平成28年11月分 米大統領選挙はすでに終わった!?

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No.273
平成 28 年 11 月 1 日
伊予銀行 ニューヨーク駐在員事務所
<政治・経済>
米大統領選挙はすでに終わった!?
先月 19 日夜(日本時間 20 日午前)
、米大統領
選で最後となる第 3 回テレビ討論会が開かれ、
11 月 8 日の大決戦に向け、いよいよ終盤を迎え
てきました。
あるワシントン DC の知り合いに現況を尋ねて
みたところ、現地では 10 月中旬をもって、
“米
大統領選挙はすでに終わった”と言われ出して
いるそうです。わいせつ発言を皮切りに、性的
嫌がらせや暴行を受けたと名乗り出た女性が 10
<さあ、どちらが勝つか!?>
人に及ぶなど、トランプ共和党候補をめぐるスキャンダルが相次ぎ、一方で、クリントン
民主党候補は激戦州でも着実に支持率を上げながら引き離していることは明らかな模様で
す。また、クリントン氏はすでに当選は確実とにらみ、米議会上下両院議員選挙を民主党
に有利に導こうと選挙運動にまで乗り出しており、各州を遊説するなど余裕を見せている
と言います。
「 Chimerica 」
皆さんは、「Chimerica」という言葉をご存知でしょうか。これは、貿易や投資、人的交
流を筆頭に、米中の密接な相互交流関係を表す造語です。日米関係については日本国内で
も数多く報道されていると思いますので、今回は米中関係(対中外交)に注目してみまし
ょう。
今回の米大統領選でどちらが大統領になろうと、米次期政権にとって米中関係の運営は
現政権にも増して外交戦略やアジア外交の要になると言えます。中国が軍事的にも経済的
にも強大国化を続け、国際社会での役割が増すことは確実であり、「Chimerica」はますま
す拡大していくことでしょう。
実際、中国の大国化は顕著で、中国の通貨である人民元が 10 月 1 日に IMF(国際通貨基
金)の SDR(特別引出権)における構成通貨に採用されました(これまでは米ドル、ユーロ、
英ポンド、日本円)
。これは、経済大国としての中国のパワーを象徴しています。また、ア
ジアインフラ投資銀行(AIIB)も立ち上げ、購買力平価1換算による GDP(国内総生産)に
おいても、今年中国は米国を抜き、世界一の経済大国となる見込みです(米国 18 兆 5,580
億ドルに対し、中国は 20 兆 8,530 億ドル)。
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購買力平価とは、モノの値段を基準とした通貨の交換比率(レート)のことを指し、同じモノは世界中
どこに行っても同じ価値であるという、一物一価の考え方でレートを計算したもの。
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米国において、対中貿易赤字だけでなく、中国における経済改革の遅れや市場の閉鎖性、
そして人権侵害、サイバーセキュリティ問題など、両国の間には懸案が山積みです。米国
の新政権が発足された後、この世界 2 大国はそれぞれの国益のためにどのような関係を続
けていくのか。互いに歩み寄っていくか、それとも強硬姿勢を見せるか。私たち日本にお
いても対岸の火事とは思わず、これからも引続き注視していかなければなりません。
<社会>
新しい代名詞
私たちが学生だった頃は、男性は「He」や「Mr.」、女性は「She」や「Ms.」での呼称を
用いることを学習してきました。しかし、ここニューヨークでは、トランスジェンダーの
人々を表す人称代名詞は、本人が選んだものを使用するよう義務付けられています。これ
は、職場の雇用主や住宅の家主(賃貸住宅テナント)などに向けたもので、今後はトラン
スジェンダーの人が「He」や「She」ではなく、「Ze」(三人称単数。三人称複数は「Hir」
)
を希望した場合には従わなければなりません。「Ze」や「Hir」は性別を特定せず使われる
代名詞ですが、このような代名詞を使用するという動きは、性別を男性か女性かなどに単
に分けることができないという認識の高まった過去 10 年ほどの間に起こり、すでにハーバ
ード大学などが導入しています。
また、最近ではマンハッタン区の公立高校に、性的区別のない新しいトイレも誕生した
そうです。ロサンゼルスなどの都市では、これまで個室トイレ使用における性的区別を撤
廃した高校がすでにありますが、全ての生徒が使用できる共同のトイレを設置するのは同
校が初めてだと言います。
「自分の居場所を求める」―― 上記の事例は、人々の多様なあり方を認める、実にニュ
ーヨークらしいルールといえるでしょう。日本でも、女性の社会進出をはじめ、私たちの
学生の頃と比べると、時代は大きく様変わりしています。差別しないことを基本理念とし、
各人の人格を尊重して、可能性を十分に発揮できる機会をつくることこそ、本当の意味で
の新時代幕開けではないかと感じたニュースでした。
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米国の見本市情報(2016 年 11 月~2017 年 1 月)
『Automotive Aftermarket Products Expo』 (ラスベガス)
11 月 1 日~3 日
自動補修用交換部品、付属品、修理サービス設備、ガレージ・修理設備/用品、
オフロード・パフォーマンス・外観部品/付属品
『Los Angeles Christmas Cash & Carry Gift Show』 (ロサンゼルス)
11 月 4 日~6 日
ギフト用品、骨董品、アロマテラピー、バス・スパ用品、ハンドクラフト、グルメ食品、
ホリディグッズ、パーソナルアクセサリー、ファッションアクセサリー、ファインジュエリー、
ファッションジュエリー等
『PACK EXPO International』 (シカゴ)
11 月 6 日~9 日
包装資材、包装機械、加工機械等
『オートモティブ・マニュファクチャリング・ミーティング』 (デトロイト)
11 月 15 日~17 日
自動車製造全般
『The Hotel Experience』 (ニューヨーク)
11 月 13 日~15 日
広告&プロモーション、クリーニング&メンテナンス、フランチャイズ&財務管理、
フィットネス&プール用品、食品および飲料、飲食サービス設備&備品、家具&備品、
アメニティ/サービス、ハウスキーピング&ランドリー機器、HVAC、照明、エネルギー管理、
輸送/自動車、ユニフォーム、リネン/寝具、テクノロジー
『Bay Area Abilities Expo』 (サンノゼ)
11 月 18 日~20 日
障害者用製品、サービス
『San Mateo Christmas Cash & Carry Gift Show』 (サンマテオ)
11 月 18 日~20 日
ギフト用品、骨董品、アロマテラピー、バス・スパ用品、ハンドクラフト、グルメ食品、ホリディグッズ、
パーソナルアクセサリー、ファッションアクセサリー、ファインジュエリー、ファッションジュエリー等
『International WorkBoat Show』 (ニューオリンズ)
11 月 30 日~12 月 2 日
商業用船舶、海洋機器、関連サービス:各種作業船舶・ボート(バージ、タグボート、湾内用ボート、
フィッシング用/消化・救助用/軍用・パトロール用/調査用/ゲーム用/オフショア用/旅客用/車両用ボー
ト・フェリー等)
、船舶・マリーナ建造、潜水・サルベージ、港湾行政・管理等
『Grand Strand Gift & Resort Merchandise Gift Show』 (マートルビーチ)
12 月 4 日~7 日
ギフト用品、リゾート&観光商品、土産品、繊維製品等
『Winter Fancy Food Show』 (サンフランシスコ)
1 月 22 日~24 日
専門食品、菓子、チーズ、コーヒー、スナック、スパイス、エスニック、自然食品、有機食品等
※上記見本市は予定が変更になる場合もありますのでご留意ください。
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★ トピックスレポート(現地スタッフ便り) ★
「コロンブス・デー(Columbus Day)
」に見た世界地図
10 月 10 日(毎年 10 月第 2 月曜日)
。日本は「体育の日」で祝日でしたが、ここアメリカ
でも「コロンブス・デー(Columbus Day)」と呼ばれる祝日でした。この祝日は、1492 年
10 月 12 日に、クリストファー・コロンブスによってアメリカ大陸が発見されたことにちな
んで創設されました。コロンブスの出身国はイタリアなので、ここニューヨークのマンハ
ッタン区 5 番街では、イタリア系アメリカ人を中心に恒例のパレードが催され、多くの商
店でも特別セールが実施されていました。
しかし、私は毎年この祝日になると、どうも盛り上がりに欠ける日だな、と感じており、
“国民の祝日”という感じが全くしません。学校や金融機関、公共施設は休日になる場合
も多いですが、その他多くの一般企業の方々が通常通り働いているからでしょうか。
私の夫はアメリカ人ですが、彼によると、子どもの頃は学校でこの出来事は“偉大な発
見”として教わったそうですが、大きくなってからは疑問を持つようになったと言います。
実は、コロンブスが発見する 500 年前に、すでに北欧のバイキングによって上陸されて
いたこと、また、大西洋を航海した末に現われた大陸をインドと思い込んでいたこと、そ
して同地に住むネイティブアメリカンに対する残虐な行為などの歴史的背景を学べば学ぶ
ほど、この祝日の意味がますます分からなくなってきたそうです。
コロンブスが活躍?した当時のヨーロッパでは、王族が富や権力拡大のために探検家に
出資し、世界中の情報や資源を集めて“発見”を競いましたが、すでに地球上のさまざま
な地域では独自の文明を持つ民族が多数存在しており、外来者によって気の毒な思いをさ
せられたのは事実です。
「コロンブス・デー」があまり注目されなくなったのは、ネイティ
ブアメリカンへの配慮、そしてヨーロッパを中心とした見方を修正する力が働いていると
いえます。
この「コロンブス・デー」の日、私はあらためて世界
地図を開いてみました。大変お恥ずかしい話ですが、日
本は本来、世界地図の中心ではなく右端に位置し、“極
東”と呼ばれる意味にようやく気付かされたのです。世
界地図 1 枚を眺めるだけで、こうした新たなことを“発
見”でき、またその裏には数々のドラマが隠されている
のだなあ、と静かな夜を過ごした一日でした。
今回から、現地スタッフとして、米国事情を身近な視点から皆さまにお届けできればと
思っています。よろしくお願いします。
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