2011.2.4 JSS特別レポート =反政府抗議行動の現状と 今後の見通し= (エジプト) 反政府抗議行動の現状と今後の見通し 《エジプト》 1. エジプトにおける反政府抗議行動の概況 2010年12月中旬からチュニジアで広がった反政府抗議行動の高まりとその後のベ ンアリ政権崩壊の余波を受けて、エジプトでも2011年に入ってから民衆が物価高騰や 慢性的な高失業率などにともなう生活の困窮に抗議して反政府デモを繰り返し、ホス ニ・ムバラク大統領の即時辞任などを求める気運が高まった。 反政府市民ネットワーク(注)や野党勢力によるデモの呼びかけは、インターネット を通じて若年層の間で急速に広まり、首都カイロや北部のアレキサンドリア、北東部 のスエズなどの主要都市部から各地へと波及した。 (注) 反政府市民ネットワーク:政党組織ではなく、 「フェイスブック」に代表されるソー シャル・ネットワーキング・サービス(SNS)やメールなど主にインターネットを介し て活動する市民運動グループ。都市部の若年層を中心にした「キファーヤ(もう沢山 だ)」や「4月6日青年運動」などが代表的。 これらのデモ勢力は1月25日に「怒りの日」と銘打った大規模な反政府デモを各地 で組織して以降、首都で同様のデモを今日まで続けている。さらに、非合法団体なが ら事実上の最大野党勢力である穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団(MB)」 も支持者にデモへの参加を呼びかけており、ムバラク政権への抗議行動は未だに収ま る気配を見せていない。 [ 反政府抗議行動の概要(1月25日~)] 1月25日 1月26日 1月27日 1月28日 :首都カイロや北部のアレキサンドリア、北東部のスエズなどで大規 模な反政府デモが発生した。首都では、反政府市民ネットワークや野 党勢力の呼びかけで数万人規模の市民が中心部のタハリール広場など で抗議集会を行った。深夜、治安部隊が催涙ガスや放水車などを用い て鎮圧に乗り出し、数人が死亡、多数が負傷した。 :内務省のデモ禁止命令にも拘らず、首都や北東部のスエズなどで前 日に続きデモが発生した。治安部隊と群衆の衝突で数人が死亡、多数 が負傷した。首都では各地区の広場のほか、ジャーナリストや弁護士 の組合前で抗議集会が開かれた。 :首都、スエズ、アレキサンドリアなどでデモが起きて、市民と治安 部隊との衝突が見られたほか、シナイ半島北部でもベドウィン(遊牧 民)らが警察署を襲撃するなどした。同日、「4月6日青年運動」らは翌 28日に再び大規模デモを行うと呼びかけた。 :金曜礼拝後、首都やスエズ、アレキサンドリアなど各地で大規模な 抗議行動が発生した。首都では群衆が政府の出した夜間外出禁止令を -1- JSS Special Report 1月29日 1月30日 1月31日 2月 1日 2月 2日 2月 3日 無視して終日デモを続け、与党「国民民主党(NDP)」本部や政府庁 舎で放火や略奪などを行った。これに対して警察はゴム弾や催涙ガス、 放水銃などで鎮圧を図ったが、多数の死傷者を出しながらも事態を収 拾できなかったために同日夜に撤退し、代わって国軍が展開した。 :大統領が内閣総辞職と側近の副大統領指名を発表したが、国民の不 満は収まらず、前日に続いて大規模デモが起きた。首都に展開した国 軍は群衆に対して積極的な鎮圧活動を行わなかったため、両者間で激 しい衝突は起きなかったが、略奪の横行など治安悪化が進んだ。また 夜間外出禁止令の影響で空港機能が大幅に低下したため、欧米や中東 諸国の政府はチャーター機派遣による救援を決定した。 :首都で群衆が引き続き大統領の即時辞任などを求めた。デモ隊への 対応やタハリール広場付近の治安維持任務は国軍が続けているが、内 務省は同日、略奪の横行や交通の麻痺に対応するため、警察部隊を市 内に再配置すると発表した。 :首都でタハリール広場や北部のショブラー地区、西郊のギザ地区や ドッキ地区などでデモが続いた。反政府市民ネットワークや野党勢力、 民主化要求グループ、MBなどのデモ勢力が「政治委員会」を結成して、 政府との交渉窓口に前国際原子力機関(IAEA)事務局長のエルバラダ イ氏を置いた。同日、政府が新内閣を発表したが、情報相や外相、国 防相、石油相などの主要ポストは前内閣からの留任で、新任閣僚も与 党あるいは与党系無所属からの指名であった。 : 「4月6日青年運動」らが呼びかけた「100万人のデモ行進」に応じて、 各地で多数の市民がデモに続々と参加した。首都では約50万人、北部 のアレキサンドリアでも最大40万人、そのほかの都市部でも10万人以 上の市民がそれぞれデモに参加した。これを受けてムバラク大統領は 同日、来る9月に予定されている次期大統領選挙への不出馬を表明した が、市民らは大統領の即時辞任を要求してデモを続けた。首都中心部 に展開した国軍は、前日の発表どおりデモ隊への鎮圧活動などは行わ なかった。 :首都での大規模デモが続く一方、各地で大統領支持派によるデモが 起きた。その内、首都やアレキサンドリア、スエズ、イスマイーリー ヤなどではデモ隊とムバラク政権支持を叫ぶ集団との衝突や小競り合 いが発生した。首都ではタハリール広場で両者が激しく衝突して多数 の負傷者が出た。 :首都で反政府デモ勢力と大統領支持派との衝突が続き、前日と合わ せて8人が死亡、1,000人余りが負傷した。また北部のヘリオポリス地 区にある大統領府(兼公邸)付近でも1万~数万人規模の反政府デモが 起きた。同日、 「4月6日青年運動」らは翌4日に「(ムバラク)退任の金 曜日」と銘打った大規模デモを行うと支持者らに呼びかけた。 2. 首都カイロの最新治安情勢 (1) 反政府デモに加え、大統領支持派のデモが発生 2月2日、政府はこれまで首都カイロを擁するカイロ県やギザ県、カルユービー ヤ県、ヘルワン県、10月6日県、アレキサンドリア県に出していた夜間外出禁止 -2- JSS Special Report 令を一部緩和して、新たに午後5時から午前7時までを外出禁止時間帯としたが、 各地のデモ隊はこれを公然と無視しており、また国軍も禁止令の遵守を呼びかけ るのみで違反者への対応は取っていない。 首都では同日、これまでタハリール広場に陣取って反政府デモを続けていた1 万人前後の市民の前に大統領支持を掲げる3,000人前後の集団が現れ、にらみ合い となった。その後、同広場を舞台に両勢力が投石や火炎瓶の投擲などの応酬を繰 り広げて激しく衝突し、多数の負傷者が出た。 一方、国軍はこの衝突に対しても中立を保ち、威嚇射撃を行ったり車両をバリ ケード代わりに両者間に進入させたりした他は、特段の動きを見せていない。 タハリール広場では3日中も反政府デモ勢力と大統領支持派との衝突が続き、 「バルタガ」(注)のメンバーによる発砲などによって前日と合わせて8人が死亡、 1,000人余りが負傷するに至った。 (注) バルタガ:体制側の意を受けて動く愚連隊のような集団で、警察など治安機関関 係者との関係も噂されている。人民議会選挙(総選挙)などの際には与党関係 者がバルタガに金を渡して野党勢力やMB系の立候補者の選挙活動を暴力で妨 害、脅迫させることが知られており、2010年11月の総選挙期間中もバルタガに よる暴力沙汰が相次いだ。 大統領支持派のデモはこれまでも小規模なものが散発的に起きていたが、多数 が徒党を組んで反政府のデモ隊と激しく衝突するような事態が見られたのは2日 が初めてであった。 首都の他にも北部のアレキサンドリアなど各地でも同様の衝突または小競り合 いが一斉に起きたことから、現地では、内務省または与党関係者が裏でこれらの 集会を組織し、さらにバルタガに金を渡して反政府デモ隊への挑発を行わせたと の見方が一部で報じられている。 バルタガ登場の背景は不詳であるが、政権側にデモ隊の過剰反応を誘発して治 安部隊による鎮圧活動再開の口実にしようとの思惑があることも否めない。また デモ隊の間には「バルタガを雇ったのは大統領の次男ガマルではないか」との憶 測も広まり、政権への反感が一層強まった。 「4月6日青年運動」や民主化要求勢力、MBなどのデモ勢力は、4日の金曜礼拝 後(日本時間の午後8時頃に終了予定)、 「退任の金曜日」と銘打った大規模抗議集 会を開くと発表して市民に参加を呼びかけている。 -3- JSS Special Report 2日に当局が接続を再開させたインターネット上では、既に多くの市民が「退任 の金曜日」デモへの参加を表明しており、1月28日の50万人規模の反政府デモに 匹敵するような抗議行動が再び行われる可能性がある。 (2) 略奪の横行と生活物資の不足から社会不安拡大 首都圏では1月28日以降、同日の金曜礼拝後に始まった大規模デモとそれに伴 う混乱拡大によって警察部隊がデモ現場から退いた隙を突き、政府・与党の関連 施設などを狙った略奪が横行した。 略奪は公共施設や一般市民の住居などにも及び、中心部でも「エジプト考古学 博物館」が襲われて展示品が破壊されるなどしたため、首都各地では治安悪化を 恐れて市民が自警団を組織するなど、社会不安が広がっている。 警察は1月30日から中心部を除く首都各地で活動を再開しているが、反政府抗 議行動に伴う混乱の中で十分な治安維持任務を行えておらず、略奪などへの対応 は完全に後手に回っているのが実情である。 こうした混乱の中で、首都郊外や近県の刑務所では1月28日から1月30日にかけ て、数百~数千人規模の囚人の脱走が相次いで起きたが、前述した略奪や強盗の 中にはこれら脱獄囚による犯行も少なからず含まれていると見られ、市民が不安 感を強めている。 囚人の脱走は看守らの職務放棄によって発生しただけでなく、ムバラク大統領 を支持する内務省関係者による策謀とも考えられるが、今後首都圏では一般治安 情勢が一層悪化する可能性が高い。 さらに、反政府抗議行動の拡大にともなって首都圏では物流が滞っており、不 安に駆られた市民が買占めを行っていることもあって、市内では食料や飲料水の 在庫が払底するスーパーも出てきた。 政府は小麦などの主要食糧は十分な備蓄があると発表しているものの、4日に予 定されている大規模デモの成り行き次第では、来週あたりから物不足が深刻化す るおそれも出てきている。 (3) カイロ国際空港およびその周辺の最新治安情勢 カイロ国際空港では、首都中心部の情勢悪化を受けて1月29日から国軍が部隊 を展開させて警備を続けており、今日まで治安上の大きな問題は発生していない。 -4- JSS Special Report ただし同空港には国外避難を求める外国人および現地人が多数押し寄せている ほか、定期便のフライトスケジュールに大幅な遅延やキャンセルが相次いで発生 しているため、国際線ターミナル内では出国を求める人々の間で搭乗手続きや飲 食物の購入などを巡り混乱が続いている。 混乱の最大の要因となっているのが、1月28日以降、現在まで政府が発令して いる外出禁止令である。 外出禁止時間帯は情勢に応じて変更されるが(現在は午後5時~午前7時まで) 、 その時間中は空港および現地航空会社の職員は自宅に戻っていなければならない ため、空港機能は大幅な時間的制約を受けている。 例えばエジプト航空は、外出禁止令の影響で地上職員および整備員を揃えるこ とができないとして、1月31日に禁止時間内に離発着する全ての定期便キャンセ ルを発表するとともに、「過去20時間に出発予定であった国内線および国際線合 せて126便のうち、出発できたのは26便のみであった」と非公式に認めた。同航 空会社は2月3日、日本への定期便(成田国際空港着)について、2月4日以降のフ ライトを行うかは未定と発表した。 各国政府はこうした混乱に巻き込まれて取り残されている自国民を救援するた めに続々とチャーター機の派遣を行っており、例えば米国務省は2月3日、 「1月31 日以降に米国民約2,000人をエジプトから避難させた」と発表した。 しかし、これらのチャーター便の中には、例えば2月1日に同空港を離陸してギ リシャのアテネへ向かった米デルタ航空機(使用機種:B767)のように、「241 人分のキャパシティがありながら、わずか37人しか乗せられなかった」ケースも ある。 これは、在エジプト米大使館が欧州方面への脱出を希望して首都中心部のホテ ルなどに滞在していた自国民らに当該便のフライトスケジュールを伝えて所定の 時間内に国際線ターミナルへ集合するよう伝えたものの、中心部などから空港へ の移動ルートに当たる主要通り上で市民らが置いた私設検問所でバス等が止めら れ、ホテルへのUターンを余儀なくされたり、所定時間内に空港へ到着できなか ったりしたケースが相次いだためであった。 1月31日時点では首都中心部から空港へと至る約20kmのルート上に最大19か 所もの検問所(うち国軍や警察によるものが10か所、市民によるものが9か所) -5- JSS Special Report が設けられていたとの情報がある。 こうした幾重もの検問は現在も行われている可能性があり、首都中心部に滞在 している邦人が空港へ向かう際の大きな不安定要素となっている。 3. 今後の見通し 現在の流動的な状況の中で、今後のエジプト情勢の行方を正確に予測することは極 めて困難であるが、キープレイヤーであるデモ勢力、政府、国軍の動向次第では、次 のような展開へと繋がる可能性がある。 シナリオ① デモ勢力が大統領の即時辞任まで抗議行動を続ける 現在エジプト各地で続いている反政府デモは、民主化要求グループからMBな どの穏健派イスラム原理主義組織まで、主義主張の異なる様々なグループが反ム バラクの旗印の下に集結して大規模化した。 2月2日、デモ勢力の間で結成された「政治委員会」の場で、ムバラク大統領が 任期終了後の退任ではなく即時辞任を表明しない限り政府との交渉には一切応じ ない方針が確認されたことから、同大統領がそれを決断するまで、デモ勢力は攻 勢を止めない可能性が高い。 ここ数日、これまでムバラク政権を支えてきた米国や西欧諸国、イスラエルな どが方針を転換してムバラク大統領に早期辞任を水面下で働きかけているとされ るほか、腹心であるはずのオマル・スレイマン副大統領も早期辞任を勧めている との情報がある。 またスレイマン副大統領については、3日にマフムード検事総長を通じて大統領 の次男ガマル氏(与党政策委員長)に連なるアルアーディリー前内相やその他の 元閣僚を含む与党幹部らに対して出国禁止措置および銀行口座の資産凍結措置を 行ったとされており、 「ムバラク切捨て」へと動く可能性もある。 このような状況から、4日の「退任の金曜日」デモの盛り上がりによっては、同 大統領が国内外からの圧力を受けて政権の座を手放すシナリオも現実味を帯びて きたと言える。 ただし、デモ勢力は大統領の即時辞任を求めるという点では一致協力関係にあ るが、もしそれが実現して、例えば憲法制定を経ての人民議会選挙または大統領 -6- JSS Special Report 選挙などの一大政治改革へと至った場合、その中で各グループの方向性の違いが 顕在化し、政治的空白あるいは政治的対立が深刻化するおそれもある。 シナリオ② 政権側が次期大統領選挙まで時間稼ぎを続ける スレイマン副大統領がムバラク大統領を切り捨てず、憲法の大統領選挙規定の 改正など市民の好感を得やすい改革を小出しに実施してデモの勢いを抑えること に成功した場合は、同大統領も即時辞任せず、来る9月に予定されている大統領選 挙まで現状を持ち堪える可能性がない訳ではない。 現政権が崩壊せず大統領選挙を迎えた場合、与党は地方票や組織票を武器にス レイマン副大統領へのバトンタッチを狙うと見られているが、憲法改正と公正な 大統領選挙がスムーズに行われるならば、国民からの人気が高いアラブ連盟のム ーサ事務総長やデモ勢力に担がれた前IAEA事務局長のエルバラダイ氏などが立 候補して接戦となる可能性がある。 大統領選挙の結果、与党候補が勝てば再びデモが活発化する可能性があるほか、 MBが大統領選挙から排除された場合も、デモ拡大または強硬派によるテロ発生 の可能性も否定できない。 シナリオ③ 政権側とデモ勢力が人民議会選挙のやり直しなどで合意 ムバラク大統領からデモ勢力との交渉を任されたオマル・スレイマン副大統領 は現在、2010年11月に行われた人民議会選挙(注)のやり直しなどの譲歩案をちら つかせてデモ勢力との交渉の余地を探っている。 (注) 人民議会選挙:日本の国会議員にあたる人民議会議員(定数518)を選出する総 選挙。2011年10月に行われた総選挙では、与党がMBの政治参加を表に裏に封じ 込めたことから同勢力がボイコットを表明し、また反政府市民ネットワークの 「キファーヤ」もボイコットを呼びかけた。投票の結果、与党が直接投票分の 508議席中、420議席を獲得して圧勝した。MB勢力(名目上は無所属)はボイ コットによって88議席を失った。 同副大統領とデモ勢力の指導部との間で一定の譲歩と合意(ムバラク大統領の 任期満了後の退陣と引き換えに自由公正な総選挙を実施する等)が成される必要 があるが、政権側にとっては最も好ましいシナリオである。 政権側には、与党支持率の比較的高い地方票や公務員および国軍関係者などの 組織票を頼みに「公正」な総選挙を行っても第一党の位置を守れるとの判断や、 現在は協力関係にあるデモ勢力も選挙戦に入れば仲間割れやボイコット組が出て -7- JSS Special Report 自壊するとの期待もあると思われるが、ただしデモ勢力側は、ムバラク体制を残 すことになり兼ねないこの種の提案に乗る構えを一切見せていない。 シナリオ④ 国軍勢力による軍事クーデター 国民からの広範な支持を頼みに、国軍の一部将軍あるいは若手将校らがクーデ ターを敢行して政権を掌握する可能性も否定できない。ムバラク大統領は副大統 領職および新首相職に国軍出身者を起用することでその支持を固めようとしてい るが、①~③などの展開が失敗に終わってエジプト全土にさらなる混乱が及んだ 場合は、国軍が事態の収拾に打って出ることも十分考え得る。 いずれの展開へと至るにせよ、反政府抗議行動が今後さらに長期化する場合、デモ 勢力側の厭戦気分を掻き立てるべく、デモ参加者等を標的にした爆弾テロなど体制側 の工作活動が続発するおそれがあり、情勢は予断を許さない。 4日の午後から夜にかけて行われると見られる「退任の金曜日」デモは今後の展開 を大きく左右する分水嶺になる可能性がある。 以上 本レポート内容の全部または一部の転送・転載・部外者への提供を厳禁します。 -8- JSS Special Report
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