自立活動教諭より

安全に楽しく給食を食べるために
自立活動教諭(ST)小川会里
○食べるということ=学習
○発達とメカニズムの視点
ST の関わりの中で、
「ことば」
「コ
ミュニケーション」「きこえ」「食
べること」
「発音」などの中で、
「食
べること」について焦点をあてて
みました。
食べることのメカニズム
①
口に入る前に
情報収集
③
取り込むとき
に口を閉じる
⑤
②
口まで運ぶ
(自分に合った
一口量)
④
口を閉じて咀
嚼する
(モグモグ)
⑥
口を閉じて
食塊を後方
におくる
⑦
口を閉じて
飲み込む
(ゴックン)
食道から胃へ
『摂食育コミュニケーション』より
食事に伴う危険性
→誤嚥と窒息
食べ方に注意!
△ 食べ物を詰め込んで食べる
△ 噛めない、噛まない
△ 歯の生えかわり
△ 飲み込みの時などに上を向く
△ 食事中の息継ぎ
食形態の配慮
*発達段階に合った食形態が、
発達を促す
*普通食を刻む
→かえって誤嚥をまねく可能性
がある
食べ物を口から出してしまいます
丸のみしてしまいます
○咀嚼の力が十分に育っていないかもしれません。
○前歯を使っていないために、何が入ってきたのか分からないのかも
しれません。
○口の中に詰め込んでしまい、嘔吐の反応が出ているのかもしれませ
ん。⇒詰め込む場合には、他にも要因が考えられます。
○口唇が上手に使えていないのかもしれません。
などの要因が考えられます。
ストローをかんでしまいます
ストローを口角から入れています
○唇の使い方が上手ではないの
かもしれません。
○吸うことが苦手なのかもしれ
ません。
ストローの正しい位置
奥まで入り
すぎていま
○舌の使い方が下手なのかもし
れません。
など
せんか?
よだれがたれてしまいます
○唇の使い方が上手ではないのかもしれません。
○口の周辺の感覚が、鈍感なのかもしれません。
など
おいしいと感じて食べられる、大人になっても口から食べられる
時間が長くなる、きれいに食べられる、肥満の防止、食べたもの
が栄養になる…など上手に食べられる方が得になることがありま
す。食事の中で、3回だけなど日々の積み重ねが大切になってき
ます。これをしたからすぐに変わるものでもありません。長い目
でコツコツということが大切になってきます。
食事場面以外で
◎ぶくぶくうがい チェックしてみよう◎
□ 「ぶくぶくうがいをしてね」の理解ができる
□ コップから口に水が入れられる
□
口には水は入るが、そのまま飲み込むか、
口の外に出てくる
□ 口に一定時間水を含むことができる
□ ぶくぶくと左右に行おうとすると水が出てくる
□ ぶくぶくと左右に水を移動することができる
『昭和歯科大学 ぶくぶくうがいテスト』参照
◎口を閉じるためには、鼻呼吸◎
口が開いているということの弊害
△ 前歯がでてくる
要因として
△ 上手に噛むことが出来ない
△ 上手に飲むことが出来ない
△ 口の中が乾燥する
△ よだれがでる
*唇を閉じる力が
弱い
*舌の位置が低下
など
*鼻炎
◎唇を閉じる練習◎
例)笛、シャボン玉、風車、ストローでの遊び など
歯で支えるのではなく、上唇と下唇をつかいます(ストローの正しい位置)
。
作業療法士(OT)の視点より
自立活動教諭(OT)村上真帆
姿勢編
姿勢の基本
良い姿勢とはどんな姿勢でしょう?良い姿勢とはアナウンサーの様にピシッと決めている姿勢
ではなく、これから行う活動中楽に姿勢を保つことができ、行う作業がやりやすい姿勢と考えま
す。姿勢の保持は無意識の運動であるため、いくら「いい姿勢を保ちなさい」と声をかけても、
作業に意識が向くとたちまち姿勢が崩れるのは人間の当然の現象です。身体のシッカリさに対し
ては体育等での運動が大事になってきます(後述)
。ここでは、楽に、快適に姿勢を保持しやすく
し、学習や作業に向かいやすい方法を身体の状態に合わせて紹介します。
机・椅子の合わせ方
□足首・膝関節・股関節が 90 度になっている
□床に足がピタッとつく
□背もたれが自然な位置にくる
□机の高さは肘を 90 度に曲げた時に自然にのる高さ
机と椅子だけでの調整で上手くいかない場合
状態
工夫
□足が床に届かない
・机に固定した足台
□足が開き、踏ん張れない
箱椅子をのせる
・椅子に固定した足台
太ももを外側から支える
ことにより足が開かず踏
ん張りやすくなります。
□姿勢が悪い
・滑り止めを敷く
・椅子を前傾させる
(お尻が滑った状態で座っ
ている)
足の後ろに
木片で 1~
2cm 高さを
付けていま
す
・座面の前方と腰の部分にマットを付け骨盤を倒れにくくする
※防災頭巾が姿勢の崩れの
原因となっていることがあ
ります。敷かない方が姿勢を
100 円ショップのフロ
保ちやすいです。
アマットを利用し
ています。
□身体が傾く
・肘かけの高さを机に合わせ、肘が乗るようにする
□上肢が不安定で操作が上
手くいかない
・カットアウトテーブルを取り付ける
天板を付け替える他に、ク
ランプで固定する方法が
※まずは上記のお尻の滑り
あります。クランプは 100
を止める工夫を行います。さ
円 ショップでも手 に入りま
らに行う工夫と考えてくだ
す。
さい。
□発作等により転倒の危険
・肘かけ付きの椅子、カットアウトテーブルを使用する。
性がある
・机の面にはクッションを貼る。
※まずはどのような方向に
倒れる発作なのかを確認し
ます。
姿勢~感覚の視点から
椅子や机のサイズは合わせたものの、おちつかないために身体をゆすったり、椅子をガタガタ
して座っていられない場合があります。感覚の視点から考えると、ガタガタ動くのは自分に必要
な刺激を作り出しており、それを感じることで何とかその場にとどまろうと努力している行動と
も考えられます。とはいっても、大きい音をさせたり、揺れが大きかったりすると本人も周りの
子どもも活動に取り組みにくくなるので、他の方法で必要な感覚が入るようにし、落ち着いて取
り組める方法を考えます。
□あちらこちらを触って落
・握りグッズ
・なでるグッズ
ち着かない
上:人工芝
下:シリコン
ラップ
※触覚刺激を必要としてい
机の表や裏に
ると考えられます。触っても
貼り付けてお
いい場所、物を用意します。
□椅子を後ろに倒して身体
きます。
・トレーニングクッション
・重みのあるクッション
をゆらゆらゆする
※前庭感覚(身体が揺れる刺
激)を必要としていると考え
られます。身体に他の方法で
刺激が入る工夫を考えます。
□机を強く叩いたりする
バランスをとりながら座るこ
中身は大豆です。
とで刺激が入ります
2~3Kg 入っています。
・重みのあるクッション
※強い刺激を求めていると
上記と一緒ですが、より重
考えられます。身体を圧迫す
みの ある物を 好む傾向 が
る刺激が入ることで落ち着
あります
くことがあります。
□落ち着ける休息場所を作
・圧迫感のある狭い椅子
りたい
※狭い空間に身体が圧迫さ
れるように挟まれると落ち
着くことがあります。
段ボ ールと牛 乳パック で
作製しています。
スプーン編
スプーンを選択する時にはどう考えたらいいのでしょう?スプーンのボール部分(口に入る部
分)は口の幅の3分の2の大きさが適しているといわれています。持ち手については、まず現在
持っている方法と腕の動かし方をよく観察します。そして、その持ち方に合わせて選択すると上
手く行きます。
持ち方の状態
□回内握りで持っている
・柄を太くする
・柄を曲げ口に入りやすくする
□回外握りで持っている
□3指持ちに挑戦したい
ピストル型スプーンを使用する
・プニュグリップ+自由樹脂
・プニュグリップ+目玉クリップ
□スプーンを途中で放して
・柄を長くしたスプーン
しまう
子どもの手を上から握
(先生と一緒にスプーン操
らずに、介助者と子ど
作の学習をしたい)
もの持つ位置を分ける
ことで学習しやすくし
ます。
お箸編
お箸は日本文化ならではの道具で、薬指と小指は固定、残る3本は自由に動かすことができる
高度な手指の機能分離を必要とします。今持っている手指の操作の力に合わせて使用できるお箸
が色々市販されています。できる操作に合わせて選択し、快適に食事ができる方法を考えます。
新しく道具を導入する時にはとてもストレスになりますので食事の場面ではなく、個別の学習
場面などで練習を初めます。また、それぞれのお箸は要求される指の動きが異なり別物ですので、
違う物を導入する時にはまた新しい動きを学習する必要があると考えて下さい。
できる操作
□「閉じる」操作ができる
・箸ぞうくん
□「閉じると開く」ができる
・エジソン箸
□お箸に挑戦したい
・目玉クリップつき(薬指と小指を安定させます)
(鉛筆を3指持ちで操作する
ことができる)
□お箸を使用しているが、持ち
・簡単な正しい持ち方の伝え方
方が正しくない
【正しい持ち方】
①ピストルを作っ
②鉛筆を持つように
③穴から二本目の箸を差
てもらいます。
箸を一本持たせます。
し込んで持たせます。
文房具編
色々な文房具が市販されています。また少し手を加えることで使いやすくなることがあります。
□鉛筆…市販品
・プニュグリップ
・もちかたくん
・目玉クリップ
・プニュグリップと樹脂で作製する
□消しゴム
・カドケシ
・三角消しゴム
□定規
・見やすい定規
…簡単な改造
・滑り止めを裏に貼る
黒地に白文字で読みやすい
□はさみ
□コンパス
・持ち手の工夫
・Clip グリップ
100 円ショップのシリコンラップで代用できます
・バネつきのはさみ
テープで穴を小さくし
バネの力で開くため、握る操作だけで切ることができます。
握りやすくする
バネが必要がない場合は普通のはさみとして使用可能です。
くるンパス
指の細かな動きが難し
くても手首や腕の動き
で描くことができます。
身体づくり、体育について
体育は将来的に何につながるのでしょうか?との質問がありました。将来余暇として楽しく参
加できるスポーツがあるととてもいいと思います。もうひとつの視点として、体育の中で“姿勢
を保つこと”
“ボディーイメージ”といった身体を動かす基礎の力を育てられると、運動の時に限
らず、日常生活動作や道具の操作、手指の器用さの基礎にもなりいろいろな活動の幅が広がると
考えられます。
“姿勢を保つ”力は赤ちゃんがハイハイをする時期に育つと言われています。ハイハイは体幹、
上肢も下肢も屈筋と背筋を同時に収縮する状態の活動で、身体をしっかりさせる運動です。ぞう
きんがけ、重い物を持つ、重い物を押す時が同様に身体を動かす運動です。
“ボディーイメージ”は上る、下りる、くぐる、運ぶなどあらゆる運動の中で本人が主体的に
動き試行錯誤しながら運動し達成することで作ることができると言われています。下記の図は運
動の要素を取りだして整理された図ですが、この中で“姿勢を保つこと”
“ボディーイメージ”を
特に育てやすい活動は、★をつけた“はう”
“のぼる”
“くぐる”
“おす”といった活動になります。
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中西弘子著:心と体を育てるあそび
PHP 研究所 より一部改編
上の図に今行っている体育の中で行っている運動に当てはまるものに丸をつけてみてください。
ボール投げ、ホッケー、縄跳び、バスケ、T ボール、準備体操などは、実は“姿勢を保つこと”
“ボ
ディーイメージ”を育てられる要素が少ないことが分かるかと思います。基礎的な身体の動きが
未熟であると道具を使った運動は分かりにくく、何度練習しても上手くならないということが起
こります。★の運動は、あまり取り入れられることのない地味な運動と言えるかもしれませんが
実はとても大切なのです。
OTからは活動の枠を少し広げて、
「○○を素材とした楽しい活動」とし、身体運動の基礎を意
識し子どもたちが主体的に取り組む楽しい運動を行うことを紹介してきました。次に実際に紹介
した活動について紹介します。
運動の要素
実践例