1)日常生活に支障がないうちにサルコぺニアに気づくことが重要です 2

サルコぺニアって知っていますか?
~管理栄養士便り(84)~
サルコぺニアとはギリシャ語で「筋肉」を表す「サルコ」と「減少」を表す「ペニア」を組み合わせた「筋肉の減少」という意
味の造語です。高齢化が進む中で、要介護や寝たきりの原因として今最も注目されています。サルコぺニアは加齢などによる筋肉
量減少で、誰にでも起こり得る症状です。将来寝たきりを防ぐために今からできることはなんでしょうか。
1)日常生活に支障がないうちにサルコぺニアに気づくことが重要です
筋肉量は 20 歳代後半~30 歳代をピークにその後はだんだんと減少します。何も対策をしなければ、60 歳代
になると 20 歳の時に比べて、一般的に腕の筋肉量は 10~15%、足の筋肉量は 40%も落ちてしまいます。また、
ひざ痛もサルコぺニアがきっかけで起こる事があります。このように、サルコぺニアになると、体が動きにくく
なり活動量が減ります。活動量が減ると、食欲が低下し、低栄養となります。低栄養になるとサルコぺニアがさ
らに進行します。その結果 65 歳以上の 4~5 人に 1 人(22%)
、80 歳以上では 2 人に1人(50%以上)がサル
コぺニアになっているという報告があります。
2)女性に多いサルコぺニア肥満も要注意
中高年になるとどうしても運動量が減るので、脂肪がつきやすくなります。サルコぺニア肥満とは、加齢による筋
肉量の減少のためサルコぺニアに該当し、それに加えて、脂肪が蓄積して、BMIが25以上(次ページの表参照)
の人を指します。元々女性は閉経後、内臓脂肪がつきやすくなります。特に若い頃にダイエットをくり返した人は筋
肉よりも脂肪が多い体になっており、加齢による筋肉量の減少も伴って中年以降は基礎代謝が落ち、更に太り易くな
るので、サルコぺニア肥満になりやすくなるのです。
3) サルコぺニアを防ぐ食事とは?
筋肉の減少をおさえ、増加させるためには、筋トレだけではなく、食事内容を改善する必要があります。
「日本人の
食事摂取基準(2015 年版)
」では 70 歳以上の高齢者の場合でも若い人と同じく、タンパク質の 1 日の推奨量は男性で
60g、女性で 50gです。ただし、必要量は体型によっても異なるので、体重 1 ㎏あたり1~1.3gと考えるとよいで
しょう。例えば体重 50 ㎏の人なら、1 日 50~65gのタンパク質が必要という計算になります。実際の食事で 65ℊのタ
ンパク質を摂るには、
「ご飯 3 杯、魚 1 切れ(100g),肉類(60g)
、卵 1 個、豆腐1/3 丁、
納豆1パック、牛乳 200 ㏄」で摂れます。3食で摂りますが、毎食に野菜や海草などを加え、おやつに果物や芋など
を取り入れれば、バランスの良い食事となります。
4)サルコぺニア肥満の人の食事は?
サルコぺニア肥満の人は、やせるためにエネルギーの制限が必要です。1日のエネルギー量は人によって違うので
一概にはいえませんが、現在の1日に摂っている食品から 250~500kcl
減らした方がいいようです。ただし、筋肉が落ちないようにタンパク質は減らさないで下さい。
主に、お菓子やジュース、アルコールなどの嗜好品や油脂、主食の量が適正かを見直し、減らしていきましょう。目
安として、ショートケーキ 1 個〈100g〉で 350~400kcal,、植物油小さじ1杯で 37kcal、ごはん 1 杯で 252kcal
です。
参考資料
栄養と料理 9 月号
岩沢クリニック 管理栄養士 渋谷 佳津子