植物の代謝と生合成 第一次代謝と二次代謝 多糖類 (C6H12O6)n C6H12O6 CO2+H2O CH3(CO)COOH 単糖類 カルビン・ ベンソン 回路 光合成 酢酸 ピルビン酸 解糖経路 TCA回路 NH3 ATP NADPH D-エリスロース 4-リン酸 ATP フォスフォエノール ピルビン酸 脂肪族アミノ酸 マロン酸 一次代謝 メバロン酸 NH2 R シキミ酸経路 二次代謝 芳香族化合物 フェニルプロパノイド COOH アミノ酸経路 アルカロイド ペプチド 酢酸・マロン酸経路 脂肪族化合物 脂肪酸 脂質 メバロン酸経路 ステロイド テルペノイド 第7章 アルカロイド Alkaloids 9 含窒素化合物で一般に生理作用が顕著なアミン性植物成分(伝統的) 9 植物成分中、塩基性を有し、酸と結合して塩をつくる性質のあるものを alkaloid (alkali <al qali> + oides アルカリに似たもの) と称する1818年マイスネル(薬剤師) L‐フェニルアラニン L‐チロシン L‐オルニチン L‐トリプトファン NH アルカロイドの 由来となるアミノ酸 H2N N H L‐アルギニン L‐リシン L‐プロリン L‐グルタミン L‐ヒスチジン COOH NH2 ピリジンアルカロイド ニコチン酸 P341 ニコチンP330 オルニチン由来 生体内 L‐トリプトファン ピペリジン ロベリン P334 コニイン P357 紀元前399年 ソクラテスの処刑にドク ニンジン種子エキスが 用いられた。 神経毒 ポリケチド生合成経路 リシン由来 C C ピペリン P333 N C O C HOOC O C C O C CH3 4 x CH3COOH ドクニンジン Conium maculatum セリ科 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3% 82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Conium_mac ulatum.jpg O HO N securinine ヒトツバハギの葉、根 トウダイグサ科 インドリチジン キノリチジン ルピンアルカロイド 胃酸分泌抑制作用 リシン由来 (+)‐, (‐)‐体が天然に存在 クララ Sophora flavecense マメ科 根は生薬の苦参(くじん) オオルリシジミ(蝶)の食草 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%A6%E5%8F%82 オルニチン由来 トロパン アトロピン P331 コカイン P332 トロパン 8‐methyl‐8‐azabicyclo[3.2.1]octane (-)-hyoscyamine ラセミ化 atropine ハシリドコロ Scopolia japonica ベラドンナ Atropa belladonna 根は生薬のロートコン http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%B7%E3%83%AA %E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%AD アトロピン OH 由来 HO HN HO エフェドリン P350 R R=H: noradrenalin (norepinephrine) R=CH3: adrenaline (epinephrine) 副腎髄質ホルモン フェネチルアミン フェニルアラニン由来 P319 HO コラム P358 エフェドリンとアドレナリン R NH2 HO R=COOH: L-DOPA R=H: dopamine S S S R R S 3 3 3 3 R R 3 3 3 3 R S S R 麻黄(マオウ) Ephedra sinica の地上茎 漢方:葛根湯や小青龍湯 コクラウリン イソキノリン ノスカピン P322 3 3 3 3 パパベリンとノスカピン P90 生合成 阿片 非麻薬性鎮咳、鎮痙作用 ビスベンジルイソキノリン =ビスコクラウリン ツボクラリンP320 ベルベリン P321 Cl- Berberine ベルベリン型 3 + 3 3 3 キハダ(ミカン科) Phellodendron amurense オウレン(キンポウゲ科) Coptis japonica 樹皮は生薬のオウバク(黄柏) 根茎は生薬のオウレン(黄連) モルヒネ型 アヘンアルカロイド CH3O モルヒネ P322 O H N CH3 HO HO codeine 鎮咳 O H N CH3 HO AcO O H N CH3 AcO heroin 麻薬 リン酸ジヒドロコデイン 市販品 1%以下 アヘン Opium 薬用植物園のケシ(Papaver somniferum) 23 トロポイドアルカロイド トロポロンアルカロイド コルヒチン P323 イヌサフラン コルヒチンの生合成 P96 エメチン型 トコンアルカロイド モノテルペンイソキノリンアルカロイド エメチン P323 (アカネ科) Cephaelis ipecacuanha 根は生薬の吐根 アメーバ赤痢の特効薬 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3% 82%B3%E3%83%B3 キニーネ P329 R R S S キニーネの生合成 P97 トリプトファン由来 キノリン型 キナアルカロイド N HO S R H H3CO キニーネ P54 N カンプトテシンP28 HO N O SN‐38 活性代謝物 N 喜樹(和名:カンレンボク) O Camptotheca acuminata OH O 誘導体化 プロドラッグ化 カンプトテシンP327 半化学合成 イリノテカン(一般名)、CPT‐11 カンプトテシン CPT カンプトトポテシン(商品名、ヤクルト第一、1994) 中国原産の植物“喜樹”から Ⅰ型トポイソメラーゼを阻害 抽出された植物アルカロイド(1966) 29 フェナンスリジン型 ヒガンバナ鱗茎 リコリン 催吐作用 チロシン、フェニルアラニン由来 クリニン ガランタミン スノードロップ(松雪草) ヒガンバナ科のGalanthus属植物 2011年2月19日 メマンチン塩酸塩 商品名:メマリー、第一三共 ガランタミン臭素酸塩 商品名:レミニール、ヤンセンファーマ 31 ガランタミンとメマンチンの作用機序 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t126/201102/518464.html 32 セロトニン P324 P324 N H インドール型 サイロシンとサイロシビン P325 インド蛇木(キョウチクトウ科)の根、根茎 ラウオルフィアアルカロイド インドの民間治療薬 レセルピン P325 アジマリン P325 & P50,54 Rauwolfia serpentina ストリキニーネ P327 3 ホミカの有毒成分 マチン Strychnos nux-vomica 痙攣誘発型中枢神経興奮作用 馬銭子(マチンシ) Strychnos nux‐vomica の種子 致死量~0.1g マチンシ一粒 O H3CO N フィゾスチグミン P325 & P8 H3CO アリセプト 副交感神経の興奮と骨格筋の収縮 カラバルマメ(フィゾスチグマシ) 麦角:バッカクアルカロイド H CH3 OH N H R= エルゴタミンとエルゴメトリン P327 & P8 R= NH2 ergine R= OH (+)-lysergic acid リゼルグ酸 O ジヒドロ体 H R N CH3 H R= CH3 N LSD 強力な幻覚剤 規制対象薬物 CH3 alanine OH H3C R= HN ergometrine 子宮収縮止血剤 (強力) N H O N O H proline N ergotamine 片頭痛薬 O H バッカクアルカロイド ライ麦に寄生する麦角菌由来 Claviceps purpurea リゼルグ酸とLSD 交感神経遮断 phenylalanine ビンカアルカロイド マダガスカル産のニチニチソウ (Catharanthus roseus) 抗がん剤 ビンクリスチン(VCR)とビンブラスチン(VLB) P329 & P25 OH OH N N H H N N OAc N H H3COOC OCH3 vincristine N H OH CHO COOCH3 OAc N H H3COOC OCH3 N H OH CH3 vinblastine チューブリン(微小管)の重合阻害 COOCH3 ベータカルボリン型 マンザミンアルカロイド 2 イミダゾ-ル型 2 ヒスタミン P339 ピロカルピン P339 アトロピン P7 拮抗 2 抗コリン作用 緑内障に禁忌 散瞳薬 副交感神経興奮作用! 副交感神経遮断作用! テルペンアルカロイド アコニチン P354 aconane ノルジテルペン 致死量 2-4mg 植物では最強毒 強い鎮痛麻酔作用 ハナトリカブト Aconitum carmichaeli の塊根 キンポウゲ科 テルペンアルカロイド タキソール P284 & P27 チューブリンの脱重合阻害 O AcO O O OH NH C O OH NH O O O OH HO H OH AcO O O O O OH taxol (paclitaxel) タイヘイヨウイチイ T. brevif olia 含有量低い H OH AcO O O O taxotere (docetaxel) HO HO 10-deacetylbaccatin III ヨーロッパイチイの葉 T. baccata 含有量高い O OH H OH AcO O O O タイヘイヨウイチイ Taxus brevifolia の樹皮、葉、枝 Microtubule-targeting drugs Suppression of microtubule dynamics 1. Microtubule-destabilizing agents (Vinca alkaloid- and colchicine binding site drugs) 2. Microtubule-stabilizing agents (Taxanes: Taxol and Taxotere) M. A. Jordan and L. Wilson, Nature Rev., 2004, 4 9021-9028. コルヒチンとビンクリスチンとタキソールの作用メカニズム αチューブリン 微少管の模式図 βチューブリン α,βチューブリン(プロトフィラメント) 重合 脱重合 微小管を安定化 コルヒチン ビンクリスチン タキソール 微小管は、外径25nmの中空の真直ぐな管である。この管は、チューブリンαとβの二量体が縦に連なっ たプロトフイラメントが13本横に並んで1本の管をつくったものである。 ステロイドアルカロイド 25S ソラニン P354 トマチン P391 バトラコトキシンP355 サマンダリン バトラコトキシン LD50 = 0.002‐0.007 mg/kg (ヒト、皮下) モウドクフキヤガエル サマンダリン LD50 = 1.5 mg/kg (マウス、皮下) ファイアサラマンダー プリン、ピリミジンアルカロイド カフェインとテオフィリン P347 N N pyrimidine カフェイン:中枢神経興奮作用 テオフィリン:気管支炎治療薬 キサンチン誘導体 スポンゴチミジンとスポンゴウリジン ジドブジン(AZT) NH2 抗HIV薬 N O HO NH2 N O HO N N N HO N O HO シタラビンとビダラビン P369‐370 HO 1- -D-arabinofuranosylcytosine Ara-C (シタラビン) 消化器系抗がん剤 HO 1- -D-arabinofuranosyladenine Ara-A (ビダラビン) 単純ヘルペス、帯状疱疹 抗ウィルス剤 酸アミド類 その他の含窒素化合物 辛味成分 サンショール 加熱・乾燥 ピペリン P333 O H3CO HO カプサイシン P353 (CH2)4CH3 ショウガオール [6]-shougaol カンキョウ 根を湯通し乾燥 スコヴィル値(SHU) 物 質 カプサイシン スコヴィル値 15,000,000 ショウガオール 160,000 ピペリン 100,000 ジンゲロール ピーマン・シシトウガラシ 60,000 0 定義:辛みを感じなくなるまで砂糖水で薄めたときの希釈倍率 アミン類 スペルミン P333 イボテン酸 P188 &338 ムスカリン P187 GABA P336 カイニン酸 P188, 337 COOH COOH N H (-)- -kainic acid from Digenea simplexマクリ (H3C)3+N アセチルコリン CH3 OH ニコチン ノルアドレナリン O ムスカリン アドレナリン 海産毒 ネライストキシンとシガトキシン H3C S N CH3 H3C CH3 N O S HCl S S nereistoxin 環形動物イソメ Lumbrineris heteropoda アセチルコリン受容体遮断 殺虫活性 O NH2 NH2 cartap 合成農薬 シガトキシン P367 ネライストキシン P371 シガテラ毒:シガトキシンと食物連鎖 シガテラ中毒とは? 熱帯,亜熱帯域のサンゴ礁に生息する魚によって起こる死亡 率の低い食中毒の総称である。沖縄に生息する有毒魚種は, バラフエダイ他十数種が確認されているが,近年の海水温上 昇により,九州や本州に生息するイシガキダイによるシガテラも 確認されている。シガテラの原因毒は単細胞藻類である渦鞭毛 藻Gambierdiscus toxicusが生産するシガトキシンciguatoxin(分 子式 C60H86O19)と命名された脂溶性のポリエーテル化合物であ り,これが草食魚や肉食魚に食物連鎖しシガテラが発生する。 シガトキシンのヒトに対する発症量は経口摂取で70ng程度であ り,中毒症状はドライアイスセンセーションとよばれる温度知覚 異常などの神経症状や下痢,嘔吐などの消化器症状である。 神経症状に関しては軽症で1週間,重症では数ヶ月から数年継 続する。現時点でシガテラの効果的治療法は確立されていない。 グアニジン類 テトロドトキシンとサキシトキシン P367 ペプチド類 イモ貝の毒 コノトキシン H2N CKGKGAKCSRMYDCCTGSCRSGKC CONH2 化合物名:ω-コノトキシンMVIIA 一般名:ziconotide 商品名:Prialt は鎮痛剤として販売される。 学名 Conus geographus Linnaeus 和名 アンボイナ プリアルト (エラン、エーザイ) 非オピオイド系重度慢性疼痛治療薬 運動神経 シナプス 骨格筋 テトロドトキシン、サキシト キシンは神経筋接合部のNa チャネルをブロックw-コノト キシンはCaチャネルをブロッ クし、神経伝達物質アセチル コリンの放出を抑制し、筋収 縮を麻痺させる。 ハリコンドリンB P369 Halichondrin B Marine sponge, Halichondria okadai Y. Hirata, D. Uemura, Pure & Appl. Chem., 58, 701 (1986) O OH H H2N O O H O O H O クロイソカイメン チューブリン重合・脱重合阻害 H O Marine sponge (Halichondria okadai) H O O O O E7389, Eribulin Fully synthetic eastern hemisphere Eisai, 2010 ハラベン 転移性乳がん治療薬(エーザイ) エキチナサイジン743 P367 O HO O OCH3 CH3 H H3C S N N O O O OH O H3CO ET-743 (trabectedin)開発の歴史 1950~ 1969 1984 1990 1996 2007 NCIで天然物エキススクリーニング Ecteinacidia tubinalaのEtOHに抗腫瘍活性 BuOHエキスからET-743の単離 ET-743の構造決定 ET-743のヒトへの投与開始(臨床試験) EUにて軟部組織肉腫治療薬として販売承認 NH HO カリブ海産ホヤ 抗がん剤 DNAに作用 Ecteinascidin 743 (Trabectedin) ET‐743, Yondelis Colonial tunicate Ecteinascidia tubinata Pharma Mar & JPRD, 2007 K. L. Rinehart et al. J. Org. Chem., 55, 4512 (1990) 転移性軟部組織肉腫治療薬 ヨンデリス (大鵬薬品) ホヤ Ascidian (Ecteinascidia turbinata) ポルフィリン類 クロロフィルの他、ヘム、シアノコバラミン (ビタミンB12)など、生体内で重要な役割 ポルフィリン P344 3 2 3 3 NMRスペクトルを用いたPhe-a とmrPrP121‐231結合部位の解析 Chemical Shifts change of 15N mrPrP121-231 (380 μM) + Phe-a (38 μM) 0.05 [ΔδH2 +(ΔδN/7 )2]1/2 Lys194 His187 Thr187 Gly195 Gln186 0 121 231 VVGGLGGYMLGSAMSRPMIHFGNDWEDRYYRENMYRYPNOVYYRPVDQYSNQNNFVHDCVNITIKQHTVTTTTKGENFTETDVKMMERVVEQMCVTQYQKESQAYYDGRRS S1 H1 S2 H2 H3 Human PrP90-231 Dimer Crystal Structure anti-parallel β-Strands (Thr188 – Gly195) C N H3 H2 Phe‐a H1 K. J. Knaus et al., Nature Struct. Bilology, 8, 770 (2001)
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