Medical Information Vol.10 NT−proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント) 2007年8月1日より新規受託項目 ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント(NT−proBNP)は、76個のアミノ酸より 構成されるペプチドです。循環血液量の増加や心室壁へのストレスなど心負荷の増大により脳性ナトリウム利 尿ペプチド前駆体(proBNP)が産生され、これが蛋白分解酵素によりヒト心臓中で生理活性を持つBN Pと生理活性を有しないNT−proBNPに分解されて血中に放出されます。健常人のBNPおよびNT− proBNPの血中濃度は極めて低く、心不全の重症度に応じてそれぞれの血中濃度が上昇します。 BNPとの違いは? NT−proBNPはBNPと共に、心負荷において上昇するproBNPを反映したマーカーであるため その臨床的意義はBNPと同等と考えられています。ただし物質的な違いからBNPにはない有用性があります。 血清(または血漿)での測定が可能です。 専用採血管で別採血を必要がありません。追加オーダーも可能です。 採血後の安定性が良好です。 検体の保存安定性が良好であることから測定結果の信頼性が高く、冷蔵 での検体保管が3日まで可能です。 重症度をよりダイナミックに反映します。 ※ BNPからNT−proBNPに切り替える際の注意点 1. カットオフ値が異なる(BNP:18.4pg/ml NT-proBNP:125pg/ml) 2. データーの乖離する検体が見られる(代謝消失が少ないため早期陽性化する・代謝プロセスの違い等) 3. 腎疾患では共に影響を受けるがBNPに比べより高値に出る傾向がある。 容器 :一般用2ml または専用容器(EDTA 2Na)2ml 報告日数: 3∼4日 実施料 : 140点(生化学Ⅱ) 検査方法: ECLIA法 基準値 : 125 pg/mℓ以下 保険適用が拡大されました。 「心不全の診断」にも保険適用され心不全の 早期診断や疾患レベルに応じた病態把握・判 断が可能です。 2007.9 Medical Information NT−proBNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント) 検体安定性(遠心分離後) 相関性 ※1 ※1 4試料を用い、遠心分離後の安定性を確認したところ、血清・血漿検体とも 他社BNP(IRMA法)と弊社NT-pro BNP(ECLIA法)との相関を求 に良好な安定性が確認されました。 めたところ良好な結果が得られました。 NT-proBNP血清・冷蔵 検体安定性 (遠心分離後) 1 0 0 ,0 0 0 NT-proBNP血漿・冷蔵 100% NT-proBNP血清・室温 NT-proBNP血漿・室温 対0時間(%) 80% BNP血清・冷蔵 60% BNP血漿・冷蔵 40% n=81 1 0 ,0 0 0 NT-proBNP (pg /ml) 120% r=0.859 1 ,0 0 0 y=7.498x-106.99 100 BNP血清・室温 20% 10 BNP血漿・室温 0% 0 3 6 9 12 15 18 21 24 1 保存時間(hr) 1 10 100 1 ,0 0 0 1 0 ,0 0 0 B N P ( p g /m l ) NYHA心機能分類 ※2 心不全除外カットオフ値 180 1000 160 BNP 各測定値をそれぞれのカットオフ NT-proBNP 900 健常者(n=2264) 800 心不全患者(n=721) 120 値で除した Indexを比較した場 700 100 合、BNPと比較しNT-proBNPの 600 感度 88.0% 500 特異度 92.0% PPV 80.6% NPV 96.7% 80 測定値上昇の程度は、明らかに 度数 Cu t off I n de x 140 ※1 400 60 大きいことが示されています。 40 125pg/mL 300 200 20 100 0 0 NYHA -I NYHA - IIs NYHA -I Im NYHA - III 0 NYHA -IV 100 200 300 400 500 600 NT-proBNP(pg/mL) ※1 ロシュ・ダイアグノスティックス社データ ※2 清野精彦、他BIO Clinica 19(6):47-53,2007を一部改変 心不全診断のアルゴリズム 症状や兆候から心不全が疑われる症例 正常 ≦125 pg/mL 異常 ECGおよびNT-proBNPで心疾患の有無を判断 心不全とは考えにくい >125 pg/mL 心エコー等によるイメージング 2007.9
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