Bulletin 平成 3 年 4 月 16 日第三種郵便物認可 平成 26 年 4 月 15 日発行(隔月 15 日発行)第 28 巻 第 1 号 通巻 248 号 The Japan Institute of Architects Kanto-Koshinetsu Chapter 2014 Vol. 248 5 特集:平成 26 年 豪雪 ・防災から減災へ 会員主体の活動を模索中 COLONNADE 中山建築デザイン研究所 中山信二 2 ・2 月 24 日現在の山梨の状況 イズ 長田孝三 ・埼玉県内の雪害被害状況報告 スタジオ 創 髙橋和夫 4 ソダアキラ建築設計事務所 曾田 彰 5 AA プランニング 青木恵美子 6 ・2 月大雪被害、群馬からの報告 3 特集:横浜建築祭 2014 ・JIA 神奈川建築 WEEK 横濱建築祭 2014 CROSS×CROSS 日本設計 木村 智 9 古川都市建築計画 古川達也 9 日本設計 大野二郎 10 建築相談委員を担当して サトウ設計 佐藤啓智 12 岩舟町立小野寺北小学校旧校舎の保存要望書提出について 宇都宮大学 梶原良成 13 古くて新しい素材:レンガ、テラコッタをグルメする 将建築設計事務所 加藤將己 14 国内建物視察会を終えて オイレス ECO 本田孝一郎 15 新たな地域活動体の誕生 桑田建築設計事務所 櫻井 修 16 アーキタイプ建築設計事務所 菊地 守 17 小池建築設計事務所 小池正人 18 ケー・デー・シー 天神良久 19 新たな心構え 来客をお迎えする気持ち スイス「環境建築デザイン」最前線 FORUM Aゼミの6年 建築文化向上のための市民交流を長期的視野で模索する 東京マラソン 2014 部会員出走応援 建築ピボット 井出哲也 住宅部会 2013 年度事業報告 CABE の Design Review を見て思うこと アーキテクツ・ガーデン 2014 概要 中澤建築設計事務所 中澤克秀 20 都市環境研究所 小出和郎 21 構想建築設計研究所 上浪 寬 22 山下設計 藤沼 傑 B A C K YA R D 映画紹介「小さいおうち」 編集後記●「ゴールデンウィーク」 公益社団法人日本建築家協会 関東甲信越支部 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-3-18 JIA 館 Tel: 03-3408-8291 Fax: 03-3408-8294 http://www.jia-kanto.org/members ヒガノ 立石博巳 23 23 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 特集:平 成 26 年 豪 雪 特集:平成 26 年 豪 雪 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 2 月 24 日現在の山梨の状況 防災から減災へ 会員主体の活動を模索中 災害対策委員会 委員長 山梨クラブ 中山 信二 長田 孝三 が、光が見え始めた次第です。今後予想される首都直下型地震の 1. 甲州市に 10 世帯 15 人が暮らす集落が孤立している。彼ら 6. 甲府市では 20 日からごみの収集が再開した。 た。支部全体の災害対策情報網のネットワーク化と支部としての 場合は、事前の防災活動が実際の被害を相当程度減少させること は救出されて避難所で暮らすより今の住まいでの生活を選択 7. 医療機関は概ね平常通り。山間部に暮らすお年寄りは通院が出 活動マニュアル整備、及び関連団体との連携について支部内13 が判ってきました。つまり我々専門家団体は、非常時に被災地に した。なれない場所での生活によりストレスを感じたり、体 の地域会のご理解とご協力を得て、委員及びワーキング部会メン 駆けつけるというボランティア精神を発揮するだけではなく、平 調不良になる可能性が高いと判断したからだ。食料は野菜や バーの中で熱い議論を展開中です。主な留意点は、地震津波被害 常時に様々な防災対策活動に従事されている自治体・関連団体の 鹿肉などが保存されており、2 週間程度は持ちこたえられる 半壊はその 3 倍。カーポートの倒壊はかなりの数、雨どい だけでなく、最近の集中豪雨や豪雪のように従来では想定できな 方々との連携活動が災害時の被害を最小限に食い止め(減災化)、 という。雪害では初めてだが、豪雨などの災害時に孤立する の破損は半分以上に上るのではないか。市内を走ると落ちた かった自然災害が頻発している状況にどう組織的に対処するか、 その後の復興活動の円滑化に多大な影響をもたらすことを理解す こともあったこの集落では災害孤立に対する備えが物心とも 庇や屋根を切り落とす作業を見る。住宅敷地内の除雪が進ま ということです。通常の委員会のように専門的な知見を有した会 ることから新たな防災対策委員会の活動を開始したいと思いま にあった。外との連絡は 53 歳の男性。スキーを履いて 1 時 ないのでほとんど手つかずのところが多い。 員が集まって議論するだけでは不充分で、発生した地域の一般会 す。東日本大震災でもあれだけの政府やマスコミによる情報発信 員他からの災害情報が災害担当メンバーを通じて支部災害対策委 があったにも関わらず、被災地の自治体との情報共有という視点 員会に伝達され、然るべきマニュアルに沿って的確な情報・対応 が欠如し、JIA のボランティア活動がうまく連携されなかった反 策を JIA として会員・関連団体・当該自治体に正確・迅速に発信 省を踏まえて一歩を踏み出しましょう。一般会員の方の積極的な していく、というシステムの構築が不可欠です、その試金石とも 防災対策委員会の活動へのご理解と 1 人でも多くの参画を祈念し 言うべき状況が 2 月に首都圏に発生した雪害でした。折しも支部 てやみません。 で開催予定の保存大会も中止となり、支部災害対策委員会も発足 した。委員長としても山梨地域会の長田代表(災害対策委員会の 南岸を北東へ進んだ。その後、低気圧はさらに発達しながら三陸沖から 連絡窓口)に雪害の状況を打診し、貴重な現地情報を頂戴して委 北海道の東海上に進み、19 日にかけて千島近海でほとんど停滞した。 で、平常時の情報のネットワーク化が如何に重要かを痛感した次 4. この低気圧の影響で、西日本から北日本にかけての太平洋側を中心 に広い範囲で雪が降り、特に 14 日夜から 15 日にかけてを中心に、 関東甲信及び東北地方で記録的な大雪となったところがあった。また、 15 日から 19 日にかけて、北日本を中心に大雪や暴風雪となった。 格上昇が生活に影を落とす。 の被害が増える可能性がある。実際山際を走行していると、 確保して遅れを取り戻す試みを実施予定。 当りの斜面に気を配り緊張している自分に気づくことも多 避難所は依然として 7 市町村に設けられている。今後雪崩の い。住宅地では屋根からの落雪に注意が必要で、亡くなった 危険性が指摘されており、避難所の数が増える可能性もある。 方もいる。雪のみでなく、垂れ下ったつららにも注意が必要 ライフラインは、早川町で 7 つの集落で約 70 世帯が断水。 だ。これまで甲府での積雪は 49cm が最高で、個人にも行政 復旧のめどはたっていない。電気・ガスは復旧済み。ただ、 にも雪への備えはそれほどなかったと思う。これまで関東、 LPG のボンベ交換が雪で出来ない住宅が非常に多く、県 LPG 関西や東北の被災者の方々も、ボランティアで除雪作業に来 協会は各戸にボンベ周りの雪の撤去をお願いしているが、雪 てくれていることに感謝します。特に新潟県は除雪車や雪の を移動させる場所もなく、高齢者のみの住宅が多いため除雪 処理のノウハウを惜しげもなくつぎ込んでくれた。この雪害 は進んでいない。このままではガス切れになる住宅も出てく にご支援いただいた皆様に感謝申し上げます。ありがとうご るやもしれない。 ざいました。 群馬県前橋市前橋で 73cm、埼玉県熊谷市熊谷で 62cm となるなど、 して、委員長としての所感は次の通りです。災害発生時の現地情 統計期間が 10 年以上の観測地点のうち、北日本と関東甲信地方の 18 片側のみ巾 60cm 程度の通路幅が確保されたにすぎない。住 報に関しては、現地の地域特性を熟知し自治体や関連団体とのパ 地点で観測史上 1 位を更新した。風については、北海道えりも町えり 宅街の生活道路は 1 車線のみで両側には雪が胸までの高さ も岬で 32.9m/s、東京都三宅村三宅島で 28.5m/s の最大風速を観 まで積み重なっている。学校への通学路の確保にようやくめ 測するなど、各地で暴風を観測した。 どがついたのも、今日から授業再開の大きな理由。高齢者の 定を締結しておらず、県レベルでは情報が共有できても、市町村 この大雪と暴風雪により、岩手県、秋田県、群馬県、埼玉県、山梨県、 長野県、岐阜県、静岡、宮崎県で死者 24 名となったほか、近畿地方 レベルまでは情報網は確立していません。都内の地域会では、複 から北海道の広い範囲で住家損壊等が発生した。また、停電、水道被 数区に跨る地域会のアクティブに活動している地域会員が限られ 害、電話の不通、農作物の被害、道路の通行不能、鉄道の運休、航空 ていて、とても区防災担当者までの連携活動まで手が回らない、 機の欠航等の交通障害が発生した。特に関東甲信地方を中心に、道路 というのが現実です。幸い、城北地域会や城東地域会に関しては、 公募による活動参加表明を多数頂き、次年度から具体的にマニュ アルの整備と情報網の確立に関して遅々たる歩みではあります 2 Bulletin 2014 年 5 月号 への積雪や雪崩等による車両の立ち往生や、交通の途絶による集落の 道路の除雪については、主要幹線は完了したが、その歩道は < 2 月 15 日早朝、事務所周辺の様子> みのお宅が 1 ~ 2 戸ある道や路地はまだ人のみの通行しか できない箇所が多数残っている。富士五湖周辺は積雪への備 中央道昭和 IC からのメイン道路アルプス通り えがあり、備えのない甲府盆地の市町村の方が除雪は進んで いない。幹線の除雪が概ね完了したことで自衛隊は先週末撤 収した。雪の置場が確保できない中心街は車歩道の境に雪が 孤立が、複数の都県にわたって発生した(被害状況は、平成 26 年 2 肩の高さまで積まれていて、ようやく車が通れる幅が確保出 月 21 日 11 時現在の内閣府の情報による) 。 来たが、歩道のすれ違いは横向きにならないと出来ないとこ 平成 26 年 2 月 21 日気象庁発表資料 10. 今週に入り気温の上昇が予想され、急斜面の多い山梨は雪崩 の空白に父兄は授業の遅れを心配している。授業時間を長く 今後の検討課題については、お二人のご報告の中で語って頂くと らの情報発信が重要ですが、大部分の地域会が自治体との災害協 ビニールハウスはほぼ全滅状態。路地野菜も多くが収穫でき 学校は概ね今日から平常授業。そのうち 3 割程度が 30 分か 14 日から 19 日までの最深積雪は、山梨県甲府市甲府で 114cm、 イプをもつ(と思われる)地域会メンバーの災害対策担当会員か 9. 倒壊家屋は 50 棟程度(調査が進まない地域があるため概数) ない。農業被害の大きさは甚大。野菜や灯油・ガソリンの価 第です。様々な反省を促す雪害でしたが、具体的な被害の実態や 5. 8. いリーダーの存在の大きさを感じた。 ら 2 時間遅れの始業。丹波山村のみ再開未定である。1 週間 発達した低気圧による大雪・暴風雪 2 月 13 日に発生した低気圧が、16 日にかけて発達しながら本州の ルの交換は致しましたが県内情報の収集は時間が必要とのご返事 2. 3. したばかりで、委員メンバー間の情報網もうまく機能しませんで 員メンバーに配信したのみで、埼玉地域会の高橋会員とは、メー 間もかけて生存確認したお宅もあったという。災害時には強 来ないため、医師がスキーを履いて往診している地域もある。 ろが多い。 事務所前道路 自宅敷地内 Bulletin 2014 年 5 月号 3 COLONNADE COLONNADE 災害対策委員会は、2013 年度の新設委員会として発足しまし 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 特集:平 成 26 年 豪 雪 埼玉県内の雪害被害状況報告 特集:平成 26 年 豪 雪 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 埼玉地域会 群馬クラブ 髙橋 和夫 曾田 彰 COLONNADE 2 月 8・9 日、14・15 日と週末を 2 週連続で襲った大雪の影響により、 影響により、屋根頂部及び屋根下端部分で膜が破断。巾 50 mx長 さる 2 月 14 〜 15 日の大雪、群馬県内は平野部から山沿いま 取れなくなった住宅や増設したサンルームが屋根からの落雪で倒 埼玉県内の各地では大きな被害が続出した。特に、14 日から 15 日 さ 100 mに渡って裂け、残雪や強風の影響で被害が拡大しほぼ全壊。 での全域で記録的な積雪となり、道路や鉄道が寸断されるなど生 壊するなど、設計者、施工者にもう少し想像力があれば防げた状 にかけて降った記録的な大雪は県民生活に大きな痕跡を残した。と 復旧のめどは立っていない。 活に大きな影響を与えました。 況も数多くありました。 りわけ、これまでの最大積雪量 58 ㎝の2倍近い 98 ㎝という記録的 事故当日の積雪量は気象庁発表で 59 ㎝。設計時に想定した積雪量 関東平野の北部に位置し、山間地にはスキー場も多数有るため、 な大雪に見舞われた秩父市と小鹿野町では、車両の立往生や雪崩に は 45 ㎝、単位重量は 20 N / ㎡・㎝であった。 よる家屋損壊などにより孤立世帯が相次ぎ、降雪から2週間以上経っ 2014 年 1 月の定期点検において指摘事項はなかったようである。 た 2 月 27 日に至り、ようやく孤立世帯がゼロとなる状況であった。 ■富士見市立市民総合体育館(Fig02,03) 埼玉県内の各地の積雪量は、秩父地方:98 ㎝、熊谷市:62 ㎝、川越市: 富士見市に建つ 1988 年設計、1990 年竣工の鉄筋コンクリート造 39 ㎝、朝霞市:35 ㎝、さいたま市:21.5 ㎝であった。 +鉄骨屋根構造で、メインアリーナ鉄骨造屋根全面(59 mx 34 m 被害は、死者 3 人、負傷者 308 人、孤立世帯 1118 世帯にのぼった。 約 2000 ㎡)が崩落。人的被害なし。 事故当日の積雪量は近隣の朝霞市で 35 ㎝。設計時に想定した積雪 群馬県は雪に慣れているイメージを持たれている方も多いのです 建物だけではなく、敷地周囲に塀、生垣を廻す事が多いため、雪 が、前橋、高崎等、平野部においては年 1、2 回 10 〜 30 センチ かき後の雪溜まりの場所が無かったり、雪かきのスコップも常備し の降雪があれば『今年は降ったね』という会話がなされるような ていない家もあり、雪が降ったらどんな事が起こるのか、といった 状況でした。また降雪後、半日程度で融雪する事が多いため平野 雪国では当たり前の想定ができてなかったことを感じました。 部では、スタッドレスタイヤを履いている車両も半分程度となっ 前橋では、週明けの 17、18 日まで小中高校が臨時休校となり、 ています。 幹線道路が復旧した後でも、生活道路には 2 週間以上も雪が残る 今回の大雪、前橋の最深 ような状態が続きました。 積雪値は 73 センチと 1896 建築の現場も前の週からの 2 週連続の雪でストップし、工期の 年の統計開始以来の最高値 延長など対応に苦慮することとなりました。 14 日から 15 日にかけて降った雪は水分を含む重い雪であったこ 量は 30 ㎝、単位重量は 20 N / ㎡・㎝であった。 とから、建築物への被害も多く見られた。脆弱な建物である、カーポー 2004 年と 2011 年に外壁、床や屋根の防水などの大規模改修工事 トやビニールハウスなどが多数倒壊するなどの被害があった他、公 が行われており、2012 年の定期点検でも異常見られなかったようで 共的な建築物や歴史的な建造物にも大きな被害があった。 ある。 を2倍近く更新し、草津も 建築に関わるものとして、常に細心の注意を払いながら設計、 国の指定重要文化財や歴史的建造物が建ち並ぶ川越市では、喜多 事故後、第三者が原因を究明する事故調査委員会が設置され、調 午 後 1 時 に 148 セ ン チ と 監理を心がけていますが、今回の大雪では、改めて自然に対する 院など国指定重要文化財の 2 件で屋根が破損し雪解け水による雨漏 査委員会は構造などに詳しい専門家 4 人、国と県から各 1 人参加し 1989 年以降の観測史上最 敬意を忘れない事を再確認するとともに、自ら関わることのでき り被害が発生した。小江戸の伝統的建造物群保存地区(一番町の街 計6委員で構成された。 高値を記録しました。 る建築以外にも啓蒙や発信して行くことの重要性を感じました。 並み、シンボル時の鐘)の旧家の数棟(9 件)では屋根瓦の一部が瓦 交通網もすべて分断され 今回の大雪は今までの常識を超えるものでしたが、この経験を 解するなどの被害が出ている。 るなか、雪の重みで建物が 想定外とすることなく、今後は新たな『常識』として共有し、設 積雪後の激しい雨による折版屋根の雨漏り被害の報告も多数聞か 損壊するなど被害も相次 れた。ごく一般的に用いられる折版であるが、雨水が雪にせき止め 屋根との接合部 られ折版山上まで完全に浸水したことにより、重ね部の隙間から漏 Fig02- 富士見市立総合体育館 01 水したものと見られている。 Fig03- 富士見市立総合体育館 02 埼玉県内の建物被害の中で衝撃的であったのは、彩の国くまがや 3 月から開始、約 6 カ月程度で結論を出すとしており 3 月 11 日に ドームと富士見市立市民総合体育館の屋根崩落事故でないだろうか。 は初会合が行われた。 これらについては、3 月 10 日の国交省社会資本整備審議会建築分科 くまがやドームや富士見市立市民総合体育館の屋根崩落の原因と 会の建築物等事故・災害対策部会でも被害状況の報告がなされた。 して、いずれも設計時の想定を超える積雪量であったことが想定さ ■彩の国くまがやドーム(Fig01) れるようであるが、然るべき、第三者による事故調査委員会の調査 Fig01- くまがやドーム 4 Bulletin 2014 年 5 月号 高崎のアーケード崩落 ぎ、 高 崎 市 中 心 街 で は 中 計者として、より安全で快適な環境づくりを進めていきたいと思 います。 央銀座商店街のアーケードの屋根が雪の重みに耐えきれず約 50 メートルにわたって倒壊。カーポートやビニールハウスの多くに 被害がでました。 積雪の想定が 30 〜 40cm のため、それ以下の想定となってい る片持ちカーポート等は簡単に倒壊、対応している場合でも屋根 から一気に落ちて来た雪の圧力でつぶされているものが数多くあ り、雨で重くなった雪で屋根の雪止め金物ごと崩落して下屋や 熊 谷 市 に 建 つ 2000 年 結果が待たれる。今後の設計に生かせる報告を期待する。念仏のよ 設 計、2003 年 竣 工 の 鉄 うに「想定外」を繰り返すのはもうやめにして、仮に設計荷重を超 筋コンクリート造+鉄骨 える力が加わっても大きな崩壊が起こらない、粘り強い構造体はど 膜屋根構造で、構造技術 うあるべきかなど、創造力を逞しくして設計を行うことの必要性を うことで地域の和や助け合いの精神を感じる事ができた中、設計 者の賞「JSCA 賞」を受賞 強く感じた。 者の目から気になった事例も多く見られました。 した建物である。積雪の 写真はすべて「国土交通省ホームページの第 19 回建築物等事故・災害対策部会の配付 資料」からの転載 カーポートがつぶれ車も被害を受けた家もありました。 生活道路の早期復旧のため、近隣の人達が連携して雪かきを行 落ちた雪の行き場所がなく、窓の前や玄関前に落ちて身動きの 前橋の積雪状況 Bulletin 2014 年 5 月号 5 COLONNADE 2 月大雪被害、群馬からの報告 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 特集:横浜建築祭 2014 JIA 神奈川建築 WEEK 横濱建築祭 2014 CROSS×CROSS 神奈川地域会 代表 青木 恵美子 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 特集:横浜建築祭 2014 ①メインシンポジウム 「まちの品格」 で創造界隈の実践をしている方々と、函館の歴史的建造物を生 地域の固有性を持続するためには地域独自のまちづくりは不 かしたまちづくりを実践している方々と、座談会方式で語り合 可欠であり、先人たちが残した時間、 歴史文化を尊重し、新た いました。北海道全国大会で交流した函館地域会の方にも参加 な価値を創造する環境を創り続けることは、今を生きる者たち 頂き盛り上がりました。 に課せられ た責務でもあります。地域固有な景観を創り出す ■ 学生卒業設計コンクール展示及び公開審査 です。これらの課題を横浜において、それぞれの立場から実践 神奈川県内にある建築学部をもつ7大学の卒業設計で各大学 している方々とともに「地域固有な景観による、まちづくりの から優れた作品、合計 27 作品を馬車道駅コンコースに展示。 作法」について議論し、「まちの品格」「まちの価値」について 今年の審査委員長は納屋 学氏。審査員に宮 晶子氏、島田 陽氏、 考えました。 前田 圭介氏で、3 月 2 日午前中は1次審査、午後からは1次審 濱建築祭」として【交流= CROSS×CROSS】をテーマに建築家 ②シンポジウム1 査通過者によるプレゼンテーションにより、今年の金賞は慶応 と市民・行政・学生&こども等と交流し、建築教育の啓発活動、 「仮設住宅、復興住宅から考える震災への備え」 義塾大学佐々木さんのパブリックモール、銀賞は横浜国立大学 震災から 3 年経とうとしている今、まだ 10 万人以上の被災 の PHAM NGUYET ANH さんの都市の中の村—ハノイの市場が 者が仮設住宅住まいを強いられ、彼らを受け入れする復興住宅 選ばれました。また各審査委員からの賞もありました。 普及のために 1990 年より年 1 度開催している建築祭と建築を 志す県下の建築大学生の学生卒業設計コンクールを一体化させ た建築 WEEK を開催しています。この4年は横浜を拠点に「横 市民へ建築文化の伝達普及を目指しています。2013 年度は 25 周年記念事業として助成金を受けて、充実したプログラム COLONNADE を企画実行しました。 も、その完成した戸数は計画の 5%にも満たない現実がありま プログラムは、5 つの切り口から考えるまちづくりシンポジ 馬車道駅コンコース上階展示 ウム、卒業設計コンクール。横浜のまちの歴史を知る近代建築 史と復興橋梁の展示と建築を見る街歩き。新しい試みであるデ す。まちづくり、地域の文脈の継承、コミュニティーの維持の 視点を欠く仮設住宅、その後の復興住宅の問題は首都圏におい ザイン茶室コンペ “一番小さ てもそのボリュームの大きさから観て、避けては通れない課題 な交流のカタチ” 二畳台目の です。その仮設住宅、復興住宅の課題を仙台、釜石での事例か 展示とそのインスタレーショ ら考えました。 ンでのお茶会。会員の仕事展 ③シンポジウム2「街路のデザインでまちづくり」 と協力会員の技術展などのプ 馬車道の路面がレンガ色であることに気づいている人は、ど ■ 建築家が考えるデザイン茶室「一番小さな交流のかたち」 ログラムで、4 日間で約 2000 れほどいるだろうか。同時に点と点を結ぶ「線」への関心が、 全国に開かれたデザインコンペとし北海道から香川まで 50 名を超える来場者と建築を通 なぜこんなに薄いのだろう。住所表記を「~通り」で行う国と「~ 案の応募の中から、入賞 3 作品、審査員特別賞 2 作品を選出し、 して市民と交流しました。 丁目」で行う国の差なのだろうか。馬車道では道路を「人の空 実際に入賞作受賞者が馬車道 間」として取り戻すため、さまざまな設計工夫がある。道路へ 駅コンコースで制作しました。 ■ シンポジウム の建築家の関心が高まることに期待して、その具体的事例から 審査委員は室伏次郎氏、堀越 今年度は、地域会年間テーマとして「まちづくり」を掲げ、 考えました。 英嗣氏、青木恵美子氏。当日 かもめの学校など3回連続シンポジウムを開催し、横濱建築祭 ④シンポジウム3「近代建築資産保全によるまちづくり」 は武者小路千家扇美会による ではさらに5つの切り口から「まちづくり」シンポジウムを行 関内、関外に残る戦災復興住宅の保全活用が喫緊の課題と いました。これは 2013 年度で終わらせることなく、次年度も なっています。これらの集合住宅は下駄履きアパートと呼ばれ、 継続して掘り下げていこうと思います。 ハンブルグの街並を規範としてつくられ、街の賑わいを低層階 新聞に掲載 馬車道駅コンコース改札前 COLONNADE まちづくりには、それぞれ地域のルールとも言える作法が必要 神奈川地域会(以下 JIA 神奈川)では、4 年前より建築文化 公開審査プレゼンテーション 学生作品 立礼席も設けて に創出いく形式をもっていました。この資産で横浜のまちづく りの特色とすることも可能です。横浜に残る昭和モダニズム建 築、戦災復興建築、戦後近代建築保全活用実践を事例から考え ました。 ⑤シンポジウム4 馬車道駅コンコースバナー 6 Bulletin 2014 年 5 月号 関内ホール小ホール ヨコハマ創造都市センター B1F 「歴史・文化を継承しつつ街を賑やかにする手法」 街を活性化する様々な仕掛けと人々、そして建築。横浜市内 茶室の中で武者小路千家扇美会によるお茶会 Bulletin 2014 年 5 月号 7 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 特集:横浜建築祭 2014 温故知新 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 抱負を語る 新たな心構え 来客をお迎えする気持ち 古川 達也 木村 智 馬車道駅に展示の茶室インスタレーション 会員が開発した「環境を傷つけない浮遊する建築空間」 ■ この年になって「抱負」を語るというのは、何やら面映い感じがし ■ ご家族が営むクリーニング店併設の住宅を設計する機会がありま ないでもありません。とはいえ、還暦を迎えて私自身の周辺環境が少 した。車庫のシャッターにユーモアで「洗」の字を印字したところ、 し変わり、この欄への投稿を通して、改めて「抱負」と言った視点で 偶然和の風情が漂い、お客様の服を預かる倉のように見えたから不思 自身を見直す良いきっかけを与えていただいたと思えば、得心できそ 議です。この出来事がきっかけで、全体に和の要素を取り入れること うです。 になりました。例えば親しい来客をお迎えする居間で、気軽に座れる 私は、社会に出て 35 年強、日本郵政(株)施設部(旧郵政省建築部) 大きな畳台を設置するなど、かかせない空間となったのです。 で郵政関係の施設の計画、設計に携わってきました。資産を保有する お茶会が開かれ、150 名の市民にお抹茶が振る舞われました。 組織のインナーアーキテクト的役割を担ってきた訳ですが、表に出る ■ 街をつくる建物をつくる建築技術展 存在は常に「郵政省」であり「郵政省建築部」という組織でした。そ 建築家協会の活動に賛同する協力会との交流促進、協力会企 まちづくり保存委員会は、今年1年かけて横浜関内周辺に 業の発表の場の提供、市民への企業 PR の場として企画した建 性の表出は、組織活動を阻害するといった眼で評価される面もありま 残っている戦災復興橋梁を調査し、その報告展示をしました。 築技術展は、私たちが採用する建築技術の説明や製品案内を市 した。それゆえ、社会への説明責任、ユーザーからの生の評価、クレー 大変貴重な調査に神奈川新聞 3 月 1 日横浜版に掲載され、多く 民向けに展示。協力会と建築家とのコラボレーションとして、 ム対応についても常に組織が介在となり、その結果、個人はオブラー の市民が足を運んで見てくださいました。特に3M に引き延ば 展示されている建材や建築技術を建築家がどう取り込んでいる した舟から撮影した写真は圧巻でした。 かなどの説明を市民向けに行い、協力会と建築家が協働して街 を作っていることをアピールしました。 復興橋梁展 3M の橋の写真 トに包まれた間接的でやや生ぬるい環境に置かれた事も否定できませ んでした。 現役を引退し、改めて振り返ってみると、この組織的活動そのもの を否定するつもりはないものの、個人の責任と尊厳を背景に社会と対 ■ 建築家と歩く近代建築展 復興橋梁展新聞に掲載 こでは個人としての建築家の存在は希薄であり、むしろ個の存在、個 峙したことがなかった後ろめたさと後悔の念が多少なりとも頭によぎ 店舗併設の有無にかかわ り、個人の存在を尊重しながら活動する JIA に入会させていただいた らず、住宅設計において、 当日はあいにくの小雨の中、まち歩きをスタートしました。 わけです。建築を求める者(一 参加者は直前のシンポジウム出席者3名も加わり、スタッフ含 般社会、市民)と応える者(建 めて約 20 名程の参加。作成した「港都 横浜を歩く」を手元 コミュニティーアーキテク 定の2時間の街歩きの後は、馬車道駅コンコースに戻りお茶室 り上げる緊張感のある関係に昇 トの活動を市民に知っていた でお茶のサービスと復興橋梁の説明を行いました。 華されているように感じます。 いの前でお迎えし、玄関で お迎えし、居間でお迎えす 距離は縮まり、同ステージで創 る。例えば屋内はどこまで お迎えできるのか。そもそ も、来客を招く気持ちが有 そのような状況で、建築を志す だくために、様々な活動を紹 るのか無いのか。有るけど ひとりの人間として、社会との 介しました。耐震診断の業務 より深いコミット感を体験した 仕事展 1. メインエントランス いと思います。 内観:居間の真ん中に畳台がある ほんの少しなのか。強い形 態や空間でアピールしたい のか、もてなしたいのか。あるいは、残念ながらもてなす気持ちはな く、むしろ防御したいのか。それらは住宅の特徴に大変良く現れます。 の試作品の展示や住教育普及の取り組みをパネルや模型など。 地域会の枠を超え、他地域会からも作品展示の応募を受け地域 街歩き 会同士の交流も促進することができました。来場者の中には 3 最後に、企画から当日準備まで協力いただいた会員のみなさま 日連続で会場を訪れ詳しくメモを取る方もいらっしゃり、内容 に、この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうござい 的にも充実した展覧会となりました。 ました。 また実は、建築のスケールを超え、古今東西、都市における街づくり も、同じではないかと思っています。人々で賑わう観光地や商店街は、 来客をお迎えする魅力とその準備があります。客として再び訪れたい と思える工夫があるのです。来客を迎える気持ちやその思いの強弱は、 建築や都市の計画を左右するヒントになると思い、頭の片隅にいつも 2. 夜景外観 1、2 とも日本郵政時代の最後の設計の「上海万国博日本産業館パビリオン」 Bulletin 2014 年 5 月号 ける大きな要因です。住ま などの手法が展開され、相互の と建物の歴史を重ねながら縦横に広がる話で説明しました。予 8 の気持ちは、住宅を特徴付 てきています。ワークショップ ■ 建築家の仕事展 の活動、リビングプロダクト 来客をお迎えする住まい手 築家)との関係が徐々に変わっ 資料に横浜の埋め立ての歴史から生糸貿易の話まで横浜の歴史 や街づくりファシリテーター 【洗たく屋さんの家】外観:「洗」の字が街角の目印 あるようです。 Bulletin 2014 年 5 月号 9 FORUM COLONNADE ■ 近代建築展・復興橋梁展 海外レポート 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 Neubau Mehrfamilienhaus ( 新集合住宅 ) スイス「環境建築デザイン」最前線 海外レポート 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 (設計:Halle58Architekten) Umwelt Arena( 設計:Rene Schmid Architekuten) 特徴的な大屋根全体が BIPV( 建材一体型 PV/760kWp) で建 ベルン市内の開放的な木造3階集合住宅で、3方向トリプ 築デザイン化されている環境技術展示場である。地中熱 HP ルガラス、テラス周りに木製の電動ルーバーが設置されてい と地中蓄熱、太陽熱冷房を採用し、電熱自給率は 203% である。 る。外部気候変化に応じてファサード性能も変化する、お着 わが国でも気候区分ごとにスマートミュージアムを中心にと 替え建築である。ミネルギー・P・エコ基準により、高気密 して自然・歴史・文化を包括したスマートコミュニティモデ ルコニーに真空管式太陽熱(ST)手摺、熱回収換気、クール 高断熱、太陽光発電・太陽集熱、ペレットボイラーが設置さ ルが出来ることを望む。 チューブ、高断熱トリプルガラス等の採用により、ZEH( ゼロ れている。設計者はバウビオロギーの推進を長年続けており、 「太陽エネルギーデザイン研究会」では、自然エネルギーの エネルギー ハウジング ) を達成した。ミネルギー・P・エコ パッシブハウスアワードを受賞している。 有効利用のために建築六面体 ( 屋根・外壁・床 ) はすべてエ 基準で設計され、要素技術を目立たせず品の良い好感の持て ネルギー創出部位に変容すべきである、との考えから “創エ るパッシブ環境建築デザインとなっている。2001 年スイス ネルギー外装材” および “環境建築デザイン” に取組んで来た。 ソーラー大賞を受賞した。 大野 二郎 太陽エネルギーデザイン研究会 (The Solar Design Consortium / SDC) 自然エネルギーを環境・都市・建築の立場からアプローチす ることで、自然環境保全と美しい街づくりを目指し、持続可 能社会創造に貢献する目的で設立された研究会である。昨年 10 月に SDC 会員 13 名と共にスイスの環境建築デザインを調 査したのでその一部を報告する。 Umwelt Arena(Spreitenbach/Zurich) スイスでの環境建築デザイン スイス・ミネルギー協会 新集合住宅(Gebhartstrasse/Bern) スイスでは、従来から地域ポテンシャルを活かして観光・ スイスのベルンにあるミネルギー協会を訪問した。ミネル ベンナウの集合住宅(KRAFTWERK B) 精密機械・医薬品・金融など省エネ型産業により、世界が羨む、 ( 設計:Grab Architekten) 平和で豊かな成熟した国づくりを行って来た。個別の要素技 この木造集合住宅は、ミネルギー・P・エコ基準で設計され 術の設置のみではなく、地域の景観保全との調和を考慮した Sunny Woods (Hongg/Zurich) 熱費を従来の半分以下に抑える省エネ建築スタンダードであ Sunny Watt( 設計:Beat kaempfen) ており、外装高断熱 (44cm) と太陽光発電屋根 32kWp と太陽熱 建築デザインとして、エネルギー外装材の開発と融合した環 に、コストを 1 割増し以内で政府基準以上のミネルギー性能 上記と同じ建築家 kaempfen の設計で、木造 4 階建て 19 集熱壁 146 ㎡およびトリプルガラス開口部で構成され、時代の 境建築デザインの最新好実例が多く見られた。 を確保した住宅に対して既に 1000 以上の “品質マーク” を 戸の集合住宅である。屋根には太陽光発電 104kWp、真空太 先駆けを感じる優れた環境建築デザインである。2010 年スイ 賦与している。 陽熱集熱、地中熱 HP、ダイレクトゲイン等、により ZEH を スソーラー大賞、ノーマン・フォスター・ソーラーアワード部 達成し、2011 年スイスソーラー大賞を受賞した。断熱性能 門を受賞している。余剰電力 7,000kWh は売電し、余剰太陽熱 はミネルギー・P・エコ基準(屋根・壁・床)として、U値 10,000kWh は隣接建物に供給しており、プラスエネルギー度は は 0.10W/ ㎡ K 以下(30cm ~ 41cm)、開口部トリプルガラ 110% だそうである。徹底した再生可能エネルギーの建材化建 ス 0.7w/ ㎡ K を採用している。 築化は環境調和の時代の建築のあるべき姿を示している。 FORUM る。「より高い生活水準、より低いエネルギー消費」をモットー Sunny Woods(設計:Beat Kaenpfen) チューリッヒ・ヘングの牧歌的住宅地に立ち、建築家が企 画事業者としても参画した、木造プレハブパネル工法で建設 10 Bulletin 2014 年 5 月号 (株)日本設計・環境創造マネジメントセンター(CEDeMa) シニアアドバイザー (公社)日本建築家協会 (JIA): 環境ラボ副委員長 / 新宿地域会代表 (一社)日本建築学会 (AIJ): 環境委員会委員・サステナブル都市・建築デザイン小委員会主査、 (一社)日本太陽エネルギー学会(JSES)理事、太陽エネルギー デザイン研究会(SDC)副会長。 SDC とは、JIA とは別組織で建築の ZEB 化を目指し、研究・開発・ 設計・施工の為に 2010 年設立、現在設計事務所・ゼネコン・メー カー他 40 組織 130 名からなる任意団体である。 web(http://nxc.jp/sdc/) 参照 ミネルギー協会(Bern) した6家族用集合住宅である。屋上に太陽光発電(PV)、バ 大野 二郎 プロフィール Sunny Watt(Regensdorf/Zurich) ベンナウの集合住宅(Bennau/Zurich) 作品: 沖縄熱帯ドリームセンター (BCS 賞・公共建築賞 ) / 投資育成ビ ル(JIA 環境建築賞・グッドデザイン賞)/ J-House(TEPCO 環境 建築賞・INTER INTORA デザイン賞 )/ 日本大学船橋校舎 14 号 館(SB05TOKYO サステナブル建築賞)他 Bulletin 2014 年 5 月号 11 FORUM ギーとはミニマル・エネルギー消費から生まれた言葉で、光 委員会活動報告 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 建築相談委員会 保存問題委員会 建築相談委員を担当して 岩舟町立小野寺北小学校旧校舎の 保存要望書提出について 埼玉建築相談室 委員会活動報告 保存問題委員会 副委員長 佐藤 啓智 ■ 毎年3月が一番忙しい季節でありますが ( 官庁仕事の納期 ■ 栃木県岩舟町立小野寺北小学校旧校舎(以下、旧校舎)は、当 等々 )、原稿の締め切りを忘れてしまい、大慌てでの記事執筆で 初明治 27 年(1894 年)に建てられ、数回の増改築を経て、平 あります。 成元年鉄筋コンクリート造の新校舎完成ののちは、地域の学童保 関東甲信越支部埼玉地域会の建築相談員になって何年目になる 育や高齢者デイサービスを行う小野寺研修所(以下、研修所)と か分からないですが、私の担当は2回 / 年でありましたが、今年 して利用されてきた。 度より4回 / 年に増えております。会場がもう1箇所増えた関係 旧校舎の所在地は、急峻な斜面を背にしており、平成 21 年に であります。365 日分の4日だけのボランティアであり少ないほ 栃木県から土砂災害特別警戒区域に指定され、そのため町は研修 うであるのかな? 所の移転を決定し、平成 25 年度予算に旧校舎解体費用を計上し 2月に担当しておりました相談会は大雪が降り、中止の連絡が た。それに対し、周辺住民は保存を求める署名を集め、5 月 30 で9時に出てみたのですが、電車は動かず)何とか浦和駅に着い 地域交流の場所の拠点作り たのが11時過ぎ・・・参った~間に合わない!!事務局に電話 参加していただきました。正式オープンは今年の夏ごろを目指し したらあっさり中止です・・・。せっかく向かったのに大変な思 ております。 いをして又、帰りもタクシー。たまについていない時もあるとあ (寂れた商店街の一店舗を借り、全て私たちが手作業での改装 きらめての帰宅でありました。 工事です。) 私が担当した建築相談の中で一番多いのは、欠陥住宅ではない FORUM か?雨漏りの原因は何か?等、実際に起こって困っている物件の 今年は趣味の JAZZ(サックス)演奏会を開催すべく練習しよ 相談が多く、2月の次の相談会が3月でしたので早速相談者から うと思いますが、余裕な時間が取れず、ずるずると時が過ぎてし 指名を受け、現場調査に伺う段取りをしているところです。 まい、未だに演奏する機会が有っても ぶっつけ本番での演奏で 地元、川口市では多種ボランティア活動を行っており、近々で あります。 は「川口市民防災ボランティアネットワーク」の代表をやらせて 色々な会に所属しすぎているため何とか減らそうと思い、チャ いただいております。JIA でも活躍しております、大羽賀氏が長 ンスを伺っているのですが、永年ボランティアをやっていると抜 く代表をやっておりましたが、昨年より私が2代目の代表として、 け出す機会が上手くいかず、今年も我慢かなと・・。 駆けずり回っております。 川口市及び近県地域における地震や風水害などの自然災害にお いて、被災者の救援活動及び被災地の復旧復興活動を支援するた め、平常時から市民・企業・ボランティア団体・行政などと協力 し合い、ネットワークづくりを進め、防災に強い街づくり、良好 な環境づくりを目指して災害救援事業並びに住民主体のまちづく りの実現を行い、地域と社会の防災に関わる知識・技術・教育の 普及、啓発活動を通して広く公益に貢献する事を目的として頑 張っております。 川口市内において、地元住民との交流拠点基地(防災拠点基地) 12 Bulletin 2014 年 5 月号 地元中学生の生徒と「危険度マップつくり」のための街歩き体験の1シーン 日に町に提出した旨の新聞報道がなされた。 校門側から玄関方向を見通す 7 月 24 日に、委員会から安達委員長、木村副委員長と梶原、 栃木地域会から土屋会員の 4 名で見学した。建物の現況や斜面と の関係などを把握した上で、当日同行いただいた岩舟町保険児童 課・寺田課長および教育委員会事務局社会教育課・勅使川原課長 らと意見交換した。さらに町役場に移って市村隆町長と面会し、 土砂災害特別警戒区域に指定され保存が難しく、また町独自の調 査でも文化財的価値はないものと判断し、解体を決めた経緯の説 明を受けた。JIA 側からは、相当な部分で当初の状態が残ってお り文化財的な価値が減じていないこと、保存の方法についてもい くつかの手段・方法があることを伝えた。 その後 10 月になって、前記状況を伝えていた東京藝術大学大 玄関上部 学院文化財保存学専攻保存修復建造物研究室の上野勝久教授が現 地を視察され、まとめられた調査メモでは、旧校舎の改造や改変 止めをお願いすべく要望書を提出することを決定し、文面につい は建築本体の価値判断を大きく左右するものでなく、数少ない明 て支部常任幹事会の承認に時間を要したものの、12 月 27 日に安 治期の木造小学校校舎として文化財的価値があるものとされた。 達委員長と共に、町長、議長、教育長宛に提出した。 11 月 6 日に、安達委員長と梶原で再度町長と面会し、上野教授 年明けて、1 月 28 日になって、町から合併前には旧校舎を取 による調査メモと大橋委員がとりまとめた学校校舎の保存例の資 り壊さない旨の発表があった。その英断のお礼を伝えるべく、3 料を持参して、旧校舎の価値について詳しく説明し、保存を要請 月 27 日に町長に委員長とともに挨拶に伺い、解体中止について した。 の経緯について詳しく説明を聞くことができた。あくまで保存決 岩舟町は平成 26 年 4 月に栃木市との合併が決まっており、こ 定ではなく、当面の保留であって、合併後の栃木市でまた検討の の頃にはプレハブを新築して研修所機能を移転するなど、年度内 俎上に載るであろうとのことであり、引き続いての注視と、状況 の取り壊しに向けて着々と準備している状況であった。委員会で に応じての対応が必要になると思われる。 は、さらに旧校舎の文化財的価値を伝え、当面の取り壊しの取り Bulletin 2014 年 5 月号 13 FORUM なかったためタクシーを乗り継ぎ(私の事務所が東川口でしたの のプレオープンをしました。川口市役所職員、地元町会長、等々、 梶原 良成 委員会活動報告 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 アーバントリップ実行委員会 委員会活動報告 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 交流委員会 2013 年度 JIA Cグループ 古くて新しい素材: レンガ、 テラコッタをグルメする 交流委員会 C グループ 国内建物視察会を終えて オイレス ECO 本田 孝一郎 加藤 將己 ■ いつもの楽しい興味深い見学会です。今回のテーマは「古くて新し ■ 2013 年 2 月 7 日から 8 日にて、協力会員Cグループの国内建 ません。玄関口をぬけると吹抜けのある大ホールとなっており、 物視察会を行いました。 現在も様々な催しが行われているそうです。この日はガラス越し 今回は他グループの方、最古参長老の桑野氏もご参加いただ に見える一面の雪景色が、建物と調和し神秘的ですらありました。 深みのあるタイルの質感に思わず参加したいと申し込んだのでした。 き、総勢 18 名での視察会となりました。本年度の視察会一日目 リビングや共有部の建具においても細部にいたるまでこだわりを 見学日は 2013 年 11 月 23 日(祝・土) 。このグルメのメニューは は富山県黒部市にあります、YKK 株式会社様の黒部事業所を訪 感じました。 れました。 2 日目は同県滑川市にあります「ほたるいかミュージアム」を 壮大な敷地、数々の建物の中からまず訪れましたのは同社 視察しました。日本海に面した立地に建てられており、英国の建 50 周年を記念して建てられ、2012 年 JIA25 年賞を受賞された 築家トム・ヘネガン氏の設計で 1998 年に滑川市の代名詞である 「YKK50 ビル」でした。同社の歴史や事業の成立ちなどの説明を 「ほたるいか(蛍烏賊)」を展示・説明する海洋博物館として開館 を受けた斜めの壁が来訪者を迎える。白井晟一氏曰く「対峙できるよう いただいた後、同ビル内にある展示ホール施設、創業者である吉 しました。白を基調とした明るい室内空間となっており、長いス な壁」である。足元の床面はスリット状となっており、その光は地階へ 田忠雄様の記念室、国内唯一のファスナー工場を視察しました。 ロープサイドにも展示物を配することで、子供だけでなく年配の スマートフォンの map をたより と導かれる。 「光や影が壁の表情に奥行きを与えてくれて、現代建築に 工場では洗練された一貫生産システムと厳しい品質管理を拝見 方まで見学できるよう配慮されていると感じました。 にまず訪れた最初の国際仏教学大学 ない手垢みたいなものを表現したかった。 」と建築家陶器氏の弁。 「なん 院大学。この敷地は江戸幕府の第 らかの形で鷗外の人と作品とを照応する記念館として大振りな構えを避 し、製品への信頼が増しました。また同工場に併設された厚生施 続いて訪問した「富山国際会議場大手町フォーラム」は 800 人 15 代将軍徳川慶喜の終焉の地とし けて低く簡素な表現の建物にしたいと考えたんです」と。施工精度と合 設は通路を隔て分離され、明るい空間の中にも落ち着ける雰囲気 超を収容できる大ホールを有し、室内には木材が多く使用され、 て、大政奉還後この旧第六天町に移 わせて深みのある完成度の高い建築となっている。背の高いコンクリー の建物で、従業員様の ON/OFF への気遣いを感じました。 また外観はカーテンウォールと室内に設置された木製格子が融合 トの大きな壁にはさまれた通路、そこにもれる光の扱いにダニエル・リ 同事業場を後にし、「YKK 黒部寮」を訪問しました。この寮は し、富山城を目の前にした立地に溶け込んでいます。C グループ ベスキンドのドイツのユダヤ美術館を彷彿させるものがある。 男女共用の独身寮でオランダの建築家ヘルマンヘルツベルハー氏 の商売柄か、エントランス正面に施された石材や、柱に貼られた の設計です。正面に泉を配し、エントランスを抜けるとトップラ 銅板などの製作施工方法に玄人の意見が飛び交っていました。 イトから光が注ぎ込む広い共有スペースとなっています。「寮」 今回始めて見学会に参加させていただき、会員の方々の建築に なるもののイメージを変えてくれる空間でした。 対する意識の高さに、当方もまだまだ精進が必要だと痛感しまし 次に「前沢ガーデンハウス」を訪問しました。こちらも 2012 た。最後に今回参加された皆様、幹事の堀様に心より感謝申し上 年に JIA25 年賞を受賞された建物で、ご存知の方も多いかもしれ げます。 い素材:レンガ、テラコッタをグルメする」 なんとも食してみたいトリップとなりそうな予感です。このトリップ の案内の写真が素晴らしく、昨今はやりの工業製品にない石を思わせる (1)国際仏教学大学院大学:スクラッチが強調されたレンガタイル。 設計 槇文彦氏(槙総合計画事務所)、 (2)文京区立森鷗外記念館:グレー色のレンガのサンダー研磨。 設計 陶器二三雄氏(陶器二三雄建築研究所主宰)、 (3)東洋文庫:テラコッタの乾式工法。設計 三菱地所設計 といずれも文京区にあり、今回は各自の移動による見学会となった。 (1)国際仏教学大学院大学: り住み、没するまでここで暮らした 国際仏教学大学院大学外観 ゆかりの地である。その後は大蔵省の官舎として利用された跡地でも ある。この敷地の主の大銀杏が紅葉真っ盛りの黄金色の姿で我々を迎 森鴎外記念館 1 外観 森鴎外記念館 2 外装 「国代耐火工業所」パンフレットからの転載 いう建築の修復技法から、このこだわりの外壁は生まれた。背の高い 大きな両開きのスライドドアーを入ると正面にはトップライトからの光 (3)東洋文庫: FORUM えてくれた。外壁は赤、淡赤、灰赤の三色をミックスさせ、一枚一枚 アジアの歴史と文化に関する専門 職人さんの手によりスクラッチを強調したクレイマイスター製法とい 図書館であり研究施設である。創設 うせっ器質無釉タイルである。この 3 色を 3:3:1 の割合でランダム は大正 6 年であり、以来 90 年増築、 に張り、コンクリート打ち放しの壁との対比を味わい深いものとして 立て替えを繰り返してきた。東洋学 いる。これは「風の丘葬祭場」、「福島県男女共生センター」の実績を ふまえて決定された。起伏に富んだ敷地の特性を生かし校舎全体は 5 の普及に力を入れたいとのクライア 東洋文庫 2F 書庫 ントの意向を受けミュージアム、カ つのブロックで計画され、春日講堂と 1 号館、2 号館は 70 本の竹林に フェを取り入れた知の集積としての建築の表現を意図している。外壁 囲まれたガラス張りの渡り廊下で結ばれる。太陽の方位と高度の変化 は高さ 990 のサイズのテラコッタをランダムにならべ本が密に並んで により反射される姿が意図されているという。 いるイメージを表現。テラコッタは躯体から浮かして取り付け、目地 (2)文京区立森鷗外記念館: はオープンカットとして通気工法のダブルスキンとして安定した温度 鷗外生誕 150 周年に合わせ建て替えが企画された公募型プロポーザ 管理の求められる書庫の急激な温度変化を抑制している。内外装に使 ルによる。文京区の不忍通りから折れ、団子坂を上がった町中に、シ われた石材は書庫の書物になぞらえ西はトルコから東は北京までの東 ンプルにして存在感のあるマッシブな鷗外記念館が現れる。当時 2 階 洋産としている。圧巻は 2 階の展示 2 で 2 層分の吹き抜けの中に三方 から東京湾が見えたという鷗外の住居『観潮楼』の跡地に計画された。 書架に囲まれている。見せる書庫として本に囲まれた展示室。展示ケー 団子坂、東側の薮下通りからも出入り出来、通り抜けも出来る。グレー スも書架に組み込まれている。書庫の行き来に使用する階段はガラス 系のせっ器質タイルを施工後目地共サンダー掛けし、内部の色・窯変 張りの開放的な空間で階段は踊り場から持ち出すトラスの階段で柱の が現れ砂岩のような独自の質感をもつ、むしろ柔らかさを持った壁で ない扱いとなっている。 あり、室内のコンクリートの打ち放しの固い壁との対比が素晴らしい。 末尾ながらこの有意義な JIA アーバントリップを企画、お世話いた 氏がイタリーで研鑽をつみ習得した、漆喰を削ってレンガを見せると だいた皆様に感謝いたします。ありがとうございました。 14 Bulletin 2014 年 5 月号 前沢ガーデンハウス ご参加いただいた方々と Bulletin 2014 年 5 月号 15 FORUM 第 73 回アーバントリップ見学記 地域会だより 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 千葉地域会 新宿地域会 新たな地域活動体の誕生 Aゼミの6年 千葉地域会 地域会だより 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 新宿地域会 代表 櫻井 修 菊地 守 ■第 13 回Aゼミ ■ 平成 26 年 1 月 23 日地域臨時総会にて、 「公益団体として地域 すべての会員による等しい意識・情報の共有、会費の納入に基づ 活動体を再構築し、活動の継続・拡大を図る」を主旨とし、目標を、 く」とし、ワ-キングチーム等により当会の今後の在り方を協議 第 13 回のAゼミは早稲田大学創造理工学部教授の中川武教授にお ・団体及び活動の公益性を活用し各界・他団体との交流・協働を した結果、 願いし、研究室がこれまでに係わってこられた 3 つの世界文化遺産 通し内外よりの評価・信頼を獲得し会の目的を進展する。・活動 ・ 当会の各種活動は JIA の定款に基づき統一するのが望ましい。 について報告いただくこととなりました。(当初、歴史研究室から各 の多様 / 拡大 / 専門化とともに他団体との連携 / 協働 / 行動の機 ・ これまでの活動の維持 / 継続を図り、千葉の特性を活かしたも る運営費の確保、事務処理能力を保持する。・意思ある会員によ る積極的な活動を次世代に継承することとした、「千葉県建築家 のとする。 遺跡に派遣されている方々の参加も予定しており、ポスターでも「+ 中川研究室」としておりましたが、会場日程との調整がつかず3回 ともに中川先生にお願いすることとなりました。) ・ 各種課題の改善は、当会への「所属が確認された会員の合意に よる」ことが望ましいとしました。 協会を解散し、公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部千葉 当会会員の意識把握の一環として 2012 年に “千葉県建築家協 地域会への移行」が満場一致で議決されました。その経緯の概要 会(JIA 千葉)への所属確認のお願い” を行いました。その結果、 を報告します。 送付総数 124 に対し回答 80、無回答 44、所属意識有 67 となり 1975 年より活動してきた千葉県建築設計監理協会と、1998 ました。これらを事実として受け止め、これまでの活動の反省と 第 13 回Aゼミポスター 発表される中川先生と会場風景 年に設置された JIA 千葉が 2002 年に千葉県建築家協会として合 今後の方向性を協議してきましたが、この状況を改善し、活動を 同、2014 年で 12 年、設監協会より 39 年を迎えました。JIA 千 前進させるためには、社会の期待に対応する、明確で柔軟な活動 葉は活動費も少なく組織も未成熟で設監協会に間借りする状態 体の構築が急務であり、今こそ、その時が来たとの認識を強くし で、活動は JIA の方針に沿うも、県家協会の支援を受け JIA 千葉 ました。 の名称は表に出ませんでした。県家協会は、設監協会の解散に伴 JIA が 2013 年 4 月 1 日より公益社団法人として活動すること における現在」(各国の保存、活用の現在状況)であり、このテーマ い事務職員、事務所、賛助会費の新会への移行や活動資金が寄付 になり、JIA 定款の改正に連動した千葉地域会規則が構成会員の について先生の体験されたことをご報告いただいたものと考えてお され、地域会レベルを超えた事業内容・運営費により広範な活動 多様性もあり、2014 年 3 月に難産の末承認されました。JIA の ります。3 地域共通の話題は概ね以下の内容となりました。 を行う事ができました。会員構成も地域会会員に加え、単独 / 事 定款改正が、会員構成や会費の徴収について、これまでの県家協 毎回、先生の研究室に保存されている映像を中心にして、様々な 5)2013 年秋・早稲田大学シリーズ・世界遺産・3 回 お話をいただきました。3 地域共に、複数の遺跡群を擁する文化遺産 以上、今回を含め 15 回の開催となりました。 ということもあり、また、3 つの国それぞれの背景があり、話題は広 範囲かつ多様に展開しましたが、その中心は標題にある「保存活用 FORUM ・各国の遺跡保存活用に対する取組み状況 会的な方式に移行されたことを考慮すると、千葉では 2003 年よ 統一性に欠けながらも、大同小異の観点で議論より活動を優先し りすでに JIA の先を見越した方式を実践してきたこととなります。 ・外国からの調査団、その調査保存の過去・現在 てきました。2009 年に両会会長を同一人、通称も「千葉県建築 JIA としても公益法人団体として当会が再構築されることで、JIA ・日本の調査団、研究室から参加された方々の話題 家協会・JIA 千葉」とし、JIA の関連団体であることを表に出し 活動に大きく寄与すると考えます。 ・周辺で暮らす人々と遺跡のつながり ・文明における中心と周縁の関係について 当会が「公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部千葉地域 大する一方、曖昧にしてきた部分が時代や活動形態の変化ととも 会」(通称:JIA 千葉)として活動することで、これまでの課題が に、会に対する批判や活動への参加の積極性を欠く状況になりま 改善され、社会や他団体との連携の推進、信頼関係の構築による りがとうございました。 した。また運営はマイナス決算が続き、マイナス分は旧設監協会 会員の職能の社会認知及び業務環境の改善が進展します。念願で 最後に、会場の予約を含めご協力いただいた中川先生、また当日 よりの寄付金で補填してきました。本会の実態を理解しない一部 あった地域活動体の誕生を機に、JIA 会員の地域会への登録を期 の準備等にご協力いただいた研究室の方々に、この機会にお礼申し JIA 会員の中には、支部よりの活動費で当会が運営できていると 待いたします。 だきました。また、最後の回では、中川先生を中心としたフエの視 察を翌年に予定されている方々の参加もいただきました。ご参加あ 上げたいと存じます。 ■これまでのAゼミ この機会にこれまでのAゼミ開催リストを添付します。 団体形態の見直し、会員所属の明確化と運営費の確保は緊急課題 1)2008 年秋・理科大シリーズ・3 回 となりました。そしてその基本姿勢を、「会の活動は、所属する 2)2009 年春・工学院大学シリーズ・その1・3 回 3)2009 年秋・工学院大学シリーズ・その 2・3 回 Bulletin 2014 年 5 月号 日程 会場 講演テーマ 講師 建築と都市の過去・現在・未来 チューブ型建築史のモデル提案 長谷川 堯 元武蔵野美大教授 1 2008 理科大学 09.29 九段校舎 2 2008 理科大学 10.27 九段校舎 「都市リサーチ」について 3 2008 理科大学 12.01 九段校舎 世界遺産とコルビュジェ 山名 義之 理科大学準教授 4 2009 新宿 04.30 建築美学について 上松 佑二 東海大学名誉教授 5 2009 工学院大学 05.28 新宿校舎 ドイツ表現派から 青島(チンタオ)まで 長谷川 章 東京造形大学教授 6 2009 工学院大学 06.25 新宿校舎 ヴェルサイユ宮殿と 太陽王ルイ 14 世の宮廷生活 中島 智章 工学院大学准教授 7 2009 工学院大学 09.17 新宿校舎 8 2009 工学院大学 10.28 新宿校舎 バウハウスを超えて ドイツの近代建築を再読する 田所 辰之助 日本大学準教授 9 2009 工学院大学 11.26 新宿校舎 近代和風大邸宅の世界 大川 三雄 日本大学教授 毎回、JIA 会員の方々、大学学生の方々、一般の方々の参加をいた 始めました。会員の努力と職能の発揮により、活動への評価が増 16 回 ・各遺跡、遺跡群の概要、空間構成の仕方 務所 / 賛助会員が存在し、発足当時より会計処理、会費の納入は の誤解があるのも事実です。こうしたことから、当会においては、 4)2010 年春・JIA シリーズ・都市・3 回 工学院大学 CAMPUS 伊東忠太の 「デザイン・サーヴェイ」 八束 はじめ 芝浦工業大学教授 倉方 俊輔 建築史家 2010 JIA 館 10 06.24 建築家倶楽部 火星団(MARS Group)による 渡邊 研司 超モダン都市ロンドンの再建 東海大学准教授 2010 JIA 館 11 09.01 建築家倶楽部 オランダの集合住宅百年史 矢代 眞己 アムステルダム vs ロッテルダム 日本大学准教授 2010 JIA 館 12 10.27 建築家倶楽部 ベルリンの建築 再生される都市 堀内 正昭 昭和女子大学教授 ①古代エジプト 世界文化遺産 の保存活用に ②アンコール おける現在 中川 武 早稲田大学教授 2013 10.12 2013 早稲田大学 13 11.09 西早稲田校舎 2013 12.07 ③フエ (肩書は開催時) Bulletin 2014 年 5 月号 17 FORUM 会、行政との協働に応える為、明確で柔軟、安定的で継続性のあ 2 年間休会していたAゼミを再開しました。 地域会だより 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 中野クラブ 情報開発部会 建築文化向上のための市民交流を 長期的視野で模索する 東京マラソン 2014 部会員出走応援 中野地域会 部会活動報告 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 交流委員会 -最新情報端末が大活躍! ランナーが見る東京の街並み- 副代表 小池 正人 情報開発部会 G グループ 部会長 代表幹事 天神 良久 井出 哲也 ■ 情報開発部会は、部会設立時の CAD・CG などの利用技術の情報発 し込むと、ラップタイム、通過タイ 信から始まり、昨今ではスマホ、モバイル端末、GPS、facebook 等々 ム(写真 3) 、 フィニッシュタイム(速 調査範囲を拡大し、勉強会の開催、会員間での情報共有を推進してい 報値) 、SNS の友人からの応援メッ ます。今回は 2014 年 2 月 23 日(日)に開催された【東京マラソン セージなどの情報を記載した記念レ ■ 東京都建築士事務所協会中野支部との共催企画で区民参 でいくその過程が私たちの仕事と通じるところがあり、妙に 加のバスツアーを実施した。 筑波の高エネルギー加速器研 親近感を感じてしまったのかもしれない。 究所、建築研究所、宇宙センターの3施設を区民参加者と そして、解説をしてくれた研究員が「良い装置を作って私 2014】に部会員の深滝准一氏が参加されたのをきっかけに、東京マラ ポートも作成できます。ゴール地点 一緒に見学。 加速器での素粒子の衝突実験を通じた宇宙・ もノーベル賞をとろうと思っている」と語ってくれた時、世 ソン 2014 で活躍した「最新情報端末」と、ランナーが見る「東京の でレポートをオンデマンド印刷する 物質・エネルギーの起源や神秘の探究、巨大地震を視野に の中に革命をもたらすようなデザインコンセプトを打ち出し 街並み」を報告します。 サービスも行っていました。 実物大の建物の振動実験を日々重ねることによる安全の追 たいと日々仕事に励んでいる我々と想いがシンクロしたよう 究、日本の宇宙開発の歴史や多国間の協力そして飛行士養 な不思議な感覚になった。 成の姿。 これらを知ることで、それぞれの研究の最先端の 彼らにエールを送りたい。 実像を肌で感じることが出来た。 区民と我々建築家が、こ うした体験を共有することで、「専門家」の社会的位置づけ や、専門的技術・知見を育む研究組織の役割を再確認でき たことに意義があったと考える。 中でも参加者の興味を引いたのが、高エネルギー加速器研 究所だ。 ご存知の通り、素粒子・宇宙線などを研究し、宇 写真 3 ■ ランナーが見る東京の街並み ランナーは、新宿の超高層が立ち並ぶダウンタウンを出発し、飯田 橋(写真 4)、日比谷公園、品川を折り返し(写真 5)、銀座・日本橋 (写真 6) ・浅草(写真 7)の下町を通過し、ベイエリアの有明(写真 8) 【行程】 7:45 中野区役所前集合 ⇒ 8:00 出発 ⇒ バス ⇒ 左:写真1 右:写真 2 まで、普段は決して見られない車道から東京の風光明媚が楽しめるの ですが、沿道の応援がすごくて、とても景色など見ている余裕はなかっ たそうです。見事に完走した深滝会員(写真 9)、応援団の皆様お疲れ 10:00 筑波研究学園都市到着 ⇒ 10:15 高エネルギー 様でした。 研究所 ⇒ 12:30 昼食 ⇒ 13:30 建築研究所 ⇒ バス ⇒ なお、情報開発部会は、月に一度 JIA にて会合を行っています。興 15:00 宇宙センター ⇒ 16:30 バス ⇒ 味のある方は、是非ご参加下さい(開催日は、関東甲信越支部のホー 18:30 中野区役所前到着・解散 ムページに掲載しています)。 【参加者】 当日の応援団員:天神、井出、保坂、伊藤、駒田、片岡、岩崎 ■ 東京マラソン公式サイトが提供する 【応援ナビ】 宙の始まりをも解明しようと日夜研究を行っている施設であ 区 民:20 名、 東 京 都 建 築 士 事 務 所 協 会 中 野 支 部:6 名、 東京マラソンでのランナーは、 計時チップ(57mm×45mm の IC チッ る。 目に見えない世界に想いを巡らし、少しずつ形を紡い JIA:7 名 計:33 名 プ)(写真 1)を靴に着けることで、衛星を通じて位置の確認とマラソ ンの計測が行われます。 当初、ランナーの計時チップからの情報は、リアルタイムに公開され FORUM 過ごとに発信してもらうという打合せでした。当日の応援団の持ち込ん だ情報端末は「スマホ(iPhone) 、タブレット(iPad) 、ノート PC」で す。まずスタート前に行ったのが「応援ナビ」の登録(東京マラソン公 写真 4 写真 5 写真 6 写真 7 写真 8 写真 9 式サイト HP から)で、持ち込んだ全ての端末から利用することが出来 ました。スタート後、 「応援ナビ」を見ると当日の出走者 35,000 人の走 行位置がリアルタイムに画面に表示されることがわかりました (写真 2) 。 高エネルギー研究所 建築研究所 ただ、若干の時間差はあるので、以降は、この「応援ナビ」の情報を中 心に LINE の位置情報と併せて走行場所の特定をしました。これでラン ナーの走行を先読みし、応援ポイントを決め、待ち伏せ・写真撮影・声 援が可能になりました。 「今、 走っている!。あれ、 歩きだしたぞ!。あっ、 動かない⇒早くも棄権か!」等々応援団も大いに盛り上がり、マラソン の応援がこれほど楽しいものかと実感した情報ツールでした。 ■ 公式スポンサーが提供する SNS サービス コニカミノルタが「東京マラソン 2014」のオフィシャルスポンサー として、ランナーの通過タイムを SNS に自動投稿するサービスを提供 していました。参加者がフェイスブックを利用していれば、ウェブサ イトでゼッケン番号を登録すると、10 ㎞毎、計時チップを読み取って 宇宙センター 18 Bulletin 2014 年 5 月号 一般区民や事務所協会会員とともに 自動的に facebook へ投稿するというシステムです。このサービスに申 Bulletin 2014 年 5 月号 19 FORUM ないだろうと考え、ランナーにスマホから「LINE」の位置情報を 5 ㎞通 部会活動報告 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 コラム 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 日本版 CABE を考える 住宅部会 2013 年度事業報告 住宅部会 部会長 CABE の Design Review(デザインレビュー) を見て思うこと 小出 和郎 中澤 克秀 ■ はじめに デザインレビューの進め方は日本の景観協議(専門家の参加する景観ア ■ 今年度は 3 つのテーマに基づいた活動を行いました。一つ目 英国 CABE は、制度的には国の機関ではあったが、今は国の資金がない ドバイザー会議、デザイン会議など)とはかなり異なっているかもしれない。 はサロンの復活。ベテラン会員から新会員まで分け隔てなく交流 ので活動はそういう立場では行えない。現在の CABE は、Design Council に ■ 協議の性格 場を移して、自己資金を確保して活動を続けている状態だが、Design Review が CABE はデザインに関するアドバイザー役である。またデザインレビュー 社会に評価を得ているため生き延びている。 には強制力がないが、英国の建築・開発制度は許可制であり、デザインレ CABE は坂井文さんの報告(Bulletin2013 年 5 月号掲載)にあるように ビューは、日本における事前協議に近いものであると考えて良いと思う。 多面的な活動を行っていた。職員は 100 人ほどであり、このうち Design わが国の仕組みを考える上では参考になると思う。 Review のセクションには 10 人を少し超えるスタッフがいた。そのほかでは、 ■ 協議を支えるスタッフが重要 Enabling(エネイブリング)、CABE SPACE(公共空地)、Education(教育)、 CABE のデザインレビューには、その部門の職員が重要な役割を担ってい Publication(出版)など多様である。現在、JIA のタスクフォースが進めよ る。彼らは、 建築設計や都市デザインの実務経験を持っていて、 現地を調査し、 うとしている地方公共団体の設計競技への専門家派遣は CABE の活動でい 都市計画の条件などをパネルのメンバーに示し、また論点等を整理する。 えばエネイブリングであり、仕組みとしてわが国でも受け入れやすいのだ ■ 日本の実情 建築の刺激と共にメンバーの交流が深まりました。 と思う。一方デザインレビューの展開は、日本では難しいとも感じる。時 日本では地方公共団体にデザイン・景観の専門家がいるケースは多くな 二つ目は対公益活動(市民活動)の更なる充実です。長らく続 間がかかると思うが、CABE の成果を日本的に定着させる必要性は大きいと く、とくに地方都市などでは、ほとんどそういう人材はいない。この点が 思う。 現在の問題である。専門家である景観アドバイザーにもデザインレビュー 日本においても、日本型のデザインレビューはすでにある。景観法、地 の実行者としての素養が全員にあるとは思えないケースもあり、デザイン 方公共団体の条例に基づく景観協議がそれである。その意味ではすでに始 の質を上げるというような取り組みにつながらない。あえて言えば、デザ まっている。この仕組みを CABE が示している方法や位置づけに発展させ インガイドラインのチェックリストを埋めることはできても良好な景観や ていくことが大きなテーマであると思う。 質の高いデザインにつながらない。一方では、設計者サイドも CABE が示 ■ デザインレビュー している the Built Environment を理解していないため、敷地外のことを考 ここでは、CABE のデザインレビューが実際にどのように行われるかを紹 えることができない。 介する。 ■ これからの取り組みついて できるのが住宅部会の良さだと再認識し、建築家同士の有益な情 報交換ができる場として今年一年素敵なサロンつくりをしたいと 考えました。各セミナーの後半には講師を交えた懇親会を企画し、 忘年会では部会員以外の JIA 会員や事務所スタッフなどもお誘い しました。また、群馬地域会と連携して一泊二日の建築ツアーを 催しました。地域の建築、JIA 会員の作品にふれる機会となり、 いていた銀座 INAX のSUMAIセミナーが新宿 LIXIL に場所を 移し、7月から再開されました。(全 9 回実施)LIXIL ショールー 割箸ワークショップ 4月 ・街歩き・街並編「江戸の中心市街地」開催 ムの中の開催ですが、JIA として独自性を保ち、市民目線で行っ ています。また新宿 OZONE セミナー「JIA 建築家と考える暮ら 6月 7月 8月 ・「割箸ワークショップ」開催 りばしを使って、建築家とマイハウスをつくろう!」が JIA ゴー FORUM からも子供たちの自由な発想にお付き合いして、住育環境のお手 ・住宅部会員向け「住宅防火戸・サッシセミナー」 講師:LIXIL 開催 にリビングデザインセンター OZONE と共同で活動してきた「割 ルデンキューブ賞 2013/2014 で特別賞をいただきました。これ ・セミナー「前川國男邸を語る」 講師:中田準一氏 開催 者が増えてきています。JIA 市民住宅講座の街歩きも人気があり、 リピーターもあり毎回参加者が増えています。それから、毎年夏 ・街歩き・街並編「路地と下町の暮らし」 (谷中・根津・千駄木)開催 しと住まい」(全 12 回)では、単独のチラシを四季に合わせて 4回発行し、部会外の講師をお呼びするなど、新たな試みで参加 ・住宅部会総会 開催、 (リビングデザインセンター OZONE 共催) 9月 ・JIA 建築家大会 2013 北海道の全国住宅部会連絡会議 に参加 伝いを続けていきたいと思います。 ・「アメリカ広葉樹木材の現地を訪ねて」報告会開催 三つ目は情報(活動)の発信。新たにフェイスブックを活用し 11 月 ・「群馬建築見学会ツアー&温泉宿」開催 て、住宅部会団体ページと会員専用グループページを開設しまし ・「Ei-WALK(イー・ウォーク)」見学会 開催 た。フェイスブックと部会HPが連動し、情報を新鮮に保つ努力 をしています。またセミナーの独自チラシを作成して広報する範 囲を開拓しています。今後も開かれた部会として JIA および対市 民に向け発信していきます。 ・「奥尻島 震災 20 周年復興視察」報告会開催 12 月 ・住宅部会忘年会 開催 3月 ・トーキングイベント+納会 開催 ・街歩き・街並編「江戸の北の玄関口」(千住宿)開催 ■ 各月「住宅部会の日」全 12 回開催 ■「暮らし・住まい・環境 WG」全 10 回 市民住宅講座 WG、規約検討 WG 不定期に数回開催 ■ 部会通信 全 25 回発行 セミナー「前川國男邸を語る」 20 Bulletin 2014 年 5 月号 住宅部会忘年会 、設計者および事業主体のメンバー、 出席者:パネルメンバー(5名程度) CABE の担当者/オブザーバーとして、行政庁職員、その他の関係者。 これから JIA が CABE のような役割を担っていくのであれば、どういうこ とを考えるべきなのだろうか。 時 間:1件当たりの時間は1時間。 ・ CABE の機能である、専門性を持ったスタッフをどう確保できるか。 会 場:立席で行われ、会場の中心に模型が置かれる。周囲のまちの模型の中 ・ CABE のパネルメンバーは名誉職であり、報酬はごくわずかである。エ に計画地の模型がセットされているのが通常である。 周囲の壁に計画、 ネイブリングには報酬かあるので、まずは Enabler を育てることがデザ 設計図が貼られる。…椅子は何脚か置かれているが皆が座ることはな インレビューに近づく方法ではないだろうかと思う。 い。1時間が立って意見交換する限度と思われているのだろう。 資 料:配布される資料は A4 2枚ほどの CABE 職員が作成したドキュメン トのみであり、設計図は配られない。 ■ JIACABE の役割 地方都市、自治体が困っている “専門家の不在” に対して、全国ネット ワークを持つ JIA はどう対応できるのか、私はそれほど難しいとも思わない。 進行は以下の通りである。 新たなビジネスという意味ではなく、英国のように、社会に信頼されてい ① CABE 職員のドキュメントの説明が行われる。時間は 10 分で、事前の調 る Architect の役割だとして進める必要がある。 査結果と当日のテーマがパネルメンバーに説明される。この場に事業者 デザインレビューを、あるいは英国 CABE そのまま日本にもちこむとい は参加しない。 うのは無理だと思う。しかし、デザインレビューを定着させたいというこ ② 5 分ほどのティーブレイクの後、事業者、設計者が入室、計画の説明が とは同感。あまり焦らないシナリオをイメージして頂きたい。 20 分ほど行われるが、説明は模型と壁の図面により行われる。CABE の ■ 最後に 文書は参考として使われる程度である。 『英国 CABE と建築デザイン・都市景観』 ③ その後、あらかじめ決められているパネルのまとめ役が進行し、各パネ を、最近鹿島出版会から出版した。この会 ルメンバーからの質問、意見が出され協議が進む。多様な意見交換が 20 のメンバーである私と坂井文さんを中心 分ほど行われる。オブザーバーの行政職員に確認することもある。 に、究会のメンバーの他多くの人たちの寄 ④ 残り 5 分になると、まとめ役がその場の協議結果を総括する。1 時間が 稿が載り、CABE の主要メンバーであった 経過するとこの日は終了。次回のデザインレビューのテーマが指示され Richard Simmons さんのアドバイスもあ ることもある。 る。内容は、CABE の背景と役割、創設から ⑤ 最終的なデザインレビューの結果は、Letter として CABE のHPに掲載 現在までの多様な活動、さらにはデザイン される。1件についての協議回数は6,7回が平均とのことと私は聞いた。 レビューの実例、が書かれている。日本の Letter は、稀に写真が載せられることがあるが、文字のみで図面などは 事例紹介と今後の日本型デザインレビュー ないので、実際には関係者以外には理解しにくいように感じる。設計者 の可能性と提言も載せた。詳しくは、ぜひ のHPを注意深く検索すると図面等を見つけることもできる。 この本を見ていたただけると幸いである。 Bulletin 2014 年 5 月号 21 FORUM 住宅部会 お知らせ 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 ひといき。。。 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 映画紹介 アーキテクツ・ガーデン 2014 建築祭 関東甲信越支部 実行委員会 支部長 委員長 上浪 寬 藤沼 傑 ■ JIA 関東甲信越支部が主催するアーキテクツ・ガーデンは建 員会の普段の活動の中から、さらに多くの市民の皆様に声をか 築家や JIA の多彩な活動を広く一般市民に対して情報発信する けていただくようお願い申し上げます。 ことを目的に長年開催してきました。2012 年から開催期間を秋 また、新しい準会員制度の具体的内容も漸く整ってきました から初夏に変更し、6 月 15 日:「建築家の日」を含む前後 1 ヶ ので、これを機会に多くの学生や若手に声をかけていただき、 月間とし、一般の方々に向け、多彩でユニークなプログラムを JIA の活動に加わっていただければ幸いです。 提供しています。 各プログラムは5月にはチラシを作成し、ホームページを立 公益法人となった JIA は、都市を構成する全ての建築は公共 ち上げます。各地域会や委員会で独自に広報をする場合は、 「アー 的な役割があるという認識を広める事が重要な公益活動のひと キテクツ・ガーデン 2014 建築祭 参加プログラム」として、 つです。建築家と市民とをつなぐ場をとなるアーキテクツ・ガー 共通ロゴの表示をお願いします。 デンは、本年 2014 年もこの2年間と同じテーマ「建築家はと このイベントが関東甲信越支部の年中行事として市民の間に もだち」、同じロゴ、同じ期間に開催し、連携を定着化させてい 広く定着していくよう、皆様のご協力よろしくお願い申し上げ きたいと思います。 ます。 アーキテクツ・ガーデンのプログラムは、建築作品を訪ねな ■ テーマ:「建築家はともだち」 がらの街歩きや見学会、子供たちとのワークショップ、建築模 ■ 開催期間:2014 年 6 月 15 日の前後約 1 ヶ月 型や CG、建築作品などの展覧会、各界著名人や建築関係者な 小さいおうち 直木賞受賞(第 143 回中島京子)のベストセラー小説の映画 舞伎界から片岡孝太郎、恋人・板倉正治に吉岡秀隆、荒井健史 化で山田洋次監督の新しい挑戦が始まった。五十年を超える監 に妻夫木聡、物語の中枢となる布宮タキにベテラン倍賞千恵子、 督人生の中で、“家族の絆” を描き続けてきた監督が “家族の秘 昭和のタキは黒木華、その他には橋爪功、笹野高史、小林稔侍、 密” に迫る。物語の時代背景は 1935 年(昭和十年)〜終戦直後、 米倉斉加年、吉行和子、室井滋、夏川結衣、木村文乃など、山 そして 2000 年(平成十二年)、2009 年(平成二十一年)頃で 田組や東京家族のメンバーがずらりと揃って出演している。音 ふたつの時代が交差しながらやがてひとつにつながっていく様 楽は東京家族に引き続いて久石譲が担当、美術は出方三男、衣 がリアルかつ壮大に描かれる。大正時代から和洋折衷の文化が 装 松田和夫など、多士済々のスタッフが固めている。 大輪の花を咲かせた時代、西洋と日本の文化が混じりあって生 封印された秘密の全貌を知った時、静かな衝撃と深い余韻に まれた独特な世界観が昭和モダンである。郊外の赤い三角屋根 包まれながら、傷ついてもなお人を愛することの素晴らしさに やステンドグラスがはめこまれた扉や窓、その家で起こる人々 心打たれる、魂に響く映画が誕生した。 の命の輝きが胸に迫る。この時代のある恋愛事件の秘密をめぐ この作品は今年のベルリン国際映画祭のコンペティション部 る話だが、そのストーリーの奥にある小市民の家庭の暮らしを 門に出品され、黒木華が最優秀女優賞を受賞しました。なお余 戦前から戦後の時代を描きつつ、今の日本がどこに向かうかと 談ですが昨年ご紹介した「舟を編む」が今年の日本アカデミー いう道筋と未来が見えてくるのではないでしょうか。 賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞、他 6 部門の優秀賞 日本映画界を担う実力派と次世代を担う若手俳優、豪華キャ に輝きました。 小さいおうちプログラムより ストの競演が実現。主演の平井時子を演ずる松たか子。夫に歌 〈立石博巳〉 編集後記 「 ゴールデンウィーク」 どによる講演会やセミナー、耐震改修その他に関する建築相談 会などで、一般の皆様方に楽しんでいただいたり、珍しい体験 最も市民と接するイベントです。 毎年同じ事を繰り返す事で、各地域では既に多くの市民の方 FORUM に認識していただいていると思います。本年も、各地域会や委 < アーキテクツ・ガーデン 2013 開催時の様子> 「アーキテクツ・ガーデン 2014 建築祭 参加プログラム」共通ロゴ ■ GW の連休は出掛けても混んでいるからでしょうか、なぜか映画を見 ■ 今年の GW は妻の出産直前と言うこともあり、いつもとちがった雰囲 に行きます。 気になりそうです。 ポップコーンを作り、朝一番の上映に出掛け、運がよいとプレミアムシー ■「ゴールデンウィーク」は 1950 年代の映画業界の宣伝用語だそうです。 トのスクリーンだったりします。とても得した気分になります。 それから四半世紀。休日を各々分散して取れば、インフラやサービスも [ 市村 ] [ 杉山 ] ピークが抑えられてもっと省エネが図れるのではないでしょうか。 ■ 僕の誕生日は GW の真ん中前半にある。 [ 土居 ] 共産党系国家公務員だった父らしい日だ。おかげで名前が、メデオ、に ■ GWと言えば心地好い太陽と若い緑。防災グッズの使い勝手の確認の なるところだった。猛反対にあったらしく(当たり前だ!!)、結果、父 為に、それらを持ってピクニックに行って見よう、とテレビで紹介され と母から一文字ずつ頂くことになる。 ていました。なるほど! 編集 委員長 [ 倉島 ] :公益社団法人 日本建築家協会 発行人 :菊地 良一 関東甲信越支部 広報委員会 発行所 :公益社団法人日本建築家協会 関東甲信越支部 :河村 大助 〒 150-0001 東京都渋谷区神宮前 2-3-18 JIA 館 副委員長 :市村 宏文・植木 健一 委員 [ 萩尾 ] :大川 宗治・岡本 寛・加藤 誠洋・倉島 和弥 B A C K YA R D をしていただいたり、有益な情報や知識を得ていただいたりと、 Tel: 03-3408-8291( 代 ) Fax: 03-3408-8294 印刷 :株式会社 協進印刷 杉山 英知・萩尾 昌則・土居 志朗・中村 晃 八田 雅章・Florian Busch・長坂 典和・池田 寛 立石 博巳・本田 孝一郎 編集長 :市村 宏文 ■ JIA 関東甲信越支部関連サイト一覧 ・( 公社 ) 日本建築家協会 (JIA) http://www.jia.or.jp/ 副編集長 :土居 志朗 ・建築家 online ( 一般向け ) 編集委員 :大川 宗治・倉島 和弥・杉山 英知・萩尾 昌則・長坂 典和 ・JIA 関東甲信越支部 ( 会員向け ) http://www.jia-kanto.org/members/ 池田 寛・八田 雅章・立石 博巳 表紙 / 本文デザイン :( 株 ) スタジオネオ 伊波 サチヨ 菅原 真希 http://www.jia-kanto.org/ © 公益社団法人 日本建築家協会 関東甲信越支部 2014 ■ 販売価格 300 円 ( 本体 286 円 + 消費税 14 円 ) /会員の購読料は会費に含まれています。 22 Bulletin 2014 年 5 月号 Bulletin 2014 年 5 月号 23 第三種郵便物認可 Bulletin 2014 年 5 月15 日発行 Bulletin 248| 2014 年 5 月号 24 Bulletin 2014 年 5 月号
© Copyright 2024 Paperzz