トキシコゲノミクスからメタボロミクスへ

トキシコゲノミクスからメタボロミクスへ
スライド1をご覧下さい。
本日はトキシコゲノミクスについて、創薬
ファイザー株式会社中央研究所
研究の安全性評価の観点から紹介したいと
安全性研究統括部長
ほり
堀
い
井
いく
郁
お
夫
思います。
最初に、トキシコロジカル・レスポンス・
バイオマーカー(毒性学的に意味のあるバイ
オマーカー)を中心に、トキシコパノミクスとしてどういう位置づけにあるのだろうかとい
うお話をしたいと思います。
スライド2をご覧下さい。
毒作用発現に関して、ターゲット・ファーマコロジーである薬効の延長上にある毒作用に
ついては、毒性をやっている科学者にとっては、非常に分かりやすくて対応しやすい。とこ
ろが創薬の標的としてターゲッティングされていない薬効の延長上にない毒作用をどのよう
に捉えるかが難しく、創薬の初期段階ではこの点が最大重要事項になります。なぜかという
と薬効試験というのは、薬理作用の対象となる面のみをターゲッティングしていくために、対
応した薬理学的作用部位のみを狙ったものしか実験系に組みこむようになっているため、そ
の対象以外に反応する部位とか、それと平行して制御される系からの毒作用発現を考慮する
必要があります。すなわち、毒作用というのは、薬効の延長上にない毒作用とそうでない毒
作用の両面から捉える必要があり、生体のあらゆる部位が毒作用の対象となります。
通常、創薬から新薬承認申請までの間に表現されている毒作用は、様々な形で出現してい
ます。このような背景から、毒作用検知のための有意義なバイオマーカーの設定とそのエン
ドポイントの決定は最重要事項であり、その情報を基に有効なリスクアセスメント、リスク
マネジメントをしながら、世の中に薬を創出していく事が重要です。一般的には、セラピュ
スライド1
医薬品安全性研究における
トキシコパノミクスの現状と将来展望
ー トキシコゲノミクスからメタボロミクスへ ー
ファイザー(株)・中央研究所
安全性研究統括部
堀井 郁夫
1
医薬基盤研連フォーラム、千里LC、Dec.19.2005
-152-
スライド2
毒作用発現・機序と安全性評価
化合物
Toxicity
標的薬効
Toxicity generation
PK/PD & TK/TD
薬効の延長上にある
毒作用
毒性学的エンドポイント
Biomarker
薬効の延長上にない毒作用
標的毒性(機能的・器質的変化)
毒作用発現機序
Central nervous
Peripheral nervous
Cardiovascular
Respiratory
Digestive
Hepatic
Renal
Endocrinology
Sensory
Skeletal
Muscular
Bone marrow
・・・・・・・・・・・
Safety assessment
Safety evaluation
Safety Sciences
-
Efficacy
分子毒性学
細胞毒性学
病理毒性(臨床検査・病理組織学的検査)
機能毒性学(薬理学的検索)
症状(行動毒性)
・・・・・・・
Toxicity
Risk assessment
Risk management
• Therapeutic Index
• Toxicological & clinical relevance
• De-risking
ーティックインデックスなんて非常に都合のいい言葉があるのですが、これは、トキシシ
ティーとエフィカシーのバランスを見ながらやっていくという事であります。デリスキ
ングという言葉というのは、この範疇にはなくて、デリスキングというのは、薬効のター
ゲットとそれ以外のターゲットになる部位に毒作用が出ないものを求めていくことを示し
ています。
スライド3をご覧下さい。
そうしてみますと、我々のようにセーフティーサイエンスをやる人間としては、やる学問
そのものも非常にダイバースな学問的な観点、すなわち広範囲な学問領域から事象を見てい
かなければいけない状況にあります。治療の場では、社会があって、個人があって、それに
伴い病気があって、薬が必要とされ、それを科学的に検証していくには、マクロから見てミ
クロを知る事が必然となり、ミクロを知った後、やはりマクロの状態を再検証する事になる。
臨床の場では、常にこういうところも行き来しているわけで、その中で、いいバイオマーカ
ーを設定しながら、安全性を評価していく必要があろうかと思います。
スライド4をご覧下さい。
実際、その毒作用が発現している場で考えてみますと、1個の細胞や組織から見ますと、間
違いなく薬そのものは異物です。生体にとって基本的な反応としては、化合物(薬)として
の異物が入ってきて、それを何とか外に排出か無害化するのが生体の反応です。それ以外に
-153-
スライド3
医薬品におけるSafety Assessmentの背景
社会
個人
患者
病気
薬
実験動物
薬効
副作用
• Global
• Lacal
Gene
Cell
Organ / Tissue
Whole body
Safety Assessment
-
医療
分子毒性学
細胞毒性学
毒性病理学(臨床検査・組織病理学的検査)
機能毒性学(薬理学的検索)
症状(行動毒性)
・・・・・・・
ミクロ
マクロ
Biomarker
マクロの変化を知り、ミクロの現象を求め、ミクロの変化を考究し、
マクロの現象を知る。そして、総合的に安全性評価をする。
スライド4
毒作用発現:生体から組織・細胞への移行状態により誘発される
受容体レベル・遺伝子レベルでの生体異物に対する反応
遺伝子制御
標的分子産生
(酵素・制御物質)
生体異物
(化合物)
毒作用結果
回復
機能障害
細胞障害
吸収・分布・代謝・排泄
受容体レベル
での反応性
毒作用(機能・構造の崩壊)
TK(トキシコキネティクス)
吸収・分布・代謝・排泄
標的部位での濃度・停滞時間
TD(トキシコダイナミクス)
標的分子との初期反応
特異的・非特異的作用
-154-
効果器への反応
生物学的反応
毒作用反応部位
での作用機序
生体防御・耐性・修復の機序
細胞崩壊の活性化機序
遺伝子直接的に働きかけ遺伝子のレベルで直接的な影響が起きると、遺伝子的に変異原性、
癌原性、催奇性とかの重篤な毒作用として位置付けられています。その他、受容体レベルの
反応は薬効であったり、毒作用の一部であったりします。ただ、細胞・組織の機能と構造の
破壊があったり、それを元に返そうとする回復する機能的反応が毒作用として捉えられてく
ることもあります。
では、どのようにしてそれらの変化要因を検知し、評価してきていたかというと、その一
要因としてトキシコキネティクスという考え方が必要となってきました。毒作用の発現に関
してその様式は、当該化合物の標的部位での濃度とその停滞時間で決まると考えられていま
す。異物としての化合物のどれだけの量がどれだけの時間停滞しているかによってほとんど
の毒作用反応が具体的に把握できます。そして、先ずはそこから起きる標的分子との初期反
応をトキシコダイナミクスとして捉えその反応を見る事になります。そして、レセプターレ
ベルで反応の部位での作用機序、その後に誘発される防禦反応、修復反応など一連の毒作用
反応の事象として表現されてきます。これらの反応をバイオマーカーでどうやって捉えてい
けばいいかが毒作用評価の基本になってきます。
病理の考え方からしてみますと、生体が化合物を異物として認識し、その代償性の変化と
して血管系及び関連組織・器官の中でいろいろな反応が起きてきます。時には炎症性反応、
抗体産生等、異物の排除・無毒化の方向で定常状態に戻そうとする反応が起きてきます。や
はり、この中にも当該関連バイオマーカーが存在しています。
スライド5をご覧下さい。
スライド5
毒作用機序を解明する事はどういう意味があるのか?
毒作用機序
個体での反応性
Science
Technology
毒作用の同定
創薬初期に
安全性評価
暴露状態・量
•毒作用予測
•医薬品候補化合物選定
Lead
Screening
Toxicology
for
Screening
Candidate
Selection
リスク管理
リスク評価
•安全性評価
•対処・対応法
薬効
副作用
Innovative
medicine
Entry -into Human IND
Toxicology
for
Candidate selection
Toxicology
for
EIM / IND
-155-
Phase I - III
NDA
Toxicology
for
NDA
スライド6
従来の医薬品安全性評価上の問題点
•
•
•
•
•
•
人への外挿性を充分考慮した評価法か?
申請の為だけの安全性試験ではないのか?
ガイドライン追従型の試験実施ではないのか?
創薬時からヒトへの有害作用を考慮しているか?
臨床開発試験とのキャッチボールはできているか?
本当のリスクアセスメントを目指しているか?
このハードルを越えるためのTriggerが
必要となってきている
適切なBiomarkerの設定・適用は、毒作用の判断を明確化させる
New Science / New Technology の導入・実施・認知
毒作用機序を解明するという事にどういう意義があるかを考えてみますと、創薬の初期に
どのような毒性が起きるかという観点から、毒作用発現のマクロ状態とミクロ状態を把握
し、暴露量との関係を知る必要があって、その情報を基として発現機序を考慮すべきである。
ある程度の発現機序を明確にし、そのリスクを評価し安全性に対する対処法を考えたリスク
管理の基で世の中に薬として産出ていくことになります。薬効と副作用との関係で確固とし
た安全性評価がなされきちんとしたリスク管理が示されているとイノベーティブな薬にな
り得て、薬としてもブロックバスターにつながってくると思います。
スライド6をご覧下さい。
従来、我々が医薬品開発において安全性評価をどうやってきたかというと、承認申請だけ
のことを考えた安全性評価が中心になり、ガイドライン追従型人への外挿性を充分考えてい
なかったのではないかといわれております。すなわち、創薬の初期段階から人への外挿性・
有害性を考慮する必要性が求められています。いわゆる、ターゲットファーマコロジーに主
眼がおかれ、人への有害性の考慮が充分でないことが多々ありました。それに加えて臨床試
験と平行した形で、臨床での副作用との関連で情報・安全性評価についてキャッチボールが
できているかどうかということも重要です。
スライド7をご覧下さい。
充分な安全性評価のためには、適切で意義のあるバイオマーカーの設定が必要であって、
新しいサイエンスとテクノロジーの導入と実施が強く望まれています。1970年代ぐらいから
毒性試験に関した試験法の開発、ガイドラインの設定とかGLP制定とかに焦点が当たり、
90年代には、ICHを基盤としたグローバル化が起こり、そして日本の場合、IND時の安
全性試験に改めて焦点が当たるようになってきました。すなわち、これまでの傾向としてN
-156-
スライド7
医薬品開発の面からToxicologyはどう変ってきたのか?
これからどう変わろうとしているのか?
Toxicologically Responsible Biomarker 尽きる!
1970年代
試験法の確立 Risk assessment
1980年代
ガイドライン/GLP NDAのための Toxicology
1990年代
ICH / Global化 INDのためのToxicology
2000年代
HTP/Molecular-Tox 創薬のためのToxicology
(人での臨床検査試験の転用)
(人での臨床検査試験の転用と実験動物への応用)
(人と実験動物で適用し得る方法の導入開始)
(創薬早期での副作用予測Biomarker探索)
今、2005年
New Science / New Technologyの導入
これらの変遷を経て、Toxicological Biomarker 探索・応用は
今後どのように展開するのか? Tailor-Made医療への挑戦!
スライド8
何故、Tox-Biomarker?
Toxicity Generation(毒作用発現の原点は?)
Toxicological Endpoint(何を指標とするか?)
毒作用が発現しようとしているところを診るのか?
毒作用が発現しているところを診るのか?
毒作用が発現してしまったところを診るのか?
Disciplinary Diversity(学問領域の多様性)を利用
Morphology主体のSafety-Assessmentには限界がある
安全性研究科学のDisciplinary Diversityと
Toxicologically Responsible Biomarkerの接点に
安全性評価の原点がある
DAのための毒性試験ばかりやっていたのに対して、最初に人に投薬する際の安全性評価を
するという事で1990年代に入ってグローバルと同じ立場で捉えるようになってきたわけで
す。そして2000年代に入り、ハイスループット毒性試験の導入とか分子毒性学的アプローチ
が始まってきました。
これまで我々の捉えてきたバイオマーカーは、人でやっていた臨床検査のものを応用して使
っていたにすぎなくて、2000年代では、様々な試みがなされ、これからバイオマーカーの探
索は究極的には、テイラーメードの方向へ変わっていくようにならなければいけない。
スライド8をご覧下さい。
開発の各段階に合わせた毒性試験という観点からみると、(1)創薬初期における安全性
-157-
評価試験(2)ヒトに最初に投薬する時に必要とされる安全性評価試験(3)臨床試験と平
行して実施される安全性評価試験(4)承認申請時および市販後戦勝のための安全性評価試
験と、夫々に関連バイオマーカーが考慮されます。ただ、これらバイオマーカーを検証する
中での夫々各段階における毒性試験で設定されるものに差異はあるものの一貫性・共通性の
ある毒性学的バイオマーカーが望まれるのは言うまでもありません。その中で、我々は、毒
作用の発現機序を解明していくわけですが、毒作用が発現しようとしている事象を見るのか、
発現しているところを見るのか、発現してしまったところを見るのかによりアプローチのや
り方が異なってきます。これは、従来のトキシコロジーというのは、病理主体であり火事場
の焼け跡を見るような発現してしまったところだけを見て評価をしてしまっている事実は
否めません。病理はとても重要な要素ではありますがすべてを決める訳ではありません。毒
作用発現の発端から終結までに至る各段階での検証には広範囲な科学領域からの考え方が
必要とされます。
スライド9をご覧下さい。
現在、トキシコパノミクスはトキシコゲノミクス、トキシコプロテオミクス、トキシコメ
タボロミクスの総称とし領域の科学的手段といえます。ゲノミクスを中心として考えた場
合、例えば創薬早期にある安全性の評価と、臨床に入る前の安全性評価と、臨床に入ってい
るときに一緒にやっていく評価と申請のために用意するもの、夫々そのストラテジーと解
釈・対応のやり方が違います。ところがどの段階においても、そのときに判断する毒性学的
なエンドポイントが必要で、バイオマーカーが必要なわけです。当然それは、最終的には市
販後の安全性評価につながらなければいけない。ですから、創薬早期に何とか明確にし、そ
スライド9
Screening
Lead
Candidate
Selection
EntryEntry-into
Human
IND Phase I - III
NDA
Biomarkers
New Chemical
Toxicology
for
Candidate selection
• HTP in vivo
• Pre-CAN tox.
• HTP in vitro
• Investigative tox.
:
:
:
:
創薬時の安全性評価
Toxicology
for
EIM / IND
• Toxicology for
• Single admin. tox.
• 2 / 4W tox.
• Mutagenicity
• Antigenicity
臨床適用前での
• Safety pharmacology
:
安全性評価
-潜在している毒作用の検知
-安全性面でのRankingと
毒性学的Parameterの提示
-Projectの方向性提示
Toxicology
for
NDA
•人への外挿性
•Risk-Assessment
•Risk-Management
-158-
市販後 安全性評価
承認申請
Toxicology
for
Screening
registration purpose
:
:
臨床試験時の
安全性評価
•承認申請に向かって
人での副作用を毒作用
発現の立場から検証
スライド10
“病気”とは、遺伝学的因子と環境因子の相互作用 の結果の現われである
Disease
Genes
Environment
Organs
遺伝子学的要素の関連
Diet
Life-style
Medicines
毒性学的変化のほとんどは、
複数の遺伝子の異なる遺伝子発現
の結果によるものである.
副作用
„直接的に遺伝子障害を起こす毒作用:Genetic
Toxicological Biomarker
利用とTox.Endpoint設定
安全性の評価・対応
Toxicological Biomarker
toxicology
Critical !!! (Mutagenicity, Carcinogenicity,Teratogenicity etc.)
„間接的な遺伝子学的変化による毒作用:General
Toxicology
Manageable ! 暴露:量/部位/時間、薬効との関連→Tox/DMPK/Efficacy
の後の臨床研究開発・市販後のマーカーにならないかということを考え、今いろいろな形で
挑戦しているわけです。
スライド10をご覧下さい。
毒性学的変化のほとんどは、複数の遺伝子の異なる遺伝子発現の結果によるものである。
これはもう絶対的な命題であり、これを基に遺伝子関連のバイオマーカーを使う必要がある
という考え方に立脚する事にもなります。
ただ、誘発された障害でクリティカルなもの、例えば、先程述べた直接的に作用し重篤な
毒作用を誘発するような場合は、これはもう救いようがありません。これが出た場合は、マ
ネージしようと思わないほうが重要だと思います。遺伝子レベルで全くおかしな状況になっ
ております。ただ、間接的に起きるような変化というのは、マネジャーブルですから、暴露
の量とか部位とか時間とか、薬効との関係でマネージすることが可能です。ほとんどの薬は、
こういう恰好で世の中に出ていると考えて差し支えないと思います。
スライド11をご覧下さい。
ここに示したように遺伝子に対する薬物のいろいろな反応が起きる場所があるわけですが、
実際は、その薬効が直接的、間接的に、また制御的に遺伝子を解して影響を及ぼして、その関連
線上で毒性反応を及ぼすこともあるし、起きた反応が正常範囲内であることもあって、薬効とし
て表現されることもあるわけです。これを見る場合に、バイオマーカーってどこにあるのだろう
と考えるといろいろなところにある事がわかります。
それを私たちはこれをどのように使い薬効
と毒作用をみなければいけないかが重要で、
情報を上手に使っていかないと多くの情報があり過
-159-
スライド11
Biomarker
修復
生体反応
毒性
付加・切断
生体反応
毒性
生体反応
生体反応
毒性
正常(防御)
薬物
起きた反応が
正常範囲内で
ある事もあり、
薬効として表現
される事もあり、
過多の薬効が
毒作用として認識
される事もある
生体反応
正常
薬物の直接的・
間接的・制御的
影響が標的遺伝
子を介して生体
反応に影響を及
ぼし毒性学的反
応を誘起する
生体反応
毒性
生体反応
スライド12
DNA
: ゲノム(Genome)
RNA
: トランスクリプトーム
(Transcriptome)
Protein
: プロテオーム
(Proteome)
Biochemicals : メタボロ-ム
(Metabolites) (Metabolome)
遺伝子多型(SNPなど)
遺伝子発現プロファイル
(mRNA発現プロファイル)
タンパク発現プロファイル
(分子機能発現)
代謝物パターンプロファイル
(尿中など)
New Biomarkerの探索
ゲノム・トランスクリプトーム・プロテオーム・メタボロ-ム
(Toxicogenomics・Toxicoproteomics・Metabolomics)
ぎることから、かえって煩雑になり、先の創薬の戦略が明確に立てられなくなります。
スライド12をご覧下さい。
理想として狙うところは、スニップスであり、これは個人差のあるところを見なければい
けないわけです。ただ、現実的には、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボローム
のところに新しい毒性学的意義のあるバイオマーカーがあるだろうという形で考えに至っ
-160-
たわけです。はじめ薬物により遺伝子に刺激があって、シグナルが出たとたんにすぐメッセ
ンジャーRNAレベルで反応が起きるから、非常に感受性は高く、反応時間が短いです。と
ころが表現された蛋白で、その酵素的作用で起こす毒作用というのはちょっと時間的に余裕
があります。プロテオミクスはこういうところを狙うことになります。
もう少し毒性反応が進むと障害の発生とともに生体代謝物が産生されます。その産物を解
析するメタボロミクスを基としたバイオマーカーの設定も一つの方法です。
スライド13、14をご覧下さい。
スライド13
遺伝子発現とタンパク質発現
- 発現のタイミングの違いによる毒作用評価 -
毒性学的刺激
Biomarker
mRNA
DNA
Protein
mRNA Level
Signal
毒作用発現
Toxicogenomics
Protein Level
Toxicoproteomics
スライド14
毒作用発現から回復までの生体内代謝様式の軌道
細胞損傷
20
損傷部位での
代謝物の変化
z
10
Biomarker
傷害発生
0
10
y
傷害修復
10
x
20
0
-161-
スライド15
Toxicogenomics
Isolate
DNA/RNA
Precise location of
probes on plate
Label with
reporter
Data Acquisition & Analysis
Hybridize extract
to probes
Scan & Digitize
スライド16
Functional grouping of genes on toxicology chip
Apoptosis
Stress response
Oxidative stress
Transporters
Drug
metabolism
Cell proliferation
DNA damage
Inflammation
まず、トランスクリブトームですが、これは、ご存じのようにトキシコゲノミクスの考え
方とその方法の概要です。
スライド15をご覧下さい。
ジーンチップとしてアフィーメトリクスがいちばん最初に出したもので、ここにその遺伝
子の機能グループを示しています。
スライド16、17をご覧下さい。
-162-
スライド17
Genes on the toxicology gene chip
Functional group
Stress response
Cell proliferation
Apoptosis
DNA damage
Inflammation
Oxidative stress
Drug metabolism
Transporter
Type of genes
Oncogenes
Acute phase response
Signal transduction
Transcription factors
Cell cycle regulation
Growth factors and receptor
Tumor suppressors
Caspases
Apoptic regulators
DNA repair
DNA morphology
Cytokines
Vasoregulators, etc.
Glutathione metabolism
Oxidase
Protein thioles
Cytochrome P450s
Glutathione transferase
UGT
Organic
Peptide
Ion pumps
スライド18
Acetaminophen: Stress inducible genes
Acetaminophen: regulated genes
AMAP (300)
AMAP (300) APAP (100) APAP (300)
APAP (100)
APAP (300)
40
10
30
8
6
-2
10
0
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1
-10
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4
-20
-10
-163-
スライド19
Scheme of Proteomic Study
Excise
Protein
Spot
Sample
¾ Cell, Tissue, Biofluid, …
¾ Homogenate, Protein
Precipitation
In-gel Trypsin
Digestion
Recover Peptide
LC-ESI-MS/MS
MALDI-MS
Protein Search from
database
Peptide Mass
Fingerprint
Peptide
Sequence Tag
ここにファンクショナルグループとその遺伝子のタイプとして毒性に関与するものにつ
いて列挙しました。
スライド18をご覧下さい。
これは、遺伝子発現に関するアセトアミノフェンの例ですが、アップレギュレーションと
ダウンレギュレーションするものが示されています。
スライド19をご覧下さい。
次に、プロテオームに関して、トキシコプロテオミクスの考え方とその概要について示し
ております。
スライド20をご覧下さい。
これはアセトアミノフェン投与の例で、2次元電気泳動の像を対照群と投与群とを比較し
たものです。投薬した動物の肝臓細胞を試料とし対照群を比較してアップレギュレーション、
ダウンレギュレーションについて調べていきます。
スライド21をご覧下さい。
-164-
スライド20
Toxicoproteomics approach - 2D gel images
- Rat hepatocyte treated with acetaminophen Control
Treated
31 1
2
1
2
28
29
34
27
21
2223
26
25
5
78
30
3
31
6
18
17
19
20
22
16
30 9
10
11
24
13
12
38 264
27 37 28 29
15 14 13
24
23 21
5
8
109
11
14
32
33
34
35
36
20
19
6
7
15
1817
12
25
16
Unique
Common
Up-regulated
スライド21
Differential Protein Expression (Case 1)
• Down-regulated Spot
73 Proteins
(Including 27 Unique
Proteins on
150ug/mL)
APAP 150ug/mL (Non-Toxic dose)
APAP 1500ug/mL (Toxic Dose)
• Up-regulated Spot
5 Proteins
(Including 2 Unique
Proteins on
1500ug/mL)
Down Regulated
Unique on 150ug/mL
Up Regulated
Unique on 1500ug/mL
-165-
スライド22
Possible mechanism of action APAP
APAP
DNA-f ragment ation
Cell cycle arrest
DNA-repair
• RAD50
• Histones
• DNAJ-like
• Gadd45
• Cyclins
Inhibition of Apoptosis
• Mort1
Ca 2+
Oxidative St ress
NAPQI
En don ucleas e
Arylated GSH
Proteins
Trans cription
Stress inducible ge nes
• cJun
• cFos
• Heme oxygen ase
• ICAM
• GRP7 8
• Heat shock Proteins
Messengers
• LRG21 (?)
• Zif/268 (?)
Cell Death
Activation
ROS
Cell
Damage
Cytokines, etc
スライド23
Compounds causing direct liver damage through
reactive metabolites: APAP, CCl4
APAP
(mouse)
Protein arylation
CYPs
NAPQI
CYPs
CCl3
DNA-damage
Lipid Peroxidation
CCl4
(rat)
ROS: stress
総合的には、このような対照群と投与群との絵合わせ的な面でアップレギュレーション、
ダウンレギュレーションするもの、ユニークに発現するものを調べながらマーカーを設定し
ていくわけです。
スライド22をご覧下さい。
毒作用発現に関して、いわゆる、アセトアミノフェンとか四塩化炭素のような毒作用を示す
ものは、CYPsを介して代謝されて初めてプロティン アリレーデーションとかDNAダメ
ジとかリピッドパーオキシデーションとか酸化的ストレスとか、そういうものを誘起します。
-166-
スライド23をご覧下さい。
これはアセトアミノフェンのトキシコゲノミクスのデータを基として考究して、1999年の
SOTで発表された図です。ただし、これに関するほとんどの実証は、別にトキシコゲノミ
クスをやらなくても、先人が十何年かの間にやられた多くの報告の総合的なものと一致して
おります。
スライド24をご覧下さい。
四塩化炭素の場合は、蛋白の動きがかなり絡んでいますので、トキシコプロテオミクスの
データが加味されて、こういう図が描けたわけですが、生体での代謝的要素が多く絡んでい
ます。
科学的見地からみますと、トキシコゲノミクスとトキシコプロテオミクスとかはtoolなの
です。いわゆる、道具であってDisciplinary-Scienceではない。ときどき一つの科学領域だ
と思って間違ってしまうのです。
スライド25、26、27をご覧下さい。
メタボロームに関してですが、トキシコメタボロミクスについてロンドンインペリアルカ
レッジのニコル先生が提唱ときには、少し衝撃でした。なぜかというと600メガヘルツのN
スライド24
Cl
Cl
C
Cl
Cl
Cl
+
e-
Cl
Cl
+
C
Cl
+
O2
O
DNA Repair
GADD45
IL6
IL6-receptors
CDK
cyclin G(?)
(p53)
Growth suppressor
Energy deficit
ATPase f subunit
O
Cl
Cl
Cytokine response
(Inflammation)
NECROSIS
Cl
nuclease
Ubiquinone oxidoreductase
Damaged DNA
RUVB helicase
Proteasome
div. Proteasome components
Grp’s
Cl
ENERGY⇓
ATP⇓
Damaged mitochondria
Cl
O
O
Damaged proteins
Cl
S-adenosylmethionine decarboxylase
GSH
Thioredoxin
Gluthatione reductase
Antioxidant defense
GSSG
ROS
Hsp’s
Damaged lipids
Aldehyde reductase
Glutathione peroxidase
ROOH
Protein disulfide isomerase
Epoxide hydrolase
GST’s
ROH
Lipid peroxidation
-167-
Ubiquitinilation
ubiquitin thiolesterase
ubiquitin carrier protein
Protein degradation
スライド25
n
Ef
fic
ac
y
xic
ity
F il
tra
t io
To
Primary Molecules
t
rp
so
Re
Secondary Molecules
ion
lut
Di
Co
nc
en
tra
tio
ion
allantoin
urea
hippurate
TMAO
hippurate
creatinine
taurine
creatinine
citrate
2-oxoglutarate
water
succinate
fumarate
ppm
7
6
5
4
3
2
1
スライド26
liver (steatosis)
heart
毒作用の部位・種類
renal medulla
パターン認識
‐ 変化の組み合わせ
‐ 強さ
renal cortex
パターン解析
control
データベース
-168-
n
スライド27
Procedure of Metabonomics Study
NMR
NMR スペクトル
スペクトル
尿 etc.
薬物投与
薬物投与
NMR
NMR 測定
測定
(600MHz)
(600MHz)
0hr 24hr
…
ppm
7
6
5
4
3
2
1
PC3
6hr
0hr
スペクトルデータを棒グラフ化
スペクトルデータを棒グラフ化
24hr
48hr
PC1
多変量統計解析
多変量統計解析
(主成分分析)
(主成分分析)
PC2
‹
‹ 毒性予測,標的臓器の同定
毒性予測,標的臓器の同定
‹
‹ Safety
SafetyBiomarker
Biomarkerの同定
の同定
‹
‹ 診断への応用
診断への応用
スライド28
Metabolomics における Marker 発現の時系列様式
Late response
Untreated
Early response
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
12 hr
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
24 hr
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
96 hr
3
2
1
0
-1
Treated
4080 4100 4120 4140 4080 4100 4120 41404080 4100 4120 4140
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
4
3
2
1
0
-1
0.6
12 hr
0.6
24 hr
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0
0.6
0
0.6
0
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0
0.6
0
0.6
0
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0
0
0
Sustained early onset
96 hr
3
2
1
0
3
2
1
0
3
2
1
0
0.6
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0
0.6
0
0.6
0
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0
0.6
0
0.6
0
0.6
0.4
0.4
0.4
0.2
0.2
0.2
0
0
0
50000 55000 60000
4080 4100 4120 4140 4080 4100 4120 41404080 4100 4120 4140 50000 5500060000 500005500060000
-169-
3
2
1
0
3
2
1
0
3
2
1
0
6400 6500 6600
50000 55000 60000 50000 55000 60000 50000 5500060000
0.6
12 hr
3
2
1
0
3
2
1
0
3
2
1
0
24 hr
3
2
1
0
3
2
1
0
3
2
1
0
6400 6500 6600
6400 6500 6600
6400 6500 6600
3
2
1
0
3
2
1
0
3
2
1
0
96 hr
3
2
1
0
3
2
1
0
3
2
1
0
6400 6500 6600
6400 6500 6600
MRが世の中に出たからこれが分かったので、それまでの解析力の低いものでは、例えば、
投与しようがしまいが、どの尿を見ても尿中のNMRのパターンは、変わらなかったわけで
す。ところが、肝臓で影響を起こす薬を投薬して集めた尿を600メガヘルツのNMR見ると
コントロールと違う。心臓に影響を及ぼす薬を投与した場合、コントロールと違う。腎臓毒
性を示す薬物の場合もしかりです。こういうところを見ると、やはり、毒作用の部位とか種
類に関してメタボロミクス変化をパターン認識をして、組み合わせてデータベースをつくっ
て、これを毒性用の予測に使ってやろうということが始まったわけです。
これは、尿でやってもよろしいですし、血液でも各臓器でもやってもよろしいといわれて
おります。
スライド28をご覧下さい。
例えば、実際にマーカーとして出る出方ですが、このようにコントロールと比べて違った
効果波形が出てくるわけです。これはどの成分に収束して多変量解析したら来るとかを見る
わけですが、中には、アーリー・レスポンスで出てきたりとか、レイト・レスポンスで出て
くる場合もあります。それとサステインド・アーリー・オンセットというのもあります。で
すから、こういう点から対象試料の採取に関しては、時間帯をうまく取って分析しないと難
しい面がかなりでてきます。
スライド29、30をご覧下さい。
スライド29
205
210
0.02
201
206
207
Control/Pretest
Range
0.03
Weak Shift
Strong Shift
Vasculitis-induce compound
107
106
203 106
208 205
210
210
107
208
207
206
5
105
103
107
203
204
4
106
202
4
208
1
-0.01
101
1
202
205
210 105
110
209
5 5
110
104
110
201
-0.02
-0.08
-0.06
-0.04
203 110
4 4 106 103
109
-0.02
PC1
-170-
109
101
0
1
4
3
104 5 104
102
3
6 2
201
2
105
104
1
36
101
101
102 6
204
209
3
3
102 6 101 1
104 105
2
2 201
0.02
48 Hours
72 Hours
108
103
Pretest
96 Hours
102
206
0
108
108
6
202
203
40 mg/kg BID
24 Hours
105
107
201
209
204
5
107
108
205
Control
20 mg/kg BID
103
1
209
0.01
202
202
204
210
PC2
207 205
106
0.04
スライド30
Metabonomics data on urine collected from rats treated with
vasculitis-induce compound
Factor3
0.02
53
Control
51
Pretest/Controls
0.015
Treated
21
51
21
14
21 31
0.01
54
52
51
52
Pretest
0-24 hr
24-48 hr
48-72 hr
72-96 hr
2
52
22
2
22
41 11
22
22
4 14 44
22
21
13
24
3
42
41
51
11
1
1
23
13
2
31
43 34
12
24
52
23
54
12
24
24
23
32
24
53
2 33
53
23
44
51
42
0.005
0
-0.005
53
54
43
-0.01
23
Treated
32
-0.015
54
34
-0.02
33
-0.02
0
0.02
0.04
0.06
Factor1
スライド31
生体における遺伝子発現・蛋白合成・メタボノミクス
化合物
Phase II Metabolism
m metabolites
t1
n metabolites
肝臓
t3
Phase I Metabolism
t2
遺伝子発現
t1∫g1, t2∫g1, t3∫g1, t1∫g2, t2∫g2, t3∫g2, …...t1∫gi, t2∫gi, t3∫gFn,m
up or down
T1, T2, T3,etc
血液
蛋白合成
Ti∫(t1∫p1,t2∫p1,t3∫p1….tipi )
tx
その他臓器
毒性学的エンドポイント
GENERAL METABOLISM
ToxicologicalBiomarker
Gene regulations etc.
細胞・組織・体液中での生化学的変化
尿
Metabonomics
-171-
スライド32
生体(毒作用発現時)における
遺伝子発現・蛋白合成・生体内代謝
遺伝子発現
(Toxicogenomics)
蛋白合成
(Toxicoproteomics)
Tox.Biomarker
生物学的(毒性学的)エン
ドポイント
生化学的変化(細胞、組織、体液中)
(Metabonomics)
従来の生物学的(毒性学的)パラメーター:症状、臨床検査、
病理検査 等…
スライド33
創薬初期におけるBiomarker開発の有用性
“Plan, Do, Learn”
毒性情報:
Toxicological study?
探索毒性試験,
前臨床毒性試験,
臨床試験 etc.
Test items?
Mechanism研究
Biomarker絞込み
Endpoints?
網羅的検出
Plan
Toxicopanomics
Im
ple
m
Go/no-Go decision
or Prioritisation
en
De
v
ass elopm
ay
sys ent o
tem f
s
Gap
analysis
tat
ion
Tool-1, Tool-2,
Tool-3 - - -
これはバスキュライティス誘発の例です。多変量解析すると、バスキュライティスを起こ
す薬というのは、このように誘発するもの、誘発しないもの、さらにはそれと炎症に絡んで
いるものとは、区別してちゃんと分けるようなこともできることが分かっております。
スライド31、32、33をご覧下さい。
我々が新しい毒性学的に有意義なエンドポイントを考えていく上で、ゲノミクス、プロテ
オミクス、メタボロミクスの考え方は重要なヒントを与えることになります。そして、それ
をバイオマーカーとして新しく加えて、従来の毒性学的なパラメーターと併せて、マクロか
-172-
らミクロ、ミクロからマクロを繰り返しながら症状とか検査とか、病理の検査などのデータ
を会わせて全部を総合的にみる必要があります。
そして、いわゆる、サイクル的にPlan-Do-Learnでやっていきながら、データベースを整
えていくというのが現在のアプローチかと思われます。
(石川先生)
どうも有難うございました。トキシコゲノミクス、ファーマコゲノミクスに関しても、総
括的に話して頂きまして有難うございました。
会場から、ご質問はございませんでしょうか。
トキシコゲノミクスの成果を使って薬の仕立て直しをすることを先生がおっしゃってい
ましたけれども、サリドマイド薬は、その仕立て直しにあたるのかもしれませんね。きちん
とした安全性評価、バイオマーカーのバリデーションがきちんとしてくれば、薬の仕立て直
しがより現実的なものになるでしょう。
それから、トキシコゲノミクスを進める上で非常に重要なポイントは、親化合物なのか、
それとも代謝物が毒性現象を起こしているのか差別化することが非常に重要になってくる
と思うのですが、いかがでしょうか。
(堀井先生)
メタボライツというのは、薬そのものです。それは、両者同じに動くわけです。今日は出
さなかったのですが、例えば、今のMRIなんかでイメージングで見るときに、あれは一緒
にものも見えますので、そのときに同じような、モルフォロジカルにもターゲットのところ
が、今ですと5から12キロぐらいまで寄って写して見ることができます。そういうものが一
緒に加わって、差別化はちゃんとしなければいけない。でも評価は、一緒に合わせてやるべ
きだと思っています。それぞれのタイムラグが違うのです。
(石川先生)
なるほど。
それと最後に全体として動かないといけない。一つだけではなかなかトキシコゲノミク
ス、ファーマコゲノミクスの創薬、医療に使うことができないということです。ちょうどラ
イフサイエンスセンターの1階にカフェテリアがありますが、そこのところに石でできた石
碑があります。そこに、山村 雄一先生の言葉、「時の利、地の利、人の和」という言葉が書
かれております。1階に出られたときにカフェテリアでちょっとご覧になって下さい。まさ
に医療、創薬というのは、総合的なサイエンスでありますので、地の利、人の和、時という
ものがうまくシンクロナイルズしなければならないということだろうと思います。
今日はどうも有難うございました。
-173-