6-1. 住居の賃貸 まず,部屋を借りるときの様々な費用や住宅用語についての説明をします。中には日本 独特の商習慣に基づいた費用や用語もありますので注意が必要です。 「敷金」は未納家賃の 補充や退去後の部屋の修繕のために,あらかじめ家主に預けるお金で,家賃の数か月分(1 ∼4か月分)に相当し,退去時に差額が返還されます。 「礼金」は部屋を借りる時に,お礼 として家主に払うお金で,家賃の1,2か月分に相当します。ただし,福岡では一般的に 「礼金」を払うことはありません。その代わりに,敷金のうち一定の部分を退去時に返還 しないことを契約時点で特約する「敷引」が行われます。 「手数料」は不動産業者に渡す仲 介手数料のことで,家賃の 1 か月分です。 「共益費」はアパートなどで外灯などの共用部分 の維持管理のために,各世帯ごとに負担するお金で,入居者全員が支払います。家賃に含 まれている場合もあります。 次に部屋の間取り図を見るときの説明です。 「∼畳」 というのは部屋の面積を示す単位で, 1 畳は畳 1 枚分の広さのことを意味し,約 180×90cm の広さです。 「∼坪」というのもやは り面積を表す単位で1坪は 3.3 ㎡≒2畳です。 「畳」が主に部屋の面積に使われるのに対し て, 「坪」は土地の面積に対して使われることがほとんどです。 最後に,契約時に必要な「連帯保証人」には家賃滞納などの負債を家主に弁済する義務 が課せられます。しかし,連帯保証人の代わりに「保証金」によって部屋を貸すシステム を採用している不動産業者もあります。 実際に不動産業者と物件の下見を行い,住む物件を決めたら,①入居申込書を提出し, 同時に住民票,所得証明書,連帯保証人の氏名や連絡先を提出します。②賃貸借契約の締 結をします。この時連帯保証人(家賃滞納などの債務を負担しなければならない)もいっ しょに契約をします。さらに,敷金・礼金・手数料などを払います。また,賃貸借契約書 を交わす時は,契約の内容をしっかり確認,納得してから契約書をとり交わして下さい。 不明な点はかならず確認してから契約しましょう。契約書は一般的に日本語のみで書かれ ていますので,日本語のできる人を連れて行くほうがよいでしょう。また,この契約書は 契約期間,契約内容,敷金などの証拠となりますので,契約が終わり,退去後家主との精 算が済むまで大切に保管して下さい。 ③電気・水道の使用手続きを行います。 6-2. 家族呼び寄せ 6-2-1. 家族の在留資格 家族を日本に呼び寄せるためには,日本に来る家族が「家族滞在」ビザの発給を受ける 必要があります。この「家族滞在」ビザで家族(配偶者や子供)を呼べるのは,教授,芸 術,宗教,報道,投資・経営,法律・会計,医療,研究,教育,技術,人文・国際,企業 内転勤,興行,技能,文化活動,留学(日本語学校等において教育を受ける場合を除く) の各在留資格を持っている人だけです。 「家族滞在」ビザの申請は,①日本に滞在している夫(妻)が家族の在留資格認定証明 書を入国管理局で交付してもらい,それを本国の家族に送付して領事館に申請する方法と ②現地の領事館で直接家族滞在のビザ申請をする方法があります。ただし,在留資格認定 証明書の交付を受けてビザの申請をする場合は,在留資格への該当性と上陸許可基準への 74 適合性についての審査は既に終了している,とみなされるために②よりも①のほうが早め にビザの発給を受けることができます。 「家族滞在」在留資格認定証明書交付申請についての必要書類は,①申請書,写真(縦 4㎝,横3㎝)1枚,②扶養者との身分関係を証明する書類(次のうちいずれか),戸籍謄 本・婚姻届受理証明書・結婚証明書・出生証明書,③扶養者の在留カードまたは旅券の写 し,④扶養者の職業及び収入を証明する書類となっています。 6-2-2. 資格外活動許可申請について 日本に「家族滞在」の在留資格で滞在している配偶者や子供が,日本で就労する場合資 格外活動許可申請を行い,在留カードの裏面の「資格外活動許可欄」に「許可(条件記載 されます) 」の記載を受ける必要があります。 「家族滞在」在留資格で在留する場合,投資・経営,法律・会計,企業内転勤など前述 の在留資格をもって在留するものの扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動の みが認められています。ちなみにここでいう日常的な活動とは,子供が教育機関において 教育を受ける活動なども含まれています。そのため,子供が日本の学校に入学するにあた り「留学」への在留資格変更の申請は必要ありません(ただし,家族滞在ビザの有効期間 内) 。しかし,収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動は含まれていないため, 資格外活動許可の交付を受けずに就労や報酬を受けるような活動を行った場合は,処罰の 対象となりますので十分注意して下さい。 必要書類は,①資格外活動許可申請書,②資格外活動の具体的な内容を明らかにする書 類,例えば雇用契約書や雇用先の事業案内書など,③在留カード,④旅券,在留資格証明書 などの提示となっています。なお資格外活動許可証が交付された場合,週 28 時間以内,か つ1部業種を除く範囲で就労が可能です。 6-3. 主な健康保険の加入と医療費の負担 健康保険の種類は,主に民間企業に雇用されている人及びその家族を対象とする健康保 険と国民健康保険の2種類です。家族滞在の在留資格をもつ方は,配偶者が勤めている会 社の健康保険に入る場合が多いようです。日本の国民健康保険の加入資格は,入国当初の 在留期間が 1 年以上,もしくは 1 年以上日本に滞在すると認められる場合に限られますの で,本人が本国から海外保険に加入して来日されるのが一番よい方法と考えられます。ま た,日本で民間保険に加入する場合は,生命保険会社,損害保険会社などにお問合せ下さ い。損害保険,医療保険,火災保険などは外国人にも販売されているものがあります。 住民登録済みで職場の健康保険に未加入の人でも,国民健康保険には加入しなければな りません。ただし,在留期間が3か月以上の人に限ります。国民健康保険の加入者は,病 気,怪我などで病院や診療所に行った場合,医療費総額の 20∼30%を支払うだけでよいこ とになります。残りの 70%∼80%は,加入者の納付する保険料や国・県の補助金と福岡市 からの繰入金などでまかなわれています。ただし,国民健康保険では認められていない, 高額で特殊な治療薬を使った治療などは全額自己負担となります。住民登録をした区役所 の保険年金課にて加入の申請をします。その際,在留カードが必要です。 同居する家族がいる場合には,家族もいっしょに加入することになります。健康保険証 75
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