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e-NEXI
2013 年 11 月号
➠特集
環境社会配慮確認の動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
独立行政法人 日本貿易保険 審査部 環境グループ長 片山 雅彦
➠カントリーレビュー
OECD カントリーリスク専門家会合における国カテゴリー変更国の概要・・・・・・・・・・・4
➠NEXI ニュース
中小企業総合展 出展報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2013 年ベルン・ユニオン秋期会合開催報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
発行元
発行・編集 独立行政法人日本貿易保険(NEXI)
総務部 総務・広報グループ
e-NEXI (2013 年 11 月号)
環境社会配慮確認の動向
独立行政法人 日本貿易保険
審査部環境グループ長
1.
片山 雅彦
はじめに
環境問題が国際的に議論され初めて幾久しくなりますが、100 カ国以上の国の元首・首相が一堂に会し
た会合としては、1992 年のリオデジャネイロで開催されたリオ地球サミットが初めてで、地球環境の保全と
持続可能な開発の実現の為の具体的な方策が話し合われました。
そのリオ環境サミットの会場にいた各国代表を黙らせた当時 12 歳の少女セヴァン・スズキさんの伝説のスピ
ーチはあまりにも有名で、自然環境問題だけでなく貧困という社会問題の解決も訴えた勇姿を今でも
YouTube で見ることができます。
あれから 20 余年、私ども NEXI のような公的輸出信用機関(ECAs)の間で環境を議論する際には、地球
環境の保全という自然環境だけではなく、社会環境までその範囲を広げ、人権なども議論の対象となっ
てきております。
1992 年の地球環境サミットの時には、リオデジャネイロの街の中に大勢いたストリートチルドレンが、そのサ
ミット前に忽然と姿を消したということ少し話題になりましたが、大々的に取り上げられることはありませんで
した。自然環境重視だった現れかもしれません。
今回は、変わってきている環境審査に就いてご説明しますので、海外事業の企画・計画の一助としてい
ただければと存じます。
2.
増してきている社会配慮の重要性
私ども NEXI のような OECD 加盟国の ECAs の間では、支援対象となるプロジェクトが環境・社会それぞ
れに適切に配慮しているか否かを確認することとしており、その確認プロセスについて共通のステップを踏む
ことにし、情報共有をしております。その共通のステップを取り纏めたものが環境共通アプローチというもので、
2001 年に採択され、幾度かの改訂を経て昨年 2012 年 6 月に新しいものが公表されました。
最新の環境共通アプローチには、プロジェクト実施に於ける社会的影響の配慮の確認が盛り込まれまし
た。これは、自然環境だけでなく社会的影響への配慮の重要性が増してきている現れです。
その社会的影響の一例としては、労働・作業条件、コミュニティーの健康・安全・治安、土地取得、非自
発的住民移転、先住民、文化遺産、プロジェクト関連の人権への影響(強制労働、児童労働、生命を
脅かす職業上の健康・安全状況)があります。
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現行の環境共通アプローチが 2012 年 6 月に採択されてからは、社会的影響への配慮確認をどのように
行うか、ECAs 間で情報交換がなされております。
私ども NEXI の環境社会配慮ガイドラインは、そうした観点を既に取り入れた先進的なものであり、チェック
リストも公開されており、やっと他が追いついてきたところではありますが、他国 ECAs の取組は、プロジェクト
実施国の社会環境や人権尊重の状況を把握するためにシンクタンクの情報を活用するところもあれば、
コンサルタントに委託し、チェックリストを作成させプロジェクトを評価するような ECA もあり、その取組は
ECAs によって様々です。
私は、他国 ECA がコンサルタントに作らせたというチェックリストを見せて貰いましたが、どう考えてもプロジェ
クトに関係ないようなことまでチェック項目に盛り込まれていたり、行き過ぎと思われるような確認事項まで
含まれており、到底 NEXI で採用できるものではありませんでした。しかし、社会配慮という一言で済ませて
いる事象の範囲の広さを痛感したことも事実です。他国 ECA のチェック項目の一例を挙ると、労働に関す
る権利が確保されているか否かの確認するため「公平な賃金体系」「健康・安全が確保される労働条
件」「平等な昇進」「休暇制度」などという項目がありました。
また、ECAs の中には、人権問題の扱いの難しさからなのか、専門の審査担当を擁している ECA もある程
です。
そうした専門家は、我々が通常参照する IFC パフォーマンススタンダードや世界銀行のセーフガードポリシ
ーが基本的に配慮すべき事項を網羅しているとはいいながらも、他に国連が公表した「ビジネスと人権に
関する指導原則(Guiding Principles on Business and Human Rights)」を参照するガイドラインとして有
益だとも言及しているため、今後検証していくことになるでしょう。
一方で、社会的影響を軽視したが為にプロジェクトが頓挫した事例があったり、被影響住民への補償計
画が甘く、プロジェクトが遅延するという事例もあるようなので、環境共通アプローチに盛り込まれたからでは
なく、支援するプロジェクトが地域社会に受入られ順調に稼働するものとなるように、支援する私ども
ECAs も社会配慮について確認する必要があることは事実で、こうした ECAs 間での情報交換を通じて、
社会環境配慮に関する ECAs 共通の確認プロセスが確立されることになると思います。
3.
最後に
ECAs の環境審査が、自然環境への影響だけでなく社会的な影響への配慮も重視するようになってきて
いることは説明の通りです。
自然環境への配慮に就いては、その重要性を誰もが認識していると理解しておりますし、プロジェクト実施
国で様々な指標があります。一方、社会的影響という観点では、補償等プロジェクト実施国で種々定め
ている場合もありますが、地域社会に受け入れられることが肝要かと考えます。ただ、社会的影響というの
はその範囲が広すぎるために対策を策定するにも難しさがあります。
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そこで、海外進出を考えている方々には、IFC や世界銀行がプロジェクトを支援する際の指標・指針とし
て纏めた IFC パフォーマンススタンダードや世界銀行のセーフガードポリシーを参考に対策を策定することを
お薦め致します。そしてプロジェクトを成功に導いて頂きたいと存じます。
以上
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OECD カントリーリスク専門家会合における国カテゴリー変更国の概要
<Point of view>
・10 月下旬に開催された第 67 回会合において、中南米、西部・中央アフリカの 49 カ国の国カテゴリーに
ついて議論が行われた。
・今回は、ほぼ全ての国についてこれまでのカテゴリーの維持が確認された結果となったが、2006 年以降
議論の対象外となっていたアルバ(2006 年当時「4」)及びスリナム(2006 年当時「7」)に関して、アルバに
「4」、スリナムに「6」のカテゴリーが再設定された。
・NEXI では 2007 年以降、両国に関して独自に国カテゴリーを設定していたことから、アルバ、スリナムにつ
いて結果的に国カテゴリーが引き下げられることとなった。
アルバ
B → E
西インド諸島の南端部、南米ベネズエラの北西沖に浮かぶオランダ自治領の島(面積 193Km
²、人口約 10 万人)。アルバという名は、スペイン語の oro huba(「黄金がある」)という語に由来す
るとも言われている。高度に開放された経済で、カリブ海地域の中でも生活水準は非常に高く、
一人当たり GDP は 23,132 ドルと中南米で、最高レベルのバハマの 22,832 ドル(185 ヵ国中 35
位)を凌ぐ。
政治的にはオランダ自治領であるため、元首はオランダ国王。外交や防衛についてはオランダ政府の
指揮下にあり、経済・商業関係については自治政府に任されている。自前の軍隊は持たず、オランダ
軍が沿岸警備などに就いている。
首相は島民による総選挙で第一党となった党首が選出される。2009 年から、アルバ国民党(AVP)
の Michael Eman 党首が首相を務めており、任期中を通じて高い支持率を維持していた。2013 年 9
月 27 日の議会選挙で、AVP が引き続き第一党となり、議席数も前回より 1 議席多い、21 議席中
13 議席を占めることとなった。Eman 首相の続投が決まった。同政権は新たな任期も前政権時代に悪
化したオランダ本国との関係改善に努力するとともに、低迷気味の経済の活性化、財政健全化などの
課題に取り組むこととなる。
17 世紀からオランダの植民地であったことから、ヨーロッパ風の古い街並みや真っ白な美し
いビーチなど観光資源に恵まれ、1990 年代の観光ブーム以来、観光業が主要産業となってい
る。アルバ経済の約 80%が直接・間接に観光産業に関連しており、農業、製造業の規模は小さ
い。観光客の多くが米国からであり、米国は最大の貿易の貿易相手国でもある。しかし、世界金
融危機により、観光業が直撃を受け、また、伝統的にアルバの有力産業であった製油所で最後
に残っていた Valero 製油所も 2009 年から閉鎖状態となり、アルバ経済は大きな打撃を受けた。
観光業はやや持ち直したものの、2012 年の経済成長率は▲1.2%となり、2013 年は 2.3%の成長が
予測されている。アルバは世界的な金融危機後の回復のペースが他のカリブ地域よりも遅いとの指摘
があるが、中期的には世界経済の回復、石油価格の上昇による製油所の再開、再生可能エネルギ
ーへの大規模な投資等により、経済見通しは明るいと見られている。
一方、財政状況は、ここ数年特に悪化し、2012 年の財政赤字は GDP 比 8.5%に上り、公的債務の
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GDP 比は 2012 年が 67%、2013 年 72%、2014 年 75%と徐々に拡大が予想されている。財政赤字は、
健康保険及び年金制度の赤字や PPP(Public Private Partnership)の下での投資プロジェクトへの支
払い、景気対策のための政策(税率の引き下げ、政府支出拡大)が主な理由となっており、IMF からも
財政強化が中長期的な最優先課題と指摘されている。
政府は、新税や税率アップによる歳入の拡大とともに、各種補助金など歳出の削減を行う計画であ
り、オフショア金融や再生可能エネルギー、石油開発など産業の多角化を進め、観光と石油精製に依
存した経済の是正に努めている。
スリナム共和国
F → G
南米最小の独立国(日本の約半分の面積、人口 53 万人)。かつてはオランダ領ギアナと呼ばれ、
南米で唯一のオランダ語を公用語とする国となっている。17 世紀に英国人とオランダ人が入植し、領
有権を争ったが、1667 年のブレダ条約でオランダはニューアムステルダム(現在のニューヨーク)とスリナム
を交換。植民地時代にコーヒー、カカオ、サトウキビ、綿などのプランテーションの労働者として各地(アフ
リカ系、インドネシア、インド、中国、中東)から移民等を受け入れたことから、多用な民族性と文化を
持つ国となった。1954 年にオランダ自治領となり、1975 年にスリナム共和国として独立した。
1980 年、陸軍曹長であったデシ・ボータッセによるクーデターで軍事政権(社会主義化)が樹立され
たが、1987 年の総選挙を経て民政に復帰し、旧宗主国のオランダによる支援も再開した(同年制定
された憲法により、大統領は議会で 3 分の 2 以上の賛成により選出)。
1991 年以降、フェネティアーン大統領が 3 期務め、緊縮税制や通貨デノミネーション政策を実施し、
経済安定化を図ったものの、インフレが続き、国民生活が圧迫されたことから、2010 年の総選挙では
野党連合(MC)が勝利。同連合党首であったボータッセ氏が大統領に選出された(同氏はかつての軍
政時代の実権者で反体制指導者虐殺事件の主要容疑者として裁判継続中)。
2012 年 4 月に、ボータッセ政権は過去の政治犯罪に対して刑事責任を問わないとする恩赦法改
正案を提出。議会で可決されたことにより、与野党の対立が激化するとともに、国外からの非難が相
次ぐなど、政治的には問題の多い国と見られている。
スリナムの主要産業としては、金、アルミナ、石油を中心とする鉱物資源が輸出の 8 割を占めている
ほか、木材、エビ、米、バナナ等の農水産物も輸出。鉱業分野への FDI が伸びている。スリナム政府
は従来から、金及びアルミナ輸出の好調を背景に、国営企業の民営化、航空及び通信業界の市場
開放等の経済政策を推進。2009 年は世界金融危機の影響から経済成長率は 0.5%に低下したが、
その後着実に回復を示し、2012 年は 4.8%、2013~2015 年の平均は約 4%と見込まれている。海底
油田の石油生産は、ここ数年で活発化しており、既に日本を含む各国企業が開発に参入し、今後
有望な成長分野とされている。
財政面では、財政管理法の整備、税制専門部局の新設による徴税能力の向上、付加価値税
(VAT)の導入などの改革を進めて財政赤字を縮小し、公的債務比率も低い水準を維持しているが、
なお行政機構のガバナンスと執行能力の底上げを図らねばならない状況にあるといわれる。外貨準備
高は 2012 年で 10.6 億ドル、輸入カバー月数は 5.3 カ月となっている。
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このように、経済・財政の面では改善が見られるものの、人口約 50 万人と小規模で、金や石油等
の輸出収入が国家歳入全体の 3 分の 1 以上を占め、コモディティ価格に左右されやすい経済構造に
あることは否めない。また、コモディティ価格が下落傾向にある中で、鉱山及び石油精製プロジェクトを
進めるために大型の外債発行が検討されていることに加え、2015 年の総選挙に向けた財政支出の
拡大が見込まれており、経常収支と財政収支双方の悪化が懸念されている。
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中小企業総合展 出展報告
10月30日~11月1日に東京ビッグサイトで中小企業総合展が開催されました。今年度は、中小企業の
海外展開に関する相談や情報提供を目的とした「海外展開スクエア」が設けられ、NEXIもこちらにブース
を出展致しました。
中小企業総合展は、経営革新等に取り組む中小企業が、自ら開発した新製品、サービス、技術等を
展示・紹介し、販路開拓、業務提携といった企業間の取引を実現するビジネスマッチングの促進を目的
として、中小企業基盤整備機構主催にて毎年開催される大型イベントです。
イベント HP: (http://sougouten.smrj.go.jp/tokyo/)
3 日間のイベントで、約 54,000 人の方がご来場され、NEXI のブースにも多数のお客様にお越しいただきま
した。
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イベントの様子(写真提供:NEXI)
出展ブースの様子(写真提供:NEXI)
また、NEXI が提供する中小企業支援策をご紹介するプレゼンテーションにも、定数を上回る沢山のお客
様にご参加いただきました。
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プレゼンテーションの様子(写真提供:NEXI)
今回のイベントは、より多くの中小企業の方々に、貿易保険による支援策をお知らせする良い機会となり
ました。今後も、日本の中小企業の皆様の海外進出をお手伝いできるよう、活動を進めてまいります。
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2013 年ベルン・ユニオン秋期会合開催報告
ベルン・ユニオン(BU)の 2013 年秋期会合が、10 月 7 日~11 日の日程でウィーンにて開催されました。BU
は世界各国の公的輸出信用機関(ECA)及び大手民間保険会社等、計 49 機関が加盟しており、年に
2 回会合が開催され輸出信用・投資保険に関する共通課題について情報交換を行う場です。
今回は、短期委員会、中長期委員会、投資委員会に加え、全委員会のメンバーが関心の高いテーマ
や国について議論を行う全体会合、アジア地域の ECA による個別会合が開かれました。NEXI からは、板
東理事長を始め、本店関係者及び海外事務所員が出席し、世界各国の ECA の最高責任者から実
務担当者まで多くの関係者と、ビジネス実績及び課題や今後の取り組みについて意見交換を行いまし
た。
NEXI は、世界有数の中長期案件の引受実績を持つ ECA であり、中長期委員会のマネジメントメンバー
です。今回は、バイクレにおける自国品比率及び輸出者の宣誓コンプライアンスに関するパネルディスカッ
ションにパネリストとして参加しました。また、同委員会において、ECA ファイナンスの状況について、米銀や
独銀よりも、邦銀のリファイナンスコストが低く、競争力が高い旨の報告もありました。
投資委員会においては、営業権などの無形固定資産に対する投資保険活用の可能性や、ECA ファイ
ナンスにおけるトラスティ―スキームの活用手法が議論にあがり、貿易保険の展望について話し合われま
した。全体会合では、エジプト、ミャンマー、ロシア、トルコといった、メンバーの関心が高い国に関する意見
交換の他、BU の今後のあり方について議論が行われました。
NEXI は、今後とも日本の輸出や対外投資をさらに支援するべく、国際情勢の聴取や協力体制の拡大
に努めてまいります。
会議の様子
NEXI による発表の様子
(写真提供:NEXI)
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