2 バセドウ病母体から出生した新生児の甲状腺機能の研究

道衛研所報
第45集(1995)
バセドウ病母体から出生した新生児の甲状腺機能の研究
Thyroid Function in Infants born to Mothers with Graves Disease
原田 正平 市原 侃 山野 公明
新井 純理 本間 寛 提嶋 俊一*
藤枝 憲二** 奥野 晃正*** 工藤 亨#
Shohei Harada, Naoshi Ichihara, Kimiaki Yamano, Junri
Arai, Hiroshi Honma, Shun-ichi Sageshima, Kenji Fujieda
Akimasa Okuno and Toru Kudo
対象と方法
緒 言
バセドウ病は甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulat-
1.対象
ing hormone、 TSH)受容体抗体(TSH receptor
札幌市を除く北海道内の分娩医療機関などで出生した新
antibodies、 TRAb)による自己免疫性疾患であり、妊
生児を対象としてクレチン症マススクリーニングを実施し、
娠に合併する頻度は0.2∼0.9%といわれている1)。妊娠時
1989年4月から1995年3月までに217,671例の検査をおこ
における治療の第一選択である抗甲状腺剤2)と、母体血中
なった。その中で、母親がバセドウ病であった78例
に存在するTRAbは共に胎盤を通過するため、胎児・新
(0.036%)を対象として以下の検討をおこなった。
生児の甲状腺機能に影響を与え3) 、種々の新生児一過性甲
78例の内訳は、スクリーニングで要精密検査(要精検)
状腺機能異常症を引き起こす4)。その中で、 TRAbの経
となった7例、再検査のための2回目の採血要求(要再採
胎盤的移行による新生児バセドウ病は、妊娠後期の妊婦血
血)となった10例、母親のバセドウ病のため主治医の判断
中のTRAb活性を測定することで、発症の予測が可能で
で日齢0∼1から採血がおこなわれた61例であった。
あることが報告されている5)6)。
一方、抗甲状腺剤による一過性甲状腺機能低下症につい
この78例を日齢5の濾紙血中TSH値が10μU/ml以上
のA群21例、 A群以外で日齢1の濾紙血中TSH値が15
ては、胎児甲状腺の高周波断層法による計測と胎児採血が
μU/ml以上のB群19例、その他のC群38例に区分してそ
有用であるとの報告7)があるが、必ずしも一般的ではない。
れぞれの甲状腺機能の変動、母体に使用された抗甲状腺剤
むしろ、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)マススク
の種類・用量について比較検討した。
リーニングにおいて、日齢5∼7に採取された乾燥血液慮
2.方法
紙(慮紙血)中のTSH異常高値として検出され8)、その
1)検査方法
時点で初めて児の甲状腺機能異常に気づかれることが大部
濾紙血中のTSH、遊離サイロキシン(free thyroxine、
分である。今回、北海道内でバセドウ病母体から出生した
FT4)は共にenzyme-linked immunosorbent assay
新生児の出生直後からの甲状腺機能の経時的変化を検討し
(ELISA)で測定し、その最低感度はそれぞれ0.5μU/ml
たところ、一過性甲状腺機能低下症も含めた新生児一過性
(全血値)、 0.2ng/dl (血清値)であった9)。
甲状腺機能異常症の発症を早期に予測する指標が得られた
2)スクリーニングの判定基準
ので、その結果を報告する。
スクリーニングのために日齢5∼7の新生児から採取さ
れた濾紙血中の、 TSH値が10μU/ml以上を高TSH血症
*帯広厚生病院小児科
**北海道大学医学部小児科
***旭川医科大学小児科
#札幌医科大学医学部小児科
と判定し、再採血を産科医療機関に依頼した。また、30
μU/ml以上の場合、要精検として精検医療機関への受診
を勧奨した9)。
濾紙血中のFT4値の日齢5までの基準範囲(平均値±2
標準偏差)は、既報10)での検討から、臍帯血では0.6∼1.4
ng/dl、日齢1は0・9∼3.6ng/dl、日齢3は0.7∼3.3ng/dl、
日齢5は0.8∼2.8ng/dlとした。この範囲を超えるものを
高T4血症、低値を示したものを低T4血症と判定した。
3)診断基準
診断名については、次の定義を用いた。
①クレチン症:甲状腺ホルモン剤の補充療法を継続的に必
要としている症例をクレチン症とした。
②一過性甲状腺機能低下症:日齢5∼7の濾紙血で低T4血
症、高TSH血症を呈し、その後治療の有無にかかわらず
正常化し、1年以上経過しても異常のない症例とした。
③新生児バセドウ病:新生児期に母体由来のTRAbによ
り甲状腺機能亢進症状(頻脈、多呼吸、授乳障害、易刺激
性、体重増加不良など)を呈した症例。
④軽症甲状腺機能亢進症(chemical thyrotoxicosis):
濾紙血で高T4血症を呈したが、甲状腺機能亢進症状は伴
わなかった症例11)。
結 果
1.日齢5に高TSH血症を呈したA群の甲状腺機能の
経時的変動
A群21例には、要精検者7例、要再採血者10例、日齢
1から採血をおこなった61例中4例が含まれた。再採血お
よび精検の結果、クレチン症1例、一過性甲状腺機能低下
症4例、軽症甲状腺機能亢進症1例が診断され、残り15例
は正常であった。
濾紙血中TSH値は、日齢1に採血された全例が15μU
/ml以上であり、日齢5を過ぎて急激に低下し、再採血が
Fig.
1
通常おこなわれる日齢15までに、クレチン症と診断された
症例Sを除いた20例で、その日齢のカットオフ値である
9μU/ml9)未満となった(Fig.1)。
Time Course of Thyrotropin
(TSH)
Free Thyroxine
(FT4)
Levels in
Blood
Specimens
of Infants
Hyperthyrotropinemia
at the Age
Days, Who Were Born to Mothers
Graves' Disease
and
Dried
with
of 5
with
一過性甲状腺機能低下症4例中2例で日齢1から採血が
おこなわれ、日齢1から日齢5まで低T4血症が共に持続し
た(Fig.1)。
症例Sはバセドウ病母体から出生したクレチン症と考
えられる特異な症例なので、以下その詳細を述べる。
T3150ng/dl、T49.1μg/dl、TSH10.4μU/mlと甲状腺
機能低下はなく、大腿骨遠位端骨核が出現し(縦径4mm)、
クレチン症の臨床症状も認めなかった。その後、血清
初回濾紙血中TSH値が61.2μU/mlと高値であったが、
TSH軽度高値(14.3∼15.3μU/ml)が持続するため、軽
日齢11にはTSH9.1μU/mlと急激に低下し、母親がプロ
症クレチン症として生後8カ月から甲状腺剤治療が開始さ
ピルサイオウラシル(propylthiouracil、PTU)を服用
れている。
していたため、一過性甲状腺機能低下症の疑いが強いもの
2.日齢5に高TSH血症を呈さず、かつ日齢1の濾紙血
と考えられた。しかし、日齢35の濾紙血中TSH値が9.7
中TSH値が15μU/ml以上であったB群の甲状腺機能の
μU/mlとその日齢のカットオフ値(8μU/ml)9)以上だっ
変動
たため、要精検となった。精検時(日齢41)には、血清
B群19例中6例は軽症甲状腺機能亢進症であったが、他
Fig.
2
Time Course of TSH and
FT4 Levels in Dried Blood
Specimens
of Infants
with
TSH Levels of 15 ƒÊU/ml
or
More at the Age of 1 Day,
Who were Born to Mothers
with Graves' Disease
は最終的に正常と診断された。
B群は日齢1の濾紙血中TSH値ではA群と区分され
Fig.
3
Time Course of TSH and
FT4 Levels in Dried Blood
Specimens
of Infants
with
TSH Levels Less Than 15 ƒÊ
U/ml at the Age of 1 Day,
Who were Born to Mothers
with Graves' Disease
ドウ病2例が含まれた(新生児バセドウ病の経過はFig.4
に示した)。
ないが、Fig.2に示すようにほぼ全例でTSH値が日齢5
まで経時的に低下した。1例のみ目齢4まで低T4血症を呈
したが、日齢5には正常化した。
4.甲状腺機能亢進症症例の甲状腺機能の変動
A群21例中1例、B群19例中6例、C群38例中10例が
3.日齢5に高TSH血症を呈さず、かつ日齢1の濾紙血
軽症甲状腺機能亢進症であった。また新生児バセドウ病2
中TSH値が15μU/ml未満であったC群の甲状腺機能の
例(症例K,M)はC群に含まれた。
変動
C群では日齢1以降、濾紙血中TSH値は経時的に低下
した(Fig.3)。軽症甲状腺機能亢進症10例、新生児バセ
軽症甲状腺機能亢進症17例および新生児バセドウ病2例
の濾紙血中TSH、FT4値の変動をFig.4に示した。
軽症甲状腺機能亢進症例では、日齢1のFT4値は17例
Fig.
Fig.
4
Time Course of TSH and
FT4 Levels in Dried Blood
Specimens
of Infants
with
Chemical
Thyrotoxicosis,
Who Were Born to Mothers
with Graves' Disease
5
Relationship
Between Maternal
Doses
of Antithyroid
Drugs and TSH levels of
Infants at the Age of 1 and 5 days
T4値がそれぞれ0.5μU/ml未満、12.5ng/dlと著明な甲状
腺機能亢進症を呈した。症例Kの日齢4までの甲状腺機
能は、軽症甲状腺機能亢進症例と大きな違いはなかったが、
甲状腺機能亢進症の臨床症状が著明となり、同日よりルゴー
ル液による治療が開始された。
5.母体の服用した抗甲状腺剤の種類・量と児の甲状腺機
能
母体の治療状況が明らかだった18例の抗甲状腺剤の量と
児の日齢1、5の濾紙血中TSH値の関係をFig.5に示し
中13例が基準範囲にあったが、日齢2、3には15例中それ
た。一過性甲状腺機能低下症4例では、PTU300mg/日が
ぞれ8、9例が基準範囲を超えていた。日齢5でも15例中
2例、同200mg/日が1例であった。残り1例もPTUであっ
12例が高T4血症を呈していたが、2例を除きそれ以後の
たが、用量は不明であった。
濾紙血中甲状腺機能は再検されなかった。
新生児バセドウ病2例のうち、症例Mは日齢0、1の
考 察
濾紙血中TSH値が測定感度以下であったが、FT4値もそ
バセドウ病母体から出生した新生児の甲状腺機能に影響
れぞれ0.4、0.3ng/dlと低値をとっていた。この児は日齢
を与える因子としては、TRAbも含めた母親の甲状腺機
2、3には濾紙採血されず、日齢5の濾紙血中TSH、F
能、投与されている抗甲状腺剤の種類と量などがあ
り3)5)6)11)、新生児バセドウ病から一過性甲状腺機能低下
験した新生児バセドウ病2例のうち、1例は日齢0∼1の
症まで、種々の程度の新生児一過性甲状腺機能異常症が発
濾紙血中TSH値が測定感度以下であったが、同日齢のF
症する4)。その発症予測については様々な研究がおこなわ
T4値も低値であった。中枢性クレチン症の場合、TSH値
れ、母体血中のTRAb活性の測定5)6)や臍帯血中TSH
は低値であるが、FT4値は高値から正常範囲にあり20)、日
値12)による新生児バセドウ病の発症予測、胎児血液を直接
齢0∼1のTSH、FT4値を同時に測定することで両者の
採取しての児の甲状腺機能検査7)13)14)、胎児甲状腺の高周
鑑別の可能性が示唆されたが、今後さらに症例を増やして
波断層法による計測7)15)など検査法の進歩に著しいものが
検討することが必要と考えられた。
ある。
抗甲状腺剤服用中の母体から出生した児に高TSH血症
しかし、クレチン症マススクリーニングで児の濾紙血中
を認めた場合,これまで述べてきたように,そのほとんど
TSH値高値が判明した場合、児にどの程度の甲状腺機能
は一過性甲状腺機能異常症と考えられる。しかし,希れと
異常が発症するかについて産科医療機関で必ずしも予測さ
はいえ,バセドウ病母体から出生した児にもクレチン症の
れていないことを多く経験する。バセドウ病母体から出生
合併はみられ,1985∼87年度に出生したクレチン症224例
した新生児の管理方法として、臍帯血での甲状腺機能検査
中2例に合併したとの報告がある8)。これら症例のスクリー
が勧められているが12)16)17)、大部分の臍帯血中TSH値は
ニング時の甲状腺機能所見は不明であるが,我々の経験し
正常範囲であり、しかもその群からも新生児バセドウ病、一
た症例は,日齢5∼11までは抗甲状腺剤の影響による一過
過性甲状腺機能低下症が発症している12)。また、一般新生児
性の甲状腺機能抑制と考えられる濾紙血中TSH値の変動
の勝帯血中TSH値も分娩様式などに影響を受けることが
を示した。しかし,その後も軽度のTSH高値が続き,軽
知られており18)19)、正常範囲の設定そのものが困難である。
症クレチン症として加療中である。今回の検討で明らかに
そこで今回、濾紙血中の児の甲状腺機能の変動を出生直
なったように,抗甲状腺剤の影響は遅くとも日齢15まにで
後から経時的に検討したところ、日齢1・3・5の濾紙血
は消失することから,抗甲状腺剤服用中の母体から出生し
中TSH、FT4値を同時に測定することで、一過性甲状腺
た児が日齢5に高TSH血症を呈した場合,通常のクレチ
機能低下症だけではなく、軽症甲状腺機能亢進症も早期に
ン症の判定基準に準じ9),日齢10∼14と目齢20前後に濾紙
診断できることが明らかとなった。
採血を追加することで,不要な精検をおこなうことなくク
第一に、一過性甲状腺機能低下症のうち日齢1から経時
的に甲状腺機能を測定できた症例は2例のみであったが、
レチン症の偶発合併を鑑別することが可能と考えられた。
一過性甲状腺機能低下症の発症と、母体に投与された抗
いずれも日齢1で既に低T4血症であった。しかし、濾紙血
甲状腺剤の種頬、用量との関係については、PTU100mg/日
中TSH値の変動は日齢5に高TSH血症を呈さなかった
以下(methimazole(MMI)は10mg/日が等力価)はほ
B群と必ずしも区別できなかった。日齢1の濾紙血中
ぼ問題がないとされている17)。しかし、MMI10mg/日で著
TSH値のみで判断する場合、A群は測定した限りでは全
しい一過性甲状腺機能低下症の発症も報告されており21)、
例が15μU/ml以上であり、15μU/ml未満のC群は全例が
また、母体を十分治療するためにはPTU150mg/日以下で
日齢5に高TSH血症を呈さなかった。そこで、日齢1の
は不十分ともいわれ22)、安全な用量は必ずしも定まってい
濾紙血中TSH値15μU/ml未満であることが、日齢5の
ない。今回の検討でもPTU200mg/日以上で一過性甲状腺
時点で一過性甲状腺機能低下症が発症しないと判断できる
機能低下症が発症しており、PTU100∼200mg/日でも有意
一つの指標と考えられた。
に日齢1のTSH値が上昇し、T4値が低下するとの報告23)
第二に、濾紙血中TSH値の変動パターンが異なるA・
B・C群全てに軽症甲状腺機能亢進症が発症したことから、
と合わせ、十分な注意が必要と考えられた。
抗甲状腺剤を服用した母体から出生した児の精神運動発
TSH値だけでは発症予測はできないものと考えられた。
達に大きな問題はないとされ24)、一過性甲状腺機能低下症
濾紙血中FT4値も同時に測定した場合でも、日齢1のTS
を発症した場合でも、特に異常は指摘されていない7)。し
H、FT4値では予測できなかったが、日齢2∼3には高T4
かし、胎児甲状腺機能低下症の所見と考えられる大腿骨遠
血症が明らかになり、約半数は日齢5までその状態が持続
位端骨核未出現例について、短期間の治療を勧める報告16)
した。以上より、軽症甲状腺機能亢進症を診断するために
もあり、今後も注意深い経過観察が必要とされている。そ
は、日齢2∼3にFT4値を測定すべきことが示唆された。
の点からも、日齢5∼7におこなわれる、通常の新生児ス
臍帯血中TSH値が低値の場合、新生児バセドウ病また
クリーニングのための採血を待つのではなく、出生直後か
は中枢性クレチン症の発症が予測されているが12)、今回経
ら経時的に濾紙血中のTSH、FT4値を同時に測定するこ
とがバセドウ病母体から出生した児の管理に有用と考えら
14) Wenstrom, K.D. et al.: Obstet. Gynecol., 76(3),
れた。
513 (1990)
結 語
バセドウ病母体から出生した新生児では、日齢1 3・
15)三木和典他:ホと臨床, 38(増刊号), 118 (1990)
16)猪股弘明:周産期医学: 24(増刊号), 195 (1994)
17) Burrow,G.N.et al.: N. Engl.J.Med., 313(9),
5に経時的に濾紙血を採取し、 TSH、 FT4値を同時に測定
することで、新生児一過性甲状腺機能異常症の発症予測に
562 (1985)
18) Lao.T.T.et al.: Br.J.Obstet. Gynecol., 96,
有用であることが明らかとなった。 1)日齢1のTSH値
1224 (1989)
が15μU/ml未満の場合、抗甲状腺剤の経胎盤的移行によ
19)宮本直紀他:医療, 44(12), 1253 (1990)
る一過性甲状腺機能低下症は発症しない。 2)日齢1の
20) Harada, S. et al.:J. Clin. Endocrinol. Metab.,
TSH値が15μU/ml以上、かつ低T4血症の児から一過性甲
(submitted)
状腺機能低下症が発症する。 3 )軽症甲状腺機能亢進症例
21)上瀧邦雄他:ホと臨床, 42(7), 641 (1994)
では、日齢2∼3に濾紙血中FT4値が高値となる。 4)新
22) Davis, L.E. et al.: Am. J.Obstet.Gynecol., 160
生児バセドウ病では日齢0、 1に濾紙血中TSH、 FT4値
共に低値をとったが、今後症例を増やしての検討が必要で
(1), 63 (1989)
23) Cheron,R.G.et al.: N.Engl.J.Med., 304(9),
ある。 5)クレチン症の偶発合併の鑑別には、日齢10∼14
と日齢20前後に追加の濾紙採血が必要であった。
525 (1981)
24) Burrow,G.N.et al.: Yale J.Biol.Med., 51, 151
(1978)
新生児からの濾紙血採取にご協力頂きました旭川医科大
英 文 要 約
学附属病院、網走厚生病院、王子総合病院、帯広協会病院、
帯広厚生病院、北見赤十字病院、釧路労災病院、栗山赤十
To evaluate thyroid function in 78 infants born to
字病院、市立旭川病院、新日銀室蘭総合病院、国立函館病
mothers with Graves'disease (GD), we compared
院、中標津町立病院、日鋼記念病院、美唄労災病院、富良
their thyrotropin (TSH) and free thyroxine (FT 4)
野協会病院の産科、小児科の看護スタッフ、担当医の方々
levels in dried blood specimens (DBS) at 1, 3, 5 days
に感謝致します。
of life. The results are as follows; 1 ) In case of TSH
文 献
levels less than 15μU/ml of blood at the 1 st day,
neonatal transient hypothyroidism (TH) did not
1)飯野史郎:医のあゆみ, 164(4), 189 (1993)
occur with maternal antithyroid drugs (ATD). 2 )
2) Franklyn, J.A. et al.: N. Engl. J. Med., 330(24),
In case of TSH levels of 15μU/ml or more with
1731 (1994)
hypothyroxinemia at the 1 st day, TH occured with
3)松浦信夫他:日児誌, 89(3), 487 (1985)
maternal ATD. 3 )Infants with chemical thyr-
4)網野信行:日内分泌会誌, 63(増刊号), 1543 (1987)
otoxicosis showed hyperthyroxinemia at the 2nd or
5) Matsuura, N. et al.: Lancet, i, 14 (1988)
3rd day. 4 ) Neonatal thyrotoxicosis developed in
6) Tamaki,H.et al.: Am.J.Perinatal., 5(2), 152
aneonate with low TSH and low FT4 at cord blood
(1988)
7) Davidson, K.M. et al.: N. Engl. J. Med., 324(8),
543(1991)
andthe lst day. 5)We experienced a case of persistent congenital hypothyroidism (CH) born to
mother with active GD. To differentiate CH from TH
8)佐藤浩一他:日児誌, 93(5), 1152 (1989)
born to mothers with GD, we recommended addi-
9)原田正平他:道衛研所報, 44, 7 (1994)
tional blood sampling at 10-14 days and 20days of
10) Harada, S. et al.: Screening (submitted)
life.
11)玉置治夫他:ホと臨床, 36(3), 223 (1988)
12) Tamaki, H. et al.: J. Pediatr.,115(2), 318 (1989)
Key words: neonatal screening; transient hypothy-
13) Porreco, R.P. et al.: Obstet. Gynecol., 76(3),
roidism; neonatal thyrotoxicosis; antithyroid drug;
509 (1990)
Graves' disease