NFP (New Frontier Partners) Web Report (2007-2号) 2007年2月1日 1.注目される2月の「金融政策決定会合」 ニュー・フロンティア・パートナーズ(株) (1)日米の株式市場は、年初来いずれも堅調に推移しています。特に、日経平均株価は、1月24日には17,507円と昨年4月の水準 に挑戦しました。また、JASDAQ指数も90台に乗せ、反転の兆しを見せています(図表1-1、1-2)。 (2)今年のマーケットの最大関心事の一つが、「金融政策」の行方です。昨年7月にゼロ金利を解除した日銀は、”追加利上げ”に 意欲を見せていましたが、1月の金融政策決定会合では、無担保コール翌日物金利の誘導目標を現行の0.25%に据え置くことを 決めました。今月21、22日の決定会合を控え、再び「金融政策」に注目が集まっています。鍵となるのは、「経済情勢と物価動向」 です。アメリカ景気の減速懸念が薄れる一方、円安と原油安の効果もあり、日本の企業活動は輸出と設備投資を中心に、堅調で す。もう一つの主役である家計部門では、12月の現金給与総額が前年同月比0.6%減と、依然として力強さに欠けます。 一方、物価動向は、マクロ的な需給バランスが均衡しつつある中で、原油価格の下落と円安進行など強弱材料が相い半ばし、明 確な上昇基調とはなっていません。昨年12月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除けば、前年比0.1%アップと伸び率は鈍化し ています(図表1-4)。今月の「金融政策決定会合」は、日本経済の今年の行方を判断する大きな節目といえます。 図表 1-1 TOPIX・ JASDAQ指数推移 140 図表 1-2 NYダウ・ NASDAQ指数推移 TOPIX(右メモリ) JASDAX(左メモリ) 130 1,800 2,500 1,750 2,400 12,500 2,300 12,000 2,200 11,500 2,100 11,000 2,000 10,500 07/1 図表 1-4 消費者物価指数(前年同月比) (%) (%) 0.35 長期国債(10年)新発債流通利回 2 1.9 1.8 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 06/12 (出所)Yahooファイナンス (出所)Yahooファイナンス 図表 1-3 長期金利・ 短期金利の推移 06/11 06/10 06/9 06/8 06/7 06/6 06/1 07/1 06/12 06/11 06/10 06/9 06/8 06/7 06/6 06/5 06/4 1,450 06/3 80 06/2 1,500 06/1 90 06/5 1,550 06/4 1,600 100 06/3 1,650 110 06/2 1,700 120 (%) 13,000 NYダウ(右メモリ) NASDAQ(左メモリ) ※生鮮食品を除く総合 ※食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合 無担保コールレート( %) 0.3 0.2 0.25 0.2 0 0.15 -0.2 2006/1 2006/3 2006/5 2006/7 2006/9 2006/11 0.1 -0.4 2006.11.14 2006.10.11 2006.09.06 2006.07.03 2006.08.04 2006.05.31 2006.04.25 2006.02.17 2006.03.23 2006.01.17 2005.12.09 2005.10.03 2005.11.07 2005.08.29 2005.07.27 2005.05.23 2005.06.23 2005.04.14 2005.03.11 07/1 06/7 06/9 06/11 06/3 06/5 06/1 05/9 05/11 05/3 05/5 05/7 05/1 0 2005.01.04 2005.02.07 0.05 -0.6 -0.8 (出所)総務省公表資料 (出所)日本銀行 図表 1-5 原油・ 金価格の推移 図表 1-6 産業活動指数等(前年同月比) NY原油WTI (ドル/bbl・左メモリ) 750 10.0 700 8.0 650 6.0 600 4.0 55 550 2.0 50 500 0.0 80 金価格(1トロイオンス/ドル・右メモリ) 75 70 鉱工業生産指数 第3次産業活動指数 全産業活動指数 4.9 65 60 1.6 (出所)米国エネルギー省、三菱マテリアル -2.0 04/1 3 5 7 9 11 05/1 3 5 7 9 11 06/1 3 5 7 9 11 07/1 06/12 06/11 06/10 06/9 06/8 06/7 06/6 06/5 06/4 06/3 06/2 06/1 1.1 (出所)経済産業署「第3次産業活動指数」 等 このレポートは未公開会社の経営に関し一般に参考となると考えられる情報の提供を目的としたもので、投資判断の参考となる情報の提供および投資勧誘を 目的としたものではございません。資料の作成に際しましては、発行会社の公表資料等、一般に公開され、信頼できると判断した情報源から入手したものを 利用しておりますが、資料の正確性、完全性を保証するものではありません。 1 2.インターネットの発展とWeb2.0 (1)インターネットの発展の歴史を見ると、2000年前後から、米国を中心に、Google、Napster、Myspace、YouTubeといった”イン ターネット第二世代”と言うべき新たな企業群が登場しました(図表2-1)。その後、これら企業が提供するサービスを反映して、2004 年頃から「Web2.0」と呼ばれる概念が生まれました。また、2006年はWeb2.0に関する話題が豊富な1年でした。例えば、米国の GoogleによるYouTubeの買収や、”セカンド・ライフ”の急成長、”仮想通貨やロングテール”の普及、さらには、日本の株式市場に おいても、ドリコムやミクシィが新規に株式上場を果たしました。 (2)Web2.0とは、図表2-2に示すような7つの要素の一部もしくはすべてを包含するインターネット関連サービスの総称といわれてい ます。また、Web2.0の潮流をもっとも端的に表しているのは、「ユーザー参加」といえます。「ユーザー参加」によるメディア価値増 大の典型が、ブログとSNSです。 (3)ブログとSNSの利用者数は、2004年頃から急増し始め、2006年3月末現在の利用者数は、ブログが868万サイト、SNSの登録が 716万登録です(図表2-4)。NRIでは、2011年度末までに、ブログが1813万サイト、SNSが5110万登録まで拡大すると予測していま す。その時点でのブロードバンド利用者数はおよそ9000万人と見込まれ、5割強の人がSNSへ登録することが予想されています。 また、ブログが記事という「情報」に焦点を当てたサイトであるのに対して、SNSは「人」に焦点を当てたサービス内容となっていま す。さらに、ブログやSNSは消費者に対してECサイト上の商品・サービスを認知させたり、消費者の選択を支援する手段として、今 後も拡大していくことが予想されています(図表2-5)。 図表 2-1 インターネットの発展とWeb2.0 YouTube(米)設立 Mixi開始 el e-log(政治家専用ブログ)開始 GoogleAdword開始 オーバーチュア(日)スポンサードサーチ開始 研究開始 TCP/IP WWW Linux CIX Mosaic Pentium Amazon(米)設立 ヤフージャパン設立 テレホーダイ開始 Doublecl i ck(米)設立 Windows95リリース InternetExplorer3.0リリース Wikiリリース mp3リリース Ebay設立 NetscapeCommunications(米)設立 yahoo!(米)設立 Cyworld(韓国)設立 Iモード開始 ADSL開始 Napsterリリース Google(米)設立 Myspace(米)設立 ADSL1000万加入突破 GoogleBlogger開始 GoogleAdsense開始 ドリコム設立 Wikipedia(英語版)開始 FTTH開始 MovableTypeリリース 楽天設立 ライブドア設立 Overture(米)設立 1969 1983 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 Web2.0 Web1.0 黎明期 (出所)野村リサーチ・アンド・アドバイザリ株式会社 「IRR no.99」 図表 2-2 Web2.0を特徴づける7大要素 特徴的な要素 概 要 サービス事例 ・情報発信者として、ユーザーがインターネットを活用する現象全般を指す。 ・ユーザーからの支援によって、そのサービスの付加価値が向上する。 ・SNS ・ブログ 協力的ユーザー ・ユーザーの自発的な参加によって、さまざまなオリジナル情報、分析情報が生まれる。 ・直接的な対価が支払われるわけではないが、時間と労力をかけ協力的に活動する現象を 指す。・また、それらの情報は通常無料である。 ・おすすめ投稿 ・Amazonレビュー などの機能 進歩的性善説 ・協力的ユーザーの活動をさらに推し進めたインターネット上のユーザーの行為を指す。 ・Wikipedia ・なんの接点も無いユーザーからの質問や検索要請に対して、無償で回答したり、誤った情報を修 ・はてな人力検索 正したりする行為を指す。 ユーザー参加 ・ユーザーの嗜好によって、大量の情報の分類が行われる現象を指す。 フォークソノミー 進歩的分散志向 ロングテール リッチインターフェース ・Fl i ckr ・タギング ・各ユーザーが持つ情報資産コンテンツを有効活用して、P2P(個人間で直接情報のやりとりを行 ・Wi nny うこと)で全世界にわたって情報の相互共有が可能なネットワークを築こうとする動きを指す。 ・Bi t Tor r ent ・インターネットでの現象は、生起頻度の低い要素の合計が、全体に対して無視できない割合を占 ・Google Adsense めるという法則を指す。少数の上位で全体の大半を占めるという、いわゆる「20:80の法則(パ レートの法則)に対するアンチテーゼであり、ネット上での人々の行動の特徴を表す理論として注 目。 ・ハードウェアの進歩やネットワークの高速化によって、直感的なユーザビリティを実現する技術や ・Gmai l サービスの総称を意味する。 ・goo地図 ・Aj ax (出所)野村総合研究所「これから情報・通信市場で何が起こるのか」 このレポートは未公開会社の経営に関し一般に参考となると考えられる情報の提供を目的としたもので、投資判断の参考となる情報の提供および投資勧誘を 目的としたものではございません。資料の作成に際しましては、発行会社の公表資料等、一般に公開され、信頼できると判断した情報源から入手したものを 利用しておりますが、資料の正確性、完全性を保証するものではありません。 2 図表 2-3 Web1.0からWeb2.0へのパラダイム変化 Web1.0 Web2.0 Double Click Ofoto Akamai mp3.com Britannica Online personal websites evite domain name speculation page views screen scraping publishing content management systems directories (taxonomy) stickiness Google AdSense Flickr Bit Torrent Napster Wikipedia blogging upcoming.org and EVDB search engine optimization cost per click Web services participation wikis tagging( ”folksonomy”) syndication ブログ・ ・ ・ Webl ogの略語で、WebとLogの合成語である。 個人や数人のグループで運営され、日々更新される日記 的はWebサイトの総称である。最近は、①企業の社内シス テム、②企業のホームページ、③情報提供サイト(検索サ イト)として、法人向けにビジネス用とで利用されることも増 えている。 SNS・ ・ ・ Soci alNet wor ki ngSi t eまたはSoci alNet wor ki ngSer v i ceの略で、日記などを会員制のサイト内に公 開し、趣味などの情報を交換して友人との交流や人脈作 りなどができるサービスである。多くのSNSでは、既存会 員からの紹介で会員登録するため、ネット特有の匿名性 が少なく、信頼性や安心感が高い。 (出所)野村リサーチ・アンド・アドバイザリ株式会社 「IRR no.99」 図表 2-4 ブログサイト数とSNS登録者数予測(国内) ※2005年度までは総務省発表資料より、2006年度以降はNRI予測値。 (千サイト、千登録) 60,000 51,107 ブログサイト数 SNS登録者数 50,000 47,278 39,398 40,000 30,306 30,000 20,625 13,020 20,000 16,900 17,576 18,135 17,927 8,680 3,350 10,000 7,160 1,110 - 15,364 12,500 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 (年度) (出所)野村総合研究所「これから情報・通信市場で何が起こるのか」 図表 2-5 ブログ・ SNS市場規模予測(国内) (億円) 1,800 1,600 ※2005年度までは総務省発表資料より、2006年度以降はNRI予測値。 SNS市場 ブログ市場 1,400 1,200 1,000 1,081 800 787 600 487 400 200 1,241 246 82 48 140 38 337 399 441 465 238 2007 2008 2009 2010 2011 2005 2006 (年度) (出所)野村総合研究所「これから情報・通信市場で何が起こるのか」 このレポートは未公開会社の経営に関し一般に参考となると考えられる情報の提供を目的としたもので、投資判断の参考となる情報の提供および投資勧誘を 目的としたものではございません。資料の作成に際しましては、発行会社の公表資料等、一般に公開され、信頼できると判断した情報源から入手したものを 利用しておりますが、資料の正確性、完全性を保証するものではありません。 3
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