分は、ラオ語で最も地域によって発音が異なる部分である。 イサーン地方ではこの「低子音字+
มนง」を第五声調で発音する人が多い。この「低子音字+มนง」を第五声調で読む事により、イサーン語独特のまくし立てる様な勢
いのある話し方が生まれる。 また、女性を中心に「低子音字+มนง」を第三声調で発音する人も多い。 これは、この「低子音字+
มนง」を第三声調で発音するとやわらかな話し方になるという考え方があることによるらしい。
ラオス北部語や、ビエンチャン人は、この「低子音字+มนง」を第一声調で発音する人が多い様である。
7.8.2
低子音字+第二声調記号(x້)
表上「低子音字+第二声調記号」もしばしば発音が変化する部分である。ラオスの外国人向けラオ語教育で利用されている声調表に
よると
「低子音字+第二声調記号」は、第五声調で発音する様に教わる。イサーン地方・ラオス南部でも
「低子音字+第二声調記号」
を第五声調で発音する。
一方、ラオスの首都ビエンチャンの方言では
「低子音字+第二声調記号」を第五声調で発音せず、第三声調で発音する。 これは、タイ
語が「低子音字+第二声調記号」を第三声調で発音するのと等しい。実際の聴感覚上も、とてもラオ語的でなく、タイ語的な響きを
感じさせる。
7.8.3
イサーン方言の語尾変化
ラオ語に於ける「高子音字+第二声調記号」は、低声である第六声調で発音される。
・五声の六声化
เดีย
๋ วนี้ (45)→ (46)
เมื่อวานนี้ (235)→(236)
บักอันนี้
นี้
จอดที่น่ี
ฟั ง →
イサーン語は?
ฟั ง
聞く
ฟั น
歯
กินอยู่
กิน
タイ語:平(0) ... ラオ語:平(1)
กินอยู่
タイ語:低低(10) . ラオ語:中平(12)
余談:
タイ語:ปั ญหา
ラオ語:ບັນຫາ
-> ラオ語の声調1は 次に来る声調が声調5の場合 声調2に変化するかもしれない。
これは声調1の音程が可変であるという理論の補強材量になるかもしれない。
タイ語
ตาด่า
これもひょっとしたら 0 1 とは読まないかもしれない
ป่ ูด่า
これと同じように 1 1 で読むかもしれない。
7.8.4
声調の変化について
44・ที่
ที่
は タイ語だとタイ第二声調(高)
ທີ່ດິນ
ラオ語だとラオ第二声調(中)
ところが、ニターンコームでこういう例を見つけた。
ニターンコーム第四段 出来ましたよ!
นิ ทานก้อมช่ดที่ส่ไี ด้แล้วกรับ
ni(3->2) thaan(3) koom(5->6) chut(7) thii(2->5) sii(2)
dai(5) leew(5) krap(1)
ที่
は タイ語とラオ語で同じスペルだ。しかし、この場合の読み方はラオ語の正しい声調である第二声調ではなく、タイ語と同じ第五
声調に変化している様だ。
この様にタイ語とラオ語でスペルは同じでかつ、タイ語とラオ語で違う発音が適用される場面で、イサーン語はタイ語と同じ発音を使
う事がある。
Sun, 19 Sep 2010 23:36:32 +0700
=> ひょっとしたら、イサーン語で 低子音+マイエークは 第五声調なのかもしれない。
ย่า は何と読むだろう
ค่ณย่า /// お婆さん~父方~ 父の母,[おばあさん~ちちかた~,ちちのはは] / khun yaa
บ้านว่าง /// 空き家,[あきや] / baan waang
7.8.4.1
イサーン語訛りの再現方法
タイ語から
ラオ語から
7.9 タイ語の辞書をラオ語の辞書として利用する方法
6・ラオス語には二重子音が無い。(タイ語でも口語では二重子音を省略するが、書き言葉では省略しない。)
メモ・
・ 二重子音の時の声調は、1つ目の文字の高さにしたがう
แกล้ง โกรธ
5・ช の発音が異なる。
タイ語は Ch で発音するが、ラオス語では S と発音する。タイ語では Ch と S の発音を区別し、それぞれ違う文字
てられている。 ラオス語には Ch の発音がなく、ช しかない。
1・代名詞・人称代名詞を含む・頻出基本単語がタイ語と異なる。
ชซ
が割り当
2・多くの単語で (ร/r)が (ฮ/X)の発音に変わる
รัก
愛する タイ語:ラック → イサーン語:ハック
รับ
受け取る タイ語:ラップ → イサーン語:ハップ
รำา
ぬか タイ語:ラム → イサーン語:ハム
4・ルール3が適用されない単語は全て (ล/L)に変化する。
7・語順のルールがかなり違う。 タイ語には倒置表現が無いが、ラオス語・イサーン語にはある。
(下記参照)
ラオ読みすると意味が解らなくなる単語
ยิ้ม /// 微笑む, 微笑み,[ほほえむ,ほほえみ] / yim [smile, to beam, to smile]
อิ่ม /// 満腹になる, お腹がいっぱいになる, 飽きる,[まんぷくになる,おなかがいっぱいになる,あきる] / im [ be full, be
satisfied]
コラム・方言を学ぶ意義について
外国語を学ぶ際、標準語にこだわって学ぶ人は多い。しかし、標準語だけを学ぶのは決して良い学習方法ではない。確かに言語には
あらゆる方言が存在し、これらの全てを学ぶことは不可能である。学習語に出来るだけ多くの人に通用するようにと標準語を学ぼう
とするのは自然な心理であろう。しかし、これは決して良い方法ではない。ほとんどの人は標準語を話さないからだ。あまりにも標準
語にこだわって学習しすぎると、周囲の人が言うことのほとんどを聞き取ることが出来なくなる事もある。また、本当に正確な標準語
を話す人は多くの場合少数派であり、薮から棒に標準語を話すとなかなか通じ辛いことも多い。特に旅行などで場末に行った際に標
準語を話すと、相手に取ってはあまりにも意外な出来事である事が多く、どんなに正確に発音しても通じないことすらある。
方言の発音の変化には規則がある。知識として持っているだけではなかなか聞き取れない物ではあるが、知っていれば少なくとも未知
の発音の変化に出会った時、自分の中で発音の傾向を調整する機会を作りやすい。
以前、筆者は、こういう体験をしたことがある。ある夜、カオサン通りに行く際、タクシーを拾った。その時、ソイ・サムセン・3という
場所に向かおうとしたのだが、タクシーの運ちゃんは行き先を聞くなり、
「トイタムテンタームトー?」と聞き返して来た。何を言おう
としているのかしばし考えてしまったが、人によってサの発音がタの発音に変化する人が居ることを知っていたので
「ソイサムセンサー
ムですか?」と言っているのだと理解することが出来た。
ラオ語にはタ行とラ行の混同が見られ、人によってはタ行とサ行の間にも混同が見られる。タクシーの運ちゃんはラオ系の人では無
かったが、明らかに北方アジア系の顔つきの人だった。ひょっとしたら中国のある地方にサ行がなくタ行しか存在しない言語を話す地
†
方があるのかもしれない、と筆者は思った 。
†
筆者が最近知ったところによると、中国南部の雲南省で話される方言 昆明話に、ラオ語と同じようなラ行とタ行の入れ替わりが存在するらしい。( 你个在那里 「ニーガツァイナーティー」)
コラム・タイ語とは
タイの公用語は中央タイ語であるが、国内でネイティブとして話されている言語は圧倒的にラオ語系の言語が多いのではないか。例
えば、タイで話されるほとんどの言語で、二人称代名詞「あなた」をラオ語と同じチャオと言うことなどがあげられる。多くのタイで話
される言語の中で
「あなた」をクンと呼ぶのはタイ語だけである。この様なタイ語が特殊だと感じさせる例はたくさんある。タイで話さ
れるほとんどの言語で、カバンのことをトンと言うが、タイ語だけが「ガッパオ」と呼ぶ。 タイ語は特殊である。
筆者が今までに知ったラオ語タイ語の亜型は、タイヤイ語・タイノイ語・ラオイサーン語・ラオビエンチャン中央語・北部ラオ語・
南部ラオ語・タイ語・タイバンコク語・タイ南部語・北部タイ語とある。「〜ですか?」の事をほとんどのタイ語ラオ語の亜型で
「メーンボー」ないしは「メーンコー」といった「メーン」を基調とした言い方をするが、その様な中でタイ語だけが「チャイマイ」と
「メーン」を基調としない言い方を使う。
中国語で
「チャイマイ」に相当する言葉は
「是吗(シ-マ)」である。中国人が言う
「是吗」は、バンコク人がいう
「チャイマイ」の言い方と酷
似している。一般的に華僑の人たちは早口な物だが、彼らが発音する
「チャイマイ」は、
「チャイマイ」というよりは
「チャバ」とか
「シマ」
†
とかいった発音に非常に近い発音である 。中国語でカバンのことをガッパオと呼ぶが、タイ語のガッパオという言い方は恐らく中国
語の言い方ではないか。この様にタイ語はラオ語タイ語亜型の中で、特に中国語の影響が多く見られる。
上記のとおり、二人称代名詞「あなた」をほとんどのタイ語ラオ語亜型で
「チャオ」と言う。加えてタイ語であっても古語は
「チャオ」と
呼んでいたようである。タイの時代劇で使われる二人称代名詞は大抵「チャオ」である。タイ語の二人称代名詞「クン」
「ター」
「チャ
ン」はどこから来たのであろうか。一説によると、これは中国語の・海南・潮州方言ではないかという。 恐らくだが、この中央タイ語
の特殊性は、近代になって海南島などから渡って来た華僑の影響であろう。
一体タイとは何なのだろうか。先日、筆者は初めて中国南部に住むタイ族の人と話した。中国南部のタイ族はバンコクのタイ族と異
なり、華僑の影響を受けていない筈である。その人が話す言葉はほとんど北部ラオ語の様だった。2005年に初めてタイに来て、イ
サーン人の方がよりタイ人っぽい、つまりバンコク人のほとんどは中国人であってタイ人ではない、ということを感じていたのだが、こ
れが大体裏付けられた感じがした。 つまり、タイ族というのは、元々ラオ族だったのではないか。
中国南部に住むこのタイ族の人は、自分の聞き間違えでなければ中央タイの
「チャイマイ」ではなくラオと同じ
「メンボー」と言っていた
様に思うが、はっきりとした確証がない。聞き間違えかもしれない。僕があった人は数少ない昆明に住むタイ族の方だったのだが、中
国国内でタイ族が住むことで有名なシップソンバンナー区に住むタイ族の人がどういう話し方をするのか、興味のあるところである。
もしも、あまり高度な産業文明を持たず、少数民族のひとつでしかなかったタイ族が純血のタイ民族にこだわって華僑を受け入れな
かったら、バンコクはあっさり敗北し、この地はフランスやビルマ・日本に乗っ取られていたであろう。タイ族は、国にたくさんの華僑
を受け入れる代わりに外国人に土地の所有を認めず、外人とタイ人の子供にだけ土地の所有を認める、という方法を使って、有能 な
華僑を生かさず殺さず受け入れて来たのではなかろうか。
タイ国内ではしきりに「我々はタイ人だ」という宣伝が流される。これも国民がタイ人ではないからであろう。
これはタイでは絶対に口外してはならないタブーだが、タイの王はタイ族出身ではない。中国人である。これはタイが華僑に乗っ取ら
れたという意味ではなく、タイの意図的な戦略であろう。タイ人は、敢えてタイ人でない華僑の王を国の頂点に据え実権は軍が握りそ
の王を軍が操りつづけるという方法を使って、華僑を操り続けてきたのであろう。その証拠に、軍の思い通りに動かなかった王達が何
度も怪死を遂げている。恐らく軍に暗殺されているのであろう。この様に他人をコントロールする高度な戦略を駆使することで、タイ
という国を強く発展させて来たのであろう。
タイの軍隊にいる兵隊のほとんどはラオ系である。それは華僑などお金を持っている人が、徴集担当を買収する事で兵役を逃れてい
るからである。悪習慣だと思われがちだが、これをタイ族が黙認しているのも、ひとつの戦略でなかろうか。軍が王を操り華僑を牛耳
るという構図を維持する為には、軍の中に華僑が少ない方が良い。軍の中に華僑が多くなり過ぎると、構造的に軍の権力が崩壊して
しまうからである。(もっとも、タイ国内で少数派である華僑が軍の中で多数派を占めることは困難であろうが。)
†
マとバの混同はこの地方の言語にたくさんあふれていいて珍しくない。日常の言い間違えだけでなく โรคเบาหวาน ロークバオワーンを ロークマオワーンと呼ぶ地域すら存在する。この様に、単
語の発音自体が変化したまま定着してしまっている例もある。
一部の華僑はこうやってタイ族に利用されている事に気がついている。しかしその事に気がついているということを知られると強力な
軍隊を持っているタイ族に殺されることもある。だから絶対に気がついていることを知られてはならない。2003年のタイクーデ
ターの際、多くのバンコク人は、口ではタクシン追放を叫んだ。しかし彼らも裏ではタクシンを応援している。 黄シャツの多くは、飽く
までもタイ族が力を持つ軍に扇動されたバンコクの貧困層であり、華僑とは若干立場が異なる人たちではなかろうか。一方、赤シャツ
の多くは華僑に煽動されたラオ族である。
2003年のタイクーデターで国外に追放されたタクシン元首相は、タイ族の手の上で転がされた有能な華僑の典型であろう。有能
なタクシンは、劇的なスピードで国のインフラを整備し、驚くべきタイ国の大発展に貢献したが、同時に国内に強力な権力を作り上げ、
もした。脅威を感じた軍族は、汚職などのスキャンダルをでっち上げることにより、最終的にタクシンの財産を没収し国から追放した。
これはいわば、タクシンがタイ族に利用された挙句に捨てられ、タイ族の巧妙な嘘によってすっかり悪者に祭り上げられたといえはし
ないか。一方、タクシンも人権外交などの西洋側の嘘を総動員してタイ族(軍)を攻撃している。 この様に華僑とタイ族が狐と狸
のばかしあいよろしく、壮絶な足の引っ張り合いをしているのが、タイと言う国の本質ではないか。
タイ族は極めて優れた国の運営戦略を持っている。敵にあえて自分の肉を切らせる事で国を強化し、負けを装って敵と同化し、10
0年〜200年という時間をかけ、最終的に敵の骨を断ち敵を自分の足元にひれ伏させる。
華僑の影響を受けていないタイ族というのは、一体どこから来たどの様な民族だったのだろうか。多くの説がある。しかし現実には口
がすべらかなタイ族の言うウソがたくさん混入している筈であり、一切は謎の筈である。
自分の能力を使わず敵の力を使って敵を倒すタイ。一方、日本はタイとはまったく逆の様である。かつて強力な軍隊を持ち、アジア最
強国として無敵を誇った。しかし海に囲まれ、大陸の複雑な文化を背景とした騙し騙される人間関係にまったく慣れていない日本人
は、魑魅魍魎あふれる国際社会の中で、相手の戦略にまんまとはまってしまいやすい。日本人は、今なお騙され続けている。
7.10
イサーン語の独自性に付いて
イサーン語が独自に持っている要素は少なくない。
イサーン語は、タイ国内ではタイ語の東北方言として考えられているが、その実体はタイ語ではなくラオ語である。 では、イサーン語
が、ラオス国内でラオスの標準語であるラオ語と同じだと考えられているかといえば、決してそんなことはない。イサーン語は、ラオス
国内でもラオ語の方言と考えられている。ラオス標準語とも相当な違いがある。 タイ標準語とラオス標準語を比較してみると、似て
いる要素が多い。イサーン語だけがタイ語ともラオス語とも異なるという要素が多く存在する。バンコクでタイ語を話すことが出来
て、ビエンチャンでラオス語を話すことが出来ても、決してタイのイサーン地方でイサーン語を理解して話せる様にはならない。
以下で、イサーン語の独自点を考察してみる。
7.10.1
7.10.1.1
発音の変化
เอือ
(wua) の
เอีย(ia) 化
ラオス語で帰宅を表す「ムアバーン」が、イサーン語だと「ミヤバーン」に変わってしまう。
7.10.1.2
7.10.1.2.1
子音の変化
จ(c) の ก(k) への変化
例えば、「中国語(ภาษาจีน /パーサーチン)」 が、パーサーキンに近い発音に変わる。
7.10.1.2.2
ม(M) の บ(B) 化
果物を表す「マク」の発音が限りなく「バク」の発音に近づく。
マクナッ(パイナップル)=>「バクナッ」
マクナオ(ライム)=>「バクナオ」
หมด
7.10.1.2.3
モット=尽きる の発音が限りなく「ブット」に近づく。
ท(TH) の ค
(KH) 化
ex1)
タイ
นำ้าท่วม
ラオ
ນຳ້ຖ້ວມ
イサ
นำ้าค้วม
ex2)
จักเทือ -> จักเคีย
チャクトゥア → チャクキヤ
ค(KH) の จ(J) 化 (ミー語?)
ex1)
ขี่ -> จี่
ขี่มอเตอร์ไซค์
จี่มอเตอร์ไซค์
ซ(ช) の ต
化 (ミー語?)
ลูกชิน
้ -> ดูกติ้น
中国訛り?
ソーイタームテーンタームトー?
ต(T) の พ(PH) 化
ติง -> พิง
ต(T) の ด(D) 化
(稀、あるいは、単語に依る?)
田んぼ仕事=「ヘッナー」 が、イサーン語だと、まれにタイ語の「タムナー」になる。
それがさらにダ行に変化して「ダムナー」になる。
=> 間違い
Sun, 19 Sep 2010 23:44:04 +0700
ดำานา /// 田植えをする,[たうえをする] / dam naa
ว (W) の บ(B) 化
อวด -> บวช
วัด -> บัตร
の様に聞こえる
の様に聞こえる
以下、タイ語とラオ語の音声変化に付いて論じる。
・寺・風邪
หวัด วัด
・M と B
第三声調(中高)の第五声調(高低)化
7.10.1.3
「チャオユーサイ?今どこに居るの?」「ユーナーニラ・田んぼだよ!」のナーの発音が違う。
「ワオラオダイボー?=ラオ語話せる
の?」ラーオ
7.10.2
ลาว
の発音が違う。
敬語の違いについて
10・敬語
タイ語では、語尾に ตรับ/คะ をつけると敬語になる。ラオス語には、ตรับ/คะ に相当する単語が存在せず、代わりに語尾に代名
詞をつける。
ラオス語では、代名詞自体に敬意のレベルがある為、つける代名詞により敬意の程度を表現することが出来る。
「サバイディーチャオ」
「こんにちは!」
「キンカーウナムネー・ポーニャイ」
「おっちゃん! 俺も一緒に飯を食う!」
「スィアコイークレウラ・ムン!」
「おめぇ、また不幸に出会ったか!」
19・目下の人に謙譲語
通常、女性は คะ 男性は ครับ だが、相手の立場に合わせて相手の語尾形で話すことがある。相手に対する親切心の表明だが、相手
が目上の人の時はやってはいけない。詳しくは不明。
語順変化・カムクラップ คำากลับ について
7.10.3
(未稿)
ラオ語らしい表現について
7.11
「サティーーーーー」
7.11.1
筆者の推測「บ่ดีสก
ั ที่ ボディーサクティー=どこも良くない」の超省略形ではないか。
「あの人、かっこいいよね」
「サティーーーーーーーーーー=どこが!」
「テーーーーーーー」
7.11.2
筆者の推測「คักแท่ カックテー=いいじゃん」の超省略形。 ほとんどテーしか聞こえない。
「みてみて! この新しいバイク!」
「カク テーーーーーーーーーーー 」
この แท่は超頻出表現で、いろいろな用途がある。
たとえば
คื่อ
〜
แท่
で「〜みたいだ」という意味になる。
「คื่อหลับแท クラップテ=寝ちゃったみたいだ」
7.11.3
「マピーーー」
筆者の推測「タイ語
มานี่
マーニー=ここに来なさい」のラオ表現らしい。
「ご飯出来たよーーーー マピーー! マピーー!」
他にも状況によって「ここ=นี่ ニー」が「ピー」に変化する事があるらしい。
7.11.4
「チャック!」
→1.「รู้จัก・タイ語 ルーチャック・イサーン語 フーチャック=知っている」のラオ式 強調省略
「それ、あの市場にいけば30バーツで売っているよ」
「チャック!(知ってるよ!)」
注:文脈によって「บ่รู้จัก ボーフーチャク=知らない」の省略である場合もある。
「それ、あの市場にいけば30バーツで売っているよ」
「チャック!(知らなかったよ!)」
※ 肯定と否定のどちらの省略であるかを判定する為には、正確に空気を読む必要がある。日本人的には非常に難しい空気の読み方
ではあるが、イサーン人はこの程度の空気読みは子供ですら軽くこなす。これは筆者が日本人が空気を読むのが下手であると考える
大きな根拠である。日本人が外国にゆくとしばしば
「○○人は空気読めない」という苦情を述べるが、この発言自体が、この発言者自
身が空気を読むのが下手であるという事実に対する、ひとつの証明である。
→2.
บ่~จักตัว
・ ボ 〜 チャックトゥア(少しも〜ない) の強調省略
「息子さん、会いにきた?」
「チャック!(きやしねぇ!)」 [TODO](この例文だと「知らねぇよ!」の意味とも受け取れるかも。要確認。)
7.11.5
「ドゥ?」
イサーンのみ、噂ではラオス語では言わないらしい。 筆者の推測「・・・してみ?」
「กินดู๋ キンドゥ? 食べてみ?」
「เบิงดู๋ ブンドゥ? 見てみ?」
7.11.6
「スムースムー」
「ฝนตกส่มือส่มือ フォントックスムースムー 連日雨が降る」
この連日という表現、イサーン語では強調表現にすることが出来る。
強調になるとスムーの一つ目を裏声で発音する。
7.11.7
「ボメンネウデ」
筆者の推測「大した事ない」
แนว(?)は、物事全般を表す言い方で、いろいろな使い方がある。
แนวกิน
で 食べ物という意味になる。
また「มันบ่เมนแนวดี マンボメンネウディー」 で「決して褒められた話ではない」
という意味になるらしい。
7.11.8
「パイ」
「タイ語 〜รึยัง 〜しましたか?」のイサーン表現(ラオス語でどう言うかは不明)
「
กินข้าวไป
キンカーウパイ? もうご飯食べた?」
「อยู่เมืองไทยโดนแล้วไป ユームアンタイドーンレーオパイ? =タイはもう長いの?」
7.11.9
「บาดมีด バットミート=ナイフで怪我をする」
タイ語では、正しくは มีดบาด ミートバットというのだけど、イサーン語だとこの語順がしばしば逆になる。筆者の予想では、普通「S
+V」で事象を表す表現になるところを、イサーン語では
「V+S」とひっくり返してつなげることにより動名詞化する事が出来るのでは
ないかと思う。タイ語にはこの倒置動名詞表現は無く、これが、非常にイサーンっぽい響きになる。このことをカムカップ คำากลับ
(逆さ言葉)と言うらしい。
イサーン語
タイ語
บาดมีด
มีดบาด
ミートバット
(ナイフで怪我する)
イ語
เกิบขับหนา
ラ語
ຫມາຂົບເກີບ
日語 犬が靴を噛む
ກັດ
バットミート
イサーン語
タイ語
ตำาส้ม
ส้มตำา
タムソム
ソムタム
(タイの青パパイヤサラダのこと)
イサーン語
タイ語
เจ็บหำา
หำาเจ็บ
チェップハム
ハムチェップ
(チンコが痛い)
イサーン語
タイ語
ตำาหัว
หัวชน
タムホア
ホアチョン
(頭をぶつける)
7.11.10 「ハイニー」
7.11.11 「トゥア」=なら
・トゥア=〜だから〜だ
カマオトゥアキンラオラーイ
酒をたくさん飲むから酔っ払うんだよ
→ キンラオラーイトゥアカマオ
→ キンラオラーイカマオトゥア
・トゥア=もし〜なら 〜の筈だ
パイレーウトゥアアウロットパイ
行ってしまったなら乗り物(オートバイ)も乗って行った筈だ
→ アウロットパイトゥアカパイレーウ
→ ボミーロットトゥアパイレーウ
7.11.12 「ムアチャオダイパイパテートラオ」
ラオス語・いつラオスに行きましたか?
เมื่อไร ムアライ・ イ
サーン語 เมื่อได ムアダイは、ひとつの単語なので分割できない(と思う)。 だけど、ラオス語では、時を表すเมื่อ ムア、過去を表
す ได้ ダイの二つの独立した単語になっているらしい。
以下で説明する要素は、イサーン語にはなく、ラオス語にしかない要素らしい。WHEN を表す単語 タイ語
だから、上の例文の様に
「いつ行きましたか?」と聞くときは、正しくはムアとダイの間に主語がくるらしい。ただ、これは文語か敬語の
みらしく、口語では、タイ語やイサーン語と同じように聞くこともあるような気がする。(不明)
つまり、タイ語の定型文「เมื่อไรจะได้ไป ムワライチャダイパイ」 をラオス語に訳すと語順が変化する。
11・คื่อสิ クシ
タイ語で อาจจะ アーチャ が イサーン語で อาจสิ に変わるケースと คื่อสิ に変わるケースとがある。この様に、文脈を説明す
る表現がタイ語よりラオス語の方が多く、1:1で結びつかないケースが多い。
7.11.13 คืに ついて
日本語(これとこれは)同じだ
タイ語 (〜
กับ
〜
เป็ น) เหมือนกัน
ラオ語 (〜
กับ
〜
เป็ น) เป็ น คืกัน
基本的にタイ語の
เหมือน
は ラオ語では
คื
に訳されるが、用法に大きな違いが存在する。
ラオ語
คืสิเหมื่อย
タイ語
รู้สึกว่าเหนื่ อย
日本語 何か疲れている様な感じ
上記のラオ語の คื の使い方はタイ語には存在しないので違う言い方で言い換える必要がある。คืは、(恐らく)状態を説明する文
を表すための関係代名詞で、ラオ語独特の言い方である。
タイ語
ทำาไมเป็ นแบบนี้
ラオ語
เป็ นหยางคืเป็ นจังซี
日本語 何でこんなことになってるの?
上記の様に、ラオ語では状態を表す文の前には、必ず明示的に
ラオ語
คืดแ
ี ท
タイ語
ดีนะ
คื
を挿入する必要がある。 タイ語には必要が無い。
日本語 いいね
日本語 以前と同じ
タイ語
เหมือนเดิม
ラオ語
คืเก่า
7.11.14 「マン」 มัน
最後に
มัน
マンをつけると何だかイサーン語っぽくなる。
この時
มัน
は タイ語の第二声調ではなく、イサーン語っぽく第三声調で発音する。
カイマン「こいつの卵」
キーマン「こいつのクソ」
ルークマン「こいつの子供」
ターイマン「こいつ(やっと)死んだ」
(これはイサーン語にしかない強調倒置で、タイ語ではマンターイとしか言わない)
レンロックロックハイマン「こいつにロック風の鎮魂歌を演奏してやってくれ」
(シアンイサーン VOL 4より)
7.11.15 業界トーク
イサーン語で人の話を聞いている時、話をいくら聞いてもわからない事がある。これは往々にして
「業界トーク」である可能性がある。
12 歳で農業に従事して以降 60年、農業一筋で生きてきた、という様な筋金入りのファーマーは、自然に対する洞察力、自然と共
に暮らすノウハウ、共に、凄まじいものがあり、そうやって一筋で生きてきた人にしか 理解し合えない話がたくさんあるようだ。その土
地の 土の質、水の流れ、生息する動物の 傾向に至るまで、丸で自分の体の一部の様に熟知して感じていて、同じ土地で同じように農
業を している人だけが、分かり合える話があるみたいだ。
当然だけど、そういう話は、いくら聞いてもわからない。
イサーンの人は月を見れば大体の時間と日付を言い当てる事が出来るらしい。月の出・月の入を覚えていて、月の形とその入りの時
間を見ることで、当てるらしい。まるで カレンダー要らずだ。別に特異技能とかではなく、その辺のおばちゃんでも 当たり前のように
それが出来るらしい。
そういう自然に対する観察力が文化や感受性として備わっているんだなぁと思った。
7.11.16 「ワサン」
ワオサン(そう言っている)の省略であるらしい。
数年前、センタンワールドの高級小物屋店に入ったら、店員さんが近寄ってきた。それで様子を伺いながら
「ハロー」って言ってきたこ
とがあった。 で、何となく「ハローワサン」って返事をしたことがあった。
このワサンっていう言い方はイサーン語・ラオス語特有の言い方だ。
เวาสัน ワオサンの口語省略形で「〜だって」っていう意味だ。
だから
「ハローワサン」っていうのは
「はぁ? ハローだって。」っていう意味になる。しかもイサーン語なので、この表現を使うと、自分
が田舎出身のラオス語話者だということが知れてしまう。
その時一緒にいた連れはイサーン人だった。それを隠しながら一生懸命バンコクで生きていた。店員さんもひょっとしたら、口には出
さずとも、イサーンの人だったかもしれない。違ったのかもしれない。外人の筆者を見て何とか営業成績を伸ばそうと必死で英語を話
していたに違いない。そういう筆者等を下にも置かない彼を見て、イサーン人のいつも差別で苦労していた筆者の連れは多少勇気づ
けられたかもしれない。
今改めて考えてみれば、そういう中に置いて、この短い言葉「ハローワサン」という言葉は、極めて効果的に全ての建前を破壊する言葉
だった。筆者がそれを言うことにより、筆者がその小物を買う気がサラサラないこと、連れがイサーン人であること、この外人がタイ語
はおろかイサーン語すら話すこと、つまり金は大して持っていないだろうことなどが、一瞬にして伝わる。
今はそういうことあまり言わなくなった。
ちなみに ワサンは強調出来る。 強調する時は ワサーーン と伸ばして言う。
「コーグンネー 金ちょうだい!」
「(裏声で)ホーーーー!コーグンネーワサーーーーーーーーーン 」
極めて強い遺憾の表明として利用する。
7.11.17 「トゥー」
おじいさん・おばあさんの敬称らしい。 ポートゥー・メートゥーと言う風に使う。
7.11.18 「パートーゥ/パテトーゥ」
驚いたときの感嘆詞
7.11.19 「ハームンウーイ」
7.11.20 「バニ」
バティーニ
บ่ท่น
ี ่ี boa thii nii の短縮系か?
語感・リズム感を調整する為に最後につける。
มันไปแล้วบะนิ
マンパイレーオバニ あーあ行っちゃったよ!
7.11.21 「メーンボーー」=ホントかよ!
メーンボーは声調にいくつかの変形があり、それぞれ意味が異なる。
声調記号どおりに発音する
「メーンボー」はもっとも普通の
「〜ですか」という意味である。ボーを第一声調で発音すると、
「あぁそうな
んだ」と言うような、既に知っている事実に対する確認としての意味に変る。
また「メーーー↓ンボ↑ーー!」と声調を変化させる事により、強い疑いを表明できる。
「スィダイガンセンバーッネー 絶対10万バーツ稼げるよ!」
「メーーーン↓ボーーー↑ ホントかよ!!(信じる訳ないだろ) 」
ボーだけを強調する事も出来る。 「ブワァ」と変化する。
「ボダイパイナムカンボー? 一緒にいかなかったの?」
「ブワァ (行く訳ないだろ)」
7.11.22 เหมือนจะเหนื่ อย ≠ คือสิเ่ หนื่ อย
คือ
は、恐らくラオス語では関係代名詞である。この場合、タイ語には対応する関係代名詞はないので、これを เหมือน と置き換え
てはいけない。しかし見てわかるように非常に紛らわしく、イサーン語ネイティブのはタイ語を話すとき、これをよく間違える。
7.11.23 語尾2
ハンナ
ナンナ
プンナ
ケース1 (ほら!)
A カチェーユーサイ?
B ユーボント プンナ!
ケース2 (ほんと?!)
A コイワオダイサムパーサー
B プンナ!
ケース3
そばで何かが爆発「バーーーン」
「プンナ!」
อกหักซำ้ าบ๊อยบ่อย
7.11.24 ペンタ
ペンタスィー
35・ポップカン
Sat, 28 Aug 2010 18:52:05 +0700
ポップカンの事を口語ではヘンカン(ヘンナーカン)と言うらしい。
7.11.25 サム・スム・パン・程度を表す言葉
ワオボダイパンダイ
サムニー
スムニー
パンニー
7.11.26 匂い=キウ
7.11.27 ケームカン
เค้มกัน = ผสมกัน ?
7.11.28 カサン・ボサン
อยากไปนำาแน่
กะซังกะไป
บ่อยากไปโนะ
บ่ซังกะไป
ກະຊັງກະໄປ
ペンタサン
แปนตะซัง
7.11.29 テキー
7.11.30 バティーニ
7.11.31 すぐ帰る
อย่าพึ่งกลับ
すぐ帰らないで
กลับง่ายบ่
すぐ帰るか?
มาบ่ง่าย
すぐには来ない
Thu, 30 Sep 2010 15:43:05 +0700
Q7. レーウカプーダイサンカー の サンは 敬語だろうか。
Thu, 30 Sep 2010 15:49:50 +0700
マンペンパイサイサンナー
ボメンクンメーバンイェンカプーダイサンカー
7.11.32 声調記号を伴う促音節 とイサーン語について
1.中子音+短母音+促音節+第二符号=下声
จั้ก
どしゃぶりの
2.中子音+短母音+促音節+第三符号=高声
โต๊ะ
机
ด๊่กแก
やもり
ป๊ ูบปั ๊ บ
すぐに
3.低子音+短母音+促音節+第一符号=下声
ค่ะ
はい(女性)
ล่ะ
〜かい? 文末強調詞
มักกั้ก
でぶの
Q7. レーウカプーダイサンカー の サンは 敬語だろうか。
Thu, 30 Sep 2010 15:49:50 +0700
マンペンパイサイサンナー
ボメンクンメーバンイェンカプーダイサンカー
7.11.33 ラオ語らしい単語
タイ語では複合した単語でもラオ語だと単一で意味をなすことが多い。
タイ語
ร้องไห้
泣く(イサーン)
あげる
ไห้
ให้
Q2.แล่น /
ย่าง
はイサーン語か。
A2.ラオ語の辞書に書いてある。ແລ່ນ /
Q2+1. ところで、この単語
ແຍ່າງ
แล่น / ย่าง
は、タイ語の辞書にも書いてあるが、これは本当にタイ語でも使われるだろうか。イ
サーン語と混乱している可能性は無いのだろうか。筆者が使っているタイ語の辞書は正式な辞書ではないので間違っている可能性が
ある。 タイの正式な辞書で確認する必要があるだろう。 (Fri, 24 Sep 2010 22:46:00 +0700 )
Q4. カイレーウのカイは何と書くだろうか(Fri, 24 Sep 2010 22:40:57 +0700 )
ไขปั ญหา /// 問題を解く,[もんだいをとく] / khai panhaa
Q5. スーファン(もう一度聞く)は、どうやって書くだろう。 辞書で調べること。
+ ソー
ສໍ້ → interrogate/ cheat
ส่อ /// 表す, 暗示する,[あらわす,あんじする] / soo
7.11.34 だるまさんが転んだ
イサーン地方には、日本で言うところの
「だるまさんが転んだ」の様な遊びがある。この遊びを始める前の掛け声は次のとおりである。
「だるまさんが転んだ」の全編
ก้ง
่ เผาเยอรมัน สองสามวันจะไปอังกฤษ ไปแล้วอย่าดึกดิก ท่าดึกดิกจะดอนตี
余談ではあるが、
「ざまあみろ」という言葉にも
「だるまさんが転んだ」の様な掛け声が存在する。その言葉の全貌は次のとおりである。
「ざまあみろ」の全編
สมนำาน้า หัวคาราจน ไปกินปอกก๊อก แซบบ่อ แซบบ่อ
間違えやすい単語 : ファン 3+1
ฟั ง /// ~を聞く, 耳を傾ける, 信じる, 信服する, 服従する,[~をきく,みみをかたむける,しんじる,しんぷくする,ふくじゅうする] /
fang
ฝั น /// 夢を見る, 夢,[ゆみを みる,ゆめ] / fan
ฟั น /// 【体】歯,[は], 切る, 切り刻む, 切り裂く, 叩き切る, 切断する,[は,きる,きりきざむ,きりさく,たたききる,せつだんする],
【俗】H する,[えっちする] / fan [tooth,
ฝั่ ง /// 岸,[きし] / fang
โน่น /// あれ, あそこ,[ー] / noon
ข้าง /// 方 ~左、右など位置を示す~, 側 ~左、右など位置を示す~, 縁, 部位, 部分,[ほう,がわ,~ひだりがわ,みぎがわなどいち
をしめす~,ふち,ぶい,ぶぶん],【類】何本~腕・足など~,[なんぼん,うで,あしなど] / khaang,khang [side]
ด้าน /// 側, 側面, 面, 方面,[がわ,そくめん,めん,ほうめん], つや消しの,[つやけしの], しびれた, 痛みのない, 羞恥を感じない,
[しびれた,いたみのない,しゅうちをかんじない], 硬い, 固まった,[かたい,かたまった], 暗に意味をほのめかす, 不発の,[あんにいみを
ほのめかす,ふはつの] / daan [side; sector; aspect; field; area; to be callous; to be inured to shame;
rough; hardened; misfire; to fail to explode;]
ไปไม่ทัน /// 遅れる, 間に合わない,[おくれる,まにあわない] / pai mai than
ย่อ /// 省く, 略す, 縮小する, 要約する,[はぶく,りゃくす,しゅくしょうする,ようやくする], 姿勢を低くする,[しせいをひくくする]
/ yoo
ย่อย /// 消化する, 細かくする, 細かい, 小さい, 零細な, ささいな,[しょうかする,こまかくする,こまかい,ちいさい,れいさいな,ささ
いな] / yoi [digest,divide; be devided; separate; split, minor; small; subordinate]
ยอ /// ごまをする, お世辞を言う,[ごまをする,おせじをいう], たも網~持ち上げる取っ手のついた魚をすくい取る四角い網~,[た
もあみ~もちあげるとってのついたさかなをすくいとるしかくいあみ~] / yoo [praise; flatter; extol; laud, square dip
net; kind of fish-trap, ]
จ่าย /// 支払い, 払う, 支払う, 分ける, 分配する,[しはらい,はらう,しはらう,わける,ぶんぱいする] / caai[pai, pay; spend,
distribute; disburse; divide]
ใช้ /// 使う, 使用する, ~時間が~ かかる,[つかう, しようする, ~じかんが~かかる] / chai [use]
33・今更聞けない月の呼び方のおさらい
มกราคม /// 1月
ก่มภาพันธ์ /// 2月
มีนาคม /// 3月
เมษายน /// 4月
พฤษภาคม /// 5月
มิถ่นายน /// 6月
กรกฎาคม /// 7月
สิงหาคม /// 8月
กันยายน /// 9月
ต่ลาคม /// 10月
พฤศจิกายน /// 11月
ธันวาคม /// 12月
มกราคม /// 1月, 一月~龍~,[いちがつ] / dwan makaraa khom
ก่มภาพันธ์ /// 2月, 二月~鍋~,[にがつ~なべ~] / dwan kumphaa phan
มีนาคม /// 3月, 三月~魚~,[さんがつ] / dwan miinaa khom
เมษายน /// 4月, 四月~羊~,[しがつ] / dwan meesaa yon
พฤษภาคม /// 5月, 五月~牡牛~,[ごがつ] / dwan phrutsaphaa khom
มิถ่นายน /// 6月, 六月~双子~,[ろくがつ] / dwan mithunaa yon [June]
กรกฎาคม /// 7月, 七月~蟹~,[しちがつ] / dwan karakadaa khom [July]
สิงหาคม /// 8月, 八月~獅子~,[はちがつ] / dwan singhaa khom
กันยายน /// 9月, 九月~乙女~,[くがつ] / dwan kanyaa yon
ต่ลาคม /// 10月, 十月~天秤~,[じゅうがつ] / tulaa khom
พฤศจิกายน /// 11月, 十一月~蠍~,[じゅういちがつ] / dwan phrwtsacikaa yon
ธันวาคม /// 12月, 十二月~弓~,[じゅうにがつ] / dwan thanwaa khom
Q3.イサーン語を話す時、何故か
กล่อง・คลอง
の発音が非常に混乱するが、それは何故か。
A3.変化が関わる事が多いからではないだろうか。 次の例を使って考えてみる。
กล่อง
小物を入れる箱
คลอง
川
ใส่ในกล่อง
タ:sai(1) nai(0->1) kloong(1)
ラ:sai(2) nai(5) kloong(2)
อยู่ในคลอง
タ:yuu(1) nai(0->1) khloong(0->1)
ラ:yuu(2) nai(3) khloong(3)
タイ語で考えたとき、คลอง は 低子音字+声調記号無しなので、通常 第〇声調(中音程)だが、多くの場合前後の声調の影響を
受けて第一声調に変化する。第一声調で発音する場合、正しくは、kh/ข (高子音字+第一声調記号)を使って書くが、前述の例
は、あくまで発音の便宜上変化した結果、第一声調に変化しただけであって、書くときは、当然 kh/ค(低子音字+声調記号無し)
で書く。しかし会話上第一声調で発音する事がほとんどなので、ついうっかり kh/ค(低子音字+声調記号無し)じゃなくて kh/
ข
(高子音字+第一声調記号)かもしれない、という気がしてしまう。
イサーン語で発音する際を、本来 kh/ค(低子音字+声調記号無し)であれば、第三声調で発音するが、もしも、khloong が kh/
ข(高子音字+第一声調記号)だったとすると、第二声調で発音することになる為、タイ語の発音からイサーン語の発音を導き出そ
うとすると、どちらに相当するのか、思わず迷ってしまう。
だからではないだろうか。(Fri, 24 Sep 2010 22:40:41 +0700)
7.11.35 その他
29・お金と悪人
以前、ラオス大学の先生と、国境付近にたくさんいるボッタクリタクシーについて話をしたことがあった。
「国境は本当に悪人が多いです。」
「彼らは悪人じゃないよ。 ただ、お金がたくさん欲しいだけだよ。」
7.11.35.1
人と人間は違う
มน่ษย์
คน
8 疑問点
Thu, 30 Sep 2010 15:42:55 +0700
Q6. 旗 thung は thung4 だろうか、それとも thung3 だろうか。
x
0
x
1
x
2
9 参考文献
x
3
x
4
x
5
x
6
x
7
x
8
10
付録
ກ
ໄກ່
k
kh
2
ຂ
ໄຂ່
ຄ
ຄວາຍ
kh
ງົວ
ຫງ
-
5
ຈ
ຈອກ
6
ສ
ເສືອ
ຊ
ຊ້າງ
ຍຸງ
ຫຍ/ຫຽ
-
卵
高
2
khaw:3
kwa:i3
水牛
低
4
ngaw:3
ngu:a3
牛
低
ngaw:4
-
-
高
jaw:1
jaw:k1
コップ
中
8
s
s
saw:4
sew:a4
虎
高
40
saw:3
sa:ng5
象
低
10
11
ຖ
ຖົງ
12
ທ
ທຸງ
d
t
th
th
7
nyaw:3
nyung3
蚊
低
nyaw:4
-
-
高
14
ນ
ນົກ
ຫນ/ໝ
-
ບ
ແບ້
15
ປ
ປາ
16
ຜ
ເຜິ້ງ
17
ຝ
ຝົນ
18
ພ
ພູ
19
ຟ
ໄຟ
n
n
b
p
ph
f
ph
f
13
ແມວ
ຫມ/ໜ
-
21
ຢ
ຢາ
27
ຮ
ເຮືອນ
ລ
ລີງ
ຫລ/ຫຼ
-
23
ຣ
ຣະຄັງ
24
ວ
ວີ
ຫວ
-
22
m
m
y
h
l
l
r
w
w
daw:1
dek1
子供
中
20
taw:1
ta:1
目
中
21
thaw:4
thong4
鞄
高
22
thaw:3
thung3
旗
低
23
naw:3
nok7
鳥
低
naw:4
-
-
高
baw:1
bae:1
山羊
中
26
25
6
ສ
ເສືອ
ຫ
ຫ່ານ
26
ອ
ໂອ
27
ຮ
ເຮືອນ
ไข่
ฃวด
高
ค
ควาย
kh
khaw0
khwa:i0
水牛
低
低
ฆ
ระฆัง
ฅ
ง
ฅน
kh
khaw0
khon0
人
低
低
kh
khaw0
ra8khang0
鐘
低
低
งู
ng
ngaw0
ngu:0
蛇
低
低
○
○
○
○
○
จ
ฉ
ส
ช
ซ
ฌ
ญ
จาน
ฉี่ง
เสือ
ช้าง
โซ่
กะเฌอ
หญิง
j
jaw0
ja:n0
皿
中
中
ch
chaw4
ching6
シンバル
高
高
s
saw4
sewa4
高
高
○
ch
chaw0
cha:ng3
低
低
○
s
saw0
so:5
鎖
低
低
ch
chaw0
ka8choe:0
樹木
低
低
y
yaw0
ying4
女
低
低
虎
象
ฎ
ฏ
ฐ
ฑ
ฒ
ณ
ด
ต
ถ
ท
ธ
น
ชะฎา
d
ฐาน
th
ปะฏัก
มณโฑ
ผู้เฒ่า
เณร
เด๊ก
เต่า
ถ่ง
ทหาร
ธง
หนู
paw:1
pa:1
魚
中
27
phaw:4
phewng5
蜂
高
28
faw:4
fong4
雨
高
29
phaw:3
phu:3
山
低
30
○
faw:3
fai3
火
低
31
t
taw0
pa8 tak8
牛追い鞭
中
中
○
thaw4
tha:n4
台座
高
高
○
thaw0 mon0thoo0 モントー婦人
低
低
○
th
thaw0 phu:5 tao5
低
低
○
n
naw0
neen0
低
低
d
daw0
dek8
子供
中
中
○
t
taw0
tau8
亀
中
中
○
○
th
thaw4
thung4
袋
高
高
○
○
th
thaw0
tha0ha:n4
兵隊
低
低
○
th
thaw0
thong0
旗
低
低
n
naw0
nuu4
ねずみ
低
低
p
ph
ฟ
ภ
ม
พาน
ฟ้ น
สำาเภา
ม้า
baw0
○
○
○
paw0
plaa0
魚
中
中
○
○
phaw4
pheung5
蜂
高
高
○
蓋
高
高
○
○
低
低
○
○
○
○
faw4
faa4
ph
pha:n0
f
faw0
fan0
高脚台
低
低
ph
phaw0 sam4phau0 ジャンク船
低
低
m
maw0
低
低
歯
猫
低
maw:4
-
-
高
yaw:1
ya:1
薬
中
34
haw:3
heu:an3
家
低
35
law:3
li:ng3
猿
低
36
law:4
-
-
高
高
raw:3
ra7khang3
鐘
低
低
waw:3
wi:3
扇
低
waw:4
-
-
高
ma:3
馬
○
○
高
ร
ล
ยักษ์
เรือ
ลิง
y
yaw0
yak7
鬼
低
特
r
raw0
reua0
船
低
低
l
law0
ling0
猿
低
低
37
ว
แหวง
w
waw0
wae:ng4
38
ศ
ศาลา
saa4laa0
指輪
低
低
s
h
saw:4
sew:a4
虎
高
40
haw:4
ha:n2
ガチョウ
高
41
ˀ
h
ˀaw:1
aw:1
桶
中
43
haw:3
heu:an3
家
低
35
42
44
ส
ห
ฬ
อ
ร
ฮ
○
Y特
○
○
○ R特
○
R特
○
○
○
H特
○
s
納屋
高
ฦๅษี
s
saw4
rew:0sii4
仙人
高
高
s
saw4
sewa4
虎
高
高
○
หีบ
h
haw4
hi:p6
箱
高
高
○
l
law1
ju8la:0
星型凧
低
低
อ่าง
oe
aw1
aang6
桶
中
中
r
h
raw0
reua0
船
低
低
haw1
nok7hu:k5
梟
中
中
เรือ
นกฮูก
○
○
高
จ่ฬา
H特
○
saw4
เสือ
○
○
高
ษ
H特
中
mae:w3
ย
○
○
中
maw:3
33
○
○
葉
phaw0
Y特
○
bai0ma:i3
f
○
H特
th
ผึ้ง
พ
○
○
○
小僧
X特
○
○
中
老人
○
○
中
ผ
ฝา
○ S特
冠
b
ฝ
○
cha7→8da:0
ใบไน้
ปลา
H特
○
daw0
บ
ป
○
○
高
39
25
ฃ
高
32
ມ
20
ข
読み方
高
24
13
高
k
19
ຕາ
○
瓶
ไก่
18
ເດັກ
高
khwat6
ก
17
ຕ
高
khaw4
1
16
ດ
卵
kh
中
15
10
kh
鶏
14
9
○
kai2
khai2
ng
ng
j
ny
ny
中
kaw:1
khaw:4
12
ຍ
中
発音
11
8
鶏
呼び名
9
7
kai6
khai6
文字
6
ງ
kaw0
khaw4
順
5
4
高さ
高さ
3
3
意味
意味
特殊
1
発音
発音
順序が違う
読み方
発音が違う
発音
タイのみ
呼び名
呼び名が違う
文字
ラオタイ共通
順
音程
タイ語 อักษรไทย
ラオ語 ອັກສອນລາວ
ラオのみ
ラオタイ・子音字対応表
○
○
○ S特
○
○
○
○
○ R特
R特
ラオタイ・母音字対応表
ສາກົນ
a
a:
a
a:
i
i:
i
i:
eu
eu:
eu
eu:
u
u:
u
u:
e
e:
e
e:
e
e:
ae
ae:
ae
ae:
ae
ae:
o
o:
o
o:
aw
aw:
aw
aw:
aw
aw:
ລາວ
xະ
xັx
xິ
xິx
xຶ
xຶx
xຸ
xຸx
ເxະ
ເxັx
ແxະ
ແxັx
ໂxະ
xົx
ເxາະ
xົອx
-
xາ
xາx
xີ
xີx
xື
xືx
xູ
xູx
ເx
ເxx
ແx
ແxx
ໂx
ໂxx
xໍ
xອx
-
ไทย
◌ะ
◌า
◌◌
ั
◌า◌
◌ิ
◌ี
◌◌
ิ
◌◌
ี
◌ึ
◌ือ
◌◌
ึ
◌◌
ื
◌ุ
◌ู
◌◌
ุ
◌◌
ู
เ◌ะ
เ◌
เ◌◌
็
เ◌◌
เ◌◌
แ◌ะ แ◌
แ◌◌
็
แ◌◌
แ◌◌
โ◌ะ
โ◌
◌◌ โ◌◌
เ◌าะ ◌อ
◌็อ◌ ◌อ◌
◌อ◌
-
ສາກົນ
oe
※5
※1
※1
oe:
oe
oe:
-
oe:i
ia
i:a
ia
i:a
ia
i:a
eua
eu:a
eua
eu:a
ua
u:a
ua
u:a
-
ai
-
ai
-
ao
-
am
reu?
reu:
leu?
leu:
ລາວ
ไทย
ເxິ
ເxີ
เ◌อะ
ເxິx
ເxີx
เ◌◌
ิ
(ເxີຍ)
ເxັຍ
ເxຍ
เ◌ยะ
(ເxັຍx) (ເxຍx)
xັຽx
xຽx
ເxຶອ
ເxືອ
เ◌ือะ
(ເxຶອx) (ເxືອx)
xົວະ
xົວ
◌ัวะ
xັວx
xວx
ໄx
ໃx
ເxົາ
xຳ
ฤ
ฦ
เ◌อ
เ◌◌
ิ
เ◌ย
เ◌ย
เ◌ย◌
เ◌ือ
เ◌ือ◌
※2
※3
※4
◌ัว
◌ัว◌
ไ◌
ใ◌
เ◌า
◌ำ
ฤๅ
ฦๅ
※1 タイ語では長母音の書き方で短母音として読むことがあるが、ラオ語には無い。
※2 注:タイ語では ເxີຍ を複合母音として扱うが、ラオ語では複合母音と扱わない。
※1
※3 注:タイ語の เ◌ย と ラオ語の ເxຍ は書き方が同じだが読み方が異なる。
※4 注:ຽ は 複合子音としてのみ使われるが、一般的に ຫとຍの複合文字として捉えられている。
※5 注:タイ語はอが必要だが、ラオ語は ອが必要が無い。
ラオ語 母音一覧表
ສະຫຼະ
ຕົວ ສະກົດ
sa7ra7
tu:a1 sa7 kot7
xະ/xັx
a
xັກ
xັດ
xັບ
xັງ
xັນ
xຳ(xັມ)
ໄx(xັຍ) ເxົາ(xັວ)
xາ
a:
xາກ
xາດ
xາບ
xາງ
xານ
xາມ
xາຍ
xາວ
xິ
xີ
i
i:
xິກ
xິດ
xິບ
xິງ
xິນ
xິມ
-
xິວ
xຶ
eu
xີກ
xຶກ
xີດ
xຶດ
xີບ
xຶບ
xີງ
xຶງ
xີນ
xຶນ
xີມ
xຶມ
xຶຍ
xີວ
xຶວ
xື
eu:
xືກ
xືດ
xືບ
xືງ
xືນ
xືມ
xືຍ
xືວ
xຸ
u
xຸກ
xຸດ
xຸບ
xຸງ
xຸນ
xຸມ
xຸຍ
-
xູ
ເxະ/ເxັx
u:
e
xູກ
ເxັກ
xູດ
ເxັດ
xູບ
ເxັບ
xູງ
ເxັງ
xູນ
ເxັນ
xູມ
ເxັມ
xູຍ
-
ເxັວ
ເx
e:
ເxກ
ເxດ
ເxບ
ເxງ
ເxນ
ເxມ
-
ເxວ
ແxະ/ແxັx
ae
ແxັກ
ແxັດ
ແxັບ
ແxັງ
ແxັນ
ແxັມ
-
ແxັວ
ແx
ae:
ແxກ
ແxດ
ແxບ
ແxງ
ແxນ
ແxມ
-
ແxວ
ໂxະ/xົx
ໂx
o
o:
xົກ
ໂxກ
xົດ
ໂxດ
xົບ
ໂxບ
xົງ
ໂxງ
xົນ
ໂxນ
xົມ
ໂxມ
ໂxັຍ
ໂxຍ
ໂxັວ
ໂxວ
ເxາະ/xັອx
aw
xັອກ
xັອດ
xັອບ
xັອງ
xັອນ
xັອມ
xັອຍ
-
xໍ/xອx
aw:
xອກ
xອດ
xອບ
xອງ
xອນ
xອມ
xອຍ
-
ເxິ
ເxີ
oe
oe:
ເxິກ
ເxິດ
ເxິບ
ເxິງ
ເxິນ
ເxິມ
ເxິຍ
ເxິວ
ເxັຍ/xັຽx
ia
ເxີກ
xັຽກ
ເxີດ
xັຽດ
ເxີບ
xັຽບ
ເxີງ
xັຽງ
ເxີນ
xັຽນ
ເxີມ
xັຽມ
ເxີຍ
-
ເxີວ
xັຽວ
ເxຍ/xຽx
i:a
xຽກ
xຽດ
xຽບ
xຽງ
xຽນ
xຽມ
-
xຽວ
ເxຶອ
eua
ເxຶອກ
ເxຶອດ
ເxຶອບ
ເxຶອງ
ເxຶອນ
ເxຶອມ
ເxຶອຍ
-
ເxືອ
xົວະ/xັວx
eu:a
ua
ເxືອກ
xັວກ
ເxືອດ
xັວດ
ເxືອບ
xັວບ
ເxືອງ
xັວງ
ເxືອນ
xັວນ
ເxືອມ
xັວມ
ເxືອຍ
xັວຍ
-
xົວ/xວx
u:a
xວກ
xວດ
xວບ
xວງ
xວນ
xວມ
xວຍ
-