内臓脂肪を減らすためのポイント 内臓脂肪を減らすにはどうしたらいい

■内臓脂肪を減らすためのポイント
内臓脂肪を減らすにはどうしたらいいのか。1 つは、3 食きっちり食べることです。欠食
する人は内臓脂肪が増えやすいということがわかっています。つまり食習慣とも関係があ
るということです。小腸で栄養分を吸収するのですが、それにはエネルギーが必要です。
つまり朝食を抜くと、栄養素を吸収するためのエネルギーを使いませんので、昼食のとき
に準備万端の状態でどんどん吸収してしまいます。ですから、朝食を抜くと血糖値が上昇
し、その分、余ったものが内臓脂肪を増やしてしまうということです。これを利用してい
るのがお相撲さんです。お相撲さんは 1 日 2 食です。ところが、お相撲さんはすごく激し
い運動をされるので内臓脂肪は増えません。皮下脂肪がどんどん増えていき体重を増やし
ているわけです。反対に食べる回数を増やせば太りにくくなります。ただし、ずっと食べ
続けるとさすがに体重は増えます。2つ目に、夜遅く食べることでも体重や内臓脂肪が増
えます。何故かと言いますと、睡眠中は副交感神経が優位になります。消化吸収を司って
いるのが自律神経の中の副交感神経です。非常に血糖値が上がりやすくなります。例えば
ライオンは、獲物(餌)を獲るときまで交感神経を緊張させ血圧をあげて、瞳孔もしっか
り開いています。そして獲物を一気に捕まえにいきます。捕まえた後は、お腹がいっぱい
になったらグタっと寝ています。まさに栄養素をしっかり吸収させているということです。
それは自然の理にかなっているわけですが、人がそれをやると夜中にすごく吸収します。
夜中はほとんど運動をせず寝返りをうったりするくらいなので、ますますエネルギーが余
ってしまい、内臓脂肪が増えるということです。
では、高齢者の方で朝食を食べない人がいるのかということですが、朝食を食べない人
は働き盛りの 20 代 30 代で多いです。しかし、高齢者の中にも朝食を食べない人は結構い
ます。私達が食事調査をすると、朝昼兼用という方が結構いらっしゃいます。これは健康
にはあまり良くないことです。運動習慣については、高齢者はよく運動される方が多いで
す。若い方は運動する時間もないということもあります。その他、内臓脂肪を減らすには、
インスリンの効き目を悪くするようなものを除くということが言えます。先ほどの食習慣
や運動ですが、これに直結するのは筋肉を増やすということで、内臓脂肪を減らす上で有
効とされています。と言うのも、筋肉はインスリンの標的臓器と言い、インスリンが効く
臓器であるため、筋肉が増えるとインスリンの効き目が良くなるのです。ですから、体の
筋肉を増やすということは内臓脂肪を減らす、あるいは病気を防ぐ上ですごく大事だと言
われています。先ほども言いましたように、筋肉量は男女ともに年代が上がるにつれて減
りますから、これを阻止しないといけません。特に足の筋肉です。少し細かい話になりま
すが、高齢者の方にとって筋肉量の低下は健康を悪化させます。特殊な例ですが、入院中
の患者さんで筋肉量が少ない人は肺炎を起こしやすいとか、虚弱、歩行障害、尿路感染が
あり、そして座れなくなって亡くなっていきます。つまり亡くなる直前に一気に筋肉が減
っていくということが捉えられています。また、安静時代謝も筋肉量が関係します。肥満
の人で筋肉が減った状態、最近、筋肉が加齢と共に減る状況をサルコペニアと呼んでいま
すが、肥満を伴ったサルコペニアの人はサルコペニアがない普通の肥満の人に比べて、バ
ランス障害、歩行障害、転倒などという身体機能の障害を起こしやすいことが分かってい
ます。正常の人に比べて男性では 9 倍、女性では 12 倍に増えると言われています。特に
足の筋肉が減ると言われるのですが、足の筋肉は、血液を心臓に送り返すポンプのような
働きをしていますので、運動だけではなくて循環器にも影響します。ですから足の血液が
うっ滞しますと血栓ができやすくなります。足にできた血栓が飛びますと、脳梗塞や肺梗
塞の原因になります。最近亡くなられましたが、森光子さんはスクワットをよくされてい
たそうです。それはこういう病気を防ぐ上で非常に大事なんですね。足の筋肉を鍛えるこ
とはポンプの働きを鍛えるということで、血栓予防の効果があります。
最後に先ほどのまとめですが、筋肉量が低下すると基礎代謝が低くなり痩せにくい体に
なってきます。内臓脂肪が非常に増えやすくなるわけです。基礎代謝が高い人は、寝てい
る間もある程度代謝が続くので、一日中エネルギーの消費量がコンスタントにあるわけで
す。それから、インスリンの効き目が悪くなったり熱が出にくくなります。ですから高齢
者の方は、肺炎になっても熱が出にくく家族の人も気が付かないんですね。本人も気が付
きません。単に、今日はもうご飯が欲しくないとなるわけです。お昼になっても寝てるか
ら病院に連れて行ったら実は肺炎だと言われた、ということもあります。若い人が肺炎に
なると、すごく高い熱が出て、咳が出て息苦しくなったりしますけど、高齢者の方は、な
かなか咳も出にくく熱も出にくいので発見が遅れると言います。
内臓脂肪を減らす上で食事制限が重要になりますが、そのときの注意点を挙げたいと思
います。肥満の人が減量するために食事制限をすると、体重は確かに減ります。ところが
脂肪が減らないのです。何が減っているかというと、除脂肪体重、つまり骨や筋肉が減っ
ているのです。そのため、インスリンの効き目が悪くなってしまいます。筋肉が減ると基
礎代謝も減ってしまいます。つまり、ご飯だけ減らすと体重は減りますが筋肉も減ってし
まい、痩せにくい体になります。ダイエットをされると、一旦体重が減ってもその後がな
かなか減らず、しばらくするとリバウンドで体重が増えてしまうことがあると言われます。
ですので、食事制限だけでなくトレーニング、運動を併用しなければいけないのです。運
動を併用すると、体重が減り体脂肪も減りますが、筋肉量は減らずに継続して体重を減ら
すことができます。それでは実際に行う運動の種類ですが、激しい運動と軽めの運動を比
べますと、激しい運動は、実は脂肪が燃焼しません。主に糖質がエネルギーで使われると
いうことがわかっています。
ですから軽めの運動、
大体心拍数で 120 くらいを目安にして、
少し早足で歩くといったことになると思いますが、そういうことを行うと内臓脂肪を減ら
すことができます。最近は、椅子に座った軽めの運動でも十分だとも言われています。お
家で椅子に座って太極拳のような非常にゆっくりした運動をされても筋肉を十分に使えま
すから、膝が悪くて歩けない方は、それでも効果があると言われています。それではいつ
運動をしたら良いかということですが、食後の運動が勧められています。理由はいくつか
あるのですが、運動すると血液は筋肉にいきます。すると腸に血液があまりいかなくなる
ので消化吸収を抑えることができ、血糖値の上昇を緩やかにできるということです。これ
は糖尿病の方に指導している運動処方になります。大体、食後 90 分です。もう 1 つの理
由は、運動すると交感神経が活性化されて消化吸収を司る副交感神経系を抑え、血糖値の
上昇を緩やかにするということです。そういったことで食後の運動がお勧めです。ただ、
膝の悪い方や運動に関して制限のある方は、かかりつけの先生に運動について一言相談を
されて、どれくらいまで運動をしていいのかということを確認していただきたいと思いま
す。特に心臓の病気がある人は、狭心症や心筋梗塞を起こすと大変ですのでご相談くださ
い。
運動をする上でのもう 1 つポイントは、徐々に運動を上げていくということです。決し
て急に上げないで、椅子に座っての運動でも十分だと言われていますので、そのような軽
い運動から始めるといいと思います。それと糖尿病の人は低血糖の恐れがありますので、
朝食を食べずに運動するのはやめてください。食事をしても低血糖を起こす危険がありま
すので、その対処方法として、例えば飴玉やジュースなどを準備された方がいいかもしれ
ません。