2015 年 12 月吉日 ~突撃★ドメーヌ最新情報!!~ ◆VCN°51 ブラッセリー・ド・ラ・ピジョンネール 生産地方:ロワール 新着ビール 1 種類♪ ピジョ・ノエル 8.5%(ブラウン・エール) 設立当初から取引先や愛好家限定につくっていたピジョンネール秘蔵のクリスマスビールが去年に引き続き今 年もリリース決定!去年同様に、香り付けにシナモンやコリアンダーなどのスパイスやハーブを一切使用せず、3 種類のホップと 3 種類のモルトだけ組み合わせてシンプルに仕上げた。また、ブラッサージュの際、もろみの温度 を 65℃と少し低めに保ち、ビールの残糖になるデキストリン(酵母がアルコール分解できない多糖類)をなるべく 作らず、アルコール分解できる麦芽糖を多く生成することによって、後味がすっきりドライで飲み飽きないビール に仕上げている!(一般的なクリスマスビールは、デキストリンが多く味わいが重たい場合が多い) 。ルドヴィック 曰く、今年から醸造施設を一新し、自動温度管理システム付の密閉タンクひとつでブラッサージュからホップの煮 沸までできるようになったおかげで(以前は二つのタンクが必要だった)、ノエルビールの命でもある華やかなアロ マを封じ込めることに成功したとのこと!確かに、今年のピジョ・ノエルは、ナッツやコーヒー豆の香りではなく オレンジピールやヴェルヴェンヌなど清涼感溢れる香りが華やか!ちなみに、ピジョ・ノエルは、ロワレットとは 異なり、気が抜けると苦みが増してくるので、開けたら早めに飲み切った方が良さそうだ! 「ヨシ」のつ・ぶ・や・き ピジョ・ノエルはブラッサージュに 1 ヶ月近く要するため、タンクが一つしかないマイクロブリュワリーの彼ら は、その間メインのロワレットの仕込みは大幅に制限される。そのため、春から夏の繁忙期はもちろん仕込むこと ができず、一方で、クリスマス前に納品するためには最低 2 ヶ月の準備が必要なため、仕込みのタイミングは結局 9月の1ヶ月間しかなく、とてもタイトだ!でも、彼らにとってピジョ・ノエルは年に一回のお祭り的なビール! この間は、たとえロワレットの売れ行きが好調でも、出荷を制限しピジョ・ノエルの仕込みを優先するのだそうだ! ちなみに、クリスマスビールがどのようにして生まれたのか?今回ルドヴィックに由来を聞いてみた♪クリスマ スビールは、その昔まだ穀物の貯蔵技術が発達していなかった頃、毎年秋の大麦の収穫の前に、新しい麦の貯蔵ス ペースを空けるために、残っている全ての大麦とホップを使って仕込んでいたビールが起源で、 「10 月のビール」 と呼ばれていたそうだ。残った全ての大麦とホップを使用していることから、香りが高く味わいは重厚で苦みの強 い。いつしか取引先、従業員、友人、家族へのクリスマスプレゼントとして振舞われるようになり、その後商品化 し、広まっていったそうだ! .(2015.10.6.ブラッセリー突撃訪問より) つくりはシンプル&ナチュラル!まさに麦のペティアン・ナチュレル! ルードヴィック&ステファン・アルドアン (ブラッセリー・ド・ラ・ピジョンネール) 生産地 ロワールの古城のひとつ、世界遺産であるシュノンソー城から南東に 15 ㎞ほど下ったところにセール=ラ=ロン ド村があり、その村のはずれにブラッセリー・ド・ラ・ピジョンネールがある。ブラッセリー周辺 10 ㎞以内には、 ヴァンクゥール取扱いのトゥーレーヌ生産者、パスカル・ポテールやジョエル・クルトー、クロ・ロッシュ・ブラ ンシュ、ノエラ・モロンタン等のドメーヌがある。ビールの水は、地下 176 m から掘り起こされたセール=ラ= ロンド村のアルカリ性の硬水を使用している。 歴史 現オーナーである兄ルドヴィック・アルドアンと弟ステファンは、2003 年に二人で現在のブラッセリーを立ち上 げる。ビールの世界に係わる以前は、ルードヴィックは自動車工場で働き、ステファンはまだ学生だった。1996 年折しも不況の真っ只中、車の仕事に将来性を感じていなかったルドヴィックは、学校卒業から無職のままでいた ステファンを誘い、手持ちの少ない資金でベルギービールをフランスに販売する会社を立ち上げる。最初は資金繰 りが厳しいため、ステファンがメインで、ルードヴィックは保険のため自動車工場を辞めずに仕事を掛け持ちで行 っていた。この頃、彼らが仕入れていたビールは全てクラフトビール(小規模生産のビール)で、ブリュッセルの カンティヨンやエノー州のデュポンなどのビールを入れていた。2002 年、車の会社から整理解雇を受けたルドヴ ィックは、良い条件で退職金を得、その資金を元にブラッセリーの準備をする。そして、2003 年ステファンと一 緒に念願のブラッセリー・ド・ラ・ピジョンネールを立ち上げる。 生産者 現在、ブラッセリーはルドヴィックと彼の妻、そしてステファンの 3 人で管理している。彼らの造るビールは上面 発酵のエールスタイル。原料の大麦と小麦、ホップは 100%ビオロジック。酵母はブラッセリーオリジナルの培養 酵母を使用。フィルター、パストリゼーション(低温殺菌)は一切なし。製造の工程で余計な手を加えず、原料の モルト(麦芽)を限りなくシンプルかつナチュラルにビールに仕上げること心掛けている。ディーヴ・ブテイユな ど、自然派ワインサロンに出展することが多く、自然派のヴィニョロン達からも絶大な支持を得ている。年間生産 量は 10 万リットル。パリをはじめフランス全域の自然派ワインバー、レストラン、海外はアメリカ、カナダ、イ ギリス、イタリア、北欧、日本など着実に販路を広げている。 ブラッセリー・ド・ラ・ピジョネルの+α情報 <もっと知りたいブラッセリーのこと> ブラッセリー創設:2003 年 年間生産量:10 万リットル ビールのスタイル:エールビール ビールの種類:ビエール・ブランシュ、ビエール・ブロンド、ビエール・アンブレ、ビエール・ド・ノエル 原材料:大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ、サトウキビ、セール=ラ=ロンド村の地下水 ホップの種類:アロマホップ(ストリスルスパルト、ソブリン、スマラグド) ビターホップ(ブリュワーズ・ゴールド、アドミラル、ハラタウ) ビール酵母:ピジョネルのセレクション酵母(元種はベルギーのブラッセリー・デュポンから) <もっと知りたい醸造のこと> ビールのアイテム ロワレット(ビエール・ブロンド:アルコール度数 5.5%) モルト:大麦麦芽(ピルスモルト 93%、ミュンヘンモルト 7%) ホップ:ストリスルシュパルト、ブリュワーズ・ゴールド ロワレット(ビエール・アンブレ:アルコール度数 7.5%) モルト:大麦麦芽(ピルスモルト 71%、ミュンヘンモルト 29%) ホップ:ストリスルシュパルト、ブリュワーズ・ゴールド ラ・サラマンドル(ビエール・ブロンド:アルコール度数 6.5%) モルト:大麦麦芽(ピルスモルト 100%) ホップ:ソブリン、スマラグド、アドミラル ビエール・デュ・シャモー(ビエール・ブランシュ: アルコール度数 3.5%) モルト:小麦麦芽 ホップ:ソブリン、ハラウタ 醸造方法 - モルトを粉砕機にかける。 - ステンレスタンクの中に細かく砕いたモルトを入れ、平均 60℃のお湯で 2 時間かけて混ぜ合わせもろみをつくる。 - もろみをいったん濾過し、タンク内に残ったビール滓にもう一度お湯を流し込み、糖化された麦のスープを作る。 - その糖化されたスープを 100℃で煮沸し、同時にビターホップとアロマホップを 2 回に分けて入れて、苦みと香りづけを した麦汁をつくる。 - 来上がった麦汁を濾して 20℃まで冷却し、そして、セレクション酵母を添加し一次発酵を行う。発酵温度は 25℃~30℃ で期間は 10 日間~24 日間。 - 酵が終わりかけた時点で 12℃(発酵の止まる温度)まで冷却し、1 L の麦汁に 5 g の砂糖を溶かしたシロップを混ぜ合 わせ、瓶詰め。 -二次発酵で泡ができ始める 3 週間後から出荷開始。 モルトとホップ、水、セレクション酵母、糖以外添加物は一切なし! ノンフィルターでパストリゼーション(低温殺菌)なし! 二次発酵の時に酵母を添加していない!(一次発酵の酵母をそのまま活用) ちょっと一言、独り言 ロワレット…自然派ワインの生産者の間では、あまりにも有名すぎて知らない者がいないくらい愛飲されている ビールがついに日本に上陸する! ちなみに、ピジョンネールのビールの愛好家には、フレデリック・コサール、ティエリ・ピュズラ、ジャン・フォ ワヤールをはじめ、ルネモス、パスカル・ポテール、フィリップ・ヴァレット、フィリップ・ジャンボン、デコンブ、 クリスチャン・ビネール、ブリュノ・デュシェーンなど他にもたくさんの自然派ワイン生産者の名前が連なる。生産 者だけではなく、パリでもヴェール・ヴォレやバラタン、セヴロ、シェ・ミッシェル、ラシーヌ、シャトーブリアン、 セプティム他 80 以上のレストランや、カーヴ・デ・パピーユ、カーヴ・オジェ、カーヴ・デュ・パンテオン、オー・ ヌーヴォー・ネなど 40 以上のカーヴィストと取引がある。その他、フランス各地域の主な自然派レストラン、国外 ではアメリカ、カナダ、イギリス、北欧、イタリア、スイスなどにも輸出しており、年間 10 万本という小さなパイ を分け合っている! 麦芽とホップと水だけでつくるシンプルなエールビールをクリーミーな泡立ちの喉越し爽快なビールをつくり上 げるルドヴィック&ステファン・アルドアン。フランス国内のみならず、お隣のビール大国ベルギー、ドイツを含 め数多くのマイクロブルワリーがひしめく中、彼らのビールは、とりわけ自然派ワインの業界で絶大な支持を得て いる! ピジョンネールの愛好家であるティエリ・ピュズラは、彼らのビールの美味しさをずばり「酵母が生きているか ら!」と答える! 確かに、彼らのビールは、甘藷糖を添加しビールの泡を作るが、泡を作るのはあくまで一次発酵 の酵母で、シャンパーニュのように甘藷糖の添加の際に新たに培養酵母を添加するということはない。さらに、二 次発酵で泡が生成されてもデゴルジュマンをしないので、酵母は瓶内に澱となって残る。ビールの泡をつくるため に途中甘藷糖を加えるにせよ、一次発酵の酵母をそのまま活かすというやり方は、どこかペティアン・ナチュレル に似ていて面白い! もしかしたらこの辺りが自然派ワイン愛好家に支持される理由なのか? この点について、直接ルドヴィックに聞いてみた! 彼曰く「確かに、影響はある!」とのこと。ビール業とワイ ン業は畑が違うが、でも彼自身ペティアン・ナチュレルのエスプリに影響を受けた一人で、大のペティアン愛好家 だ! 当時ブラッセリーを立ち上げる以前、彼と弟のステファンはパリを中心にベルギービールを販売する仕事をして いた。彼らの仕入れていたビールは大手ではなく、ブリュッセルのカンティヨン醸造所やエノー州のデュポン醸造 所などナチュラル思考のクラフトビールだった。クライアントは、当時から上記に挙げたようなナチュラルなビー ルに関心を持つレストランやカーヴィストがほとんどだった。販売先では、ビールを配達する際に、ついでの一杯 としてワインを勧められることが多く、その時経験したワインほとんどが自然派ワインだった。そんな中、初めて クリスチャン・ショサールのヴヴレーのペティアン・ナチュレルを飲んだ時に、彼は大きな衝撃を受けたそうだ! 「いつかペティアン・ナチュレルのような自然なビールをつくってみたい!」 この時点で、ペティアン・ナチュレ ルのエスプリが注入されたルドヴィック。麦芽やホップなどを全てビオにしたのも、麦汁を完全ノンフィルターに したのもペティアン・ナチュレルを意識した結果だ。立上げ当時は、ナチュラルを極めようとカスティヨン醸造所 のような天然酵母のランビックビールに何度か挑戦したことがあったそうだが、そもそも彼の求めているヴァン・ ド・ソワフ的な味わいはそこになく、また蔵付き酵母の安定していない醸造所では発酵が難しく、ほとんどが失敗 で終わったそうだ。 試行錯誤を繰り返す中で、シンプルかつナチュラルな方法で彼らが納得する味わいに辿りついたのが今のロワレッ トだ! ルドヴィックは言う、 「ビールづくりはワインと違って、ミレジムによって根本の味わいが左右されること はない。味わいを人の手でコントロールできる分、それだけ素材やつくる人のセンスがビールの味わいに出る」と。 ペティアン・ナチュレルのエスプリが注入されたピジョンネールのビール!自然派ワイン好きの間で人気のある理 由が、話を聞いてやっと理解できた!
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