12班 ラジオ局における番組制作について 〈グループメンバー〉 齋藤章史 小林せかい 山下真心 園田拓郎 1.目的 ラジオ局における番組制作の意図とその過程を知る。 2.実際に行った研究内容 まず私たち12班は橋爪先生に紹介していただいたラジオ局、ラジオNIKKEIを訪 れプロデューサーである Y さん(アジアステーション室プロデューサー)にラジオ制作に 関するお話を伺った。そして後日、ラジオ番組制作のためのロケに同行させていただいた。 3-1.ラジオNIKKEIの企業概要 「ラジオNIKKEI」は1954年に「日本短波放送」として開局。1978年から は「ラジオたんぱ」を局名として採用。そして昨年10月「株式会社日本短波放送」から 「株式会社日経ラジオ社」に社名を変更。今年4月に局名を「ラジオたんぱ」から「ラジ オNIKKEI」に変更。主要株主は日本経済新聞社と東京証券取引所であり、株価に関 する番組を中心に制作してきたが、現在ではコンセプトを変更し株だけではなく経済その ものを中心として扱い、番組を制作している。 3-2.番組制作に関して ラジオNIKKEIにおける番組の制作は基本的に企画を立ち上げた後に、その企画に スポンサーが付いたら実際に制作に取りかかるという形を取っている。やはりラジオ局も 一企業である以上利益を出さなければならないので自由に番組を制作するということは難 しいそうである。しかしながら Y さんの担当するアジアに関する番組の時間帯は比較的自 由に番組を作れるそうである。 また、ラジオNIKKEIの番組の制作対象者は大手のラジオ局とは異なっている。一 般的に大手のラジオ局が小学生向き、20~30代女性向きといった年齢、性別で区分し た広範囲を対象として考えるのに対し、ラジオNIKKEIでは特定の人たちに的を絞っ て制作していることが多い。たとえば上記で述べたが、基本的に株価、経済に関する番組 が多く、これらは実際に取引を行うビジネスマンやお金持ちの人向けである。逆に言えば 株取引をしない人にとっては全く関係のない番組となる。他にも医者・看護師を対象にし た医療番組などが制作されている。このような制作の仕方は有線放送に近い。Y さん曰く、 専門雑誌感覚的に聞いてもらう形になるそうである。またどちらかといえば、対象として いる年齢は上の方となっている。そんな中、土曜日の夜は若者向けの番組を作っているそ うだ。しかしながら現在若者はTVの方に流れ、ラジオを聞くのは昔ラジオを聞いていて、 再び聞き始めた人というような年齢が上の人々が多いらしい。 3-3.これからのラジオ ラジオは今ではただ聞くだけのものではなくなってきている。ラジオNIKKEIでは 短波放送だけではなく、BSデジタル放送、インターネットラジオなども行っている。B Sデジタル放送ではクリアな音声放送だけでなく、同時にデータ画面を見ることができる。 データ画面では市場の情報を常時表示、リモコンによる操作により個別銘柄の株価などを 表示、知ることができる。インターネットラジオでは人気番組が過去放送分も含め好きな 時間に聞くことができる。また、衛星を利用し、どこでも聞くことができるラジオ放送も 計画されている。実施されれば車などで移動していても、同じチャンネルでずっと聞き続 けることができるようになる。 4.実際の番組収録 今回、実際の収録に同行させていただいた番組は「下川裕治のぷらぷらアジア・太平洋」 (8月19日、8月26日放送予定分) 。普段は旅行作家の下川裕治さんが、アジア地域の 旅行や生活に役立つ情報を伝える番組なのだそうだが、今回は夏休み用の特別編として鎌 倉を訪れる内容となっていた。 収録日当日、私たちのグループは12時に鎌倉駅にて集合。駅前にすでに来ていた Y さ んと、レポーター役の武田あかりさんと合流した。案内役となる下川さんはもう少し時間 がかかるとのこと。待っている間に鎌倉の地図と本日の収録の台本をいただく。基本的に は下川さんにいろいろと語っていただくことになるのでそこまで細かい設定はなされてい なかった。 その後、下川さんが到着したら今日の打ち合わせをするということなので、武田さんと私 たちは近くの喫茶店に先に移動。下川さんと合流した Y さんもすぐに追いつき、打ち合わ せを行った。打ち合わせの結果、OPは下川さんが以前訪れたことのある、駅近くのおん めさま(大功寺)から始めることに。また、2回分の放送予定ではあるが、内容がふくら んだ場合3回分に分けるなどといったことが決まった。 (台本その1) 下川裕治『ぷらぷらアジア』進行表(午後19時~19時30分) 8月19日、8月26日 OPEN 武)皆さんご機嫌いかがでしょうか。ぷらぷらアシスタントの武田あかりです。 この番組では、アジア・太平洋地域の旅行情報から、海外での生活情報をお送 クレ りしてまいります。が、今回は、夏休み特別バージョンとしまして、スタジオ 1分 を飛び出てお送りしてまいります。 さて、旅のご案内人は、旅行作家の下川裕治さんです。よろしくお願いします。 (鎌倉から、由比ガ浜、そこにあるタイ料理屋台をめざしたい等) 武)それでは下川さんとともに『ぷらぷらアジア太平洋』進めてまいりましょ う。 CM CM①(30) 武)私たちは今、JR鎌倉駅の前にいます。~(鎌倉の様子。等) *鎌倉の歩き方、見所 *アジア各地の古都、観光地について 武)それでは、これから次の、目的さき由比ガ浜へ、江ノ電にのって移動した いとおもいます。 *江ノ電について *アジア各地の列車事情 (タイBTS等、電車、汽車、地下鉄の特徴とエピソード等) 武)さて、鎌倉から江ノ電にのって由比ヶ浜駅に到着しました。 (様子) *由比ガ浜駅について、海水浴場について 25’00” *アジアのビーチについて CM②(30) 武)そろそろお時間となってまいりました。来週は、この続きの由比ガ浜での 29分 模様をお送りします。 さて、番組では、皆様からのお便りをお待ちしております。皆様の海外体験談 など滞在先での失敗談などお送りください。宛先です、〒107-8373 ラジオ日経ぷらぷらアジア係まで(繰り返す)お願いします。 Faxでは、東京03-3583-1302までお願いします。 それでは来週のこの時間までさようなら! (台本その2) 下川裕治『ぷらぷらアジア』進行表(午後19時~19時30分) 8月19日、8月26日 OPEN 武)皆さんご機嫌いかがでしょうか。ぷらぷらアシスタントの武田あかりです。 この番組では、アジア・太平洋地域の旅行情報から、海外での生活情報をお送 クレ りしてまいります。今週は先週にひきつづき、夏休み特別バージョンとして、 1分 スタジオを飛び出し、由比ガ浜にきております。 さて、旅のご案内人は、旅行作家の下川裕治さんです。よろしくお願いします。 (これから、向かう先について) 武)それでは下川さんとともに『ぷらぷらアジア太平洋』進めてまいりましょ う。 CM CM①(30) 武)私は今、タイ料理屋台の にいます。こちらの店をご案内いただけ ますか? 下)(概略) 武)それでは におじゃましましょう。こんにちは!(店の様子、匂い等) * お店の特徴(営業シーズン、コンセプト、特徴等) * なぜここ(由比ガ浜)での開業か? * 開業してからのエピソード(失敗談等) * メニューをみて注文 * タイ料理について * 飲み物、ディザート等について * 食事マナー等について * 今後の夢 ほか 25’00” ―MOMO― CM②(30) 武)そろそろお時間となってまいりました。~ 29分 さて、番組では、皆様からのお便りをお待ちしております。皆様の海外体験談 など滞在先での失敗談などお送りください。宛先です、〒107-8373 ラジオ日経ぷらぷらアジア係まで(繰り返す)お願いします。 Faxでは、東京03-3583-1302までお願いします。 それでは来週のこの時間までさようなら! その後、下川さんが到着したら今日の打ち合わせをするということなので、武田さんと 私たちは近くの喫茶店に先に移動。下川さんと合流した Y さんもすぐに追いつき、打ち合 わせを行った。打ち合わせの結果、OPは下川さんが以前訪れたことのある、駅近くのお んめさま(大功寺)から始めることに。また、2回分の放送予定ではあるが、内容がふく らんだ場合3回分に分けるなどといったことが決まった。 おんめさまに移動後、早速オープニングを録ることに。ちなみに今回の収録はマイクを 2本、MDウォークマンを2台使い、下川さんと武田さんの声をそれぞれ別々に録るとい う形で行っていた。このように別々で録る方法は以前はしなかったそうであるが、現在は コンピュータによる編集により楽に音を合わせることができるとのことである。オープニ ングは武田さんが今回は特番として鎌倉、おんめさまに来ていることを述べた後、下川さ んがおんめさまが安産のお寺であること、以前ここで俳句を詠んだことなどを話し、それ ではと武田さんが落ちのつく俳句を読み上げるという内容。その後お賽銭を投げお祈りを しオープニングは終了となった。(お賽銭の音はしっかりとマイクを近づけ収録) オープニングの収録後は再び鎌倉駅前 まで戻り、鎌倉の大仏からアジアの仏像 に関する話などをした後、江ノ電に乗り 由比ガ浜に移動するということを収録。 江ノ電のホームでは待ち時間の間に江ノ 電の話からアジアの列車事情へと話を広 げていく。 (アジアの列車は日本と違い時 刻がいい加減など)江ノ電に乗り込み、 車中でも話は進められる。 ↑収録しながら江ノ電を待つ ↓波音も収録 由比ガ浜駅に到着後は収録を続けながら 浜辺へ移動。浜辺に着くと、しばらくア ジアの浜辺の風景の話を収録し、エンデ ィングとなった。エンディングを録った 後には再びオープニングを収録。こちら のオープニングはほぼ台本と同じであっ た。その後は今回のロケの最終目的地と なるタイ料理屋台へ移動することととな った。 タイ料理屋台の区画へ着くとまずはそこの責任者である方と挨拶。Y さんが名刺交換を終 え、今日の収録の説明を終えた後、再度タイ料理屋台の区画へ入ってくるシーンからの収 録となった。砂浜を移動しながらアジアの砂浜の話をしている途中、タイ料理屋台の区画 が見えてきたことを武田さんが伝える。そして区画の外側に位置するタイ式マッサージを している所へ。そこでマッサージ師の人へのインタビューとなった。 インタビューを終えると区画の中へ。収録を続けながら、タイ料理のお店の開いている スートンさんにおすすめのメニューを質問。おすすめのフレッシュジュースを注文し席に 着く。席につくと区画の責任者の方へのインタビューとなった。そのインタビューを終え ると収録している時間がかなりの量になったため、放送回数を3回にする方向として、こ こで一度エンディングとオープニングを録った。そして最後にスートンさんへのインタビ ュー。タイ料理の説明、海の家で店を出していることで起きる問題点などを質問した後、 実際にタイ料理を注文。タイ料理が出てきたところで最後のエンディングを収録し、その 日の収録は終了となった。 ↑スートンさんにおすすめを聞く ↑責任者の方へのインタビュー 最後になるが、今回の収録時間は3時間程度になったが、編集にはその約3倍、9時間 位を要するそうである。しかし、今回のような番組は収録したものをほぼそのまま利用す るだけになるので、編集は比較的なのだそうだ。基本的にドキュメンタリー番組はナレー ションやBGMを入れることになるので時間がかかるそうである。 5.感想 <斉藤章史> 今回の二日に渡るラジオNIKKEIの取材を終えて、ラジオの強みを生かしたラジオ 局の戦略という物を大いに実感しました。 ラジオというのはテレビやインターネットの発達により若年層には親しみの薄い物にな りつつありますが、その中で音声一つで放送できるという特性を発揮し BS 放送・携帯から の放送といった新たな試みやコンテンツとしてアジアを重視するなどの独自性を成立させ るラジオ局の戦略を知りアイデア次第でどんどん面白く魅力的な物になるということを学 びました。これからは趣味や興味の対象は今までのような画一的なものではなく多元的に なっていくと思うのでラジオ局の強みを生かせる時代になるのではないでしょうか。 <山下真心> 今回、ラジオNIKKEIへの取材を通して、ラジオ局によってそれぞれの方針、番組 制作の仕方は異なるということを知りました。例えば今回のような番組を作る場合、NH Kだと1週間以上かけて下調べや収録をすることになるだろうということです。これはN HKは受信料で成り立つため時間やお金をかけていいものを作れるからとのこと。方針に かなりの違いがあることは、NHKは除くにしても、今回の取材を始めるまでは民放はど こも同じように番組を制作していると思っていたので、意外でした。特に今回取材したラ ジオNIKKEIの方針は他局とは特に異なるものになると思うので興味深く、貴重な体 験ができたと思います。 <園田拓郎> 今回ラジオNIKKEIとその取材の見学をしてラジオ局について少しわかったような 気がします。 最初にラジオ日経を訪ねたとき、ラジオ局はある年齢層や職種をターゲットにして番組 を作っていると感じました。またラジオ局というと文系の人が進むところというふうに思 っていましたが理系学部出身の人も少なくはないと聞いて驚きました。 鎌倉の取材を見学したとき、番組の進行は事前にはおおまかな流れしか決まっていない のにその場でまとめあげてしまうその力に自分にないものを感じました。 今回の見学で自分が今までに経験しなかった貴重な体験ができてうれしく思います。
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