海外視察報告 - 国立病院機構 九州医療センター

独立行政法人
国立病院機構
Kyushu Medical Center
九州医療センター臨床研究センター便り
平成28年度Vol.1(春)
Kyushu Medical Center
お知らせ
床研究センターでは平成28年度の部門目標に、新
たな研究活動評価に対する実績目標を定め、臨床
研究支援環境整備の強化、そして真に良質な臨床研究活
動の推進を挙げました。昨年「人を対象とする医学系研究
に関する倫理指針」が施行され、今年度は2年次研修医を
含む医師全員、研究に関わるスタッフ全員に研究倫理研
修プログラムの受講を義務付けて、一人ひとりの意識を
高めて良質な臨床研究活動が実施できる環境づくりに務
めます。また臨床研究分析支援室に質量分析装置の導入
が予定されており、各研究室の再構築を念頭に効率的で
質の高い研究体制整備を推進したいと考えています。臨
床試験支援センターでは地下1階にモニタリング・監査
室(6ブース)の増築を進めており、2年連続国立病院機
構治験実績No 1にふさわしい品質管理を実践していき
たいと思います。
臨
◎新たな研究活動実績対前年比105%達成、英文論文発表の推進
◎年間治験収入2.2億円以上、並びに新規治験課題を確保する
ため実施率80%以上の達成
◎全医師、医療従事者の研究倫理研修受講率100%達成および
倫理審査委員会における審査の質の向上
◎臨床研究新分野への挑戦と研究室の環境整備・活用の推進
◎臨床試験のプロセス評価の向上、成果公表の活性化、魅力ある
情報発信
平成28年4月
臨床研究センター長 岡田 靖
Kyushu Medical Center
海外視察報告
FIGO World Congress 2015に
参加して
産婦人科
槝之浦 佳奈
F
臨床研究センターの目標 2016
IGO(世界産科婦人科連合)は、産科と婦人科によ
って構成される唯一の国際的な組織で、3年に一
度World Congress(世界産婦人科連合会)が開催されま
す。第21回連合会が2015年10月4日∼9日、カナダのバ
ンクーバーで行われ、蓮尾泰之先生、富田友衣先生ととも
に出席してきました。
今回の連合会のテーマは、
「生涯を通じた女性に対する
質の高いケア」ということで、産婦人科のあらゆる分野に
わたり、ワークショップ、講演会、口頭およびポスター発
表が行われました。印象的だったのは、日本産婦人科学会
学術総会では、より新しい知見の発表が重視されたり、患
者の満足度を高める医療や侵襲の低い医療を追求する傾
向にある中、国際社会ではいまだ周産期母体死亡であっ
たり、産科・婦人科両領域における感染症であったりとい
った話題が目立つということでした。スポンサーブース
においても、清潔な分娩を行うことができる簡易キット
の紹介や、性感染症予防のための啓発、母体死亡の一番の
原因である産褥出血に対する知識と対応の統一などが散
見されました。抗癌剤の新しい組み合わせにより5年生
存率を伸ばすことも大切かもしれないけれど、母児とも
に健康で出産を乗り切ることも同様に大きな課題であ
り、全世界人口のうちの女性を対象として考えた場合、後
者のほうが大きく取り上げられるということを知り、新
しい目線で産婦人科をみることができました。
国際学会に参加する上で、日本を離れるという醍醐味
もあります。バンクーバーはカナダの一番西に位置する
ブリティッシュコロンビア州にある都市であり、海と山
に囲まれた自然の豊かな地域でした。緑の多い街並みは
空気がきれいで、カフェ文化が盛んというだけあって、街
角のいたるところにおしゃれなカフェがありました。マ
ーケットに行けば新鮮な魚介料理も食べることはできま
すが、市街地に最も多かったのは寿司屋をはじめとする
日本食屋、韓国料理屋、中華料理屋であり、昔アジア人労
働者が住んでいた街があった名
残なのかもしれないなと感じま
した。
普段の臨床でみている目線と
は異なる目線で産科婦人科をみ
ることができたのは、今連合会に
参加して得ることのできた一番
の収穫であり、とても有意義な経
験 で し た 。視 野 を 狭 め る こ と な
く、今後の臨床に生かしていけれ
ば、と感じました。
Kyushu Medical Center
TOPICS
人工真皮の現状と展望
形成外科
權藤 理絵
日
本において人工真皮の臨床使用が始まって20年
が過ぎました。
人工真皮は、1980年に開発されて以来、外傷やⅢ度熱
傷、腫瘍切除後等に生じる皮膚・粘膜全層欠損創に対して
用いられています。
目的は、深達性の皮膚欠損創にこれを貼付し、真皮様組
織が自然に構築されるのを待って分層植皮術を行うこと
で皮膚全層の再建を行うこと、切除組織の診断のために
再建を待機する場合の一時被覆を行うことの2つに大別
され、当科のみならず多くの診療科にて使用されています。
アテロコラーゲンを主成分とするスポンジ構造の人工
真皮(商品名: テルダーミス、ペルナック)、アテロコラー
ゲンにグリコサミノグリカンを架橋結合させた人工真皮
(商品名: インテグラ)が、皮膚欠損創治療材として市販
されており、表面はシリコ−ンにてコーティングされて
いるタイプとされていないタイプとがあります。このア
テロコラーゲンは、コラーゲンの基本構造で両端に存在
しているテロペプチドがなく、抗原性が低いと言われて
います。
人工真皮が真皮欠損創である全層皮膚欠損創に移植さ
れると、創面より繊維芽細胞や毛細血管がコラーゲンス
ポンジ層内に侵入し、線維芽細胞より産生される細胞外
マトリックスと新生血管網により肉芽組織(真皮様組織)
が形成されます。毛細血管が侵入した段階で表面のシリ
コーン膜を剥がし、必要に応じ分層植皮をします。粘膜欠
損創の場合、粘膜上皮が周囲よりシリコーン膜とコラー
ゲン層の間に侵入し、上皮化が完了します。
この真皮様組織の形成には2∼3週間待機しなければ
なりません。
人工物使用の原則として、感染の予防が挙げられます。
血流のない人工物は感染に非常に弱く、移植床に壊死組
織の残存、浸出液の貯留があるとそのリスクは上昇し、脱
落または移植床の感染の引き金になります。このことよ
り、糖尿病性潰瘍などの難治性潰瘍や褥瘡といった慢性
創傷への使用は控えられがちです。
一方、慢性創傷に加え急性創傷に対して、塩基性線維芽
細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor 商品名:
フィブラストスプレー®以下bFGF)の投与により創傷治
癒促進効果が認められています。
そこで人工真皮の弱点である感染の対応策として、
bFGFとの併用療法を行うことにより良好な臨床結果が
得られることが報告されています。現段階で、人工真皮内
へのbFGF投与は人工真皮移植時のタイミングまたはド
レナージ孔からの噴霧投与となってしまい、連日投与あ
るいは間歇的投与が必要となります。
現在ゼラチンを徐放担体としたbFGF徐放性人工真皮
の開発が進んでいます。今後bFGF併用療法が確立され
れば、手術回数の減少、創傷治癒までの期間短縮、さらに
新規治療法の開発の可能性も高くなると考えられています。
[当科での使用例]
腱露出、骨露出部位の慢性あるいは急性創傷に対し、人
工真皮貼付と持続陰圧洗浄の併用を行い、
肉芽の増生を図
ります。
良好な肉芽増生を確認の後、
分層植皮術を行います。
図1 脛骨露出した慢性潰瘍
図2 デブリードマンを行い脛骨の表面も削った状態
図3 人工真皮貼付時
図4 貼付した人工真皮の上を持続陰圧洗浄
図5 持続陰圧洗浄21日後の肉芽増生
Kyushu Medical Center
臨床研究報告 学術賞(平成26年度)
頭頸部に動脈硬化性狭窄/閉塞病変を有する患者の
開心術中脳梗塞発症リスクの評価:
定量的脳血流シンチの有用性
開心術の内訳は人工心肺使用CABG 203例、心拍動下
CABG 30例、弁膜症手術 232例、大動脈基部手術 11例、
その他 38例であった。
【結 果】
心臓外科
今坂 堅一
【背景と目的】
心臓大血管手術の大きな特徴は人工心肺を主とした手
術であり、ほとんどの症例は心停止下に行われる。人工心
肺作動中に生体は1)脈圧の消失、2)低体温、3)血液希釈
といった非生理的循環にさらされることになる。
一方、平均寿命が延びたことにより高齢者の心臓手術
が増加してきた。加齢に伴い動脈硬化性病変が強くなる。
特に頭頸部血管病変を有する患者が増加し、術後脳梗塞
が一旦発症すれば患者のADLは大きく低下するため、
心臓手術においては脳梗塞対策が大きな治療戦略の一つ
である。
術前脳障害リスク評価の手段は、形態学評価としての
頸部エコー、胸部/頭部CT、MRAと、機能的評価として
脳血流シンチがある。脳血流シンチは生理的環境下にお
ける脳循環予備能であり、この検査が人工心肺を使用し
た非生理的環境下の心臓手術にも有効であるかどうかは
不明なままであった。従って、今回のstudyは脳血流シン
チが非拍動下低体温人工心肺中の脳循環予備能を反映す
るかどうかを検討した。
術前に頸動脈エコーあるいはMRAによる頭頸部血管
病変の評価を行った。頭頸部血管病変の狭窄度は、正常
303例(59%)、軽度76例(15%)、中等度47例
(9%)
、重度
あるいは閉塞 88例(17%)であった。88例の重症頭頸部
血管病変患者中、脳血流シンチで脳循環予備能無と判断
された症例は1例(0.2%)のみであった。この患者は虚血
性心臓病患者で、術前MRAでは右内頸動脈閉塞、右外頸
動脈重度狭窄が見られた。心臓手術前に右浅側頭動脈-右
中 大 脳 動 脈 バ イ パ ス 術 を 施 行 し た 後 に 、人 工 心 肺 下
CABGを行った。術後脳梗塞発症無く経過良好で退院と
なった。
(図参照)
患者(n = 514)
頸動脈エコーand/or MRAによる
頭頸部血管病変の評価
重症頭頸部血管病変 無
(n = 426, 83%)
狭窄度:
正常
303 (59%)
軽度
76 (15%)
中等度
47 (9%)
重症頭頸部血管病変
(n = 88, 17%)
脳血流予備能有
(n = 87, 16.9%)
SPECT
脳血流予備能無
(n = 1, 0.2%)
開心術
浅側頭動脈-中大脳動脈
バイパス術
【対 象】
2009年1月から、術前重症頭頸部血管病変を持つ患者
(頸動脈エコーあるいはMRAで狭窄度70%以上を重症
頭頸部血管病変と定義した)に対してダイアモックス負
荷脳血流シンチを用いた脳循環予備能検査を行い、予備
能有りと判断した場合には、通常の人工心肺で開心術を
行うこととした。尚、脳循環予備能に関しては安静時局所
脳血流量32ml/100g/minと血管反応性10%を下限値と
し、いずれの項目も下回る時には脳循環予備能無と判断
した。2009年1月∼2013年12月までに790例の開心術
を行い、その内緊急症例および脳分離体外循環使用例
274例、術中空気塞栓1例、術後低換気にて発症した脳梗
塞例1例を除く連続514例を対象とした。
術前頭頸部血管病変スクリーニングを行った結果、脳
梗塞発症5例(1%)で、重症頭頸部血管病変を認めた症例
は2例であった。しかし、いずれの症例も脳梗塞発症原因
は塞栓であり、頭頸部狭窄あるいは閉塞血管領域の低潅
流が原因とされる脳梗塞例は無かった。
【結 語】
脳血流シンチによる生理的環境下(拍動流、常温)での
脳循環予備能検査で、予備能有りと判断された症例はす
べて人工心肺で安全に手術を行うことができた。重症頭
頸部血管病変があったとしても、ほとんどの症例で安全
に人工心肺が使用可能と思われる。
Kyushu Medical Center
CPC
急速な呼吸不全を呈して死亡した
間質性肺炎の一例
70歳代 男性
臨床診断
膠原病内科
病理
#1.急性肺炎
#2.多発血管炎性肉芽腫症(GPA)
平野 七津美・岩永 智陽
河内 茂人・林 博之・桃崎 征也
既往歴
53歳:十二指腸潰瘍にて胃切除術
65歳:心臓バイパス術
生活歴
喫煙:20本/日×(20-40歳)
飲酒:なし、アレルギー:なし
現病歴
死亡2年4月前に間質性肺炎を指摘され、A病院を受診
した。PR-3 ANCA陽性を指摘され、血管炎疑いで経過観
察されていた。死亡約2月前に発熱、咳嗽増悪が出現し、
間質性肺炎の増悪を認めたためA病院に入院した。プレ
ドニン[PSL](1mg/kg/日)及びシスプラチン[CyA]を開始
したところ、間質性肺炎は改善した。死亡1月前より低Na
血症、意識障害が出現した。死亡当日、精査加療目的にB
病院へ転院したが、B院到着時に血圧低下、呼吸状態増悪
および血小板減少を認めたため、加療目的に当院に救急
搬送となった。
に浸潤影あり。両側上葉に牽引性気管支拡張、小葉間隔壁
肥厚あり。両側胸水あり。骨盤内に少量腹水あり。
[Fig.2]
入院時現症
身長 170.0cm、
体重 45.9kg、BMI 15.9、
PS 4
意識 JCSⅡ-10、
体温 38.2℃、心拍数 123/min (整)
血圧 67/40mmHg、SpO2 91%(O2 10L/min)
[頭頸部] 貧血なし、黄疸なし、頸部リンパ節腫脹なし
[胸部] 心音異常なし、胸部広範にfine crackles聴取
[腹部] 平坦、軟、肝脾腫なし、腫瘤なし
[四肢] 浮腫あり、関節腫脹なし
[神経] 病的反射なし
検査所見
[血算]WBC 4900/μl, (Neu 92.2%, Ly 6.0%, Mo
0.6%, Eo 0.0%, Ba 1.2%),
RBC 270x10 4 /μl, Hb 8.9g/dl, Ht 26.9%, Plt
2.1x104/μl
[生化学]TP 3.8g/dl, Alb 1.2g/dl, T-Bil 1.2mg/dl,
AST 196U/l, ALT 93U/l, LD 469U/l, γ-GTP 18U/l,
ALP 179U/l, Na 143mEq/l, K 5.5mEq/l, Cl
104mEq/l, BUN 43mg/dl, Cr 0.87mg/dl, Glu
148mg/dl, CRP 14.34mg/dl
[凝固]PT 12.4sec, PT-INR 1.7, APTT 34.3sec, Fib
297mg/dl, D-dimer 46.2µg/ml
[動脈血ガス(O2 10L/分)]pH 7.421, PaCO2
35.2mmHg, PaO 2 53.3mmHg, HCO 3 - 22.4mmol/l,
BE -1.2mmol/l, Lac 10.5mmol/l
[感染症検査]血液培養 陰性, 喀痰培養検査 有意菌の貪
食像なし, β-Dグルカン 11.75pg/ml
[胸部Xp]びまん性に網状影を呈しており、右上・下肺野に
浸潤影あり。両側CP-angle dull。心陰影の拡大は認めな
い。
[Fig.1]
[Fig.1]
[胸部CT]両側下葉主体に広範なすりガラス陰影、右下葉
[Fig.2]
入院後経過
当院救急搬送時、SBP120mmHg、SpO 2 91%(O 2
10L/min mask)。胸部CTで間質性肺炎の急性増悪、成人
呼 吸 窮 迫 症 候 群 ( A R D S ) を 疑 い I C U へ 入 室 。入 室 後 、
SBP70mmHgへ低下した。ノルアドレナリン開始し、気
管 挿 管 を 行 っ た 。F i O 2 0 . 8 で A B G p H : 7 . 3 4 、
PaCO2:43.6mmHg、PaO2:54.2mmHg。ステロイドパル
ス療法、抗菌薬での加療を開始したが、呼吸状態改善な
く、搬入7時間後に死亡された。
病理解剖の目的
死亡原因の特定(急性進行ARDSもしくは間質性肺炎
の急性増悪)
感染症巣の同定、血管炎の疾患活動性の組織学的評価
考 察
本症例は間質性肺炎及びPR-3 ANCA陽性から、血管
炎疑いで経過観察をされていた。しかし明らかな肉芽腫
性 病 変 を 認 め な か っ た た め 、多 発 血 管 炎 性 肉 芽 腫 症
(GPA)の診断には至らず、Watts分類基準より分類不能型
血管炎とされた。死亡2か月前に血管炎増悪の診断で
PSL+CyAによる治療を開始されたが、死亡1週間前に意
識障害をきたし、低Na血症、急性肺炎と診断された。臨床
所見、血液・画像所見から感染症を契機としたARDSまた
は間質性肺炎の急性増悪状態と考えられ、DIC及び敗血
症性ショックの合併を疑ったが各種培養検査で有意菌は
検出されなかった。
剖検では、両肺に好中球を主体とする炎症細胞浸潤、急
性気管支肺炎(グラム陽性球菌+サイトメガロウイルス
[CMV])、間質性肺炎、器質化肺炎を伴う肺硝子膜症があ
り、胸水と線維素性胸膜炎を認めた。肺硝子膜形成はびま
ん性で、びまん性肺胞障害(ARDS)が示唆されたが、GPA
の診断所見である壊死性肉芽腫症性血管炎は認めなかっ
た。腎臓には少数の糸球体に硝子化を認めたが顕著な異
常所見は乏しかった。以上からGPAの組織所見は明らか
ではなかったため、
「ANCA関連血管炎」の診断にとどめ
た。
びまん性肺胞障害(DAD)はARDSの肺に共通して認め
る、肺胞構築の破壊と改変過程を表す病理所見である。
手術、外傷、重症感染、ショックなどが誘因となると考え
られている。病理所見として、発症早期にびまん性の肺硝
子膜の出現や、中期において肺胞内外の線維化、後期では
進行した線維化を呈するとされる。
本症例は、両肺にびまん性の硝子膜変化および線維化
をきたしていることから、早期∼中期段階のDADである
と考えられ、臨床経過ともよく相関していた。グラム陽性
球菌並びにCMVの感染を契機としたびまん性肺胞障害
による呼吸不全の増悪で死亡に至ったものと考えられ
た。[Fig.3]
[Fig.3]
Kyushu Medical Center
委員会報告
「クリティカルパスはなぜDPC入院期間Ⅱを
意識して作成しなければならないのですか?」
ク リ ティカ ルパス委員会 委員長
江崎 幸雄
ク
臨床試験支援センター
治験実施医療機関として選ばれる施設を目指して
臨床試験支援センター
永山 智子
近
年、
国際共同治験が増え、
当院でも治験受託件数の半数
以上を占めています。
今や治験はグローバル化の時代
です。
国内のJ-GCPのみならず、
ICH-GCPや各国/地域の規制
に準じた治験の実施が求められるようになりました。
クリティカルパス改訂状況
平成28年1月21日現在
20
18
16
14
12
10
19
8
6
4 8
2
0
■
■
6
1
2
2 1
1 1
1
2
6
1
1
2
1
1
1
腫瘍内
総合診
形成外
精神経
救急部
脳血内
放射線
腎臓内
皮膚科
呼吸器
高血圧
小児外
リウマ
小児科
脳神外
心臓外
産
科
耳鼻咽
脳神内
消化器
膠原病
歯口腔
免疫感
血管外
眼
科
乳腺外
整形外
婦人科
代謝内
血液内
消化外
肝臓外
泌尿器
循環器
呼吸外
リティカルパス委員会は「医療の質の向上」と「チ
ーム医療の推進」のため、クリティカルパス作成の
援助やその運営の適正な管理を行い、運用上の問題点の
把握とその解決のため活動しています。毎年4回の定例
会を開催していますが、この1年間の最重要課題は「クリ
ティカルパスとDPC入院期間Ⅱ」でした。DPCは現在日
本の急性期病院で採用されている包括医療制度です。こ
の入院期間Ⅱの設定日数がどうしてクリティカルパスに
影響するのでしょう?DPC入院期間ⅡはそのDPCコー
ドにおける参加急性期病院の平均在院日数をもとに設定
され、その日数を超えた入院期間Ⅲでは1日当たりの包
括医療保険点数が入院期間Ⅱより大きく減少します。こ
のため入院期間Ⅲの入院患者が多いと病院の収益に負の
影響を与えます。それでは病院の医療収益のためだけに
入院期間Ⅱでの退院が求められるのでしょうか?当然、
答えはNoです。現在、我が国の少子高齢化、経済情勢を鑑
みると年々上昇を続ける医療費の膨大を抑制する必要が
あり、そのために入院日数の短縮、入院ベッド数の削減が
日本政府の医療政策方針として打ち出されています。当
院は国立病院機構の中核病院として国の医療政策に則る
必要があると考えます。その疾患における標準的治療(モ
デルケース)の診療予定表であるクリティカルパスの入
院治療日数がDPC期間Ⅱを超えると大半の患者の入院
日数が期間Ⅱを超えることになります。そのため、当院の
クリティカルパスの設定入院日数は原則、DPC入院期間
Ⅱを超えない必要があります。しかし、例外が必要な診療
科があると思います。手の込んだ先進的な治療法を採用
する症例、他院では治療困難な重度の合併症を有する症
例の治療では他の急性期病院と横並びの入院日数では治
療目的を達成できないことがあります。このような症例
が多い診療科では、DPC期間Ⅱを超えた入院日数のクリ
ティカルパスも必要です。しかし、そのクリティカルパス
には適応症例を限定し、どのような症例が長い入院を要
するかデータを出し、今後のDPC改訂に意見を提出する
姿勢が重要だと考えます。このような状況の中、図1に示
す通り、当委員会からの要請に応じて平成27年度は整形
外科を筆頭に多くの診療科がDPC入院期間Ⅱを意識し
たクリティカルパスの改訂、改良を行ってくれました。こ
の場を借りて、その努力に感謝申し上げます。
新規 0 0 1 0 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 6 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1
改訂あり 8 0 2 0 0 0 1 1 19 1 0 2 0 0 0 0 6 0 1 0 0 0 0 0 0 2 0 1 0 0 0 0 0 0 0
Kyushu Medical Center
ICHとは、
「日米EU医薬品規制調和国際会議」の略称です。
日・米・EUの新薬承認審査資料関連規制の調和を図ることに
より、
データの国際的な相互受け入れを実現し、
臨床試験や動
物実験などの不必要な繰り返しを防ぎ、
医薬品開発・承認申請
の効率化を図ることで、
よりよい医薬品をより早く患者さん
のもとへ届けることを目的としています。
ICHでは、
様々なガ
イドラインが作成されており、
ICH-GCPは、
Efficacy(有効性)
のガイドラインの1つで、
「医薬品の臨床試験の実施の基準」
を
示すものです。
また、
治験で使用される院内機器は、
全て院内もしくは外部
機関による精度管理が求められます。定期的に精度管理や点
検を行い、
基準を満たした機器である証拠
(文書)
が必要とな
ります。
治験薬や治験のための検体を保管する保管庫も、
校正
のとれた温度計で、
規定された範囲内の温度で適切に保管さ
れていることを確認し、
記録されなければなりません。
当院で
は臨床試験支援センターが中心となり、各部門の方々にご協
力をいただき、
機器の精度管理を行っております。
治験は、
「治験依頼者
(製薬会社等)
・患者の皆様・実施医療機
の連携があってこそ成立するものです。
良質な治験の実施
関」
は、
実施医療機関としての質の高さを示すことになります。
確
実な実績の積み重ねこそが、
治験依頼者から選ばれる施設の
実現につながります。
臨床試験支援センターでは、
今後もその
ような施設を目指し、
患者さんの安全確保を第一に、
治験責任
医師・分担医師や治験に係わる医療スタ
ッフの方々にご協力をいただきながら、
治験書類・治験データの作成補助や整理、
保管、院内機器の精度管理などの支援に
尽力していきます。
治験では多くの書類が発生します。特に国際共同治験の場
合には、
治験責任医師・分担医師等の英語の履歴書やFinancial
Disclosure
(財務状況の開示)
、
Site Delegation/Signature Log
(治験業務分担・署名記録)
およびGCP等の各種トレーニング
記録が治験開始前に必要となります。
その他にも、
Form FDA
1572等のFDA
(米国食品医薬品局)
に提出する書類などが必
要となることもあります。
臨床試験支援センターでは、
治験に
必要な書類作成が遅延することが無いようサポートさせて頂
いております。
治験実施中に得られた情報
(治験データ)
は、
ALCOA
(アル
コア)
という規則に基づいて記録・保存されなければなりませ
ん。
ALCOAとは、
Attributable
(帰属性)
、
Legible
(判読できる)
、
Contemporaneous( 同時である)、Original(原本である)、
Accurate
(正確である)
の頭文字をとったものです。
「いつ、
誰
が記録したのかが分かり、
正確な情報を誰でも読めるように
記録し、
転写・複写ではなく原本を残す」
という考え方です。
さ
らに、
これらの治験情報は迅速な電子症例報告書
(eCRF)
への
入力が求められます。
入力が遅延することは、
治験実施施設の
評価の低下に繋がります。
第70回国立病院総合医学会
THE 70TH ANNUAL MEETING OF JAPANESE SOCIETY
OF NATIONAL MEDICAL SERVICES
2016年
r
学会の
お知らせ
Kyush
u Med
i
Ce
cal
nt
e
会 長
副 会 長
会 場
事 務 局
案内URL
11月11日(金)∼12日(土)
村中 光(NHO九州医療センター院長)
岩永 知秋(NHO福岡病院 院長)
川畑 勉(NHO沖縄病院 院長)
沖縄コンベンションセンター、宜野湾市体育館、
ラグナガーデンホテル、
カルチャーリゾートフェストーネ
NHO九州医療センター
http: //www.congre.co.jp/nms70
第13回 日本肝がん分子標的治療研究会
院外表彰者の
お知らせ
平成28年1月16日
r
平成27年度
Kyush
ic
u Med
al
C
t
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2016年
8月26日(火)、27日(水)
2016年
会 長
宮原 寿明(九州医療センター 副院長)
代表世話人
会 場
アクロス福岡
次世代のリウマチ外科を目指して
−継承と発展−
2016年3月7日
(月)
∼
4月20日
(水)正午
九州医療センター リウマチ・膠原病センター
江崎 幸雄
TEL 092-852-0700
http://www.congre.co.jp/rjs45/
当番世話人
テ ー マ
演題募集期間
事 務 局
会 場
主 題
問い合わせ先
連 絡 先
5月14日(土)
原田 直彦(九州医療センター光学診療部)
中村 真一(東京女子医科大学消化器内視鏡科)
グランドプリンスホテル新高輪・国際館パミール
女性内視鏡医のキャリアサポートを目指した
教育研修体制の現況と今後の期待
東京女子医科大学消化器病センター
消化器内視鏡科 中村 真一
TEL 03-3353-8111
E-mail: [email protected]
第69回国立病院総合医学会
ベスト口演賞
優秀演題
表彰者名
日本消化器内視鏡学会附置研究会
第2回女性内視鏡医のキャリアサポートを目指した
教育研修体制確立に関する研究会
第45回リウマチの外科研究会
平成27年10月2日
和田 幸之(肝胆膵外科)
演 題 進行肝細胞癌に対してソラフェニブ治療により
長期生存が得られた症例の特徴
表彰者名
平成27年10月2日
麻理子(診療心理士室)
演 題 新規採用職員に対するストレスチェックを
活用したメンタルサポートの有用性
表彰者名
広田 美江(リハビリテーション部)
演 題 ペルー共和国におけるJICAシニア海外ボランティア
活動を経験して
第69回国立病院総合医学会
ベストポスター賞
平成27年10月1日
表彰者名
平成27年10月2日
桑城 貴弘(脳血管・神経内科)
演 題 心原性脳塞栓症におけるヘパリン投与のタイミングと
至適投与量に関する研究(OPT-HEPA)
表彰者名
平成27年10月2日
堤 めぐみ(看護部)
演 題 ネーザルハイフロー装着時の皮膚障害の
予防方法の検討
マスコミでは米国大統領選挙候補者指名の話題で盛り上
がっています。共和党では過激な発言を繰り返す実業家ド
ナルド・トランプ氏、
民主党では初の女性大統領を目指す前
表彰者名
池本 美智子(栄養管理部)
演 題 栄養士臨地実習の一環としての周産期センターデザート
バイキングの効果について
国務長官ヒラリー・クリントン氏が優勢です。
トランプ氏は
果たして候補者指名を勝ち取れるのでしょうか?もしも、
彼が大統領になってしまったら、米国、世界どうなるので
しょうか?リーダーはどうあるべきなのでしょうか?
(原田)
発 行 責 任 者: 臨床研究センター長 岡田 靖
副センター長
医療管理企画運営部長
がん臨床研究部長
各研究室室長・副室長: 組織保存移植
生化学免疫病理
研究企画開発
化学療法
放射線治療開発
システム疾患生命科学推進
医療情報管理
臨床試験支援センター
独立行政法人
国立病院機構
九州医療センター
詠田眞治、 楠 本 哲 也
才津秀樹
楠本哲也
岩﨑浩己、 江 崎 幸 雄
河内茂人、 冨 永 光 裕
中牟田誠、 武 田 篤 信
蓮尾泰之、 内 野 慶 太
松村泰成、 坂 本 直 孝
小河 淳
原田直彦、 占 部 和 敬
岡田 靖、 佐 藤 栄 梨
臨床研究企画運営部長
臨床研究推進部長
トランスレーショナル研究部長
病態生理
動態画像
情報解析
臨床腫瘍病理
先端医療技術応用
医療システムイノベーション
教育研修
〒810-8563 福岡市中央区地行浜1丁目8番1号
詠田眞治
矢坂正弘
富田幸裕
中 村 俊 博 、 一 木 昌 郎 、 村 里嘉 信
黒岩俊郎、桑城貴弘
吉住秀之、大城英作
桃崎征也、中川志乃
小野原俊博、高見裕子
甲 斐 哲 也 、 津 本 智 幸 、 中 溝 玲
末松栄一、山田展代
TEL:092-852-0700(代)
FAX:092-846-8485